JP3835708B2 - フェノール樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、靭性、耐熱性に優れる成形品や高温摩擦特性、耐摩耗性に優れる摩擦材等を得るために用いられるバインダーであって、靭性、耐熱性に優れ、また成形品中のアラミド繊維との密着性に優れるフェノール樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂は優れた機械特性、電気特性、耐熱性及び接着性などを有するバインダーであり、電気・電子部品、住宅建材、自動車部品など様々な用途で使用されている。近年、より過酷な条件下で使用される分野における用途が急増し、特に耐熱性の要求が厳しくなっている。このような用途では、従来のフェノール樹脂の耐熱性では十分でなく、様々な変性フェノール樹脂の研究が盛んに行われている。
【0003】
フェノール樹脂の熱分解は、フェノール核間のメチレン橋における酸化熱分解によって起こるとされており、メチレン橋の片側をフェノール性水酸基の無い芳香族炭化水素に置き換える事により、耐熱性は改善される。即ち、フェノールと芳香族炭化水素の反応において、フェノール樹脂の耐熱性は芳香族炭化水素の変性量に比例して増大する。しかし、芳香族炭化水素の変性量を多くすると、全体としてフェノール性水酸基含有量が減少するので、基材との密着性の低下、反応性低下による成形性の悪化、分子量増大による流動硬化性の悪化といった欠点が増大し、複合材としての充分な耐熱性は得られなかった。
【0004】
一方、フェノール樹脂を用いた成形品は、一般にガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維等の基材と、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、銅粉等の無機添加剤が使用されている。複合材としての耐熱性はバインダーとなるフェノール樹脂の化学的耐熱性と、これらの基材、フィラーとの密着性の両立により発現されるものである。フェノール樹脂の化学的耐熱性は、前述したように樹脂の構造中にフェノール性水酸基のない芳香族炭化水素を導入することにより改善されることが明らかになっている。しかしながら、芳香族炭化水素による変性のため基材との密着性は低下し、特にアラミド繊維との密着性の低下が顕著である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フェノール樹脂のこのような問題点を解決するため、種々検討した結果完成したもので、その目的とするところは、靭性、耐熱性に優れ、成形品中のアラミド繊維などの基材との密着性に優れたフェノール樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フェノール類(1分子中に2以上の反応しうるヒドロキシフェニレン基を有するものを除く)、アルデヒド類及び芳香族アミンを必須成分として、フェノール類と芳香族アミンとを混合した系に、加熱下でホルムアルデヒドを逐添しながら反応して得られた樹脂(A)、及びフェノール類およびキシレングリコールまたはその誘導体を必須成分として反応して得られた樹脂(B)からなることを特徴とするフェノール樹脂組成物、に関するものであり、バインダーとしての化学的耐熱性及びアラミド繊維などの基材との密着性に優れていて、これにより複合材としての成形品の耐熱性が飛躍的に向上することが確認された。すなわち、本発明のフェノール樹脂組成物において、バインダーとしての化学的耐熱性はキシレングリコールまたはその誘導体により、アラミド繊維などの基材との密着性は芳香族アミンのアミノ基により発現されることを見出し、更に種々の研究を進めて本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のフェノール樹脂組成物に使用するフェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ナフトールなどであり、これらを単独または2種類以上組合わせて使用してもよい。本発明のフェノール樹脂組成物に使用するアルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、サルチルアルデヒド、トリオキサンなどであり、これらを単独または2種類以上組合わせて使用してもよい。
【0008】
本発明のフェノール樹脂組成物に使用する芳香族アミン類は、フェニレンジアミン、アニリン、アミノナフタレン、ジアミノナフタレン、メシジン、メチルアニリン、メタニル酸、アミノインダン、アミノフェノール、ビスアニリンフルオレンなどであり、これらを単独または2種類以上組合わせて使用してもよい。本発明のフェノール樹脂組成物に使用するキシレングリコールまたはその誘導体としては、パラキシレングリコールジメチルエーテル、パラキシレングリコール、メタキシレングリコールジメチルエーテル、メタキシレングリコール、オルソキシレングリコールジメチルエーテル、オルソキシレングリコールなどがあり、これらを単独または2種類以上組合わせて使用してもよい。
【0009】
本発明のフェノール樹脂組成物におけるフェノール類の合計100重量部に対する芳香族アミンの量は2〜100重量部が好ましく、2重量部未満では十分な基材との密着性が得られず、一方、100重量部を越えると樹脂の硬化が阻害されるようになる。
【0010】
本発明のフェノール樹脂組成物は、上記の反応成分を使用して二種の樹脂を合成し、これらを混合することにより得られる。即ち、二種の樹脂は、フェノール類、アルデヒド類及び芳香族アミンを必須成分として反応して得られた樹脂(A)、及びフェノール類およびキシレングリコールまたはその誘導体を必須成分として反応して得られた樹脂(B)である。フェノール類、アルデヒド類及び芳香族アミンを必須成分として得られた樹脂(A)は、構造中に導入されたアミノ基の影響で成形品中のアラミド繊維などの基材との密着性に優れ、複合材としての成形品の耐熱性を向上させる。フェノール類及びキシレングリコールまたはその誘導体を必須成分として反応して得られた樹脂(B)は、構造中にフェノール性水酸基のない芳香族炭化水素を導入することにより化学的耐熱性を向上させる。樹脂(A)と樹脂(B)との配合割合は、通常樹脂(B)100重量部に対して樹脂(A)5〜100重量部であるが、これに限定されるものではない。
【0011】
本発明において、それぞれの樹脂を付加縮合反応して得るための触媒としては、蓚酸、塩酸、硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸類、酢酸亜鉛等の金属塩類であり、これらを単独または2種類以上併用して使用できる。
【0012】
フェノール樹脂組成物の硬化剤としては必要に応じて各種の2官能以上のエポキシ化合物、イソシアネート類及びホルムアルデヒド樹脂やヘキサメチレンテトラミンを用いることが出来るが、硬化性、耐熱性の面からヘキサメチレンテトラミンが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの添加量はフェノール樹脂組成物100重量部に対して3〜20重量部であり、好ましくは7〜17重量部である。3重量部未満では樹脂の硬化が不十分になり、また、20重量部を越えるとヘキサメチレンテトラミンの分解ガスが成形品にふくれ、亀裂などを発生させる。
【0013】
本発明のフェノール樹脂組成物の用途としては、成形材料用素材、有機繊維粘結剤、ゴム配合剤、研磨材用粘結剤、摩擦材用粘結剤、ゴム配合剤、無機繊維粘結剤、電子電気部品被覆剤、摺動部材粘結剤、エポキシ樹脂原料及びエポキシ樹脂硬化剤などが挙げられる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。しかし本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、製造例、実施例及び比較例に記載されている「部」及び「%」は、すべて「重量部」及び「重量%」を示す。
【0015】
(製造例1)
撹拌装置、環流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、アニリン400部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから37%ホルマリン696部を60分かけて添加し、次いで120分間還流反応を行った後、常圧脱水を行いながら系内の温度を150℃に到達させた。次いで系内を650mmHgの真空下で脱水を行いながら、系内の温度が160℃に昇温したところで反応器より取出して常温で固形の樹脂(A)1200部を得た。一方、前記と同様の反応装置に、フェノール1000部、パラキシレングリコールジメチルエーテル1226部、ジエチル硫酸0.6部を仕込み後、常圧脱水しながら徐々に昇温し、温度が150℃に達してから180分間常圧脱水反応を行った。次いで系内を650mmHgの真空下で脱水を行いながら、系内の温度が160℃に昇温したところで反応器より取出して常温で固形の樹脂(B)1610部を得た。
【0016】
(製造例2)
製造例1と同様の反応装置(A)にフェノール500部、アニリン200部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから37%ホルマリン348部を60分かけて逐添し、次いで120分間還流反応を行った後、常圧脱水を行いながら系内の温度を150℃に到達させた。前記と同様の反応装置(B)に、フェノール500部、パラキシレングリコールジメチルエーテル613部、ジエチル硫酸0.3部を仕込み後、常圧脱水しながら徐々に昇温し、温度が150℃に達してから180分間常圧脱水反応を行った。次いで反応装置(B)の内容物を反応装置(A)に移し、系内を650mmHgの真空下で脱水を行いながら、温度が160℃に昇温したところで反応器より取出して常温で固形の樹脂組成物1750部を得た。
【0017】
(製造例3)
製造例1と同様の反応装置にフェノール1000部、37%ホルマリン630部及び蓚酸20部を仕込み後、徐々に昇温し温度が95℃に達してから120分間還流反応を行った。次いで、系内を650mmHgの真空下で脱水を行いながら、系内の温度が170℃に昇温したところで反応器より取出して常温で固形の樹脂1080部を得た。
【0018】
(実施例1)
製造例1で得られた樹脂(A)500部及び樹脂(B)500部にヘキサメチレンテトラミン110部を加え、粉砕混合し、粉末樹脂組成物を得た。
【0019】
(実施例2)
製造例2で得られた樹脂組成物1000部にヘキサメチレンテトラミン110部を加え、粉砕し、粉末樹脂組成物を得た。
【0020】
(比較例)
製造例3で得られた樹脂1000部にヘキサメチレンテトラミン110部を加え、粉砕し、粉末樹脂組成物を得た。
【0021】
実施例1〜2及び比較例で得られた3種類の粉末樹脂組成物を各々別々に下記に示す配合割合で混合した。
この配合物を温度160℃、圧力200kg/cm2 で10分間成形した後、180℃で3時間焼成してテストピ−スを作成した。
【0022】
得られた3種類のテストピースの評価として、常態曲げ強度、熱履歴後の曲げ強度を測定し、その結果を表1に示す。
【表1】
【0023】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2は、常態強度が高く、基材との密着性に優れている。また熱履歴後の曲げ強度劣化が小さく、耐熱性に優れることが明らかである。
【0024】
【発明の効果】
本発明のフェノール樹脂組成物は、靭性に優れ、基材特にアラミド繊維との密着性が良好であるので、耐熱劣化が小さく耐熱性に優れているものである。
Claims (2)
- フェノール類(1分子中に2以上の反応しうるヒドロキシフェニレン基を有するものを除く)、アルデヒド類及び芳香族アミンを必須成分として、フェノール類と芳香族アミンとを混合した系に、加熱下でホルムアルデヒドを逐添しながら反応して得られた樹脂(A)、及びフェノール類およびキシレングリコールまたはその誘導体を必須成分として反応して得られた樹脂(B)からなることを特徴とするフェノール樹脂組成物。
- フェノール類の合計100重量部に対する芳香族アミン量が2〜100重量部である請求項1記載のフェノール樹脂組成物。
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JP29817195A JP3835708B2 (ja) | 1995-11-16 | 1995-11-16 | フェノール樹脂組成物 |
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JP29817195A JP3835708B2 (ja) | 1995-11-16 | 1995-11-16 | フェノール樹脂組成物 |
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JPH09137040A JPH09137040A (ja) | 1997-05-27 |
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JP29817195A Expired - Fee Related JP3835708B2 (ja) | 1995-11-16 | 1995-11-16 | フェノール樹脂組成物 |
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1995
- 1995-11-16 JP JP29817195A patent/JP3835708B2/ja not_active Expired - Fee Related
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