JP3835106B2 - インターホンシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8および図9に従来のインターホンシステムの基本構成を示す。
【0003】
図8のインターホンシステムは、親機A11および子機B11により成り、親機A11および子機B11間で音声信号および映像信号をそれぞれベースバンド伝送方式およびFM(周波数変調)方式により伝送するもので、親機A11は、多重部100、電源部101、呼出検出部102、映像受信・復調部103、モニタテレビ部104、スピーカアンプ部105、スピーカ部106、マイク部107、マイクアンプ部108および給電部109で構成され、子機B11は、受電部201、多重部200、呼出制御部202、カメラ部203、映像変調・送信部204、マイク部205、マイクアンプ部206、スピーカアンプ部207およびスピーカ部208で構成されている。
【0004】
図9のインターホンシステムは、親機A12および子機B12により成り、親機A12および子機B12間で音声信号および映像信号をそれぞれFM方式およびベースバンド伝送方式により伝送するもので、親機A12は、多重部100、電源部101、呼出検出部102、映像受信部103a、モニタテレビ部104、復調・スピーカアンプ部105a、スピーカ部106、マイク部107、マイクアンプ・変調部108aおよび給電部109で構成され、子機B12は、受電部201、多重部200、呼出制御部202、カメラ部203、映像送信部204a、マイク部205、マイクアンプ・変調部206a、復調・スピーカアンプ部207aおよびスピーカ部208で構成されている。
【0005】
これらの各インターホンシステムでは、例えば親機および子機はそれぞれ屋内および玄関先に設置され、これにより、子機のカメラ部で撮影した玄関先の映像を親機のモニタテレビ部により屋内で確認できると同時に、玄関先および屋内間で双方向の通話が可能となっている。
【0006】
子機の動作に必要な電流は親機側の電源部から給電部を通じて供給されるが、通常、親機は、音声および映像の伝送を行う必要のないときには、インターホンシステムの低消費電流化を図るべく、給電部からの子機に対する給電電圧を低くする一方、子機側のカメラ部、映像変調・送信部(映像送信部)、マイク部およびスピーカアンプ部(復調・スピーカアンプ部)などを動作させる必要のあるときには、給電電圧を高くする制御を行う。以下、給電電圧の低い状態のことを待機給電状態と呼び、高い状態のことを動作給電状態と呼ぶ。
【0007】
図9のインターホンシステムでは、双方向伝送となる音声信号をFM方式で伝送するため、親機および子機の各々に変調器および復調器の一式を備える必要があるのに対し、図8のインターホンシステムでは、子機から親機への一方向伝送となる映像信号をFM方式で伝送するため、親機および子機にそれぞれ復調器および変調器を備えるだけでよいので、特に屋内に副親機と呼ばれる増設親機や、玄関先に複数の子機を備える拡張システムにおいて、コスト面で有利となる。
【0008】
ところで、このようなインターホンシステムに対して、「モニタ機能」の要望がユーザからあり、従来品でもこの機能を取り入れたものが存在する。ここに、「モニタ機能」とは、親機および子機間で通常の通話を行うものではなく、親機側から子機を起動し、屋内に居ながらにして玄関先の様子(音声、映像とも)を覗き見る機能のことである。この「モニタ機能」を付加機能としてインターホンシステムに設ける場合、子機側のスピーカ部の鳴動(屋内音声の音漏れ等)をなくす必要がある。
【0009】
図10および図11に「モニタ機能」を備える従来のインターホンシステムの基本構成を示す。
【0010】
図10のインターホンシステムは、図8のインターホンシステムに「モニタ機能」を備えたもので、親機A13にはスイッチS2が設けられている。このスイッチS2は、親機から子機に至る音声信号の経路に設けられ、モニタ中はオフ状態になって屋内側の音声信号が子機側に伝送しないようにする。しかし、この方法では、「モニタ機能」を使用すると、親機が給電を行って子機を起動すると同時に、子機のスピーカアンプ部の電源が投入されるため、スピーカ部から「プツッ!」といった音(ポップノイズ)が発生してしまうという問題があった。
【0011】
図11のインターホンシステムは、図9のインターホンシステムに「モニタ機能」を備えたもので、親機A14にはスイッチS2が設けられ、子機B14にはキャリア信号検出部209aおよびスピーカアンプ電源制御部210が設けられている。このように、子機B14に、親機A14からの音声のキャリア信号を検出するキャリア信号検出部209aとこの出力により復調・スピーカアンプ部207aの電源制御を行うスピーカアンプ電源制御部210とを設け、親機A14からそのスイッチS2のオフにより音声信号が到来しない間、復調・スピーカアンプ部207aのスピーカアンプ電源を投入しないようにすれば、ポップノイズの発生を防止することができる。ただし、子機B14のキャリア信号検出部209aは、一般的なFM復調器に標準的に備わっているキャリア検出機能を転用して実現したものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示すように、親機および子機間で音声信号および映像信号をそれぞれベースバンド伝送方式およびFM方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムでは、映像信号をFM方式で子機から親機へのみ伝送しているため、親機から子機を制御する信号を伝送する手段がないという問題があった。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、親機および子機間で音声および映像を伝送するための方式がそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式であっても、子機側の音声出力に鳴動を伴わないモニタ機能を付加しうるインターホンシステムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムであって、親機は、キャリア信号を生成する手段を備え、子機は、キャリア信号を検出する手段と、待機給電状態から動作給電状態への変化後にキャリア信号を検出するまで音声出力をオフに保持し、キャリア信号の検出に応じて音声出力をオンにし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにする手段とを備えるのである。
【0015】
この構成では、親機から送出されるキャリア信号により子機の音声出力を制御することができるので、子機を鳴動させることなくモニタ機能を使用することが可能となる。これにより、親機および子機間で音声および映像を伝送するための方式がそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式であっても、子機側の音声出力に鳴動を伴わないモニタ機能を付加することができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムであって、親機は、子機に対する音声出力オン用のコマンドを生成する手段と、コマンドを変調する手段とを備え、子機は、親機からの信号を復調する手段と、復調した信号から音声出力オン用のコマンドを読み取る手段と、待機給電状態から動作給電状態への変化後に音声出力オン用のコマンドを読み取るまで音声出力をオフに保持し、音声出力オン用のコマンドの読取りに応じて音声出力をオンにし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにする手段とを備えるものである。
【0017】
この構成では、親機から送出されるコマンドにより子機の音声出力を制御することができるので、子機を鳴動させることなくモニタ機能を使用することが可能となる上に、制御の信頼性の向上が実現でき、さらにその構成を利用して別のコマンドを伝送することにより、音声出力の制御以外の制御、例えば子機設置場所の明暗の変化に伴う照明のオン/オフ制御や、カラー/モノクロ撮像の切換制御等の付加的な機能が実現可能となる。これにより、親機および子機間で音声および映像を伝送するための方式がそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式であっても、子機側の音声出力に鳴動を伴わないモニタ機能を付加することができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のインターホンシステムにおいて、子機は、呼出を行う手段と、呼出があったことを記憶する手段と、呼出があったことが記憶されている際に動作給電状態にて音声出力をオンにする手段と、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に呼出があったことの記憶を消去する手段とを備えることを特徴とする。この構成では、子機から呼出があった時には、親機から子機へのキャリア信号もしくはコマンド信号の伝送なしに、子機自体で動作給電状態になると同時に音声出力が開始されるように制御され、さらに動作給電状態の解除により音声出力の制御状態を初期状態に戻すので、キャリア信号もしくはコマンド信号の伝送に伴う処理時間が短縮でき、さらに親機における処理の負担が軽減されるという効果を奏するばかりでなく、例えば子機の呼出釦の押下などでのみ通話モードに移行でき、親機からはモニタモードでのみ動作するようなシステムを構成することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る第1実施形態のインターホンシステムを示す構成図で、この図を用いて以下に第1実施形態の説明を行う。
【0020】
図1に示すインターホンシステム(以下単にシステムという)は、親機A1および子機B1により成り、親機A1および子機B1間で音声信号および映像信号をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのもので、モニタ機能を有している。
【0021】
親機A1は、子機B1との通信用の多重部100と、当該親機A1の各部(図1の破線および実線参照)に給電する電源部101と、多重部100を介し子機B1からの呼出の有無を検出する呼出検出部102と、子機B1からの映像信号を、多重部100を介して受信して復調する映像受信・復調部103と、この映像受信・復調部103で復調された映像信号により映像を映し出すモニタテレビ部104と、多重部100を介した子機B1からの音声信号を増幅するスピーカアンプ部105と、このスピーカアンプ部105で増幅された音声信号により音声を出力するスピーカ部106と、音声入力用のマイク部107と、このマイク部107からの音声信号を増幅して多重部100を介して子機B1に出力するマイクアンプ部108と、動作給電状態に入るとき、子機B1に対する給電電圧を高くし、待機給電状態に戻るとき、給電電圧を低くする給電部109とを図8に示す従来のシステムと同様に備えているほか、この従来のシステムとの相違点として、キャリア信号を生成するキャリア信号生成部110を備えている。
【0022】
そして、親機A1にはマイコンが使用され、このマイコンにより本システム全般の制御などの処理が行われる。例えば、給電部109などに対して、動作給電状態ないし待機給電状態への切替制御が行われる。具体的には、モニタ開始の操作が行われると、給電部109を通じて動作給電状態に切り替える制御が行われるほか、待機給電状態の際に呼出検出部102で呼出が検出されると、動作給電状態に移行して子機B1に対する給電電圧を高くし、待機給電状態に戻るとき、給電電圧を低くする制御などが行われる。
【0023】
子機B1は、親機A1との通信用の多重部200と、この多重部200を介して給電部109側から受電して当該子機B1の各部(図1の破線参照)に給電する受電部201と、操作に応じて呼出信号を、多重部200を介して親機A1に出力する呼出制御部202と、撮影用のカメラ部203と、このカメラ部203からの映像信号を変調して多重部200を介して親機A1に送信する映像変調・送信部204と、音声入力用のマイク部205と、このマイク部205からの音声信号を増幅して多重部200を介して親機A1に出力するマイクアンプ部206と、多重部200を介した子機B1からの音声信号を増幅するスピーカアンプ部207と、このスピーカアンプ部207で増幅された音声信号により音声を出力するスピーカ部208とを図8に示す従来のシステムと同様に備えているほか、この従来のシステムとの相違点として、キャリア信号検出部209と、スピーカアンプ電源制御部210とを備えている。キャリア信号検出部209は、多重部200を介し親機A1からのキャリア信号の有無を検出するものである。スピーカアンプ電源制御部210は、待機給電状態から動作給電状態への変化後にキャリア信号を検出するまでの間、スピーカ部208による音声出力をオフに保持すべくスピーカアンプ部207を電源オフ状態にし、キャリア信号の検出に応じて音声出力をオンにすべくスピーカアンプ部207を電源オン状態にし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにすべくスピーカアンプ部207を電源オフ状態にするものである。
【0024】
次に、上記構成のシステムのモニタ時における動作を説明する。ただし、本システムは待機給電状態にあるとする。
【0025】
ユーザ(住人)が親機A1のモニタ開始用の釦(図示せず)を押下などしてモニタ開始の操作を行うと、この操作を親機A1内のマイコンが検出し、直ちに子機B1に対する給電状態を待機給電状態から動作給電状態に切り替える制御を行う。
【0026】
このとき、親機A1において、給電部109は、上記制御に従って動作給電状態に移行すべく子機B1に対する給電電圧を高くする一方、子機B1において、スピーカアンプ電源制御部210が初期状態としてスピーカアンプ部207を電源オフ状態にするため、スピーカアンプ部207には電源供給が行われない。従って、屋内側の音声が子機B1に漏れないばかりでなく、起動時のポップノイズの発生も防ぐことができる。
【0027】
この後、ユーザがモニタを完了して本システムの使用を終えるべく、親機A1のモニタ動作終了設定用の釦(図示せず)を押下などしてモニタ終了の操作を行うと、この操作を親機A1内のマイコンが検出し、子機B1に対する給電状態を動作給電状態から待機給電状態に切り替える制御を行う。これにより、待機給電状態に戻る。
【0028】
ここで、上記モニタの際、ユーザがモニタ状態から玄関先との通話状態に移行するべく、親機A1の通話状態移行設定用の釦(図示せず)を押下などして通話の操作を行うと、この操作を親機A1内のマイコンが検出する。
【0029】
このとき、親機A1において、キャリア信号生成部110が機能し、既定周波数を持つキャリア信号が生成され、多重部100にて電源に重畳して子機B1に向けて送信される一方、子機B1において、動作給電状態でかつキャリア信号非検出状態にあるとき、キャリア信号検出部209を常に機能させ、親機A1から送られてくる信号中からキャリア信号を抽出し続け、キャリア信号が一旦検出されると、スピーカアンプ電源制御部210によりスピーカアンプ部207を電源オン状態に保持する制御が行われる。これにより、親機A1および子機B1間の通話が確立することとなる。
【0030】
この後、ユーザが通話を完了して本システムの使用を終えるべく、上記モニタ動作終了設定用の釦を押下などしてモニタ終了の操作を行うと、上記同様、その操作を親機A1内のマイコンが検出し、子機B1に対する給電状態を動作給電状態から待機給電状態に切り替える制御を行う。これにより待機給電状態に戻る。
【0031】
このとき、子機B1内のスピーカアンプ電源制御部210は、給電状態が動作給電状態から待機給電状態に変化したことを契機に、スピーカアンプ部207を電源オフ状態の初期状態に戻す。これにより、次回のモニタ時の子機スピーカ鳴動防止機構が正常に動作することが保証される。
【0032】
図2は本発明に係る第2実施形態のインターホンシステムを示す構成図で、この図を用いて以下に第2実施形態の説明を行う。
【0033】
図2に示すシステムは、親機A2および子機B2により成り、親機A2および子機B2間で音声信号および映像信号をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのもので、モニタ機能を有している。
【0034】
親機A2は、図1のキャリア信号生成部110に代えて、子機スピーカ音声出力オンコマンド生成部(図では子機SP音声出力ONコマンド生成部)111とコマンド変調部112とを備える以外は、第1実施形態の親機A1と同様に構成されている。
【0035】
子機B2は、図1のキャリア信号検出部209に代えて、信号復調部211と子機スピーカ音声出力オンコマンド読取部(図では子機SP音声出力ONコマンド読取部)212とを備える以外は、第1実施形態の子機B1と同様に構成されている。
【0036】
第1実施形態のシステムでは、スピーカアンプ207の電源制御がキャリア信号を利用して行われるのに対し、本実施形態のシステムでは、スピーカアンプ207の電源制御がコマンド信号を利用して行われる点で、両者の動作は異なり、以下、その異なる動作について説明する。
【0037】
モニタの際、ユーザがモニタ状態から玄関先との通話状態に移行するべく、親機A2の通話状態移行設定用の釦(図示せず)を押下などして通話の操作を行うと、この操作を親機A2内のマイコンが検出する。
【0038】
このとき、親機A2において、子機スピーカ音声出力オンコマンド生成部111が機能して子機スピーカの音声出力オン用のコマンド(以下単にオンコマンドという)を生成し、コマンド変調部112が、オンコマンドを音声信号および映像信号と共に電源に重畳するために、変調を行い、高周波信号へ変換させた後、多重部100を経由して子機B2に伝送する。他方、子機B2において、動作給電状態でかつオンコマンドの非検出状態にあるとき、信号復調部211が常に機能し、子機スピーカ音声出力オンコマンド読取部212が親機A2から送られてくる信号中からオンコマンドを抽出し続け、オンコマンドを一旦検出すると、スピーカアンプ電源制御部210が機能してスピーカアンプ部207を電源オン状態に保持する。
【0039】
このように、コマンドを用いて制御を行うことで、誤ってスピーカアンプ部207を電源オン状態にする確率が激減し、信頼性の高いシステムを提供することが可能となるばかりでなく、オンコマンド以外のコマンドを規定することで、子機B2に対する様々な制御を実現できることになる。
【0040】
なお、第2実施形態において、コマンドの変調方式として、ASK、FSKまたはPSKを用いることができる。ASKの場合、振幅に情報が含まれるため、包絡線検波が可能であり、子機でのコマンド信号の復調が包絡線検波にて実現可能となって復調回路の構成が非常に簡単になる。FSKの場合、誤り率特性はPSKよりも劣るものの、回路構成が比較的簡単になり、また包絡線が一定で振幅に情報がないので、レベル変動や雑音の影響が少ない。PSKの場合、他の変調方式と比較して同じC/Nに対する符号誤り率が小さく、また包絡線が一定で振幅に情報がないので、伝送路のレベル変動に非常に強い。
【0041】
また、第1および第2実施形態において、回路構成を簡単にすべく、キャリア信号生成部110やコマンド変調部112に対してマイクアンプ部を兼用する構成にしてもよい。まず、図3および図4にそれぞれマイクアンプ部を兼用しない場合のキャリア信号生成部110およびコマンド変調部112の内部構成例を示す。
【0042】
図3において、キャリア信号生成部110は、キャリアを発生するキャリア発生部110aと、発生させたキャリアを増幅して多重部100へ送出するアンプ部110bとにより構成される。このアンプ部110bは、親機A1および子機B1間の配線距離が長くなると信号に減衰が生じ、子機B1側の受信特性が劣化するため、長距離伝送時でも子機B1側で十分な受信強度が得られるようにするために必要である。
【0043】
図4において、コマンド変調部112は、変調を行う変調部112aと、変調した信号を増幅して多重部100へ送出するアンプ部112bとにより構成される。
【0044】
次に、図5および図6にそれぞれマイクアンプ部を兼用する場合のキャリア信号生成部およびコマンド変調部の内部構成例を示す。ここで、図1および図2の両システムともに、集音用のマイク部107とその集音で得られる音声信号増幅用のマイクアンプ部108とを備えている。このマイクアンプ部108は、上述のキャリア増幅用のアンプ部110bや変調信号増幅用のアンプ部112bと同じ働きをする。
【0045】
従って、図5に示すように、スイッチS1を用いてマイクアンプ部108の入力に、マイク部107の出力とキャリア発生部110aの出力とを切替接続するようにし、これと同様、図6に示すように、スイッチS1を用いてマイクアンプ部108の入力に、マイク部107の出力と変調部112aの出力とを切替接続するようにすれば、部品点数を削減でき、システムの低コスト化を図ることが可能になる。
【0046】
ただし、通常伝送される音声信号の周波数帯域は数百Hz〜数kHzであるので、マイクアンプ部108についても同程度の帯域を持つだけで十分であるが、図5,図6に示すように、キャリアもしくは変調信号をも増幅させる場合には、より広い帯域特性を持ったアンプに構成する必要がある。
【0047】
図7は本発明に係る第3実施形態のインターホンシステムを示す構成図で、この図を用いて以下に第3実施形態の説明を行う。
【0048】
図7に示すシステムは、親機A1および子機B3により成り、親機A1および子機B3間で音声信号および映像信号をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのもので、モニタ機能を有している。
【0049】
親機A1は第1実施形態と同様のもので、子機B3は、呼出記憶部213とOR回路214とをさらに備える以外は、第1実施形態の子機B1と同様に構成されている。
【0050】
このシステムでは、モニタ状態から使用終了、もしくはモニタ状態から通話状態に移行した後の使用終了の動作に関しては、第1実施形態に準拠した動作を行う。
【0051】
ところで、モニタテレビ付きのインターホンシステムでは、ここまでに述べてきたモニタモードでの使用よりも、玄関先に来客があり、子機の呼出釦を押下されることにより、動作状態に移行するような使用形態のほうがより一般的であるのは言うまでもない。
【0052】
このとき、既述の各システムでは、子機からの呼出を親機で検出し、これを契機に動作給電を開始した後、キャリア信号もしくはコマンド信号を送信すれば、ようやく親機および子機間での通話ができる状態になるわけであるが、これでは通話可能状態に移行するまでの所要時間が長くなり、来客にとって違和感を与えてしまうおそれがある。
【0053】
そこで、第3実施形態では、来客が呼出釦を押下するなどの呼出制御が行われると、子機B3内の呼出記憶部213にて、子機B3側で呼出があったことを記憶して、動作給電が始まると同時に、キャリア信号検出部209がキャリア信号を検出した際にスピーカアンプ電源制御部210を機能させるために送信する信号と同じものをスピーカアンプ電源制御部210に対し送信するようになっている。
【0054】
スピーカアンプ電源制御部210の信号入力部にキャリア信号検出部209と呼出記憶部213の双方から送られてくる信号のうちいずれかを受信すれば、スピーカアンプ電源制御部210を機能させるようにするためのOR回路214が設けられているので、キャリア検出によっても呼出制御によってもいずれの場合もスピーカアンプ電源制御部210を機能させることが可能となる。
【0055】
これにより親機A1側からのキャリア信号の送信がなくとも親機A1および子機B3間を通話状態にすることが可能になる。
【0056】
ただし、呼出記憶部213は、待機給電状態でも機能し、給電状態が待機給電状態から動作給電状態に遷移しても記憶状態を保持できるような回路構成をとっている。
【0057】
また、給電状態が動作給電状態から待機給電状態に移行したときには、呼出記憶部213はクリアされるようになっており、これにより次回のモニタモードの動作保証がなされるわけである。
【0058】
以上により、子機からは呼出釦の押下でのみ通話モードに移行でき、親機からはモニタモードでのみ動作するようなシステムにおいても、モニタ時の子機スピーカの鳴動を防止しつつ、子機からの呼出釦の押下で通話状態に移行することが可能となる。また、モニタ機能の付加的機能の提供、低コストでの提供、さらに通話状態への移行の際の処理時間の短縮化と処理負荷の軽減をも実現することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の発明によれば、親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムであって、親機は、キャリア信号を生成する手段を備え、子機は、キャリア信号を検出する手段と、待機給電状態から動作給電状態への変化後にキャリア信号を検出するまで音声出力をオフに保持し、キャリア信号の検出に応じて音声出力をオンにし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにする手段とを備えるので、親機および子機間で音声および映像を伝送するための方式がそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式であっても、子機側の音声出力に鳴動を伴わないモニタ機能を付加することができる。
【0060】
請求項2記載の発明によれば、親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムであって、親機は、子機に対する音声出力オン用のコマンドを生成する手段と、コマンドを変調する手段とを備え、子機は、親機からの信号を復調する手段と、復調した信号から音声出力オン用のコマンドを読み取る手段と、待機給電状態から動作給電状態への変化後に音声出力オン用のコマンドを読み取るまで音声出力をオフに保持し、音声出力オン用のコマンドの読取りに応じて音声出力をオンにし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにする手段とを備えるので、親機および子機間で音声および映像を伝送するための方式がそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式であっても、子機側の音声出力に鳴動を伴わないモニタ機能を付加することができる。
【0061】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載のインターホンシステムにおいて、子機は、呼出を行う手段と、呼出があったことを記憶する手段と、呼出があったことが記憶されている際に動作給電状態にて音声出力をオンにする手段と、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に呼出があったことの記憶を消去する手段とを備えるので、キャリア信号もしくはコマンド信号の伝送に伴う処理時間が短縮でき、さらに親機における処理の負担が軽減されるという効果を奏するばかりでなく、例えば子機の呼出釦の押下などでのみ通話モードに移行でき、親機からはモニタモードでのみ動作するようなシステムを構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態のインターホンシステムを示す構成図である。
【図2】本発明に係る第2実施形態のインターホンシステムを示す構成図である。
【図3】マイクアンプ部を兼用しない場合のキャリア信号生成部の内部構成例を示す図である。
【図4】マイクアンプ部を兼用しない場合のコマンド変調部の内部構成例を示す図である。
【図5】マイクアンプ部を兼用する場合のキャリア信号生成部の内部構成例を示す図である。
【図6】マイクアンプ部を兼用する場合のコマンド変調部の内部構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態のインターホンシステムを示す構成図である。
【図8】従来のインターホンシステムの基本構成を示す図である。
【図9】従来のインターホンシステムの基本構成を示す図である。
【図10】「モニタ機能」を備える従来のインターホンシステムの基本構成を示す図である。
【図11】「モニタ機能」を備える従来のインターホンシステムの基本構成を示す図である。
【符号の説明】
A1,A2 親機
100 多重部
101 電源部
102 呼出検出部
103 映像受信・復調部
104 モニタテレビ部
105 スピーカアンプ部
106 スピーカ部
107 マイク部
108 マイクアンプ部
109 給電部
110 キャリア信号生成部
111 子機スピーカ音声出力オンコマンド生成部
112 コマンド変調部
B1,B2,B3 子機
200 多重部
201 受電部
202 呼出制御部
203 カメラ部
204 映像変調・送信部
205 マイク部
206 マイクアンプ部
207 スピーカアンプ部
208 スピーカ部
209 キャリア信号検出部
210 スピーカアンプ電源制御部
211 信号復調部
212 子機スピーカ音声出力オンコマンド読取部
213 呼出記憶部
214 OR回路

Claims (3)

  1. 親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムであって、親機は、キャリア信号を生成する手段を備え、子機は、キャリア信号を検出する手段と、待機給電状態から動作給電状態への変化後にキャリア信号を検出するまで音声出力をオフに保持し、キャリア信号の検出に応じて音声出力をオンにし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにする手段とを備えることを特徴とするインターホンシステム。
  2. 親機および子機により成り、親機および子機間で音声および映像をそれぞれベースバンド伝送方式および周波数変調方式により伝送するモニタテレビ付きのインターホンシステムであって、親機は、子機に対する音声出力オン用のコマンドを生成する手段と、コマンドを変調する手段とを備え、子機は、親機からの信号を復調する手段と、復調した信号から音声出力オン用のコマンドを読み取る手段と、待機給電状態から動作給電状態への変化後に音声出力オン用のコマンドを読み取るまで音声出力をオフに保持し、音声出力オン用のコマンドの読取りに応じて音声出力をオンにし、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に音声出力をオフにする手段とを備えることを特徴とするインターホンシステム。
  3. 子機は、呼出を行う手段と、呼出があったことを記憶する手段と、呼出があったことが記憶されている際に動作給電状態にて音声出力をオンにする手段と、動作給電状態から待機給電状態への変化の際に呼出があったことの記憶を消去する手段とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のインターホンシステム。
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