JP3834527B2 - ブラシレスモータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にDCブラシレスモータと呼ばれる、3相コイルへの通電パターンにより駆動を制御するモータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DCブラシレスモータを駆動させるためにはロータの位相(位置)を検出し、回転しているロータの位相に合わせてコイルの通電を切り替える必要がある。一般に、制御が容易である120°通電方法が知られている。
これは、3相のうち2相に通電させる方法であるが、ブラシレスモータには、位相検出手段として3個のホールセンサが設けられているのが一般的であり、これらのホールセンサは、モータのロータの位相が60°変化するごとに信号が変化する。したがって、このホールセンサの信号変化に応じて通電パターンを変えて駆動させている。
図8は、ホールセンサによる検出状態と、通電状態とを示す説明図である。
この図に示すように、3個のホールセンサが出力するホールセンサ信号Hs1,Hs2,Hs3は、それぞれ、ロータの180°の動きで、Hi/Loの出力が切り替わるもので、これらが相互に120°位相を異ならせて出力が変化する構成となっている。よって、各センサの出力の変化に基づいて、ロータの位相を図示のように60°ごとに検出することができる。この60°ごと変化を示す縦軸をポジション信号Psと呼ぶことにする。
このロータの位相に応じたポジション信号Psの入力に対応して、図において実線で示すように、U相、V相、W相の3相に電流を+、0,−と切り替えるようにすることで、通電する相を変化させる。
【0003】
ところで、ロータに対して最も効率良く駆動力を与えることができるのは、磁束に対して電流が直交方向に流れる状態のときである。
それに対して、上記の120°通電方法では、60°ごとに通電状態に切り替わるため、磁束に対して電流が直交方向に流れるのは60°の回動範囲のうちの1角度のみである。
【0004】
そこで、ブラシレスモータをより効率良く駆動させる方法として、ベクトル制御による正弦波駆動方法が知られている。この駆動方法は、ロータの位相に対して電流が常に直交方向に流れるように、U相、V相、W相の3相に対して、図8において2点差線で示すような正弦波特性で通電する方法である。図示のような正弦波で通電を行えば、ロータを効率良く駆動させることができる。
【0005】
さらに、このようなブラシレスモータを例えば、パワーステアリング装置などのように、人の操作力をアシストするように使用することがある。この場合、ハンドルなどのような操作部材に発生する反力トルクを検出し、この検出トルクに応じてモータに出力する電流指令値を上下させることも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の正弦波駆動方法によれば、ロータの位相を基準として通電を行うため、ロータの位相を正確に検出する必要がある。
したがって、ロータの位相を検出するための高価な位置センサが必要となる。
【0007】
一方、前述のように60°ごとでしか正確にロータの位相を検出することができない安価なホールセンサを用いてロータの位相を推定する技術も知られているが、この技術では、以下に述べるような問題が生じる。
ここで、まず、ホールセンサを用いたロータの位相推定について説明する。ホールセンサによるポジション信号Psは、図9においてPs1〜Ps4で示すように、60°ごとに切り替わる。そこで、この切り替わりの間隔時間Δtを測定することでロータの角速度を推定することができる。
角速度(推定値)ω=60°/(切り替わり間隔時間Δt)
すなわち、図9に示すように、ホールセンサの出力が切り替わるごとにポジション信号Psが発生することから、ポジション信号Psが発生して次のポジション信号Psが発生するまでの時間Δtを測定することで、その間のロータの角速度ωを求めることができる。
そこで、ポジション信号Ps1,Ps2,Ps3が入力されるたびに、位相推定値をその絶対値である実位相に補正する補正処理を実行する。
また、ポジション信号Psが入力されてから次のポジション信号Psが入力されるまでは、角速度に基づいてロータの位相を推定する。つまり、今回のポジション信号Ps2が入力されてから次のポジション信号Ps3が入力されるまでを例に挙げれば、前回のポジション信号Ps1と今回のポジション信号Ps2との切り替わり間隔時間Δt1から、前回角速度ω1を求め、今回ポジション信号Ps2が入力されてからの推定位相値を、この前回角速度ω1および経過時間により求める。この図示の例では、制御サイクルタイムが0.25(msec)であることから、前回角速度ω1に制御サイクルタイムを乗じて変位量を求め、ポジション信号Ps2が得られたときのロータの位相の絶対値にこの変位量を足すことで位相推定値を求める。
【0008】
しかしながら、この図9に示すように、角速度ωは、一定ではないことから、図示のように、切り替わり間隔時間Δt1の後の切り替わり間隔時間Δt2が長いというように、実際のロータの角速度が低下した場合、位相推定値が実位相に対して先行するズレが生じ、位相推定値が既に次のポジション信号Ps3が発生すべき値となっているのに、実位相がその位相に達していない状態となる。
これとは逆に、切り替わり間隔時間Δt2の後の切り替わり間隔時間Δt3が短いというように、実際のロータの角速度が上昇した場合、位相推定値が実位相に対して遅れるズレが生じ、位相推定値は次のポジション信号Ps4が発生すべき位相に達していないのに、次のポジション信号Ps4が入力される。
【0009】
このように、実位相と位相推定値とが大きく離れた場合、磁束に対する通電方向が効率的な方向に対してズレてしまい、トルク不足が生じる。特に、ポジション信号Ps2とPs3との間のように実角速度が推定角速度よりも遅い場合は、この位相のズレが、最悪では60°となる可能性がある。
このような位相のズレによるトルク出力への影響は、cos(ズレ角)倍であり、位相が60°ずれた場合、出力トルクはcos60°倍=1/2倍となる。
【0010】
ところで、モータのトルクを操作力のアシストに用いる装置が、例えば、パワーステアリング装置や運搬装置などで知られている。このような装置は、操作者に対する負荷を検出する負荷検出手段を有していて、この負荷が目標値となるように、モータに対する電流指令値を制御している。すなわち、負荷が大きくなると、電流指令値を上昇させてモータによるアシスト力を上昇させ、逆に、負荷が小さくなれば、電流値指令値を低下させてモータによるアシスト力を低下させるよう制御する。
【0011】
このように、モータのトルクをアシスト力として使用する装置において、上述のように、位相がずれてモータのトルク出力が低下した場合、モータによるアシスト力が低下する結果、負荷(トルク反力)が増大し、負荷検出手段の検出値が上昇する。そのため、通電制御手段は、この電流指令値を上昇させる。
図5は後述する実施の形態1および従来技術の作動例を示すタイムチャートであって、この図において区間(b)は、位相推定値が実位相に先行するズレが生じている。
そして、この位相のズレを原因としてモータのトルクが低下すると、アシスト力不足を招いて負荷検出手段としてのトルクセンサが出力するトルク信号が上昇する。このため、電流指令値が上昇する。
その後、区間(c)の始まりの時点で、ポジション信号Ps2が得られるため、位相推定値がこのポジション信号Ps2により得られる実位相に補正され、モータのロータに対してトルク効率の良い通電が成されることになる。すると、アシスト力不足を補うように上昇されていた電流指令値が過剰、すなわち、アシスト力が過剰となり、トルク信号Vtが低下する。そこで、逆に電流指令値を低下させる制御を実行する。
このように、従来技術にあっては、位相推定値が実位相に先行する位相ズレと、ポジション信号が得られたときに、位相推定値を実位相に補正する補正処理とにより、過電流が出力されて、トルクが上下するハンチングが生じる。このような場合、操作者に違和感を与えることになる。
【0012】
本発明は、このような従来の問題に着目して成されたもので、120°通電法に用いるような安価なホールセンサを用いながらも、ポジション信号の変化と時間とを測定することで位相の推定を行うブラシレスモータ制御装置において、位相ズレを原因とした過電流によるハンチングを抑えて、制御品質の向上を図ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、位相推定手段による推定ならびに位相検出手段の検出に基づいて、ロータの位相に効率的な正弦波でブラシレスモータのコイルへ通電する制御を実行するとともに、このコイルへの通電である電流指令値をトルク検出手段が検出するトルクに応じて変化させる通電制御手段を備えたブラシレスモータ制御装置において、
前記位相推定値が実位相に対して進む方向の位相ズレを検出する位相ズレ検出手段を設け、この位相ズレ検出手段が前記位相ズレを検出したときに、通電制御手段が、電流指令値を通常のトルクに応じた値である基準電流指令値に対して低下させる電流下げ処理を実行する構成とした。
【0014】
したがって、位相推定値が実位相に先行する位相ズレが発生したときには、モータの効率が悪化して操作部材に対するモータのアシスト力が低下する結果、トルク不足となって負荷が増大し、トルク検出手段の検出トルクが上昇し、このとき検出トルクに応じて電流指令値を増加させるが、このとき、本発明では、通電制御手段が電流下げ処理を実行して、電流指令値を通常のトルクに応じた値である基準電流指令値に対して低下させる。このように、電流指令値を低下させると、モータが発生するトルクは、従来に比べると小さくなり、過剰アシストが抑制される。
その後、ロータが位相検出手段により実位相が検出される位相に達すると、位相補正手段により推定位相値が実位相に補正され、通電制御手段は、得られた実位相に対応した通電を実施するが、この直前で、上記電流下げ処理により電流指令値が低く抑えられているため、このように効率的なトルクが得られるようになった時点で、電流指令値が過剰となるのが防止される。
よって、位相ズレおよびその後の補正処理を原因とした過電流によるハンチングを抑えて、制御品質の向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明実施の形態のブラシレスモータ制御装置について説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のブラシレスモータ制御装置を適用した電動油圧パワーステアリング装置を示す全体システム図である。
図において1はハンドルであり、このハンドル1は、継ぎ手2を介してラック&ピニオン3に連結されている。これにより、運転者によるハンドル1の操作に連動して図外の前輪に連結されたシャフト4が左右(X方向)に変位して操舵が成される構成となっている。このハンドル1からシャフト4間での運転者の操作力を伝達する部材が、特許請求の範囲の操作部材に相当する。また、この実施の形態1では、ハンドル1に対する運転者の操作力が主操作力となる。
【0016】
さらに、前記シャフト4には油圧シリンダ5が設けられている。この油圧シリンダ5は、ポンプ6の駆動に応じて左右の室51,52に油などの流体が供給および排出されることによりシャフト4にアシスト力を与える。
また、前記ポンプ6の駆動は、ブラシレスモータ(以下、モータという)7の回転により制御される。さらに、このモータ7の回転はコントロールユニット8により制御される。すなわち、モータ7の駆動により油圧シリンダ5によるハンドル操作力に対するアシスト力が決定される。
【0017】
前記コントロールユニット8は、前記継ぎ手2の途中に設けられたトルクセンサ9からトルクセンサ信号Vtを入力し、かつ、前記モータ7に設けられた位相検出手段としてのポジションセンサ71からセンサ信号Ssを入力して、位相推定を行うとともに、モータ7への通電を制御するもので、特許請求の範囲の位相推定手段並びに通電制御手段に相当する。
なお、前記ポジションセンサ71は、従来技術で説明したように、図示を省略した3つのホールセンサを備え、各ホールセンサは、それぞれモータ7の図外のロータの位相が180°変化するごとにセンサ信号SsのHi/Loが切り替わるとともに、それぞれの位相が120°ずれたホールセンサ信号Hs1,Hs2,Hs3を出力する構成となっている。
また、図1において、Thはハンドルトルク、θhは舵角、Xsはラックストローク、Tpはピニオンギアトルク、θpはピニオンギア角度、Fpsはアシスト反力、Vtはトルクセンサ信号、Imu,Imv,Imwは(U相、V相、W相に向けた)電流指令値、Vmu,Vmv,Vmwは(U相、V相、W相に向けた)モータ駆動指令電圧、Tmはモータトルク、θmはモータ位相、θSmはモータ位相推定値、Δθは制御サイクルごとの位相変化量推定値、Ppl,Pprはポンプ吐出圧力である。
【0018】
次に、図2はコントロールユニット8およびモータ駆動回路72を示す回路図である。
すなわち、前記コントロールユニット8には、トルク検出手段としてのトルクセンサ9からの信号に応じて検出トルクが大きくなると高くなるように基準電流指令値Im0を演算する電流指令値演算器81が設けられている。また、ポジションセンサ71からの入力に基づいて後述のように図外のロータの角速度を推定する角速度推定器82およびロータの位相を推定する位相推定器83が設けられている。さらに、モータ7に出力されるモータ駆動指令電流を検出する電流検出器84が設けられている。
そして、前記電流指令値演算器81,角速度推定器82,位相推定器83,電流検出器84からの信号に基づいて電流制御器85がモータ駆動回路72に制御信号(電流指令値Im)を出力する構成となっている。
【0019】
また、モータ駆動回路72は、モータ7に設けられており、入力された電流指令値ImによりPWM電流信号を発生させるPWM発生器73を備え、U相、V相、W相の各相に向けてベクトル制御用のモータ駆動指令電流を供給する構成となっている。
【0020】
次に、図3はコントロールユニット8の角速度推定器82によるモータ7の角速度推定および位相推定器83による位相推定の処理流れを示すフローチャートであって、これは特許請求の範囲の位相推定手段による位相推定の処理流れを示すものである。
このフローチャートにより説明する前に、位相推定方法について説明する。
図8に基づいて前述したように、ポジションセンサ71からの各ホールセンサ信号Hs1,Hs2,Hs3のHi/Loの切り替わりに基づいて得られるポジション信号Psによりポジションセンサ71はロータの位相を60°ごとに検出することができる。
したがって、ポジション信号Psが得られるたびに、その絶対値に基づいて、後述する推定位相値θSmを現在のロータ位相(実位相)に更新する。この更新はポジション信号Psが入力されるたびに割り込み処理で実行されるもので、これを本明細書では、補正処理と称し、この補正を実行する部分が位相補正手段である。
【0021】
それに対して、ポジション信号Ps(n)が入力されてから次のポジション信号Ps(n+1)に切り替わるまでの間は、切り替わり間隔時間Δt(n)の測定に基づいて位相の推定を行う。この推定は、図9により説明したとおり、前回の切り替わり間隔時間Δt1に基づいて、角速度推定器82により前回角速度ω1を求め、この前回角速度ω1に基づいて、今回の時間経過とともに、モータ位置の推定を行う。
【0022】
次に、この図3のフローチャートを説明する。
この図3のフローチャートに示す処理は、ポジション信号Ps(n)が入力されるたびに実行される。
まず、ステップ101では、モータ7が正回転であるか否かを判断し、正回転時にはステップ102に進み、逆回転であればステップ107に進む。
なお、このモータ7の回転方向は、本実施の形態では、電流検出器84が検出するモータ駆動指令電流により検出するようにしているが、図外の舵角センサが検出するハンドル舵角θhにより検出することもできる。
【0023】
次に、ステップ102では、位相推定値θSmを演算する。
なお、この演算は、位相推定値θSmの前回値に制御サイクルごとの位相変化量Δθを加えることで求める。
すなわち、図9においてポジション信号Ps2とPs3の間の区間を例にとり説明すると、まず、ポジション信号Ps2が得られた時間で、モータ位置の絶対値(この場合、60°)が得られる。そして、この位置60°からの位相変化量Δθは、前回の切り替わり時間に基づいて得られた前回角速度ω1に制御サイクル時間(この例では、0.25secとする)を乗じることで得られる。したがって、最初の位相変化量Δθ1は、ω1×0.25secで得られる。
そして、次の制御サイクルが経過すれば、Δθ2=ω1×0.25×2となり、n回の制御サイクル経過後の位相変化量Δθn=ω1×0.25×nとなる。
よって、位相推定値θSmは、最初は切り替わり時の位相絶対値(この場合、60°)に位相変化量Δθ1を加えて求め、次回からは位相推定値θSmの前回値に、位相変化量Δθnを加えることで得られる。
【0024】
次のステップ103では、位相推定値θSmが、切り替わり時の位相絶対値に60°(deg)を加えた値以上となったか否か判断し、この値に達しない場合にはステップ102に戻って位相推定値θSmを演算し、一方、この値に達した場合には、ステップ104に進む。
すなわち、ステップ102において位相推定値θSmが得られるたびに、ステップ103に進んで、位相推定値θSmが、次回のポジション信号が得られる位相(上述の図Bの例では、位相推定値θSmが次回のポジション信号Ps3が得られる位相である120°)を超えてないか判断するもので、位相推定値θSmが次回のポジション信号が得られる位相となるまで、このステップ102と103の処理を繰り返す。
【0025】
次の、ステップ104では、位相推定値θSmが次回のポジション信号Psが得られる位相となっているのに、次回のポジション信号Psが得られない場合であり、位相推定値θSmが実位相に対して先行する方向のズレが発生していることを示す。従って、このステップ104の判断を行う部分が、特許請求の範囲の位相ズレ検出手段に相当する。
【0026】
次に、ステップ105,106の処理は、ステップ102,103の処理に対して逆方向(数値としてマイナスとして現れる方向)に変位した場合の流れであって、考え方はステップ102,103と同様であるので簡単に説明する。
ステップ105では、位相推定値θSmを、前回の位相推定値θSmから制御サイクルごとの位相変化量Δθnを差し引くことで求めることができる。
すなわち、位相推定値θSmは、最初は切り替わり時の位相絶対値から位相変化量Δθ1を差し引いて求め、次回からは位相推定値θSmの前回値から位相変化量Δθnを差し引くことで得られる。
【0027】
次のステップ106では、位相推定値θSmが、切り替わり時の位相絶対値から60°を差し引いた値以下となったか否か判断し、この値以下にならない場合にはステップ105に戻って位相推定値θSmを演算し、一方、この値以下になった場合には、ステップ104に進んで、位相ズレ判断処理を実行する。
【0028】
以上説明した図3のフローチャートに示す処理は、前述したようにポジション信号Psが入力されるたびに実行されるものである。
したがって、実位相に対して位相推定値θSmが先行した場合に、ステップ104の位相ズレ判断処理が実行され、逆に、位相推定値θSmに対して実位相が先行した場合には、位相推定値θSmが次回のポジション信号Psが入力されたときの絶対値に達する前に、この次回のポジション信号Psが入力されて、前述の推定位相値θSmを実位相とする補正処理が成される。
【0029】
次に、本実施の形態の特徴である電流下げ処理について図4のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ201では、トルク検出手段としてのトルクセンサ9のトルク信号Vtを読み込み、次のステップ202では、基準電流指令値Im0を演算する。
このステップ201および202の処理は電流指令値演算器81により行う。
【0030】
次のステップ203では、位相ズレ発生か否か判断し、位相ズレ発生の場合にはステップ204に進み、位相ズレが発生していない場合にはステップ209に進む。なお、この位相ズレの判断は、前述の図3のステップ104の判断処理結果に基づいて行うものである。
【0031】
次のステップ204では、モータ7の逆転が成されていないか否かを判断し、逆転が成されていない場合にはステップ205に進み、逆転が成された場合にはステップ209に進む。すなわち、操舵方向が逆転されてモータ7が逆転された場合、それまでのトルク検出値に基づく後述の電流下げ処理は不要となるため、このような判断を実行する。あるいは、アシスト力不足によりモータ7が逆転された場合も、後述の電流下げ処理を実行すると、よりアシスト力不足となるため、この判断を実行する。
なお、このモータ7の逆転判断は、ポジション信号Psに基づいて成される。これを前述の図9により説明すると、所定の回転角の絶対値を示すポジション信号Ps1→Ps2と進む正転が成されているときに、ポジション信号Ps2の次にポジション信号Ps3が入力されれば、モータ7は逆転されずに正転を続けていると判断できるが、ポジション信号Ps2が入力された後に、再びポジション信号Ps2が入力された場合には、モータ7は、途中から逆転したと判断することができる。本実施の形態では、このように、次にポジション信号Psが入力された時点で、モータ7の逆転を判断するものである。
【0032】
次に、ステップ205では、トルク信号Vtの絶対値の増加量が、後述のステップ208により実行される電流下げ処理の開始から設定値(ΔVtlim)未満であるか否か判断し、設定値未満であればステップ206に進み、設定値(ΔVtlim)を超えた場合にはステップ209に進む。すなわち、このステップ205では、後述の電流下げ処理によるアシスト力不足を防止するため、電流下げ処理を開始した後、検出トルクの絶対値の増加量が設定値(ΔVtlim)を超えた場合には、電流下げ処理を実行しないようにしてアシスト力不足を防止している。
【0033】
次のステップ206では、トルク信号Vtの絶対値が減少から増加に転じたか否か判断し、減少から増加に転じた場合にはステップ209に進み、減少から増加に転じない場合にはステップ207に進む。すなわち、このステップ206では、電流下げ処理の終了判断を行っているもので、トルク信号Vtが減少から増加に転じたときに、終了と判断してステップ209に進み、この終了判断が成されない場合には、ステップ207および208の電流下げ処理に進む。
【0034】
ステップ207では、電流下げ率Kの演算を行う。すなわち、K=Kidとする。このKidとして、本実施の形態では、予め設定した固定値を用いるものとするが、この他に、トルク信号Vtの絶対値や、電流検出器84が検出する電流値に応じて決定するようにしてもよいし、あるいは、前述のステップ104による位相判断からの経過時間に基づいて決定するようにしてもよい。
続くステップ208では、基準電流指令値Im0に電流下げ率Kを乗じて基準電流指令値Im0よりも低い電流指令値Imを形成する電流下げ処理を実行する。
【0035】
ステップ209では、電流指令値設定処理を行う。この電流指令値設定処理では、前記電流指令値演算器81により設定された基準電流指令値Im0をそのまま電流指令値Imとする。
【0036】
次に、実施の形態1の作用について説明する。
まず、位相推定値θSmが実位相に先行する位相ズレが発生しない場合、すなわち、位相推定値θSmが実位相に対して遅れた場合、および位相推定値θSmと実位相とが一致している場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップ104に進む前に割り込み絶対値補正が成されて、位相ズレ判断が成されない。
したがって、図4の電流下げフローチャートにおいて、ステップ201→202矢印203→209の流れとなって、通常のアシスト制御が実行される。
【0037】
次に、位相推定値θSmが実位相に先行する位相ズレが発生した場合の作動例を、図5のタイムチャートにより説明する。なお、この作動例では、ハンドル1を正転方向に回動させているものとする。
区間(a)においてハンドル1を切り込み、その後の区間(b)において実線で示す位相推定値θSmが点線で示す実位相に対して先行する位相ズレが発生すると、アシスト力不足によりトルク信号Vtが上昇する。このトルク信号Vtの増加に対応して、電流指令値演算部81が電流指令値Imを上昇させる。
このように、区間(b)において位相ズレが生じた場合、図のt1の時点において、位相推定値θSmが、切り替わり時(PS1入力時)の位相絶対値に60°を加えた値に達するため、図3の位相推定フローでステップ101→102→103→104の流れとなり、位相ズレ判断が成される。そして、次のポジション信号Ps2が入力された時点、すなわち、区間(c)の開始時点で、ハンドル1が正転を続けていてモータ7の逆転が無いことが判断されるため、図4のフローチャートにおいて、ステップ203→204→205の流れとなる。また、この時点では、トルク信号Vtの変化量は制限値Vtlim未満であるとともに、トルクが減少から増加に転じていないことから、ステップ205→206→207の流れとなって、電流下げ率Kを演算した後、電流下げ処理を実行する。
この電流下げ処理により、区間(c)では、電流指令値が、点線で示すトルク信号Vtに基づく値よりも、実線で示すように低く出力される。
これにより、ハンドル1の反力を示すトルク信号Vtは、図において点線で示す電流下げ処理を実行していない場合に比べて、同図において実線で示すように、過剰なアシストが抑えられて、ねらいとする値に近い値となる。
【0038】
また、上述の電流下げ処理は、トルク信号Vtの絶対値が減少から増加に転じた時点t2において、ステップ206→209の流れとなって終了される。このステップ209では、電流指令値演算器81においてトルク信号Vtに基づいて演算された電流指令値Im0をそのまま電流指令値Imとする処理が成される。このように、トルク信号Vtが再び増加を始めた時点で電流下げ処理を終了することにより、ねらいとする値への高い収束性が得られる。
【0039】
以上のように、電流下げ処理を実行するとともに、この電流下げ処理を的確な時期に終了することにより、トルク値Vtをねらいとする値へ収束させることが可能となり、従来のような位相ズレおよび絶対値補正を原因とした過剰アシストによる反力のハンチングを防止することができ、操舵者に違和感を与えないようにすることができる。
【0040】
また、電流下げ処理を実行した場合、トルクセンサ9が検出するトルク信号Vtに対する適正値よりも電流を下げるため、アシスト力が低下する。このアシスト力の低下により上述のように、過剰なアシストを抑制するのであるが、万一、電流下げ処理によりアシスト力不足となった場合、以下のようにして電流下げ処理が終了されて、アシスト力不足を解消することができる。
すなわち、電流下げ処理を開始してからトルクが増加した場合、その値が設定値ΔVtlimを超えると、ステップ201〜205→209の処理となって、通常のアシスト制御に戻る。また、トルク不足によりモータ7が逆転した場合は、ステップ201〜204→209の処理となって、同様に、通常のアシスト制御に戻る。
【0041】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2のブラシレスモータ制御装置について説明する。この実施の形態2も、電動油圧パワーステアリング装置に適用している。
この実施の形態2は、位相推定を実行するにあたり、位相ズレが発生したときに位相推定値戻し処理を実行するようにした例である。
【0042】
図6はコントロールユニット8の角速度推定器82によるモータ7の角速度推定および位相推定器83による位相推定の処理流れを示すフローチャートであって、実施の形態1と共通する処理については、実施の形態1と同じステップ番号を付けて説明を省略する。
ステップ103においてYesと判断された場合に進むステップ304では、位相ズレ判断を行うのに加えて、位相推定値戻し処理を実行する。
この位相推定値戻し処理は、位相推定値θSmを、切り替わり時の位相絶対値に60°を加えた値、(上述の絶対値60°から120°までの推定にあっては、120°がこれに相当する)から、戻し変化量Δθmを差し引く処理である。なお、この戻し変化量Δθmは、本実施の形態では、上述のステップ102と同様に、前回角速度ωに基づいて得られた値と制御サイクル時間とを乗じて得られた値(Δθn)を用いるものとするが、これに限られず、予め設定した値を用いてもよい。
【0043】
次のステップ305では、ステップ304の位相推定値戻し処理で得られた位相推定値θSmが切り替わり時の位相絶対値(上記の例では60°)に30°を加えた値(すなわち、上述の絶対値60°から120°までの推定における1/2となる中間値であり、以下、この値を中間値と称する)以下になったか否か判断し、この中間値以下になっていなければステップ304に戻ってさらに位相推定値戻し処理を行い、前記中間値以下となればステップ306に進む。
そして、このステップ306では、位相推定値θSmを、切り替わり時の位相絶対値(上記の例では60°)に30°を加えた値に固定する処理を行う。
すなわち、ステップ103の時点で、次に得られるはずの位相絶対値(上記の例では120°)に一旦達していた位相推定値θSmは、ステップ304〜306の処理により、切り替わり時の位相絶対値(上記の例では60°)に30°を加えた値(上記の例では90°)に向けて戻され、最終的には、この切り替わり時の位相絶対値(上記の例では60°)に30°を加えた値に固定される。
【0044】
次に、ステップ307〜309の処理は、ステップ304〜306の処理に対して逆方向(数値としてマイナスとして現れる方向)に変位した場合の流れであって、考え方はステップ304〜306と同様であるので簡単に説明する。
ステップ307では、位相ズレ判断を行うとともに、位相推定値θSmを、切り替わり時の位相絶対値から60°を差し引いた値に、戻し変化量Δθmを加える処理である、位相推定値戻し処理を実行する。この場合も、この戻し変化量Δθmは、上述のステップ304と同様に、角速度推定値ωに基づいて得られた値と制御サイクル時間とを乗じて得られた値を用いてもよいし、あるいは予め設定した値を用いてもよい。
【0045】
次のステップ308では、ステップ307の位相推定値戻し処理で得られた位相推定値θSmが切り替わり時の位相絶対値から30°を差し引いた値以上になったか否か判断し、この値以上になっていなければステップ307に戻ってさらに位相推定値戻し処理を行い、前記値以上となればステップ309に進む。
そして、このステップ309では、位相推定値θSmを、切り替わり時の位相絶対値から30°を差し引いた値に固定する処理を行う。
【0046】
以上説明した図6のフローチャートに示す処理は、前述したようにポジション信号Psが入力されるたびに、割り込み処理されるものである。
したがって、実位相に対して位相推定値θSmが先行した場合に、ステップ304および307の以降の位相推定値戻し処理が実行され、また、この位相推定値戻し処理を実行している場合でも、前記中間値に達する前の時点で次回のポジション信号が入力されれば、次回の絶対値補正処理に進む。
すなわち、図9において前回の切り替わり間隔時間Δt1よりも今回の切り替わり間隔時間Δt2が長い場合、角速度推定値ω1に基づいて得られる位相推定値θSmは、次のポジション信号Ps3が入力される前に、このポジション信号Ps3が入力されたときの絶対値(120°)に達する。よって、このような場合に、位相推定値戻し処理が実行されることになる。
【0047】
一方、ポジション信号Ps3が入力された後のように、切り替わり間隔時間Δt3がその前の切り替わり間隔時間Δt2よりも短い場合には、実位相が位相推定値θSmに対して先行して、この位相推定値θSmが、その次のポジション信号Ps4が入力されたときの絶対値(180°)に達する前に、ポジション信号Ps4が入力され、次回の割り込み処理により、改めて絶対値180°からの推定として成されることになる。
【0048】
次に、実施の形態2の作用について説明する。
図7は、位相推定値戻し処理ならびに電流下げ処理を実行した場合の作動例を示すタイムチャートである。なお、これらのタイムチャートに示す作動例では、ハンドルを+方向に切っている。
図では、区間(a)においてハンドルを切り込み、このとき負荷の変動などにより実角速度が減速した結果、次の区間(b)において、図9の区間(Ps2−Ps3)のように実際の変位に対して位相推定値の方が進んで位相ズレが生じた場合を示している。
区間(b)において、実位相と位相推定値との位相のズレにより、位相推定値θSmが切り替わり時の位相絶対値+60°となった時点(t11)で、次のポジション信号(Ps12)が発生していない場合、ステップ101→102→103→304(左右逆の場合は、ステップ101→105→106→307)の処理に基づいて位相推定値戻し処理を実行し、位相推定値θSmが減少することになる。また、この減少は、位相推定値θSmが、切り替わり時の位相絶対値に30°を加えた値(これを中間値とする)となった時点で終了し、この中間値に維持する。
このように、位相推定値θSmを中間値まで戻す結果、図の区間(b)では、位相推定値θSmは、点線で示す実位相に近づいた後、実位相をクロスして実位相よりも小さな値となっている。なお、位相推定値θSmが戻し制御により最大に戻された場合、30°の中間値に達する。
【0049】
以上のように、この図7の例では、位相推定値θSmは、最終的に実位相を超えて実位相よりも小さな値となるが、必ず、トルク効率が良いポイント、すなわち、位相推定値θSmと実位相とが一致するポイントをクロスしてから最大で前記中間値に達するものであり、かつ、この中間値というのは次の切り替わりタイミングのモータ位相に対して、従来の120°通電法と同等のトルクが得られるようになっている。すなわち、次のポジション信号Ps12が入力される絶対値から30°戻した中間位置というのは、実位相に対してプラス側マイナス側のいずれの方向に最大限にずれても、そのズレ角度が30°となる。したがって、そのトルク出力は、cos30°(≒0.87)倍のトルクが得られるもので、これは、従来技術において最大に位相がずれた場合であるcos60°(=1/2)倍に比べて効率的にトルクを得ることができる。
【0050】
このため、実施の形態1のように位相推定値θSmを次のポジション信号Ps12が入力されるときの絶対値に保つ場合に比べて、トルク信号Vtが小さな値となるとともに、電流指令値も小さな値となり、従来のようなアシスト力不足を防ぐことができる。これにより、従来のような過電流の発生が防止される。
【0051】
その後、図5の区間(c)に示すように、ポジション信号Ps12が入力されると、実位相が得られた時点で、位相推定値戻し処理を終了するとともに、実施の形態1と同様に、電流下げ処理を開始する。
【0052】
ここで、この実施の形態2では、ステップ207の電流下げ率Kの演算を実行するにあたり、実位相と位相推定値θSmとのズレを演算し、このズレ量に基づいてこの電流下げ率Kを演算している。
このように区間(c)において電流下げ処理を実行した結果、実施の形態1よりもさらに過剰アシストによる反力のハンチングを防止することができ、操舵者に違和感を与えないようにすることができる。
なお、実施の形態1と同様に、トルク信号Vtが減少から増加に転じた時点t12で、電流下げ処理を終了する。
【0053】
以上のように、実施の形態2では、位相検出手段として、60°刻みで検出する安価なホールセンサを用いながら、位相推定値戻し処理を実行することにより実位相と位相推定値とのズレ幅を従来よりも小さく抑えることを可能とすることができ、かつ、電流下げ処理を実行することにより、過剰なアシストを防止することができる。これにより、安価な構成でありながら従来よりも効率の良い駆動を行うことができるとともに、パワーステアリング装置におけるトルク変動を抑えて、トルク制御品質の向上を図ることができる。
【0054】
(別の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、以下のような別の実施形態に具体化することができる。以下の別の実施の形態において、上記実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
例えば、実施の形態では、本発明のブラシレスモータ制御装置をパワーステアリング装置に適用した例を示したが、要は、ホールセンサによりモータ位相を検出しながら通電を制御し、かつ、操作部材のトルク検出値に基づいて電流指令値の高低を制御する装置であれば、物を移動させる運搬装置などのような他の装置にも適用することができる。
また、入力部材に入力される主操作力として、人の操作力を例に挙げたが、この主操作力として人力に限られず、他の動力源の動力が入力される構成であってもよい。
また、実施の形態では、ブラシレスモータ7はポンプ6の駆動源であり、入力部材に対するアシスト力は、油圧シリンダ5により発生するようにした構成を示したが、モータ7の駆動力が直接あるいは減速器を介して間接的に入力部材に入力させる構成としてもよい。
また、位相推定値戻し制御において、実施の形態では、次のポジション信号が入力される絶対値から30°戻した中間位置に戻すようにしたが、これをどこまで戻すかは、これに限られず、実施の形態で示した中間値よりも次のポジション信号が得られたときの絶対値に近い値に設定してもよい。
また、実施の形態では、位相検出手段として、ホールセンサにより60°刻みでロータ位相を検出する手段を示したが、この角度は60°に限定されない。
【0055】
(請求項以外の技術思想)
さらに、上記実施の形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
【0056】
イ)請求項1に記載のブラシレスモータ制御装置において、
前記操作部材は、車両のハンドルから前輪へ向けて駆動伝達を行う操舵部材であり、
前記ブラシレスモータの駆動により、操舵部材に対してアシスト力が作用する構成であり、
前記トルク検出手段は、操舵反力を検出する手段であることを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
したがって、本発明のブラシレスモータ制御装置は、車両の操舵力をアシストするいわゆるパワーステアリング装置として作動するものであり、位相ズレ発生時に過剰アシストによりトルク変動が生じると操舵者に違和感を与えるが、本発明では、このようなトルク変動を抑えて、操舵者にトルク変動による違和感を与えない装置を提供することができる。
【0057】
ロ)請求項1またはイに記載のブラシレスモータ制御装置において、
前記通電制御手段は、電流下げ処理の開始後、検出トルクの絶対値が減少から増加に転じた時点で電流下げ処理を終了する構成としたことを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
このように、検出トルクが減少から増加に転じた時点で電流下げ処理を終了することで、ねらいとする値に対するモータによるアシストトルクの収束性を高めることができる。
【0058】
ハ)請求項1またはイまたはロに記載のブラシレスモータ制御装置において、前記通電制御手段は、位相ズレが検出されても、その後、モータが逆転されたときには、電流下げ処理を実行しない構成としたことを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
すなわち、操舵方向が逆転されてモータが逆転された場合、それまでのトルク検出値に基づく電流下げ処理は不要となるために、電流下げ処理を実行しないようにする。
あるいは、アシスト力不足によりモータが逆転されることもあり、このような場合に、電流下げ処理を実行すると、アシスト力不足を助長する。そこで、このような場合には、電流下げ処理を実行しないことで、アシスト力不足が助長されるのを防止するようにした。
【0059】
ニ)請求項1またはイまたはロまたはハに記載のブラシレスモータ制御装置において、
前記通電制御手段は、電流下げ処理の開始後、検出トルクの絶対値増加方向への変化量が所定値未満である場合には、電流下げ処理を終了する構成としたことを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
すなわち、電流下げ処理を実行した場合、モータの駆動によるアシスト力が低下する。そこで、この電流下げ処理によりアシスト力不足となるのを防止するために、電流下げ処理を開始した後、検出トルクの絶対値の増加量が設定値を超えた場合には、アシスト力不足であると判断できるから、電流下げ処理を実行しないようにしてアシスト力不足を防止することができる。
【0060】
ホ)請求項1またはイまたはロまたはハまたはニに記載のブラシレスモータ制御装置において、
前記通電制御手段は、位相推定値と実位相とのズレ幅を求め、このズレ幅が大きいほど電流下げ率を大きくし、ズレ幅が小さいほど電流下げ率を小さくする電流下げ率決定処理を実行する構成としたことを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
したがって、位相のズレ幅に応じた電流下げ量とすることができ、これにより位相ズレ幅に応じて過剰アシストを的確に防止して、トルク変動をより高い精度で抑えることができる。
【0061】
ヘ)請求項1またはイまたはロまたはハまたはニまたはホに記載のブラシレスモータ制御装置において、
前記位相推定手段は、位相推定値が前記次回検出位相に相当する値に達しているのに位相検出手段による次回検出位相の検出が成されない場合には、位相推定値を次回検出位相から今回検出位相側に所定量戻す位相推定値戻し処理を実行する構成であることを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
したがって、位相推定値が実位相に先行する位相ズレが生じた場合、位相推定値戻し処理により、推定位相値が実位相に近づき、その結果、位相ズレを原因としたモータの出力トルク不足を軽減できる。
したがって、電流下げ制御との相乗効果により、過剰アシストによるトルク変動をいっそう防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態1のブラシレスモータ制御装置を適用したパワーステアリング装置を示す全体システム図である。
【図2】実施の形態1のコントロールユニット8およびモータ駆動回路72を示す回路図である。
【図3】実施の形態1における位相推定および位相ズレ検出の処理流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における電流戻し処理の処理流れを示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1において電流下げ処理を実行した場合の作動例を示すタイムチャートである。
【図6】実施の形態2における位相推定および位相戻し処理の処理流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2において電流下げ処理を実行した場合の作動例を示すタイムチャートである。
【図8】ホールセンサによる検出状態および通電状態を示す説明図である。
【図9】位相推定の説明図である。
【符号の説明】
7 ブラシレスモータ
8 コントロールユニット(位相推定手段、通電制御手段)
9 トルクセンサ(トルク検出手段)
71 ポジションセンサ(位相検出手段)

Claims (1)

  1. 主操作力が入力される入力部材と、
    この入力部材に対してアシスト用のトルクを作用させる作動を実行するとともに3相のコイルを有したブラシレスモータと、
    このブラシレスモータのロータの位相を所定角度刻みで検出する位相検出手段と、
    この位相検出手段の検出ならびに時間経過に基づいてロータの位相を推定する手段であって、位相検出手段が前回検出した位相である前回検出位相から今回検出した位相である今回検出位相に変位するのに要した時間から前回角速度を求め、前記今回検出位相から次回検出される次回検出位相の間でロータが前回角速度で回転していると見なして位相推定値を求める位相推定手段と、
    前記位相検出手段がロータの位相を検出するたびに、位相推定値を検出値に補正する位相補正手段と、
    前記入力部材に作用する反力を検出するトルク検出手段と、
    この位相推定手段による推定ならびに前記位相検出手段の検出に基づいて、ロータの位相に効率的な正弦波でコイルへ通電する制御を実行するとともに、このコイルに対する電流指令値を前記トルク検出手段が検出するトルクに応じて変化させる通電制御手段と、
    を備えたブラシレスモータ制御装置において、
    前記位相推定値が実位相に対して進む方向の位相ズレを検出する位相ズレ検出手段を設け、
    前記通電制御手段を、位相ズレ検出手段が前記位相ズレを検出したときに、電流指令値を通常のトルクに応じた値である基準電流指令値に対して低下させる電流下げ処理を実行する構成としたことを特徴とするブラシレスモータ制御装置。
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