JP3833762B2 - エンジンシミュレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御用コンピュータによって電子的に制御される自動車用エンジンなどのエンジンシミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図8に示すように、自動車用のエンジン1では制御用コンピュータ2によって総合的な制御が行われ、出力、燃費、ドライバビリティおよび信頼性等の向上が図られている。制御用コンピュータ2は、ECUと略称されることもあり、空気量センサ3、O2センサ4、スロットルセンサ5、水温センサ6、吸気温センサ7あるいはノックセンサ8などからの信号に基づいてエンジン1の制御を行う。エンジン1の制御は、マイクロコンピュータ10のプログラム動作によって行われ、入力回路(アナログ)11から各センサのアナログデータを入力し、ADコンバータ12によってデジタル値に変換する。マイクロコンピュータ10による処理結果は、出力回路13からエンジン1に与えられる。マイクロコンピュータ10には、さらに入力回路(デジタル)14を介して、デジタルデータも入力される。マイクロコンピュータ10は、中央処理装置(以下、「CPU」と略称する)15、読出し専用メモリ(以下、「ROM」と略称する)16、ランダムアクセスメモリ(以下、「RAM」と略称する)17および入出力回路(以下、「I/O」と略称する)18を含む。
【0003】
制御用コンピュータ2によって制御されるエンジン1の構成要素として、点火のためのイグナイタ20、燃料噴射のためのインジェクタ21およびISCと略称されるアイドル回転数制御のためのISCバルブ22が含まれる。点火や燃料噴射は、エンジンの回転角を基準として行う必要があるので、エンジン1にはクランク軸の回転角が所定角になっているか否かを検出する回転角センサ23が設けられる。回転角センサ23からの出力は、入力回路(デジタル)14を介してマイクロコンピュータ10に与えられる。入力回路(デジタル)14には、さらに各種のスイッチ(以下、「SW」と略称する)からの信号も入力される。これらの信号には、スタータSW25、エアコンSW26、ニュートラルSW27が含まれる。
【0004】
図8に示すような制御用コンピュータ2の開発や調整の際に、必ずしも実際に作動するエンジン1を使用することができない場合もある。たとえば、エンジン1が開発中であり、制御用コンピュータ2の開発も並行して行われているような場合や、制御用コンピュータ2を多量に量産する場合などである。完成しているエンジン1を使用することができる場合であっても、エンジンの特性を変更する必要も生じる場合がある。したがって、エンジン1の制御用コンピュータ2の開発や調整の際には、エンジン1の動作を疑似的に行うエンジンシミュレータが用いられる。
【0005】
図9は、従来技術によるエンジンシミュレータの概略的な構成を示す。エンジンシミュレータは、ホストコンピュータ30のプログラム動作によって実現される。ホストコンピュータ30内には、基準信号発生手段31、点火期間計測手段32、噴射時間計測手段33がソフトウエアによって形成される。基準信号発生手段31は、エンジン回転数の演算結果に基づき、点火や燃料噴射のタイミングの基準となる基準信号やクランク角信号を発生する。点火期間計測手段32は、制御用コンピュータ2からの点火信号と基準信号発生手段31からの基準信号に基づいて、点火時期の計測を行う。噴射時間計測手段33は、制御用コンピュータ2からの噴射信号と基準信号発生手段31からの基準信号とに基づき、噴射時間の計測を行う。点火期間計測手段32が計測する点火期間は、時間値として計測される。エンジンのシミュレーションに利用される点火期間は、クランク角が基準となるので、時間値をエンジン回転数に基づいてクランク角に変換する必要がある。
【0006】
エンジンシミュレータでは、計測される点火進角に基づき、点火時期が異常であるか正常であるかの判断も行う。たとえば図10に示すような点火異常検出手段34を含むホストコンピュータ35では、基準信号発生手段31からの基準信号の立下りで示される気筒の上死点からの位相差を一旦時間として計測する。点火異常検出手段34では、計測された時間値をクランク角に変換し、点火信号が所定のクランク角範囲で発生しているか否かを判断する。所定のクランク角範囲は、基準信号の前後に設けられ、この範囲に入らない点火抜けや点火多発などの異常が生じているか否かを判定する。
【0007】
図9や図10に示すホストコンピュータ30,35によるエンジンのシミュレーションは、図11に示すようなエンジンモデルによって行われる。エンジンモデル40では、スロットル41、噴射量42、点火進角43およびスタータ44からのデータが入力される。吸入空気量算出手段45では、スロットル41の開度に基づいて吸入空気量を算出する。A/F演算手段46では、燃料の噴射量42に基づいて、空気と燃料との比率であってA/Fと略称される空燃比の演算を行う。ノック算出手段47は、点火進角43に基づき、点火が適切なタイミングで行われずにノッキングが発生するか否かを算出する。吸入空気量算出手段45の算出結果に基づき、基本トルク演算手段48は基本トルクを演算する。A/Fトルク演算手段49は、A/F演算手段46の演算値に基づいて、A/Fトルクを演算する。ノックトルク演算手段50は、ノック算出手段47の算出結果に基づいて、ノックトルクを演算する。基本トルク演算手段48、A/Fトルク演算手段49およびノックトルク演算手段50の出力は、積算手段51で掛け合わされる。積算手段51の出力は、加算手段52でスタータ44からの出力と加算される。加算手段52の出力は、エンジン回転数演算手段53に入力され、エンジン回転数が算出される。エンジン回転数演算手段53の演算結果は、吸入空気量算出手段45、A/F演算手段46、ノック算出手段47および基本トルク演算手段48にフィードバックされる。A/F演算手段46では、気筒が複数あっても、気筒別に噴射量を演算することはなく、その時点の噴射量より全体的な空燃比を演算しているだけである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示すようなホストコンピュータ30によるエンジンシミュレータでは、点火信号および噴射信号の計測に伴って次のような処理を行っている。
【0009】
▲1▼基準信号の計測
▲2▼点火信号の計測
▲3▼噴射信号の計測
▲4▼点火信号の角度変換
▲5▼点火時期の気筒割り振り
▲6▼噴射量の気筒割り振り
特に▲1▼の基準信号の処理では、基準信号から点火時期が求められる。また▲5▼の点火時期の気筒振り分け、▲6▼の噴射量の気筒振り分けが行われるため、▲4▼の点火信号の角度変換には即時性が求められる。このためホストコンピュータ30の処理に負担がかかっている。
【0010】
また図10に示すようにして点火異常を検出する構成では、基準信号および点火信号の2つの信号の位相差を計測していることになるので、一方の信号異常が発生し、たとえば点火抜けや点火多発となると、計測値が異常となる。位相差を計測した上で異常か否かを判断する必要があるので、計測装置側に負担がかかってしまう。
【0011】
図11に示すようなエンジンモデル40に基づくシミュレーションでは、空燃比の計算を気筒別に行わず、その時点の噴射量に従って行っているので、気筒別にシミュレーションを行うことができず、最終的なシミュレーションの精度も低くなってしまう。
【0012】
本発明の目的は、エンジンシミュレーション用のソフトウエアの負担を軽減し、精度のよいシミュレーションや異常検出が可能となるエンジンシミュレータを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生されるエンジン点火時期を示す点火信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する角度換算手段と、
前記基準信号および前記角度信号に基づいて、点火が許可されるクランク角の範囲で点火許可信号を発生する許可信号発生手段と、
前記点火信号を許可信号と比較し、点火信号が許可信号の発生期間内に発生されているか否かに従って、点火が正常であるか異常であるかを判定する判定手段とを含むことを特徴とするエンジンシミュレータである。
本発明に従えば、クランク角信号発生手段から予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号が角度信号として発生される。角度換算手段は、エンジン制御用コンピュータから発生されるエンジン点火時期を示す点火信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する。角度信号は予め定めるクランク角度変化毎に発生するパルスであるので、その数がクランク角度に対応する。したがってエンジン点火時期を計測して回転数に基づいてクランク角に換算する処理が不要となるので、ホストコンピュータの負担が軽減されシミュレーションの精度向上などを図ることができる。また許可信号発生手段から発生される点火許可信号に基づいて点火信号の有無を判別し、点火許可信号の発生中に点火信号が発生していれば正常であり、点火許可信号の発生中の期間から時間的にずれて点火信号が発生しているときには、点火異常と判断することができる。
【0017】
また本発明は、クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生される燃料噴射時期を示す噴射信号を含む制御信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する角度換算手段と、
前記基準信号および前記角度信号に基づいて、吸気バルブの開放時期を示す吸気バルブ信号を発生する吸気信号発生手段と、
噴射信号および吸気バルブ信号が共に発生されている期間を、燃料の供給が行われる時間として計測する噴射時間計測手段とをさらに含むことを特徴とするエンジンシミュレータである。
本発明に従えば、クランク角信号発生手段から予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号が角度信号として発生される。角度換算手段は、エンジン制御用コンピュータから発生される燃料噴射時期を示す噴射信号を含む制御信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する。角度信号は予め定めるクランク角度変化毎に発生するパルスであるので、その数がクランク角度に対応する。したがって燃料噴射時期を計測して回転数に基づいてクランク角に換算する処理が不要となるので、ホストコンピュータの負担が軽減されシミュレーションの精度向上などを図ることができる。またインジェクタなどによる燃料の供給のための噴射と、吸気バルブの開放とを組合わせ、エンジンへの燃料の供給時間を噴射時間として計測することができる。
【0018】
また本発明は、クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生される燃料噴射時期を示す噴射信号を含む制御信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する角度換算手段と、
前記ホストコンピュータはシミュレーションに基づいて吸気バルブの開放時期を示す吸気バルブ信号を発生し、噴射信号および吸気バルブ信号が共に発生されている期間を、燃料の供給が行われる時間として計測する噴射時間計測手段をさらに含むことを特徴とするエンジンシミュレータである。
本発明に従えば、クランク角信号発生手段から予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号が角度信号として発生される。角度換算手段は、エンジン制御用コンピュータから発生される燃料噴射時期を示す噴射信号を含む制御信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する。角度信号は予め定めるクランク角度変化毎に発生するパルスであるので、その数がクランク角度に対応する。したがって燃焼噴射時期を計測して回転数に基づいてクランク角に換算する処理が不要となるので、ホストコンピュータの負担が軽減されシミュレーションの精度向上などを図ることができる。また噴射入力を気筒別に振り分けるハードウエアを用いるので、ホストコンピュータの負荷を軽減し、シミュレーションの精度を向上することができる。
【0019】
また本発明は、シミュレーションを行うエンジンは複数の気筒を有し、前記吸気バルブ信号は気筒毎に異なるタイミングで発生され、吸気バルブ信号および前記噴射信号に基づいて、前記噴射時間計測手段の計測時間を気筒別に振り分け、各気筒毎の噴射時間に基づいて燃料噴射量を算出する気筒別噴射量算出手段を備えることを特徴とする。
本発明に従えば、エンジンの吸気バルブのタイミングをホストコンピュータによるソフトウエアで発生し、噴射入力を気筒別に振り分けてエンジンのシミュレーションを精度よく行うことができる。
また本発明は、クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生される点火信号に基づく点火時期を計測する点火時期計測手段であって、点火信号に基づく点火時期計測用信号の立上りから立下りまでの期間に、クランク角信号発生手段から発生された角度信号のパルスを計数して点火時期をクランク角度に換算し、点火時期を計測する点火時期計測手段とを含むことを特徴とするエンジンシミュレータである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態のエンジンシミュレータの概略的な構成を示す。エンジンシミュレータ61は、制御用コンピュータ62に対してエンジンのシミュレーションを行うために、ホストコンピュータ63、クランク角信号発生回路64、角度換算回路65、転送回路66、点火許可信号発生回路67、判定回路68、吸気バルブ信号発生回路69、噴射時間計測回路70および時刻信号発生回路71を含む。
【0021】
図2は、図1のクランク角信号発生回路64、角度換算回路65および噴射時間計測回路70の基本的な動作を示す。クランク角信号発生回路64では、ホストコンピュータ63から発生される基準信号および回転数を表すデータに基づいて、一定のクランク角毎にパルスとして発生される角度信号、角度信号よりは大きなクランク角変化毎に発生される複数のクランク角信号、クランク角が基準位置にあることを示す基準信号などを発生する。さらに点火許可信号および吸気バルブ信号も、気筒毎に異なるタイミングで発生する。
【0022】
角度換算回路65では、制御用コンピュータ62から入力される点火信号の立下り時点を、その気筒に対する点火許可信号の立上り時点から角度信号を計数することによって計測する。各気筒毎の計測結果は、点火許可信号の立下り時点でホストコンピュータ63に転送される。ホストコンピュータ63では、計測値が転送されるタイミングでどの気筒に対する点火時期を表すデータであるかを判別することができ、複数の気筒を有するエンジンのシミュレーション精度の向上を図ることができる。
【0023】
噴射時間計測回路70では、図1の時刻信号発生回路71から一定の時間間隔で発生される時刻信号を、制御用コンピュータ62からの噴射信号とクランク角信号発生回路64からの吸気バルブ信号とに基づいて計数する。すなわち、吸気バルブ信号と噴射信号とがともに立上っている期間が燃料噴射期間であり、簡単な論理演算で気筒毎に噴射期間の振り分けを行うことができる。
【0024】
図3は、図2の動作を行う図1に示す角度換算回路65の動作原理を示す。点火信号に基づく点火時期計測用信号がハイレベルの期間に角度信号を計測すれば、点火時期計測用信号の立上り時点から立下り時点までのクランク角度を直接計測することができる。たとえば角度信号の1パルスが1°に相当すると、点火時期計測用信号との論理積を取ることによって、点火時期に対応する信号が得られる。この信号のパルス数を計数することによって、点火時期を直接角度換算して計測することができ、ホストコンピュータでの角度変換処理を不要にすることができる。
【0025】
図4は、図1の判定回路68の動作原理を(a)で、論理的構成の一例を(b)でそれぞれ示す。UP/DOWNカウンタ73は、点火許可信号の立上りでカウントUPし、点火信号の立下りでカウントDOWNする。UP/DOWNカウンタ73の計数値であるCOUNTを比較器74で0と比較する。比較器74が比較を行うタイミングは、NORゲート75の出力がハイレベルになるタイミングである。NORゲート75の出力がハイレベルになるタイミングは、点火許可信号および点火信号がともにローレベルとなるときである。このときにUP/DOWNカウンタ73の計数値COUNTが0となっていなければ、点火異常と判断される。たとえば点火抜けの場合には、点火許可信号の立上りでUP/DOWNカウンタの計数値が増加しても、点火信号の立下りが与えられないので、計数値COUNTは+となる。点火許可信号がハイレベルでない期間に点火信号が入力されるときには、UP/DOWNカウンタには点火信号の立下り時点でのカウントDOWNのみが行われるので、計数値COUNTは−となる。
【0026】
図5は、図1のホストコンピュータ63によるシミュレーションのためのエンジンモデル80の構成を示す。本実施形態では、複数、たとえば4つの気筒を有するエンジンに対し、各気筒別に#1噴射総量81、#2噴射総量82、#3噴射総量83、#4噴射総量84が与えられる。A/F演算手段86は、各気筒別の噴射量計測値に基づいて空燃比の演算を行うので、演算精度の向上を図ることができる。また、この演算結果を利用するA/Fトルク演算手段の演算精度も向上する。エンジンモデル80の他の構成要素を、図11に示す従来のエンジンモデル40と同等とすると、このエンジンモデル80では気筒別にA/Fの演算を行う必要があるので、ホストコンピュータ63の負担は増加する。しかしながら、クランク角変換や気筒振分け処理に対する負担が大幅に軽減されているので、全体としては同等の負担で、より精度の高いシミュレーションを行うことができる。
【0027】
図6は、図5に示す#1〜4の噴射総量81〜84を計測する基本的な考え方を示す。エンジンの回転数に対応する周期で、クランク角の30度ずつの変化を示す30度信号と、各気筒の上死点のタイミングに対応するクランク角180度毎の基準信号に基づいて、各気筒毎の吸気バルブ信号が発生される。各気筒の吸気タイミング波形は、基準信号の立下がりの前60度から後240度までの範囲でハイレベルとなり、吸気バルブが開いていることを示す。各気筒別の噴射総量は、噴射入力が立上がると一定の勾配で増加し、対応する気筒の吸気バルブ信号が立下がって閉になる時点の計測値を噴射総量として読込み、図5のA/F演算手段86に転送し、計測値を0にリセットして初期化する。噴射入力が立下がると、計測値はその時点での値を保持する。各噴射総量の計測は、たとえば、一定時間毎に発生するクロック信号をカウンタで計数するようなハードウェアによって、容易に実現することができる。
【0028】
図7は、図6に示す各気筒別の噴射量の計測を、ホストコンピュータ63によるソフトウェアで行う場合の処理を示す。ステップa0から処理を開始し、ステップa10では1番目の気筒についのタイミングであるか否かをクランク角に基づいて判断する。1番目の気筒のタイミングであれば、ステップa11で吸気バルブが閉じているタイミングであるか否かを判断する。閉じていないタイミングであれば、ステップa12で噴射入力があるか否かを判断する。噴射入力があれば、ステップa13で噴射量の累計を行う。ステップa11で吸気バルブが閉じているタイミングであると判断されるときは、ステップa14で噴射累計値をエンジンモデル側に転送する。次にステップa15で、噴射累計値を0に初期化しする。ステップa12で噴射入力が無いと判断されるとき、またはステップa13,a15が終了したとき、さらにはステップa20,a30,a40,…で、2番目、3番目、4番目などについての同様な処理が終了したとき、ステップa50で、1回の処理を終了する。このような処理を、短時間のサイクルタイムで繰返し、精度の良い気筒振分けを行うことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、制御用コンピュータから発生される制御信号の発生時期を、クランク角に変換して計測することができるので、ホストコンピュータの負荷を軽くしてシミュレーションの精度向上を図ることができる。また点火時期が正常であるか異常であるかの判定を容易に行うことができる。
【0033】
また本発明によれば、燃料噴射量を吸気バルブのタイミングも考慮して算出することができるので、正確な燃料噴射量に基づくシミュレーションの精度向上を図ることができる。
【0034】
また本発明によれば、ハードウエアで吸気バルブタイミングを発生するので、ホストコンピュータの負担を軽減し、気筒別の燃料噴射量の振り分けを精度よくシミュレーションすることができる。
【0035】
また本発明によれば、ホストコンピュータのソフトウエアで気筒別の燃料噴射量振り分けを容易に行い、エンジンのシミュレーション精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の基本的な動作を示す波形図である。
【図3】 図1の角度換算回路65の動作原理を示す波形図である。
【図4】図1の判定回路68の動作原理を示す波形図、および一例の論理回路図である。
【図5】図1のホストコンピュータ63によってシミュレーションが行われるエンジンモデル80の構成を示すブロック図である。
【図6】図5のエンジンモデル80に入力する噴射総量の計測原理を示す波形図である。
【図7】図6に示す各気筒別の噴射量の計測を、ホストコンピュータ63によるソフトウェアで行う場合の処理を示すフローチャートである。
【図8】従来からのエンジンの電子制御のための構成を示すブロック図である。
【図9】図8のエンジンのシミュレーションをおこなうエンジンシミュレータの構成を示すブロック図である。
【図10】従来からの点火異常検出の原理を示す波形図である。
【図11】図9または図10のホストコンピュータ30,35によるエンジンモデルの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
61 エンジンシミュレータ
62 制御用コンピュータ
63 ホストコンピュータ
64 クランク角信号発生回路
65 角度換算回路
66 転送回路
67 点火許可信号発生回路
68 判定回路
69 吸気バルブ信号発生回路
70 噴射時間計測回路
71 時刻信号発生回路
80 エンジンモデル
Claims (5)
- クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生されるエンジン点火時期を示す点火信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する角度換算手段と、
前記基準信号および前記角度信号に基づいて、点火が許可されるクランク角の範囲で点火許可信号を発生する許可信号発生手段と、
前記点火信号を許可信号と比較し、点火信号が許可信号の発生期間内に発生されているか否かに従って、点火が正常であるか異常であるかを判定する判定手段とを含むことを特徴とするエンジンシミュレータ。 - クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生される燃料噴射時期を示す噴射信号を含む制御信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する角度換算手段と、
前記基準信号および前記角度信号に基づいて、吸気バルブの開放時期を示す吸気バルブ信号を発生する吸気信号発生手段と、
噴射信号および吸気バルブ信号が共に発生されている期間を、燃料の供給が行われる時間として計測する噴射時間計測手段とをさらに含むことを特徴とするエンジンシミュレータ。 - クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生される燃料噴射時期を示す噴射信号を含む制御信号のタイミングを、クランク角信号発生手段からの角度信号のパルスを計数してクランク角度に換算する角度換算手段と、
前記ホストコンピュータはシミュレーションに基づいて吸気バルブの開放時期を示す吸気バルブ信号を発生し、噴射信号および吸気バルブ信号が共に発生されている期間を、燃料の供給が行われる時間として計測する噴射時間計測手段をさらに含むことを特徴とするエンジンシミュレータ。 - シミュレーションを行うエンジンは複数の気筒を有し、
前記吸気バルブ信号は気筒毎に異なるタイミングで発生され、
吸気バルブ信号および前記噴射信号に基づいて、前記噴射時間計測手段の計測時間を気 筒別に振り分け、各気筒毎の噴射時間に基づいて燃料噴射量を算出する気筒別噴射量算出手段を備えることを特徴とする請求項2または3記載のエンジンシミュレータ。 - クランク角信号を用いてエンジン制御用コンピュータのシミュレーションを行うエンジンシミュレータにおいて、
予め設定されるプログラムに従ってエンジンの動作についての時間系処理を行い、エンジンの回転に対応する回転信号と、クランク角が基準となる時点を示す基準信号とを導出するホストコンピュータと、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、予め定めるクランク角度変化毎にパルス信号を角度信号として発生するクランク角信号発生手段と、
ホストコンピュータからの回転信号と基準信号とに基づいて、エンジン制御用コンピュータから発生される点火信号に基づく点火時期を計測する点火時期計測手段であって、点火信号に基づく点火時期計測用信号の立上りから立下りまでの期間に、クランク角信号発生手段から発生された角度信号のパルスを計数して点火時期をクランク角度に換算し、点火時期を計測する点火時期計測手段とを含むことを特徴とするエンジンシミュレータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01156997A JP3833762B2 (ja) | 1997-01-24 | 1997-01-24 | エンジンシミュレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01156997A JP3833762B2 (ja) | 1997-01-24 | 1997-01-24 | エンジンシミュレータ |
Publications (2)
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