JP3833408B2 - 排気管用シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに結合される一対の分割排気管の両筒状連結端部を互いに差し込み結合している部位をシールリングでシールする排気管用シール装置に関し、特に、シールリングによるシール性の向上を図るのに好適な排気管用シール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は高温高圧の排ガスを排気管や排ガス後処理装置を通過させることにより低温化及び低圧化して大気中に放出している。ここで用いる排気管は耐熱耐圧性を考慮して金属パイプで形成されており、これがレイアウト上あるいは取付作業性の制約を受ける場合、あるいは、金属パイプの温度変化による伸縮に対処する必要がある場合、複数の分割排気管は長手方向の長さ変位を吸収可能に連結される必要がある。このように排気管が互いに結合される複数の分割排気管で形成される場合、車体側への装着時には各分割排気管の連結端部は互いに差し込み結合されると共にシール装置によって同部の気密性が確保されることとなる。
【0003】
このように互いに結合される一対の分割排気管の連結部に用いられるシール装置として、例えば図9に示すものが知られている。このシール装置は一対の分割排気管110,120の内の一方の筒状大端部130とこれに差し込まれる他方の筒状小端部140との間をシールリング150でシールしている。シールリング160は各分割排気管の筒状端部130,140の共通軸線Lの方向に単一あるいは複数個(図9では一つ)が配設される。このシールリング150はその内周端を筒状小端部140の環状凹溝160に嵌着し、外周端を筒状大端部130の内壁面に当接する。排気路Rより環状凹溝160に漏れてくる排ガス圧力をシールリング150が受けると、その一側壁面が両筒状端部の共通軸線Lの方向への排ガスの圧力P1を受け、低壁面が拡径方向への排ガスの圧力P2を受け、これにより、シールリング150の他側壁面が環状凹溝160の内側面に圧接され、シールリング150の外周端縁が筒状大端部130の内壁面に圧接され、これにより排ガスの大気側への漏れを防止している。
【0004】
しかし、環状凹溝160に漏れてきた排ガスのガス圧は比較的低く、シールリング150と環状凹溝160の内側面や筒状大端部130の内壁面との間の圧接状態を十分に保持するだけの押圧力を確保できず、シール性が低いという問題があった。そこで、シールリング150の低壁面に拡径付勢された弾性リング(図9に2点鎖線で示す)Sを当接し、シールリング150を筒状大端部130の内壁面に確実に圧接し、シール性を確保するものが知られており、その一例が特公平6−60572号公報に従来例として開示される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように拡径方向に弾性変位可能な弾性リングSを用いた場合、シールリング150と筒状大端部130の内壁面との間のシール性は確保されるが、シールリング150と環状凹溝160の内側面との間のシール性は確保できない。そこで、特公平6−60572号公報には、拡径方向に弾性変位可能なエキスパンダーリングを用い、同リングが当接するシールリングの低壁面を傾斜させ、この傾斜低壁面がエキスパンダーリングより受けた拡径方向の弾性力を分割し、即ち、両筒状連結端部の共通軸線方向への分力を生じさせ、これによりシールリングを環状凹溝の側面に押圧するようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、エキスパンダーリングが生じる共通軸線方向の分力の分割機能は比較的低く、シールリングと環状凹溝の側面との間のシール性を十分に確保できる分力の発生は困難である。特に、エキスパンダーリングの傾斜低壁面が経時劣化すると、この傾斜低壁面のエキスパンダーリングが当接する部位が経時的に凹変形し易く、この状態に陥ると、共通軸線方向への分力の発生機能がより低下し、シール性がより低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、一対の分割排気管の両筒状端部を互いに差し込み結合している部位を確実にシール性良くシールできる排気管用シール装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、互いに結合される一方の分割排気管の筒状大端部に他方の分割排気管の筒状小端部を差し込み、これらの間をシールするシールリングを、上記筒状小端部の外壁面の環状凹溝に嵌着し、その外周縁が上記筒状大端部の内壁面に当接する様にした排気管用シール装置で、あって、上記両筒状端部の共通軸線方向に弾性的に圧縮変形される軸方向弾性押圧部材が嵌着され、上記軸方向弾性押圧部材の左右側面は上記共通軸線の垂直平面に対し所定の傾斜角を保持し、上記環状凹溝内でその外周縁の一側端がシールリングに当接し、内周縁の一側端が環状凹溝の一方の内側壁に当接するようにしている。
ここでシールリングは筒状大端部の内壁面に当接し、しかも、圧縮変形した軸方向弾性押圧部材が環状凹溝内でその外周縁の一側端がシールリングに当接し、内周縁の一側端が環状凹溝の一方の内側壁に当接することで、シールリングを両筒状端部の共通軸線方向に押圧し、環状凹溝の内側面に圧接するので、排ガスが環状凹溝の内側面とシールリングとの環状隙間より大気側に漏れることを確実に防止でき、シール性の向上を図れる。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1記載の排気管用シール装置において、上記シールリングは円周方向の一部が切断され拡径方向に弾性変位可能に形成されていることを特徴とする。
この場合、筒状大端部の内壁面とシールリングの外周縁の間のシール性をシールリングが強化し、環状凹溝の内側面とシールリングとの間のシール性を軸方向弾性押圧部材が強化するので、全体のシール性を十分に向上できる。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1記載の排気管用シール装置において、上記軸方向弾性押圧部材は弾性的に縮径変形可能に形成されその半径方向の断面に断面剛性を低下させる凹状切り込みを形成され、且つ、縮径変形して半径方向断面を共通軸線方向に傾けて上記環状隙間に嵌着されることを特徴とする。
この場合、軸方向弾性押圧部材は半径方向断面に凹状切り込みを形成して、半径方向断面の共通軸線方向における左右の断面剛性に偏差を持たせ、縮径変形した際に、この左右の断面剛性の偏差に応じて半径方向断面を共通軸線方向に傾けて同方向の幅を増加させ、その状態で環状凹溝の環状隙間に嵌着される。このため、軸方向弾性押圧部材はシールリングを共通軸線方向に弾性的に押圧でき、排ガスが環状凹溝の内側面とシールリングとの環状隙間より大気側に漏れることを確実に防止でき、シール性の向上を図れる。
【0011】
請求項4の発明では、請求項1記載の排気管用シール装置において、上記軸方向弾性押圧部材は切欠部を有する皿ばねであることを特徴とする。
この場合、環状凹溝の皿ばね嵌着用の環状隙間を比較的小さくでき、レイアウト的な自由度を増すことができ、特に、両筒状端部の共通軸線方向にシールリングを多段に配設する構成を採る場合に、スペース確保が比較的容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の適用された排気管用シール装置を示した。
この排気管用シール装置Aは図示しないエンジンの排気路Rを形成する2分割式の排気分岐管の連結部Jに装着され、この連結部Jより排ガスGが大気側に漏れることを防止するように構成されている。
この排気分岐管を成す一方の第1分割排気管1と他方の第2分割排気管2はそれぞれの分岐枝部側(図示せず)が図示しないエンジン本体側に一体的に結合され、連結部Jにおいて互いがずれなく差し込み結合される。なお、図1に示す連結部Jにおいて、排ガスGは第1分割排気管1側より第2分割排気管2側に流動するものとする。
【0013】
第1分割排気管1は連結端に筒状小端部3とそれに続く環状の鍔部4を形成される。筒状小端部3の外壁面f1には環状凹溝5が形成され、同部にはシールリング6及び軸方向弾性押圧部材としてのバックアップリング7が嵌着される。第2分割排気管2は連結端に筒状大端部8とそれに続く環状段部9を形成される。筒状大端部8はその内壁面f2が筒状小端部3の外壁面f1と隙間tを介し対向するように形成される。
【0014】
環状凹溝5に嵌着されるシールリング6は切欠部aを有するリングとして鋳造等により製造され、矩形断面を有し、その矩形断面の左右側面は共通軸線Lの垂直平面に沿うように形状され、その外周縁は環状平面に形成され、同部は筒状大端部8の内壁面f2に当接するように形成される。シールリング6は環状凹溝5に嵌着され、一対の突合せ端601を突合せるように弾性的に縮径変形され、その外周縁が筒状大端部8の内壁面f2に当接する状態を保持する。この状態において、シールリング6はその外周縁が筒状大端部8の内壁面f2に拡径方向の弾性復帰力F2を加え、これにより、同部のシール性を確保する。なお、シールリング6は熱へたりにより、張力が低下することを防止することが望ましく、即ち、半径方向への弾性変位特性を高温雰囲気下にされられても耐久性良く保持することが望ましく、ここでは素材として、JIS SUS 440B等の耐熱性材料が使用される。
【0015】
環状凹溝5にシールリング6と共に嵌着されるバックアップリング7は各第1分割排気管1,2の両筒状端部3,8の共通軸線Lの方向に圧縮変形された上で環状凹溝5の内側面とシールリング6との隙間幅eの環状隙間に嵌着され、弾性復帰に伴う軸方向押圧力F1をシールリング6に加えるように構成されている。
【0016】
バックアップリング7は切欠部bを有するリングとしてシールリング6と同様の耐熱性材料で鋳造等により製造される。図1に示すように、バックアップリング7は共通軸線Lの垂直平面に対し所定の傾斜角(図1の角度αより大きな角)を保つ左右側面を有した傾斜矩形断面のリングとして製造される。これは一対の突合せ端701,701を突合せ弾性的に縮径変位され、しかも、共通軸線Lの方向に圧縮変形された状態、即ち、共通軸線Lの垂直平面に対し所定の傾斜角αを保って環状凹溝5に嵌着される。この環状凹溝5に嵌着された状態において、バックアップリング7はその外径が筒状大端部8の内壁面f2における内径に近似するように設定される。バックアップリング7は環状凹溝5内でその外周縁の一側端がシールリング6に当接し、内周縁の一側端が環状凹溝5の一方の内側壁に当接し、これによりバックアップリング7はシールリング6を環状凹溝5の他方の内側壁に軸方向押圧力F1で押圧し、同部のシール性を確保している。
【0017】
このような排気管用シール装置Aを用いての一対の第1第2分割排気管1,2の連結部Jにおける連結処理作業を説明する。
まず、第1分割排気管1の筒状小端部3の環状凹溝5にシールリング6を嵌着し、一対の突合せ端601,601を突合せ状態に保持し、次いでバックアップリング7を嵌着し、一対の突合せ端701,701を突合せ状態に保持しする。この際、バックアップリング7は、共通軸線Lの方向の隙間幅e相当に圧縮変形され、傾斜矩形断面が共通軸線Lの垂直平面に対し傾斜角αを保つ状態でシールリング6と環状凹溝5の一方の内側面間に押し込み嵌挿される。
次に、筒状小端部3に第2分割排気管2の筒状大端部8が外嵌される。この際、バックアップリング7及びシールリング6は縮径方向に弾性変形され、これによって両リングの外周端縁が筒状大端部8の内壁面f2内に嵌挿される。
【0018】
このようにして一対の分割排気管1,2の連結部Jにおける連結処理が完了した後、一対の分割排気管1,2のそれぞれの分岐枝部側(図示せず)が図示しないエンジン本体側に一体的に結合され、これにより連結部Jにおける差し込み結合状態がずれなく保持される。このような、結合状態において筒状大端部8と筒状小端部3間には隙間tが確保され、この隙間tにより、一対の分割排気管1,2の温度変化による長手方向の長さ変位を吸収可能としている。
【0019】
このような連結部Jにおいて筒状大端部8と筒状小端部3の隙間tを経て環状凹部5に排ガスが流入するとする。この際、シールリング6はその一方の側面でバックアップリング7の軸方向押圧力F1と排ガス圧力P1を受け、確実にシールリング6の他側面を環状凹溝5の他方の内側面に圧接し、同部のシール性を十分に確保できる。更に、シールリング6は自身の拡径方向の弾性復帰力F2と底壁面で拡径方向の排ガス圧力P2を受け、確実にシールリング6の外周縁を筒状大端部8の内壁面f2に圧接し、同部のシール性を十分に確保でき、確実に排ガスが連結部Jより漏れることを防止できる。特に、シールリング6自体が筒状大端部8の内壁面f2へ圧接する弾性復帰力F2を発揮し、バックアップリング7がシールリング6を環状凹溝5の内側面に圧接する軸方向押圧力F1を発揮するので、各押圧力が安定して加わり、バックアップリング7及びシールリング6が熱へたりにより張力を低下することを比較的防止でき、シールリング6のシール力を耐久性良く、確実に保持できる。
図1、図2に示した排気管用シール装置Aで用いたバックアップリング7は所定の傾斜角αを保つ左右側面を有した傾斜矩形断面のリングであったが、これに代えて、図3に示すようなバックアップリング7aを用いても良い。
【0020】
ここで連結部Jに配備されるバックアップリング7aは図1のバックアップリング7と同様の素材で形成され、図4(a)に2点鎖線で示すように、切欠部bを有するリングとして、特に、内周端側に凹状切り込みcを形成した変形矩形断面を有するリングとして製造される。バックアップリング7aは、図4(a)に2点鎖線で示す自由状態より、実線で示す縮径状態に変位され、この際、一対の突合せ端701a,701aが突合される。特に、このバックアップリング7aは自由状態において、その変形矩形断面が共通軸線Lの垂直平面に沿う左右側面を有しているが、凹状切り込みcがこの変形矩形断面の左右の断面剛性の不釣合を設定していることより、これが縮径状態に変位された際に、凹状切り込みcのある側(図4(b)において左側)の断面剛性が反対側より小さいことより、この凹状切り込みc3側の圧縮変位量が大きくなり、実線で示すように変形矩形断面が傾き、共通軸線Lの方向の幅がB1よりB2に拡大する。
【0021】
なお、バックアップリング7aの変形矩形断面の自由状態での縮径変位時の幅B2は環状凹溝5の一方の内側面とシールリング6の隙間幅e1より大きく設定されている。このため、バックアップリング7aが縮径状態に変位され共通軸線Lの方向の幅がB2より小さく圧縮されて環状凹溝5にシールリング6と共に押し込められたセット状態において、バックアップリング7aはその外周端縁が共通軸線Lの方向の弾性的な軸方向押圧力F1’をシールリング6に加えることができる。
図3に示すようなバックアップリング7aを用いた場合も、図1のバックアップリング7を用いた場合と同様の作用効果を得られ、特に、共通軸線Lの垂直平面に沿う左右側面を有した変形矩形断面のバックアップリング7aは自由状態で傾斜角αの傾斜矩形断面を有する図1のバックアップリング7に比べて製造が容易化される。
【0022】
図5(a)、(b)には図3のバックアップリング7aの変形例を示した。
ここで連結部Jに配備されるバックアップリング7bはその内周端側に傾斜切欠c1を形成した変形矩形断面を有し、これにより左右の断面剛性の不釣合を設定している。この場合も、バックアップリング7bは傾斜切欠c1のある側の断面剛性が反対側より小さいことより実線で示す自由状態より、2点鎖線で示す縮径状態に変位して変形矩形断面が傾き、共通軸線Lの方向の幅がB3よりB4に拡大する。この場合もバックアップリング7bはその外周端縁が弾性的な軸方向押圧力F1’をシールリング6に加えることができ、図3のバックアップリング7aと同様の作用効果を得られる。
【0023】
図3のバックアップリング7aはその変形矩形断面の内周縁側に凹状切り込みcを有していたが、これに代えて、図6(a)、(b)に示すような各変形矩形断面を有するバックアップリング7c,7dを用いても良い。
ここで、図6(a)に示すバックアップリング7cはその外周側に凹状切り込みc2を形成した変形矩形断面を有している。この場合、凹状切り込みc2を有した図中右側域が左側域より断面剛性が低く、この凹状切り込みc2側の延び変形量が比較的大きくなり、変形矩形断面が2点鎖線で示す自由状態より実線で示す縮径状態に傾き、共通軸線Lの方向の幅がB5よりB6に拡大する。この場合もバックアップリング7cはその外周端縁が弾性的な軸方向押圧力F1’をシールリング6に加えることができ、図3のバックアップリング7aと同様の作用効果を得ることができる。
【0024】
図6(b)に示すバックアップリング7dはその内外両方の周側部に凹状切り込みc3をそれぞれ形成し、特に内側の凹状切り込みc3が大きく設定された変形矩形断面を有している。この場合、図中左側域が右側域より断面剛性が低く、内側の凹状切り込みc3回りの圧縮変位量が大きくなり、縮径変位された際に凹状切り込みc3のある側の圧縮変形が比較的大きくなり、変形矩形断面が2点鎖線で示す自由状態より実線で示す縮径状態に傾き、共通軸線Lの方向の幅がB7よりB8に拡大する。この場合もバックアップリング7dはその外周端縁が弾性的な軸方向押圧力F1’をシールリング6に加えることができ、図3のバックアップリング7aと同様の作用効果を得ることができる。
【0025】
図1の排気管用シール装置Aは軸方向弾性押圧部材としてのバックアップリング7等を用い、シールリング6に対して軸方向押圧力F1等を付与していたが、これに代えて、図7(a)、(b)に示すような皿ばね12を用いて軸方向押圧力F1”を付与しても良い。図7(a)、(b)の皿ばね12は、その内周縁側に多数のスリット121を形成され、共通軸線L(図1参照)の方向の弾性変形を容易化され、周方向の一部に切欠部122を形成され、環状凹溝5への嵌着を可能としている。
【0026】
これら皿ばね12を連結部Jに設けた場合も、図1のバックアップリング7を用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。特に、皿ばね12を用いた場合、環状凹溝5における皿ばね12装着用の溝幅e2を比較的小さくでき、レイアウト上の自由度を大きくでき、例えば、共通軸線L(図1参照)の方向にシールリングおよび皿ばねを嵌着する環状凹溝を複数多段に配設し、シール性をより強化するような場合に特に有効となる。
【0027】
図1の排気管用シール装置Aは2分割式の排気分岐管の連結部Jに装着されるものとして説明したが、その他の図示しない排気路構成配管部に同様に連結部を設けた場合にも同連結部に本発明の適用された排気管用シール装置を装備でき、この場合も図1の排気管用シール装置Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、シールリングが筒状大端部の内壁面に当接し、しかも、圧縮変形した軸方向弾性押圧部材が環状凹溝内でその外周縁の一側端がシールリングに当接し、内周縁の一側端が環状凹溝の一方の内側壁に当接することで、シールリングを両筒状端部の共通軸線方向に押圧し環状凹溝の内側面に圧接するので、排ガスが環状凹溝の内側面とシールリングとの隙間より大気側に漏れることを確実に防止でき、シール性の向上を図れる。
【0029】
請求項2の発明では、特に、筒状大端部の内壁面とシールリングの外周縁の間のシール性をシールリングが強化し、環状凹溝の内側面とシールリングとの間のシール性を軸方向弾性押圧部材が強化するので、全体のシール性を十分に向上できる。
【0030】
請求項3の発明では、特に、半径方向断面に凹状切り込みを形成して左右の断面剛性に偏差を持たせ、縮径変形した際に半径方向断面を共通軸線方向に傾けて同方向の幅を増加させ、その状態で環状凹溝の環状隙間に嵌着するので、軸方向弾性押圧部材はシールリングを共通軸線方向に弾性的に押圧でき、排ガスが環状凹溝の内側面とシールリングとの環状隙間より大気側に漏れることを確実に防止でき、シール性の向上を図れる。
【0031】
請求項4の発明では、特に、環状凹溝の皿ばね嵌着用の隙間を比較的小さくでき、レイアウト的な自由度を増すことができ、特に、両筒状端部の共通軸線方向にシールリングを多段に配設する構成を採る場合に、スペース確保が比較的容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例としての排気管用シール装置の要部断面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態例としての排気管用シール装置の要部断面図である。
【図4】図3の排気管用シール装置で用いるバックアップリングを示し、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態例としての排気管用シール装置を示し、(a)は同装置の要部断面図、(b)は同装置内のバックアップリングの縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態例としての排気管用シール装置で用いるバックアップリングの要部断面を示し、(a)は第1変形例、(b)は第2変形例である。
【図7】本発明の他の実施形態例としての排気管用シール装置を示し、(a)は同装置の要部断面図、(b)は同装置内の皿ばねの正面図である。
【図8】 従来の排気管用シール装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 第1分割排気管
2 第2分割排気管
3 筒状小端部
5 環状凹溝
6 シールリング
7 バックアップリング
8 筒状大端部
f1 筒状小端部の外壁面
f2 筒状大端部の内壁面
t 隙間
A 排気管用シール装置
J 連結部
L 共通軸線
Claims (4)
- 互いに結合される一方の分割排気管の筒状大端部に他方の分割排気管の筒状小端部を差し込み、上記筒状小端部の外壁面の環状凹溝に上記筒状大端部の内壁面に外周縁が当接するシールリングを嵌着した排気管用シール装置において、
上記環状凹溝の内側面と上記シールリングとの環状隙間に上記両筒状端部の共通軸線方向に弾性的に圧縮変形された軸方向弾性押圧部材が嵌着され、上記軸方向弾性押圧部材の左右側面は上記共通軸線の垂直平面に対し所定の傾斜角を保持し、上記環状凹溝内でその外周縁の一側端がシールリングに当接し、内周縁の一側端が環状凹溝の一方の内側壁に当接したことを特徴とする排気管用シール装置。 - 上記シールリングは弾性的に縮径変形可能に形成されて上記環状凹溝に嵌着されることを特徴とする請求項1記載の排気管用シール装置。
- 上記軸方向弾性押圧部材は弾性的に縮径変形可能に形成されその半径方向の断面に断面剛性を低下させる凹状切り込みを形成され、且つ、縮径変形して半径方向断面を共通軸線方向に傾けて上記環状隙間に嵌着される請求項1記載の排気管用シール装置。
- 上記軸方向弾性押圧部材は切欠部を有する皿ばねであることを特徴とする請求項1記載の排気管用シール装置。
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