本発明は、デジタル複合機を代表とする画像処理装置に関し、特に透かし検出機能及び透かし付与機能を有する画像処理装置において、透かしを有するデータの処理を円滑に行うことができる画像処理装置に関する。
現在、特に企業においては、ファクシミリ装置だけでなく、複写機、イメージスキャナ、プリンタ等の事務処理機器の設置スペースを減らすために、前記の複数の機能を一体に備えた多機能複合機(以下、「MFP」という。)が使用されるようになってきた。このMFPは、ファクシミリ機能のみでなく、複写機能、イメージ入力機能、外部記憶機能、プリンタ機能等を備え、更にはローカルエリアネットワーク(LAN)等により複数のコンピュータ(PC)やサーバ等に接続されている場合もあり、加えてソータ、ステープル止め機能、2つ折り機能等を備えている場合もある。そして、MFP内部では、通常一旦受信ないしは入力されたデータはメモリに蓄積され、その後に印字出力やデータ転送等の出力処理が行われている。
一方、これらのMFPにおいて、用紙切れ、印字出力部における紙詰まり等の異常状態が発生した場合には、その異常状態が解消されない限り、いずれメモリのオーバーフローが発生してしまい、通信不能となってしまう。そのため、特にファクシミリ装置、あるいはファクシミリ機能を有するMFPにおいては、メモリオーバーフローの問題点を解決するために、一旦メモリに蓄積した受信データを別のファクシミリ装置あるいはファクシミリ機能を有するMFP等に転送するようになすことで、受信データの損失をなくすようにしている。例えばこのような転送機能を使ったメモリオーバーフローを解消することができる装置の例として、下記特許文献1にメモリ転送機能付きファクシミリ装置が開示されている。そこで、まず、この特許文献1に開示されているメモリ転送機能付きファクシミリ装置の具体例の一つを図4〜6を用いて説明する。
図4はこの特許文献1に開示されているメモリ転送機能付きファクシミリ装置の第1の具体例の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS51で発信元のファクシミリ装置から着信有りか否かを判断し、着信有りと判断された場合には、ステップS52で通信制御手順に基づいて受信した発信端末識別信号TSIから発信元の名称、端末番号等を検出して、メモリに記憶するとともに、プリンタ部で印字出力可能か否かを判断する。すなわち、用紙切れ、プリンタ部における紙詰まり等が発生しておらず、受信したファクシミリデータを正常に用紙に印字出力できる状態にあるか否かを判断する。
ステップS52で印字出力できると判断された場合には、ステップS53で、発信元のファクシミリ装置から発信されてくるファクシミリデータを通信制御手順に基づいて順次受信し、受信したファクシミリデータをメモリに蓄積し、次に、メモリに蓄積したファクシミリデータを符号化・復号化した後に、プリンタ部で用紙に印字出力し、処理を終了する。
一方、ステップS52で印字出力できないと判断された場合には、ステップS54で発信元のファクシミリ装置から発信されてくるファクシミリデータを通信制御手順に基づいて順次受信してメモリに蓄積し、発信元のファクシミリ装置から発信されてくるファクシミリデータを全て受信した後に、切断命令信号DCNを発信して通信を一旦終了する。
次に、ステップS55で、予め記憶されている転送先の端末番号を読み出し、この転送先の端末番号に基づいて通信回線に発呼し、通信回線が閉結した後にメモリに蓄積したファクシミリデータを転送先に転送すると共に転送先に図5(a)に示されているようなメッセージ(事情説明文書1)を発信して転送である旨を通知し、転送先のファクシミリ装置に印字出力させるとともに、転送したファクシミリデータをメモリから削除する。なお、図5(a)に示されるメッセージ(事情説明文書1)には転送文書である旨、転送元及び転送元の端末番号等が記載されている。
次いで、ステップS56で、ステップS52で検出した発信元の名称、端末番号等に基づいて通信回線に発呼する。通信回線が閉結した後に、図5(b)に示されるようなメッセージ(事情説明文書2)を発信して、ファクシミリの発信元にファクシミリデータを転送した旨を通知する。なお、図5(b)に示されるメッセージ(事情説明文書2)には転送した旨の通知、転送先の名称、端末番号等が記載されている。
また、図6はこの特許文献1に開示されているメモリ転送機能付きファクシミリ装置の第2の具体例の動作を示すフローチャートである。ここでは前記図4で示したステップと同様のものについては説明を省略してある。
この例では、ステップS64でメモリを画像メモリ部に蓄積させたのち、ステップS66で転送を行う基準として、ユーザの設定したメモリ転送を自動で開始するメモリ残量の限界値をRAMに記憶させておき、ステップS65において、そのメモリ自動転送を開始するメモリ残量限界値とメモリ部の空き容量をCPUによって比べ、メモリ残量限界値に空き容量が達していない場合は転送を行わずに終了し、メモリ残量限界値に空き容量が達していればステップS66で転送を開始するようになされている。
このように、特許文献1に開示されている画像処理装置においては、印字できない異常が検出された場合に、一旦受信したファクシミリデータをメモリに記憶した後、検出されたメモリの空き容量を予め定めた所定のメモリ残量の限界値と比較し、所定の限界値未満であると判断された場合に、予め記憶されている転送先のファクシミリ装置へメモリに蓄積されているファクシミリデータ及び転送である旨の図5(a)に示されているようなメッセージ(事情説明文書1)を送信すると共に、発信元へファクシミリデータを転送した旨の図5(b)に示されているようなメッセージ(事情説明文書2)も発信するようになしているので、プリンタ部で用紙に印字できない状態にあるときに受信した全てのファクシミリデータを順次転送するという動作を軽減しつつ、メモリオーバーフローによる通信不能状態を避けることができ、特にメモリの空き容量が所定のメモリ残量の限界値未満になるまでにオペレータがプリンタ部を印字出力できる状態に復帰させることができれば不要な転送を省くことができ、利便性を向上することができるという効果を奏すると共に、発信元へも転送されたことを確実に知覚させることができるという効果を奏するものである。
しかしながら、このような従来技術においては、受信側(転送元)で印字不能状態が回復された後に転送先のファクシミリ装置から返信されたファクシミリデータを受信するが、受信側で印字出力することができなかった際の具体的情報、例えば、転送の原因、転送時のメモリの残量等メモリオーバーフローとなった状況を直ちには把握することができず、加えて受信したファクシミリデータを全て転送先に送信する構成であるため、転送先のファクシミリ装置でメモリオーバーフローが生じてしまう場合があり、このような場合にはファクシミリデータの有効な転送ができないという問題点がある。
本発明者等はこのような従来技術の問題点を解決するために、既に受信側(転送元)でメモリ受信したファクシミリデータを他のファクシミリ装置に転送することができ、その転送先に転送されたファクシミリデータが受信側(転送元)に返送された場合には、転送の原因であるメモリオーバーフローとなった状況をすぐに正確に把握できるアフターフォロー性に優れた「メモリ転送機能を備えたファクシミリ装置」に関する特許出願(特願2003−64738号。以下、「先願」という。)を行っている。
なお、上記先願発明における、「メモリ転送機能を有するファクシミリ装置」という用語は、ファクシミリ専用機、ファクシミリ機能と複写機機能を有するファクシミリ装置、あるいはメモリ転送機能及びファクシミリ機能のみでなく、複写機能、イメージ入力機能、外部記憶機能、プリンタ機能、ソータ、ステープル止め機能、2つ折り機能等のうちのいくつかを必要に応じて備えているいわゆる多機能複合機(マルチ・ファンクション・ペリフェラル、MFP)と称されるものを包含するものとして用いられている。
ここで、前記先願発明について説明する前にまず、本願発明においても共通するファクシミリ送受信の伝送制御手順について説明する。発信元のファクシミリ装置が、PSTN回線(公衆電話回線網)を介して受信側のメモリ転送機能を備えたファクシミリ装置に呼び出し音CNG信号を発信して発呼すると、受信側のファクシミリ装置は、このCNG信号を検出した後に、被呼局識別CED、被呼端末識別CSI、デジタル識別信号DIS及び非標準機能識別信号NSFを発信する。
これを受けて発信元のファクシミリ装置は、受信側のファクシミリ装置の端末番号、各種機能等を検出し、次に発信端末識別信号TSIを発信することによって、発信元のファクシミリ装置の端末番号等を受信側のファクシミリ装置に通知すると共に、非標準機能識別信号NSFから検出された受信側のファクシミリ装置の機能のうち、これから使用する機能を非標準機能設定信号NSSの発信によって受信側のファクシミリ装置に通知する。次いで、発信元のファクシミリ装置は、トレーニングチェックTCFを受信した後に、受信準備確認信号CFRを発信する。受信側のファクシミリ装置が受信準備確認信号CFRを受信すると、発信元ファクシミリ装置は原稿の1頁目の画信号を発信した後に、手順終了信号EOPを発信し、発信すべき原稿がなくなったことを受信側ファクシミリ装置に通知する。
一方、受信側ファクシミリ装置が手順終了信号EOPを受信すると、発信元のファクシミリ装置にメッセージ確認信号MCFを受信した後に、受信側ファクシミリ装置に切断命令信号DCNを発信して通信を終了する。なお、本通信制御手順では、発信するファクシミリデータが1頁のみの場合について説明したが、発信するファクシミリデータが複数頁である場合についてはCCITT勧告に基づく通信制御手順によって送受信することができる。
次いで、前記先願発明に係るメモリ転送機能を備えたファクシミリ装置が発信元のファクシミリ装置からのファクシミリ通信を受信した場合の動作を図7のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS71において発信元のファクシミリ装置からの着信が有るか否かを判断し、着信有りと判断された場合には、ステップS72においてプリンタ部で印字出力可能か否かを判断する。すなわち、用紙切れ、プリンタ部における紙詰まり等が発生しておらず、受信したファクシミリデータが正常に用紙に記録できる状態にあるか否かを判断する。ステップS72で、印字出力できると判断された場合には、ステップS73で発信元のファクシミリ装置から発信されてくるファクシミリデータを通信制御手順に基づいて順次受信し、メモリに蓄積する。次に、ステップS74でメモリに蓄積したファクシミリデータを符号化・復号化した後に、プリンタ部で用紙に印字出力し、又、対応するファクシミリデータをメモリから消去してメモリを解放し、処理を終了する。
一方、ステップS72で印字出力できないと判断された場合には、ステップS75で発信元のファクシミリ装置から発信されてくるファクシミリデータを通信制御手順に基づいて順次受信し、メモリに蓄積する。蓄積終了後に、ステップS76においてメモリの空き容量が予め設定された自動転送を開始するメモリ残量の限界値未満であるか否かを判断し、メモリ空き容量がモリ残量の限界値以上であると判断された場合は、一旦処理を終了して待機状態に入る。
この状態で、メモリの空き容量が予め入力された自動転送を開始するメモリ残量の限界値未満とならないうちに前述の印字出力できない状態が解消されたときは、ユーザのパネル操作により強制割り込みが行われ、それによって用紙に印字出力が行われ、メモリに記憶されていたファクシミリデータが削除されてメモリが解放され、処理が終了する。
一方、前述の印字出力できない状態が解消されない場合には、いずれメモリの空き容量が予め設定された自動転送を開始するメモリ残量の限界値未満となるので、その場合はステップS77で、メモリに記憶されているファクシミリデータに転送の原因となった情報や、返信後に如何なる操作を行うかを指示するコード、転送先電話番号、保存文書番号等種々の情報を含むバーコード情報及び代理出力メッセージを付加し、ステップS78で予め記憶されている転送先であるファクシミリ装置等の端末番号を読み出し、この中から所定の端末を選択してこの端末番号に基づいて通信回線に発呼し、通信回線が閉結した後にメモリに蓄積したファクシミリデータ及び図8に示すようなバーコード情報90を付加した代理出力メッセージ92を転送先のファクシミリ装置に転送する。なお、その後にステップS79において発信元に図5(b)に示すような従来例のものと同様のメッセージ(事情説明文書2)の返信を行ってもよい。
この際、先願発明のメモリ転送機能を備えたファクシミリ装置は、転送先のファクシミリ装置がメモリオーバーフローを起こす可能性を減らして受信しやすいようにするために、前記メモリに蓄積した受信ファクシミリデータを所定のページ数ごと、例えば10頁ごと、に分割する機能を備えることができる。この場合、図8に示すように、各々分割単位ごとにまとめて独立して、少なくとも全体の何送目の分割データであるか、何頁から何頁目のデータであるか等の分割情報94と共に末尾にEOF信号を付加させたバーコード情報90を付与する。また、この転送したファクシミリデータが返送された際に所定の位置にステープル止めしたい場合や、所定のサイズの用紙に印字したい場合等においては、前記バーコード情報90にそれに対応するPJLコマンドと共に末尾にEOF信号を付加する。
転送先のファクシミリ装置に、転送されたファクシミリデータをメモリに蓄積しておき、返送要求の通知を受けたときに自動的に返送する機能(以下、「自動返送機能」という。)が搭載されている場合は、次のようなファクシミリ通信制御手順を経て実行される。まず、転送先の端末番号を読み出し、この端末番号に基づいて通信回線にて発呼する。通信回線が閉結された後に、転送先のファクシミリ装置から受信した非標準機能識別信号NSFに基づいて、転送先のファクシミリ装置に搭載されている機能を検出するとともに、転送されたファクシミリデータをメモリに蓄積しておき、返送要求の通知を受けたときに返送する機能が転送先のファクシミリ装置に搭載されているか否かを判断する。
転送先のファクシミリ装置に、自動返送機能が搭載されていると判断された場合には、転送先のファクシミリ装置に非標準機能設定信号NSSを送信し、これから送信するファクシミリ情報が転送である旨を通知する。その後、メモリに蓄積したファクシミリデータを転送し、転送先のファクシミリ装置のメモリに蓄積させるとともに、対応するファクシミリデータをメモリから消去してメモリを解放し、処理を終了する。
また、転送先のファクシミリ装置に、自動返送機能が搭載されていないと判断された場合には、メモリに蓄積しているファクシミリデータを転送し、転送先のファクシミリ装置に印字出力させると共に、図5(a)に示したような転送である旨を示す文書を同時に送信し、転送元で印字出力できない状態が解消された後に、転送先に転送したファクシミリデータを回収するために、転送元と転送先との間で電話等により連絡をとった後、転送先で印字出力したファクシミリデータを手動で返信してもらえばよい。
また、転送先のファクシミリ装置が通信中である場合や用紙切れ、紙詰まり等によりメモリ残量が少なく、代理受信ができない場合には、転送先のファクシミリ装置からの受信不能との信号を受け取った後、予め複数記憶されている転送先のファクシミリ装置から順次代理受信が可能なファクシミリ装置が選択されるようになせばよい。
一方、転送元で、転送先のファクシミリ装置から返送されたファクシミリデータを受信した場合は、既に印字不能状態は解消されているから、そのまま印字処理すればよい。その場合は、印字されたバーコードを周知のバーコード読み取り機を使用して読み取れば、転送の原因となった情報や、返信後に如何なる操作を行うかを指示するコード、転送先電話番号、保存文書番号等が確認できる。
また、転送元のファクシミリ装置がバーコード情報の認識手段を備えている場合は、受信したファクシミリ情報からバーコード情報を認識し、その認識した情報を必要に応じて印字したり、メモリに記憶しておいたりすることにより、これらのデータを以後のファクシミリ装置の保守管理に有効に利用することができるようになる。なお、ファクシミリ装置にバーコード情報を自動的に認識させる手段は、例えば特開平10−222566号公報、特開平11−122447号公報等にも開示されているとおり、周知であるので、その詳細な説明は省略する。
一方、前述の転送先のファクシミリ装置から返送されたファクシミリデータが所定のページ数ごとに分割されて転送されてきたものである場合、返送されたファクシミリデータは、図9に示すように、所定ページごとに分割されて受信される。この場合、例えばバーコード情報90に所定位置にステープル止めするPJL信号が含まれている場合は、自動的に所定位置にステープル96が打たれ、所定ページ毎に綴りこまれるので、以後の受信文書の取り扱いが容易となる。
以上述べたように、上記先願発明によれば、メモリ受信したファクシミリデータがメモリオーバーフローとなってしまうときには、そのメモリオーバーフローとなった原因等の情報を包含するバーコード情報及び代理出力メッセージを付与して転送先に転送するようになしているので、転送先から返送されたファクシミリデータを受信すれば転送の原因となったメモリオーバーフローが生じた状態を直ちに確認することができるので、ファクシミリ装置の保守管理に大いに有効となるというものである。
ところで、企業等の事務処理機器を使用してデータを出力する際に、著作権などで保護された内容のデータは簡単に出力できてしまうと権利侵害が発生してしまい、権利の保護ができないという問題が起こってしまう。このような観点から、著作権を守るために、著作権を有する写真あるいはデータに電子透かしを施して無断で出力できないようにしている場合が多い。
前記のようなデータを出力するために特許文献2には、特にデジタル複写機における電子透かしを有するデータの出力を行う方法が開示されている。そこで以下に前記先願明細書及び図面に開示されているデジタル複写機の具体例を図10に示したフローチャートを用いて説明する。
この先願明細書及び図面に開示されているデジタル複写機は、少なくとも画像データを入力する入力手段と、前記画像データに埋め込まれた透かし情報を抽出する抽出手段と、前記透かし情報に含まれる前記画像データのプリントを制限する制限情報を表示する表示手段とを備えており、前記透かし情報に基づいてプリント動作を制限するようになされている。
このデジタル複写機は、まずステップS81においてデータのプレスキャンを行い、ステップS82において読み取った画像データを画像メモリに一時的に記憶する。この画像データの読み取りは操作パネルのスタートボタンの押下を検知することにより行われる。
ついで、ステップS83において、透かし情報認識部で画像メモリに一時的に記憶された画像データから透かし情報の有無が検出される。画像データ中に透かし情報がない場合にはステップS86に進み、通常のプリント処理が行われる。画像データ中に透かし情報が含まれる場合には、ステップS84において透かし情報中に著作権情報が含まれるか否かが判断される。著作権情報とは、例えば著作権を識別するための識別番号や、著作権料情報などである。
著作権情報が含まれない場合にはステップS86において通常のプリント処理が行われる。著作権情報が含まれる場合には、ステップS85において、著作権情報の中に著作権料情報が含まれるか否かが判断される。著作権料情報とは、その原稿を複写する際に支払われるべき複写料金を言う。著作権料情報が含まれる場合には、操作パネルの液晶表示部に著作権料の料金表示が行われ、ステップS86でプリント処理が行われた後にステップS87で適宜課金処理が行われる。また、著作権料金情報が含まれていない場合は、複写が許可されていないものと判断して、ステップS88に進んで禁止処理が行われ、処理を終了する。
特開平8−214139号公報(請求項3及び7、段落[0064]〜[0070]、[0086]〜[0092]、図6、図9、図10、図17)
特開2000−224406号公報(請求項1〜4、段落[0040]〜[0043]、図5)
しかしながら、上述の特許文献2に開示されている従来技術においては、データ転送機能を有するMFPにおいて透かしを有するデータを入力ないしは受信した際にメモリオーバーフローが発生した場合は、一時的な記憶が行えないためにデータを記録ないしは受け取ることができない。また、前記特許文献1ないしは前記先願の明細書及び図面に開示されている方法を採用してデータ転送を行うようになした場合には、その透かしが付与されたデータが著作権法上の権利を主張しているものであっても転送を禁止することができないために、著作権法上の問題を招く危険性が生じてしまう。加えて、透かし情報は一般のデータの上から透かし処理を行うため、情報量が透かし情報のないデータよりも大きくなってしまうため、メモリオーバーフローに陥る可能性は高くなる。
更に、特許文献1に開示されたメモリ転送機能付きファクシミリ装置おいては、一応機密性の高いデータは転送を中止することができるようにする機能も開示されているが、所定の出力処理を行うことができない場合には、データ転送が行われないとメモリオーバーフローが発生してしまい、重要なデータの漏洩を防ぐことはできるが、その結果、重要なデータが受信されずに消去されてしまう危険性が生じてしまう。
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、データ転送機能を有するMFPに代表される画像処理装置において、著作権等の問題に対処するために、電子透かしが施されたデータが入力された場合ないしはそのようなデータを受信した際に、メモリオーバーフローが起きた場合であっても、データを受け取ることができ、なおかつこの電子透かしが施されたデータに対して著作権法上の問題を生じないようにして転送することができるようになされたデータ転送機能を備えた画像処理装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、
データ転送機能を備えた画像処理装置であって、該画像処理装置は、
(1)入力ないしは受信した画像データを一旦メモリに蓄積してから印字出力を行う手段、
(2)入力ないしは受信した画像データ中の電子透かしの検出手段、
(3)前記メモリに蓄積された画像データをページ数ごとに分割して転送するデータ転送手段、
(4)前記電子透かしと異なる第2の電子透かしの付与手段、
(5)複数の転送先を記憶し、各転送先の転送先記憶容量を監視するジョブ制御手段、
(6)画像処理装置が印字出力不能状態にあるか否かを検出する異常検出手段、
を備え、
前記異常検出手段により前記画像処理装置の印字出力不能状態が検出され、かつ前記メモリの残量が所定値未満となった場合には、
前記ジョブ制御手段が各転送先記憶容量を監視して転送先を選択し、
前記電子透かし検出手段が前記画像データ中の電子透かしを検出した場合には、前記第2の電子透かし付与手段が前記電子透かしとは異なる第2の電子透かしを前記画像データに付加し、
前記データ転送手段がメモリに蓄積された画像データをページ数ごとに分割して、前記ジョブ制御手段が選択した転送先に転送すると共に該転送されたデータが蓄積されていたメモリを解放し、
前記印字出力不能状態が解消された後に、前記転送先から返信された前記転送データを印字して出力するようになしたことを特徴とする。
また、本願の請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記ジョブ制御手段が各転送先記憶容量を監視して転送先を順次選択し、
前記データ転送手段がメモリに蓄積された画像データをページ数ごとに分割して、前記ジョブ制御手段が順次選択した転送先に転送するとともに該転送されたデータが蓄積されていたメモリを解放し、
前記印字出力不能状態が解消された後に、前記転送先から返信された前記転送データを印字して出力するようになしたことを特徴とする。
また、本願の請求項3に係る発明は、前記請求項1または請求項2に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、更に、バーコード情報生成手段を備え、前記異常検出手段により前記画像処理装置の印字出力不能状態が検出され、かつ前記メモリの残量が所定値未満となった場合には、
該バーコード情報生成手段は、前記メモリに蓄積したデータに対し、転送の原因となった情報を含むバーコード情報を付加することを特徴とする。
また、本願の請求項4に係る発明は、前記請求項3に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、更に、入力ないしは受信した画像データ中のバーコード情報を認識する手段を備え、該認識したバーコード情報に基いて指定された処理を行うようになされていることを特徴とする。
また、本願の請求項5に係る発明は、前記請求項4に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記バーコード情報生成手段が生成するバーコード情報には少なくとも前記画像データの分割情報を包含させると共に、前記印字出力を行う手段は前記転送先から返信された画像データ中のバーコード情報に基いて返信された画像データを前記分割されたページ数ごとに分割して印字出力するようになされていることを特徴とする。
更に、本願の請求項6に係る発明は、前記請求項5に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、前記バーコード情報として所定のPJL(プリントジョブランゲージ)コマンドを包含させ、前記転送先から返信された画像データ中のバーコード情報に基いて返信された画像データに対して前記PJLコマンドを実行するようになされていることを特徴とする。
また、本願の請求項7に係る発明は、前記請求項6に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記PJLコマンドがステープル位置を指定するコマンドであり、前記転送先から返信された画像データごとの印字出力物に各々所定位置にステープルによる綴り込みが可能になされていることを特徴とする。
また、本願の請求項8に係る発明は、
データ転送機能を備えた画像処理装置であって、該画像処理装置は、
(1)入力ないしは受信した画像データを一旦メモリに蓄積してから印字出力を行う手段、
(2)入力ないしは受信した画像データ中の電子透かしの検出手段、
(3)前記メモリに蓄積された画像データを転送するデータ転送手段、
(4)前記電子透かしと異なる第2の電子透かしの付与手段、
(5)複数の転送先を記憶し、各転送先の転送先記憶容量を監視するジョブ制御手段、
(6)画像処理装置が印字出力不能状態にあるか否かを検出する異常検出手段
を備え、
前記異常検出手段により前記画像処理装置の印字出力不能状態が検出され、かつ前記メモリの残量が所定値未満となった場合には、
前記ジョブ制御手段が各転送先記憶容量を監視して転送先を順次選択し、
前記電子透かし検出手段が前記画像データ中の電子透かしを検出した場合には、前記第2の電子透かし付与手段が前記電子透かしとは異なる第2の電子透かしを前記画像データに付加し、
前記データ転送手段がメモリに蓄積された画像データを前記順次選択された転送先に転送すると共に該転送されたデータが蓄積されていたメモリを解放し、
前記印字出力不能状態が解消された後に、前記転送先から返信された前記転送データを印字して出力するようになしたことを特徴とする。
また、本願の請求項9に係る発明は、前記請求項8に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、更に、バーコード情報生成手段を備え、前記異常検出手段により前記画像処理装置の印字出力不能状態が検出され、かつ前記メモリの残量が所定値未満となった場合には、
該バーコード情報生成手段は、前記メモリに蓄積したデータに対し、転送の原因となった情報を含むバーコード情報を付加することを特徴とする。
また、本願の請求項10に係る発明は、前記請求項9に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、更に、入力ないしは受信した画像データ中のバーコード情報を認識する手段を備え、該認識したバーコード情報に基いて指定された処理を行うようになされていることを特徴とする。
また、本願の請求項11に係る発明は、前記請求項10に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、前記バーコード情報として所定のPJL(プリントジョブランゲージ)コマンドを包含させ、前記転送先から返信された画像データ中のバーコード情報に基いて返信された画像データに対して前記PJLコマンドを実行するようになされていることを特徴とする。
また、本願の請求項12に係る発明は、前記請求項11に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記PJLコマンドがステープル位置を指定するコマンドであり、前記転送先から返信された画像データごとの印字出力物に各々所定位置にステープルによる綴り込みが可能になされていることを特徴とする。
また、本願の請求項13に係る発明は、前記請求項1、請求項2、請求項8のいずれか1項に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像データ中の電子透かしは可視透かしであり、前記第2の電子透かしは不可視透かしであることを特徴とする。
また、本願の請求項14に係る発明は、前記請求項13に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置において、
前記画像処理装置は、更に前記不可視透かしが検出された場合には、前記データ転送手段による転送を禁止できるようになされていることを特徴とする。
本発明は、上述の構成を備えることにより以下のような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、電子透かしが施された画像データが入力ないしは受信された際に、たとえメモリオーバーフローが起きた場合であってもデータを受け取ることができ、また、この電子透かしが施された画像データに対して前記電子透かしと異なる第2の電子透かしを付与して転送することができるので、セキュリティーが設定された画像データの安全性をより向上させることができるようになる。
加えて、ジョブ制御手段が複数の転送先の画像処理装置の記憶容量を監視し、データ転送手段が転送する画像データをページごとに分割して転送先の画像処理装置に転送するから、受信した画像処理装置のメモリオーバーフローを回避しつつ受信不能にならないように、かつ、転送先において、転送された画像データを確実に代行受信することができるようになる。
また、本願の請求項2に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、ジョブ制御手段が各転送先記憶容量を監視して転送先を順次選択し、前記データ転送手段がメモリに蓄積された画像データをページ数ごとに分割して、前記ジョブ制御手段が順次選択した転送先に転送するものであるから、受信した画像処理装置のメモリオーバーフローを回避しつつ受信不能にならないように、かつ、転送先において、転送された画像データを確実に代行受信することができるようになる。
また、本願の請求項3または請求項9に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、転送する画像データに対して付与されるバーコード情報に転送の原因となった情報や、返信後に如何なる操作を行うかを指示するコード、転送先電話番号や端末装置のデータ、保存文書番号等種々の情報を付加することができるので、少なくとも転送した画像データが返信された場合には、貼付されているバーコード情報により直ちに転送の原因であるメモリオーバーフローとなった状況を把握することができるので、画像処理装置の保守管理に非常に有効となる。
また、本願の請求項4または請求項10に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、転送した画像データが返信された場合には、貼付されているバーコード情報により自動的に所定の処理を行わせることができるようになる。
また、本願の請求項5に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、転送する画像データはページ数の少ない小さなデータに分割されているので、たとえ入力ないしは受信した画像データのサイズが不可視透かしが入っているために大きくても、また、可視透かしを付与することにより更に転送する画像データのサイズが大きくなっても、転送先のファクシミリ装置ないしは端末のメモリがオーバーフローする可能性が少なくなる。
また、本願の請求項6または請求項11に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、転送先から返信された画像データに対して、PJLコマンドで定義された所定の処理、例えば、ステープル打ち、所定サイズの用紙選択等を自動的に実行することができるようになる。
また、本願の請求項7または請求項12に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、前記転送先から返信された画像データごとの印字出力物に対して各々所定位置のステープルによる綴り込みが可能になる。
また、本願の請求項8に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、ジョブ制御手段が各転送先の転送先記憶容量を監視して転送先を順次選択し、前記データ転送手段がメモリに蓄積された画像データを、前記ジョブ制御手段が順次選択した転送先に転送するものであるから、受信した画像処理装置のメモリオーバーフローを回避しつつ受信不能にならないように、かつ、転送先において、転送された画像データを確実に代行受信することができるようになる。
また、本願の請求項13に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、受信した画像データに可視透かしが記録されていた場合に、転送先に転送する画像データに不可視透かしを付加するようにすることができるようになる。
また、本願の請求項14に記載のデータ転送機能を備えた画像処理装置によれば、不可視透かしが施された画像データが入力ないしは受信された際に一切転送することができないようにすることもできるので、著作権法上の問題が生じることはなくなる。
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像処理装置を例示するものであって、本発明をこの画像処理装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
なお、電子透かしには可視透かし及び不可視透かしの二種類がある。可視透かしは、画像データ中に写しであることの情報が目視により認識できるような状態で付与されているものであり、これについては、所定の除去鍵等により除去することも可能であるが、可視透かしが付与された状態で複写ないし転送しても通常は著作権の問題は生じず、自由に複写、配布及び転送できるものが大部分である。これに対し、不可視透かしは、目視状態で原画像に影響を与えないように、また、電子的に認識できるように、画像データ中に著作権情報が付加されたものであって、通常は自由な複写、配布及び転送は禁止されている。したがって、本発明においては単に「透かし」という場合は「不可視透かし」のことを示すものとし、特に可視透かしを示す場合は「可視透かし」と明示して区別するものとする。
図1は本発明で使用する画像処理装置の一例を説明する図である。ちなみに、図1では画像処理装置としてファクシミリ機能、複写機能、プリンタ機能等を備えたMFPについて説明するが、ファクシミリ装置や、ローカルエリアネットワーク(LAN)等で他の画像処理装置に接続され、データ転送が可能な複写機あるいはプリンタ単独の機能を有するものに関しても実施可能なことは当業者にとり自明であろう。
画像処理装置10は、図1に示すように、少なくとも操作部12、ファクシミリ部14、スキャナ部16、外部メモリインタフェース18、情報処理制御部20、情報記憶部26、各種ホストインタフェース28、印刷部30、内部メモリ32を備え、そのうち情報処理制御部20は、データ送/受信部21、ジョブ制御部22、透かし情報検出/付与部23及び出力制御部24を備えている。
操作部12、ファクシミリ部14、スキャナ部16、外部メモリインタフェース18及び各種ホストインタフェース28は、画像処理装置10への入力手段を構成し、それぞれこちらの入力データを管理するデータ送/受信部21へ接続されている。操作部12は、少なくともタッチパネル式入力手段を備え、ファクシミリ部14は公衆電話回線34に接続され、定められた通信方式に従って外部からのファクシミリデータおよびデータ送/受信部21を経て供給された画像データの送受信を行うようになされている。
外部メモリインタフェース18は、汎用的に用いられているパラレルインタフェース、シリアルインタフェース、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、PC−CARDバス等の各種インタフェースを含み、この外部メモリインタフェース18に半導体メモリ(ICカード、コンパクト・フラッシュメモリ、USB大容量メモリデバイス等)、HDD、CD、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R、DVD−RW、FD等の外部メモリ(記憶手段)36を接続して、各種画像データの入出力を行う。各種ホストインタフェース28は、ネットワーク38を介して対応するコンピュータ40−1、40−2・・・や管理者用のサーバ40−nに接続されている。なお、画像処理装置10には、出力制御部24を介して専用のホストPC48を接続して、出力制御部24を介して処理されている画像データを表示し、必要に応じて管理者用サーバの機能を備えさせている場合もある。
次に図2は、本発明における画像処理装置10の情報処理制御部20の各種機能を分かりやすく示したブロック図である。情報処理制御部20は、データ送/受信部21、ジョブ制御部22、透かし情報検出/付与部23及び出力制御部24からなっている。
データ送/受信部21は、データ変換部51及びデータ転送部52を備えており、データ転送部52は更に発信先転送通知部52a及び発信元転送通知部52bを備えている。データ送/受信部21は、公衆電話回線34や、ネットワーク38を介して画像処理装置10に入力されるデータを受信ないしはこれらに対してデータを送信する部分であり、前記公衆電話回線34や、ネットワーク38から受信したデータは、まずデータ変換部51において所定の画像データを再生するようになっている。例えば、受信データがPDL(ページ記述言語)等の中間言語であった場合は、それらをラスタライズ処理し、さらに必要に応じて圧縮処理を行い、また、スキャンデータのようにラスタライズ処理が行われたものは、必要に応じて圧縮処理を行い、更に、ファイルデータ等のように所定のフォーマットによるデータの場合、ラスタライズ処理、圧縮処理、さらには内部ファイルシステムのテンポラリ保存等を適宜行うようになっている。なお、データ転送部52において行われる処理については後述する。
ジョブ制御部22は、メモリ使用量監視部53、受信データ容量認識部54,転送先記憶容量監視部55,異常検出部56,主記憶制御部57を備え、また、異常検出部56は、エラー状態監視部56a、エラー通知部56b及びメモリ限界設定部56cを備え、更に、主記憶部制御部57は、HD等よりなる情報記憶部26を制御するための手段を備えていると共に、転送先優先順位記憶部57aを備えている。
メモリ使用容量監視部53は、自機のメモリ使用容量を検知し、そのメモリ残量等を監視している。また、受信データ容量認識部54は、データ送/受信部21から送られてきた個々の受信データの容量を認識し、前記メモリ使用容量監視部53の数値と照らし合わせてメモリの一時保存が可能であるか否かを認識する役目を担っている。更に、転送先記憶容量監視部55は、所定の時間間隔で或いは受信データがあった際に、予め指定された複数の転送先の画像処理装置の空き容量を調査し、記憶するようになっている。
異常検出部56は、エラー状態監視部56aにおいて常に画像処理装置10の用紙切れ、トナー切れ等の印字出力エラーや、データ送信時の出力処理の異常状態を監視し、これらの異常状態を検知するとエラー通知部56bを介して、操作部12の表示部や、データの入力先ないしは発信先にエラーの発生を通知すると共に、エラーの解消が行われるまで監視するようになっており、更に、エラーが解消されるとその旨の通知を行うようになっている。メモリ限界値設定部567cは、メモリオーバーフローの発生を防止するために設けられるもので、自動転送を開始するメモリ残量の値がメモリ最大容量より若干少なく設定され、画像処理装置10の使用用途に応じて適宜変更することができるように、管理者により操作部12、外部メモリ36、ネットワーク38を介して接続されている端末40−1〜40−n或いは専用のホストPC48から適宜データを送信することにより設定が行われるようになっている。
主記憶制御部57は、情報記憶部26に対するデータの記憶/読み出しを制御し、異常が検出されたのちにデータ転送が必要となった場合に、そのデータ転送先のアドレスや、データ転送の際に同時に送られるメッセージ内容などを情報記憶部26に記憶させたり、また情報記憶部26から読み出したりする動作を制御すると共に、前記転送先記憶容量監視部55からのデータにより複数の転送先の空き容量に応じて好ましい転送先順に優先順位を設ける転送先優先順位設定部578aを有している。
そして、ジョブ制御部22は、前記異常検出部56で異常状態が検出された後、メモリ使用容量監視部53からメモリ限界値設定部56cで予め設定されたメモリ限界値を超えた旨の応答があった場合に、前記データ送/受信部21のデータ転送部52に対してデータ転送要求を出すようになっている。
透かし情報検出/処理部23は、著作権保護のためや機密性保持のために透かしが付与されたデータに対して適切な処理を行ったり、メモリオーバーフローに陥ったためにデータ転送を行わなければならない場合に、そのデータに対して各種の透かしに関する処理を行うものであり、透かし検出部58、透かし処理指示部59及び可視透かし付与部60を備えている。
透かし検出部58は、入力ないしは受信した画像データ中に透かしが施されているか否かを検出する部分であり、透かし処理指示部59は、予め管理者により設定された、
(1)入力ないしは受信した画像データ中に透かしがあった場合の処理、
(2)データの転送を行う必要が生じた場合に、転送データに新たに可視透かしを付与するか否か、
の処理を行う部分であり、また、可視透かし付与部60は、前記(2)の工程で新たに透かしを付与すると指定されている場合に転送データに予め定めた可視透かし、例えば、「複写/転送禁止」、「著作権保護あり」等の可視透かしを付与する部分である。
出力制御部24は、データ送/受信部21、ジョブ制御部22及び透かし情報検出/処理部23を経て送られてきた画像データをその目的に応じて印刷部30で用紙に印刷したり、外部メモリ36に記憶したり、或は、各種ホストインタフェース28を経て各部門のコンピュータPC140−1、PC240−2・・・や管理者用サーバ40−nに送信するようになされている。
一方、前記データ送/受信部21のデータ転送部52は、ジョブ制御部22からデータ転送要求があった場合、前記主記憶制御部57の優先順位設定部57aからの最優先順位の転送先に対してネットワーク38あるいは公衆電話回線34を介してデータ転送を行うようになされており、このデータ送信にあたり、発信先転送通知部52aにおいて転送先に転送したデータである旨が分かるようなデータを付加して転送し、また、同時に発信元転送通知部52bにおいて発信元あるいは転送されたデータを入力した端末に転送が行われた旨を通知するようになされている。
前記のような構成を有する画像処理装置10における各処理を以下において図3及び図4に示したフローチャートを用いて詳細に説明する。
図3は、本実施例の画像処理装置において、透かしを有する可能性がある入力ないしは受信した画像データの各処理を示すフローチャートである。
本実施例においては、まず初期化処理として管理者ないしはユーザは、
(1)入力ないしは受信した画像データ中に透かしがあった場合の処理、
(2)入力ないしは受信した画像データの転送を行う必要が生じた場合に、転送するデータに新たに可視透かしを付与するか否か、及び、
(3)少なくとも1つの転送先データ、
を設定、入力しておく。
すなわち、入力ないしは受信した画像データ中に透かしが入っていた場合、そのまま無条件で印刷処理を行ってしまうと、著作権法違反に問われる可能性が生じるので、必要に応じて印刷処理を認める条件を設定し、その条件を満たした場合のみ通常の印刷処理を行えるようにし、その条件を満たさない場合には印刷処理を行えないようにする。なお、入力ないしは受信した画像データ中に透かしが入っていた場合に、一切印刷処理を行えないように設定することも、逆に全て印刷できるように設定することも可能である。更に、入力ないしは受信した画像データの転送を行う必要が生じた際に、その画像データ中に透かしが入っていた場合、転送ができないと入力ないしは受信したデータがいずれ破棄されてしまう可能性があるので、新たに可視透かしを付与して転送することを認めるか否かを設定する。加えて、入力ないしは受信した画像データの転送を行う必要が生じた際に転送先となるファクシミリ番号やネットワーク上の端末装置などを予め設定して入力しておく。
画像処理装置10は、まず、ステップS1で、データ送/受信部21においてデータの入力ないしは受信が行われたか否かを判断し、データの入力ないしは受信が行われていないときはステップS1の工程を繰り返し、また、データの入力ないしは受信が行われた場合はステップS2において受信したデータをデータ変換部51で画像データに変換して一時的に記憶する。次いで、ステップS3において、この受信したデータに透かしが付与されているかどうかを透かし検出部58で判断する。そこで透かしが検出されなかった場合はステップS5に進み、透かしが検出された場合にはステップS4において透かしフラグをONにした後にステップS5に進む。
ステップS5では、異常検出部56のエラー状態監視部56aにおいて印字出力が可能か否かが判断され、印字出力可能と判断された場合にはステップS6において透かしフラグがONになっているか否かが判断される。透かしフラグがOFFであると判断された場合は、入力ないしは受信したデータ中に透かしが付与されていない場合であるので、ステップS8において通常の印刷処理が行われる。透かしフラグがONであると判断された場合には、透かしが付与されているので、ステップS7において特に印刷を行うように設定されているか否かを判断し、特に印刷を行うように設定されている場合にはステップS8で通常の印刷処理を行うようにし、特に印刷を行うように設定されていない場合にはそのまま処理を終了する。
一方、ステップS5において、例えば紙づまりや用紙切れなどが生じて印字不可能である状態が検出された場合には、ステップS9において入力ないしは受信したデータを順次メモリに記憶し、全データを記憶した後にステップS10においてメモリ使用容量監視部53でメモリの空き容量が予め設定された自動転送を開始するメモリ残量の限界値以上であるか否かが判断される。ステップS10においてメモリの空き容量が充分であると判断された場合には、そのまま処理を終了して待機状態に入る。この状態で、メモリの空き容量が予め設定された自動転送を開始するメモリ残量の値未満とならないうちに前述の印字出力できない状態が解消されたときは、ユーザのパネル操作により強制割り込みが行われ、用紙に印字出力が行われ、メモリに記憶されていたファクシミリデータが削除されてメモリが解放され、処理が終了する。
一方、前述の印字出力できない状態が解消されない場合には、いずれメモリの空き容量が予め設定された自動転送を開始するメモリ残量の限界値未満となるので、ステップS10においてメモリの空き容量が予め設定された自動転送を開始するメモリ残量の値未満であると判断されるが、その場合には、ステップS11において透かしフラグがONになっているか否かが判断される。
ステップS11において透かしフラグがOFFであると判断された場合は、入力ないしは受信したデータは、透かしが付与されていないデータであるから、前記先願発明と同様にして、ステップS12においてデータ転送部52でメモリに記憶されている入力ないしは受信データに対して転送の原因となった情報や、返信後に如何なる操作を行うかを指示するコード、転送先電話番号や端末装置のデータ、保存文書番号等種々の情報を含むバーコード情報及び代理出力メッセージを付加し、ステップS13において発信先転送通知部52aから予め記憶されている転送先を選択してメモリに蓄積した入力ないしは受信したデータ及び図8に示すようなバーコード情報90を付加した代理出力メッセージ92を転送先の端末装置に転送し、処理を終了する。なお、ステップS13の後に、ステップS14において発信元転送通知部52bから発信元に図5(b)に示すような従来例のものと同様のメッセージ(事情説明文書2)の返信を行ってもよい。
ステップS11において透かしフラグがONであると判断された場合は、入力ないしは受信したデータは、透かしが付与されているデータであるから、ステップS15において透かしが付与されたデータについて転送許可設定がなされているか否かを判断し、転送許可設定がなされている場合は、ステップS16において可視透かし付与部60で、例えば「複写/転送禁止」、「著作権保護あり」等の所定の可視透かしを付与すると共に、前記ステップS12〜ステップS14の場合と同様に、ステップS17においてバーコード等を付与し、次いでステップS18において所定の分割転送を行い、更に必要に応じてステップS19において発信元に可視透かしを付与して転送した旨の通知を行う。
また、ステップS15において、透かしが付与されたデータについて転送許可設定がなされていないと判断された場合には、ステップS20において発信元にメモリオーバーのために受信できなかった旨の通知を行って、処理を終了する。
なお、本実施例の画像処理装置10において、ステップS12及びステップS17におけるバーコード付与工程、ステップS13及びステップS19における分割転送工程、ステップS14及びステップS19における発信元に転送した旨の通知を行う工程、更には、それ以降の転送した画像データを回収して印刷処理を行う工程は、全て前述の先願発明に係る「メモリ転送機能を有するファクシミリ装置」の場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
また、このような構成を有する画像処理装置において、画像処理装置10へ入力ないしは送信した画像データが機密に属するデータであって、たとえそのデータがメモリオーバーフローのために画像処理装置10において受信できない状態となっても他所への漏れを防ぎたい場合がある。そのような場合には、画像処理装置10へのデータの入力ないしは送信の際に、そのデータに図示しない周知のフォーマットに従って所定の転送禁止指示データを付与し、この転送禁止指示データが検出された場合には、所定の識別コードないしはパスワードを入力しないと転送ができないようになしたり或いは転送先でそのデータを閲覧ないしは印刷できないようになせばよい。
以上述べたように、本実施例においては、MFPに代表される画像処理装置において、メモリオーバーフローのために透かしが付与されている入力ないしは受信した画像データを転送しなければならなくなった場合に、新たに可視透かし及びバーコード等を付与して分割転送するようになしたので、著作権等の問題に有効に対処することができるようになると共に、可視透かしを施すことによってより転送データ量が増えるにもかかわらず、転送先でのメモリオーバーフローを起こさせる可能性が減少し、加えて、後で有効に転送したデータを回収することができるようになる。
本発明で使用する画像処理装置の一例を説明する図である。
本発明の画像処理装置の情報処理部の各種機能を分かりやすく示したブロック図である。
本発明の画像処理装置がデータを受信した際の処理工程を示すフローチャートである。
特許文献1に開示されているメモリ転送機能付きファクシミリ装置の第1の具体例の動作を示すフローチャートである。
特許文献1に開示されているメモリ転送機能付きファクシミリ装置の転送の旨を通知するためのメッセージ(事情説明文書1、2)の一例である。
特許文献1に開示されているメモリ転送機能付きファクシミリ装置の第2の具体例の動作を示すフローチャートである。
先願明細書及び図面に開示されているメモリ転送機能を備えたファクシミリ装置の具体例を示すフローチャートである。
先願明細書及び図面に開示されているメモリ転送機能を備えたファクシミリ装置の転送した旨を通知するためのメッセージの一例である。
先願明細書及び図面に開示されているメモリ転送機能を備えたファクシミリ装置において、転送データを受信した場合の一例を示す図である。
特許文献2に開示されているデジタル複写機の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10 デジタル複合機
14 ファクシミリ部
16 スキャナ部
20 情報処理制御部
21 データ送/受信部
22 ジョブ制御部
23 透かし情報検出/付与部
24 出力制御部
30 印刷部
40-1・・・ 各部門のコンピュータ
40-n 管理者用サーバ
51 データ変換部
52 データ転送部
53 メモリ使用容量監視部
54 受信データ容量認識部
55 転送先記憶容量環支部
56 異常検出部
57 主記憶制御部
58 透かし検出部
59 透かし処理指示部
60 可視透かし付与部