JP3832834B2 - セラミックス吸音パネル取付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設の緩衝工にセラミックス吸音パネルを取り付ける方法に関し、例えば、新幹線のトンネル坑口における騒音対策として有用である。
【0002】
【従来の技術】
鉄道のトンネルを列車が走行する時に発生する騒音は、トンネル内で乱反射してトンネル坑口から外に出ていく。そのため、トンネル坑口での騒音低減が要望されている。特に、この要望は新幹線に関して強い。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−025711号公報(段落0021〜0022、0026〜0029、図3、図7)
【特許文献2】
特開平10−152812号公報(段落0016、図1、図2)
【特許文献3】
特開平06−193019号公報(段落0007〜0009、図1)
【0004】
鉄道のトンネル坑口には緩衝工と呼ばれる構造物が設置されているが、緩衝工は微気圧波の緩和を行うだけで、吸音効果はない。即ち、列車がトンネルに進入する際の衝撃波はトンネル坑口に微気圧波として発生するが、緩衝工はこの微気圧波を緩和するための構造及び部材(以下、微気圧波緩和部材)を備えたものであるから、微気圧波の緩和を行うだけであって、吸音効果はない。緩衝工外面には波型のプレート(コルゲートプレート)が使用されている。
【0005】
上記騒音を低減するには、トンネル坑口で騒音を吸収して減音することが効果的である。しかし、従来から吸音材として知られているグラスウール等の繊維系吸音材の使用は、以下の理由により、実用的でない。
(1) 繊維系吸音材は、列車が発生する風圧や振動によって飛散し、また、水分によって吸音効果が著しく劣化しやすい欠点がある。事実、繊維系吸音材を新幹線等のトンネル坑口に設置した例はない。
(2) また、繊維系吸音材を使用する場合には、上記の飛散及び劣化を防ぐために、金属で作られたケースの中に繊維系吸音材を設置し、ケース前面の一部を開口して吸音する構造が考えられるが、十分な開口部がとれないため、効果的な吸音効果が限定される。
【0006】
これに対して、平板状に成形したセラミックスを用いたセラミックス吸音パネルは、風圧や振動による飛散がなく、また、水分による吸音効果の低下や劣化がないため、騒音発生源に対して最前面に設置することができ、吸音効果が大きい。
【0007】
しかし、鉄道のトンネル坑口にセラミックス吸音パネルを設置した例はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、鉄道のトンネル坑口で効果的に騒音を吸収するための技術を提供すること、及び、セラミックス吸音パネルを既設の緩衝工に作業性良く、かつ、短い工期で取り付けることができる技術を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の構成は、セラミックス吸音パネルの上縁を案内する上案内部及び下縁を案内する下案内部を横方向に沿って有するレール状の取り付け治具を、トンネル坑口に鉄道に沿って設置される複数本の柱に横方向に固定し、複数枚のセラミックス吸音パネルを前記取り付け治具の右側または左側から順にスライドさせて上案内部と下案内部間にはめ込み、前記取り付け治具に固定するセラミックス吸音パネル取付方法であって、
前記取り付け治具に横方向に引き込み用レールを設置し、この引き込み用レールから前記複数枚のセラミック吸音パネルをスライドさせて前記取り付け治具の上案内部と下案内部間にはめ込み、全てのセラミック吸音パネルをはめ込んだ後、前記引き込み用レールを撤去することを特徴とする。
【0010】
また本発明の構成は、前記複数の柱がトンネル坑口の既設緩衝工を構成する柱であることを特徴とする。
【0028】
ここで、引き込み用レールは、取り付け治具の一部をなして複数本の柱(例えば既設緩衝工を構成する柱)の外部まで延長した部分あっても良く、あるいは、取り付け治具と別に引き込み用レールを作り、これを取り付け治具に連なるように複数本の柱(例えば既設の緩衝工を構成する柱)に設置するものであっても良い。
【0029】
上記各発明において、セラミックス吸音パネルとはセラミックスを吸音材とするプレート状部材であり、例えば、
(1)セラミックス製のプレート状吸音材と、この吸音材の表側面または背面に設置される格子状プレート部材と、この格子状プレート部材の縁部を保持するように中央に開口を有する主フレームと、この主フレームから外方に伸び、取付穴が形成されている取付プレートとを有するもの、あるいは、
(2)セラミックス製のプレート状吸音材と、この吸音材の表側面または背面に設置される格子状プレート部材と、この格子状プレート部材の縁部を保持するように中央に開口を有する少なくとも2つの主フレームと、隣接した主フレームを連結するための連結フレームと、最外方に位置する2つの主フレームからそれぞれ外方に伸び、取付穴が形成されている取付プレートとを有するもの
を挙げることができる。
(3)なお、プレート状吸音材と主フレームの組数が多い大きなセラミックス吸音パネルを用いる場合は、十分大きなセラミックス吸音パネルを1個だけ設置したり、中くらいの大きさのセラミックス吸音パネルを少数並べて設置することにより、工期が短縮する。プレート状吸音材と主フレームの組数が少ない小さなセラミックス吸音パネルを用いる場合は、小さなセラミックス吸音パネルを多数縦横に並べて設置する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明で使用するセラミックス吸音パネルの構造例を示し、図2〜図3は本発明の第1実施例を示し、図4〜図5は本発明の第2実施例を示している。
【0031】
[セラミックス吸音パネルの例]
図1に示すセラミックス吸音パネル1は、正面から見たときに中央が開口した、全体的に矩形の主フレーム2を有している。主フレーム2は、その開口周囲の四辺で、セラミックス製のプレート状吸音材5及びエキスパンドメタルと呼ばれる格子状プレート部材6の縁部を保持することができるようになっている。前面支持壁部5Aの外端部と背面支持壁部5Bの内端部との間に伸びる連結壁部5Cは変形「コの字」状の断面形状であり、背面支持壁部5Bの後方に位置する後方壁部5Dを有している。
【0032】
プレート状吸音材5は樹脂で固めたセラミックス、好ましくはアルミナ系セラミックスで矩形状に作られたものであり、プレート状吸音材5の各辺部は、上述したように、その前面が主フレーム2の前面支持壁部5Aにより、また、背面が主フレーム2の背面支持壁部5Dにより支持されることによって主フレーム2に取り付けられる。プレート状吸音材5は、鉄道トンネル坑口を新幹線が通過する際に引き起こす衝撃を受けても欠けなどが生じない強度を有するように、寸法形状が決められている。また、プレート状吸音材5は、セラミックス製であるので、グラスウールなどに比較して経年劣化が少ないという利点がある、
【0033】
各プレート状吸音材5の背面には、格子状プレート部材6として、アルミニウムのエキスパンドメタルが配置される。各格子状プレート部材6はプレート状吸音材5とほぼ同一の寸法形状を有し、その各辺部がプレート状吸音材5と主フレーム2の背面支持壁部5Dとの間で支持されている。このように格子状プレート部材6がプレート状吸音材5を覆うので、プレート状吸音材5が落下物や飛散物による衝撃によって万一部分的に欠けたり、破損したときでも、プレート状吸音材5の破片の飛散を抑制することができる。
【0034】
セラミックス吸音パネル1は、補強部材3を備えている。
【0035】
更に、主フレーム2の上部及び下部には、セラミックス吸音パネル1を固定するためのボルトを通すための取付穴(図示省略)が形成されている。
【0036】
[第1実施例]
図2、図3は本発明の第1実施例を示し、本実施例の鉄道トンネル坑口吸音装置は、既設の緩衝工9の内部にセラミックス吸音パネル1を設置することにより、吸音機能を持たせたものである。緩衝工9は複数の柱10と、コルゲートプレート等の微気圧波緩和部材11から構成されている。各柱10は例えばH形断面をしていて、それぞれ内外2つの脚部が鉄道に沿うように、適宜な工法でトンネル坑口に設置されている。以下の説明では、鉄道に面する側を内側と呼び、これと反対側を外側と呼ぶ。微気圧波緩和部材11は各柱10の外側脚部間にボルト等を用いて設置され、鉄道に対して外側に位置している。微気圧波緩和部材11は、列車がトンネルに進入する際の衝撃波によってトンネル坑口に発生する微気圧波を緩和する。
【0037】
このような既設の緩衝工9の柱10を利用し、各柱10の内側脚部間の全域に渡って、複数枚のセラミックス吸音パネル1がその取付穴及びボルト(図示省略)により設置される。本例では、個々のセラミックス吸音パネル1としてプレート状吸音材、主フレームともに10枚用いて2段5列に構成した大型なものを使用し、9枚の大型なセラミックス吸音パネル1を3段3列にして柱10間に設置している。また、各セラミックス吸音パネル1を直接各柱10に設置しても良いが、本例では、例えばH形断面を持つ梁部材12を複数、柱10間に横方向に固定し、梁部材12にセラミックス吸音パネル1を固定している。梁部材12は内外2つ脚部を連結する連結部を水平にした状態で、外側脚部の外端面が柱10の内側脚部の外端面に固定されている。従って、梁部材12の内側脚部の外端面にセラミックス吸音パネル1を設置することになるが、その際、クレーン等の機械や人手により持ち上げ、ボルトで固定する。
【0038】
セラミックス吸音パネル1の背後にはボルト等を用いて背面塞ぎ板13を設置し、セラミックス吸音パネル1の背後に吸音効果を最適化するため空気層(背後空気層)を形成するようにしている。詳細には、微気圧波緩和部材11とセラミックス吸音パネル1との間にて、適切な背後空気層を形成するような間隔を確保して、柱10間に梁部材12を利用して背面塞ぎ板13を固定している。
【0039】
背面塞ぎ板13には微気圧波通過路として、開口率30%以下で隙間を形成してある。セラミックス吸音パネル1はそれ自身が有する多数の微細孔によりトンネル坑口の微気圧波を通過させるので、微気圧波は背面塞ぎ板13の微気圧波通過路を通過して既設緩衝工9の微気圧波緩和部材11に至り、緩和される。従って、背面塞ぎ板13に微気圧波通路を形成することにより、背面塞ぎ板13に高い強度を要することなく、吸音効果と既設緩衝工9が持つ微気圧波緩和効果を効果的に発揮できる。隙間の数は、複数個でも1個でも良い。また、隙間の形状は、例えば、円形や角形あるいはスリット状、ルーバ状など任意である。
【0040】
背面塞ぎ板13はセラミックス吸音パネル1の吸音効果を向上させるものであるから、隙間の総面積は吸音効果から見ると少ないことが好ましい。逆に、トンネル坑口で微気圧波を通過させるには、隙間の総面積は多いことが好ましい。従って、両者を勘案すると、背面塞ぎ板の隙間は開口率30%以下であれば良く、より好ましくは5〜30%、あるいは、10〜25%、あるいは、15〜20%である。
【0041】
背面塞ぎ板13が微気圧波通過路としてスリットを有する場合は、背面塞ぎ板13を正面から見た場合に実質的に隙間が見えないようにスリット残部が背面塞ぎ板13に繋がっていることが好ましく、これにより、吸音効果と微気圧波緩和効果をより効果的に発揮できる。つまり、背面塞ぎ板13にスリットを形成する場合、スリット残部を背面塞ぎ板13に繋げて残すことにより、スリット自体の総開口面積に比べて、背面塞ぎ板13を正面から、つまりセラミックス吸音パネル1側から見たときの隙間の総面積を小さくすることができる。従って、スリット自体の総開口面積を大きくすることでトンネル坑口の微気圧波が容易に通過し、正面から見た隙間の総面積を小さくすることで吸音効果向上の役割を背面塞ぎ板13が十分果たす。正面から見た隙間の総面積はなるべく小さい方が良い。正面から見た場合に実質的に隙間が見えないこととは、正面からは隙間が完全に見えないことだけでなく、背面塞ぎ板13の役割を大きく損なうことがない程度であれば隙間が見えても良いことを意味する。例えば、スリット自体を開口率30%以上で複数個または1個設け、正面から見た隙間の開口率を30%以下、好ましくは25%以下、あるいは、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下とすることができる。
【0042】
背面塞ぎ板13が微気圧波通過路としてルーバを有する場合は、ルーバは背面塞ぎ板13を正面から見た場合に実質的に隙間が見えないように形成することが好ましい。これにより、吸音効果と微気圧波緩和効果をより効果的に発揮できる。つまり、ルーバはそれ自体の開口面積が大きくても、背面塞ぎ板13を正面から、つまりセラミックス吸音パネル1側から見ると隙間が殆どないように見える。従って、ルーバによりトンネル坑口の微気圧波が容易に通過するが、正面から見た隙間が殆どないので吸音効果向上の役割を背面塞ぎ板13が十分に果たす。この場合も、正面から見た隙間の総面積はなるべく小さい方が良い。正面から見た場合に実質的に隙間が見えないこととは、正面からは隙間が完全に見えないことだけでなく、背面塞ぎ板13の役割を大きく損なうことがない程度であれば隙間が見えても良いことを意味する。例えば、ルーバ自体を開口率30%以上で複数個または1個設け、正面から見た隙間の開口率を30%以下、好ましくは25%以下、あるいは、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下とすることができる。
【0043】
上記の説明では、設置場所の高さにかかわらず同じ大きさのセラミックス吸音パネル1を用いているが、設置高さに応じてセラミックス吸音パネル1の大きさ(長さや高さ)を変えて良く、これによりセラミックス吸音パネル1の設置が容易になる。例えば、低い場所には横幅が長い大きなセラミックス吸音パネルを設置し、高い場所には横幅が短い小さなセラミックス吸音パネルを設置するなど、大きさを使い分ける。
【0044】
本第1実施例による効果を以下に示す。
(1)セラミックス吸音パネル1が鉄道トンネル坑口での騒音を軽減する。
(2)セラミックス吸音パネル1は、グラスウールと異なり、鉄道の風圧及び振動に耐えることができ、また、湿気等がある場所でも吸音効果が劣化しない。
(3)既設の緩衝工9を利用してセラミックス吸音パネル1と背面塞ぎ板13を設置して鉄道トンネル坑口吸音装置を構成するので、微気圧波の低減と騒音の低減を同時に達成することができる。言い換えれば、既設の緩衝工9に容易に吸音効果を持たせることができる。
(4)背面塞ぎ板13が微気圧波通過路を有するので、背面塞ぎ板13に強度を要することなく、適切な背後空気層を形成することができる。
(5)背面塞ぎ板13の微気圧波通過路の開口率を30%以下とすることにより、吸音効果と微気圧波緩和効果を発揮することができる。
【0045】
ここで、既設の緩衝工9が存在しないトンネル坑口では、緩衝工9の柱10と同等の柱を複数本鉄道に沿って設置し、上記と同様にセラミックス吸音パネル1と背面塞ぎ板13を設置することで、鉄道トンネル坑口吸音装置を構成することができ、騒音が低減する。この場合、緩衝工9と同様に微気圧波緩和部材11を設置することにより、騒音の低減と同時に微気圧波の緩和を達成でき、緩衝工としても機能する。なお、背面塞ぎ板13の高度を強くすることにより、微気圧波緩和部材11を設置することなく、吸音効果と微気圧波緩和効果を有する鉄道トンネル坑口吸音装置が得られる。この場合、背面塞ぎ板13の強度は、列車がトンネルに進入する際の衝撃波によりトンネル坑口に発生する微気圧波を緩和するに足りる程度であれば良く、また、背面塞ぎ板13にはスリットやルーバ等の微気圧波通過路は不要になる。
【0046】
[第2実施例]
図4、図5は本発明の第2実施例を示し、本第2実施例の鉄道トンネル坑口吸音装置は、既設の緩衝工9の内部にレール状の取り付け治具14を横方向に設置することにより、セラミックス吸音パネル1の設置を容易にしたものである。つまり、複数枚のセラミックス吸音パネル1を横方向に沿ってスライドさせることで取り付け治具14内に装着し、各セラミックス吸音パネル1の取付穴及びボルトにより取り付け治具14に固定するようにしている。本例では、個々のセラミックス吸音パネル1としてプレート状吸音材、主フレームともに10枚用いて2段5列に構成した大型なものを使用し、9枚の大型なセラミックス吸音パネル1を3段3列にして柱10間に設置している。セラミックス吸音パネル1を設置する際、クレーン等の機械や人手により、セラミックス吸音パネル1を持ち上げ、取り付け治具14内にスライドさせて装着し、ボルトで固定する。以下の説明では、鉄道に面する側を内側と呼び、これと反対側を外側と呼ぶ。
【0047】
緩衝工9は上記の第1実施例と同様、例えばH形断面をなす複数の柱10と、コルゲートプレート等の微気圧波緩和部材11から構成されている。即ち、各柱10はそれぞれ内外2つの脚部が鉄道に沿うように適宜な工法でトンネル坑口に設置されていて、微気圧波緩和部材11は各柱10の外側脚部間にボルト等を用いて設置され、鉄道に対して外側に位置している。
【0048】
本例では、1つの取り付け治具14を上下に隣接する平行な2つのレール15、15により構成している。図では、レール15は上下4段、従って取り付け治具14が上下3段であり、レール15の設置範囲は柱10間の全長に渡っている。従って、柱10間の全域に渡ってセラミックス吸音パネル1が設置される。
【0049】
各レール15は本例ではH形断面を持つものであり、レール15の内外2つ脚部を連結する連結部を水平にした状態で、外側脚部の外端面が柱10の内側脚部の外端面にボルト等(図示省略)で固定されている。取り付け治具14を構成する上下隣接2本のレール15、15のうち、上側のレール15の下半分がセラミックス吸音パネル1の上縁に対する横方向の上案内部をなし、下側のレール15の上半分がセラミックス吸音パネル1の下縁に対する横方向の下案内部をなす。隣接する上下2本のレール15の縦方向の間隔はセラミックス吸音パネル1の縦幅よりやや広くなっている。
【0050】
セラミックス吸音パネル1の背後にはボルト等(図示省略)を用いて背面塞ぎ板13を設置し、セラミックス吸音パネル1の背後に吸音効果を最適化するため空気層(背後空気層)を形成するようにしている。詳細には、微気圧波緩和部材11とセラミックス吸音パネル1との間にて、適切な背後空気層を形成するような間隔を確保して、柱10間にレール15を利用して背面塞ぎ板13を固定している。
【0051】
セラミックス吸音パネル1を取り付け治具14に設置するには、取り付け治具14の上案内部と下案内部間に右または左から横方向に複数枚のセラミックス吸音パネル1を順次入れ、スライドさせて取り付け治具14内にはめ込み、取付穴及びボルトにより固定する。これにより、鉄道トンネル坑口吸音装置を容易に構築することができる。
【0052】
更に本第2実施例では、セラミックス吸音パネル1の設置をより容易にするために、各取り付け治具14の下部に横方向に連なる引き込み用レール16を設置している。各引き込み用レール16は例えばH形断面を有するものであり、既設緩衝工9から右側(または左側)の外部に位置するが、取り付け治具14を構成する下側のレール15を長くした延長部分であっても、あるいは、別途作成したレールを適宜な治具(図示省略)で下側のレール15に接続したものであっても良い。
【0053】
引き込み用レール16を設置した場合は、セラミックス吸音パネル1を一旦引き込み用レール16に乗せ、次いでスライドさせて取り付け治具14内に押し込み、設置する。このように引き込み用レール16を用いることで、大型の既設緩衝工9内に容易にセラミックス吸音パネル1を設置することができる。セラミックス吸音パネル1の設置後は引き込み用レール16が不要なので、工事終了時に引き込み用レール16を撤去する。
【0054】
更に、セラミックス吸音パネル1の取替えを容易にするため、上案内部をなす上側レール15の内側脚部の下半分の縦方向寸法を、取り付け後のセラミックス吸音パネル1を上方にスライドすることで上案内部と下案内部との間から取り出すことができるような長さにしている。詳しくは、セラミックス吸音パネル1の下縁が下側レール15の連結部上面に当接している状態ではセラミックス吸音パネル1が上案内部から外れず、セラミックス吸音パネル1の上縁を上側レール15の連結部下面に当接させた状態でセラミックス吸音パネル1が下案内部から外れるように、上側レール15の内側脚部の下半分(上案内部)の縦方向寸法を下側レール15の内側脚部の下半分(下案内部)の縦方向寸法よりも長くしている。
【0055】
例えば、メンテナンスのために古いセラミックス吸音パネル1を取り外す場合は、当該セラミックス吸音パネル1を上方にスライドさせ、その下縁を下案内部よりも手前に引き出し、次いで、斜め下方にスライドさせて上縁を上案内部から引き抜くことで、取り付け治具14から外す。取り外した場所に新しいセラミックス吸音パネル1を取り付ける場合は、当該セラミックス吸音パネル1を斜め上方にスライドさせてその上縁を上案内部に入れ、次いで、下方にスライドさせて下縁を下案内部に入れることで、取り付け治具14にはめ込み固定する。
【0056】
本第2実施例でも第1実施例と同様、背面塞ぎ板13には微気圧波通過路として、開口率30%以下で隙間を形成してある。これにより、背面塞ぎ板13に高い強度を要することなく、吸音効果と既設緩衝工9が持つ微気圧波緩和効果を効果的に発揮できる。隙間の数は、複数個でも1個でも良い。また、隙間の形状は、例えば、円形や角形あるいはスリット状、ルーバ状など任意である。背面塞ぎ板13の隙間は開口率30%以下であれば良く、より好ましくは5〜30%、あるいは、10〜25%、あるいは、15〜20%である。背面塞ぎ板13が微気圧波通過路としてスリットを有する場合は、背面塞ぎ板13を正面から見た場合に実質的に隙間が見えないようにスリット残部が背面塞ぎ板13に繋がっていることが好ましく、例えば、スリット自体を開口率30%以上で複数個または1個設け、正面から見た隙間の開口率を30%以下、好ましくは25%以下、あるいは、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下とすることができる。同様に、背面塞ぎ板13が微気圧波通過路としてルーバを有する場合は、ルーバは背面塞ぎ板13を正面から見た場合に実質的に隙間が見えないように形成することが好ましく、例えば、ルーバ自体を開口率30%以上で複数個または1個設け、正面から見た隙間の開口率を30%以下、好ましくは25%以下、あるいは、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下とすることができる。
【0057】
上記の説明では、設置場所の高さにかかわらず同じ大きさのセラミックス吸音パネル1を用いているが、設置高さに応じてセラミックス吸音パネル1の大きさ(長さや高さ)を変えて良く、これによりセラミックス吸音パネル1の設置が容易になる。例えば、低い場所には横幅が長い大きなセラミックス吸音パネルを設置し、高い場所には横幅が短い小さなセラミックス吸音パネルを設置するなど、大きさを使い分ける。
【0058】
本第2実施例による効果を以下に示す。
(1)既設の緩衝工9を利用してセラミックス吸音パネル1と背面塞ぎ板13を設置することで鉄道トンネル坑口吸音装置を構成するので、微気圧波の低減と騒音の低減を同時に達成することができる。言い換えれば、既設の緩衝工9に容易に吸音効果を持たせることができる。
(2)取り付け治具14を柱10間に設置することにより、セラミックス吸音パネル1の設置が容易になる。これにより、工期が短縮する。
(3)取り付け治具14が柱10間に横方向に設置されるので、セラミックス吸音パネル1を容易に横方向に並べて設置することができる。
(4)セラミックス吸音パネル1を取り付け治具14の右側あるいは左側から順にスライドさせて上案内部と下案内部間にはめ込むことができるので、人力でも容易に、セラミックス吸音パネル1を設置することができる。
(5)引き込み用レール16を用いることで、大型の既設緩衝工内にセラミックス吸音パネル1を容易に設置することができる。また、大型のセラミックス吸音パネル1の設置も容易である。
(6)吸音装置の構築後、一部のセラミックス吸音パネル1を上方にスライドすることで取り付け治具14から取り外したり、はめ込むことができるので、セラミックス吸音パネル1の取り替えなどのメンテナンスが容易である。
(7)セラミックス吸音パネル1は、グラスウールと異なり、鉄道の風圧及び振動に耐えることができ、また、湿気等がある場所でも吸音効果が劣化しない。
(8)背面塞ぎ板13が微気圧波通過路を有するので、背面塞ぎ板13に強度を要することなく、適切な背後空気層を形成することができる。
(9)背面塞ぎ板13の微気圧波通過路の開口率を30%以下とすることにより、吸音効果と微気圧波緩和効果を発揮することができる。
【0059】
ここで、既設の緩衝工9が存在しないトンネル坑口では、緩衝工9の柱10と同等の柱を複数本鉄道に沿って設置し、上記と同様にレール状の取り付け治具14を横方向に設置してセラミックス吸音パネル1と背面塞ぎ板13を設置し、また、引き込み用レール16を設置することで、鉄道トンネル坑口吸音装置を構成することができ、騒音が低減する。この場合、緩衝工9と同様に微気圧波緩和部材11を設置することにより、騒音の低減と同時に微気圧波の緩和を達成でき、緩衝工としても機能する。また、背面塞ぎ板13の高度を強くする場合は、微気圧波緩和部材11を設置することなく、吸音効果と微気圧波緩和効果を有する鉄道トンネル坑口吸音装置が得られる。この場合、背面塞ぎ板13の強度は、列車がトンネルに進入する際の衝撃波によりトンネル坑口に発生する微気圧波を緩和するに足りる程度であれば良く、また、背面塞ぎ板13にはスリットやルーバ等の微気圧波通過路は不要になる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、取り付け治具に横方向に引き込み用レールを設置し、前記引き込み用レールから複数枚のセラミック吸音パネルをスライドさせて前記取り付け治具の上案内部と下案内部間にはめ込み、全てのセラミック吸音パネルをはめ込んだ後、前記引き込み用レールを撤去するので、大型の既設緩衝工あるいは大型の柱間にセラミックス吸音パネルを容易に設置できる。また、大型のセラミックス吸音パネルの設置も容易である。
このとき、セラミックス吸音パネルの上縁を案内する上案内部及び下縁を案内する下案内部を横方向に沿って有するレール状の取り付け治具を、トンネル坑口に鉄道に沿って設置される複数本の柱に横方向に固定し、複数枚のセラミックス吸音パネルを前記取り付け治具の右側または左側から順にスライドさせて上案内部と下案内部間にはめ込み、前記取り付け治具に固定するので、セラミックス吸音パネルを複数本の柱に容易に設置することができる。その結果、工期が大幅に短縮する。また、人力でもセラミックス吸音パネルを設置できる。
また前記複数本の柱がトンネル坑口の既設緩衝工を構成する柱であるので、既設の緩衝工にセラミックス吸音パネルを容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるセラミックス吸音パネルの一例を示す図。
【図2】本発明の第1実施例に係る鉄道トンネル坑口吸音装置の構成を示す図。
【図3】図1の側面図。
【図4】本発明の第2実施例に係る鉄道トンネル坑口吸音装置の構成を示す図。
【図5】図4の側面図。
【符号の説明】
1 セラミックス吸音パネル
2 主フレーム
3 補強部材
5 プレート状吸音材
5A 前面支持壁部
5B 背面支持壁部
5C 連結壁部
5D 後方壁部
6 格子状プレート部材
9 既設の緩衝工
10 柱
11 微気圧波緩和部材
12 梁部材
13 背面塞ぎ板
14 取り付け治具
15 レール
16 引き込み用レール
Claims (2)
- セラミックス吸音パネルの上縁を案内する上案内部及び下縁を案内する下案内部を横方向に沿って有するレール状の取り付け治具を、トンネル坑口に鉄道に沿って設置される複数本の柱に横方向に固定し、複数枚のセラミックス吸音パネルを前記取り付け治具の右側または左側から順にスライドさせて上案内部と下案内部間にはめ込み、前記取り付け治具に固定するセラミックス吸音パネル取付方法であって、
前記取り付け治具に横方向に引き込み用レールを設置し、この引き込み用レールから前記複数枚のセラミック吸音パネルをスライドさせて前記取り付け治具の上案内部と下案内部間にはめ込み、全てのセラミック吸音パネルをはめ込んだ後、前記引き込み用レールを撤去することを特徴とするセラミックス吸音パネル取付方法。 - 請求項1において、前記複数の柱がトンネル坑口の既設緩衝工を構成する柱であること特徴とするセラミックス吸音パネル取付方法。
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