JP3832361B2 - 光増幅器および光通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起光が供給された光導波路において信号光を光増幅する光増幅器、および、この光増幅器を含む光通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムは、光ファイバ伝送路に信号光を伝搬させることで、大容量の情報を高速に伝送することができる。この光通信システムにおける信号光の波長帯域として、Cバンド(1530nm〜1565nm)が既に使用され、Lバンド(1565nm〜1625nm)の使用も検討されている。また、更なる大容量化を図る為に、信号光波長帯域としてSバンド(1460nm〜1530nm)の使用も検討されている。
【0003】
また、光通信システムでは、信号光を光増幅するために光増幅器が用いられる。CバンドまたはLバンドの信号光を光増幅することができる光増幅器として、Er(エルビウム)元素が光導波領域に添加された光増幅用ファイバ(EDF: Erbium Doped Fiber)を光増幅媒体として用いるEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)が用いられる。このEDFAは、EDFに励起光(波長0.98μm帯または1.48μm帯)を供給することで、このEDFを伝搬するCバンドまたはLバンドの信号光を光増幅することができる。
【0004】
一方、Sバンドの信号光を光増幅することができる光増幅器として、Tm(ツリウム)元素が光導波領域に添加された光増幅用ファイバ(TDF: Thulium Doped Fiber)を光増幅媒体として用いるTDFA(Thulium Doped Fiber Amplifier)が検討されている。このTDFAは、TDFに励起光(波長1.05μm帯、1.2μm帯、1.4μm帯または1.55〜1.65μm帯)を供給することで、このTDFを伝搬するSバンドの信号光を光増幅することができる。
【0005】
EDFAは、Erイオンの3準位系(基底準位、4I13/2準位、4I15/2準位)の遷移を利用するものであることから、利得の大きさに応じて略一意的に利得スペクトルの形状が定まる。これに対して、TDFAは、Tmイオンの4準位系(基底準位、3H4準位、3F4準位、3H6準位)の遷移を利用するものであることから、利得の大きさと利得スペクトル形状(利得の傾斜など)とが互いに独立に変動し得る。
【0006】
図44は、EDFAおよびTDFAそれぞれの動作を比較して説明する図である。同図(a)は、EDFAにおける非飽和利得スペクトル、非飽和吸収スペクトル、反転分布60%時の利得スペクトル、および、反転分布50%時の利得スペクトルそれぞれを示す。また、同図(b)は、TDFAにおける非飽和利得スペクトル、非飽和吸収スペクトル、反転分布60%時の利得スペクトル、および、反転分布50%時の利得スペクトルそれぞれを示す。各利得スペクトルは、非飽和利得スペクトルおよび非飽和吸収スペクトルに基づいて算出され得る。この図に示されるように、EDFAの場合と比較してTDFAの場合には、光増幅に与るイオンの数が励起光パワーにより変動するので、利得傾斜の変動を生ずることなく、利得スペクトルを定数倍に変化させることが可能である。
【0007】
このような性質を利用することを意図したTDFAは、例えば文献1「T. Sakamoto, et al., "Gain-equalized thulium-doped fiber amplifiers for 1460nm-based WDM signals", OAA'99, Technical Digest, WD2 (1999)」に記載されている。この文献1に記載されたTDFAは、トータル入力信号光パワーが−13dBmで一定という条件の下で、利得の傾斜を一定に維持したまま、利得の大きさのみを調整することを意図したものである。
【0008】
また、文献2「I. G. Clarke, et al., "S-band amplifier with variable gain tilt control", OFC'2001, Technical Digest, TuQ2 (2001)」に記載されたTDFAは、第1TDFと第2TDFとの間に可変光減衰器が設けられたもので、利得の傾斜を調整することを意図したものである。このTDFAは、信号光が該TDFAに到達するまでに伝搬する光伝送路における損失の傾斜の変動および誘導ラマン散乱に因り生じる各波長の信号光のパワーの偏差を補償することを目的とするものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、文献1に記載されたTDFAは、実使用状態と比較するとトータル入力信号光パワー(−13dBm)が小さく、励起光パワーに対して利得飽和しない程度であったことから、利得の傾斜を一定に維持したまま、利得の大きさのみを調整し得たものである。多波長の信号光を波長多重して光伝送する波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)光通信システムでは、波長多重度の向上が検討されていることから、これら多波長の信号光を一括して光増幅するTDFAに入力する信号光のトータルパワーは実際には更に大きくなることが予想される。また、また、実使用状態を考慮するならば、トータル入力信号光パワーを一定とすべきではなく、出力信号光パワーを一定とすべく利得の大きさを制御すべきである。また、文献2に記載されたTDFAは、実使用状態において想定される光伝送路の損失の動的変動や信号光の波数の動的変動が考慮されていない。更に、陸上の光通信システムでは、伝送装置は一般に温度0℃〜65℃の環境で動作する必要があるが、TDFの利得スペクトルの温度依存性が考慮された事例はない。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、実使用状態において想定される条件下においても利得の大きさと利得スペクトル形状とを制御し得る光増幅器(TDFA)、および、この光増幅器を含む光通信システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光増幅器は、Sバンド内において入力端に入力した所定波長域の複数の波長の信号光を光増幅して、その光増幅した信号光を出力端より出力する光増幅器であって、(1) 入力端から出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられ、Tm元素が光導波領域に添加され信号光を光増幅する光導波路と、(2) 励起光を光導波路に供給するものであって、励起光の波長が互いに異なる複数の励起光供給手段と、(3) 信号光伝搬経路上に光導波路と直列的に設けられ、信号光波長における透過特性が可変である透過特性可変光部品と、(4) 信号光の波数と、入力端に入力する信号光の入力パワーまたは出力端より出力される光の出力パワーを検知する信号光検知部と、(5) 波数毎に入力パワーまたは出力パワーの検知結果に基づいて、励起光供給手段より光導波路に供給される励起光のパワーを調整するとともに、信号光波長における透過特性可変光部品の透過特性をも調整して、光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
励起光供給手段は、波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光を光導波路に供給するとともに、波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光を光導波路に供給するのが好適である。
【0012】
この光増幅器は以下のように作用する。入力端から出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられTm元素が光導波領域に添加された光導波路は、励起光供給手段により励起光が供給される。入力端に入力したSバンドの信号光は、この光導波路により光増幅され、透過特性可変光部品により損失を受けて、出力端より出力される。また、入力端に入力する信号光のパワーもしくは波数、または、出力端より出力される光のパワーは、信号光検知部により検知される。そして、制御部により、信号光検知部による検知結果に基づいて、励起光供給手段より光導波路に供給される励起光のパワーが調整されるとともに、信号光波長における透過特性可変光部品の透過特性も調整されて、光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方が制御される。この光増幅器は、実使用状態において想定される条件下においても利得の大きさと利得スペクトル形状とが制御され得る。
【0013】
また、本発明に係る光増幅器では、信号光検知部は、光導波路における信号光増幅の利得帯域内の2以上の波長で、出力端より出力する信号光のパワー、光導波路における信号光増幅の利得、または、ASE光のパワーを検知するのが好適である。この場合には、出力信号光パワー、利得またはASE光パワーが信号光検知部により2以上の波長で検知され、これに基づいて利得の大きさ及び利得傾斜の双方が求められる。
【0014】
また、本発明に係る光増幅器では、信号光検知部は、光導波路の側方に出射される自然放出光のパワーを検出することで、光導波路における信号光増幅の利得を検知するのが好適である。或いは、信号光検知部は、入力信号光の全パワーまたは出力光の全パワーと、光導波路における信号光増幅の利得帯域内の1以上の波長で、出力端より出力する信号光のパワー、光導波路における信号光増幅の利得、またはASE光のパワーと、を検知するのが好適であり、また、このとき、光導波路における信号光増幅の利得帯域内の1以上の波長が、信号光の波長帯域中の短波長側か若しくは長波長側にあるのが好適である。或いは、信号光検知部は、(1) 光導波路より出力された光のパワーの一部を分岐して取り出す光分岐カプラと、(2) 光分岐カプラにより取り出された光のうち特定波長の光を選択的に透過させるフィルタと、(3)フィルタを透過した特定波長の光のパワーを検出する受光部とを有するのが好適である。或いは、信号光検知部は、(1) 光導波路より出力された光のパワーの一部を分岐して取り出す光分岐カプラと、(2) 光分岐カプラにより取り出された光を回折する回折格子と、(3) 回折格子により回折された光のうち特定波長の光のパワーを検出する受光部とを有するのが好適である。これら何れの場合にも、利得の大きさ及び利得傾斜の双方が求められる。また、信号光検知部は、回折格子により回折された光のスペクトルに基づいて、入力端に入力する信号光の波数を検知するのが好適であり、この場合には、上位監視システムから独立した制御が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る光増幅器では、信号光検知部は、入力端に入力する信号光の全パワー、および、出力端より出力される光の全パワーを検知するのが好適である。或いは、信号光検知部は、信号光本線以外から受け渡される情報に基づいて、入力端に入力する信号光の波数を検知するのが好適である。これらの場合には、簡易な信号光検知部は簡易な構成となる。
【0016】
また、本発明に係る光増幅器では、透過特性可変光部品は、信号光波長における透過率が可変であるのが好適である。また、このとき、制御部は、入力端に入力する信号光の波数に基づいて、励起光供給手段より光導波路に供給される波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光のパワーを調整し、入力端に入力した信号光のパワーまたは出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長における透過特性可変光部品の透過率を調整して、光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、励起光供給手段より光導波路に供給される波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光のパワーを調整して、出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御するのが好適である。また、入力端に入力する各波長の信号光のパワーの変動量ΔPin[dB]、出力端より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーの変動量ΔPout[dB]、および、入力端に入力する信号光の波数に応じた値を有する係数Xに対して、透過特性可変光部品の透過率の変動量ΔA[dB]が「ΔA=X・(ΔPin−ΔPout)」なる式で表されるのが好適である。この場合には、信号光波長における透過率が可変である透過特性可変光部品が用いられて、この透過特性可変光部品の透過率が調整されるとともに、励起光源から出力される励起光のパワーが調整されて、利得の大きさ及び利得傾斜が制御される。このように制御されることで、励起光パワーの変動幅が小さくなり好ましい。
【0017】
また、本発明に係る光増幅器では、透過特性可変光部品は、信号光波長域における損失スペクトルの傾斜が可変であるのが好適である。また、このとき、制御部は、入力端に入力する信号光の波数に基づいて、励起光供給手段より光導波路に供給される波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光のパワーを調整し、入力端に入力した信号光のパワーまたは出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長域における透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜を調整して、光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、励起光供給手段より光導波路に供給される波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光のパワーを調整して、出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御するのが好適である。また、入力端に入力する各波長の信号光のパワーの変動量ΔPin[dB]、出力端より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーの変動量ΔPout[dB]、および、入力端に入力する信号光の波数に応じた値を有する係数Yに対して、信号光波長域における透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜の変動量ΔS[dB]が「ΔS=Y・(ΔPin−ΔPout)」なる式で表されるのが好適である。また、透過特性可変光部品は、信号光波長域における損失スペクトルの形状が波長軸方向にシフト可能であるのが好適である。このとき、制御部は、入力端に入力する信号光の波数に基づいて、信号光波長域における透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜および波長軸方向シフト量を調整し、入力端に入力する各波長の信号光のパワーおよび出力端より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーに基づいて、信号光波長域における透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜を調整して、光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、励起光供給手段より光導波路に供給される波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光のパワーを調整して、出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御するのが好適である。この場合には、信号光波長における損失傾斜が可変である透過特性可変光部品が用いられて、この透過特性可変光部品の損失傾斜が調整されるとともに、励起光源から出力される励起光のパワーが調整されて、利得の大きさ及び利得傾斜が制御される。このように制御されることで、励起光パワーの変動幅が小さくなり好ましい。
また、本発明に係る光増幅器では、光導波路は、信号光入力側の前段光導波路と信号光出力側の後段光増幅路とを有し、透過特性可変光部品は、前段光導波路と後段光増幅路の間に位置し、制御部は、波数に基づいて、励起光供給手段より前段光導波路に供給される励起光のパワーを調整し、かつ、入力端に入力した信号光のパワーまたは出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長における透過特性可変光部品の透過率を調整して、光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、かつ、励起光供給手段より後段光導波路に供給される励起光のパワーを調整して、出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御するのが好適である。
また、本発明に係る光増幅器では、光導波路は、信号光入力側の前段光導波路と信号光出力側の後段光増幅路とを有し、透過特性可変光部品は、前段光導波路と後段光増幅路の間に位置し、制御部は、波数に基づいて、信号光波長における透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜および波長軸方向シフト量を調整し、かつ、入力端に入力した信号光のパワーまたは出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長における透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜を調整して、光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、かつ、励起光供給手段より後段光導波路に供給される励起光のパワーを調整して、出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御するのが好適である。
【0018】
本発明に係る光増幅器は、Sバンド内において入力端に入力した所定波長域の複数の波長の信号光を光増幅して、その光増幅した信号光を出力端より出力する光増幅器であって、(1) 入力端から出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられ、Tm元素が光導波領域に添加され信号光を光増幅する光導波路と、(2) 波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光を光導波路に供給する励起光供給手段と、(3) 光導波路またはその近傍の温度を検出する温度検出部と、(4) 温度検出部による温度検出結果に基づいて、励起光供給手段より光導波路に供給される励起光のパワーを調整して、光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方を制御する制御部とを備えることを特徴とする。この光増幅器では、入力端から出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられTm元素が光導波領域に添加された光導波路は、励起光供給手段により励起光が供給される。入力端に入力したSバンドの信号光は、この光導波路により光増幅されて出力端より出力される。また、光導波路またはその近傍の温度が温度検出部により検出される。そして、制御部により、温度検出部による検出結果に基づいて、励起光供給手段より光導波路に供給される励起光のパワーが調整されて、光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方が制御される。
【0019】
本発明に係る光増幅器は、Sバンド内において入力端に入力した所定波長域の複数の波長の信号光を光増幅して、その光増幅した信号光を出力端より出力する光増幅器であって、(1) 入力端から出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられ、Tm元素が光導波領域に添加され信号光を光増幅する光導波路と、(2) 励起光を光導波路に供給する励起光供給手段と、(3) 信号光伝搬経路上に設けられ、信号光波長における透過特性が可変である透過特性可変光部品と、(4) 光導波路またはその近傍の温度を検出する温度検出部と、(5) 温度検出部による温度検出結果に基づいて、信号光波長における透過特性可変光部品の透過特性を調整して、光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方を制御する制御部とを備えることを特徴とする。この透過特性可変光部品は、信号光波長域における損失スペクトルの傾斜が可変であるのが好適であり、また、複数のマッハツェンダ型干渉計が多段構成されたものであるのが好適である。この光増幅器では、入力端から出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられTm元素が光導波領域に添加された光導波路は、励起光供給手段により励起光が供給される。入力端に入力したSバンドの信号光は、この光導波路により光増幅され、透過特性可変光部品により損失を受けた後に、出力端より出力される。また、光導波路またはその近傍の温度が温度検出部により検出される。そして、制御部により、温度検出部による検出結果に基づいて、信号光波長における透過特性可変光部品の透過特性が調整されて、光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方が制御される。
【0020】
上記の本発明に係る光増幅器に含まれる透過特性可変光部品は、損失傾斜が可変であるだけでなく、損失スペクトルの形状が波長方向にシフト可能であるのが好適であり、また、損失スペクトルの傾斜の制御と波長方向のシフトとが互いに独立に制御可能であるのが好適である。また、透過特性可変光部品は、損失スペクトルの波長方向のシフト可能量が10nm以上であるのが好適であり、15nm以上であれば更に好適である。
【0021】
本発明に係る光通信システムは、上記の本発明に係る何れかの光増幅器を含み、信号光を伝送するとともに、この信号光を光増幅器により光増幅することを特徴とする。この光通信システムによれば、所定波長帯域(1455〜1485nm)の信号光は、上記の光増幅器により光増幅される。したがって、所定波長帯域の信号光の伝送品質が優れたものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(比較例)
初めに、本実施形態に係る光増幅器と対比されるべき比較例の光増幅器について説明する。図1は、比較例の光増幅器900の構成図である。この図に示される光増幅器900は、入力端901から出力端902へ向かって順に、光分岐器111、光アイソレータ121、光結合器131、光結合器132、光増幅用ファイバ141、光アイソレータ122、光アイソレータ123、光結合器133、光結合器134、光増幅用ファイバ142、光結合器135、光アイソレータ124および光分岐器112を備える。また、この光増幅器900は、光分岐器111に接続された信号光検知部161、光分岐器112に接続された信号光検知部162、光結合器131に接続された励起光源171、光結合器132に接続された励起光源172、光結合器133に接続された励起光源173、光結合器134に接続された励起光源174、光結合器135に接続された励起光源175、および、制御部990を備える。
【0024】
光増幅用ファイバ141および142それぞれは、フッ化物系ガラスまたはテルライト系ガラスをホストガラスとする光導波路であり、少なくともコア領域にTm元素が添加されているTDFである。光増幅用ファイバ141,142は、励起光が供給されることにより所定波長帯域(1455〜1485nm)内の波長の信号光を光増幅する。
【0025】
光結合器131〜135および励起光源171〜175は、光増幅用ファイバ141,142に励起光を供給する励起光供給手段として作用する。励起光の波長帯は、1.05μm帯、1.2μm帯、1.4μm帯または1.55〜1.65μm帯である。励起光源171〜175として、半導体レーザ励起Nd:YLFレーザ光源、Nd:YAGレーザ光源、Ybレーザ光源、半導体レーザ光源、等が好適に用いられる。
【0026】
光結合器131は、励起光源171から出力された励起光を光結合器132に向けて出力するとともに、光アイソレータ121より到達した信号光をも光結合器132に向けて出力する。光結合器132は、励起光源172から出力された励起光を光増幅用ファイバ141に向けて出力するとともに、光結合器131より到達した光をも光増幅用ファイバ141に向けて出力する。
【0027】
光結合器133は、励起光源173から出力された励起光を光結合器134に向けて出力するとともに、光アイソレータ123より到達した信号光をも光結合器134に向けて出力する。光結合器134は、励起光源174から出力された励起光を光増幅用ファイバ142に向けて出力するとともに、光結合器133より到達した光をも光増幅用ファイバ142に向けて出力する。光結合器135は、励起光源175から出力された励起光を光増幅用ファイバ142に向けて出力するとともに、光増幅用ファイバ142より到達した光を光アイソレータ124に向けて出力する。
【0028】
光アイソレータ121〜124それぞれは、光を順方向(入力端901から出力端902へ向かう方向)にのみ光を通過させるが、逆方向には光を通過させない。
【0029】
光分岐器111は、入力端901と光アイソレータ121との間の光路上に設けられており、入力端901に入力した光のパワーの一部を分岐して、その分岐した光を信号光検知部161へ向けて出力する。信号光検知部161は、光分岐器111より到達した光を入力して、入力端901に入力した信号光のパワーを検知する。また、この信号光検知部161は、信号光波数を検知してもよい。
【0030】
光分岐器112は、光アイソレータ124と出力端902との間の光路上に設けられており、出力端902より出力される光のパワーの一部を分岐して、その分岐した光を信号光検知部162へ向けて出力する。信号光検知部162は、光分岐器112より到達した光を入力して、出力端902より出力する信号光のパワーを検知する。また、この信号光検知部162は、信号光波数を検知してもよい。
【0031】
制御部990は、信号光検知部161,162による検知結果を受け取り、励起光源171〜175それぞれから出力される励起光のパワーを調整する。
【0032】
この光増幅器900では、励起光源171,172より出力された励起光は、光増幅用ファイバ141へ順方向に供給される。励起光源173,174より出力された励起光は、光増幅用ファイバ142へ順方向に供給される。また、励起光源175より出力された励起光は、光増幅用ファイバ142へ逆方向に供給される。
【0033】
入力端901に入力した信号光は、光分岐器111、光アイソレータ121、光結合器131および光結合器132を順に経て、光増幅用ファイバ141に入力し、この光増幅用ファイバ141において光増幅される。光増幅用ファイバ141において光増幅された信号光は、光アイソレータ122、光アイソレータ123、光結合器133および光結合器134を順に経て、光増幅用ファイバ142に入力し、この光増幅用ファイバ142において光増幅される。光増幅用ファイバ142において光増幅された信号光は、光結合器135、光アイソレータ124および光分岐器112を順に経て、出力端902より出力される。
【0034】
光分岐器111において信号光のパワーの一部が分岐され、その分岐された信号光は信号光検知部161に入力して、この信号光検知部161により、入力信号光のパワーが検知される。また、光分岐器112において信号光のパワーの一部が分岐され、その分岐された信号光は信号光検知部162に入力して、この信号光検知部162により、出力信号光のパワーが検知される。そして、制御部990により、信号光検知部161,162による検知結果に基づいて、励起光源171〜175それぞれから出力される励起光のパワーが調整され、このようにして、光増幅器900における信号光増幅の利得または出力信号光パワーが制御される。
【0035】
次に、比較例の光増幅器900のより具体的な構成について説明する。この光増幅器900の入力端901に入力する信号光は、波長帯域1470.3〜1493.0nm内の最大32波(100GHz間隔)であり、波長毎のパワーが−29±4dBmであるとする。また、出力端902より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーが+3.5dBmであるとする。各波長の入力信号光のパワーの変動(±4dBm)は、光増幅器を中継器として用いた場合に前スパンの損失変動に相当する。前段の光増幅用ファイバ141は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が20mであるとする。後段の光増幅用ファイバ142は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が25mであるとする。
【0036】
励起光源172より前段の光増幅用ファイバ141に順方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、パワーが140mWで一定であるとする。励起光源174より後段の光増幅用ファイバ142に順方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、最大パワーが80mWであるとする。励起光源175より後段の光増幅用ファイバ142に逆方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、最大パワーが150mWであるとする。これら各々は、現在市販されている半導体レーザ光源1個で実現可能である。
【0037】
励起光源171より前段の光増幅用ファイバ141に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであって、パワーが+11dBmで一定であるとする。励起光源173より前段の光増幅用ファイバ142に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであって、パワーが+11dBmで一定であるとする。現在市販されている波長1.56μmの光を出力する半導体レーザ光源として、最大出力パワーが+13dBmであるものがある。2つの光結合器の挿入損失の和(1dBを幾らか超える程度)を考慮すれば、光増幅用ファイバ141,142への入力点における励起光パワーが+11dBmであるというのは妥当な範囲内である。
【0038】
図2は、比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。図3は、比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。これらの図には、入力信号光の波数が32で、トータル入力信号光パワーが−18dBm,−16dBm,−14dBm,−12dBmおよび−10dBmの各値である場合について、利得スペクトルまたは出力信号光スペクトルが示されている。図3では、トータル入力信号光パワーが−14dBmであるときを基準として、この基準との偏差が示されている。図2から判るように、入力信号光パワーが大きいほど、利得スペクトルは長波長側にシフトする。また、図3から判るように、出力信号光スペクトルは、信号光波長域で略直線的な形状を維持したまま、入力信号光パワーが大きいほど傾斜が負から正へ大きくなっていく。特に信号光波長域の両端付近では、出力信号光パワーは±1dB以上も変動する。
【0039】
ここでは、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光をも含むトータル出力光パワーがトータル入力信号光パワーの関数(図4)となるように、励起光源174,175より光増幅用ファイバ142に供給される励起光のパワーを調整して、トータル出力信号光パワーが+18.5dBmとなるよう制御した。なお、トータル出力信号光パワーの目標値からのトータル出力光パワーの乖離分は、
【数1】
なる式で表されるASE光パワーPASEである。ここで、Pinは入力信号光パワーであり、λは波長であり、Gは利得であり、NFは雑音指数である。
【0040】
特に、雑音指数NFの入力信号光パワーPin依存性が無視し得るほど小さいときには、ASE光パワーPASEは利得Gの1次関数として簡易に表される。雑音指数NFの入力信号光パワーPin依存性を小さくするには、前段の光増幅用ファイバ141へ供給される励起光のパワーを大きくして光増幅用ファイバ141を利得飽和の状態としておけばよい。
【0041】
以上のような制御方式では、入力信号光および出力光それぞれのトータルパワーを信号光検知部161,162により検知すればよいので、制御が容易である。しかし、実際の光通信システムでは、中継区間の損失の変動だけでなく、送受信すべき情報の容量などに応じて信号光波数の変動もあり得る。そこで、以下では、信号光波数の変動の影響について説明する。
【0042】
図5は、比較例の光増幅器900の入力信号光8波時の利得スペクトルを示す図である。図6は、比較例の光増幅器900の入力信号光8波時の出力信号光スペクトルを示す図である。これらの図には、入力信号光の波数が8で、トータル入力信号光パワーが−24dBm,−22dBm,−20dBm,−18dBmおよび−16dBmの各値である場合について、利得スペクトルまたは出力信号光スペクトルが示されている。図6では、トータル入力信号光パワーが−14dBmであるときを基準として、この基準との偏差が示されている。図5から判るように、入力信号光パワーが大きいほど、利得スペクトルは長波長側にシフトする。また、図6から判るように、出力信号光スペクトルは、信号光波長域で略直線的な形状を維持したまま、入力信号光パワーが大きいほど傾斜が負から正へ大きくなっていく。特に波長1493nm付近では、出力信号光パワーは±1dB以上も変動する。
【0043】
入力信号光の波数が32であるときの利得スペクトル(図2)と、入力信号光の波数が8であるときの利得スペクトル(図5)とを比較すると、波長毎の入力信号光パワーが同じであっても、利得スペクトルは異なっている。このような現象は、EDFAでは見られず、Tmイオンの4準位系の遷移を利用するTDFAに特有のものである。
【0044】
図3に見られるような出力信号光スペクトルの変動を抑制するための1手段として、信号光波長域の両端付近の出力信号光パワーの偏差が零となるように(すなわち、利得傾斜が零となるように)、励起光源171,173から光増幅用ファイバ141,142に供給される波長1.56μmの励起光のパワーを制御することが考えられる。図7は、波長1.56μm励起光パワーを制御したときの比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。図8は、波長1.56μm励起光パワーを制御したときの比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。図9は、比較例の光増幅器900における波長1.56μm励起光パワーとトータル入力信号光パワーとの関係を示す図である。
【0045】
図9に示されるように、トータル入力信号光パワーが大きいほど、励起光源171,173から光増幅用ファイバ141,142に供給される波長1.56μmの励起光のパワーは小さくされる。このときの利得スペクトルは、図7に示されるように、入力信号光パワーに依存した波長シフトが抑制される。また、このときの出力信号光スペクトルは、図8に示されるように、傾斜の変動が抑制されるものの、波長1493nm付近では出力信号光パワーの変動が±0.4dB程度となっている。
【0046】
陸上で用いられる中継器としての光増幅器では、利得偏差は1dBp-p以下であることが望ましい。しかし、上記の例では、入力信号光パワーが変動しただけで、この利得偏差の許容値にほぼ達する。このことから、例えば、光増幅器900の利得を等化する利得等化フィルタを挿入した場合に、その利得等化フィルタの製造バラツキ等により、必要なマージンが無くなるという問題がある。また、各波長の入力信号光パワーの変動幅を上記の例の8dBp-pより大きく設定しなければならない場合もあり、この場合には、出力信号光パワーの変動が±0.4dB程度を超えることになる。このように、比較例の光増幅器900は、実使用状態において想定される条件下において使用するには不充分なものである。
【0047】
(第1実施形態)
次に、本発明に係る光増幅器の第1実施形態について説明する。図10は、第1実施形態に係る光増幅器100の構成図である。この図に示される光増幅器100は、入力端101から出力端102へ向かって順に、光分岐器111、光アイソレータ121、光結合器131、光結合器132、光増幅用ファイバ141、光アイソレータ122、透過特性可変光部品150、光アイソレータ123、光結合器133、光結合器134、光増幅用ファイバ142、光結合器135、光アイソレータ124および光分岐器112を備える。また、この光増幅器100は、光分岐器111に接続された信号光検知部161、光分岐器112に接続された信号光検知部162、光結合器131に接続された励起光源171、光結合器132に接続された励起光源172、光結合器133に接続された励起光源173、光結合器134に接続された励起光源174、光結合器135に接続された励起光源175、および、制御部190を備える。
【0048】
比較例の光増幅器900(図1)と比較すると、この第1実施形態の光増幅器100は、光アイソレータ122と光アイソレータ123との間に透過特性可変光部品150が設けられている点、および、制御部990に替えて制御部190が設けられている点、で相違する。透過特性可変光部品150は、信号光波長における透過率が可変のものであり、その透過率が制御部190により制御される。制御部190は、信号光検知部161,162による検知結果(入力信号光パワー、信号光波数、出力信号光パワー)を受け取り、或いは、信号光本線以外の例えば監視システムより信号光波数情報を受け取り、これらの何れかに基づいて、励起光源171〜175それぞれから出力される励起光のパワーを制御し、また、透過特性可変光部品150の透過率を制御する。
【0049】
信号光検知部161,162は、光増幅用ファイバ141,142の信号光増幅の利得帯域における2以上の波長で、出力信号光パワー、光増幅の利得およびASE光のパワーの何れかを検知するものである。また、信号光検知部161は入力信号光の全パワーを検知してもよいし、信号光検知部162は出力光の全パワーを検知してもよい。或いは、光増幅用ファイバ141,142の側方に出射される自然放出光のパワーを検出することで、光増幅用ファイバ141,142における光増幅の利得を検知するようにしてもよい。また、監視システムから受け渡される情報に基づいて、信号光波数を検知してもよい。
【0050】
図11は、第1実施形態に係る光増幅器100の信号光検知部162の構成例を示す図である。この図に示される信号光検知部162は、光分岐器1631,1632、光フィルタ1641,1642、および、受光素子1651〜1653を有している。光分岐器1631は、光分岐器112より到達した光を2分岐して、分岐した一方の光を光分岐器1632へ向けて出力し、他方の光を受光素子1653へ向けて出力する。光分岐器1632は、光分岐器1631より到達した光を2分岐して、分岐した一方の光を光フィルタ1641へ向けて出力し、他方の光を光フィルタ1642へ向けて出力する。
【0051】
光フィルタ1641は、光分岐器1632より到達した光を入力して、光増幅用ファイバ142において光増幅された信号光の波長帯域のうち短波長側にある特定波長の光を選択的に透過させる。光フィルタ1642は、光分岐器1632より到達した光を入力して、信号光波長帯域のうち長波長側にある特定波長の光を選択的に透過させる。
【0052】
受光素子1651は、光フィルタ1641を透過した光を受光し、その受光した光のパワーに応じた電気信号を制御部190へ向けて出力する。受光素子1652は、光フィルタ1642を透過した光を受光し、その受光した光のパワーに応じた電気信号を制御部190へ向けて出力する。また、受光素子1653は、光分岐器1631より到達した光を受光し、その受光した光のパワーに応じた電気信号を制御部190へ向けて出力する。
【0053】
したがって、図11に示される信号光検知部162は、受光素子1651および1652により、光分岐器112より到達した光のパワーを2波長でモニタすることができ、利得傾斜をモニタすることができる。また、この信号光検知部162は、受光素子1653により、光分岐器112より到達した光の全パワーをモニタすることができる。この信号光検知部162は簡易な構成で安価である点で好適である。なお、図11において、光フィルタ1642および受光素子1652を設けることなく、光フィルタ1641として透過波長域が可変のものを用いてもよい。
【0054】
図12は、第1実施形態に係る光増幅器100の信号光検知部162の他の構成例を示す図である。この図に示される信号光検知部162は、アレイ導波路型回折格子(AWG: Arrayed Waveguide Grating)166および受光素子1671〜167Nを有している。ただし、Nは2以上の整数である。
【0055】
AWG166は、平面基板上に複数本の光導波路がアレイ状に形成されてなる回折格子であって、入力した光を合波または分波して出力することができる。ここでは、AWG166は光分波器として用いられる。すなわち、AWG166は、光分岐器112より到達した光を分波して、その分波した各波長の光を受光素子1671〜167Nへ向けて出力する。受光素子1671〜167Nそれぞれは、AWG166により出力されて到達した各波長の光を受光し、その受光した光のパワーに応じた電気信号を制御部190へ向けて出力する。
【0056】
したがって、図12に示される信号光検知部162は、受光素子1671〜167Nにより、光分岐器112より到達した光のパワーをN波長でモニタすることができ、利得傾斜をモニタすることができる。また、この信号光検知部162は、受光素子1671〜167Nそれぞれによるモニタ結果に基づいて、光分岐器112より到達した光の全パワーをモニタすることができる。この信号光検知部162は、多くの波長で高精度にモニタすることができ、また、信号光波数を検知することできるので、これらの点で好適である。
【0057】
次に、第1実施形態に係る光増幅器100のより具体的な構成について説明する。この光増幅器100の入力端101に入力する信号光は、波長帯域1470.3〜1493.0nm内の最大32波(100GHz間隔)であり、波長毎のパワーが−29±4dBmであるとする。また、出力端102より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーが+3.5dBmであるとする。前段の光増幅用ファイバ141は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が20mであるとする。後段の光増幅用ファイバ142は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が25mであるとする。
【0058】
励起光源172より前段の光増幅用ファイバ141に順方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、パワーが140mWで一定であるとする。励起光源174より後段の光増幅用ファイバ142に順方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、最大パワーが80mWであるとする。励起光源175より後段の光増幅用ファイバ142に逆方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、最大パワーが150mWであるとする。励起光源174,175から出力される励起光のパワーは、上述した比較例の場合と同様にして制御される。
【0059】
励起光源171より前段の光増幅用ファイバ141に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであって、パワーが+11dBmで一定であるとする。励起光源173より前段の光増幅用ファイバ142に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであって、パワーが+11dBmで一定であるとする。
【0060】
また、透過特性可変光部品150における損失の変動量ΔA[dB]は、
【数2】
なる式に基づいて制御される。ここで、ΔPin[dB]は入力信号光パワーの変動量であり、Xは信号光波数に応じた値を有する係数である。なお、中継スパンに敷設される光ファイバの品種等に応じて出力信号光の目標パワーの変動量を変更する必要があるような場合には、透過特性可変光部品150における損失の変動量ΔA[dB]は、
【数3】
なる式に基づいて制御される。ここで、ΔPout[dB]は出力信号光の目標パワーの変動量である。
【0061】
図13は、第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。図14は、第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。これらの図には、Xの値が1で、信号光波数が32で、トータル入力信号光パワーが−18dBm,−16dBm,−14dBm,−12dBmおよび−10dBmの各値である場合について、利得スペクトルまたは出力信号光スペクトルが示されている。図14から判るように、上記(2)式に基づく制御により、信号光波長域における出力信号光パワーの変動は−0.3dB〜+0.1dBの範囲内に抑制されている。
【0062】
図15は、第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光8波時の利得スペクトルを示す図である。図16は、第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光8波時の出力信号光スペクトルを示す図である。これらの図には、Xの値が0.9で、信号光波数が8で、トータル入力信号光パワーが−24dBm,−22dBm,−20dBm,−18dBmおよび−16dBmの各値である場合について、利得スペクトルまたは出力信号光スペクトルが示されている。ここでは、励起光源171から光増幅用ファイバ141へ供給される波長1.56μmの励起光のパワー、および、励起光源173から光増幅用ファイバ142へ供給される波長1.56μmの励起光のパワーそれぞれは、信号光波数の減少に伴う利得スペクトルの短波長側へのシフトを補償するために、+12dBmに設定される。また、信号光波数の減少に伴い利得スペクトルの傾斜が小さくなることから、Xの値は0.9とされる。この場合には、信号光波長域における出力信号光パワーの変動は±0.2dB以内の範囲内に抑制されている。
【0063】
ただし、信号光波数が32の場合(図13、図14)および信号光波数が8の場合(図15、図16)の双方で、波長毎の入力信号光パワーが−33dBmであるときには、やはり利得傾斜が生じる。これは、EDFAの場合には原理的に上記(3)式が成り立つ(このとき、Xは波数に拘わらず常に値が1)のに対して、TDFAの場合には、厳密には、(ΔPin−ΔPout)に対してΔAが非線形な関数であることに起因する。そこで、波長毎の入力信号光パワーの変動が上記の例の8dBp-pを超えることが想定される場合には、一次関数である上記(3)式に替えて二次関数(または更に高次の関数)を用いることにより、より良好な出力信号光スペクトルを維持することができる。
【0064】
なお、励起光源171,173から出力される波長1.56μmの励起光のパワーを一定とし、或いは、励起光源171,173から波長1.56μmの励起光を出力しないで、励起光源172,174,175それぞれから出力される波長1.42μmの励起光のパワーおよび透過特性可変光部品150の透過率を制御することも考えられる。しかし、この場合には、図17に示されるように、信号光波数が変動したときに利得傾斜が発生する。図17は、トータル入力信号光パワーの各値について出力信号光スペクトルを示す図である。ただし、Pin=−14dBmであってPout=+18.5dBmである場合を基準としている。この図17に示されるような利得傾斜を透過特性可変光部品150の透過率の調整により補償しようとするならば、信号光波数が32から8へ(またはその逆に)変動したときに、透過特性可変光部品150の透過率の変動量は5dBも必要となる。また、波長毎の入力信号光パワーの変動量が8dBp-pであると、透過特性可変光部品150の透過率の変動量は10dB以上も必要となる。このことは、雑音特性や励起効率に関して大きなデメリットをもたらすので、好ましくない。
【0065】
また、信号光波数が変動した場合および波長毎の入力信号光パワーが変動した場合の何れでも、励起光源171,173から出力される波長1.56μmの励起光のパワーを制御するのは好ましくない。何故なら、既に図7〜図9で説明したとおり、信号光波数が32であるときでも、波長毎の入力信号光パワーが小さいときには、波長1.56μmの励起光のパワーは+11.6dBmも必要となる。信号光波数が減少したときには、波長1.56μmの励起光のパワーは+12dBm以上も必要となる。ところが、波長1.56μmの光を出力する市販の半導体レーザ光源では、最大出力パワーが+13dBm程度であるので、光増幅用ファイバ141,142へ入力する時点での波長1.56μmの励起光のパワーを+12dBm以上とするのは困難である。このことから、励起光源171,173から出力される波長1.56μmの励起光のパワーを制御するのは好ましくない。
【0066】
そこで、上述したように、利得を一定に維持すればよい信号光波数の変動時には、その信号光波数に基づいて、各励起光源より光増幅用ファイバ141,142に供給される励起光のパワーを調整し、また、波長毎の入力信号光パワーまたは出力信号光パワー目標値の変動時には、それらに基づいて、透過特性可変光部品150の透過率を調整して、信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御するのが好ましい。また、波長1.42μm帯の励起光のパワーを調整して、各波長の出力信号光パワーを制御するのが好ましい。このようにすることにより、透過特性可変光部品150の透過率の変動量が小さくなって、雑音特性や励起効率が優れ、また、光源171,173が出力する波長1.56μmの励起光のパワーの要求値が軽減される。
【0067】
以上では、励起光源171,173は、波長1.56μmの励起光を出力するものとしたが、波長帯1.55〜1.65μmに含まれる波長の励起光を出力するものであってもよく、後者の場合にも同程度の励起効率が得られる。また、励起光源171,173は、波長1.2μm帯の励起光を出力するものであってもよい。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る光増幅器の第2実施形態について説明する。図18は、第2実施形態に係る光増幅器200の構成図である。この図に示される光増幅器200は、入力端201から出力端202へ向かって順に、光分岐器111、光アイソレータ121、光結合器131、光結合器132、光増幅用ファイバ141、光アイソレータ122、透過特性可変光部品250、光アイソレータ123、光結合器133、光結合器134、光増幅用ファイバ142、光結合器135、光アイソレータ124および光分岐器112を備える。また、この光増幅器200は、光分岐器111に接続された信号光検知部161、光分岐器112に接続された信号光検知部162、光結合器131に接続された励起光源171、光結合器132に接続された励起光源172、光結合器133に接続された励起光源173、光結合器134に接続された励起光源174、光結合器135に接続された励起光源175、および、制御部290を備える。
【0069】
第1実施形態に係る光増幅器100(図10)と比較すると、この第2実施形態の光増幅器200は、光アイソレータ122と光アイソレータ123との間に透過特性可変光部品150に替えて透過特性可変光部品250が設けられている点、および、制御部190に替えて制御部290が設けられている点、で相違する。透過特性可変光部品250は、信号光波長における損失スペクトルの傾斜が可変のものであり、その損失傾斜が制御部290により制御される。制御部290は、信号光検知部161,162による検知結果(入力信号光パワー、信号光波数、出力信号光パワー)を受け取り、或いは、監視システムより信号光波数情報を受け取り、これらの何れかに基づいて、励起光源171〜175それぞれから出力される励起光のパワーを制御し、また、透過特性可変光部品250の損失傾斜を制御する。
【0070】
図19は、第2実施形態に係る光増幅器200の透過特性可変光部品250の構成例を示す図である。この図に示される透過特性可変光部品250は、平面基板251上に3本の光導波路252a〜252cが形成されたものである。第1光導波路252aは、基板251の端面に位置する入力端250aから出力端250bに至るまで形成されている。第2光導波路252bは光結合器253a,253bにおいて第1光導波路252aと光結合されており、これらは第1のマッハツェンダ型干渉計を構成している。第3光導波路252cは光結合器253c,253dにおいて第1光導波路252aと光結合されており、これらは第2のマッハツェンダ型干渉計を構成している。また、光結合器253aと光結合器253bとの間において、第1光導波路252a上にヒータ254aが設けられ、第2光導波路252b上にヒータ254bが設けられている。光結合器253cと光結合器253dとの間において、第1光導波路252a上にヒータ254cが設けられ、第3光導波路252c上にヒータ254dが設けられている。
【0071】
このように構成される透過特性可変光部品250では、光結合器253aと光結合器253bとの間における第1光導波路252aおよび第2光導波路252bそれぞれの光路長の差は、ヒータ254aによる第1光導波路252aの温度調整、および、ヒータ254bによる第2光導波路252bの温度調整に依存する。また、光結合器253cと光結合器253dとの間における第1光導波路252aおよび第3光導波路252cそれぞれの光路長の差は、ヒータ254cによる第1光導波路252aの温度調整、および、ヒータ254dによる第3光導波路252cの温度調整に依存する。そして、入力端250aから出力端250bへ至る光の透過特性は、これらの光路長差および光結合器253a〜253dそれぞれの光結合率に依存する。
【0072】
図20は、第2実施形態に係る光増幅器200の透過特性可変光部品250の損失スペクトルの1例を示す図である。この図に示されるように、透過特性可変光部品250の損失スペクトルは、ヒータ254a,254bによる第1光導波路252aの温度調整により調整可能であり、特に、特定波長における損失を略一定に維持したまま損失傾斜を変化させることができ、しかも、その損失[単位dB]は波長に対して略線形的である。したがって、この透過特性可変光部品250は、単なる出力一定制御時に信号光波長域で略直線的な形状を有する出力信号光スペクトル(図3,図6)の傾斜を補償するのに好適に用いられる。
【0073】
次に、第2実施形態に係る光増幅器200のより具体的な構成について説明する。この光増幅器200の入力端201に入力する信号光は、波長帯域1470.3〜1493.0nm内の最大32波(100GHz間隔)であり、波長毎のパワーが−29±4dBmであるとする。また、出力端202より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーが+3.5dBmであるとする。前段の光増幅用ファイバ141は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が20mであるとする。後段の光増幅用ファイバ142は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が25mであるとする。
【0074】
励起光源172より前段の光増幅用ファイバ141に順方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、パワーが140mWで一定であるとする。励起光源174より後段の光増幅用ファイバ142に順方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、最大パワーが80mWであるとする。励起光源175より後段の光増幅用ファイバ142に逆方向に供給される励起光は、波長が1.42μmであって、最大パワーが150mWであるとする。励起光源174,175から出力される励起光のパワーは、上述した比較例の場合と同様にして制御される。
【0075】
励起光源171より前段の光増幅用ファイバ141に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであって、パワーが+11dBmで一定であるとする。励起光源173より前段の光増幅用ファイバ142に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであって、パワーが+11dBmで一定であるとする。
【0076】
また、透過特性可変光部品250における損失傾斜の変動量ΔS[dB]は、
【数4】
なる式に基づいて制御される。ここで、ΔPin[dB]は入力信号光パワーの変動量であり、ΔPout[dB]は出力信号光の目標パワーの変動量であり、Yは、信号光波数に応じた値を有する係数である。信号光波数が少ないほど、係数Yの値は小さい。これは、信号光波数が少ないほど、光増幅用ファイバ174,175中のTmイオンの飽和の度合いに対する入力信号光の影響が小さくなるからである。
【0077】
図21は、第2実施形態に係る光増幅器200の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。図22は、第2実施形態に係る光増幅器200の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。図23は、第2実施形態に係る光増幅器200の透過特性可変光部品250の入力信号光32波時の損失スペクトルを示す図である。これらの図には、Yの値が0.7で、信号光波数が32で、トータル入力信号光パワーが−18dBm,−16dBm,−14dBm,−12dBmおよび−10dBmの各値である場合について、利得スペクトル、出力信号光スペクトルまたは損失スペクトルが示されている。図22から判るように、上記(4)式に基づく制御により、信号光波長域における出力信号光パワーの変動は±0.3dBの範囲内に抑制されている。
【0078】
信号光の波数および波長毎の信号光入出力パワーの双方が変動する場合、第1実施形態で説明したとおり、利得を一定に維持すればよい信号光波数変動時には、その信号光波数に基づいて、励起光源171,173から出力される励起光のパワーを調整し、波長毎の入力信号光パワーまたは出力信号光パワー目標値の変動時には、それらに基づいて、透過特性可変光部品250の入力信号を調整して、信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御することが望ましい。本制御方式により、光源171,173が出力する波長1.56μm帯の励起光のパワーの要求値が軽減され、また、透過特性可変光部品250において実現しなければならない損失スペクトル傾斜の最大値が軽減される。
【0079】
なお、この光増幅器200において透過特性が可変の透過特性可変光部品が無く、励起光源171,173から出力される励起光のパワーが一定に維持されるとした場合、信号光波数が32から8に変動したときに、図17に示されたように利得傾斜が発生する。一方、図19に示された構成の透過特性可変光部品250は、損失傾斜が可変であるだけでなく、損失スペクトルの形状が波長軸方向にシフト可能である。すなわち、透過特性可変光部品250は、その損失傾斜を変化させたときに損失が略一定に維持される特定波長(クロスポイント)も可変である。したがって、信号光波数が変動したときに、図17に示されるように波長1476nmをクロスポイントとして利得傾斜が生じるような場合には、透過特性可変光部品250の損失傾斜およびクロスポイントの双方を変更することで、信号光波長域における出力信号光パワーの変動が小さく抑制され得る。
【0080】
また、このような損失スペクトルの傾斜が可変である透過特性可変光部品250は、第1実施形態における透過率が可変である透過特性可変光部品150と比較して、信号光波長域における平均の損失が小さい点でも好ましく、また、波長毎の入力信号光パワーが大きいときの雑音指数が改善される点でも好ましい。図24は、第1実施形態に係る光増幅器100の雑音指数特性を示す図である。図25は、第2実施形態に係る光増幅器200の雑音指数特性を示す図である。これらの図は、信号光波数が32であるときの雑音指数の波長依存性が示されている。これらの図を対比してわかるように、波長毎の入力信号光パワーがー25dBmと大きいときに、損失スペクトルの傾斜が可変である透過特性可変光部品250を有する第2実施形態に係る光増幅器200の方が雑音指数は良好となっている。波長毎の入力信号光パワーの変動幅が更に大きいときには、雑音指数の観点において、光増幅器200の方が更に優位となる。
【0081】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る光増幅器の第3実施形態について説明する。図26は、第3実施形態に係る光増幅器300の構成図である。この図に示される光増幅器300は、入力端301から出力端302へ向かって順に、光分岐器311、光アイソレータ321、光結合器331、光増幅用ファイバ341、光結合器332、光アイソレータ322、透過特性可変光部品350、光結合器334、光増幅用ファイバ342、光結合器335、光アイソレータ323および光分岐器312を備える。また、この光増幅器300は、光分岐器311に接続された信号光検知部361、光分岐器312に接続された信号光検知部362、光結合器331に接続された励起光源371、光結合器332に接続された励起光源372、光結合器334に接続された励起光源374、光結合器335に接続された励起光源375、および、制御部390を備える。
【0082】
光増幅用ファイバ341および342それぞれは、フッ化物系ガラスまたはテルライト系ガラスをホストガラスとする光導波路であり、少なくともコア領域にTm元素が添加されているTDFである。光増幅用ファイバ341,342は、励起光が供給されることにより所定波長帯域(1455〜1485nm)内の波長の信号光を光増幅する。
【0083】
光結合器331〜335および励起光源371〜375は、光増幅用ファイバ341,342に励起光を供給する励起光供給手段として作用する。励起光の波長帯は、1.05μm帯、1.2μm帯、1.4μm帯または1.55〜1.65μm帯である。励起光源371〜375として、半導体レーザ励起Nd:YLFレーザ光源、Nd:YAGレーザ光源、Ybレーザ光源、半導体レーザ光源、等が好適に用いられる。
【0084】
光結合器331は、励起光源371から出力された励起光を光増幅用ファイバ341に向けて出力するとともに、光アイソレータ321より到達した信号光をも光増幅用ファイバ341に向けて出力する。光結合器332は、励起光源372から出力された励起光を光増幅用ファイバ341に向けて出力するとともに、光増幅用ファイバ341より到達した光を光アイソレータ322に向けて出力する。
【0085】
光結合器334は、励起光源374から出力された励起光を光増幅用ファイバ342に向けて出力するとともに、透過特性可変光部品350より到達した光をも光増幅用ファイバ342に向けて出力する。光結合器335は、励起光源375から出力された励起光を光増幅用ファイバ342に向けて出力するとともに、光増幅用ファイバ342より到達した光を光アイソレータ324に向けて出力する。
【0086】
光アイソレータ321〜323それぞれは、光を順方向(入力端301から出力端302へ向かう方向)にのみ光を通過させるが、逆方向には光を通過させない。
【0087】
光分岐器311は、入力端301と光アイソレータ321との間の光路上に設けられており、入力端301に入力した光のパワーの一部を分岐して、その分岐した光を信号光検知部361へ向けて出力する。信号光検知部361は、光分岐器311より到達した光を入力して、入力端301に入力した信号光のパワーを検知する。光分岐器312は、光アイソレータ323と出力端302との間の光路上に設けられており、出力端302より出力される光のパワーの一部を分岐して、その分岐した光を信号光検知部362へ向けて出力する。信号光検知部362は、光分岐器312より到達した光を入力して、出力端302より出力する信号光のパワーを検知する。また、信号光検知部361,362は、信号光波数を検知してもよい。信号光検知部362は、第1実施形態で説明したものと同様の構成である。
【0088】
信号光検知部361,362は、光増幅用ファイバ341,342の信号光増幅の利得帯域における2以上の波長で、出力信号光パワー、光増幅の利得およびASE光のパワーの何れかを検知するものである。また、信号光検知部161は入力信号光の全パワーを検知してもよいし、信号光検知部162は出力光の全パワーを検知してもよい。或いは、光増幅用ファイバ141,142の側方に出射される自然放出光のパワーを検出することで、光増幅用ファイバ141,142における光増幅の利得を検知するようにしてもよい。また、信号光本線以外の例えば監視システムから受け渡される情報に基づいて、信号光波数を検知してもよい。
【0089】
透過特性可変光部品350は、信号光波長における損失スペクトルの傾斜が可変のものであり、その損失傾斜が制御部390により制御される。この透過特性可変光部品350は、第2実施形態で説明したものと同様の構成である。制御部390は、信号光検知部361,362による検知結果(入力信号光パワー、信号光波数、出力信号光パワー)を受け取り、或いは、監視システムより信号光波数情報を受け取り、これらの何れかに基づいて、励起光源371〜374それぞれから出力される励起光のパワーを制御し、また、透過特性可変光部品350の損失傾斜を制御する。
【0090】
この光増幅器300では、励起光源371より出力された励起光は、光増幅用ファイバ341へ順方向に供給される。励起光源372より出力された励起光は、光増幅用ファイバ341へ逆方向に供給される。励起光源374より出力された励起光は、光増幅用ファイバ342へ順方向に供給される。また、励起光源375より出力された励起光は、光増幅用ファイバ342へ逆方向に供給される。
【0091】
入力端301に入力した信号光は、光分岐器311、光アイソレータ321および光結合器331を順に経て、光増幅用ファイバ341に入力し、この光増幅用ファイバ341において光増幅される。光増幅用ファイバ341において光増幅された信号光は、光結合器332、光アイソレータ322、透過特性可変光部品350および光結合器334を順に経て、光増幅用ファイバ342に入力し、この光増幅用ファイバ342において光増幅される。光増幅用ファイバ342において光増幅された信号光は、光結合器335、光アイソレータ323および光分岐器312を順に経て、出力端302より出力される。
【0092】
光分岐器311において信号光のパワーの一部が分岐され、その分岐された信号光は信号光検知部361に入力して、この信号光検知部361により、入力信号光のパワーが検知される。また、光分岐器312において信号光のパワーの一部が分岐され、その分岐された信号光は信号光検知部362に入力して、この信号光検知部362により、出力信号光のパワーが検知される。そして、制御部390により、信号光検知部361,362による検知結果に基づいて、励起光源371〜374それぞれから出力される励起光のパワーが調整され、また、透過特性可変光部品350の損失傾斜が調整され、このようにして、光増幅器300における信号光増幅の利得または出力信号光パワーが制御される。
【0093】
次に、第3実施形態に係る光増幅器300のより具体的な構成について説明する。この光増幅器300の入力端301に入力する信号光は、波長帯域1457.4〜1479.7nm内の最大32波(100GHz間隔)であり、波長毎のパワーが−29±4dBmであるとする。また、出力端302より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーが+3.5dBmであるとする。前段の光増幅用ファイバ341は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が20mであるとする。後段の光増幅用ファイバ342は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が25mであるとする。
【0094】
励起光源371より前段の光増幅用ファイバ341に順方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、パワーが120mWで一定であるとする。励起光源372より前段の光増幅用ファイバ341に逆方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、パワーが40mWで一定であるとする。励起光源374より後段の光増幅用ファイバ342に順方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、最大パワーが100mWであるとする。励起光源375より後段の光増幅用ファイバ342に逆方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、最大パワーが200mWであるとする。励起光源374,375から出力される励起光のパワーは、上述した比較例の場合と同様にして制御される。これら各々は、近年開発された半導体レーザ光源1個で実現可能である。また、励起光源371および励起光源372それぞれから出力される励起光の波長が同一であって各々一定パワーであり、また、両者のパワーの和が160mWであるから、2つの励起光源371,372に替えて1つの励起光源と光分岐器(分岐比3:1)とを設けて、この1つの励起光源から出力された励起光を光分岐器により2分岐して光結合器331,332へ出力するようにしてもよい。また、透過特性可変光部品350における損失傾斜の変動量ΔS[dB]は、上記(4)式に基づいて制御される。
【0095】
図27は、第3実施形態に係る光増幅器300の利得スペクトルを示す図である。図28は、第3実施形態に係る光増幅器300の出力信号光スペクトルを示す図である。ここでは、透過特性可変光部品350の損失傾斜は信号光波数に依らず平坦とされた。また、これらの図中で、Minは波長毎の入力信号光パワーが−33dBmの場合を示し、Midは波長毎の入力信号光パワーが−29dBmの場合を示し、Maxは波長毎の入力信号光パワーが−25dBmの場合を示す。また、Min,MidおよびMaxそれぞれに続く括弧の中の数値は信号光波数を示す。例えば、Min(32)は波数32で波長毎の入力信号光パワーが−33dBmの場合を示し、Mid(8)は波数8で波長毎の入力信号光パワーが−29dBmの場合を示し、Max(4)は波数4で波長毎の入力信号光パワーが−25dBmの場合を示す。これらの図から判るように、波長1.05μmの励起光を用いた場合の出力信号光スペクトルは、波長1.45μmの励起光を用いた場合と比較すると直線的ではないが、信号光波長域内では直線近似が可能である。
【0096】
図29は、第3実施形態に係る光増幅器300の利得スペクトルを示す図である。図30は、第3実施形態に係る光増幅器300の出力信号光スペクトルを示す図である。図30は、第3実施形態に係る光増幅器300の透過特性可変光部品350の損失特性を示す図である。ここでは、透過特性可変光部品350の損失傾斜は信号光波数に応じて調整され、また、信号光波数が最大波数32で入力信号光パワーが最小値−33dBmであるときに損失傾斜が平坦となるように設定された。そして、信号光波数が32であるときには上記(4)式中の係数Yの値は0.35とされ、信号光波数が8であるときには係数Yの値は0.17とされ、信号光波数が4であるときには係数Yの値は0.13とされた。これらの図から判るように、上記(4)式に基づく制御により、入力信号光パワーおよび信号光波数それぞれの変動範囲の全域において、信号光波長域における出力信号光パワーの変動は±0.3dB以内の範囲内に抑制されている。なお、このとき、波長1.2μm帯および波長1.55〜1.65μm帯の何れの励起光も不要である。
【0097】
なお、波長1.4μm帯の励起光を用いた場合に見られたような出力信号光スペクトルの傾斜変動におけるクロスポイントの波長シフトは、本実施形態のように波長1.05μm帯の励起光を用いた場合には軽微であるので、透過特性可変光部品350のクロスポイントの波長シフトは殆ど不要である。また、透過特性可変光部品350として図19に示されるような2つのマッハツェンダ型干渉計が直列に接続された構成のものが用いられる場合には、その透過特性は波長を変数とする正弦波関数の重ね合わせで表現できる。したがって、この透過特性可変光部品350は、図32に示されるような非直線的な損失スペクトルの実現も可能であるので、図28に示されるような非直線的な出力信号光スペクトルを補償することも可能である。
【0098】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る光増幅器の第4実施形態について説明する。図33は、第4実施形態に係る光増幅器400の構成図である。この図に示される光増幅器400は、入力端401から出力端402へ向かって順に、光分岐器311、光アイソレータ321、光結合器331、光増幅用ファイバ341、光結合器332、光アイソレータ322、光結合器333、光結合器334、光増幅用ファイバ342、光結合器335、光アイソレータ323および光分岐器312を備える。また、この光増幅器300は、光分岐器311に接続された信号光検知部361、光分岐器312に接続された信号光検知部362、光結合器331に接続された励起光源371、光結合器332に接続された励起光源372、光結合器333に接続された励起光源373、光結合器334に接続された励起光源374、光結合器335に接続された励起光源375、光増幅用ファイバ341またはその近傍の温度を検出する温度検出部381、光増幅用ファイバ342またはその近傍の温度を検出する温度検出部382、および、制御部490を備える。
【0099】
第3実施形態に係る光増幅器300(図26)と比較すると、この第4実施形態の光増幅器400は、透過特性可変光部品が設けられていない点、光アイソレータ322と光結合器334との間に光結合器333が設けられている点、この光結合器333に接続された励起光源373が設けられている点、温度検出部381,382が設けられている点、および、制御部390に替えて制御部490が設けられている点、で相違する。制御部490は、信号光検知部361,362による検知結果(入力信号光パワー、信号光波数、出力信号光パワー)および温度検出部381,382による温度検出結果を受け取り、或いは、監視システムより信号光波数情報を受け取り、これらの何れかに基づいて、励起光源371〜375それぞれから出力される励起光のパワーを制御する。
【0100】
次に、第4実施形態に係る光増幅器400のより具体的な構成について説明する。この光増幅器400の入力端401に入力する信号光は、波長帯域1462.4〜1484.9nm内の最大32波(100GHz間隔)であり、波長毎のパワーが−25±4dBmであるとする。また、出力端402より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーが+3.5dBmであるとする。前段の光増幅用ファイバ341は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が20mであるとする。後段の光増幅用ファイバ342は、Tm濃度が2000ppmであり、全長が25mであるとする。
【0101】
励起光源371より前段の光増幅用ファイバ341に順方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、パワーが120mWで一定であるとする。励起光源372より前段の光増幅用ファイバ341に逆方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、パワーが40mWで一定であるとする。励起光源373より後段の光増幅用ファイバ342に順方向に供給される励起光は、波長が1.56μmであるとする。励起光源374より後段の光増幅用ファイバ342に順方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、最大パワーが100mWであるとする。励起光源375より後段の光増幅用ファイバ342に逆方向に供給される励起光は、波長が1.05μmであって、最大パワーが200mWであるとする。励起光源373〜375それぞれから出力される励起光のパワーは、上述した比較例の場合と同様にして制御される。なお、2つの励起光源371,372に替えて1つの励起光源と光分岐器(分岐比3:1)とを設けて、この1つの励起光源から出力された励起光を光分岐器により2分岐して光結合器331,332へ出力するようにしてもよい。
【0102】
図34は、第4実施形態に係る光増幅器400の利得スペクトルを示す図である。図35は、第4実施形態に係る光増幅器400の出力信号光スペクトルを示す図である。これらの図中で、Minは波長毎の入力信号光パワーが−33dBmの場合を示し、Midは波長毎の入力信号光パワーが−29dBmの場合を示し、Maxは波長毎の入力信号光パワーが−25dBmの場合を示す。また、Min,MidおよびMaxそれぞれに続く括弧の中の数値は信号光波数を示す。これら図から判るように、入力信号光パワーおよび信号光波数それぞれの変動範囲の全域において、信号光波長域における出力信号光パワーの変動は±0.3dB以内の範囲内に抑制されている。
【0103】
また、図36は、第4実施形態に係る光増幅器400において励起光源373から後段の光増幅用ファイバ342に順方向に供給される波長1.56μmの励起光のパワーと入力信号光パワーとの関係を示す図である。ここでは、信号光波数が最大波数32で入力信号光パワーが最大値−21dBmであるとき(すなわち、光増幅用ファイバ342における飽和が最も大きくなるとき)に波長1.56μmの励起光のパワーが零となるように設定された。信号光波数が最小波数4で入力信号光パワーが最小値−29dBmであるときに、光増幅用ファイバ342に供給されるべき波長1.56μmの励起光の必要パワーは最大値+11.3mWとなる。現在市販されている波長1.56μmの光を出力する半導体レーザ光源として、最大出力パワーが+13dBmであるものがある。2つの光結合器の挿入損失の和(1dBを幾らか超える程度)を考慮すれば、光増幅用ファイバ342への入力点における励起光パワーが+11.3dBmであるというのは実現可能である。
【0104】
なお、波長1.56μm帯励起光は、前段の光増幅用ファイバ341へ供給されるよりも、後段の光増幅用ファイバ342へ供給される方が好ましい。図37は、第4実施形態に係る光増幅器400の利得特性および雑音指数特性それぞれを示す図である。同図(a)は利得特性を示し、同図(b)は雑音指数特性を示す。また、この図には、信号光波数が8であって、波長毎の入力信号光パワーが−29dBmであるときに、パワー7.3mWの波長1.56μm帯励起光が後段の光増幅用ファイバ342のみへ供給された場合(実線)、および、パワー3.3mWの波長1.56μm帯励起光が光増幅用ファイバ341,342それぞれへ供給された場合(破線)が示されている。この図から判るように、利得特性は殆ど一致しているものの、雑音指数は、波長1.56μm帯励起光が後段の光増幅用ファイバ342のみへ供給された場合の方が小さい。
【0105】
図38は、第4実施形態に係る光増幅器400の利得特性の温度依存性を示す図である。同図(a)は、光増幅用ファイバ341,342の温度が5℃、25℃および55℃それぞれの場合における利得特性を示す。同図(b)は、温度25℃の場合を基準として、温度5℃および55℃それぞれの場合における利得特性の偏差を示す。光増幅用ファイバ341,342の温度が変動したときに、この図から判るように利得スペクトルが変動する。したがって、入力信号光パワーや信号光波数に基づくだけでなく、温度検出部381,382により検出された光増幅用ファイバ341,342の温度にも基づいて、励起光源371〜375それぞれから出力される励起光のパワーを調整することで、利得の大きさ及び利得スペクトルの形状を制御することができる。これにより、利得特性の温度依存性が軽減される。
【0106】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る光増幅器の第5実施形態について説明する。図39は、第5実施形態に係る光増幅器500の構成図である。この図に示される光増幅器500は、入力端501から出力端502へ向かって順に、光分岐器311、光アイソレータ321、光結合器331、光増幅用ファイバ341、光結合器332、光アイソレータ322、透過特性可変光部品350、光結合器334、光増幅用ファイバ342、光結合器335、光アイソレータ323および光分岐器312を備える。また、この光増幅器300は、光分岐器311に接続された信号光検知部361、光分岐器312に接続された信号光検知部362、光結合器331に接続された励起光源371、光結合器332に接続された励起光源372、光結合器334に接続された励起光源374、光結合器335に接続された励起光源375、光増幅用ファイバ341またはその近傍の温度を検出する温度検出部381、光増幅用ファイバ342またはその近傍の温度を検出する温度検出部382、および、制御部590を備える。
【0107】
第3実施形態に係る光増幅器300(図26)と比較すると、この第5実施形態の光増幅器500は、温度検出部381,382が設けられている点、および、制御部390に替えて制御部590が設けられている点で相違する。制御部590は、信号光検知部361,362による検知結果(入力信号光パワー、信号光波数、出力信号光パワー)および温度検出部381,382による温度検出結果を受け取り、或いは、監視システムより信号光波数情報を受け取り、これらの何れかに基づいて、励起光源371〜375それぞれから出力される励起光のパワーを制御し、また、透過特性可変光部品350の損失傾斜を制御する。この第5実施形態に係る光増幅器500では、第3実施形態および第4実施形態それぞれで説明したものと同様の制御が行われる。
【0108】
(光通信システムの実施形態)
次に、本発明に係る光通信システムの実施形態について説明する。図40は、本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。この光通信システム1は、光送信器10、光中継器20および光受信器30を備え、光送信器10と光中継器20との間に光ファイバ伝送路40が敷設され、光中継器20と光受信器30との間に光ファイバ伝送路50が敷設されたものである。
【0109】
光送信器10内には、光源部111〜113および光合波器12が設けられている。光源部111は、Sバンド内の多波長の信号光を発生し、これらを合波して出力する。光源部112は、Cバンド内の多波長の信号光を発生し、これらを合波して出力する。光源部113は、Lバンド内の多波長の信号光を発生し、これらを合波して出力する。光合波器12は、光源部111より出力されたSバンドの多波長の信号光、光源部112より出力されたCバンドの多波長の信号光、および、光源部113より出力されたLバンドの多波長の信号光を入力し、これらを合波して光ファイバ伝送路40に送出する。
【0110】
光中継器20内には、光分波器21、光増幅器221〜223および光合波器23が設けられている。光分波器21は、光ファイバ伝送路40を伝搬してきて到達したS,CおよびLの各バンドの多波長の信号光を入力し、バンド毎に分波して出力する。光増幅器221は、光分波器21より出力されたSバンドの多波長の信号光を入力し、これらを一括光増幅して出力する。光増幅器222は、光分波器21より出力されたCバンドの多波長の信号光を入力し、これらを一括光増幅して出力する。光増幅器223は、光分波器21より出力されたLバンドの多波長の信号光を入力し、これらを一括光増幅して出力する。また、光合波器23は、光増幅器221により光増幅されたSバンドの多波長の信号光、光増幅器222により光増幅されたCバンドの多波長の信号光、および、光増幅器223により光増幅されたLバンドの多波長の信号光を入力し、これらを合波して光ファイバ伝送路50に送出する。
【0111】
光受信器30内には、受光部311〜31N(Nは2以上の整数)および光分波器32が設けられている。光分波器32は、光ファイバ伝送路50を伝搬してきて到達したS,CおよびLの各バンドの多波長の信号光を入力し、波長毎に分波して出力する。受光部31nは、光分波器32より出力された波長λnの信号光を入力して受光する(nは1以上N以下の任意の整数)。
【0112】
この図に示される3個の光増幅器のうち、Sバンド用の光増幅器221は、上述した本実施形態に係る光増幅器100,200,300,400または500と同一構成のもの(TDFA)である。また、Cバンド用の光増幅器222およびLバンド用の光増幅器223それぞれは、波長0.98μm帯または1.48μm帯の励起光をEDFに供給して信号光を光増幅するEDFAである。
【0113】
この光通信システム1は以下のように動作する。光送信器10においては、光源部111より出力されたSバンドの多波長の信号光、光源部112より出力されたCバンドの多波長の信号光、および、光源部113より出力されたLバンドの多波長の信号光は、光合波器12により合波されて、光ファイバ伝送路40に送出される。光中継器20においては、光ファイバ伝送路40を伝搬してきて到達したS,CおよびLの各バンドの多波長の信号光は、光分波器21によりバンド毎に分波される。光分波器21により分波されて出力されたSバンドの多波長の信号光は、光増幅器221により光増幅され、光分波器21により分波されて出力されたCバンドの多波長の信号光は、光増幅器222により光増幅され、また、光分波器21により分波されて出力されたLバンドの多波長の信号光は、光増幅器223により光増幅される。これらの光増幅されたS,CおよびLの各バンドの多波長の信号光は、光合波器23により合波されて、光ファイバ伝送路50に送出される。光受信器30においては、光ファイバ伝送路50を伝搬してきて到達したS,CおよびLの各バンドの多波長の信号光は、光分波器32により波長毎に分波される。そして、光分波器32により分波されて出力された波長λnの信号光は、受光部31nにより受光される。
【0114】
このように、この光通信システム1は、S,CおよびLの各バンドの多波長の信号光を多重化して光ファイバ伝送路40,50に伝搬させるので、大容量の情報を高速に伝送することができる。また、Sバンド用の光増幅器221は、上述した本実施形態に係る光増幅器と同一構成のもの(TDFA)であるので、出力信号光パワーを一定に維持することができ、また、利得平坦度を一定に維持することができる。したがって、この光通信システム1は、Sバンド信号光の伝送品質が優れたものとなる。
【0115】
(損失傾斜可変の光透過特性可変光部品について)
次に、第2実施形態の構成中の光透過特性可変光部品250(図19)について更に詳細に説明する。なお、第3実施形態および第5実施形態それぞれの構成中の光透過特性可変光部品350についても同様である。この光透過特性可変光部品250は、既述したように、信号光波長域における損失傾斜が可変であるだけでなく、クロスポイント(損失傾斜の中心波長)も可変である。図19に示されるように、光透過特性可変光部品250は、2段のマッハツェンダ型干渉計が縦列接続されたものであり、4つのヒータ254a〜254dにより各光導波路の温度調整により、損失特性を調整することができる。
【0116】
図41は、光透過特性可変光部品250の損失特性を示す図である。図42は、光透過特性可変光部品250の各ヒータの駆動電圧と損失傾斜との関係を示す図である。各図(a)はクロスポイントが1465nmであり、各図(b)はクロスポイントが1480nmであり、各図(c)はクロスポイントが1495nmである。なお、図42において、H1はヒータ254aを表し、H2はヒータ254bを表し、H3はヒータ254cを表し、H4はヒータ254dを表す。
【0117】
図43は、光透過特性可変光部品250の各ヒータの駆動電圧とクロスポイントとの関係を示す図である。図42および図43から判るように、光透過特性可変光部品250は、ヒータ254bおよび254cによる温度調整によりクロスポイントを制御することができ、ヒータ254aおよび254dによる温度調整により損失傾斜を制御することができる。
【0118】
このように、光透過特性可変光部品250は、損失傾斜の制御とクロスポイントのシフトの制御とを互いに独立に行うことができる。クロスポイントは、1465nm〜1495nmの範囲でシフト可能である。
【0119】
なお、波長1.4μm帯励起のTDFAの場合、波数変動および入出力パワー変動によってクロスポイントが10nm程度変動するので、光透過特性可変光部品250のクロスポイントの変化の幅は10nm以上であるのが好適である。また、波長1.05μm帯励起のTDFAの場合、波数変動および入出力パワー変動によってクロスポイントが15nm程度変動するので、光透過特性可変光部品250のクロスポイントの変化の幅は15nm以上であるのが好適である。
【0120】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明に係る光増幅器は、実使用状態において想定される条件下においても利得の大きさと利得スペクトル形状とが制御され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例の光増幅器900の構成図である。
【図2】比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。
【図3】比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図4】比較例の光増幅器900におけるトータル出力光パワーとトータル入力信号光パワーとの関係を示す図である。
【図5】比較例の光増幅器900の入力信号光8波時の利得スペクトルを示す図である。
【図6】比較例の光増幅器900の入力信号光8波時の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図7】波長1.56μm励起光パワーを制御したときの比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。
【図8】波長1.56μm励起光パワーを制御したときの比較例の光増幅器900の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図9】比較例の光増幅器900における波長1.56μm励起光パワーとトータル入力信号光パワーとの関係を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る光増幅器100の構成図である。
【図11】第1実施形態に係る光増幅器100の信号光検知部162の構成例を示す図である。
【図12】第1実施形態に係る光増幅器100の信号光検知部162の他の構成例を示す図である。
【図13】第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。
【図14】第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図15】第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光8波時の利得スペクトルを示す図である。
【図16】第1実施形態に係る光増幅器100の入力信号光8波時の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図17】トータル入力信号光パワーの各値について出力信号光スペクトルを示す図である。
【図18】第2実施形態に係る光増幅器200の構成図である。
【図19】第2実施形態に係る光増幅器200の透過特性可変光部品250の構成例を示す図である。
【図20】第2実施形態に係る光増幅器200の透過特性可変光部品250の損失スペクトルの1例を示す図である。
【図21】第2実施形態に係る光増幅器200の入力信号光32波時の利得スペクトルを示す図である。
【図22】第2実施形態に係る光増幅器200の入力信号光32波時の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図23】第2実施形態に係る光増幅器200の透過特性可変光部品250の入力信号光32波時の損失スペクトルを示す図である。
【図24】第1実施形態に係る光増幅器100の雑音指数特性を示す図である。
【図25】第2実施形態に係る光増幅器200の雑音指数特性を示す図である。
【図26】第3実施形態に係る光増幅器300の構成図である。
【図27】第3実施形態に係る光増幅器300の利得スペクトルを示す図である。
【図28】第3実施形態に係る光増幅器300の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図29】第3実施形態に係る光増幅器300の利得スペクトルを示す図である。
【図30】第3実施形態に係る光増幅器300の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図31】第3実施形態に係る光増幅器300の透過特性可変光部品350の損失特性を示す図である。
【図32】第3実施形態に係る光増幅器300の透過特性可変光部品350の損失特性を示す図である。
【図33】第4実施形態に係る光増幅器400の構成図である。
【図34】第4実施形態に係る光増幅器400の利得スペクトルを示す図である。
【図35】第4実施形態に係る光増幅器400の出力信号光スペクトルを示す図である。
【図36】第4実施形態に係る光増幅器400において励起光源373から後段の光増幅用ファイバ342に順方向に供給される波長1.56μmの励起光のパワーと入力信号光パワーとの関係を示す図である。
【図37】第4実施形態に係る光増幅器400の利得特性および雑音指数特性それぞれを示す図である。
【図38】第4実施形態に係る光増幅器400の利得特性の温度依存性を示す図である。
【図39】第5実施形態に係る光増幅器500の構成図である。
【図40】本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。
【図41】光透過特性可変光部品250の損失特性を示す図である。
【図42】光透過特性可変光部品250の各ヒータの駆動電圧と損失傾斜との関係を示す図である。
【図43】光透過特性可変光部品250の各ヒータの駆動電圧とクロスポイントとの関係を示す図である。
【図44】EDFAおよびTDFAそれぞれの動作を比較して説明する図である。
【符号の説明】
1…光通信システム、10…光送信器、11…光源部、12…光合波器、20…光中継器、21…光分波器、22…光増幅器、23…光合波器、30…光受信器、31…受光部、32…光分波器、40,50…光ファイバ伝送路、100…光増幅器、111,112…光分岐器、121〜124…光アイソレータ、131〜135…光結合器、141,142…光増幅用ファイバ、150…透過特性可変光部品、161,162…信号光検知部、171〜175…励起光源、190…制御部、200…光増幅器、250…透過特性可変光部品、290…制御部、300…光増幅器、311,312…光分岐器、321〜323…光アイソレータ、331〜335…光結合器、341,342…光増幅用ファイバ、350…透過特性可変光部品、361,362…信号光検知部、371〜375…励起光源、381,382…温度検出部、390…制御部、400…光増幅器、490…制御部、500…光増幅器、590…制御部。
Claims (29)
- Sバンド内において入力端に入力した所定波長域の複数の波長の信号光を光増幅して、その光増幅した信号光を出力端より出力する光増幅器であって、
前記入力端から前記出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられ、Tm元素が光導波領域に添加され前記信号光を光増幅する光導波路と、
励起光を前記光導波路に供給するものであって、励起光の波長が互いに異なる複数の励起光供給手段と、
前記信号光伝搬経路上に前記光導波路と直列的に設けられ、信号光波長における透過特性が可変である透過特性可変光部品と、
信号光の波数と、前記入力端に入力する信号光の入力パワーまたは前記出力端より出力される光の出力パワーを検知する信号光検知部と、
前記波数毎に前記入力パワーまたは前記出力パワーの検知結果に基づいて、前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される励起光のパワーを調整するとともに、信号光波長における前記透過特性可変光部品の透過特性をも調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方を制御する制御部と
を備えることを特徴とする光増幅器。 - 前記励起光供給手段は、波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光を前記光導波路に供給するとともに、波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光を前記光導波路に供給することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記信号光検知部は、前記光導波路における信号光増幅の利得帯域内の2以上の波長で、前記出力端より出力する信号光のパワー、前記光導波路における信号光増幅の利得、または、ASE光のパワーを検知することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記信号光検知部は、前記光導波路の側方に出射される自然放出光のパワーを検出することで、前記光導波路における信号光増幅の利得を検知することを特徴とする請求項3記載の光増幅器。
- 前記信号光検知部は、
前記入力信号光の全パワーまたは出力光の全パワーと、
前記光導波路における信号光増幅の利得帯域内の1以上の波長で、前記出力端より出力する信号光のパワー、前記光導波路における信号光増幅の利得、またはASE光のパワーと、
を検知することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。 - 前記光導波路における信号光増幅の利得帯域内の1以上の波長が、信号光の波長帯域中の短波長側か若しくは長波長側にあることを特徴とする請求項5記載の光増幅器。
- 前記信号光検知部は、
前記光導波路より出力された光のパワーの一部を分岐して取り出す光分岐カプラと、
前記光分岐カプラにより取り出された光のうち特定波長の光を選択的に透過させるフィルタと、
前記フィルタを透過した前記特定波長の光のパワーを検出する受光部と
を有することを特徴とする請求項3または5に記載の光増幅器。 - 前記信号光検知部は、
前記光導波路より出力された光のパワーの一部を分岐して取り出す光分岐カプラと、
前記光分岐カプラにより取り出された光を回折する回折格子と、
前記回折格子により回折された光のうち特定波長の光のパワーを検出する受光部と
を有することを特徴とする請求項3記載の光増幅器。 - 前記信号光検知部は、前記回折格子により回折された光のスペクトルに基づいて、前記入力端に入力する信号光の波数を検知することを特徴とする請求項8記載の光増幅器。
- 前記信号光検知部は、前記入力端に入力する信号光の全パワー、および、前記出力端より出力される光の全パワーを検知することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記信号光検知部は、信号光本線以外から受け渡される情報に基づいて、前記入力端に入力する信号光の波数を検知することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、信号光波長における透過率が可変であることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記制御部は、
前記入力端に入力する信号光の波数に基づいて、前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光のパワーを調整し、前記入力端に入力した信号光のパワーまたは前記出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長における前記透過特性可変光部品の透過率を調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、
前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光のパワーを調整して、前記出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御する
ことを特徴とする請求項12記載の光増幅器。 - 前記入力端に入力する各波長の信号光のパワーの変動量ΔPin[dB]、前記出力端より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーの変動量ΔPout[dB]、および、前記入力端に入力する信号光の波数に応じた値を有する係数Xに対して、前記透過特性可変光部品の透過率の変動量ΔA[dB]が「ΔA=X・(ΔPin−ΔPout)」なる式で表されることを特徴とする請求項13記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、信号光波長域における損失スペクトルの傾斜が可変であることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記制御部は、
前記入力端に入力する信号光の波数に基づいて、前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光のパワーを調整し、前記入力端に入力した信号光のパワーまたは前記出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長域における前記透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜を調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、
前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光のパワーを調整して、前記出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御する
ことを特徴とする請求項15記載の光増幅器。 - 前記入力端に入力する各波長の信号光のパワーの変動量ΔPin[dB]、前記出力端より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーの変動量ΔPout[dB]、および、前記入力端に入力する信号光の波数に応じた値を有する係数Yに対して、信号光波長域における前記透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜の変動量ΔS[dB]が「ΔS=Y・(ΔPin−ΔPout)」なる式で表されることを特徴とする請求項16記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、信号光波長域における損失スペクトルの形状が波長軸方向にシフト可能であることを特徴とする請求項15記載の光増幅器。
- 前記制御部は、
前記入力端に入力する信号光の波数に基づいて、信号光波長域における前記透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜および波長軸方向シフト量を調整し、前記入力端に入力する各波長の信号光のパワーおよび前記出力端より出力されるべき各波長の信号光の目標パワーに基づいて、信号光波長域における前記透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜を調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、
前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される波長1.05μm帯または波長1.4μm帯の励起光のパワーを調整して、前記出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御する
ことを特徴とする請求項18記載の光増幅器。 - 前記光導波路は、信号光入力側の前段光導波路と信号光出力側の後段光増幅路とを有し、
前記透過特性可変光部品は、前記前段光導波路と前記後段光増幅路の間に位置し、
前記制御部は、前記波数に基づいて、前記励起光供給手段より前記前段光導波路に供給される励起光のパワーを調整し、かつ、
前記入力端に入力した信号光のパワーまたは前記出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長における前記透過特性可変光部品の透過率を調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、かつ、
前記励起光供給手段より前記後段光導波路に供給される励起光のパワーを調整して、前記出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の光増幅器。 - 前記光導波路は、信号光入力側の前段光導波路と信号光出力側の後段光増幅路とを有し、
前記透過特性可変光部品は、前記前段光導波路と前記後段光増幅路の間に位置し、
前記制御部は、前記波数に基づいて、信号光波長における前記透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜および波長軸方向シフト量を調整し、かつ、
前記入力端に入力した信号光のパワーまたは前記出力端より出力されるべき信号光パワーの目標値に基づいて、信号光波長における前記透過特性可変光部品の損失スペクトルの傾斜を調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得スペクトルの形状を制御し、かつ、
前記励起光供給手段より前記後段光導波路に供給される励起光のパワーを調整して、前記出力端より出力される各波長の信号光のパワーを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の光増幅器。 - Sバンド内において入力端に入力した所定波長域の複数の波長の信号光を光増幅して、その光増幅した信号光を出力端より出力する光増幅器であって、
前記入力端から前記出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられ、Tm元素が光導波領域に添加され前記信号光を光増幅する光導波路と、
波長1.2μm帯または波長1.55〜1.65μm帯の励起光を前記光導波路に供給する励起光供給手段と、
前記光導波路またはその近傍の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部による温度検出結果に基づいて、前記励起光供給手段より前記光導波路に供給される励起光のパワーを調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方を制御する制御部と
を備えることを特徴とする光増幅器。 - Sバンド内において入力端に入力した所定波長域の複数の波長の信号光を光増幅して、その光増幅した信号光を出力端より出力する光増幅器であって、
前記入力端から前記出力端へ至る信号光伝搬経路上に設けられ、Tm元素が光導波領域に添加され前記信号光を光増幅する光導波路と、
励起光を前記光導波路に供給する励起光供給手段と、
前記信号光伝搬経路上に設けられ、信号光波長域における損失スペクトルの傾斜が可変である透過特性可変光部品と、
前記光導波路またはその近傍の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部による温度検出結果に基づいて、信号光波長における前記透過特性可変光部品の透過特性を調整して、前記光導波路における信号光増幅の利得の大きさ及び利得スペクトルの形状の双方を制御する制御部と
を備えることを特徴とする光増幅器。 - 前記透過特性可変光部品は、複数のマッハツェンダ型干渉計が多段構成されたものであることを特徴とする請求項15または23に記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、損失スペクトルの形状が波長方向にシフト可能であることを特徴とする請求項23記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、損失スペクトルの傾斜の制御と波長方向のシフトとが互いに独立に制御可能であることを特徴とする請求項25記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、損失スペクトルの波長方向のシフト可能量が10nm以上であることを特徴とする請求項25記載の光増幅器。
- 前記透過特性可変光部品は、損失スペクトルの波長方向のシフト可能量が15nm以上であることを特徴とする請求項25記載の光増幅器。
- 請求項1,22および23の何れか1項に記載の光増幅器を含み、信号光を伝送するとともに、この信号光を前記光増幅器により光増幅することを特徴とする光通信システム。
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