JP3831649B2 - 回路シート、回路シートの製造方法及び多層配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路シート、回路シートの製造方法及び多層配線基板の製造方法に関するものであり、詳しくは、半導体素子収納用パッケージ等の多層配線基板を製造するための回路シート、その製造方法、及び、該回路シートから多層配線基板を製造するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化が進んでいるが、携帯情報端末の発達やコンピュータを持ち運んで操作する所謂モバイルコンピューティングの普及によって、より一層小型化が進み、これら電子機器に内蔵される多層配線基板には、より一層の小型化、薄型化並びに回路の高精細化が要求されている。
【0003】
また、通信機器に代表されるように、高速動作が求められる電子機器が広く使用されるようになってきたが、このような電子機器に対応するために、高速動作に適した多層のプリント配線基板が求められている。高速動作が求められるということは、高い周波数の信号に対して正確なスイッチングが可能であるなど、多種な要求を含んでおり、高速動作を行うためには、配線の長さを短くすると共に、配線の幅を細くし且つ配線の間隙を小さくして、電気信号の伝搬に要する時間を短縮することが必要である。即ち、高速動作に適応させるという見地からも、多層配線基板には、小型化、薄型化及び回路の高精細化(回路の高密度化)が求められる。
【0004】
従来、上記のような多層配線基板には、その高周波特性などの利点から、アルミナなどを主成分とするセラミックグリーンシートが絶縁基板として幅広く用いられており、例えば、該セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷によってWやMo等の高融点金属からなる導電ペーストをパターン形成した後に、その塗工されたセラミックグリーンシートを積層し、焼成する製造方法が用いられている。
【0005】
しかしながら、上記のようなスクリーン印刷により導電体をパターン形成する方法では、導電体の厚みが厚くなってしまうため、多層配線基板に要求される小型化、薄型化及び回路の高精細化に対応できなくなってきている。
そこで特開2000−31623号公報には、金属薄膜をセラミックグリーンシート等に転写するための金属転写フィルム及び電子部品の電極形成方法が開示されている。
【0006】
この金属転写フィルムは、金属との密着性の低い表面を有するプラスチックフィルムと、その表面に設けられる金属層と、金属層の表面に設けられる粘着層とからなるものであり、電極形成方法は、上記金属転写フィルムを用いて所望の形状の金属箔をセラミックグリーンシートに転写するために、粘着層をその形状に筋塗工し、その部分のみをセラミックグリーンシートに転写する方法が用いられている。しかしながら、上記プラスチックフィルムと金属との密着性が低いため、プラスチックフィルムに金属層を設けた後でも、セラミックグリーンシートに転写するまでの間の工程で、金属層がプラスチックフィルムから剥離するという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、セラミックグリーンシートを用いた多層配線基板の小型化、薄型化及び回路の高精細化を実現するために、薄膜化、高精細化が可能な金属箔からなる回路パターンとセラミックグリーンシートとが接着剤又は接着シートにより貼着された回路シート、金属箔付きフィルムを用いた回路シートの製造方法、及び、回路シートを用いた多層配線基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の回路シートの製造方法は、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を介して金属箔を貼着して金属箔付きフィルムを作製する第1の工程、金属箔付きフィルムの金属箔に
レジスト法によって回路パターンを形成して転写シートを作製する第2の工程、該転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシートのいずれか一方又は両方に、金属箔とセラミックグリーンシートとを接着したときの常温接着力が0.3N/cm以上である、接着剤を塗布するか又は接着シートを貼着する第3の工程、上記転写シートとセラミックグリーンシートとを接着剤又は接着シートを介して、回路パターン側がセラミックグリーンシートと対向するように貼着する第4の工程、及び、上記転写シートから粘着剤付き樹脂フィルムを剥離する第5の工程とからなることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の回路シートの製造方法は、請求項1記載の回路シートの製造方法において、前記接着剤又は接着シートは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、又はポリビニルブチラールから選ばれる樹脂成分と、常圧における沸点が150〜500℃の液状成分とを含み、かつ樹脂成分は、液状成分に溶解されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の回路シートの製造方法は、請求項1又は2記載の回路シートの製造方法において、前記接着剤の塗布量は1〜50g/m 2 であり、一方、前記接着シートの厚みは1〜50μmであることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の回路シートの製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の回路シートの製造方法において、セラミックグリーンシートと転写シートとを接着剤又は接着シートを介して貼着する工程に先立って、セラミックグリーンシートにバイアホール導体を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の多層配線基板の製造方法は、請求項1から4のいずれかの回路シートの製造方法で回路シートを得た後、上記回路シートを複数枚積層して積層体とし、得られた積層体を焼成することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の回路シートは、セラミックグリーンシートの片面又は両面に、回路パターンを形成した金属箔が接着剤又は接着シートにより貼着されたものが用いられる。
【0013】
上記セラミックグリーンシートとしては、アルミナ等のセラミック粉末、バインダー樹脂及び可塑剤などの混合物を、ドクターブレード、プレス等によりシート状に成形したものが用いられる。
また、上記金属箔としては、特に限定されないが、配線基板の回路パターンを形成するのに好適な金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム等の低抵抗金属の金属箔、或いはこれら低抵抗金属の少なくとも1種を含む合金等の金属箔が好適に用いられる。
【0014】
上記金属箔の厚みは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。厚みが1μmより薄くなると金属箔から形成される回路パターンの抵抗率が高くなるため、配線基板の製造に不適となることがあり、100μmより厚くなると金属箔をエッチングして回路パターンを形成する際に、エッチングが困難となり、精度の高い微細な回路パターンを得ることが困難となる。
【0015】
また、上記金属箔には、粘着剤との密着力を高めるために、その表面を粗面加工して、その樹脂フィルム側の表面に微細な凹凸を形成しておくこともできる。
例えば、金属表面に、その表面粗さRa(JIS B 0601)が0.2〜0.7μm程度となるように微細な凹凸を形成することができる。
さらに、金属箔と粘着剤との密着力を高めるために、金属箔表面にカップリング剤を塗布してもよい。
【0016】
上記回路シートは、以下に説明する第1〜第5の工程によって製造される。
まず、第1の工程では、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を介して金属箔を貼着して金属箔付きフィルムを作製する。
【0017】
上記金属箔付きフィルムに用いられる樹脂フィルムとしては、適度の柔軟性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂からなるフィルムが用いられる。
【0018】
上記樹脂フィルムの厚みは、10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜300μmである。厚みが10μmより薄くなると金属箔から回路パターンを形成したときに変形や折れ曲がりにより、回路パターンに断線が生じ易くなり、500μmより厚くなると樹脂フィルムの柔軟性が不足するため、樹脂フィルムを金属箔から引き剥がすことが困難となる。
【0019】
上記粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、シリコーン系等の粘着剤を用いることができ、中でもアクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層の厚みは、1〜200μmが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。
厚みが1μmより薄くなると金属箔との十分な接着強度が得られないため、使用時に剥離する等の問題を生じ、200μmより厚くなると後述するように回路シートをセラミックグリーンシートに貼着した後、樹脂フィルムを剥離する際に粘着剤が回路パターンに残存する等の不都合を生じることがある。
【0020】
上記金属箔付きフィルムの製造方法としては、樹脂フィルムの片面に粘着剤を塗工した後金属箔をラミネートしプレス等で加圧して貼り合わせる方法;金属箔の片面に粘着剤を塗工した後樹脂フィルムをラミネートしプレス等で加圧して貼り合わせる方法等、従来公知の方法が採用可能である。
【0021】
上記金属箔付きフィルムの金属箔と粘着剤層との常温粘着力は、0.3〜10N/cmが好ましく、さらに50℃における粘着力は常温粘着力の1/2以上であることが好ましい。常温粘着力が上記範囲にあることにより、エッチング等に金属箔が剥離することなく保持され、セラミックグリーンシートの貼着後に、例えば加熱することにより、粘着剤付きフィルムを容易に剥離することができる。
尚、上記粘着力は、JIS Z 0237に準拠して、金属箔から樹脂フィルムを引き剥がす際の180度剥離強度により測定される値である。
【0022】
第2の工程では、金属箔付きフィルムの金属箔にレジスト法によって回路パターンを形成して転写シートを作製する。
【0023】
上記金属箔付きフィルムの金属箔にレジスト法によって回路パターンを形成する場合は、金属箔全面にフォトレジストを塗布し、所定パターンのマスクを介して露光を行い現像した後、フォトレジストの未露光部分を除去する。
次いで、プラズマエッチングやケミカルエッチング等のエッチングにより、非パターン部(フォトレジストが除去されている部分)の金属箔を除去する。
これにより、金属箔に回路パターンを形成する。
勿論、スクリーン印刷等により、所定のパターンとなるようにフォトレジストを金属箔表面に塗布し、露光後にエッチングすることにより、回路パターンを形成してもよい。
【0024】
エッチング終了後において、回路パターン上にフォトレジストが残存する場合は、レジスト除去液によって残存するレジストを除去し、洗浄することにより、回路パターンが樹脂フィルム上に形成された転写シートを得る。
【0025】
上記金属箔付きフィルムを用いて回路パターンを有する転写シートを作製するが、金属箔は適度な粘着力によって樹脂フィルムに保持されており、粘着剤層がエッチングに際して用いられる薬液に対する耐性を有し、且つ薬液のしみ込みも抑制するため、エッチングによる回路パターン形成時に金属箔が剥がれるなどの不都合が防止される。この結果、微細で且つ高密度の回路パターンを高精度で形成することが可能となる。
【0026】
第3の工程では、第2の工程で得られた転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシートのいずれか一方又は両方に、接着剤を塗布するか又は接着シートを貼着する。上記接着剤としては、セラミックグリーンシートと金属箔とを接着可能なものであれば、特に制限はないが、中でも、熱可塑性樹脂を液状成分に溶解した液状接着剤が好適に用いられる。この液状接着剤には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。
【0027】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のエラストマー樹脂;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等のビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
これらの熱可塑性樹脂の中でも、高接着性が発現可能なことから、ガラス転移温度30〜150℃のものが好ましく、より好ましくはガラス転移温度50〜150℃のものである。また、焼成時に容易に熱分解することから、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、ポリビニルブチラール等が好ましい。
【0029】
上記液状成分としては、接着性向上の観点から、常圧において150〜500℃の沸点を有するものが好ましく、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル系可塑剤などの可塑剤類;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール等のジオール類;イソホロン等のケトン系溶剤;ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
さらに、上記液状接着剤の粘度調整等のために、必要に応じて、常圧における沸点が150〜500℃の液状成分の他に、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エタノール、メタノール、水等の常圧において沸点150℃未満の液状成分が添加されてもよい。
【0031】
上記接着剤の塗布量としては、1〜100g/m2 が好ましく、より好ましくは1〜50g/m2 である。塗布量が1g/m2 未満になると金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が不十分となり、100g/m2 を超えると焼成後の金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が低下することがある。
【0032】
上記接着剤の塗布方法としては、例えば、スプレー、ロールコーター、フローコーター、バーコーター、刷毛、スクリーン印刷等任意の方法が使用可能である。
【0033】
上記接着シートとしては、セラミックグリーンシートと金属箔とを接着可能なものであれば、特に制限はないが、上述の熱可塑性樹脂及び必要に応じて添加された添加剤、液状成分等を含有する混合物をシート状に成形したものを用いることが好ましい。
シート状に成形する方法としては、(1)上記混合物を離型フィルム上に均一な厚みとなるように塗工し、加熱乾燥等により有機溶剤等を揮発させる方法、(2)上記混合物を離型フィルム上に均一な厚みとなるように塗工し、冷却する方法などが挙げられる。
【0034】
上記接着シートの厚みは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。厚みが1μm未満になると金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が不十分となり、100μmを超えると焼成後の金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が低下することがある。
【0035】
上記接着剤又は接着シートを用いて金属箔とセラミックグリーンシートとを接着した場合の常温接着力は、0.3N/cm以上であることが好ましい。
常温接着力が0.3N/cmより小さくなると、後述する第4の工程において上記転写シートとセラミックグリーンシートとを貼着することができなくなる。
【0036】
上記接着剤又は接着シートは後述の焼成工程において、焼失するものを用いることが好ましい。
【0037】
第4の工程では、上記転写シートとセラミックグリーンシートとを、第3の工程で形成した接着剤又は接着シートを介して、回路パターン側がセラミックグリーンシートと対向するように貼着する。貼着する方法としては、例えば、ラミネーター、ローラー、プレス等任意の方法が使用可能である。
また、貼着は、0.1N/cm2 〜1kN/cm2 程度の圧力で、常温又は加熱下で行うことが好ましい。
【0038】
第5の工程では、上記転写シートとセラミックグリーンシートとの積層物から粘着剤付き樹脂フィルムを剥離する。
剥離する際に、加熱やUV照射等によって金属箔に対する粘着剤の粘着力を低下させる方法がある場合は、その方法を利用して剥離してもよい。また、剥離の際に金属箔表面に粘着剤が残存しないようにすることが好ましい。
上記粘着剤付き樹脂フィルムを剥離することにより、セラミックグリーンシート上に金属箔を有する回路シートを得る。
【0039】
上記回路シートを使用して、多層配線基板を製造する際には、各層間の導通を確保するために、セラミックグリーンシートにバイアホール導体が形成される。
このバイアホール導体は、セラミックグリーンシートにパンチング等の物理的方法;炭酸ガスレーザーやUVレーザー等の化学的方法により細孔を開けた後、細孔へ電解メッキ、無電解メッキを施したり、導体ペーストを充填する等の方法によって、細孔中に導体を形成することにより得られる。
上記バイアホール導体は、転写シートとセラミックグリーンシートとを貼着する工程に先立って形成されることが好ましい。
【0040】
上記で得られた回路シートを焼成することによって単層の配線基板が得られるが、この回路シートを用いて多層の配線基板を製造することが、多層配線基板の生産性を高める上で有利である。多層配線基板を製造する場合は、上記回路シート(例えばバイアホールが形成された回路シート)の所定枚数を、配線回路層とセラミックグリーンシートとが交互に位置し、バイアホール同士もしくはバイアホールと配線回路の一部が導通部を形成するように重ね合わせて圧着し、セラミックグリーンシートが焼結可能な条件で焼成を行い、目的とする多層配線基板を得る。
【0041】
上記焼成工程において、セラミックグリーンシート中のバインダー樹脂や可塑剤等の有機成分が分解するだけでなく、接着剤や接着シートの有機成分も分解することにより、セラミックグリーンシートが焼結すると同時に、回路パターンが形成された金属箔とセラミックグリーンシートとの密着性が向上する。
また、焼成は、使用する金属箔の融点より低い温度で行われることが必要である。このような焼成温度としては、300〜1500℃が好ましく、より好ましくは400〜1000℃である。
【0042】
上記多層配線基板の製造方法によると、バイアホール導体を有するセラミックグリーンシート及び回路シートを有する転写シートの作製を、別個の工程で同時に行うことができるため、極めて生産効率が高くなる。
さらに、回路シートは金属箔の上にメッキを施すことなく、金属箔から直接形成されるため、回路シートが必要以上に厚く形成されることもないので、回路シートの厚肉化による配線基板の変形や強度低下を効果的に防止することができ、さらに配線基板の小型化の点からも極めて有利である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
1)バイアホール導体の形成
厚み150μmのセラミックグリーンシートに、炭酸ガスレーザーで直径0.1mmのバイアホールを穿孔し、そのホール内に銀をメッキした銅粉末を含む銅ペーストを充填してバイアホール導体を形成し、多層配線基板用のセラミックグリーンシートを得た。
【0044】
2)金属箔付きフィルムの作製
固形分20重量%のアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液を、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に塗布した後、110℃のオーブン中で乾燥して酢酸エチルを揮発させることにより、粘着剤厚み20μmの粘着剤付きフィルムを得た。
次いで、電解メッキ法によって得られた電解銅箔(厚み12μm)を、上記粘着剤付きフィルムの粘着面にラミネーターを用いて接着して、金属箔付きフィルムを作製した。
【0045】
上記金属箔付きフィルムにつき、下記の方法で常温及び50℃粘着力を測定した。
常温粘着力
上記2)で作製した金属箔付きフィルムを23℃で30分間放置した後、金属箔付きフィルムの金属箔側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、フィルムを剥離する方法により、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。常温粘着力は3.5N/cmであった。
50℃粘着力
上記2)で作製した金属箔付きフィルムの金属箔側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、50℃の恒温槽中で5分間放置した後、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。50℃粘着力は0.6N/cmであった。
【0046】
3)接着剤の調製
ガラス転移温度72℃のメタクリル酸エステル共重合体(積水化成品社製「IBM−2」)30重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(積水化学社製「DOP」、沸点386℃)30重量部、及び、ブチルカルビトールアセテート(沸点246℃)40重量部を密閉容器に入れた後、常温で24時間振盪機にかけて溶解させ、接着剤を調製した。
【0047】
上記接着剤につき、常温及び50℃接着力を下記の方法で測定した。
常温接着力
上記金属箔付きフィルムの作製に使用したものと同様の電解銅箔に、上記接着剤をバーコーターにより塗布量20g/m2 となるように塗布し、バイアホールを形成していないセラミックグリーンシートと上記電解銅箔の接着剤塗布面とを重ね合わせた後、23℃、10N/cm2 の圧力でプレスにより加圧して貼着した。この貼着物を3時間放置し、さらに23℃で30分間放置した後、そのセラミックグリーンシート側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、金属箔を剥離する方法により、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。常温接着力は3.2N/cmであった。
50℃接着力
常温接着力と同様の貼着物を3時間放置した後、そのセラミックグリーンシート側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、50℃の恒温槽中で5分間放置した後、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。50℃接着力は3.1N/cmであった。
【0048】
4)転写シートの作製
上記金属箔付きフィルムの銅箔面にフォトレジストを塗布し、ガラスマスクを通して露光により潜像パターンを形成した後フォトレジストの未露光部分を除去し、次いで、金属箔付きフィルムを塩化第二鉄溶液中に浸漬して、金属箔の非パターン部を35μm/分のエッチング速度でエッチングすることにより除去し、回路パターンを形成した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、回路パターン上に残存するレジストを除去し、PETフィルム上に粘着剤層を介して回路パターンを有する転写シートを作製した。
尚、回路パターンは、線幅50μm、線間隔50μmの細線部分を有するものであった。また、エッチングに際して、粘着剤層と金属箔との間へ液のしみ込みは観察されなかった。
【0049】
5)転写シートとセラミックグリーンシートとの貼着
上記転写シートの回路パターン側に、上記で調製した接着剤をバーコーターを用いて塗布量20g/m2 となるように塗布した。次いで、回路パターンとセラミックグリーンシートのバイアホール導体が対面するように位置合わせして重ね合わせた後、23℃、100N/cm2 の圧力でプレスにより加圧して、転写シートをセラミックグリーンシートに貼着した。
【0050】
6)粘着剤付き樹脂フィルムの剥離
上記転写シートを貼着したセラミックグリーンシートを常温で3時間放置した後、50℃に加熱したプレート上にセラミックグリーンシート側がプレートと接するように置き、1分間放置した。次いで、粘着剤付きPETフィルムのエッチングにより銅箔のない端部を手で持ってゆっくりと剥離を行い、PETフィルムが剥離された回路シートを得た。尚、この回路シートは、回路パターンは全てセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0051】
(実施例2)
接着剤を塗布量10g/m2 となるように、転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシート側の両面に塗布し、接着剤塗布面同士を重ね合わせて、転写シートとセラミックグリーンシートとを貼着したこと以外は、実施例1と同様にして、回路シートを得た。
尚、PETフィルムが剥離された回路シートは、回路パターンが全てセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0052】
(実施例3)
ガラス転移温度72℃のメタクリル酸エステル共重合体(積水化成品社製「IBM−2」)20重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(積水化学社製「DOP」、沸点386℃)30重量部、及び、酢酸エチル50重量部を密閉容器に入れた後、常温で振盪機にかけて溶解させ接着剤を調製した。
この接着剤を厚み25μmのPETフィルムの離型処理面に塗布した後、110℃のオーブン中で酢酸エチルを揮発させることにより、接着剤層厚み20μmのPETフィルム付き接着シートを得た。
接着剤の代わりに上記PETフィルム付き接着シートを使用したこと以外は実施例1と同様にして、回路パターンを有する転写シートを作製した。
尚、フィルムが剥離された回路シートは、回路パターンが完全にセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0053】
上記接着シートにつき、常温及び50℃接着力を下記の方法で測定した。
常温接着力
バイアホールを形成していないセラミックグリーンシートに、上記PETフィルム付き接着シートの接着剤層側をラミネーターにより貼着した。
次いで、PETフィルムを剥離し、上記金属箔付きフィルムの作製に使用したものと同様の電解銅箔を、接着シートの接着剤層側にラミネーターにより貼着した。この貼着物について、実施例1と同様の方法により常温接着力を測定したところ、2.6N/cmであった。
50℃接着力
常温接着力と同様の貼着物を使用して、実施例1と同様の方法により50℃接着力を測定したところ、2.3N/cmであった。
【0054】
(実施例4)
実施例3で作製したPETフィルム付き接着シートをセラミックグリーンシートの代わりに、転写シートの回路パターン側に貼着したこと以外は、実施例3と同様にして回路シートを得た。尚、フィルムが剥離された回路シートは、回路パターンが完全にセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0055】
上記実施例1〜4で得られた回路シート各3枚を、回路パターンとセラミックグリーンシートとが交互になるように重ね合わせ、窒素雰囲気下、1kN/cm2 の圧力、900℃の温度で2時間焼成することにより、6層構成の多層配線基板を作製することができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明の回路シートは、上述した構成であり、薄膜化、高精細化が可能な金属箔からなる回路パターンとセラミックグリーンシートとが接着剤又は接着シートにより貼着されているので、小型化、薄型化され、高精細化された回路パターンを有する多層配線基板を提供する。
本発明の回路シートの製造方法は、上述した構成であり、金属箔が粘着剤により比較的高い粘着力で保持された金属箔付きフィルムを使用するので、エッチングにより回路パターンを形成する際に、金属箔の剥がれや断線を生じることがなく、エッチング液が粘着剤と金属箔との間にしみ込むことがない。
また、セラミックグリーンシートと金属箔とが接着剤又は接着シートを介して比較的高い接着力で接着されているため、セラミックグリーンシート上に回路パターンが接着された状態で加熱した場合、容易に粘着剤付き樹脂フィルムを剥離し、回路パターンを転写することができる。
さらに、小型、薄型且つ高密度の微細回路を高精度で有する多層配線基板の製造に極めて有利であり、しかもセラミックグリーンシートへのバイアホール導体の作製と回路パターンの形成とを別個の工程で同時に進行させることができるため、生産効率も著しく向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路シート、回路シートの製造方法及び多層配線基板の製造方法に関するものであり、詳しくは、半導体素子収納用パッケージ等の多層配線基板を製造するための回路シート、その製造方法、及び、該回路シートから多層配線基板を製造するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化が進んでいるが、携帯情報端末の発達やコンピュータを持ち運んで操作する所謂モバイルコンピューティングの普及によって、より一層小型化が進み、これら電子機器に内蔵される多層配線基板には、より一層の小型化、薄型化並びに回路の高精細化が要求されている。
【0003】
また、通信機器に代表されるように、高速動作が求められる電子機器が広く使用されるようになってきたが、このような電子機器に対応するために、高速動作に適した多層のプリント配線基板が求められている。高速動作が求められるということは、高い周波数の信号に対して正確なスイッチングが可能であるなど、多種な要求を含んでおり、高速動作を行うためには、配線の長さを短くすると共に、配線の幅を細くし且つ配線の間隙を小さくして、電気信号の伝搬に要する時間を短縮することが必要である。即ち、高速動作に適応させるという見地からも、多層配線基板には、小型化、薄型化及び回路の高精細化(回路の高密度化)が求められる。
【0004】
従来、上記のような多層配線基板には、その高周波特性などの利点から、アルミナなどを主成分とするセラミックグリーンシートが絶縁基板として幅広く用いられており、例えば、該セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷によってWやMo等の高融点金属からなる導電ペーストをパターン形成した後に、その塗工されたセラミックグリーンシートを積層し、焼成する製造方法が用いられている。
【0005】
しかしながら、上記のようなスクリーン印刷により導電体をパターン形成する方法では、導電体の厚みが厚くなってしまうため、多層配線基板に要求される小型化、薄型化及び回路の高精細化に対応できなくなってきている。
そこで特開2000−31623号公報には、金属薄膜をセラミックグリーンシート等に転写するための金属転写フィルム及び電子部品の電極形成方法が開示されている。
【0006】
この金属転写フィルムは、金属との密着性の低い表面を有するプラスチックフィルムと、その表面に設けられる金属層と、金属層の表面に設けられる粘着層とからなるものであり、電極形成方法は、上記金属転写フィルムを用いて所望の形状の金属箔をセラミックグリーンシートに転写するために、粘着層をその形状に筋塗工し、その部分のみをセラミックグリーンシートに転写する方法が用いられている。しかしながら、上記プラスチックフィルムと金属との密着性が低いため、プラスチックフィルムに金属層を設けた後でも、セラミックグリーンシートに転写するまでの間の工程で、金属層がプラスチックフィルムから剥離するという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、セラミックグリーンシートを用いた多層配線基板の小型化、薄型化及び回路の高精細化を実現するために、薄膜化、高精細化が可能な金属箔からなる回路パターンとセラミックグリーンシートとが接着剤又は接着シートにより貼着された回路シート、金属箔付きフィルムを用いた回路シートの製造方法、及び、回路シートを用いた多層配線基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の回路シートの製造方法は、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を介して金属箔を貼着して金属箔付きフィルムを作製する第1の工程、金属箔付きフィルムの金属箔に
レジスト法によって回路パターンを形成して転写シートを作製する第2の工程、該転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシートのいずれか一方又は両方に、金属箔とセラミックグリーンシートとを接着したときの常温接着力が0.3N/cm以上である、接着剤を塗布するか又は接着シートを貼着する第3の工程、上記転写シートとセラミックグリーンシートとを接着剤又は接着シートを介して、回路パターン側がセラミックグリーンシートと対向するように貼着する第4の工程、及び、上記転写シートから粘着剤付き樹脂フィルムを剥離する第5の工程とからなることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の回路シートの製造方法は、請求項1記載の回路シートの製造方法において、前記接着剤又は接着シートは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、又はポリビニルブチラールから選ばれる樹脂成分と、常圧における沸点が150〜500℃の液状成分とを含み、かつ樹脂成分は、液状成分に溶解されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の回路シートの製造方法は、請求項1又は2記載の回路シートの製造方法において、前記接着剤の塗布量は1〜50g/m 2 であり、一方、前記接着シートの厚みは1〜50μmであることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の回路シートの製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の回路シートの製造方法において、セラミックグリーンシートと転写シートとを接着剤又は接着シートを介して貼着する工程に先立って、セラミックグリーンシートにバイアホール導体を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の多層配線基板の製造方法は、請求項1から4のいずれかの回路シートの製造方法で回路シートを得た後、上記回路シートを複数枚積層して積層体とし、得られた積層体を焼成することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の回路シートは、セラミックグリーンシートの片面又は両面に、回路パターンを形成した金属箔が接着剤又は接着シートにより貼着されたものが用いられる。
【0013】
上記セラミックグリーンシートとしては、アルミナ等のセラミック粉末、バインダー樹脂及び可塑剤などの混合物を、ドクターブレード、プレス等によりシート状に成形したものが用いられる。
また、上記金属箔としては、特に限定されないが、配線基板の回路パターンを形成するのに好適な金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム等の低抵抗金属の金属箔、或いはこれら低抵抗金属の少なくとも1種を含む合金等の金属箔が好適に用いられる。
【0014】
上記金属箔の厚みは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。厚みが1μmより薄くなると金属箔から形成される回路パターンの抵抗率が高くなるため、配線基板の製造に不適となることがあり、100μmより厚くなると金属箔をエッチングして回路パターンを形成する際に、エッチングが困難となり、精度の高い微細な回路パターンを得ることが困難となる。
【0015】
また、上記金属箔には、粘着剤との密着力を高めるために、その表面を粗面加工して、その樹脂フィルム側の表面に微細な凹凸を形成しておくこともできる。
例えば、金属表面に、その表面粗さRa(JIS B 0601)が0.2〜0.7μm程度となるように微細な凹凸を形成することができる。
さらに、金属箔と粘着剤との密着力を高めるために、金属箔表面にカップリング剤を塗布してもよい。
【0016】
上記回路シートは、以下に説明する第1〜第5の工程によって製造される。
まず、第1の工程では、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を介して金属箔を貼着して金属箔付きフィルムを作製する。
【0017】
上記金属箔付きフィルムに用いられる樹脂フィルムとしては、適度の柔軟性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂からなるフィルムが用いられる。
【0018】
上記樹脂フィルムの厚みは、10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜300μmである。厚みが10μmより薄くなると金属箔から回路パターンを形成したときに変形や折れ曲がりにより、回路パターンに断線が生じ易くなり、500μmより厚くなると樹脂フィルムの柔軟性が不足するため、樹脂フィルムを金属箔から引き剥がすことが困難となる。
【0019】
上記粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、シリコーン系等の粘着剤を用いることができ、中でもアクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層の厚みは、1〜200μmが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。
厚みが1μmより薄くなると金属箔との十分な接着強度が得られないため、使用時に剥離する等の問題を生じ、200μmより厚くなると後述するように回路シートをセラミックグリーンシートに貼着した後、樹脂フィルムを剥離する際に粘着剤が回路パターンに残存する等の不都合を生じることがある。
【0020】
上記金属箔付きフィルムの製造方法としては、樹脂フィルムの片面に粘着剤を塗工した後金属箔をラミネートしプレス等で加圧して貼り合わせる方法;金属箔の片面に粘着剤を塗工した後樹脂フィルムをラミネートしプレス等で加圧して貼り合わせる方法等、従来公知の方法が採用可能である。
【0021】
上記金属箔付きフィルムの金属箔と粘着剤層との常温粘着力は、0.3〜10N/cmが好ましく、さらに50℃における粘着力は常温粘着力の1/2以上であることが好ましい。常温粘着力が上記範囲にあることにより、エッチング等に金属箔が剥離することなく保持され、セラミックグリーンシートの貼着後に、例えば加熱することにより、粘着剤付きフィルムを容易に剥離することができる。
尚、上記粘着力は、JIS Z 0237に準拠して、金属箔から樹脂フィルムを引き剥がす際の180度剥離強度により測定される値である。
【0022】
第2の工程では、金属箔付きフィルムの金属箔にレジスト法によって回路パターンを形成して転写シートを作製する。
【0023】
上記金属箔付きフィルムの金属箔にレジスト法によって回路パターンを形成する場合は、金属箔全面にフォトレジストを塗布し、所定パターンのマスクを介して露光を行い現像した後、フォトレジストの未露光部分を除去する。
次いで、プラズマエッチングやケミカルエッチング等のエッチングにより、非パターン部(フォトレジストが除去されている部分)の金属箔を除去する。
これにより、金属箔に回路パターンを形成する。
勿論、スクリーン印刷等により、所定のパターンとなるようにフォトレジストを金属箔表面に塗布し、露光後にエッチングすることにより、回路パターンを形成してもよい。
【0024】
エッチング終了後において、回路パターン上にフォトレジストが残存する場合は、レジスト除去液によって残存するレジストを除去し、洗浄することにより、回路パターンが樹脂フィルム上に形成された転写シートを得る。
【0025】
上記金属箔付きフィルムを用いて回路パターンを有する転写シートを作製するが、金属箔は適度な粘着力によって樹脂フィルムに保持されており、粘着剤層がエッチングに際して用いられる薬液に対する耐性を有し、且つ薬液のしみ込みも抑制するため、エッチングによる回路パターン形成時に金属箔が剥がれるなどの不都合が防止される。この結果、微細で且つ高密度の回路パターンを高精度で形成することが可能となる。
【0026】
第3の工程では、第2の工程で得られた転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシートのいずれか一方又は両方に、接着剤を塗布するか又は接着シートを貼着する。上記接着剤としては、セラミックグリーンシートと金属箔とを接着可能なものであれば、特に制限はないが、中でも、熱可塑性樹脂を液状成分に溶解した液状接着剤が好適に用いられる。この液状接着剤には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。
【0027】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のエラストマー樹脂;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等のビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
これらの熱可塑性樹脂の中でも、高接着性が発現可能なことから、ガラス転移温度30〜150℃のものが好ましく、より好ましくはガラス転移温度50〜150℃のものである。また、焼成時に容易に熱分解することから、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、ポリビニルブチラール等が好ましい。
【0029】
上記液状成分としては、接着性向上の観点から、常圧において150〜500℃の沸点を有するものが好ましく、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル系可塑剤などの可塑剤類;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール等のジオール類;イソホロン等のケトン系溶剤;ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
さらに、上記液状接着剤の粘度調整等のために、必要に応じて、常圧における沸点が150〜500℃の液状成分の他に、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エタノール、メタノール、水等の常圧において沸点150℃未満の液状成分が添加されてもよい。
【0031】
上記接着剤の塗布量としては、1〜100g/m2 が好ましく、より好ましくは1〜50g/m2 である。塗布量が1g/m2 未満になると金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が不十分となり、100g/m2 を超えると焼成後の金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が低下することがある。
【0032】
上記接着剤の塗布方法としては、例えば、スプレー、ロールコーター、フローコーター、バーコーター、刷毛、スクリーン印刷等任意の方法が使用可能である。
【0033】
上記接着シートとしては、セラミックグリーンシートと金属箔とを接着可能なものであれば、特に制限はないが、上述の熱可塑性樹脂及び必要に応じて添加された添加剤、液状成分等を含有する混合物をシート状に成形したものを用いることが好ましい。
シート状に成形する方法としては、(1)上記混合物を離型フィルム上に均一な厚みとなるように塗工し、加熱乾燥等により有機溶剤等を揮発させる方法、(2)上記混合物を離型フィルム上に均一な厚みとなるように塗工し、冷却する方法などが挙げられる。
【0034】
上記接着シートの厚みは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。厚みが1μm未満になると金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が不十分となり、100μmを超えると焼成後の金属箔とセラミックグリーンシートとの接着力が低下することがある。
【0035】
上記接着剤又は接着シートを用いて金属箔とセラミックグリーンシートとを接着した場合の常温接着力は、0.3N/cm以上であることが好ましい。
常温接着力が0.3N/cmより小さくなると、後述する第4の工程において上記転写シートとセラミックグリーンシートとを貼着することができなくなる。
【0036】
上記接着剤又は接着シートは後述の焼成工程において、焼失するものを用いることが好ましい。
【0037】
第4の工程では、上記転写シートとセラミックグリーンシートとを、第3の工程で形成した接着剤又は接着シートを介して、回路パターン側がセラミックグリーンシートと対向するように貼着する。貼着する方法としては、例えば、ラミネーター、ローラー、プレス等任意の方法が使用可能である。
また、貼着は、0.1N/cm2 〜1kN/cm2 程度の圧力で、常温又は加熱下で行うことが好ましい。
【0038】
第5の工程では、上記転写シートとセラミックグリーンシートとの積層物から粘着剤付き樹脂フィルムを剥離する。
剥離する際に、加熱やUV照射等によって金属箔に対する粘着剤の粘着力を低下させる方法がある場合は、その方法を利用して剥離してもよい。また、剥離の際に金属箔表面に粘着剤が残存しないようにすることが好ましい。
上記粘着剤付き樹脂フィルムを剥離することにより、セラミックグリーンシート上に金属箔を有する回路シートを得る。
【0039】
上記回路シートを使用して、多層配線基板を製造する際には、各層間の導通を確保するために、セラミックグリーンシートにバイアホール導体が形成される。
このバイアホール導体は、セラミックグリーンシートにパンチング等の物理的方法;炭酸ガスレーザーやUVレーザー等の化学的方法により細孔を開けた後、細孔へ電解メッキ、無電解メッキを施したり、導体ペーストを充填する等の方法によって、細孔中に導体を形成することにより得られる。
上記バイアホール導体は、転写シートとセラミックグリーンシートとを貼着する工程に先立って形成されることが好ましい。
【0040】
上記で得られた回路シートを焼成することによって単層の配線基板が得られるが、この回路シートを用いて多層の配線基板を製造することが、多層配線基板の生産性を高める上で有利である。多層配線基板を製造する場合は、上記回路シート(例えばバイアホールが形成された回路シート)の所定枚数を、配線回路層とセラミックグリーンシートとが交互に位置し、バイアホール同士もしくはバイアホールと配線回路の一部が導通部を形成するように重ね合わせて圧着し、セラミックグリーンシートが焼結可能な条件で焼成を行い、目的とする多層配線基板を得る。
【0041】
上記焼成工程において、セラミックグリーンシート中のバインダー樹脂や可塑剤等の有機成分が分解するだけでなく、接着剤や接着シートの有機成分も分解することにより、セラミックグリーンシートが焼結すると同時に、回路パターンが形成された金属箔とセラミックグリーンシートとの密着性が向上する。
また、焼成は、使用する金属箔の融点より低い温度で行われることが必要である。このような焼成温度としては、300〜1500℃が好ましく、より好ましくは400〜1000℃である。
【0042】
上記多層配線基板の製造方法によると、バイアホール導体を有するセラミックグリーンシート及び回路シートを有する転写シートの作製を、別個の工程で同時に行うことができるため、極めて生産効率が高くなる。
さらに、回路シートは金属箔の上にメッキを施すことなく、金属箔から直接形成されるため、回路シートが必要以上に厚く形成されることもないので、回路シートの厚肉化による配線基板の変形や強度低下を効果的に防止することができ、さらに配線基板の小型化の点からも極めて有利である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
1)バイアホール導体の形成
厚み150μmのセラミックグリーンシートに、炭酸ガスレーザーで直径0.1mmのバイアホールを穿孔し、そのホール内に銀をメッキした銅粉末を含む銅ペーストを充填してバイアホール導体を形成し、多層配線基板用のセラミックグリーンシートを得た。
【0044】
2)金属箔付きフィルムの作製
固形分20重量%のアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液を、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に塗布した後、110℃のオーブン中で乾燥して酢酸エチルを揮発させることにより、粘着剤厚み20μmの粘着剤付きフィルムを得た。
次いで、電解メッキ法によって得られた電解銅箔(厚み12μm)を、上記粘着剤付きフィルムの粘着面にラミネーターを用いて接着して、金属箔付きフィルムを作製した。
【0045】
上記金属箔付きフィルムにつき、下記の方法で常温及び50℃粘着力を測定した。
常温粘着力
上記2)で作製した金属箔付きフィルムを23℃で30分間放置した後、金属箔付きフィルムの金属箔側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、フィルムを剥離する方法により、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。常温粘着力は3.5N/cmであった。
50℃粘着力
上記2)で作製した金属箔付きフィルムの金属箔側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、50℃の恒温槽中で5分間放置した後、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。50℃粘着力は0.6N/cmであった。
【0046】
3)接着剤の調製
ガラス転移温度72℃のメタクリル酸エステル共重合体(積水化成品社製「IBM−2」)30重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(積水化学社製「DOP」、沸点386℃)30重量部、及び、ブチルカルビトールアセテート(沸点246℃)40重量部を密閉容器に入れた後、常温で24時間振盪機にかけて溶解させ、接着剤を調製した。
【0047】
上記接着剤につき、常温及び50℃接着力を下記の方法で測定した。
常温接着力
上記金属箔付きフィルムの作製に使用したものと同様の電解銅箔に、上記接着剤をバーコーターにより塗布量20g/m2 となるように塗布し、バイアホールを形成していないセラミックグリーンシートと上記電解銅箔の接着剤塗布面とを重ね合わせた後、23℃、10N/cm2 の圧力でプレスにより加圧して貼着した。この貼着物を3時間放置し、さらに23℃で30分間放置した後、そのセラミックグリーンシート側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、金属箔を剥離する方法により、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。常温接着力は3.2N/cmであった。
50℃接着力
常温接着力と同様の貼着物を3時間放置した後、そのセラミックグリーンシート側をプラスチック板に両面粘着テープで固定し、50℃の恒温槽中で5分間放置した後、剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行い剥離強度を測定した。50℃接着力は3.1N/cmであった。
【0048】
4)転写シートの作製
上記金属箔付きフィルムの銅箔面にフォトレジストを塗布し、ガラスマスクを通して露光により潜像パターンを形成した後フォトレジストの未露光部分を除去し、次いで、金属箔付きフィルムを塩化第二鉄溶液中に浸漬して、金属箔の非パターン部を35μm/分のエッチング速度でエッチングすることにより除去し、回路パターンを形成した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、回路パターン上に残存するレジストを除去し、PETフィルム上に粘着剤層を介して回路パターンを有する転写シートを作製した。
尚、回路パターンは、線幅50μm、線間隔50μmの細線部分を有するものであった。また、エッチングに際して、粘着剤層と金属箔との間へ液のしみ込みは観察されなかった。
【0049】
5)転写シートとセラミックグリーンシートとの貼着
上記転写シートの回路パターン側に、上記で調製した接着剤をバーコーターを用いて塗布量20g/m2 となるように塗布した。次いで、回路パターンとセラミックグリーンシートのバイアホール導体が対面するように位置合わせして重ね合わせた後、23℃、100N/cm2 の圧力でプレスにより加圧して、転写シートをセラミックグリーンシートに貼着した。
【0050】
6)粘着剤付き樹脂フィルムの剥離
上記転写シートを貼着したセラミックグリーンシートを常温で3時間放置した後、50℃に加熱したプレート上にセラミックグリーンシート側がプレートと接するように置き、1分間放置した。次いで、粘着剤付きPETフィルムのエッチングにより銅箔のない端部を手で持ってゆっくりと剥離を行い、PETフィルムが剥離された回路シートを得た。尚、この回路シートは、回路パターンは全てセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0051】
(実施例2)
接着剤を塗布量10g/m2 となるように、転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシート側の両面に塗布し、接着剤塗布面同士を重ね合わせて、転写シートとセラミックグリーンシートとを貼着したこと以外は、実施例1と同様にして、回路シートを得た。
尚、PETフィルムが剥離された回路シートは、回路パターンが全てセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0052】
(実施例3)
ガラス転移温度72℃のメタクリル酸エステル共重合体(積水化成品社製「IBM−2」)20重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(積水化学社製「DOP」、沸点386℃)30重量部、及び、酢酸エチル50重量部を密閉容器に入れた後、常温で振盪機にかけて溶解させ接着剤を調製した。
この接着剤を厚み25μmのPETフィルムの離型処理面に塗布した後、110℃のオーブン中で酢酸エチルを揮発させることにより、接着剤層厚み20μmのPETフィルム付き接着シートを得た。
接着剤の代わりに上記PETフィルム付き接着シートを使用したこと以外は実施例1と同様にして、回路パターンを有する転写シートを作製した。
尚、フィルムが剥離された回路シートは、回路パターンが完全にセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0053】
上記接着シートにつき、常温及び50℃接着力を下記の方法で測定した。
常温接着力
バイアホールを形成していないセラミックグリーンシートに、上記PETフィルム付き接着シートの接着剤層側をラミネーターにより貼着した。
次いで、PETフィルムを剥離し、上記金属箔付きフィルムの作製に使用したものと同様の電解銅箔を、接着シートの接着剤層側にラミネーターにより貼着した。この貼着物について、実施例1と同様の方法により常温接着力を測定したところ、2.6N/cmであった。
50℃接着力
常温接着力と同様の貼着物を使用して、実施例1と同様の方法により50℃接着力を測定したところ、2.3N/cmであった。
【0054】
(実施例4)
実施例3で作製したPETフィルム付き接着シートをセラミックグリーンシートの代わりに、転写シートの回路パターン側に貼着したこと以外は、実施例3と同様にして回路シートを得た。尚、フィルムが剥離された回路シートは、回路パターンが完全にセラミックグリーンシート側に転写されており、回路パターンに粘着剤の残存は認められなかった。
【0055】
上記実施例1〜4で得られた回路シート各3枚を、回路パターンとセラミックグリーンシートとが交互になるように重ね合わせ、窒素雰囲気下、1kN/cm2 の圧力、900℃の温度で2時間焼成することにより、6層構成の多層配線基板を作製することができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明の回路シートは、上述した構成であり、薄膜化、高精細化が可能な金属箔からなる回路パターンとセラミックグリーンシートとが接着剤又は接着シートにより貼着されているので、小型化、薄型化され、高精細化された回路パターンを有する多層配線基板を提供する。
本発明の回路シートの製造方法は、上述した構成であり、金属箔が粘着剤により比較的高い粘着力で保持された金属箔付きフィルムを使用するので、エッチングにより回路パターンを形成する際に、金属箔の剥がれや断線を生じることがなく、エッチング液が粘着剤と金属箔との間にしみ込むことがない。
また、セラミックグリーンシートと金属箔とが接着剤又は接着シートを介して比較的高い接着力で接着されているため、セラミックグリーンシート上に回路パターンが接着された状態で加熱した場合、容易に粘着剤付き樹脂フィルムを剥離し、回路パターンを転写することができる。
さらに、小型、薄型且つ高密度の微細回路を高精度で有する多層配線基板の製造に極めて有利であり、しかもセラミックグリーンシートへのバイアホール導体の作製と回路パターンの形成とを別個の工程で同時に進行させることができるため、生産効率も著しく向上する。
Claims (5)
- 樹脂フィルムの片面に粘着剤層を介して金属箔を貼着して金属箔付きフィルムを作製する第1の工程、金属箔付きフィルムの金属箔にレジスト法によって回路パターンを形成して転写シートを作製する第2の工程、該転写シートの回路パターン側及びセラミックグリーンシートのいずれか一方又は両方に、金属箔とセラミックグリーンシートとを接着したときの常温接着力が0.3N/cm以上である、接着剤を塗布するか又は接着シートを貼着する第3の工程、上記転写シートとセラミックグリーンシートとを接着剤又は接着シートを介して、回路パターン側がセラミックグリーンシートと対向するように貼着する第4の工程、及び、上記転写シートから粘着剤付き樹脂フィルムを剥離する第5の工程とからなることを特徴とする回路シートの製造方法。
- 前記接着剤又は接着シートは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチロール樹脂、又はポリビニルブチラールから選ばれる樹脂成分と、常圧における沸点が150〜500℃の液状成分とを含み、かつ樹脂成分は、液状成分に溶解されていることを特徴とする、請求項1記載の回路シートの製造方法。
- 前記接着剤の塗布量は1〜50g/m 2 であり、一方、前記接着シートの厚みは1〜50μmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の回路シートの製造方法。
- セラミックグリーンシートと転写シートとを接着剤又は接着シートを介して貼着する工程に先立って、セラミックグリーンシートにバイアホール導体を形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回路シートの製造方法。
- 請求項1から4のいずれかの回路シートの製造方法で回路シートを得た後、上記回路シートを複数枚積層して積層体とし、得られた積層体を焼成することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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