JP3831010B2 - ドウガネブイブイの誘引剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種農作物、芝などの害虫である鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイに対して極めて高い誘引作用を有する誘引剤に関する。
【0002】
【従来の技術と問題点】
鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイ(学名:Anomalacuprea,アノマラキュプレア)は、幼虫がサツマイモ、ラッカセイ、イチゴなどの各種農作物や芝の地下部を加害し、成虫はブドウ、カキなどの果樹類、大豆をはじめサクラ、クヌギ、プラタナスなどの緑化木の葉を加害し大きな被害を与えている。本害虫の防除方法としては、従来から殺虫剤の散布などが行われている。しかしながら、殺虫剤に対する抵抗性の発現により防除効果が低下することや、殺虫剤を使用することによる環境への影響が問題視されている。また、殺虫剤を使用した防除法は、多大な労力が必要とされるため簡便な防除技術の開発が望まれている。このような状況の中、一般的な殺虫剤による防除方法とは異なる簡便な防除技術、すなわち性フェロモンによる防除技術の検討がなされてきた。具体的には、特開平5−86046号には(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンがドウガネブイブイの性フェロモンとして報告されており、特開平6−87702号では前記物質とマメコガネの性フェロモンである(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンを同時に放出させることにより、誘引効果が増強されることが報告されている。しかしながら、上記1種類もしくは2種類の物質だけではドウガネブイブイの防除手段として用いるには不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる問題点を解決すべくドウガネブイブイの誘引効果を高めるための研究を行った。ドウガネブイブイの誘引剤の主成分として、(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンを用い、これにマメコガネの性フェロモンである(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オン、更にヒメコガネの性フェロモンである(Z)−5−テトラデセン酸メチルを同時に放出させることにより、誘引効果が高まることを見い出した。特に、上記3種類の配合比率を(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン100重量部に対し、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルをそれぞれ10〜100重量部に調整することにより、ドウガネブイブイの誘引効果が飛躍的に高まることを見い出し、本発明を完成した。
以上の記述から明らかなように、本発明の目的は鞘翅目コガネムシ科に属する害虫であるドウガネブイブイの誘引剤を提供することであり、また、ドウガネブイブイの誘引方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成を有する。
【0005】
(1)(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルを有効成分とする鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイの誘引剤。
【0006】
(2)(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン100重量部に対し、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンを10〜100重量部および(Z)−5−テトラデセン酸メチルを10〜100重量部を配合してなる鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイの誘引剤。
【0007】
(3)前記1項もしくは2項に記載の誘引剤を保持体上に保持させ、該保持物をその発生場所もしくは飛来地域に配置することを特徴とする鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイの誘引方法。
【0008】
本発明の構成と効果につき以下に詳述する。
本発明に使用する誘引剤の成分は、ドウガネブイブイの性フェロモンである(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンを主成分とし、これにマメコガネの性フェロモンである(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよびヒメコガネの性フェロモンである(Z)−5−テトラデセン酸メチルを副成分として使用し、ドウガネブイブイに対する誘引効果を高めたものである。その使用量は、(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン100重量部に対し、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンを10〜100重量部好ましくは30〜100重量部および(Z)−5−テトラデセン酸メチルを10〜100重量部好ましくは30〜100重量部に調整したものを用いる。
【0009】
本発明の誘引剤は、上記3種類の誘引活性成分を上記配合比率で混合したものをそのまま、または適当な溶剤、例えばキシレン、アセトン、ジクロロメタン等に溶かして溶液とし、この溶液を適当な保持体、例えばポリエチレン等のプラスチックやゴム等に吸着させるか、プラスチック製のカプセルや毛細態様に応じた適当な材料あるいは器具に封入したディスペンサーにして用いる。あるいは、上記3種類の誘引活性成分を別々に製剤化して使用することも可能である。
【0010】
本発明の誘引剤の配置方法としては、誘引器、例えば意匠登録第698216号に示されているような複数の垂直板を組み合わせた誘引器に前述のごとく製剤化した誘引剤を装着し、飛来するドウガネブイブイ成虫を捕獲する。
【0011】
本発明の誘引方法としては、ドウガネブイブイの発生する場所、例えばサツマイモ畑に1ヘクタール当り1〜10器、好ましくは2〜6器の誘引剤を装着したトラップを設置する。発生場所のみならずドウガネブイブイの飛来地域、例えばブドウ、カキ等の果樹園、サクラ、クヌギ、プラタナス等の植林地に設置してもよい。設置期間は、成虫の発生に合わせて4月〜10月、好ましくは4月〜8月の間放置できるよう、その間風雨に耐えるよう固定する。捕獲された成虫は自由を失って死ぬが、腐敗等で消滅することはないので、期間中放置してもよい。このような誘引方法、すなわちドウガネブイブイの大量誘殺により、次世代の虫数を減少させることが可能である。更に、大量誘殺を繰り返すことで使用地域に棲息するドウガネブイブイの密度低減が図られ、簡便かつ有効な防除技術の開発も可能である。
あるいは、本発明の誘引剤とドウガネブイブイに対して有効な殺虫剤、例えばMEP、ダイアジノン、DDVP、DEP等を同時にテックス板(厚さ0.9cm,6×6cmファイバーボード)や綿ロープに塗布または含浸させて地上に設置し、ドウガネブイブイ雄成虫を誘引補殺することにより、本害虫の密度低減を図ることも可能である。更に、本発明の誘引剤にコガネムシ類成虫に対する植物性の誘引物質として広く知られているアネトール、オイゲノール、ゲラニオール等を併用することにより、ドウガネブイブイ成虫の捕獲率を高めることも十分期待される。
【0012】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0013】
実施例1
(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルを表1に示す割合で混合したもの10mgをゴムセプタムに吸着させて製剤化した。
【0014】
実施例2
(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルを表2に示す割合で混合したもの100mgをプラスチック製チューブに封入してディスペンサーを製作した。
【0015】
比較例1
(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび/または(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンを表1に示す割合で混合したもの10mgをゴムセプタムに吸着させて製剤化した。
【0016】
試験例1
実施例1および比較例1により得られたゴムセプタムを衝突板式トラップの中央に装着したものを、森林苗畑・サツマイモ畑周辺に高さ1.2mの位置に設置した。トラップの数は各誘引源当り10器設置し、1週間毎にローテーションした。試験期間中に誘引されたドウガネブイブイ雄成虫数を調査し、結果を表1に示した。(試験期間:平成7年6月〜9月、試験地:鹿児島県川辺郡知覧町)
その結果、誘引源として(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンにそれぞれ単独の追加併用ではそれほど誘引効果のない(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルの両方を配合することにより、ドウガネブイブイ雄成虫が多数誘引され、(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン単独、あるいは、(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンと(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンを併用配合した場合と比較して、顕著に誘引効果が高いことが明らかとなった。
【0017】
試験例2
実施例2により得られたフェロモンディスペンサーを衝突板式トラップの中央に1本装着したものを約25ヘクタールのサツマイモ畑に60器、ほぼ均等になるように配置した。試験期間中に誘引されたドウガネブイブイ雄成虫数を調査し、結果を表2に示した。(試験期間:平成7年4月〜9月、試験地:鹿児島県川辺郡知覧町)
その結果、(R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルを配合したものを誘引源とすることにより、ドウガネブイブイ成虫が多数誘引された。このことで、大量誘殺による次世代の虫数の低減が予想され、誘引剤を使用してのドウガネブイブイの防除技術の確立の可能性が示唆された。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
Claims (3)
- (R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンおよび(Z)−5−テトラデセン酸メチルを有効成分とする鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイの誘引剤。
- (R,Z)−5−(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オン100重量部に対し、(R,Z)−5−(1−デセニル)オキサシクロペンタン−2−オンを10〜100重量部および(Z)−5−テトラデセン酸メチルを10〜100重量部を配合してなる鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイの誘引剤。
- 請求項1もしくは請求項2に記載の誘引剤を保持体上に保持させ、該保持物をその発生場所もしくは飛来地域に配置することを特徴とする鞘翅目コガネムシ科に属するドウガネブイブイの誘引方法。
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JP16535196A JP3831010B2 (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ドウガネブイブイの誘引剤 |
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- 1996-06-05 JP JP16535196A patent/JP3831010B2/ja not_active Expired - Fee Related
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