JP3830814B2 - プラズマプロセス装置およびプラズマ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマプロセス装置およびプラズマ制御方法に関し、より特定的には、マイクロ波を利用したプラズマプロセス装置およびプラズマ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置や半導体装置などの製造工程においては、成膜工程、エッチング工程およびアッシング工程などにおいてプラズマを利用したプラズマプロセス装置が使用されている。このようなプラズマプロセス装置において、処理対象物である基板の被処理面全体に対して均一な処理を行なうためには、被処理面全体に対して均一なプラズマを発生させる必要がある。
【0003】
また、近年、半導体記憶装置などに代表される半導体デバイスや液晶表示装置などの分野では、シリコンウェハやガラス基板といった基板の大型化が進んでいる。特に、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置の場合、基板として1メートル角というような大きなサイズの矩形基板が用いられる可能性がある。さらに、タクトタイムの向上のためには、多数の基板を一括して処理する事が好ましい。そのため、上述したような大型の矩形基板の被処理面全体や複数の基板の被処理面全体に対して、処理の均一性を向上させることが可能なプラズマプロセス装置が求められている。
【0004】
上述したような大型の基板に対するプラズマ処理の均一性を向上させる従来の技術として、たとえば特開2000−150195公報に開示された技術が挙げられる。
【0005】
図25は、上記特開2000−150195公報に開示されたプラズマプロセス装置の断面模式図であり、図26は、図25に示したプラズマプロセス装置の平面模式図である。図25および図26を参照して、従来のプラズマプロセス装置を説明する。
【0006】
図25および図26に示すように、従来のプラズマプロセス装置は有底円筒形状の反応器101を備える。この反応器101の上部には石英またはアルミナなどの誘電体からなる封止板102が配置されている。反応器101の内部はこの封止板102により気密状態に封止されている。反応器101の内部には、封止板102と対向する位置に、基板111を保持するための基板ホルダ112が配置されている。
【0007】
封止板102の上部には、封止板102を覆うようにカバー部材103が配置されている。カバー部材103は導電性の金属からなり、ほぼ円形蓋状に成形されている。カバー部材103は反応器101の上部に固定されている。カバー部材103上には、反応器101の内部にマイクロ波を導入するための管状導波管型アンテナ104が設置されている。
【0008】
管状導波管型アンテナ104には複数のスロット105が放射状に設けられている。スロット105の位置は、管状導波管型アンテナ104において生成されるマイクロ波の定在波の腹節の位置を考慮して決定されている。具体的には、スロット105は、管状導波管型アンテナ104の終端部からλ/2の間隔を隔てて配置されている(なお、λはマイクロ波の定在波の波長を表す)。
【0009】
各スロット105には、スロット105の開口面積を自在に変更するためのアルミニウム製のシャッタ106が設置されている。シャッタ106は、ステッピングモータ107、第1ギヤ部108、第2ギヤ部109および支持部110からなる調整機構により円周方向に駆動可能となっている。
【0010】
シャッタ106が移動する(開閉する)ことにより、スロット105の開口面積を変更することができる。このため、スロット105から反応器101の内部に放射されるマイクロ波の電界強度を調整することができる。この結果、上記特開2000−150195公報に開示されたプラズマプロセス装置では、各スロット105から放射されるマイクロ波に応じて生成されるプラズマの密度を個別に制御できるので、反応器101内部に生成されるプラズマの密度を基板111の表面とほぼ平行な平面内で均一化することができるとしている。
【0011】
また、プラズマ生成時にスロット105の開口面積を小さくすることにより、反応器101内部に放射されるマイクロ波の電界強度を強くすることができるので、反応器101内部でのプラズマの着火性を向上させることが可能であるとしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開2000−150195公報に開示されたプラズマプロセス装置においては、以下のような問題があった。
【0013】
上記特開2000−150195公報に開示されたプラズマプロセス装置では、図26に示すようにスロット105の短辺方向の片側からシャッタ106を用いてその開口面積を変更している。しかし、スロット105を有するスロットアンテナでは、スロット105の長辺方向における磁界の変化がアンテナの特性に大きな影響を及ぼす。つまり、スロット105の短辺方向においてスロット105の開口量(スロット105の幅)を変化させても、アンテナの特性を大きく変化させることは難しい。また、スロット105の短辺方向においてスロット105の開口量を変化させる場合、シャッタ106を極わずか移動させてもスロット105の開口面積は比較的大きく変化するので、シャッタ106の移動量を高い精度で制御する必要がある。
【0014】
また、図25および図26に示したように、スロット105の短辺方向の一方のみにシャッタ106を配置して、このシャッタ106を移動させる方式では、スロット105の開口面積およびスロット105の位置を変更可能な範囲が限られたものになる。たとえば、環状導波管型アンテナ104の伸展方向にほぼ垂直な方向(半径方向)に延びる中心線を軸として対称性を保ちながら、スロット105の開口面積および位置を変化させることは、図25および図26に示したプラズマプロセス装置においては困難である。
【0015】
また、特開2000−150195公報に開示されたプラズマプロセス装置は、その形状が円形状である環状導波管型アンテナ104を備えており、この環状導波管型アンテナ104においては、導波管が一重の円形状となるように配置されている。そして、処理対象物である基板111や基板ホルダ112は、環状導波管型アンテナ104の内径程度のサイズを有するものが示されている。
【0016】
ここで、1m角程度のサイズの矩形状基板をプラズマプロセス装置で処理する場合、基板ホルダは当該矩形状基板と同程度以上のサイズであることが好ましい。なお、このような矩形状基板は通常液晶表示装置を製造するために用いられる。
【0017】
このような矩形状基板を、図25および図26に示したような円環形状の導波管を有するプラズマプロセス装置において処理する場合、矩形状基板に対して均一な処理を行うためには、少なくとも被処理対象物である矩形状基板の対角線の長さ以上の直径を有する円環形状の導波管が必要となる。このため、被処理対象物である基板のサイズが大型化する、あるいは複数枚の基板を一括処理するためには、円環形状の導波管および処理室としての反応器のサイズも大きくする必要がある。
【0018】
さらに、処理室の面積が大きくなるにつれて、図25および図26に示したようなプラズマプロセス装置では、導波管が一重の円形状に配置されているので、反応器101内部の中央部や端部と、環状導波管型アンテナの直下の領域とにおいて、マイクロ波の電界強度の差が大きくなる。そのため、図25および図26に示したような従来のプラズマプロセス装置では、大型の矩形状基板を処理する場合、矩形状基板の表面に対する処理の均一性を向上させるには限界があった。
【0019】
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、プラズマの生成・維持を安定的かつ効率的に行うとともに、プラズマを用いた処理の均一性を向上させることが可能なプラズマプロセス装置およびプラズマ制御方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明の1の局面におけるプラズマプロセス装置は、プラズマを用いた処理を行うための処理室と、処理室にマイクロ波を導入するマイクロ波導入手段と、マイクロ波導入手段により処理室に導入されるマイクロ波の伝送経路上に配置され、長軸を有し、マイクロ波の伝送経路を構成する複数の開口部が形成されたスロット部材と、開口部の長軸方向において、開口部の開口面積と位置とを変更することが可能なスロット制御手段とを備える。スロット制御手段は、開口部の長軸方向における両端にそれぞれ配置され、開口部の長軸方向に沿って移動可能な1組のスロット面積制御部材と、スロット面積制御部材のそれぞれを移動させるための駆動部材とを含む。スロット制御手段は、すべての開口部のそれぞれに対応して個別に形成されている。
【0021】
このようにすれば、処理室にマイクロ波を導入する際、開口部の長軸方向に沿って開口面積と位置とを任意に変化させることができるので、開口部を介して処理室に放射されるマイクロ波の放射特性をスムーズかつ効率的に変化させることができる。なお、開口部の長軸方向において開口面積などを変化させれば、処理室に放射されるマイクロ波の特性を大きく変化させることができる。このため、プラズマの生成時、またプラズマ処理進行時など、プラズマプロセスのプロセス条件やプロセスの進行状況に合せて処理室の内部へマイクロ波を効率良く導入することができる。この結果、処理室内部においてマイクロ波を用いて効率的にプラズマを生成することができるとともに、安定したプラズマを得ることができる。
【0022】
また、各開口部を介して処理室へ放射されるマイクロ波について、各開口部ごとに開口面積などを制御することによりマイクロ波の電界強度を制御することができる。したがって、処理室内部でマイクロ波を用いて生成されるプラズマの密度分布を制御することができる(ほぼ均一な密度分布を有するプラズマを生成することが可能になる)。このため、被処理物の被処理面におけるプラズマ処理の面内均一性を向上させることができる。
【0024】
また、スロット面積制御部材を開口部の長軸方向に沿って移動させることにより、開口部の開口面積を変更することができるとともに、長軸方向における開口部の中心点の位置を任意に変更できる。たとえば、開口部の両端に配置されたそれぞれのスロット面積制御部材を、開口部の中心点から見て遠ざかる方向、あるいは近づく方向に同じように移動させれば、開口部の中心点の位置はほとんど変化しない状態で、開口部の開口面積を変更することができる。また、それぞれのスロット面積制御部材を同じ方向に同様に移動させれば、開口部の開口面積を一定に保った状態で開口部の中心点の位置を変更できる。もちろん、開口部の両端に位置するそれぞれのスロット面積制御部材の移動量に差をつければ、開口部の開口面積と中心点の位置とを同時に変更することもできる。
【0025】
また、開口部の両端にスロット面積制御部材がそれぞれ配置されているので、開口部の中心点からみた場合の開口部の対称性を保持したまま、開口部の開口面積や位置などを変更することができる。
【0026】
したがって、開口部を介して処理室に放射されるマイクロ波の条件設定の自由度を大きくすることができる。このため、処理室に放射されるマイクロ波の条件をより精度良く制御することができるので、処理室内部においてマイクロ波を用いて形成されるプラズマの安定性および均一性を向上させることができる。
【0029】
上記1の局面に従ったプラズマプロセス装置において、スロット制御手段は、複数の開口部のそれぞれについて個別に、開口面積と位置とを変更することが可能であってもよい。
【0030】
この場合、各開口部を介して処理室へ放射されるマイクロ波について、プロセス条件に適合するように、各開口部ごとに開口面積などを制御することによりマイクロ波の電界強度を精度良く制御することができる。したがって、処理室内部でマイクロ波を用いて生成されるプラズマの密度分布を精度良く制御できるので、ほぼ均一な密度分布を有するプラズマを生成できる。このため、プラズマ処理を受ける被処理物の被処理面におけるプラズマ処理の面内均一性を効果的に向上させることができる。
【0031】
上記1の局面に従ったプラズマプロセス装置は、処理室の内部においてマイクロ波を用いて形成されるプラズマの状態を検出する検出手段を備えていてもよい。
【0032】
この場合、検出手段により処理室内部のプラズマの状態を検出できるので、このプラズマの状態に基づいてスロット制御手段を動作させることが可能になる。このため、プラズマ処理中のプラズマの状態をリアルタイムで検出しながら、そのプラズマの状態のデータに基づいて、プラズマの均一性や安定性を維持するようにスロット制御手段を動作させることができる。この結果、プラズマの均一性および安定性を効果的に向上させることができる。
【0033】
上記1の局面に従ったプラズマプロセス装置において、検出手段はプラズマの発光強度を検出する検出器を含んでいてもよい。
【0034】
この場合、プラズマの発光強度は比較的測定が容易であるとともに、この発光強度を用いればプラズマの状態を比較的正確に反映したデータを得ることができる。したがって、プラズマの状態についての比較的正確なデータに基づいて、スロット制御手段を動作させることが可能になる。このため、安定性および均一性に優れたプラズマを得ることができる。したがって、プラズマプロセスにおける被処理物の処理面での処理の面内均一性を向上させることができる。
【0035】
上記1の局面に従ったプラズマプロセス装置において、処理室には検出手段が複数個設けられていてもよい。
【0036】
この場合、プラズマの状態についてのより正確かつ詳細なデータ(たとえば、プラズマの密度分布についてのよりきめ細かなデータなど)を得ることができる。このため、プラズマの状態を示す上記データに基づいて、プラズマの均一性や安定性を維持するようにスロット制御手段をきめ細かく動作させることができる。この結果、開口部を介して処理室に放射されるマイクロ波の照射量や照射位置などを細かく制御できるので、プラズマの均一性および安定性を効果的に向上させることができる。したがって、プラズマプロセスの均一性を向上させることができる。
【0037】
上記1の局面に従ったプラズマプロセス装置は、検出手段によって得られたプラズマの状態についての情報に基づいてスロット制御手段を自動的に動作させる自動制御手段を備えていてもよい。
【0038】
この場合、処理室の内部に生成されたプラズマの状態が時々刻々変化する場合であっても、検出手段からの情報に基づいて開口部の開口面積や位置などを自動的に変更することができる。このため、処理室の内部において安定的かつ密度分布の均一なプラズマを効率的に生成・維持することができる。したがって、被処理物の被処理面におけるプラズマプロセスの面内均一性を効果的に向上させることができる。
【0039】
この発明の他の局面に従ったプラズマ制御方法は、上記1の局面に従ったプラズマプロセス装置を用いたプラズマ制御方法であって、検出手段を用いて、処理室の内部に形成されたプラズマの状態を測定する測定工程と、検出手段により測定されたプラズマの状態についての情報に基づいて、スロット制御手段を動作させることにより開口部の開口面積と位置とを変更する調整工程とを備える。
【0040】
このようにすれば、検出手段により処理室内部のプラズマの状態をリアルタイムで検出できるので、このプラズマの状態に基づいてスロット制御手段を動作させることができる。このため、たとえばプラズマの生成・維持を安定して行うために、プラズマの状態に適合するようにプラズマの生成前後で開口部の開口面積や位置を変更することができる。また、プラズマプロセス中にプラズマの状態が変化した場合においても、そのプラズマの状態の変化に合せて、さらにはプロセス条件やプラズマ状態などの経時変化を考慮して、安定的かつ均一なプラズマを維持できるように、開口部の開口面積などを変更できる。この結果、プラズマの均一性および安定性を高い精度で維持できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0042】
(実施の形態1)
図1は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図2は、図1の線分II−IIにおける断面模式図である。図3は、図1に示したプラズマプロセス装置を構成するスロットアンテナ板の部分斜視模式図である。図4は、図1に示したプラズマプロセス装置のスロットアンテナ板の動作を説明するための平面模式図である。図5は、図1に示したプラズマプロセス装置における、スロットアンテナ板でのスロットの配置を示す模式図である。図1〜図5を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1を説明する。
【0043】
図1〜図5に示すように、プラズマプロセス装置26を構成するチャンバ本体2の上部に形成された開口部上には、チャンバ蓋1が配置されている。チャンバ本体2とチャンバ蓋1とから処理室が構成される。チャンバ蓋1とチャンバ本体2との接合部にはOリング10が配置されている。このOリング10はチャンバ蓋1とチャンバ本体2との接合部を封止するものである。処理室内部7は真空封止することが可能になっている。チャンバ本体2の底面上においては、チャンバ蓋1と対向する位置に基板ホルダ8が配置されている。基板ホルダ8上には被処理基板9が設置されている。
【0044】
チャンバ蓋1には複数箇所(具体的には2行×4列の8箇所)に開口部が形成されている。この開口部を充填するようにマイクロ波導入窓12a〜12d、12gが埋設されている。マイクロ波導入窓12a〜12d、12gはアルミナなどの誘電体からなる。チャンバ蓋1とマイクロ波導入窓12a〜12d、12gとの接合部には、Oリング11が設置されている。このOリング11は、処理室内部7を真空封止するために、チャンバ蓋1とマイクロ波導入窓12a〜12d、12gとの間の接合部を封止する。
【0045】
また、チャンバ蓋1の上部表面上には、複数の矩形導波管3a〜3dがほぼ平行に延びるように配置されている。矩形導波管3a〜3dは、導波管路を介してマイクロ波発振器(図示せず)に接続されている。このマイクロ波発振器、導波管路および矩形導波管3a〜3dによりマイクロ波導入手段が構成される。
【0046】
マイクロ波導入窓12a〜12d、12gの下側(処理室内部7側)には、4枚の誘電体板13a、13b、13dが2行×2列という配置で設置されている。誘電体板13a、13b、13dは、2つのマイクロ波導入窓(たとえばマイクロ波導入窓12a、12b)に対してそれぞれ1つ(たとえば誘電体板13a)配置されている。誘電体板13a、13b、13dは、それぞれ誘電体板保持部材14によりチャンバ蓋1の下面(処理室内部7側)に固定されている。
【0047】
誘電体板13a、13b、13dの下側にはガス導入管5が配置されている。このガス導入管5の処理室内部7の中央部に位置する領域にはガス導入口6が形成されている。このガス導入管5のガス導入口6から処理室内部7へと反応ガスを導入することができる。
【0048】
マイクロ波導入窓12a〜12d、12gと矩形導波管3a〜3dとの間には、複数のスロット20が形成された導電体としての金属製のスロットアンテナ板15a〜15dが設置されている。ここで、図1〜図5に示したプラズマプロセス装置の矩形導波管3a〜3dにおいては、壁面電流が矩形導波管3a〜3dの短辺方向に流れる。そのため、ここではスロット20を、矩形導波管3a〜3dの短辺方向とはほぼ垂直な方向(矩形導波管3a〜3dの長辺方向)に延びるような長軸を有する長方形状とした。
【0049】
スロット部材としてのスロットアンテナ板15a〜15dの上部表面にはスライド溝22が設けられている。このスライド溝22の内部にスライド板16が配置されている。スロット面積制御部材としてのスライド板16は、スライド溝22の内部においてスロットアンテナ板15a〜15dの上部表面とほぼ平行な方向にスライド可能になっている。スロットアンテナ板15a〜15dのスライド板16は、それぞれギヤ部18a〜18dを介してモータ17a〜17dにより駆動されることによりスライドする。スライド板16、ギヤ部18a〜18dおよびモータ17a〜17dからスロット制御手段が構成される。
【0050】
チャンバ本体2の側壁面には、処理室内部7のプラズマの状態を検出する検出手段であるプラズマ発光強度検出器19が設置されている。プラズマ発光強度検出器19は、その検出部が図示しない処理室内部観察用の石英窓を介して、処理室内部7に臨ませて設置されている。プラズマ発光強度検出器19は伝送線を介して制御装置25に接続されている。プラズマ発光強度検出器19により、リアルタイムでプラズマ処理中のプラズマの状態を比較的正確に検出できる。プラズマ発光強度検出器19からの信号は、伝送線を介して自動制御手段としての制御装置25へと送られる。プラズマ発光強度検出器19からの情報に基づいて、制御装置25はプラズマの状況を判断する。制御装置25は、上記情報に基づいてモータ17a〜17dへと制御信号を送信する。そして、この制御信号に基づいてモータ17a〜17dが駆動することにより、後述するように開口部としてのスロット開口部21a〜21dの開口量および位置を変化させることができる。この結果、処理室内部7へと放射されるマイクロ波の放射状態を制御することができる。
【0051】
スロットアンテナ板15a〜15dは、それぞれほぼ同様の形状を有している。以下、スロットアンテナ板15cを例にスロットアンテナ板15a〜15dの形状を説明する。図2からもわかるように、スロットアンテナ板15cには、スロット20が複数設けられている。スロット20の周囲にはすでに述べたようにスライド溝22が形成されている。スロット20の位置は、そのスロット20の中心位置同士の間隔がnλ/2(nは整数、λはマイクロ波の矩形導波管3a〜3d内における管内波長)となるように設定されている。また、矩形導波管3cの長辺方向の端部に最も近い領域に位置するスロット20の中心位置と矩形導波管3cの側壁との間の距離は(2n−1)λ/4となるように設定されている。これは、スロット20が形成されていないスロットアンテナ板をスロットアンテナ板15cの位置に配置した場合に、矩形導波管3c内で生じる定在波の導波管長辺方向における電界振幅が最大となる位置にスロット20が配置されていることを意味する。ここで、矩形導波管3c内での定在波の電界振幅が最大値を示す位置の直下付近にスロット開口部21a〜21dの中心が位置する場合、処理室内部7へと放射されるマイクロ波の放射効率が最も高くなる。そのため、スロット20が形成されたスロットアンテナ板15cを用いた際に上記電界振幅が最大値を示す位置が変化する場合、スライド板16の位置を変えることにより、スロット20とスライド板16とにより規定されるスロット開口部21の開口量および位置を変化させることができる。このため、上記電界振幅が最大値を示す位置の真下付近にスロット開口部21の中心を移動させることができる。したがって、マイクロ波の放射効率を高めることが可能である。
【0052】
なお、図1〜5に示したプラズマプロセス装置においては、スロットアンテナ板15a〜15dの上部表面側にスライド溝22を設け、スライド板16を配置しているが、この構成に限らずスロットアンテナ板15a〜15dの下部表面側にスライド板16を配置してもよい。
【0053】
このようなスロットアンテナ板15a〜15dは、以下のようにプラズマの密度分布の制御に用いられる。すなわち、マイクロ波発振器により発振されたマイクロ波は、矩形導波管3a〜3d、導波管開口部4a〜4d、スロットアンテナ板15a〜15dにおけるスロット開口部21を介して、マイクロ波導入窓12a〜12d、12gに伝えられる。マイクロ波導入窓12a〜12d、12gに伝えられたマイクロ波は、誘電体板13a、13b、13dを介して処理室内部7へと導入される。そして、ガス導入管5のガス導入口6から処理室内部7へと導入された反応ガスが、このマイクロ波によりプラズマ化される。
【0054】
このとき、スロットアンテナ板15a〜15dに設置されたスライド板16を移動させることによって、マイクロ波を処理室内部7へと効率よく導入できるようにスロット開口部21a〜21dの開口位置を変化させる。スライド板16は、長軸を有するスロット開口部21a〜21dの長軸方向の両端部に設置され、この長軸方向に沿って移動可能になっている。したがって、スロット開口部21a〜21dの長軸方向に沿って開口面積と位置とを任意に変化させることができる。このため、処理室内部7に放射されるマイクロ波の特性を大きく変化させることができる。そのため、プロセス条件などに合せて処理室内部7へマイクロ波を効率良く導入できるので、効率的にプラズマを生成することができると同時に、プラズマを安定して生成・維持することができる。
【0055】
また、スロット開口部21の開口量(開口面積)を変化させることにより、それぞれのスロット開口部21から処理室内部7へのマイクロ波の放射量を変更することができる。この結果、プラズマの密度分布を制御することができる。このため、被処理基板9の表面におけるプラズマ処理の均一性を向上させることができる。
【0056】
以下、スロットアンテナ板15cの構造および動作をより詳細に説明する。
図3に示すように、スロットアンテナ板15cには既に述べたようにスライド溝22が形成されている。スライド板16はスライド溝22の内部に配置されている。スライド溝22の内部において、スライド板16は図3に示した矢印方向にスライド可能となっている。なお、スライド板16は、矩形導波管3cの下部表面およびスロットアンテナ板15cのスライド溝22の底壁および側壁と密着している。このため、スロットアンテナ15c、スライド板16および矩形導波管3cは電気的導通を保った状態で動作する。この結果、スロットアンテナ板15c近傍からはマイクロ波がプラズマプロセス装置26の外部に漏れることはない。
【0057】
1つのスロット開口部21は、スロットアンテナ板15cに形成されたスロット20と、このスロット20の長軸方向の両端部に位置する1組のスライド板16とから構成される。1つのスロット開口部21を構成するための1組のスライド板16は、それぞれ独立した駆動系(ギヤ部18cおよびモータ17cなど)を備える。したがって、一組のスライド板16はそれぞれ独立して移動可能であるので、矩形導波管3cにおける導波管長辺方向におけるスロット開口部21の位置およびスロット開口部21の開口量(開口面積)を独立して制御することが可能である。この結果、スロット開口部21の開口量および位置を制御する自由度を大きくなっているので、処理室内部7に放射されるマイクロ波の電界強度を精度良く制御することができる。
【0058】
たとえば、図4に示すように、スロット開口部21bの位置を変更する場合、スライド板16a、16bをともに矢印28の方向、あるいは矢印27の方向に同じ距離だけ移動させる。このようにすれば、スロット開口部21bの開口面積を一定に保ったまま、導波管長辺方向におけるスロット開口部21bの位置を変更することができる。また、スロット開口部21bの開口量を変える場合、たとえばスライド板16aを矢印28の方向に移動させる一方、スライド板16bは矢印27の方向に動作する。このようにすれば、スロット開口部21bの中心点から見た場合のスロット開口部21bの対称性を保持したまま、開口面積を変更することができる。あるいは、スライド板16a、16bを矢印28に示した方向、あるいは矢印27に示した方向というように同一方向に移動させる場合は、スライド板16a、16bの移動量に差をつける。このようにしても、スロット開口部21bの開口量を変えることができる。
【0059】
このように、スライド板16a、16bをそれぞれ独立して移動することによって、スロット開口部21bの開口量および位置を任意に変更することができる。
【0060】
なお、スロットアンテナ板15a〜15dに形成されたスロット20は、このスロットアンテナ板15a〜15dをチャンバ蓋1へと設置した状態で図5に示すようにマトリックス状に配置してもよい。図5は、図1に示したプラズマプロセス装置の基板ホルダ8側からチャンバ蓋位置を見た場合のスロットの位置を模式的に示している。
【0061】
ここで、被処理基板9として大型の矩形状基板を用いる場合、図5に示したようなスロット20の配置としておけば、円環形状の導波管を用いたプラズマプロセス装置と比較して、装置を大型化することなくマイクロ波を被処理基板9の(外形が矩形状の)表面に対してほぼ均一に導入することができる。この結果、矩形状基板の表面に対するプラズマプロセスの面内均一性を向上させることができる。
【0062】
以下、図1〜図5に示したプラズマプロセス装置の動作を簡単に説明する。
図示していないマイクロ波発振器から発振されたマイクロ波は、導波管路、矩形導波管3a〜3d、スロット開口部21、誘電体窓12a〜12d、12gおよび誘電体板13a、13b、13dからなるマイクロ波の伝送経路を介して処理室内部7に放射される。そして、このマイクロ波により、ガス導入口6から処理室内部7に導入されている反応ガスが励起される。この結果、プラズマが生成される。
【0063】
このとき、矩形導波管3a〜3dの内部で生じる定在波の導波管長辺方向における電界振幅が大きくなる領域の真下付近にスロット開口部21の中心が位置するように、スライド板16の位置を制御する。つまり、端部に位置するスロット開口部21の中心位置を、矩形導波管3a〜3dの長辺方向の端部から(2n−1)λ/4だけ離れた領域に配置する一方、隣接するスロット開口部21の中心位置の間の距離をnλ/2としておく。このようにすれば、効率よくマイクロ波を処理出力7の内部に放射することができる。この結果、処理室内部7においてプラズマの生成を確実に行なうことができる。
【0064】
プラズマが生成されると、スロットアンテナ板15a〜15dから見た処理室内部7のインピーダンスが変化する。このため、矩形導波管3内部に形成されている定在波の導波管長辺方向における電界振幅が最大となる位置も変化する。この場合、スライド板16を移動させることにより、スロット開口部21の中心が、上述した矩形導波管3a〜3d内の定在波の電界振幅が最大となる位置(変化後の位置)の真下付近に位置するようにスロット開口部21の位置を変更する。この結果、プラズマ生成後においてもマイクロ波を効率よく処理室内部7に供給することができる。したがって、プラズマ放電を安定して維持することができる。なお、図1〜図5に示したプラズマプロセス装置26では、すでに述べたように、スロット20の長辺方向の両端側にそれぞれスライド板16が配置され、さらにこのスライド板16がスロット20の長辺方向にほぼ平行な方向において独立してスライド可能になっているので、矩形導波管3a〜3dの長辺方向におけるスロット開口部21の位置を任意に設定することができる。
【0065】
また、処理室内部7のプラズマの状態は放電条件(たとえばガス種、ガス圧、処理対象物の組成など)によっても変化する。この結果、上記のようにスロットアンテナ板15a〜15dから見た処理室内部7のインピーダンスが変化する。したがって、マイクロ波の伝搬状態も変化するので、導波管長辺方向における電界振幅が最大となる位置も変化する。この場合も、上述のようにスライド板16の位置を制御することにより、スロット開口部21の導波管長辺方向における位置およびその開口量を変更できるので、導波管長辺方向における定在波の電界振幅が最大となる位置の真下付近にスロット開口部21の中心を位置させるとともに、処理室内部7へ放射されるマイクロ波の放射量を最適化することができる。この結果、マイクロ波を効率よく処理室内部7に供給することにより、プラズマ放電を安定して発生させるとともに維持することができる。
【0066】
なお、スロット開口部21の条件(開口量や位置)は、各プロセス条件ごとにデータベース化しておいてもよい。そして、プロセス実行時には当該データベースのデータに従ってスロット開口部21の基本的な制御を行ない、刻々と変化するプラズマ状態に応じて適宜スライド板16の位置の微調整を行なうというような制御を行なってもよい。
【0067】
次に、スロット開口部21の開口量を制御し、被処理基板9の上部表面に対向する領域におけるプラズマの密度分布を制御することによって、プラズマプロセスの均一性を高める制御を行なう場合について説明する。
【0068】
エッチングや成膜といったプラズマプロセスを行なう場合、被処理基板9の材質など、処理対象物の条件によっては、その処理の面内均一性がマイクロ波の放射状態以外の条件(反応ガスの供給状態など)に依存する場合がある。たとえば、反応ガスを処理室内部7の中央部から供給した場合、被処理基板9の端部においてプラズマプロセスの処理速度が低下する場合がある。このとき、被処理基板9の端部におけるプラズマプロセスのプロセス処理速度が処理室内部7の中央部に位置する領域でのプロセス処理速度と同程度になるように、スライド板16の位置を制御することが好ましい。
【0069】
具体的には、図4に示したスロットアンテナ板15cにおいて、被処理基板9の端部と対向する領域である外周側領域23(図5参照)に位置するスロット開口部21a、21dの開口量が相対的に大きくなるようにスライド板16の位置を制御する。一方、処理室内部7の中央部付近に位置する中央部領域24(図5参照)に配置されるスロット開口部21b、21cについては、その開口量が相対的に小さくなるようにスライド板16の位置を制御する。このようにすれば、被処理基板9の端部と対向するように配置されたスロット開口部21a、21dから処理室内部7へ放射されるマイクロ波の放射量が相対的に多くなる一方、被処理基板9の中央部と対向するように位置するスロット開口部21b、21cから処理室内部7に放射されるマイクロ波の放射量は相対的に少なくなる。その結果、被処理基板9の端部におけるプロセスの処理速度を相対的に大きくすることができる。したがって、被処理基板9の表面における処理の均一性を向上させることができる。また、このようにすれば、反応ガスを処理室内部7へと供給する反応ガス供給部(ガス導入管5など)の構造的な変更など、プラズマプロセス装置26の装置構成について大掛かりな改造を行なうことなく、プラズマの密度分布を制御することができる。
【0070】
なお、上述のようにプラズマの密度分布などを制御する場合、配置されているすべてのスロット開口部21についてその開口量や位置を変更する必要はない。たとえば、マイクロ波の状態もしくはプラズマ密度分布の状況によっては、スロット開口部21のうち一部についてのみ開口量および位置を変更する場合(開口量および位置を変更しないスロット開口部21が存在する場合)もある。
【0071】
図1〜図5に示したプラズマプロセス装置においては、上述のようにプラズマ発光強度検出器19が設置されている。そこで、図1〜5に示したプラズマプロセス装置において、プラズマの生成開始やプラズマの状態の変化をプラズマ発光強度検出器19によって検出し、そのプラズマ発光強度検出器19からの情報に基づいてスロット開口部21の状態を自動的に調整する方法について以下説明する。
【0072】
なお、プラズマの状態を検出する検出器としてはさまざまな種類のものが存在するが、図1〜5に示したプラズマプロセス装置においては、プラズマ発光強度検出器19を検出器として用いている。このようなプラズマ発光強度検出器19は利便性が高いため採用されている。
【0073】
プラズマの放電開始前は、既に述べたように、矩形導波管3a〜3dの内部で形成される定在波の導波管長辺方向の電界振幅が最大となる位置の真下付近にスロット開口部21のそれぞれの中心を位置させておく。この結果、処理室内部7に効率的にマイクロ波を放射できるので、安定的にプラズマの生成を開始することができる。
【0074】
次に、プラズマ生成後、プラズマ発光強度検出器19を用いて、測定工程として処理室内部7におけるプラズマ生成の確認やプラズマ状態の変化の測定を行なう。プラズマ発光強度検出器19から測定結果の信号が伝送線を介して制御装置25に伝えられる。制御装置25は、既に述べたようにモータ17a〜17dを制御する。つまり、プラズマ発光強度検出器19からの検出信号(測定されたプラズマの状態についての情報)に基づいてモータ17a〜17dを制御することにより、スロット開口部21の位置および開口面積を変更する調整工程を実施する。この結果、プラズマ生成前後の処理室内部7の状態変化に応じてスロット開口部21の状態(開口量など)を変化させることができるので、安定したプラズマを維持することができる。
【0075】
また、プラズマが生成した後、プラズマの状態は常に一定というわけではない。たとえば、被処理基板9上に形成された積層膜に対してエッチング処理を行なう場合を考える。このとき、被処理物としての積層膜が上部から順次エッチングにより除去されていくことにより、被処理物の物理的性質が見掛け上変化することになる。この結果、プラズマプロセス(エッチング処理)に寄与するイオンやラジカルの生成状態や密度分布も時間的に変化する。
【0076】
このような場合、プラズマ発光強度検出器19によりプラズマの発光強度を計測することにより、プラズマ中のある特定のラジカルやイオンの発光波長の強度を経時的に計測し、その変化を検出することによりプラズマの生成状態の変化を確認することができる。そして、プラズマ発光強度検出器19からの信号に基づいて制御装置25によりスロット開口部21の開口量および位置を自動的に変化させることができる。この結果、プラズマの状態に合わせてスロット開口部21の開口量および位置などを変化させることにより、処理室内部7にマイクロ波を効率よく安定して供給することができる。したがって、処理室内部7において放電を安定的に維持することができる。このため、被処理基板9の表面におけるプラズマ処理の面内均一性を良好に保つことができる。
【0077】
また、図1〜5に示したプラズマプロセス装置26においては、ガス供給手段としてのガス導入管5を用いて反応ガスを処理室内部7へと供給しているが、本発明によるプラズマプロセス装置におけるガス供給手段としてはこのような方法に限らず他の方法を用いてもよい。たとえば、チャンバ本体2にガス供給部を設ける方法や、チャンバ蓋1の内部にガス供給部を埋設するといった方法を用いてもよい。
【0078】
また、誘電体板13は、その誘電体板13内でマイクロ波を伝搬させることにより、処理室内部7に均一にマイクロ波を供給するために用いられているが、本発明によるプラズマプロセス装置ではこの誘電体板13を用いないような構成であってもよい。すなわち、誘電体板13を用いなくてもプラズマプロセスの均一性が維持できる場合は、誘電体板13を使用しなくてもよい。
【0079】
(実施の形態2)
図6は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2を示す斜視模式図である。図6を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2を説明する。
【0080】
図6に示すように、プラズマプロセス装置26は基本的には図1〜図5に示したプラズマプロセス装置と同様の構造を備えるが、プラズマ発光強度検出器19の数および配置が異なっている。すなわち、図6に示したプラズマプロセス装置26においては、チャンバ本体2の側壁面において、水平方向に並ぶように複数個のプラズマ発光強度検出器19が配置されている。
【0081】
図6に示したプラズマプロセス装置によれば、図1〜図5に示したプラズマプロセス装置と同様の効果を得られるとともに、このように複数のプラズマ発光強度検出器19を設置することにより、処理室内部7で生成されたプラズマの状態を、矩形導波管3a〜3dの短辺方向および長辺方向においてより詳細に検出することができる。そして、このプラズマ発光強度検出器19からの信号は本発明の実施の形態1によるプラズマプロセス装置と同様に制御装置25に伝送される。制御装置25は、プラズマ発光強度検出器19からの信号に基づいて、モータ17a〜17dを制御することによりスロット開口部21のそれぞれについて開口量および位置を変化させる。つまり、被処理基板9の上部表面に対向する領域において、スロット開口部21と対向するそれぞれの領域におけるプラズマの状態に合わせて個々のスロット開口部21の開口量および位置を変化させることができる。この結果、被処理基板9の上部表面に対向する領域中のそれぞれの部分ごと(たとえば処理室内部7の中央部と端部ごとに)マイクロ波の放射状況を制御することができる。したがって、プラズマ放電をより精度高く安定的に維持することができる。また、プラズマの密度分布を被処理基板9の上部表面にほぼ平行な面内で所定の状態(たとえばほぼ均一な状態)となるように制御することができるので、プラズマプロセスの面内均一性をより高めることができる。
【0082】
なお、プラズマ発光強度検出器19は、チャンバ本体2の側壁面以外の位置、たとえばチャンバ蓋1の面内中央部やその他の位置に設置してもよい。このようにしても、図6に示したプラズマプロセス装置と同様に、処理室内部7におけるプラズマの分布を細かく検出することができる。したがって、的確なプラズマ制御を行なうことができる。
【0083】
(実施の形態3)
図7は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3を説明するための断面模式図である。図7は図2に対応する。図8は図7に示したプラズマプロセス装置における上スロットアンテナ板と下スロットアンテナ板とからなるスロット開口調整機構を説明するための斜視模式図である。図9は、図8に示したスロット開口調整機構の平面模式図である。図10は、図9のX−Xにおける断面模式図である。図7〜10を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3を説明する。
【0084】
図7〜図10に示すように、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3は、基本的には図1〜図5に示したプラズマプロセス装置と同様の構造を備えるが、スロットアンテナ板を含むスロット開口調整機構の構造が異なる。図7〜図10に示したプラズマプロセス装置においては、スロット開口調整機構はほぼ同一形状の上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31を含む。そして、この上スロットアンテナ板32と下スロットアンテナ板31とが対向する平面とほぼ平行な方向において、上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31を相対的にずらすことにより、スロット開口部21の開口面積(開口量)およびその位置を変化させている。なお、上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31はギヤ部18を介してモータ17a、17bにより駆動される。
【0085】
上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31はそれぞれほぼ同一形状のスロット29、20がほぼ同一配置となるように形成されている。図8からもわかるように、下スロットアンテナ板31上に上スロットアンテナ板32が重なるように配置されている。スロット開口部21は上スロットアンテナ32のスロット29と下スロットアンテナ板31のスロット20とが重なった部分により規定されている。
【0086】
下スロットアンテナ板31および上スロットアンテナ板32をそれぞれ図9の矢印57、58に示したように、スロット20の長辺方向に沿った方向に相対的にずらすことにより、スロット開口部21の開口量および位置を変化させることができる。たとえば、スロット開口部21の位置を変更する場合、下スロットアンテナ板31または上スロットアンテナ板32の両方あるいはいずれか一方を矢印58または矢印57の方向に移動させる。
【0087】
具体的には、スロット開口部21の開口面積を変化させず一定に保ちたい場合には、下スロットアンテナ板31および上スロットアンテナ板32の両方を矢印57または矢印58で示した方向のうちのいずれか同じ方向に移動させる。また、スロット開口部21の位置および開口面積の両方を変化させる場合、下スロットアンテナ板31および上スロットアンテナ板32のうちのいずれか一方を矢印57、58のいずれかの方向に移動させると同時に、他方のスロットアンテナ板を上記一方のスロットアンテナ板と反対の方向、もしくは上記一方のスロットアンテナ板と同一方向であってその移動量を上記一方のスロットアンテナ板とは異なる値となるように移動させればよい。このように下スロットアンテナ板31および上スロットアンテナ板32を移動させることにより、スロット開口部21の開口量および位置を任意に調整することができる。
【0088】
なお、下スロットアンテナ板31と上スロットアンテナ板32との間は電気的に接続されるように金属接触を保った状態に維持される。また、下スロットアンテナ板31とチャンバ蓋1との間、上スロットアンテナ板32と矩形導波管3a〜3dとの間も金属接触を保って電気的に接触された状態を維持している。そのため、上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31をそれぞれ移動させた場合、マイクロ波がこのスロット開口調整機構からプラズマプロセス装置26の外部へと漏れることはない。
【0089】
このようにすれば、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、図7〜図10に示したプラズマプロセス装置においては、すべてのスロット開口部21について同じような開口面積および位置となるように一律の制御しか行なえないが、スロット開口調整機構の部品点数が本発明の実施の形態1によるプラズマプロセス装置の場合よりも少なくなる。したがって、プラズマプロセス装置の構造を簡略化できるので、その製造コストを低減することができる。
【0090】
(実施の形態4)
図11は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態4を説明するための平面模式図である。図11は図9に対応する。図11は、プラズマプロセス装置におけるスロット開口調整機構のみを示している。図11を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態4を説明する。
【0091】
図11に示すように、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態4は、基本的には本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3と同様の構造を備えるが、スロット開口調整機構の構造が異なる。すなわち、図11に示したプラズマプロセス装置のスロット開口調整機構は、図7〜図10に示した上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31と同様に矩形導波管3a〜3d(図1参照)とチャンバ蓋1(図1参照)との間に設置されるものであり、1枚の下スロットアンテナ板31上に外周領域スロットアンテナ板33と内周領域スロットアンテナ板34とからなる上スロットアンテナ板32が配置されている。外周領域スロットアンテナ板33と内周領域スロットアンテナ板34とはそれぞれ独立して移動可能に配置されている。下スロットアンテナ板31は基本的に図8に示した下スロットアンテナ板31と同様の構造を備える。また、上スロットアンテナ板32を構成する外周領域スロットアンテナ板33と内周領域スロットアンテナ板34とには、それぞれスロット29、42が形成されている。図11に示したスロット開口調整機構では、内周領域スロットアンテナ板34に形成されたスロット42と下スロットアンテナ板31に形成されたスロット20とによりスロット開口部21bが規定され、外周領域スロットアンテナ板33に形成されたスロット29と下スロットアンテナ板31のスロット20とにより外周領域のスロット開口部21aが規定されている。
【0092】
外周領域スロットアンテナ板33は、その中央部に開口部30が形成され、この開口部の内部に内周領域スロットアンテナ板34が配置されている。このため、外周領域に位置するスロット開口部21aと、内周領域に位置するスロット開口部21bとについて、それぞれ独立して開口量および位置を変更することができる。たとえば、外周領域に位置するスロット開口部21aの開口量を大きくする一方、内周領域に位置するスロット開口部21bについてはその開口面積を小さくしたいような場合を考える。この場合、外周領域スロットアンテナ板33の移動量を相対的に小さくすることにより、下スロットアンテナ板31に対する外周領域スロットアンテナ板33の位置のずれ量を相対的に小さくする。一方、内周領域スロットアンテナ板34の移動量を相対的に大きくすることにより。下スロットアンテナ板31に対する内周領域スロットアンテナ板34の位置のずれ量を相対的に大きくする。あるいは、下スロットアンテナ板31も移動させる場合、外周領域スロットアンテナ板33を、下スロットアンテナ板31と同一方向において下スロットアンテナ板31と同程度移動させる。一方、内周領域スロットアンテナ板34は、下スロットアンテナ板31の移動方向とは反対の方向に移動させる。このようにすれば、図11に示すように外周領域のスロット開口部21aの開口面積を、内周領域に位置するスロット開口部21bの開口面積よりも相対的に大きくすることができる。
【0093】
このようなスロット開口調整機構を備えるプラズマプロセス装置によれば、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3と同様にプラズマプロセス装置の製造コストを抑制すると共に、内周領域と外周領域というようにスロットアンテナ板の面内において領域ごとに独立してスロット開口部21a、21bの開口の開口面積および位置を制御することができる。この結果、領域ごとにマイクロ波の放射状況を調整することができる。
【0094】
図12は、図11に示したプラズマプロセス装置の第1の変形例におけるスロット開口調整機構の平面模式図である。図12はスロット開口調整機構を構成する上スロットアンテナ板のみを示している。なお、図12に示した上スロットアンテナ板と組合わせて用いられる下スロットアンテナ板は、基本的に図11に示した下スロットアンテナ板31と同様の構造を備える。図12を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態4の第1の変形例を説明する。
【0095】
図12に示すように、プラズマプロセス装置のスロット開口調整機構は基本的には図11に示したプラズマプロセス装置のスロット開口調整機構と同様の構造を備えるが、外周領域スロットアンテナ板をさらに複数の部分に分割した場合を示している。すなわち、スロット開口調整機構を構成する上スロットアンテナ板32は、複数の開口部30、43a〜43dが形成されたスロットアンテナ板部分35と、開口部30、43a〜43dの内部に配置された内周領域スロットアンテナ板34、スロットアンテナ板部分36、37とを備える。スロットアンテナ板部分35、内周領域スロットアンテナ板34、スロットアンテナ板部分36、37はそれぞれ互いに独立して移動可能になっている。また、スロットアンテナ板部分36、37には、それぞれスロット44が形成されている。
【0096】
図12に示したスロット開口調整機構では、スロットアンテナ板部分36、37に形成されたスロット44と図示していないが下スロットアンテナ板31に形成されたスロット20とにより外周領域におけるスロット開口部が規定される。そして、スロットアンテナ板部分36、37のそれぞれを独立して移動させることにより、スロットアンテナ板部分36、37が配置された領域ごとにスロット開口部の開口面積および位置を独立して変更することができる。
【0097】
このようにすれば、スロットアンテナ板部分36、37を独立して移動させることにより、図11に示したスロット開口調整機構を備えるプラズマプロセス装置と同様の効果を得られると共に、図11に示したスロット開口調整機構を備えるプラズマプロセス装置よりさらに外周領域におけるスロット開口部の開口面積および位置の自由度を大きくすることができる。この結果、プラズマプロセスの被処理基板9表面における面内均一性をより向上させることができる。
【0098】
図13は、図11に示したプラズマプロセス装置の第2の変形例におけるスロット開口調整機構の平面模式図である。図13は図12に対応し、上スロットアンテナ板32を示している。図13を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態4の第2の変形例を説明する。
【0099】
図13に示したスロット開口調整機構は、基本的には図12に示したスロット開口調整機構と同様の構造を備えるが、上スロットアンテナ板32の構造が異なる。すなわち、図13に示したスロット開口調整機構の上スロットアンテナ板32は、4つの開口部43e〜43hが形成されたスロットアンテナ板部分38と、この開口部43e〜43hの内部に配置されたスロットアンテナ板部分39a〜39dとからなる。スロットアンテナ板部分39a〜39dには、それぞれスロット44が形成されている。
【0100】
これらのスロットアンテナ部分39a〜39dは、プラズマプロセス装置においてそれぞれ矩形導波管3a〜3d下に位置するように配置される。すなわち、矩形導波管3a〜3dのそれぞれからマイクロ波が入射される領域ごとに、スロットアンテナ板部分39a〜39dを独立して移動させることによりスロット開口部の面積を独立して変更することができる。
【0101】
このようにしても、図12に示したスロット開口調整機構を備えるプラズマプロセス装置と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(実施の形態5)
図14は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態5におけるスロット開口部を示す平面模式図である。図15は、図14に示したスロット開口部を構成する、切り欠き部を有するスロットアンテナ板を示す平面模式図である。図16は、図14に示したスロット開口部を構成する矩形開口部であるスロットを有するスロットアンテナ板を示す平面模式図である。図14〜図16を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態5におけるスロット開口部を説明する。
【0103】
図14〜図16に示したスロット開口部21を有するプラズマプロセス装置は、基本的に本発明の実施の形態1におけるプラズマプロセス装置と同様の構造を備えるが、スロット開口部21の形状が異なる。つまり、図14〜図16に示したスロット開口部は、矩形開口部であるスロット20を有するスロットアンテナ板40(図3のスロットアンテナ板15cに対応する部材)上に切り欠き部45を有するスロットアンテナ板41a、41b(図3におけるスライド板16に対応する部材)が配置されることにより構成される。切り欠き部45を有するスロットアンテナ板41a、41bを矢印46で示す方向に移動させることにより、本発明の実施の形態1におけるプラズマプロセス装置と同様に、スロット開口部21の開口面積および位置を変更することができる。なお、半円状の切り欠き部45がスロットアンテナ板41a、41bにおいて形成されているため、スロット開口部21の平面形状はスロット20の長手方向の端部において丸みを有するような形状となっている。
【0104】
以下、図14〜図16に示したスロット開口部を含むスロット開口調整機構の動作を簡単に説明する。たとえば、スロット開口部21の開口面積を小さくするような場合、図17に示すように切り欠き部を有するスロットアンテナ板41a、41bを矢印59に示す方向に移動させる。また、図17に示したような形状のスロット開口部21を左方向へと移動させるような場合、図18に示すように、矢印47に示す方向に切り欠き部を有するスロットアンテナ板41a、41bを移動させる。この結果、スロット開口部21の位置を任意に変更することができる。なお、図17は、図14に示したスロット開口部の開口面積が小さくなった場合の状態を示す平面模式図である。図18は、図17に示したスロット開口部を左方向へと移動させる場合の操作を説明するための模式図である。
【0105】
なお、切り欠き部45の形状としては、図14に示したような半円状に限らず他の形状であってもよい。また、スロット20の形状としては、矩形状に限らず両端が半円状の形状や楕円形状などであってもよい。このように、プロセス条件などに合せてスロット開口部21の形状は適宜変更可能である。
【0106】
(実施の形態6)
図19は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態6におけるスロット開口調整機構を示す平面模式図である。図19を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態6を説明する。なお、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態6は、基本的には図7に示したプラズマプロセス装置と同様の構造を備えるが、スロット開口調整機構の構造が異なっている。
【0107】
図19に示すように、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態6において、スロット開口調整機構は、矢印49に示す方向に長さを変更することが可能なアンテナ板48a〜48dからなる。アンテナ板48a〜48dの端部60の平面形状は図19に示すように階段状になっている。そして、それぞれの矢印49に示した方向におけるアンテナ板48a〜48dの長さを変更することにより、隣接するアンテナ板48a〜48dの端部60の間における間隙として形成されるスロット開口部21の矢印49方向における幅を変更することができる。なお、アンテナ板48a〜48dは、それぞれ矢印50に示すようにその幅を同程度伸縮してもよいが、それぞれの幅の伸縮の程度をアンテナ板48a〜48d毎に変更してもよい。このようにすれば、スロット開口部21について、領域ごと(一つのアンテナ板の端部に位置するスロット開口部21の群ごと)にその幅を変更することができる。なお、アンテナ板48a〜48dの接触部のうち矢印49に沿った方向とほぼ平行な部分の長さを充分長くしておけば、矢印49に示した方向に延びる長軸を有するスロット開口部21を形成することができる。このようなスロット開口調整機構を備えるプラズマプロセス装置によっても、本発明の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0108】
図20は、図19に示したプラズマプロセス装置の変形例を説明するための平面模式図である。図20は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態6の変形例におけるスロット開口調整機構の平面図を示している。図20を参照して、プラズマプロセス装置の実施の形態6の変形例を説明する。
【0109】
図20に示すように、スロット開口調整機構は、複数の短冊状のアンテナ板51、52からなる。複数の短冊状のアンテナ板51、52は格子状に組合せられる。それぞれのアンテナ板51、52の間の間隙としてスロット開口部21が形成されている。
【0110】
図21および図22は、図20に示したプラズマプロセス装置における短冊状のスロットアンテナ板の断面模式図である。図21および図22に示すように、アンテナ板51(図20参照)はアンテナ板部材51a、51bからなる。アンテナ板51はアンテナ板部材51a、51bが矢印56に示す方向に相対的にずれることにより、その幅53を伸縮可能とするように構成されている。同様に、アンテナ板52(図20参照)も、矢印55(図20参照)で示す方向において、その幅54(図20参照)を伸縮可能に構成されている。したがって、アンテナ板52の幅54を任意に変更することにより、スロット開口部21(図20参照)の開口面積および位置を長軸方向において、任意に変更することができる。また、アンテナ板51(図20参照)の幅53(図20参照)を任意に変更することにより、短軸方向においてもスロット開口部21の開口面積および位置を任意に変更することができる。
【0111】
このようなスロット開口調整機構を備えるプラズマプロセス装置によっても、本発明の実施の形態1によるプラズマプロセス装置と同様の効果を得ることができる。
【0112】
(実施の形態7)
図23は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態7を説明するための模式図である。本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態7は、基本的に本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3と同様の構造を備えるが、スロットアンテナ板に形成されたスロットの配置が異なる。図23はスロットアンテナ板におけるスロットの配置を示している。なお、図23に示したスロットアンテナ板63は図7に示した上スロットアンテナ板32および下スロットアンテナ板31に対応する。図23を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態7を説明する。
【0113】
図23に示すように、スロットアンテナ板63におけるスロット20は、本発明の実施の形態1〜6に示したようにマトリックス状ではなく、スロット20を千鳥格子状(千鳥状)に配置されている。この場合、矢印61で示したある所定の方向に沿って整列するスロット20a、20bの間の距離をλ/2(λは使用するマイクロ波の矩形導波管内の波長)とすることが好ましい。そして、スロット20a、20bの整列方向とほぼ垂直な方向において隣接する、矢印62で示す方向に沿って整列するスロット20cについては、スロット20bの位置からλ/4だけずらした位置に配置することが好ましい。
【0114】
スロット20a、20bをλ/2という間隔で配置することにより、処理室内部7に同位相の高周波を供給することができる。また、スロット20a、20bが含まれるスロット群(矢印61で示す方向に沿って整列するスロット群)と、そのスロット群に隣接するように形成されたスロット群(矢印62で示す方向に沿って整列され、スロット20cが含まれるスロット群)とを、互いにλ/4だけずらして配置すれば、スロット20a、20bの間におけるマイクロ波の電界強度の落ち込みを防ぐことができる。この結果、処理室内部において均一なプラズマを発生させることができるので、面内均一性の高いプラズマプロセスを行なうことが可能になる。
【0115】
図24は、図23に示したプラズマプロセス装置の変形例を示す平面模式図である。図24に示したスロットアンテナ板63は、図23に示したスロットアンテナ板63とスロット20の配置が異なる。
【0116】
図24に示すように、スロットアンテナ板63においては、スロット20を斜交格子状配置としている。このような配置とすれば、処理室内部において円偏波を発生させることができる。そして、このような円偏波が発生している範囲内においては、マイクロ波を均一に処理室の内部へと供給することができる。したがって、均一なプラズマを生成することができるので、プラズマプロセスの面内均一性を向上させることができる。
【0117】
従来例では、処理室のサイズの大型化に伴って、処理室中央部や処理室の端部(コーナ部)にはスロットが存在しない場合があった。そのため、処理室内部の領域によってマイクロ波の電界強度差が大きくなっていた。しかし、図23および図24に示したようなスロットアンテナ板63を用いれば、処理室に対してスロット20を偏りなく分散して配置することになるので、処理室内部におけるマイクロ波の電界強度について領域毎の差異を小さくすることができる(電界強度の均一性を向上させることができる)。したがって、処理室内部において形成されるプラズマの分布をある程度一様にすることができる。このため、大型矩形基板に対する均一なプラズマ処理を容易に行なうことが可能な基礎的条件を実現できる。
【0118】
また、スロット20の開口面積や位置の調整範囲を予め小さくすることができる(スロット20の開口面積や位置を大きく変化させなくても、ある程度均一なプラズマ処理を行なうことが可能になっている)。したがって、プラズマプロセスごとの各々のプロセス条件に対応するようにスロット20の開口面積などを変更する制御を容易に行うことができる。また、プラズマの状態の瞬間的な変化にも容易に対応することができる。
【0119】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0120】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、処理室に放射されるマイクロ波の放射特性を任意に変化させることができるので、プラズマプロセスの条件などに合せてマイクロ波の放射特性を調整できる。したがって、安定したプラズマを形成できるので、プラズマプロセスの被処理基板表面における面内均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1を示す断面模式図である。
【図2】 図1の線分II−IIにおける断面模式図である。
【図3】 図1に示したプラズマプロセス装置を構成するスロットアンテナ板の部分斜視模式図である。
【図4】 図1に示したプラズマプロセス装置のスロットアンテナ板の動作を説明するための平面模式図である。
【図5】 図1に示したプラズマプロセス装置における、スロットアンテナ板でのスロットの配置を示す模式図である。
【図6】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2を示す斜視模式図である。
【図7】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3を説明するための断面模式図である。
【図8】 図7に示したプラズマプロセス装置における上スロットアンテナ板と下スロットアンテナ板とからなるスロット開口調整機構を説明するための斜視模式図である。
【図9】 図8に示したスロット開口調整機構の平面模式図である。
【図10】 図9のX−Xにおける断面模式図である。
【図11】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態4を説明するための平面模式図である。
【図12】 図11に示したプラズマプロセス装置の第1の変形例におけるスロット開口調整機構の平面模式図である。
【図13】 図11に示したプラズマプロセス装置の第2の変形例におけるスロット開口調整機構の平面模式図である。
【図14】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態5におけるスロット開口部を示す平面模式図である。
【図15】 図14に示したスロット開口部を構成する、切り欠き部を有するスロットアンテナ板を示す平面模式図である。
【図16】 図14に示したスロット開口部を構成する矩形開口部であるスロットを有するスロットアンテナ板を示す平面模式図である。
【図17】 図14に示したスロット開口部の開口面積が小さくなった場合の状態を示す平面模式図である。
【図18】 図17に示したスロット開口部を左方向へと移動させる場合の操作を説明するための模式図である。
【図19】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態6におけるスロット開口調整機構を示す平面模式図である。
【図20】 図19に示したプラズマプロセス装置の変形例を説明するための平面模式図である。
【図21】 図20に示したプラズマプロセス装置における短冊状のスロットアンテナ板の断面模式図である。
【図22】 図20に示したプラズマプロセス装置における短冊状のスロットアンテナ板の断面模式図である。
【図23】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態7を説明するための模式図である。
【図24】 図23に示したプラズマプロセス装置の変形例を示す平面模式図である。
【図25】 特開2000−150195公報に開示されたプラズマプロセス装置の断面模式図である。
【図26】 図25に示したプラズマプロセス装置の平面模式図である。
【符号の説明】
1 チャンバ蓋、2 チャンバ本体、3a〜3d 矩形導波管、4a〜4d 導波管開口部、5 ガス導入管、6 ガス導入口、7 処理室内部、8 基板ホルダ、9 被処理基板、10,11 Oリング、12a〜12d,12g マイクロ波導入窓、13a,13b,13d 誘電体板、14 誘電体板保持部材、15a〜15d,40,41a,41b,63 スロットアンテナ板、16,16a,16b スライド板、17a〜17d モータ、18a〜18d ギヤ部、19 プラズマ発光強度検出器、20,29,42,44 スロット、21,21a〜21d スロット開口部、22 スライド溝、23 外周側領域、24中央部領域、25 制御装置、26 プラズマプロセス装置、27,28,46,47,49,50,55〜59,61,62 矢印、30,43a〜43d開口部、31 下スロットアンテナ板、32 上スロットアンテナ板、33 外周領域スロットアンテナ板、34 内周領域スロットアンテナ板、35〜38,39a〜39d スロットアンテナ板部分、45 切り欠き部、48a〜48d,51,52 アンテナ板、51a,51b アンテナ板部材、53,54 幅、60 端部。
Claims (7)
- プラズマを用いた処理を行うための処理室と、
前記処理室にマイクロ波を導入するマイクロ波導入手段と、
前記マイクロ波導入手段により前記処理室に導入されるマイクロ波の伝送経路上に配置され、長軸を有し、前記マイクロ波の伝送経路を構成する複数の開口部が形成されたスロット部材と、
前記開口部の長軸方向において、前記開口部の開口面積と位置とを変更することが可能なスロット制御手段とを備え、
前記スロット制御手段は、
前記開口部の長軸方向における両端にそれぞれ配置され、前記開口部の長軸方向に沿って移動可能な1組のスロット面積制御部材と、
前記スロット面積制御部材のそれぞれを移動させるための駆動部材とを含み、
前記スロット制御手段は、すべての前記開口部のそれぞれに対応して個別に形成されている、プラズマプロセス装置。 - 前記スロット制御手段は、複数の前記開口部のそれぞれについて個別に、開口面積と位置とを変更することが可能である、請求項1に記載のプラズマプロセス装置。
- 前記処理室の内部において前記マイクロ波を用いて形成されるプラズマの状態を検出する検出手段を備える、請求項1または2に記載のプラズマプロセス装置。
- 前記検出手段はプラズマの発光強度を検出する検出器を含む、請求項3に記載のプラズマプロセス装置。
- 前記処理室には前記検出手段が複数個設けられている、請求項3または4に記載のプラズマプロセス装置。
- 前記検出手段によって得られた前記プラズマの状態についての情報に基づいて前記スロット制御手段を自動的に動作させる自動制御手段を備える、請求項3〜5のいずれか1項に記載のプラズマプロセス装置。
- 請求項3〜6のいずれか1項に記載のプラズマプロセス装置を用いたプラズマ制御方法であって、
前記検出手段を用いて、前記処理室の内部に形成されたプラズマの状態を測定する測定工程と、
前記検出手段により測定されたプラズマの状態についての情報に基づいて、前記スロット制御手段を動作させることにより前記開口部の開口面積と位置とを変更する調整工程とを備える、プラズマ制御方法。
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