JP3830798B2 - 熱分解装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子化合物を熱分解して再利用できるようにする際に用いられる熱分解装置に係り、特に熱分解した際に発生する熱分解生成物により分解ガスの流動路が閉塞されないようにした熱分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、国際的規模で資源の再利用化が要望されている。このような状況下で例えば、塩化ビニール樹脂等のプラスチックやゴム等の高分子化合物を再資源化する際には、図5等に示すような熱分解装置が利用されている。
【0003】
この熱分解装置では、液状化した高分子化合物をガス化することが行われ、その分解ガスは、例えば冷却されて燃料油等の再生品に利用される。
【0004】
図5は、このような熱分解装置の横断面を模式的に示した図であり、図6は図5におけるAA断面を模式的に示した図である。なお、本明細書では、熱分解対象物である塩化ビニール樹脂等の高分子化合物を単に熱分解物と記載し、これがガス化したものを分解ガスと記載する。
【0005】
当該熱分解装置1は、円筒状の炉心管2、該炉心管2が内設される外筒3、該外筒3を覆うように設けられて炉心管2内に収納された熱分解物を加熱する加熱ジャケット4、液状化した熱分解物を炉心管2に供給する供給装置5、炉心管2を回転させる回転装置6等により構成されている。
【0006】
炉心管2には熱分ガスが流出する炉心管排出口7が複数設けられ、また外筒3には当該熱分解装置1で生成された分解ガスを装置外に排出させる外筒排出口8が設けられている。
【0007】
このような構成で、供給装置5により炉心管2内に供給された熱分解物の溶融物10は、外筒3に設けた加熱ジャケット4により、例えば300〜500℃に熱せられ熱分解して分解ガスとなる。
【0008】
このとき炉心管2は回転装置6により回転して、熱分解物の溶融物10が固まったりしないようにしている。
【0009】
このようにして生成された分解ガスは、炉心管排出口7から排出されて、炉心管2と外筒3とのガス流路Sを通り外筒排出口8から装置外に排出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した構成では、運転を継続すると、図7及び図8に示すように、熱分解する際に生じた熱分解生成物Bが、ガス流路Sを形成する外筒3の面や炉心管2の面、炉心管排出口7等に徐々に付着・堆積して、当該ガス流路Sを閉塞させてしまう問題があった。
【0011】
このため熱分解装置1の内圧が上昇するようになり、図示しない真空ポンプ等の圧力維持装置を大容量のものにする必要が生じたり、また付着・堆積した熱分解生成物Bが外筒3から炉心管2への熱伝導を低下させたりする要因となって、炉心管2の温度維持のために多くの燃料が必要になる。
【0012】
そこで、本発明は、ガス流路に熱分解生成物が付着・堆積するのを抑制することで、装置の長期間運転を可能にすると共に、少ない燃料で運転可能にした熱分解装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、熱分解物を熱分解して、その分解ガスを炉心管排出口から排出する円筒状の炉心管と、該炉心管が回転可能に内設されて、外筒排出口から分解ガスを装置外に排出する外筒と、炉心管を回転させる回転装置とを備えて、炉心管からの分解ガスが炉心管と外筒との間に形成される空間を通って外筒排出口から機外に排出されてなる熱分解装置において、分解ガスの流動路に付着・堆積する熱分解により発生した熱分解生成物を掻き落すスクレーパ装置を設け、前記スクレーパ装置が、前記外筒に対面した前記炉心管の側面に設けられて、前記回転装置により当該炉心管が回転することにより前記外筒に付着・堆積した熱分解生成物を掻き落すフィンを設けた第1のスクレーパ装置を備え、前記スクレーパ装置が、前記炉心管の回転に伴い前記外筒に対面する前記炉心管の側面を摺動するように、この炉心管の長手方向に撓んで架設されて、前記炉心管及び前記フィンの側面に付着・堆積した前記熱分解生成物を掻き落す炉心管チェーンを設けた第2のスクレーパ装置を備えて、分解ガスの流動路に熱分解生成物が付着・堆積するのを抑制し、これにより装置の長期間運転を可能にすると共に、少ない燃料で運転可能にしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2にかかる発明は、スクレーパ装置が、炉心管排出口に設けられて、炉心管の回転に伴い炉心管排出口の開口端部を摺動しながら回ることにより当該該炉心管排出口に付着・堆積した熱分解生成物を掻き落す排出口チェーンを設けた第3のスクレーパ装置を備えて、当該炉心管排出口に熱分解生成物が付着・堆積するのを抑制し、これにより装置の長期間運転を可能にすると共に、少ない燃料で運転可能にしたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。なお、従来の構成と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0018】
図1は本実施の形態にかかる熱分解装置1の横断面(長手方向)を模式的に示した図であり、図2は図1におけるAA断面を模式的に示した図である。
【0019】
本発明に係る熱分解装置1の炉心管2には、外筒3側に金属等の耐熱性や耐腐食性のある部材からなる第1のスクレーパ装置9を設けている。
【0020】
なお、図1等においては、当該スクレーパ装置9として炉心管2の長手方向に延びたフィン9aを十字状に設けた場合を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばフィン9aを螺旋状に設けてもよく、また金属ブラシ等のようなものであってもよい。さらに、十字状でなくても良いことは、発明の趣旨から明らかである。
【0021】
このような構成で、供給装置5により炉心管2に供給された熱分解物の溶融物10は、加熱ジャケット4からの熱により加熱されて熱分解して分解ガスとなる。
【0022】
分解ガスは、炉心管排出口7から炉心管2と外筒3とで囲まれてなるガス流路Sを流動して外筒排出口8から装置外に排出される。
【0023】
熱分解物の熱分解は回転装置6により炉心管2を回転させながら行なわれるが、その際に生成された分解ガスが装置外に漏れないように、当該回転装置6による回転は気密性を保つように形成されている。
【0024】
このように炉心管2は回転装置6により回転しているので、当該炉心管2に設けられたフィン9aも回転して、ガス流路Sに面する外筒3に付着・堆積した熱分解生成物Bが掻き取られて、当該ガス流路Sが熱分解生成物Bにより閉塞されるのを防止している。
【0025】
従って、装置を長期間運転しても熱分解装置1の内圧が上昇したりすることがないので図示しない真空ポンプ等を大容量化する必要が無く、設備コストを抑制できると共に、付着・堆積した熱分解生成物Bの除去を目的とするメンテナンス等の回数が少なくできてランニングコストの抑制が可能になる。
【0026】
また、このような熱分解生成物Bの付着・堆積が抑制されるので、加熱ジャケット4からの熱が効率的に炉心管2の熱分解物に伝わり、使用する燃料効率が節約可能になる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施の形態を図を参照して説明する。なお、上述した実施の形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0028】
上述した実施の形態では、スクレーパ装置9として炉心管2にフィン9aを設け、ガス流路Sに面する外筒3に付着・堆積した熱分解生成物Bを掻き落すようにした。
【0029】
しかし、熱分解生成物Bが付着・堆積するのは、ガス流路Sに面する外筒3だけではなく、炉心管排出口7にも付着・堆積する。
【0030】
そこで、本実施の形態では、図3に示すように炉心管排出口7にスクレーパ装置9を設けたものである。
【0031】
図3は、炉心管2を回転装置6側から見た断面を模式的に示した図で、第3のスクレーパ装置9としてチェーンが隣接する炉心管排出口7をそれぞれ貫通して環状に設けられている。以下、当該炉心管排出口7に設けられたチェーンを排出口チェーン9bと記載する。
【0032】
この排出口チェーン9bは、隣接する炉心管排出口7を環状に結ぶには比べ十分長く、炉心管2が回転するに従い炉心管排出口7の開口端部を摺動して回転する。
【0033】
これにより炉心管2が1回転すると、排出口チェーン9bも炉心管排出口7の開口端部を1周することになり、その際に当該炉心管排出口7に付着・堆積した熱分解生成物Bを掻き落すことができるようになり、当該炉心管排出口7の閉塞を防止できる。
【0034】
従って、装置を長期間運転しても熱分解装置1の内圧が上昇したりすることがないので図示しない真空ポンプ等を大容量化する必要が無く、設備コストを抑制できると共に、付着・堆積した熱分解生成物Bの除去を目的とするメンテナンス等の回数が少なくできてランニングコストの抑制が可能になる。
【0035】
また、このような熱分解生成物Bの付着・堆積が抑制されるので、加熱ジャケット4からの熱が効率的に炉心管2の熱分解物に伝わり、使用する燃料効率が節約可能になる。
【0036】
なお、図3等に示す炉心管排出口7は炉心管2の径方向に長い長穴としているが、本発明は当該長穴に限定されるものではなく、炉心管2の回転に伴い排出口チェーン9bが炉心管排出口7の開口端部に沿って摺動できれば良く、例えば円もよい。
【0037】
また、排出口チェーン9bの取り付け方法についても、隣接する炉心管排出口7に1つの排出口チェーン9bを取り付けるようにしたが、隣接する炉心管排出口7でなくてもよく、例えば3つの炉心管排出口7に対して1つのチェーンを取り付けても構わない。
【0038】
さらに、第1の実施の形態において説明したフィン9aも併設しても良いことは明らかであり、より効率的な熱分解生成物Bの掻き落しが可能になる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施の形態を図を参照して説明する。なお、上述した実施の形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0040】
第1の実施の形態では、フィン9aを炉心管2に設けて、ガス流路Sに面する外筒3に付着・堆積した熱分解生成物Bを掻き落すようにした。
【0041】
しかし、熱分解生成物Bが付着・堆積するのは、ガス流路Sに面する外筒3だけではなく、当該ガス流路Sに面する炉心管2にも付着・堆積する。
【0042】
そこで、本実施の形態では、図4に示すように、上述した構成に加えて炉心管2の面を摺動するようにスクレーパ装置9を設けたものである。
【0043】
なお、図4においては第1の実施の形態において説明したフィン9aを併設した場合を示しているが、第2の実施の形態において説明した排出口チェーン9bも併設しても良いことは明らかである。
【0044】
図4は、炉心管2を横から見た図で、第2のスクレーパ装置9としてチェーンが炉心管2の長手方向に複数設けられている。以下、当該炉心管2に設けられたチェーンを炉心管チェーン9cと記載する。
【0045】
炉心管チェーン9cの長さは当該炉心管2より長く、隣接するフィン9a間に1つの炉心管チェーン9cが設けられて図3に見られるように弛んだ状態で架設されている。
【0046】
従って、炉心管2が回転すると、弛んだ部分が外筒3側の炉心管2の面を摺動して、当該面に付着・堆積した熱分解生成物Bを掻き落すことができるようになる。
【0047】
無論、炉心管チェーン9cの長さを調整して、当該炉心管チェーン9cがフィン9aの側面も摺動するようにしても良いことは明らかである。
【0048】
従って、装置を長期間運転しても熱分解装置1の内圧が上昇したりすることがないので図示しない真空ポンプ等を大容量化する必要が無く、設備コストを抑制できると共に、付着・堆積した熱分解生成物Bの除去を目的とするメンテナンス等の回数が少なくできてランニングコストの抑制が可能になる。
【0049】
また、このような熱分解生成物Bの付着・堆積が抑制されるので、加熱ジャケット4からの熱が効率的に炉心管2の熱分解物に伝わり、使用する燃料効率が節約可能になる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分解ガスの流動路に付着・堆積する熱分解により発生した熱分解生成物を掻き落す第1及び第2のスクレーパ装置を設けたので、分解ガスの流動路に熱分解生成物が付着・堆積するのを抑制し、これにより装置の長期間運転を可能にすると共に、少ない燃料で運転可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の説明に適用される熱分解装置の横断面を模式的に示した図である。
【図2】図1におけるAA断面を模式的に示した図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の説明に適用される熱分解装置の模式図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の説明に適用される熱分解装置の模式図である。
【図5】従来の技術の説明に適用される熱分解装置の横断面を模式的に示した図である。
【図6】図5におけるAA断面を模式的に示した図である。
【図7】課題の説明に適用される熱分解装置の横断面を模式的に示した図である。
【図8】図7におけるAA断面を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 熱分解装置
2 炉心管
3 外筒
4 加熱ジャケット
5 供給装置
6 回転装置
7 炉心管排出口
8 外筒排出口
9 スクレーパ装置
9a(9) フィン
9b(9) 排出口チェーン
9c(9) 炉心管チェーン
10 熱分解物質の溶融物
Claims (2)
- 熱分解物を熱分解して、その分解ガスを炉心管排出口から排出する円筒状の炉心管と、該炉心管が回転可能に内設されて、外筒排出口から前記分解ガスを装置外に排出する外筒と、前記炉心管を回転させる回転装置とを備えて、前記炉心管からの前記分解ガスが前記炉心管と外筒との間に形成される空間を通って前記外筒排出口から機外に排出されてなる熱分解装置において、
前記分解ガスの流動路に付着・堆積する熱分解により発生した熱分解生成物を掻き落すスクレーパ装置を設け、
前記スクレーパ装置が、前記外筒に対面した前記炉心管の側面に設けられて、前記回転装置により前記炉心管が回転することにより前記外筒に付着・堆積した熱分解生成物を掻き落すフィンを設けた第1のスクレーパ装置を備え、
前記スクレーパ装置が、前記炉心管の回転に伴い前記外筒に対面する前記炉心管の側面を摺動するように、この炉心管の長手方向に撓んで架設されて、前記炉心管及び前記フィンの側面に付着・堆積した前記熱分解生成物を掻き落す炉心管チェーンを設けた第2のスクレーパ装置を備えること、
を特徴とする熱分解装置。 - 前記スクレーパ装置が、前記炉心管排出口に設けられて、前記炉心管の回転に伴い前記炉心管排出口の開口端部を摺動しながら回ることにより当該該炉心管排出口に付着・堆積した前記熱分解生成物を掻き落す排出口チェーンを設けた第3のスクレーパ装置を備えること、
を特徴とする請求項1記載の熱分解装置。
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