JP3830535B2 - 適応出力インピーダンスを有するラインドライバ - Google Patents

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本発明は、ラインドライバ、特に適応出力インピーダンスを有するラインドライバに関するものである。このようなラインドライバは、国際特許公開公報WO95/02931から既知である。ラインドライバは、伝送線路のインピーダンスに適合した出力インピーダンスを有するように設計された電子緩衝増幅器である。伝送線路は電気信号を伝送するのに広く用いられている。線路反射を最少にするには、伝送線路の電源及び負荷のインピーダンスを伝送線路の特性インピーダンスに等しくする必要がある。ビデオ分野での標準値は75オームである。75オームの伝送線路を駆動するように設計した緩衝増幅器は、線路反射を最少にするために75オームの出力インピーダンスを有する必要がある。緩衝増幅器は、75オームの負荷抵抗、すなわち整合伝送線路のインピーダンスを見る。
図1はこのような緩衝増幅器を構成する第1の既知の手段を示す。緩衝増幅器は、低インピーダンスの電圧源VSに、伝送線路TLの特性インピーダンスに等しい値を有する直列抵抗Rsを与え、ラインドライバの正しい出力インピーダンスを構成するようにしている。この種類のラインドライバはしばしば、出力電圧をデジタル入力信号によって制御するデジタル-アナログ変換器(DAC)に用いられている。この第1の既知の手段の構成には、電圧源VSが所望の出力電圧の2倍を発生する必要があるという欠点がある。これにより、得られる電源電圧は、信号レベルが変化しないまま降下するという、例えば3Vの電源電圧でわずか1.5Vppしか得られないという問題を生じる。
図2は第2の既知の手段を示す。この場合、直列抵抗を有する電圧源の代わりに並列抵抗Rsを有する電流源CSが用いられている。この構成では、電圧の損失はないが、電流源により生ぜしめられる電流の半分が並列抵抗Rs内で消費される。この技術は、出力電流をデジタル的に制御するDACにしばしば用いられている。
これら双方の既知の解決手段は、電圧又は電流が浪費されるために優れていないこと明らかである。従って、伝送線路のインピーダンスに整合し、出力電圧の2倍又は出力電流の2倍を必要としない特定の出力インピーダンスを有するラインドライバが望ましいことが分かる。
本発明の目的は、直列抵抗手段に固有の電圧損失又は並列抵抗手段に固有の電流損失のない特定の出力インピーダンスを有するラインドライバを提供せんとするにある。
本発明によれば、
入力信号を受けるラインドライバ入力端子と、
負荷を接続するためのラインドライバ出力端子と、
電流利得nを有する電流ミラーであって、この電流ミラーは、電圧電源端子と基準ノードとの間に挿入された主電流通路を有する第1トランジスタと、電圧電源端子とラインドライバ出力端子との間に挿入された第2トランジスタとを有しており、第1トランジスタと第2トランジスタとのそれぞれの制御電極はほぼ同じ制御電圧を受けるように接続されている、当該電流ミラーと、
基準ノードに結合され、負荷の特性抵抗のほぼn倍に等しい抵抗値を有する基準抵抗と、
ラインドライバ入力端子及び基準ノードに結合された差動入力端子と、第1トランジスタ及び第2トランジスタのそれぞれの制御電極に結合された出力端子とを有する第1演算相互コンダクタンス増幅器と、
ラインドライバ入力端子及びラインドライバ出力端子に結合された差動入力端子と、第1演算相互コンダクタンス増幅器の出力端子に結合された出力端子とを有する第2演算相互コンダクタンス増幅器と
を有することを特徴とするラインドライバを提供する。
第1演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)の利得のために、基準抵抗における電圧は入力電圧にほぼ等しくなる。入力信号は基準抵抗を流れる電流に変換される。負荷には、n倍に増幅された電流が流れる。基準抵抗の抵抗値は負荷の抵抗値のn倍である為、負荷の両端間の電圧は入力電圧に等しくなる。従って、信号電圧は浪費されない。電源電圧は低くでき、第2トランジスタの両端間に適切な電圧降下をもたらす必要があるだけである。更に、第1トランジスタ及び基準抵抗を流れる比較的小さい電流を除いて、いかなる信号電流も殆ど浪費されない。電流ミラーの電流利得nを充分高くする、例えばn=10〜n=40にすることにより、電流の浪費を無視しうる。
第2OTAはラインドライバ出力端子におけるいかなる不所望な反射電圧をも検出し、これらの反射電圧を電流に変換し、この電流が第2OTAの出力端子から第1OTAの出力端子に流れる。この第1OTAの出力端子に流れる電流が第1OTAの差動入力端子に、反射電圧に対し振幅が同じで正負符号が逆の差電圧を発生させる。この逆符号の反射電圧が入力電圧に加わり、従って、反射電圧を相殺させ、ラインドライバが、負荷インピーダンスに等しい出力インピーダンスを有する電源のようにふるまう。
ラインドライバが更に、基準ノードに結合されて第1バイアス電流を生じる第1バイアス電流源と、ラインドライバ出力端子に結合されて第1バイアス電流の値のほぼn倍に等しい値の第2バイアス電流を生じる第2バイアス電流源とを有している例では、ラインドライバの直線性を高めることができる。
基準抵抗の抵抗値の精度は、ある集積化の目的では不充分となるおそれがある。この精度の欠乏が問題となる場合には、ラインドライバが更に、基準ノードに結合されて第1バイアス電流を生じる第1バイアス電流源と、ラインドライバ出力端子に結合されて第1バイアス電流の値のほぼn倍に等しい値の第2バイアス電流を生じる第2バイアス電流源とを有するか、或いはラインドライバ入力端子とラインドライバ出力端子との間の低周波電圧差に応答して電流ミラーの電流利得nを調整する手段を有するようにすることができる。基準抵抗の抵抗値又は電流ミラーの電流利得を調整するには、ラインドライバ入力端子とラインドライバ出力端子との間の電圧差の代わりに、基準ノードとラインドライバ出力端子との間の電圧差を用いることができる。
本発明の上述した及びその他の特徴を、添付図面を参照して詳細に例示説明する。図中、
図1は、電圧源及び直列抵抗を有する通常のラインドライバの回路線図を示し、
図2は、電流源及び並列抵抗を有する通常のラインドライバの回路線図を示し、
図3は、本発明によるラインドライバの第1実施例の回路線図を示し、
図4は、本発明によるラインドライバの第2実施例の回路線図を示し、
図5は、本発明によるラインドライバの第3実施例の回路線図を示し、
図6は、図5の第3実施例の変形例の回路線図の一部を示す。
これらの図においては、対応する素子に同じ符号を付してある。
図3は、本発明によるラインドライバの一実施例の回路線図を示す。このラインドライバは、入力信号Vinを受けるラインドライバ入力端子2を有する。この入力信号Vinは、適切な直流バイアスが与えられたビデオ信号、オーディオ信号、電話信号、デジタルデータ信号等とすることができる。ラインドライバは更に、伝送線路TLを介して負荷6を接続するラインドライバ出力端子4を有する。しかし、伝送線路は任意的なものであって、所望に応じて省略することができる。負荷6の抵抗値RLは伝送線路TLの特性インピーダンス、例えば75オームに等しい。伝送線路の分野で既知のように、ラインドライバ出力端子4で見たインピーダンスは伝送線路TLの特性インピーダンスRLに等しい。ラインドライバは更に、基準抵抗10が接続されている基準ノーど8を有する。基準抵抗10は負荷6の抵抗値RLのn倍に等しい抵抗値R1、すなわちR1=n・RL(ここに、nは正の数である)を有する。
基準ノード8と正の電源端子12との間に第1のPMOSトランジスタM1の主電流通路が挿入されており、ラインドライバ出力端子4と正の電源端子12との間には第2のPMOSトランジスタM2が挿入されている。これらトランジスタM1及びM2の制御電極すなわちゲートは相互接続されており、同じ制御電圧を受ける。従って、これらトランジスタM1及びM2は、電流ミラー又は電流増幅器を構成する、すなわち第1トランジスタM1を流れる電流と第2トランジスタM2を流れる電流との比(電流利得)が一定となる。設計を適切にすることにより、例えば第1及び第2トランジスタM1及びM2の大きさを1:nとすることにより、電流比を、基準抵抗10及び負荷6の抵抗値に関して前述したのと同じ数に固定させることができる。電流利得nに対する代表的な値は10〜40の範囲である。
第1演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)は、基準ノード8に結合された非反転入力端子14とラインドライバ入力端子2に結合された反転入力端子16とを有する。第1OTA A1の出力端子18は、トランジスタM1及びM2の相互接続制御電極を駆動する。第1OTA A1は相互コンダクタンスgmを有しており、このことは、出力端子18に供給される電流が非反転入力端子14と反転入力端子16との間の電圧差のgm倍に等しいということを意味する。第1OTA A1及びトランジスタM1のシステムにおける利得が適切であるものとすると、基準ノード8における信号電圧はラインドライバ入力端子2における入力電圧Vinにほぼ等しくなる。従って、この入力電圧Vinにより電流i1=Vin/R1を基準抵抗10に流す。R1=n・RLである為、この電流は、i1=Vin/(n・RL)にも等しい。電流増幅率nのために、トランジスタM2を流れる電流i2は、トランジスタM1を流れる電流のn倍、すなわちi2=n・i1=Vin/RLとなる。このことは、ラインドライバドライバ出力端子4における出力電圧VoutもVinに等しいことを意味する。ラインドライバ入力端子2における入力電圧Vinとラインドライバ出力端子4における出力電圧Voutとの間で信号電圧は消費されない。正の電源端子12における正の電源電圧は、適正な電圧降下をトランジスタM1及びM2の両端間に生じめるのに充分高くする必要がある。75オームの負荷を1.5Vppで駆動するには3V程度の低い電源電圧で充分である。
第2トランジスタM2の出力インピーダンスは高く、整合伝送線路TLの特性インピーダンスRLと整合しなくなるおそれがある。ラインドライバ出力端子4に正しい出力インピーダンスRLをうるために、第2OTA A2を加える。この第2OTA A2は第1OTA A1と等しくするのが好ましく、同じ相互コンダクタンスgmを有するようにするのが好ましい。第2OTA A2は、ラインドライバ入力端子2に結合された反転入力端子20と、ラインドライバ出力端子4に結合された非反転入力端子22とを有している。第2OTA A2の出力端子24は第1OTA A1の出力端子18に結合されている。
ラインドライバ出力端子4に反射が生じない場合、すなわちVout=Vinである場合には、第2OTA A2に対する差入力電圧は零であり、この第2OTAA2は何の効果も及ぼさない。しかし、反射がある場合、この第2OTA A2が作用を及ぼす。反射電圧がdVoutに等しいものとすると、出力電圧はVout+dVoutとなり、第2OTA A2は,その入力端子20及び22において差電圧dVoutを受ける。この電圧差に応答して、第2OTA A2が出力電流gm・dVoutを生じ、この出力電流が第1OTA A1の出力端子18にのみ流れうる。この第1OTA A1を回る帰還の為に、出力端子18に与えられた電流が,第1OTA A1の入力端子14及び16に差電圧−dVoutを生じる。従って、基準抵抗10の両端間の電圧は,Vin−dVoutとなり、この基準抵抗を流れる結果電流i1が利得nを以てラインドライバ出力端子4に複写される。出力電流i2は(n・dVout)/(n・RL)を以て減少する。従って、ラインドライバの出力インピーダンスは特性インピーダンスRLに等しくなる。
図4は図3のラインドライバの変形例を示す。基準ノード8には第1バイアス電流源26が接続されており、この電流源により、バイアス電流Idcを第1トランジスタM1に流す。同様に、ラインドライバ出力端子4に第2バイアス電流源28が接続されており、この電流源により、バイアス電流n・Idcを第2トランジスタM2に流す。これら2つの電流源26及び28により、電力の消費をわずかに増すだけでラインドライバの直線性を高める。
図5は、基準抵抗を、この基準抵抗の抵抗値を変える抵抗値制御端子30を有する電気的に可変の抵抗RVとした実施例を示す。抵抗値制御端子30は差動増幅器A3の出力端32により駆動され、この差動増幅器の一方の入力端、例えば非反転入力端34は入力電圧Vinを受けるように接続され、他方の入力端、例えば反転入力端36は出力電圧Voutを受けるように接続されている。増幅器A3は小さな帯域幅を有し、可変抵抗RVの直流抵抗値R1を所望値n・RLに調整するようにするのが好ましい。この調整は、基準抵抗10の精度が処理の変動の為に問題となるか、異なる抵抗を有する負荷が接続されている場合に有効となる。増幅器A3の非反転入力端34はラインドライバ入力端子2に接続する代わりに、図5に破線で示すように基準ノード8における電圧を受けるように接続することもできる。
基準抵抗10の抵抗値を調整する代わりに、電流ミラーM1/M2の電流利得を調整することにより、電流利得nを調整することができる。図6は可変電流利得nを形成する可能な解決策を示す。トランジスタM1のソースに直列に可変抵抗RV2が接続されている。この可変抵抗RV2の制御端子40は,差動増幅器A3の出力端32に接続されている。差動増幅器A3の入力端子34及び36は図5に示すように接続されている。この場合も、基準ノード8への他の接続を破線で示している。対称性を得るために、トランジスタM2のソースに直列に他の抵抗42を接続することができる。
本発明は図示の実施例に限定されるものではない。ユニポーラMOSトランジスタの代わりにバイポーラトランジスタを用いることができる。この場合、ユニポーラトランジスタのゲート、ソース及びドレインの代わりにバイポーラトランジスタのベース、エミッタ及びコレクタとする。
電流ミラー構造はより一層複雑なものとすることができる。トランジスタM1及びM2のソースと直列に抵抗を挿入したり、トランジスタM1及びM2のドレインと直列にカスコードトランジスタを挿入したり、そのほかのことをしたりすることができる。原理的には、この目的のために、電流利得nを有するいかなる構造の電流ミラーをも用いることができるも、複雑な構造の電流ミラーでは、適切に動作させるのに、より多くの電源電圧を必要とすることに注意すべきである。
一般的に、第1トランジスタM1と、第1OTA A1と、入力電圧Vinを、第1トランジスタM1を流れる第1電流i1に変換する基準抵抗10とを有するラインドライバを開示する。第2電流i2=n・i1は、第1トランジスタM1とで1:n電流ミラーを構成する第2トランジスタM2を流れる。電流i2は伝送線路TLを経て負荷6に流れる。しかし、伝送線路TLは任意的なものである。負荷6のインピーダンスは伝送線路TLの特性インピーダンスRLに等しい。従って、ラインドライバより見たインピーダンスはRLに等しい。第2OTA A2は、電流ミラーM1,M2の出力インピーダンスとラインドライバより見たインピーダンスとの間の不整合により生じる出力信号Vout中の反射信号dVを相殺する。

Claims (8)

  1. ラインドライバにおいて、このラインドライバが、
    入力信号を受けるラインドライバ入力端子と、
    負荷を接続するためのラインドライバ出力端子と、
    電流利得nを有する電流ミラーであって、この電流ミラーは、電圧電源端子と基準ノードとの間に挿入された主電流通路を有する第1トランジスタと、電圧電源端子とラインドライバ出力端子との間に挿入された第2トランジスタとを有しており、第1トランジスタと第2トランジスタとのそれぞれの制御電極はほぼ同じ制御電圧を受けるように接続されている、当該電流ミラーと、
    基準ノードに結合され、負荷の特性抵抗のほぼn倍に等しい抵抗値を有する基準抵抗と、
    ラインドライバ入力端子及び基準ノードに結合された差動入力端子と、第1トランジスタ及び第2トランジスタのそれぞれの制御電極に結合された出力端子とを有する第1演算相互コンダクタンス増幅器と、
    ラインドライバ入力端子及びラインドライバ出力端子に結合された差動入力端子と、第1演算相互コンダクタンス増幅器の出力端子に結合された出力端子とを有する第2演算相互コンダクタンス増幅器と
    を有することを特徴とするラインドライバ。
  2. 請求の範囲1に記載のラインドライバにおいて、このラインドライバが更に、ラインドライバ入力端子とラインドライバ出力端子との間の低周波電圧差に応答して基準抵抗の抵抗値を調整する調整手段を有していることを特徴とするラインドライバ。
  3. 請求の範囲2に記載のラインドライバにおいて、前記調整手段は、基準ノードに結合された可変抵抗と、ラインドライバ入力端子及びラインドライバ出力端子に結合された差動入力端子及び前記可変抵抗の抵抗値制御端子に結合された出力端子を有する差動増幅器とを具えていることを特徴とするラインドライバ。
  4. 請求の範囲1に記載のラインドライバにおいて、このラインドライバが更に、基準ノードとラインドライバ出力端子との間の低周波電圧差に応答して基準抵抗の抵抗値を調整する調整手段を有していることを特徴とするラインドライバ。
  5. 請求の範囲4に記載のラインドライバにおいて、前記調整手段は、基準ノードに結合された可変抵抗と、この基準ノード及びラインドライバ出力端子に結合された差動入力端子及び前記可変抵抗の抵抗値制御端子に結合された出力端子を有する差動増幅器とを具えていることを特徴とするラインドライバ。
  6. 請求の範囲1〜5のいずれか一項に記載のラインドライバにおいて、このラインドライバが更に、ラインドライバ入力端子とラインドライバ出力端子との間の低周波電圧差に応答して電流ミラーの電流利得nを調整する手段を有していることを特徴とするラインドライバ。
  7. 請求の範囲1〜5のいずれか一項に記載のラインドライバにおいて、このラインドライバが更に、基準ノードとラインドライバ出力端子との間の低周波電圧差に応答して電流ミラーの電流利得nを調整する手段を有していることを特徴とするラインドライバ。
  8. 請求の範囲1〜7のいずれか一項に記載のラインドライバにおいて、このラインドライバが更に、基準ノードに結合されて第1バイアス電流を生じる第1バイアス電流源と、ラインドライバ出力端子に結合されて第1バイアス電流の値のほぼn倍に等しい値の第2バイアス電流を生じる第2バイアス電流源とを有していることを特徴とするラインドライバ。
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