JP3829882B2 - サーマルプロテクタ - Google Patents
サーマルプロテクタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3829882B2 JP3829882B2 JP29754396A JP29754396A JP3829882B2 JP 3829882 B2 JP3829882 B2 JP 3829882B2 JP 29754396 A JP29754396 A JP 29754396A JP 29754396 A JP29754396 A JP 29754396A JP 3829882 B2 JP3829882 B2 JP 3829882B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plate
- contact
- fixed
- heat
- thermally responsive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Thermally Actuated Switches (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は密閉形電動圧縮機に使用される電動機、特に三相用電動機を焼損から保護するのに適したインターナルサーマルプロテクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のサーマルプロテクタ(以下プロテクタと称する)としては、例えば特開昭56−130040号公報の「熱応動スイッチ」や特開昭62−88232号公報の「熱応動スナップスイッチ」がある。これらのプロテクタは単相の電動機に取付けられるものであり、その中央部を皿状に絞り成形されたバイメタルなどの熱応動板の一端に可動接点を固着し他端を弾性板に固着し、両端をそれぞれ固定接点と支持部に当接させて熱応動板の凸となる面の中央付近を所定の圧力で押圧することにより接点間圧力及び動作温度を規定するものである。これらのプロテクタは端子間に電流を流すことにより熱応動板及び周囲の発熱部材が発熱し、電動機の異常等による温度上昇や過電流による過熱状態で熱応動板が反転することによってその一端に取付けられた可動接点を固定接点から開離し電路を遮断するように構成されている。
【0003】
また特に三相用プロテクタとしては例えば特開昭57−34623号公報や特開平1−105435号公報、特開平6−96649号公報の「三相用サーマルプロテクタ」等がある。これらの三相用プロテクタにおいては、その中央部を皿状に絞り成形されたほぼ円形の熱応動板に2個の可動接点及び弾性板の固着点がほぼ正三角形になるように配設し、それぞれ固定接点と支持部に当接させて熱応動板の凸となる面の中央付近、つまり前述の正三角形の中心付近を所定の圧力で押圧することにより接点間圧力及び動作温度を規定するものである。これらの三相用プロテクタは所謂Y結線の電動機の中点に取付けられ、電動機の異常時などには前述の単相用プロテクタと同様に熱応動板が反転することによって、この中点を開放し各相間の電路を遮断するように構成されている。これらのものにおいてはバイメタルなどの熱応動板に電流を流すことによって主に熱応動板自身の発熱を利用して熱応動板を動作させる構造とされており、熱応動板上の各相間の発熱のバランスを取るためにほぼ円形の熱応動板に接点及び固定部の位置関係が概ね正三角形になるように配設されたものを使用し全体が縦横寸法がほぼ等しい形状とされている。
【0004】
上述した各プロテクタにおいては熱応動板の自由端に可動接点を固着し、他端を弾性板に固着する構造としたことにより、固着点に必要以上の応力がかかることを防いでいる。この弾性板は熱応動板の発熱量を補うためのヒーターとしての役割も有している。しかしながら、特に定格電流が大きいものや熱応動板の動作温度を高く設定してある場合等において弾性板がヒーターとして高温になると所謂焼鈍効果を生じ、弾性板としての性能が低下することがあるため、比較的高出力のものには使用できないという問題があった。この問題を回避するために弾性板の代りに剛体のヒーターを使用すると、熱応動板の固着点に必要以上の応力がかかり動作温度が変化してしまう可能性がある。
【0005】
また弾性板を使用した場合には三相用プロテクタにおいては組付時に若干熱応動板が接点に対して傾いていても弾性板の方が捩れることにより熱応動板の傾きを補正するので二組の接点間圧力を平衡させることができるが、熱応動板を剛体で保持するとこのような平衡化調整が行なわれないために各接点間に個別の圧力調整機構を設けたり非常に高い精度で組付けて2組の接点が同時に開閉するように且つ同一接点圧力になるようにしなければならない。
【0006】
さらに従来の三相用プロテクタはほぼ円形の熱応動板を使用した縦横寸法のほぼ等しい形状をしているため、特に電動機巻線いわゆるコイルエンド上に縛り紐などで取付ける場合には、コイルエンドの幅よりもプロテクタの幅が広くなってしまうので取付けが困難になるという問題があった。近時、電動圧縮機全体が小形化され電動機の直径が小さくなる傾向にあり、従来の構造のままでプロテクタの幅をコイルエンドの幅よりも小さくしようとすると全体を小形化せねばならず、電流容量が小さくなったり製造が困難になったりする。
【0007】
従来の三相用プロテクタは縦横寸法のほぼ等しい形状であることによって、プロテクタに絶縁の為の絶縁被覆を取付ける作業も面倒であった。これはプロテクタの容器が通常充電部になっているために、他の導電部などに接触すると短絡等の不具合を生ずるためにポリエステルチューブ等の絶縁被覆を被せる必要があるからである。通常は、プロテクタの外周よりも若干大きい内周のポリエステルチューブを被せて熱収縮によりプロテクタ表面に固定する方法が取られている。この場合、ポリエステルフィルムの熱収縮率はあまり大きいものではないためプロテクタの外周とポリエステルチューブの内周との差は少ない。しかし前述のプロテクタの如く形状が縦横寸法のほぼ等しい形状であると、上記外周と内周との差が小さいためにポリエステルチューブにプロテクタを挿入する時にチューブを大きく変形させる必要があり、位置決めも困難で作業は煩雑で面倒な手間のかかるものになる。
【0008】
本出願人はこれらの問題点を解決するために、特願平8−195634号において新規なサーマルプロテクタを提案した。このサーマルプロテクタは熱応動板の皿状絞り中心に対してほぼ対称に2個の可動接点を取付けたものであり、熱応動板を従来のものよりも細長くし更にこの熱応動板に対して各部品をほぼ平行に重ねる様にして配置することにより、従来の縦横寸法のほぼ等しい形状を有したプロテクタと比較して全体の構造も細長くすることができ電動機のコイルエンド上への取付けが容易になる。
【0009】
この従来例を図10から図12を参照して説明すると、このプロテクタ101は金属製のハウジング3と蓋板2によって気密容器を構成しており、そのハウジング3の内側には熱応動板支持体10が接続固定され、この熱応動板支持体10には弾性板11の一端が固定され、更に弾性板11の他端には可動接点14A,14Bを有した浅い皿状に絞り成形された熱応動板12が固着片13を介して固定されている。熱応動板12は弾性板11を介して熱応動板支持体10に接続固定される事により、組付時に若干熱応動板12が接点に対して傾いていても弾性板の方が捩れてその傾きを補正するので二組の接点間圧力を平衡させることができる。また熱応動板12には弾性板11により、常に押圧片115に押し付けられる方向、即ち図10において固着片13を中心に時計回り方向の偏倚力が付与されている。このため熱応動板12の反転時にはこの偏倚力が可動接点14A,14Bの引き放し力としてはたらき可動接点を固定接点から開離することができる。
【0010】
蓋板2は金属板4とこれにガラス等により気密に絶縁固定されたリード端子ピン5A,5Bとからなり、金属板4を貫通したリード端子ピン5A,5Bの内側端部には固定接点支持体7A,7Bを介して固定接点8A,8Bが接続固定されている。ハウジング3の内側には温度較正用の押圧片115が固着されており、熱応動板12の通常時に凸となる絞り中心近傍に当接している。このプロテクタ101はハウジング3の押圧片固着部付近を変形して熱応動板12への押圧力を調整する事により動作温度が較正される。また熱応動板支持体10と固定接点支持体7A,7Bはそれぞれ発熱体とされ、それぞれが熱応動板12に与える熱がほぼ均等になるように調整されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このプロテクタ101に於て、熱応動板12を熱応動板支持体10に接続固定するための弾性板11の中央部には、温度較正部材である押圧片115を挿通するため、及び発熱部たる熱応動板支持体10からの熱を効率良く熱応動板12に伝えるために比較的大きな開口部が設けられ熱応動板支持体10と熱応動板12とが直接対面するようにされている。
【0012】
そのためこのサーマルプロテクタ101の弾性板11はその構造上、それ以前のものに使用されていた弾性板と同等のしなやかさを有するように設定すると剛性が低下し、熱応動板に与える偏倚力が充分でなくなる事がある。つまり従来のプロテクタと比較して接点に溶着が発生した時に熱応動板12の反転時に溶着部を開離させるための引き離し力が小さくなるという問題があった。
【0013】
また熱応動板12を細長くした事により熱応動板上に固定された2個の可動接点の距離を同程度にした場合、それ以前のプロテクタに使用される比較的円形に近い熱応動板の場合と比較して熱応動板の固定部と可動接点との距離が短くなるためにその通常時と反転時との位置関係の差、即ち熱応動板の反転時の動きが小さくなった。そのため、接点に溶着が発生した時に熱応動板の反転時の動きを有効に利用できないと、熱応動板の反転時に溶着部を開離させるための力が充分に伝わらなくなるという問題があった。これらの問題のため従来の円形に近い形状の熱応動板は反転時に熱応動板及び弾性板の力で接点間を開離する事が容易にできたために問題にならなかった程度の軽度の溶着に於いても図10に示す形状のものでは接点が開離しなくなる可能性があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルプロテクタは、蓋板と概ね長ドーム型のハウジングで構成された密閉容器を有し、蓋板に固定された2本のリード端子ピンの前記密閉容器内側には固定接点が固定接点支持体を介して導電的に固着され、ハウジングの内側面には動作温度較正用の押圧片が固着され、さらに金属製の熱応動板支持体がハウジングに固着され、熱応動板支持体には浅い皿状に絞り成形したことによって異なる温度に応じてスナップ的に湾曲方向を変える熱応動板が弾性板を介して導電的に接続固定されている。このプロテクタにおいて熱応動板が前記皿状絞り中心に対してほぼ対称に2個の可動接点が前記固定接点に対応して開閉可能に取付けられており、前記押圧片は熱応動板の通常凸となる側に絞り中心近傍で当接すると共に少なくとも熱応動板と弾性板との固定部近傍において近接または当接していることを特徴とする。そのため本発明によれば熱応動板の反転時には熱応動板と弾性板との固定部近傍に押圧片が当接しこの部分の移動を阻止するので、熱応動板は残る自由端である可動接点側を移動しようとするため、弾性板の偏倚力を超える軽度の接点溶着が発生した場合にも熱応動板の反転時の力を充分に引き出す事によって接点間を確実に開離することができる。
【0015】
また他の特徴は熱応動板と弾性板との接続部から各接点を結ぶ仮想線が90°以上の角度をなし接続部と各接点の3点でほぼ二等辺三角形を構成していることによって、従来の比較的縦横寸法の等しい形状を有したプロテクタよりもプロテクタの形状を細長くして電動機の巻線上への取付けを容易にしたことにある。
【0016】
また他の特徴は前記サーマルプロテクタの蓋板の金属板と固定接点支持体との間には両者の距離を規定するための位置決め部材を装着することにより、固定接点支持体を発熱部材とするために薄い材料を使っても金属板と固定接点支持体との距離が近くなったり両者が接触したりすることがないようにしたことにある。
【0017】
さらに他の特徴は前記位置決め部材を発熱抵抗材料で構成することにより、接点間開放時に熱応動板の温度の低下を遅らせプロテクタ動作時の繰り返し動作回数を減らすことにより耐久性能を高めたことにある。
【0018】
さらに他の特徴は位置決め部材を固定接点支持体と蓋板により弾性的に挟持することにより、絶縁板を蓋板に取付けるための特別な作業を不要にしたことにある。
【0019】
またさらに他の特徴は、熱応動板支持体と弾性板と熱応動板とは互いに平行且つ重なり合うように配置され、熱応動板支持体が弾性板を間に介して熱応動板と直接向かい合うように弾性板に開口部を設け熱応動板支持体からの輻射熱が直接熱応動板に達するようにしたことにある。
【0020】
また他の特徴は、押圧片の熱応動板への当接位置を皿状絞りの中心乃至中心から熱応動板の固定端たる突起部寄りに設定したことにある。
【0021】
【実施例】
以下、図1乃至図8を参照しながら実施例について説明する。実施例のサーマルプロテクタ1は蓋板2とハウジング3によって気密容器を構成している。蓋板2はほぼ長円形の金属板4の両端に貫通孔4A,4Bが設けられており、この貫通孔に導電性のリード端子ピン5A,5Bがガラス等の充填材6により気密に絶縁固定されている。本実施例においてはこの蓋板2の金属板4は充分な厚さを有し、その周縁部にはハウジング3との溶接性を良くするために厚さを薄くしたフランジ4Cが外周に一定の寸法縁取られるように設けられている。
【0022】
ハウジング3は蓋板2と比較して薄い金属板より成り、図4の斜視図及び図6の平面図等に示すように上面に平面部3Aを有したドーム形状とされている。この平面部3Aの中間部からは後述の動作温度較正において変形される較正部3Bが平面部3Aとほぼ同一平面で側方に突出して設けられている。その為ハウジング3の平面形状は図6に示す如く較正部3Bを有する側がやや膨らんだ形状となっている。このハウジング3の開口端部を蓋板の周縁部のフランジ4Cと突合せてリングプロジェクション溶接等で気密に固定することにより前述の気密容器が構成される。
【0023】
リード端子ピン5A,5Bの密閉容器内側の各先端には固定接点支持体7A,7Bの一端が溶接等の方法で固定され、これらの固定接点支持体7A,7Bの他端には各々固定接点8A,8Bが固着されている。本実施例においては各固定接点8A,8Bの表面は少なくとも固定接点支持体への固定後にプレス等により平面状に塑性変形されその高さを揃えられている。そのため温度較正前の両固定接点の高さが製品毎に高い精度で揃い、温度較正作業が容易になる。また各固定接点8A,8Bの可動接点との接触面が平面状とされているため、後述の可動接点14A,14Bの接触位置が水平方向に若干ずれても曲面接点同士の場合の様に接触圧力が変化しないのでより安定した性能のプロテクタを得ることができる。
【0024】
本実施例においては固定接点支持体7A,7Bと金属板4との間には、両者の間の距離を規定するための位置決め部材としてアルミナの如きセラミックス等で作られた絶縁板9A,9Bが装着されている。さらに本実施例においては絶縁板9A,9Bはそれぞれ固定接点支持体により弾性的に挟持されており、非金属である絶縁板を蓋板2に取付けるための特別な作業を不要にしている。またこの絶縁板9A,9Bに熱伝導性の良い材質のものを選定することにより、接点間が開放した時に発生するアーク等により過熱した固定接点から速やかに金属板4に熱を逃がして温度を下げ、固定接点の消耗のみならずアークを速やかに終息させプロテクタの寿命を長くすることができる。
【0025】
さらに絶縁板を介して接点及び固定接点支持体の熱をハウジングへ良好に伝導する構造とすることにより、過大電流時には発熱量が放熱量に対して大きくなり比較的動作時間が短いため接点を開放する迄の時間(Short Time Trip:S/T)はあまり長くならず、また連続運転可能な最大電流値においては過大電流の場合と比較して発熱量と放熱量の差が少ないため電流値を引き上げても熱応動体の温度はあまり変らなくなり、従来のものより定格運転電流値(Ultimate Trip Current:U.T.C.)を引き上げる事ができる。このように絶縁板に熱伝導率の良いものを選定する事により接点を開放する迄の時間(S/T)を常温に於て所定の時間、例えば10秒とする電流値と定格運転電流値(U.T.C.)とを近づける事ができ、電動機の性能を充分に引き出して運転する事ができる。
【0026】
この絶縁板9A,9Bは実施例に於ては図5に示すように固定接点支持体7A,7Bをリード端子ピン5A,5Bに固着した後に側方から挿入できるようリード端子ピンに接する部分がU字形にされているが、例えば貫通孔を設けた絶縁板をリード端子ピンに挿入した後に固定接点支持体をリード端子ピンに固定するようにしてもよい。またこの絶縁板9A,9Bは固定接点支持体7A,7Bと金属板4との間の電気絶縁を確実にすると共に、両固定接点支持体を発熱体とするために比較的薄くした場合、剛性が低くても固定接点の位置を規定するに必要なものであるが、例えば固定接点支持体にリブ等を形成し、剛性を充分持たせ且つ金属板との絶縁距離を必要な寸法に設定するならばこの絶縁板9A,9Bは省略することもできる。
【0027】
ハウジング3の内側の面には熱応動板支持体10が固定されている。この熱応動板支持体10は充分な剛性を有した金属板で、その両端に階段状に曲げられた固定部10Aをハウジングに溶接固定することにより全体を支える構造とされている。また中間部10Bは後述する温度調整機構と干渉しないように迂回した形状にされるとともに、全体の形状がこの中間部10Bに対して左右対称になるように構成されている。この部分は実施例の様な形状の他、中心部に貫通穴を設けて動作温度較正用の押圧片15との干渉を避ける形状としてもよいことは言うまでも無い。また熱応動板支持体10の固定部10Aを両端部に設けた理由は、較正部3Bと充分な間隔をおくことにより後述する温度調整作業において較正部3Bが変形されても変形の影響が少ない部分に熱応動板支持体を固定するためである。
【0028】
また、固定部10Aを熱応動板支持体10の両端の2ヵ所とする事により、もしなんらかの原因で固定部が若干変位した時にも、熱応動板支持体が片持ち梁状に支持された場合と比較して後述の弾性板が固定される中間部10Bの変位量を少なくする事ができるという利点があるためである。
【0029】
この熱応動板支持体の中間部10Bには、概ね長円形で中央部に開口部11Dを有した環状板の一側面を開放した形状とされた弾性板11がその中間部11Aを溶接等により固定されている。なお弾性板11の両端部11B,11Cは実施例では分離されているが、分離しないで円環状の弾性板を使用してもよい。実施例においては開口部11Dを設けたことによって、この開口部11Dを通して発熱体となる熱応動板支持体10と後述する熱応動板12が直接向かい合うようにされている。また弾性板11は発熱体とすると材質によっては特に高温になった場合にバネ性が変化してしまいプロテクタとしての特性が変化する場合があるので、固有抵抗の低い材質または固有抵抗の低い金属板とバネ性の優れた金属板を貼り合せて製作したクラッド材を使用して発熱を抑えることがより好ましい。
【0030】
熱応動板12はバイメタルやトリメタルの如く熱によって変形する部材を浅い皿状に絞り加工等をすることによって所定の温度によって急跳反転及び急跳復帰するようにしたものであり、その平面形状はほぼ長円形で長手方向両端に前記皿状絞り中心に対してほぼ対称に2個の可動接点14A,14Bを固着し、且つ中央の片側には熱応動板と弾性板11との実質的接続部であり固定部となる突起部12Aを設けた形状とされている。この突起部12Aには予め固着片13が溶接等により取付けられておりこの状態で前記所定の温度で反転及び復帰するように予め設定しておき、固着片13と弾性板11とを溶接などで固定する。そのため熱応動板12を他の部材、実施例においては弾性板に接続固定するときに発生する熱や応力等の影響を熱応動板はほとんど受けず、予め調整された動作温度はほとんど変化しない。なお、熱応動板12を弾性板等の他の部材に固定する時に発生する熱応動板の動作温度変化が問題にならない場合などにおいては固着片13は省略することができる。
【0031】
また可動接点14A,14Bの固着位置は、接続部となる突起部12Aから各可動接点を結ぶ仮想線が90°以上の角度をなすように設定され、この突起部12Aと可動接点14A,14Bの3点でほぼ二等辺三角形が構成される。このような位置関係とする事によって熱応動板の形状を幅方向に細長い例えば概ね長円形にする事ができ、その結果、従来の縦横寸法がほぼ等しい形状を有したプロテクタよりもプロテクタの形状を細長くして電動機の巻線上への取付けを容易にするものである。
【0032】
熱応動板12は固着片13を介して弾性板11の両端部11B,11Cに接続固定されている。熱応動板支持体10と弾性板11、熱応動板12は互いにほぼ平行に配置されており、また蓋板2及び固定接点支持体7A,7Bともほぼ平行にされる。可動接点14A,14Bは各々固定接点8A,8Bと対向しており、熱応動板12の反転及び復帰に従い互いに開離及び接触することにより電路を開閉可能に構成されている。また熱応動板12は前述の弾性板11によって弾性的に保持されているため、熱応動板12が若干傾いて取付けられるなどして二組の接点間に接触圧力のばらつきが発生しても弾性板11が撓んで両接点間の接触圧力をほぼ同一にすることができる。
【0033】
ハウジング3に設けられた前述の較正部3Bの内側面には温度調整機構としての押圧片15の長手方向の一端が溶接等により固着されている。この押圧片15は充分な剛性を有した金属製であり、熱応動板12の常温時に凸となる面に前記可動接点を対称に分ける中心線上で図2及び図5によく判るように示す如くその先端部15Aから後端部15Bのほぼ全面に亘って当接または近接しており、以下に述べる方法で所定の押圧力が付与されるようにされている。
【0034】
プロテクタ1の動作温度の較正は気密容器が完成された後、図2に示す如く蓋板2の金属板4とハウジング3を挟み込むような治具G1及びG2により、ハウジング3の較正部3Bをつぶし変形して行なう。本実施例では治具G2で蓋板2のフランジ4Cのほぼ全周を受け、治具G1で較正部3Bを矢印G方向に押圧変形させることにより押圧片15を変位させ、その先端部15Aを介して熱応動板12の常温時に凸となる側に加減しながら押圧力を与える。この押圧位置は可動接点14Aと14Bの中間点であり、押圧力はこれらの可動接点14A,14Bを介して固定接点8A及び8Bによって支承される。このハウジング3の変形作業によりその接点圧力を増加させ適当に加減することによって所望の動作温度で熱応動板12が図3に示す如くその湾曲方向をスナップ的に反転するように調整する。
【0035】
ここで較正部3Bに押圧片15の長手方向の一端である後端部15B側を固着してあるため、動作温度較正作業において較正部3Bを変形させる量は僅かであっても押圧片の他端である先端部15Aの変位は梃子の原理により拡大され充分な値となる。また前述したように熱応動板支持体10はその固定部10Aを固着部3Cに固定されているため、動作温度較正作業において較正部3Bを僅かに変形してもその影響を受ける事はない。従って熱応動板支持体10の変形は実質的に無いものとされる。このとき熱応動板12には弾性板11により、常に押圧片15に押し付けられる方向、即ち図2において固着片13を中心に時計回り方向の偏倚力が付与されている。このため熱応動板12の反転時には確実にその方向に傾動し可動接点を固定接点から開離することができ、また熱応動板のスナップ的反転動作により可動接点を固定接点から開離するときのチャタリングをなくすと共に、所定の動作温度に較正することができる。
【0036】
以上の如く構成されたプロテクタ1は所望の第一の温度、例えば130℃雰囲気中において図3に示す如く熱応動板12がスナップ的に急跳反転し熱応動板12は固定接点8A,8Bから可動接点14A,14Bを同時に開離し、第一の温度より低い第二の所定の温度例えば90℃になると急跳復帰して図1に示す状態に戻りそれぞれの接点間を同時に閉じる。
【0037】
この様なプロテクタに於いて長期にわたり使用を続けると、接点開閉時に発生するアークなどにより接点表面が荒れてきて溶着を起こす可能性がある。通常軽度の溶着であれば熱応動板の反転時の動きと弾性板によって付与される引き離し力によって解除される。
【0038】
図10に示す従来例である特願平8−195634号のプロテクタ101も本願発明のプロテクタ1と同様に熱応動板12に発熱部たる熱応動板支持体10からの熱を効率良く伝えるため、及び温度較正部材である押圧片115を挿通するために弾性板11の中央部には比較的大きな開口部が設けられ、熱応動板支持体10と熱応動板12とが直接対面するようにされている。そのため弾性板11はそれ以前のものに使用されていた弾性板と同等のしなやかさを有するように設定すると剛性が低下し、熱応動板に与える偏倚力が充分でなくなる事がある。つまりそれ以前では熱応動板反転時に熱応動板及び弾性板の力で接点間が開離したために問題にならなかった程度の軽度の溶着に於いても、弾性板11によって付与される引き離し力の大きさが溶着を外すのに不充分となり接点開離のための力が充分に働かず図11及び図12に示す如く接点が開離しなくなる状態を生じた。
【0039】
さらに熱応動板を小形にするために熱応動板上の可動接点及び固定部の位置関係をほぼ直角二等辺三角形若しくは鈍角の二等辺三角形とした所謂横長の熱応動板を使用するものにおいては、それ以前のほぼ円形の熱応動板と比較して、熱応動板上に固定された2個の可動接点の距離を同程度にした場合、熱応動板の突起部12Aと各可動接点との距離が短くなるためにその通常時と反転時との位置関係の差、具体的には熱応動板12が反転した時に突起部12Aの移動量が少なくなる。そのため図10のプロテクタ101の様に、押圧片115がその先端部115Aのみが突出し熱応動板と接触する所謂L型形状をしている場合には、特に先端部115Aと後端部115Bとの高さの差が大きいと、軽い溶着が起きた場合に突起部12Aが押圧片と当接できず事実上の自由端となってしまうことがある。この場合、熱応動板の反転時の動作力はこの突起部12Aの移動にのみ使われてしまい、溶着部を開離させるために有効に作用しないため、溶着部が離れないままで熱応動板12が反転することが可能になる。
【0040】
すなわち、図11の様に熱応動板の反転時にも熱応動板12の突起部12Aと押圧片の後端部115Bとが当接しないと、熱応動板12の反転時の動作力は熱応動板の接点間を開離しようとするが図11及び図12に示す如く突起部12Aの移動によって接点の少なくとも一方が開離しなくなるという好ましくない結果をもたらす。
【0041】
そこで本願発明に於いては、図2や図5からも判るように押圧片15が先端部15Aで熱応動板12の絞り中心近傍に当接するとともにこの先端部15Aから後端部15Bにかけて熱応動板と当接若しくは近接するように構成した。こうする事により熱応動板12は、反転時に於て図8に示す如く熱応動板12と弾性板11との固定部近傍である固着片13との固着部、すなわち突起部12Aを押圧片の後端部15Bに当接してそれ以上の移動を阻止される。こうして通常時には熱応動板12の可動接点側がより大きく移動し接点間距離を大きく取ることができる。また接点間に軽い溶着が起きた場合にも固着片13が固定された突起部12Aが押圧片後端部15Bに当接することにより、熱応動板12が反転する時の作用力は可動接点14A、14Bに有効に与えられるため、反転時の力は有効に接点を開離するための力となり、確実に接点間を開離することができる。熱応動板12の突起部12Aと押圧片後端部15Bとの距離は通常時から極弱い力で当接しているか、熱応動板12の反転時に当接可能なように近接しているものであり、その近接距離は熱応動板の可動接点を固定したと仮定した時に突起部12Aが接触可能な位置、特に突起部12Aの反転時の移動量の1/2以下の距離とされている事が好ましい。
【0042】
また本実施例に於いては押圧片15の端面をほぼ平面状として前端部から後端部にかけて熱応動板12と当接若しくは近接していたものを示しているが、その形状はこれに限るものではなく熱応動板の通常凸となる側に絞り中心近傍で当接すると共に少なくとも熱応動板と弾性板との固定部近傍において近接または当接するものであれば、例えば図9の押圧片25に示すようにコの字形としてもよい。図9に示した第2の実施例のプロテクタ21においては、押圧片25以外は前述の実施例と同様なので同一の符号を付けてそれぞれについての詳細な説明は省略する。押圧片25はハウジング3の較正部3B内側に溶接などにより固定されており、通常は前端部25Aで熱応動板12の両可動接点14A,14Bを対称に分ける中心線上で絞り中心近傍に当接すると共に、後端部25Bが熱応動板12と弾性板11との固定部である突起部12A近傍において近接している。熱応動板12の反転時にはこの突起部12Aが押圧片後端部25Bに当接し、この部分の移動を抑制する。そのため熱応動板の反転時の力による移動量は確実に可動接点14A、14Bに付与され、反転時の力が有効に接点の開離力として作用し、軽度の溶着が起きても接点間を開離することができる。
【0043】
また図10で示した従来例の様に押圧片115がL字形のものであっても、先端部115Aと後端部115Bとの高さの差が少なく熱応動板12の反転時に突起部12Aが後端部115Bと当接するものであればよい。具体的には押圧片先端部115Aに対して後端部115Bの方が低く、その差が熱応動板12の絞り中心から突起部先端までの距離に対して1/20以下である事が好ましい。実験によれば、熱応動板の絞り中心から突起部先端までの距離が8.5mm程度の時に押圧片先端部と後端部との高さの差を0.4mm以下としたものにおいて効果が認められた。
【0044】
このプロテクタ1は三相電動機のY結線の中点に接続し得るものである。即ちY結線の場合にはリード端子ピン5A,5B及び金属板4(又はハウジング3)がそれぞれ電動機の中点部となるコイル端に接続される。保護するべき電動機になんらかの異常が発生してその電流が増加した場合には各電路となる部材の発熱が増し、プロテクタが動作温度に達して熱応動板が急跳反転し両接点間を開離し電動機への通電を遮断する。ここで、三相電源の各相間で動作条件を揃えるために、熱応動板12自身に可動接点14A,14B間を介して通電された場合と、各可動接点と固着片13とを介して通電された場合とでは、固定接点支持体7A,7Bや熱応動板支持体10を発熱体とするそれぞれの抵抗値が異なっているため、それらの発熱体と熱応動板との熱交換関係を調整して、熱応動板への影響をほぼ等しく設定することにより各々の電路への通電時の熱応動板12の温度上昇条件を実質的に揃えるように加減することができる。
【0045】
このように本発明では、従来のプロテクタにおいては接点及び固定部が概ね正三角形になるように配設され熱応動板上の各電路間がほぼ等距離となるようにされていたのに対して、熱応動板自身の発熱の不釣り合いを他の発熱部材で補完して、実質的に釣り合わせる。かくして、熱応動板上の可動接点及び固定部の位置関係をほぼ直角二等辺三角形若しくは鈍角の二等辺三角形とする事を可能とし、更にこの熱応動板に対して各部品をほぼ平行に重ねる様にして配置することにより従来の縦横の長さがほぼ等しい形状を有したプロテクタと比較して全体の構造を細長くすることができ電動機の巻線上への取付けが容易になる。また本実施例のプロテクタ1の平面形状は較正部を有する側がやや膨らんだ形状となっているが、この膨出側の曲線形状を含めてプロテクタを取付ける電動機の固定巻線の外周部の形状に合致させるようにしておくことにより電動機巻線上への取付作業はより容易になる。
【0046】
実施例のプロテクタ1,21の押圧片15,25の先端部15A,25Aの熱応動板12への当接位置は可動接点14A,14B間のほぼ中央となる皿状絞り加工の中心部とされるが、好ましくはその当接位置を前記皿状絞りの中心乃至中心から熱応動板の固定端たる突起部寄りに設定する事により、接点溶着の可能性を低減できることが実験によって認められた。この実験として熱応動板の絞り中心に対して押圧片先端部15Aの当接位置を前後に0.5mm移動したもので動作耐久試験を行なったところ、突起部寄りに移動したものはすべて必要な動作期間、動作回数(本実験では15日間,2000回)を共に満足したのに対して、突起部とは逆の側に移動したものの中にはこれらを満たさないものがあり、その原因は一方の接点の溶着であった。
【0047】
この様な結果となった理由としては当接位置を突起部とは逆の側に移動したものに於ては、動作温度調整作業によって熱応動板の自由端側が抑え付けられるために反転時にも可動接点の移動量は少なくなり、そのため一方の接点が溶着を起こした時の溶着を外すための力が働きにくくなるものと推定される。これに対して当接位置を絞り加工の中心から突起部寄りに設定したものは、熱応動板の反転時に自由端側が大きく動くため可動接点が固定接点との距離を取りやすくなり溶着を外すための力も働きやすくなるものと推定される。
【0048】
この様に、押圧片の熱応動板への当接位置を前記絞り加工の中心乃至中心から熱応動板の固定端たる突起部寄りに設定する事により、熱応動板の力を有効に使い接点溶着の可能性を低減することができる。
【0049】
本実施例では押圧片15に金属片を使用しているが、例えば発熱部となる熱応動板支持体10の抵抗値を高くしたときなどにおいて、押圧片先端部15Aと熱応動板12との接触抵抗値を介して熱応動板支持体10Aに流れるべき電流がバイパスすることが問題になる場合には押圧片15を電気絶縁物或いはその先端部15Aをセラミックスやポリアミド紙等で絶縁した構造とすればよい。またそれ以外の場合でも押圧片と熱応動板との接触部を前述の電気絶縁物で絶縁することはさらに好ましいことである。
【0050】
また本実施例においては位置決め部材として非導電性セラミックス等で作られた絶縁板9A,9Bを使用したものを例に述べたが、この位置決め部材としては発熱抵抗材料を使用してもよい。ここで言う発熱抵抗材料としては特に熱伝導率が高く、固有抵抗値の比較的高い導電性セラミックスが好ましく例えばチタン酸バリウム系のもの、または窒化ホウ素(BN)、炭化珪素(SiC)の如き非酸化物セラミックス等が挙げられる。また非導電性セラミックスの表面に抵抗体の薄膜が形成されたものなどを使用してもよい。
【0051】
この場合、発熱抵抗材料の実質的な抵抗値を金属板4から熱応動板12を介して固定接点8A,8Bに達する経路の抵抗値よりも充分に高く設定しておくことにより、可動接点と固定接点が当接している間は電流は発熱抵抗材料をほとんど通らず発熱もしないが、熱応動板が反転し可動接点が固定接点から開離すると直ちに発熱抵抗材料への印加電圧が増大して発熱量が増してプロテクタ内部の温度が上昇する。ここで発熱抵抗材料が発する熱を熱応動板に伝えることにより、熱応動板が復帰温度にまで温度が下がる時間を延長してオン−オフ比を大きくしたり、更に発熱量を高く設定することにより電源を切らない限り熱応動板が復帰しないようにすることもできる。このような構造とすることで、高温になった電動機の巻線温度をプロテクタによって確実に低下させることができ、さらにプロテクタ動作時の繰り返し動作回数を減らすことにより耐久性能を高め長期間安定した特性を得ることができる。また特に所謂PTCの如き所定の温度で抵抗値が急激に上昇する導電性セラミックスを使用することにより、発熱抵抗材料の温度制御即ちプロテクタの内部温度の制御が容易になる。また発熱抵抗材料に電流が流れることにより接点開放時に発生するアークの電流が従来のものと比較して減少するためアークが短時間で消滅し、接点に対するアークの影響を低減しプロテクタの寿命を飛躍的に増大することができる。
【0052】
このプロテクタ1の電動機巻線への取付けについて説明すると、リード端子ピン5A,5B及び金属板4(またはハウジング3)には夫々直接若しくはタブ端子等を介して図示しないリード線の一端が接続固定され、これらのリード線の他端は各々電動機の各相巻線に接続される。プロテクタ1にはポリエステルやポリアミド等の絶縁被覆(図示せず)が被せられ、熱収縮や超音波溶接等の方法で固定される。こうして絶縁被覆を被せられたプロテクタ1はハウジング3の上面をコイルエンド上に密着させて縛り紐等により固定される。この様にして取付けた場合、本発明においては従来のプロテクタと比較して細長く且つ電動機固定子巻線のコイルエンドの円弧形状に沿わせて収めるためにプロテクタの幅を巻線の幅と同等若しくは細くすることが容易になり電動機のコイルエンド上への取付け作業が楽になる。
【0053】
また三相用サーマルプロテクタとしての構造を持ちながらプロテクタ全体を細長い形状となし得たことにより、絶縁被覆としてポリエステルチューブの様な熱収縮チューブを使用する場合においても、チューブへのプロテクタの挿入作業が容易になり作業性が向上する。
【0054】
なお本実施例の説明に於てはプロテクタ1を三相電動機に取付けるものとして詳細な説明を行なったが、例えば単相電動機用として使用する場合にはリード端子ピン5A,5B間に通電することにより、動作時に電路上を二組の接点で開放することができ、実質的な接点間開閉容量を向上できると共に、万が一強固な溶着などによって一組の接点が開放できなくなっても残る一組が開放するためプロテクタとしての寿命が伸び長期にわたり確実に電路を遮断することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明のサーマルプロテクタは、特に熱応動板を従来のものよりも横方向に細長くした従来の縦横寸法のほぼ等しい形状を有したプロテクタと比較して全体の構造も細長い形状にされたプロテクタにおいて、動作温度較正用の押圧片を少なくとも熱応動板と弾性板との固定部近傍において近接または当接することによって、熱応動板反転時の力が可動接点部側に働かなくなることを防ぎ接点が溶着した場合にも接点を開離する力として有効に使うことができる。またこの様な構造とすることにより、構造上弾性板によって与えられる引き離し力をあまり大きく設定できない場合に於て溶着による力が前記引き離し力を上回っていても、熱応動板の反転時の力が接点間の溶着力に勝っていれば確実に接点間を開離する事ができる。
【0056】
また蓋板の金属板と固定接点支持体との間に両者の距離を規定するための位置決め部材を挿入したことにより、発熱体とするために固定接点支持体の厚さを薄くしてもその先端を確実に所定の位置で保持することができ、金属板と固定接点支持体との耐電圧性を確保すると共に電流による固定接点支持体の発熱量を大きくすることができる。
【0057】
さらに位置決め部材を固定接点支持体と蓋板とで弾性的に挟持する構造としたことにより、位置決め部材の取付けが容易になるとともに、接点及び固定接点支持体の熱をハウジングへ良好に伝導して過大電流時の接点を開放する迄の時間(S/T)を所定の時間とする電流値と定格運転電流値(U.T.C.)とを電動機の性能を充分に発揮する方向に近づける特長を有する。
【0058】
さらに位置決め部材をチタン酸バリウム系、または窒化ホウ素などの非酸化物セラミックスの如き導電性セラミックス等の発熱抵抗材料とすることにより、熱応動板の動作頻度を減らしプロテクタとしての耐久性能を向上することができる。
【0059】
またさらに熱応動板支持体と弾性板と熱応動板とを互いに平行且つ重なり合うように配置し、熱応動板支持体と熱応動板とが直接向かい合うように弾性板に開口部を設けたことにより、熱応動板支持体からの輻射熱が直接熱応動板に達し、過電流時等の応答性を向上することができる。
【0060】
また組付上の誤差によって突起部とは逆の側に押圧片が当接する事を防ぐために、押圧片の熱応動板への当接位置を絞り加工の中心乃至中心から熱応動板の固定端たる突起部寄りに設定する事により、熱応動板の力を有効に使うことができ接点溶着の可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーマルプロテクタの一例の縦断面図
【図2】図1のサーマルプロテクタのA−A断面矢視図
【図3】図1のサーマルプロテクタの接点開放状態を示す縦断面図
【図4】図1のサーマルプロテクタの斜視図
【図5】図1のサーマルプロテクタのハウジングを除いた分解斜視図
【図6】図1のサーマルプロテクタの平面図
【図7】図1のサーマルプロテクタの側面図
【図8】図1のサーマルプロテクタの接点開放状態を示すA−A断面矢視図
【図9】本発明のサーマルプロテクタの他の実施例の断面図
【図10】従来のサーマルプロテクタの一例の断面図
【図11】従来のサーマルプロテクタの溶着状態を示す一例の断面図
【図12】従来のサーマルプロテクタの溶着状態を示す一例の断面図
【符号の説明】
1:サーマルプロテクタ
2:蓋板
3:ハウジング
3A:平面部
3B:較正部
4:金属板
4A,4B:貫通孔
5A,5B:リード端子ピン
6:充填材
7A,7B:固定接点支持体
8A,8B:固定接点
9A,9B:絶縁板(位置決め部材)
10:熱応動板支持体
10A:固定部
10B:中間部
11:弾性板
11A:中間部
11B,11C:両端部
11D:開口部
12:熱応動板
12A:突起(接続部)
13:固着片
14A,14B:可動接点
15:押圧片(温度調整機構)
15A:押圧片先端部
15B:押圧片後端部
Claims (7)
- 金属板の長手方向両端近傍に各々貫通孔を設けこれらの貫通孔に導電性のリード端子ピンを電気絶縁性の充填材により気密に貫通固定した蓋板と、
この蓋板の周縁部に開口端面が気密に溶接され密閉容器を構成する概ね長ドーム型のハウジングとを有し、
各リード端子ピンの前記密閉容器内側には固定接点が固定接点支持体を介して導電的に固着されており、
ハウジングの内側面には動作温度較正用の押圧片が固着され、
さらに金属製の熱応動板支持体が前記押圧片と干渉しないように長手方向に充分な間隔をおいて二ヶ所でハウジング内側面に固着され、
熱応動板支持体には浅い皿状に絞り成形したことによって異なる温度に応じてスナップ的に湾曲方向を変える熱応動板が弾性板を介して導電的に接続固定され、
この熱応動板は前記皿状絞り中心に対してほぼ対称に2個の可動接点が前記固定接点に対応して開閉可能に取付けられており、
前記押圧片は熱応動板の通常凸となる側に絞り中心近傍で当接すると共に少なくとも熱応動板と弾性板との固定部近傍において近接または当接しており、
前記ハウジングの押圧片固着部近傍を外面側から外力を加えて変形し押圧片により熱応動板への押圧力を調整することにより可動接点と固定接点との接点圧力を加減し所定の温度に於いて可動接点が固定接点から開離するように動作温度の較正ができることを特徴とするサーマルプロテクタ。 - 熱応動板と弾性板との接続部から各接点を結ぶ仮想線が90°以上の角度をなし接続部と各接点の3点でほぼ二等辺三角形を構成していることを特徴とする請求項1のサーマルプロテクタ。
- 蓋板の金属板と固定接点支持体との間には両者の距離を規定するための位置決め部材が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2のサーマルプロテクタ。
- 位置決め部材は発熱抵抗材料であることを特徴とする請求項3のサーマルプロテクタ。
- 位置決め部材は固定接点支持体と蓋板により弾性的に挟持されていることを特徴とする請求項3または請求項4のサーマルプロテクタ。
- 熱応動板支持体と弾性板と熱応動板とは互いに概ね平行で且つ重なり合うように配置され、熱応動板支持体が弾性板を間に介して熱応動板と直接向かい合うように弾性板に開口部を設け熱応動板支持体からの輻射熱が直接熱応動板に達するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のサーマルプロテクタ。
- 押圧片の熱応動板への当接位置を皿状絞りの中心乃至中心から熱応動板の固定端たる突起部寄りに設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のサーマルプロテクタ。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29754396A JP3829882B2 (ja) | 1996-10-17 | 1996-10-17 | サーマルプロテクタ |
CA002208910A CA2208910C (en) | 1996-07-04 | 1997-06-27 | Thermal protector for electric motors |
US08/886,546 US6005471A (en) | 1996-07-04 | 1997-07-01 | Thermal protector for electric motors |
KR1019970030709A KR100236901B1 (ko) | 1996-07-04 | 1997-07-02 | 열보호장치 |
CNB97113734XA CN1146934C (zh) | 1996-07-04 | 1997-07-03 | 热保护器 |
IT97TO000584A IT1293403B1 (it) | 1996-07-04 | 1997-07-03 | Dispositivo di protezione termica per motori elettrici. |
FR9708401A FR2750793B1 (fr) | 1996-07-04 | 1997-07-03 | Dispositif de protection thermique pour moteurs electriques |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29754396A JP3829882B2 (ja) | 1996-10-17 | 1996-10-17 | サーマルプロテクタ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10125190A JPH10125190A (ja) | 1998-05-15 |
JP3829882B2 true JP3829882B2 (ja) | 2006-10-04 |
Family
ID=17847905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29754396A Expired - Fee Related JP3829882B2 (ja) | 1996-07-04 | 1996-10-17 | サーマルプロテクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3829882B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7301434B1 (en) * | 2006-05-12 | 2007-11-27 | Sensata Technologies, Inc. | Thermally responsive electrical switch |
CN108899875B (zh) * | 2018-09-05 | 2024-02-06 | 赵云文 | 具有双重保护功能的电机起动保护器 |
-
1996
- 1996-10-17 JP JP29754396A patent/JP3829882B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10125190A (ja) | 1998-05-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100236901B1 (ko) | 열보호장치 | |
US6756876B2 (en) | Circuit interrupter and method | |
US7298239B2 (en) | Thermal protector | |
JPH02227928A (ja) | 熱応動スイッチ | |
US5939970A (en) | Thermally responsive switch | |
KR100947519B1 (ko) | 저전류 전기 모터 보호기 | |
JP2002124172A (ja) | サーマルプロテクタ | |
JP2599797B2 (ja) | 密封三相保護装置 | |
US6995647B2 (en) | Low current electric motor protector | |
JP3829882B2 (ja) | サーマルプロテクタ | |
US6483418B1 (en) | Creep acting miniature thermostatic electrical switch and thermostatic member used therewith | |
EP1855303B1 (en) | Thermally responsive electrical switch | |
JP3046767B2 (ja) | サーマルプロテクタ | |
JP3992320B2 (ja) | サーマルプロテクタ | |
US4914414A (en) | Thermally responsive switch | |
JP2002352685A (ja) | サーマルプロテクタ | |
GB2373926A (en) | Thermal sensor | |
JP3849387B2 (ja) | サーマルプロテクタ | |
WO2022059067A1 (ja) | モータプロテクタ | |
JP3972965B2 (ja) | 熱応動スイッチ | |
JP2882768B2 (ja) | 三相用サーマルプロテクタ | |
JPH0822757A (ja) | 過負荷保護装置 | |
JPH0696649A (ja) | 三相用サーマルプロテクタ | |
JPH0319655B2 (ja) | ||
JPH0580089B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060417 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060425 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060426 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060606 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060704 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130721 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |