JP3829168B2 - 空気調和機用の天井埋込型室内機 - Google Patents

空気調和機用の天井埋込型室内機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気調和機用室内機に係り、特に、天井埋込型の室内機本体の下面に化粧パネルを装着するとき、化粧パネルを仮設置できるような仮止め構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、天井埋込型の空気調和機用室内機は、室内機本体内に、室内空気を暖房または冷房する熱交換器と、室内空気を吸引して熱交換器に送風するファンと、ファンを駆動するファンモータと、室内空気をファンへ導くベルマウスと、熱交換器のドレン水を受けるドレンパン等が収容され、この本体の室内側下面に、吸込グリルや吹出口を有する化粧パネルが固定される。
【0003】
この種の室内機を天井に設置する際には、本体を天井内に固定した後、脚立上などで上を向いて化粧パネルの取付作業をするため、安全上、化粧パネルを本体に一旦仮止めした後、改めて化粧パネルを本体に対してネジ止めして固定するようにしている。
【0004】
空気調和機の室内機本体と、本体下面に固定される化粧パネルとを有する天井埋込型空気調和機の例が、特開平9−210403号公報に開示されている。この空気調和機はドレンパンを保持するための固定金具にスリットがあり、このスリット内に弾性的に装着された仮止具を下方に引き出して、化粧パネルを仮止めするようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平9−210403号公報に開示されている技術は、化粧パネル取付作業の安全性に対する配慮が欠けていた。ドレンパン保持用固定金具に形成したスリットに、前記仮止具を収納および下方にスライド可能とすることで、本体より露出しない構造にはなっているが、下方に引き出した際には、天井面に対し平行な水平方向に自由に動く状態であった。
【0006】
一般に化粧パネルの取り付けは、脚立などに登って仰向けに作業するため、化粧パネルを引っ掛けようとしても、軽量の仮止具がブラブラする状態では化粧パネルの仮設置がやりにくく、きわめて危険な作業となっていた。
【0007】
特に、高天井の比較的作業しにくい場所に室内ユニットが据付けされている場合や、1台の室外ユニットに複数台の室内ユニットが接続されている場合には、化粧パネルの仮止めおよび取付けは非常に困難であり長時間を要していた。
【0008】
本発明の課題は、天井埋込型の室内機において、作業現場でのパネル(一般的には化粧パネル)装着時に、引き出した仮止具が上下および水平方向に動くことがなく、そのため、仮止具にパネルを容易に仮止めできる安全で作業性の向上した仮止具の設置構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ファンおよび熱交換器と、前記熱交換器のドレン水を受けるドレンパンと、前記ファンへの空気流路であるベルマウスとを室内機本体内に有し、該室内機本体の室内面側に、空気吸込口を有するパネルを取り付ける空気調和機用の天井埋込型室内機であって、前記ドレンパンと前記ベルマウスとの間に形成された室内面側に開口する間隙部に、前記パネルを仮止めする仮止具が引き出し可能に収納され、該間隙部には、前記仮止具の水平および鉛直方向の移動を規制する規制手段を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、引き出された仮止具は、上下および水平方向の移動が規制され、ブラブラしないので、軽量の仮止具に比較して、比較的重量のあるパネル(一般には仕上げ用の化粧パネル)を容易に引っ掛けることができ、安全かつ効率的な作業が可能となる。
【0011】
また、前記仮止具は前記間隙部にあらかじめ収納され、前記パネルを前記室内機本体に装着するときに、前記間隙部から前記仮止具を引き出してパネルを仮止めできるようにした。また、前記ドレンパンと前記ベルマウスとの間隙部に収納された前記仮止具は、前記ドレンパンと前記ベルマウスとによって水平方向の移動を規制できるようにした。
【0012】
また、前記仮止具は前記間隙部に沿った方向に変形可能な弾性力を有し、前記間隙部には、該間隙部に沿った方向の仮止具の変形を係止する係止部を設けてもよい。具体的には、前記仮止具は、線材がほぼU字状に折り曲げられ、該U字状の幅方向に変形可能な弾性力を有し、該U字状の厚みは前記間隙部の間隔とほぼ同様であり、該U字状の底部には前記パネルを仮止めする係合部を設けた。
【0013】
以上のように構成することにより、ベルマウスとドレンパンの間の間隙部に仮止具を収納した状態で出荷し、現地取付作業時に間隙部から仮止具を引き出して使用できる。例えば、仮止具にバネとして弾性力を持たせることにより、引き出した仮止具を突起や孔などの移動規制手段に係止できるので、鉛直および水平方向に自由に動かないようにできる。そのため、化粧パネルの仮止めが非常に安全かつ容易となり、化粧パネルの現地仮止めおよび取付け作業時間の簡素化および迅速化が可能となり、据付作業性向上が図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本発明の概略を説明する。図1は4方向吹出しの天井埋込型の空気調和機用室内機の据付図である。
【0015】
本体1と化粧パネル4から構成され、本体1は天井裏に吊金具2と吊ボルト3を用いて据付固定されるものであり、化粧パネル4は天井面とほぼ面一となるように、本体1の下方に取り付けされる。本発明は、この化粧パネル4の取り付けの際の仮止具に関する。
【0016】
化粧パネル4は本体1側に仮止め(仮吊り)された後、ネジ(図示せず)などを使用して固定される。また、吸込グリル(吸込口)5は化粧パネル4のほぼ中央に取り付けられ、この吸込グリル5のまわりに吹出口6a、6b、6c、6dを備えている。
【0017】
そして室内空気は、本体1内に収容されているファンの運転によって吸込グリル5に吸込まれた後、本体1内に収容されている熱交換器を通り、夫々の吹出口6a、6b、6c、6dから室内に吐出される。
【0018】
図2は本体1の分解斜視図である。本体1は4つの短面と4つの長面から成る8角筒形状で、断熱、結露防止、防音等のため発泡スチロールに金属板をインサートした一体成形品となっている。また、吊金具2は本体1の4つの短面に取り付けられ、本体1内には熱交換器7、ファン8等が収容されている。
【0019】
ドレンパン9は、熱交換器7から滴下されるドレン水を受け回収する発泡スチロール成形品である。このドレンパン9には、化粧パネル4を仮止めするためのほぼU字状に曲げた仮止具12を収納する凹部9a、9bが設けられている。
【0020】
また、このドレンパン9を本体1にネジ13にて固定するための固定具10a、10b、10c、10dが、発泡スチロール製ドレンパン9にインサートされている。
【0021】
ベルマウス11は吸込空気をファン8へスムーズに案内し、送風音低減、送風性能向上を図る樹脂成形品である。このベルマウス11には、ほぼU字状に曲げたバネ力を有する仮止具12を保持し嵌合する嵌合部11a、11bが設けられている。また、このベルマウス11は発泡スチロール製ドレンパン9にインサートされている固定具10a、10b、10c、10dにネジ14にて固定されてる。
【0022】
本実施形態によれば、本体1に化粧パネル4を仮止めするためのほぼU字状に曲げた仮止具12を、ベルマウス11に設け嵌合部11a、11bと、ドレンパン9に設けた凹部9a、9bとの間に形成される間隙部内に収納し、化粧パネル装着時には引き出して、バネ力によって弾性的に保持することが可能となる。
【0023】
これにより仮止具12は天井面に対し垂直方向および水平方向に自由に動かないようにすることが可能となり、そのため、化粧パネル4の仮止めが非常に容易となり、現地仮止めおよび取付け作業時間の簡素化および迅速化と、据付作業性の向上が図れる。
【0024】
図3に仮止具12の一具体例を示す。なお、図3(a)〜図3(b)は仮止具の収納(工場出荷)状態で、図3(c)〜図3(d)は引き出されて化粧パネルを仮止めした状態を示す。なお、図の(a)(c)は正面図、(b)(d)は側面図である。
【0025】
図3に示すように、仮止具12はほぼU字状に形成されており、下端曲げ部18、中央凸部19、上端水平L字状の曲げ部20とを有し、その他は直線部になっている。
【0026】
この仮止具12は、例えば弾性を有する金属製のワイヤを折り曲げて形成され、押圧や拡開に対して反発するバネ力を有する。仮止具12はベルマウス11とドレンパン9との間に形成される間隙内に収納され、弾性的に保持嵌合される。
【0027】
工場出荷時には、ベルマウス11のI字状の突起15にて仮止具12の中央凹部19を弾性的に保持させ、仮止具12の下端曲げ部18以外の全てがベルマウス11とドレンパン9との間に形成される間隙内に収納されている。
【0028】
そのため、本体1より仮止具12が露出せず邪魔にならないため、この本体1の梱包小型化、梱包小型化に伴う梱包材の省資源化が図れ、かつ本体1の梱包、搬送、解梱、据付時における仮止具12の破損防止が図れる。
【0029】
化粧パネル仮止め時には、仮止具12を下方に引き出し、ベルマウス11のI字状の突起15にて仮止具12の中央凹部19と上端水平L字状の曲げ部20との間を弾性的に保持させ、この仮止具12の下端曲げ部18に化粧パネル4の係合具22を掛ける。
【0030】
引き出された仮止具12は、図3(c)に示すように、ベルマウス11のI字状の突起15に、仮止具12の上端水平L字状の曲げ部20と直線部が係止することにより、鉛直および水平方向の移動が規制され、さらに、図3(c)に示すように、ベルマウス11とドレンパン9との間隙に挟まれることによって、一方の水平方向移動も規制されている。
【0031】
このようにして化粧パネル4は仮止具12を用いて本体1側に仮止め(仮吊り)され、ネジ(図示せず)などを使用して、化粧パネル4を本体1に対して本固定される。
【0032】
本例によれば、仮止具12は天井面に対し垂直方向および水平方向には自由に動かないため、化粧パネル4の仮止めが非常に容易となる。このため化粧パネル4の現地仮止めおよび取付け作業時間の簡素化および迅速化が可能となり、据付作業性向上が図れる。また、従来のものと異なり、仮止具を保持する別体の固定金具やネジ等を有することがなく、部品点数削減、製造コスト低減、本体重量低減が図れる。
【0033】
図4に本発明における仮止具12の別の具体例を示す。なお、図4(a)〜図4(b)は仮止具の収納(工場出荷)状態で、図4(c)〜図4(d)は引き出されて化粧パネルを仮止めした状態を示す。なお、図の(a)(c)は正面図、(b)(d)は側面図である。
【0034】
仮止具12はほぼU字状に形成されており、下端曲げ部18、上端鉛直L字状の曲げ部21とを有し、それ以外は直線部になっている。この仮止具12は、例えば金属製のワイヤを折り曲げて形成され、押圧や拡開に対抗するバネ力を有している。
【0035】
工場出荷時には、図4(a)〜(b)に示すように、仮止具12は、ベルマウス11のL字状の突起16にて仮止具12の直線部を、また、ベルマウス11とドレンパン9の間にて上端鉛直L字状の曲げ部21を弾性的に保持され、下端曲げ部18以外は前記間隙内に収納されいる。
【0036】
これにより、本体1より仮止具12が露出せず邪魔にならないため、この本体1の梱包小型化、梱包小型化に伴う梱包材の省資源化が図れ、かつ本体1の梱包、搬送、解梱、据付時における仮止具12の破損防止が図れる。
【0037】
化粧パネル仮止め時には、図4(c)〜(d)に示すように、仮止具12を下方に引き出し、ベルマウス11のL字状の突起16に仮止具12の直線部が係止されて水平方向の移動が規制され、さらにベルマウス11の孔17に仮止具の上端鉛直L字状の曲げ部21を弾性力を利用して挿入することにより鉛直方向の移動が規制される。この状態で仮止具12の下端曲げ部18に化粧パネル4の係合具22を掛ける。
【0038】
これにより化粧パネル4は仮止具12を用いて本体1側に仮止め(仮吊り)され、ネジ(図示せず)などを使用して化粧パネル4を本体1に対して固定される。この化粧パネル4の仮止めの際、仮止具12は天井面に対し垂直方向および水平方向には自由に動かないため、化粧パネル4の仮止めが非常に容易となる。
【0039】
このため、化粧パネル4の現地仮止めおよび取付け作業時間の簡素化および迅速化が可能となり、据付作業性向上が図れる。また、従来のものと異なり仮止具12を保持したり嵌合する別体の固定金具やネジ等が不要であり、部品点数削減、製造コスト低減、本体重量低減が図れる。
【0040】
本発明は上記実施の形態に限定されず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、仮止具12はほぼU字状になっているが、これに限定されることはなく、別の形状、例えばC字状、L字状、あるいはV字状等とすることもできる。
【0041】
また、図示のベルマウス11に設けられたI字状の突起15、L字状の突起16は別形状でもよく、孔17は丸孔、長孔、角孔のいずれでもよいことは明らかである。なおベルマウス11側に設けられた突起15、16および孔17などは、ドレンパン9側に設けてもよい。
【0042】
さらにいえば、ほぼU字状仮止具12は本体1側ではなく化粧パネル4側に取付け、ベルマウス11とドレンパン9の間に形成される間隙内に弾性的に保持し嵌合させてもよい。上記実施の形態では、天井埋込型の室内機について説明したが、これに限らず、例えば、天井吊り下げ型、壁掛け型などに対しても応用可能である。
【0043】
以上の実施形態によれば、仮止具は本体に収容されたベルマウスとドレンパンの間に形成される間隙内に収納され、弾性的に保持されており、天井面に対し垂直方向および水平方向に自由に動かないため、化粧パネルの仮止めが非常に容易となる。
【0044】
このため化粧パネルの現地仮止めおよび取付け作業時間の簡素化および迅速化が可能となり、据付作業性向上が図れる。また、前記仮止具をベルマウスの突起に係止したり、孔に挿入したりして、弾性的に保持することにより、別体の固定金具・ネジ等が不要となり、部品点数削減、製造コスト低減、本体重量低減が図れる。
【0045】
しかも仮止具は、ベルマウスとドレンパンの間に形成される間隙内に引き出し可能に収納されているため、化粧パネルを仮止めするまでは本体内に収納されており、本体梱包小型化、梱包小型化に伴う梱包材の省資源化が図られ、かつ本体の梱包、搬送、解梱、据付時における仮止具の破損防止が図れる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、天井埋込型の室内機において、室内側面の化粧パネル装着時に、ドレンパンとベルマウス間の間隙から引き出した仮止具が上下および水平方向に動くことがなく、そのため、仮止具に化粧パネルを容易にかつ安全に仮止めできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の天井埋込型室内機の据付図である。
【図2】本発明の天井埋込型室内機の分解斜視図である。
【図3】本発明における仮止具の一具体例を示す正面図および側面図である。
【図4】本発明における仮止具の別の具体例を示す正面図および側面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 吊金具
3 吊ボルト
4 化粧パネル
5 吸込グリル(吸込口)
6a、6b、6c、6d 吹出口
7 熱交換器
8 ファン
9 ドレンパン
9a、9b ドレンパン 仮止具収納・保持・嵌合凹部
10a、10b、10c、10d ドレンパンインサート板金
11 ベルマウス
11a、11b 仮止具嵌合部
12 仮止具
13、14 固定ネジ
15 I字状の突起
16 L字状の突起
17 孔
18 下端曲げ部
19 中央凸部
20 上端水平L字状の曲げ部
21 上端鉛直L字状の曲げ部
22 係合具

Claims (5)

  1. ファンおよび熱交換器と、前記熱交換器のドレン水を受けるドレンパンと、前記ファンへの空気流路であるベルマウスとを室内機本体内に有し、該室内機本体の室内面側に、空気吸込口を有するパネルを取り付ける空気調和機用の天井埋込型室内機であって、前記ドレンパンと前記ベルマウスとの間に形成された室内面側に開口する間隙部に、前記パネルを仮止めする仮止具が引き出し可能に収納され、該間隙部には、前記仮止具の水平および鉛直方向の移動を規制する規制手段を有することを特徴とする天井埋込型室内機。
  2. 前記仮止具は前記間隙部にあらかじめ収納され、前記パネルを前記室内機本体に装着するときに、前記間隙部から前記仮止具を引き出して、該仮止具の係合部に前記パネルを仮止めするものである請求項1に記載の空気調和機用の天井埋込型室内機。
  3. 前記ドレンパンと前記ベルマウスとの間隙部に収納された前記仮止具は、前記ドレンパンと前記ベルマウスとによって水平方向の移動が規制されている請求項1または2に記載の空気調和機用の天井埋込型室内機。
  4. 前記仮止具は前記間隙部に沿った方向に変形可能な弾性力を有し、前記間隙部には、該間隙部に沿った方向の仮止具の変形を係止する係止部が設置されている請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の空気調和機用の天井埋込型室内機。
  5. 前記仮止具は、線材がほぼU字状に折り曲げられ、該U字状の幅方向に変形可能な弾性力を有し、該U字状の厚みは前記間隙部の間隔とほぼ同様であり、該U字状の底部には前記パネルを仮止めする係合部を有する請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の空気調和機用の天井埋込型室内機。
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