JP3828790B2 - 工作機械、工具、工具ホルダおよびこれを用いた加工方法 - Google Patents
工作機械、工具、工具ホルダおよびこれを用いた加工方法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工具、工具ホルダ、工作機械およびこれを用いた加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マシニングセンタは、面削り、穴あけ、中ぐり、タッピング等の様々な加工を複合的に行うことができる複合工作機械である。
マシニングセンタにおけるワークの加工は、たとえば、主軸に装着された回転工具と可動テーブルに固定されたワークとを相対移動させることにより行われる。
たとえば、基板や耐熱用鋼板等のワークへ直径が1mm以下のような小径の穴を加工する場合には、回転する主軸の先端に装着されたドリル等の刃具のワークへの切り込みとワークからの退避を繰り返し行って穴あけすることが知られている。
このように、刃具の切り込みと退避を繰り返すことにより、刃具の発熱による折損を抑制するとともに、加工される穴内から切削屑を効果的に排出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような刃具の切り込みと退避を繰り返し行うためには、主軸を繰り返し往復動作させる必要がある。
一方、穴あけ加工を効率良く行うためには、主軸の往復動作を高速に行う必要がある。主軸の往復動作を高速に繰り返し行うとマシニングセンタにかかる衝撃が大きく、マシニングセンタの性能や寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、上記したような刃具の切り込みと退避を繰り返し行いながら穴あけ加工するための加工プログラムを作成するには、かなりの労力を必要とするという不利益も存在した。
【0004】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、その目的は、マシニングセンタ等の工作機械による加工において、工作機械への負担を軽減させることが可能な工具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、比較的小径の穴あけ加工に用いられるドリル等の加工具の折損を抑制可能な工具および加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の工具は、工作機械の主軸に着脱可能に装着される工具であって、前記主軸に装着される装着部と、ワークを加工する加工具と、前記加工具を回転させる駆動モータと、前記装着部から伝達される回転力を前記加工具の所定の運動に変換する歯車機構とを有し、前記歯車機構は、楕円歯車等の非円形歯車を用いて前記加工具を当該加工具の回転軸方向に所定のストロークで往復運動させる。
【0007】
また、本発明の工具は、前記工作機械の非回転部分に接続され、かつ、前記装着部を回転自在に保持する非回転部と、前記加工具を保持し、かつ、前記非回転部により当該加工具の回転軸方向に移動自在に保持される可動部とをさらに有し、前記歯車機構は、前記装着部と前記可動部との間に設けられている。
【0008】
さらに好適には、前記駆動モータは、前記主軸および前記装着部の内部に形成された管路を通じて供給される圧縮空気により駆動されるエアモータである。
【0009】
本発明の工具ホルダは、ワークを加工する加工具を回転自在に保持し、工作機械本体の主軸に着脱可能に装着される工具ホルダであって、前記主軸に装着される装着部と、前記加工具を回転させる駆動モータと、ワークを加工する加工具を保持し、前記装着部に対して移動可能に設けられた可動部と、前記装着部から伝達される回転力を前記可動部の所定の運動に変換する歯車機構とを有し、前記歯車機構は、楕円歯車等の非円形歯車を用いて前記可動部を当該加工具の回転軸方向に所定のストロークで往復運動させる。
【0010】
本発明の工作機械は、主軸と、前記主軸を駆動する駆動手段と、前記主軸とワークとの相対位置を変更する少なくとも一の制御軸とを備える工作機械本体と、前記駆動手段および制御軸を加工プログラムにしたがって駆動制御する制御装置と、前記工作機械本体の主軸に着脱可能に装着される工具と、を有し、前記工具は、前記主軸に装着される装着部と、ワークを加工する加工具と、前記加工具を回転させる駆動モータと、前記装着部から伝達される回転力を前記加工具の所定の運動に変換する歯車機構とを有し、前記歯車機構は、楕円歯車等の非円形歯車を用いて前記加工具を当該加工具の回転軸方向に所定のストロークで往復運動させる。
【0011】
本発明の加工方法は、工作機械の主軸に着脱可能に装着される装着部と、ワークを加工する加工具と、前記加工具を回転させる駆動モータとを備え、前記装着部から伝達される回転力を前記加工具の回転軸方向の往復運動に変換する歯車機構とを有する工具を工作機械の主軸に装着し、前記主軸および前記駆動モータを駆動させ、回転する前記加工具をワークに対して切り込みながら当該加工具を往復運動させてワークに穴あけ加工する。
【0012】
本発明の加工方法においては、前記主軸の回転数を制御することにより、回転する前記加工具の往復運動の速度を制御する。
【0013】
本発明では、加工具は駆動モータによって回転されるとともに、歯車機構によって所定の運動が与えられる。このため、加工具に当該所定の運動を与えるために主軸を移動させたりワークを保持するテーブルを移動させたりする必要がなく、工作機械の負担が軽減される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用される工作機械の一例としてのマシニングセンタの構成図である。なお、マシニングセンタはいわゆる複合加工の可能な数値制御工作機械である。
【0015】
図1においてマシニングセンタ1は、門型のコラム38の各軸によって両端部を移動可能に支持されたクロスレール37を備えており、このクロスレール37上を移動可能に支持されたサドル44を介してラム45が鉛直方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。
【0016】
サドル44には、水平方向にクロスレール37内を通じて図示しないねじ部が形成されており、これに外周にねじ部が形成された送り軸41が螺合している。
送り軸41の一端部には、サーボモータ19が接続されており、送り軸41はサーボモータ19によって回転駆動される。
【0017】
送り軸41の回転駆動によって、サドル44はY軸方向に移動可能となり、これによってラム45のY軸方向の移動および位置決めが行われる。
さらに、サドル44には、鉛直方向に方向に図示しないねじ部が形成されており、これに外周にねじ部が形成された送り軸42がねじ込まれている。送り軸42の端部には、サーボモータ20が接続されている。
【0018】
サーボモータ20によって送り軸42が回転駆動され、これによりサドル44に移動可能に設けられたラム45のZ軸方向の移動および位置決めが行われる。
ラム45内には、主軸モータ31が内蔵され、この主軸モータ31はラム45に回転自在に保持された主軸46を回転駆動する。
主軸46の先端には、エンドミルなどの工具Tが装着され主軸46の回転によって工具Tが駆動される。
【0019】
ラム45の下方には、テーブル35がX軸方向に移動可能に設けられている。テーブル35には、図示しないねじ部が形成されており、これにX軸方向に沿って設けられた図示しない送り軸が螺合しており、この図示しない送り軸にサーボモータ18が接続されている。
【0020】
テーブル35は、サーボモータ18の回転駆動によってX軸方向の移動および位置決めが行われる。
また、2本の門型コラム38には、図示しないねじ部がそれぞれ形成されており、これに螺合する送り軸32aをクロスレール昇降用モータ32によって回転駆動することによりクロスレール37は昇降する。
【0021】
自動工具交換装置(ATC)39は、主軸46に対して各種工具Tを自動交換する。
この自動工具交換装置39は、たとえば、図示しないマガジンに工具ホルダによって保持された各種工具Tを収納しており、主軸46に装着された工具Tを図示しない工具交換アームによってマガジンに収納し、必要な工具Tを主軸46に工具交換アームによって装着する。
【0022】
数値制御(NC)装置51は、上記のサーボモータ18,19,20、クロスレール昇降用モータ32および主軸モータ31の駆動制御を行う。
NC装置51は、具体的には、予め加工プログラムで規定されたワークの加工手順にしたがって、サーボモータ18,19,20による工具Tとワークとの間の位置および速度制御を行う。また、NC装置51は、加工プログラムにおいて、たとえば、Sコードで規定された主軸モータ31の回転数を解読することにより主軸46の回転数の制御を行う。
【0023】
さらに、NC装置51は、加工プログラムにおいて、たとえば、Mコードで規定された工具Tの交換の動作を解読することにより、各種工具Tの自動交換を実行する。
【0024】
エア源300は、主軸46の内部に形成された圧縮空気を供給するための管路に接続されており、主軸46内の管路を通じて後述する工具に内蔵されているエアモータに圧縮空気を供給する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る工具の構成を示す正面図である。図2に示されている工具60は、刃具100と、この刃具100を保持する工具ホルダ61とから構成される。
刃具100は、本発明の加工具の一実施態様である。刃具100は、たとえばドリルである。
なお、刃具以外の加工具としては、たとえば研削砥石などが挙げられる。
工具60は、刃具100を用いた場合には、たとえば穴あけ加工に使用され、研削砥石を用いた場合には、たとえばワークの研摩に使用される。
【0026】
工具ホルダ61は、装着部材62と、非回転部材66と、保持部材70を備えている。
非回転部材66は、図2に示すように、装着部材62の刃具100側の一部と、保持部材70の主軸46側の一部を覆っている。
図3は、図2に示す工具60から非回転部材66を取り外したところを示す正面図である。また、図4は、図2に示す工具60のA−A線方向の断面図である。
【0027】
装着部材62は、図2に示すように、把持される把持部62aと、上記の主軸46の先端部に形成されたテーパスリーブ46aに装着されるテーパシャンク62bと、このテーパシャンク62bの先端部に形成されたプルスタッド62cとを備えている。
【0028】
また、装着部材62の刃具100側の端部には、図3に示すように、後述する第1の冠歯車140が装着されている。
装着部材62と第1冠歯車140が、本発明における装着部の一実施態様をなしている。
【0029】
装着部材62の把持部62aは、上記した自動工具交換装置39の工具交換アームによって、自動工具交換装置39のマガジンから主軸46に装着される際および主軸46から自動工具交換装置39のマガジンへ搬送される際に把持される。
装着部材62のテーパシャンク62bは、主軸46のテーパスリーブ46aに装着されることによって、中心軸が主軸46の中心軸と同心になる。
装着部材62のプルスタッド62cは、装着部材62が主軸46のテーパスリーブ46aに装着されると、主軸46に内蔵された図示しないクランプ機構のコレットによってクランプされる。なお、主軸46に内蔵されたクランプ機構は周知技術であるので詳細については省略する。
【0030】
また、装着部材62には、図4に示すように、中心部に管路62dが形成されている。この管路62dに連通するように管路62dの内径よりも拡径された接続孔62eが形成されている。
管路62dには、上記した主軸46の内部に形成された管路46bを通じてエア源300から供給される圧縮空気CAが供給される。
さらに、装着部材62は、中空円筒状の非回転部材66の内周面に軸受67を介して回転自在に保持されている。
【0031】
第1冠歯車140は基準ピッチ円すい角が90°のかさ歯車であり、そのピッチ面は平面である。
第1冠歯車140は、歯が形成されている端部を刃具100側にして、装着部材62に固定されている。
また、第1冠歯車140の回転軸部分には、上記の接続孔62eと連通する空孔が形成されている。
【0032】
非回転部材66は円筒状の部材からなり、内部に収容孔66gを備えている。また、図2に示すように、部材の主軸46側の側面に当該主軸46側に向かって突出するように固定された回り止めピン69を備えている。
この回り止めピン69は、装着部材62が主軸46のテーパスリーブ46aに装着されることにより、主軸46側の、たとえば、ラム45等の非回転部分47に形成された嵌合穴47aに挿入される。この回り止めピン69が嵌合穴47aに挿入されることにより、非回転部材66は主軸46の回転に関わらず回転が規制される。
【0033】
保持部材70も円筒状の部材からなり、内部に収容孔70aを備えている。この収容孔70aに、エアモータ80が挿入されている。エアモータ80は、保持部材70に固定されている。
保持部材70の外周には、バネ受け部材200が内周面を保持部材70の外周面に嵌合して固定されている。このバネ受け部材200に、第2の冠歯車180がさらに嵌合している。この保持部材70、第2冠歯車180、およびバネ受け部材200が、本発明における可動部の一実施態様をなしている。
【0034】
第2冠歯車180は、第1冠歯車140と同様の基準ピッチ円すい角が90°のかさ歯車である。
第2冠歯車180のピッチ面も、第1冠歯車140の場合と同じく平面である。
第2冠歯車180は、歯が形成されている端部を主軸46側にして、反対側の端部をバネ受け部材200に固着させて、バネ受け部材200と一体化している。
【0035】
第2冠歯車180とバネ受け部材200は、非回転部材66の収容孔66gに収容される。
バネ受け部材200は、収容孔66gに収容された時に、当該バネ受け部材200と非回転部材66のフランジ66bとの間に配置されるコイルスプリング160の付勢力を受け止める。
【0036】
バネ受け部材200の外周面には、少なくとも一のキー溝200aが軸方向に沿って形成されている。また、非回転部材66の収容孔66gの内周面には、すべり摩擦を低減するための玉を備えたキー66aが、軸方向に沿って固定されている。
このキー66aがキー溝200aに嵌合すると、保持部材70は、キー66aに備えられた玉により点接触状態で非回転部材66に保持される。これにより、保持部材70は、装着部材62に対して図2におよび図4に示す回転軸方向A1およびA2に移動自在となり、かつ、非回転部材66に対して回転が規制される。したがって、装着部材62が回転しても、保持部材70は非回転部材66に嵌合したままであり、回転することはない。
【0037】
保持部材70の刃具100側の端部には、収容孔70aと連通するように支持孔70bが形成されている。この支持孔70bは、保持部材70の刃具100側端部で開口している。支持孔70bの内周には、軸受92を介してエアモータ80の駆動軸81が回転自在に支持されている。
【0038】
エアモータ80は、主軸46側に接続管82を備え、この接続管82は、第1冠歯車140の空孔を貫通して装着部材62の接続孔62eに嵌合しており、接続管82が接続孔62e内を軸方向に移動可能となっている。また、接続管82と接続孔62eとの間には、OリングORが設けられており、このOリングORは接続管82と接続孔62eとの間をシールしている。
エアモータ80は、管路62dを通じて供給される圧縮空気CAの圧力に応じた回転数で駆動軸81を駆動する。
駆動軸81の先端には、チャッキング部材95が設けられており、このチャッキング部材95にドリル等の刃具100が着脱される。
【0039】
図3に示すような楕円歯車150が、環状のキャリア170の外周面に所定枚数、回転軸151によって回転自在に支持されている。
キャリア170は、非回転部材66の収容孔66g内において、保持部材70の主軸46側先端部で、主軸46の回転軸まわりに回転自在、かつ、回転軸方向A3およびA4の向きに移動自在に設置されている。
楕円歯車150は、図3および図4に示すように、非回転部材66の内周面とキャリア170の外周面との間に配置され、第1冠歯車140と第2冠歯車180に噛合する。
【0040】
前述のように、バネ受け部材200と非回転部材66のフランジ66bとの間には、コイルスプリング160が配置されており、バネ受け部材200と非回転部材66を互いに離隔する方向に付勢力が作用している。
コイルスプリング160の付勢力により、バネ受け部材200と一体化された保持部材70および第2冠歯車180は主軸46方向に押し付けられる。これにより楕円歯車150を第1冠歯車140と第2冠歯車180で挟み込んだ歯車機構が構成され、装着部材62が回転することにより保持部材70が往復運動する。
非回転部材66は、ワーク加工時に発生する切り粉等の異物がこのギヤ機構部に侵入することを防ぐカバーの機能も果たしている。
楕円歯車150の形状や第1冠歯車140および第2冠歯車180の歯数等は実施例に応じて適宜定めればよいが、本実施形態では、装着部材62の一回転毎に保持部材70が回転軸方向A1およびA2に2往復するようになっている。
【0041】
次に、上記構成の工具60の動作の一例について説明する。
まず、図2に示したように、主軸46に工具60を装着し、エア源300から所望の圧力に調整された圧縮空気CAを主軸46内の管路46bに供給する。管路46bを通じて、工具60内のエアモータ80には圧縮空気CAが供給され、駆動軸81が回転する。これによって、刃具100は、図2に示す矢印R2の向きに、たとえば、数万min-1で回転する。
【0042】
一方、図2および図3に示したように、主軸46を矢印R1の向きに回転させる。主軸46の回転は、第1冠歯車140を介して楕円歯車150の回転に変換される。
楕円歯車150は、バネ受け部材200を楕円歯車150に押し付けるコイルスプリング160の付勢力により、第1冠歯車140および第2冠歯車180と噛合したまま、回転軸151まわりに回転しつつ、キャリア170の回転軸を中心にした円周方向の遊星運動も行う。
その際に、楕円歯車150は、その長軸と短軸の長さの違いにより、図4に示す回転軸方向A3およびA4の向きにも往復運動する。それゆえ、楕円歯車と噛合している第2冠歯車180とともに、保持部材70および刃具100も回転軸方向A1およびA2の向きに往復運動する。
ただし、保持部材70は非回転部材66に対して回転が規制されているので、回転軸方向にのみ往復運動する。
【0043】
たとえば、図3に示した状態において、楕円歯車150と第2冠歯車180との関係が、保持部材70を装着部材62に対して最下点に位置させる関係にあるとする。
図5は、楕円歯車150と第2冠歯車180との関係が、保持部材70を装着部材62に対して最上点に位置させる関係に変化した状態を示す図であり、図6は図5に示す状態におけるB−B線方向の断面図である。
また、図7は、保持部材70の最下点から最上点への位置の変化の際の楕円歯車150、第1冠歯車150および第2冠歯車180の動作をさらに詳細に説明するための図である。
【0044】
図5に示すように、刃具100が最下点からストロークST1だけ上昇すると、工具60の内部では、図6に示すように保持部材70およびエアモータ80も装着部材62に向かって移動する。
このとき、楕円歯車150は、第1冠歯車140の矢印R1への回転により、図7(a)に示されている位置から図7(b)に示されている位置へ移動している。
その際、第1冠歯車140は回転軸方向へは移動せず、一方、第2冠歯車180は回転軸方向へは移動自在であるが、回転軸まわりには回転しない。また、コイルスプリング160の付勢力SPにより、楕円歯車150と第1冠歯車140および第2冠歯車180との噛合は常に保たれる。
さらに、前述のように、楕円歯車150を支持しているキャリア170は、回転軸方向に移動自在である。
したがって、第1冠歯車140の矢印R1への回転にともなって、楕円歯車150は、回転軸151まわりに回転しつつ第2冠歯車180の円周方向への遊星運動を行なって、図7(a)の位置から図7(b)の位置へ移動する。
また、第1冠歯車140の回転軸方向へも、ストロークST2分だけ移動する。
【0045】
主軸46が連続的に回転すると、刃具100はストロークST1の往復運動を繰り返す。
楕円歯車150、第1冠歯車140、第2冠歯車180の形状や歯数等は、ストロークST1の往復運動が主軸46の1回転あたり2回発生するように形成されているため、たとえば、主軸46の回転数が1000min-1である場合には、刃具100は1分間あたり2000往復する。
【0046】
次に、上記構成の工具60を使用した穴あけ加工の一例について説明する。
工具60に使用する刃具100に、たとえば、直径0.1mmのドリルを使用し、工具60における刃具100が往復するストロークST1を1mmとし、ワークとして板厚10mmの耐熱用鋼板に貫通孔を加工する場合を例に挙げて説明する。
まず、テーブル上にワークを固定し、さらに、工具60を自動工具交換装置39によって、マシニングセンタ1の主軸46に装着する。
次いで、圧縮空気CAを工具60に供給して、刃具100を、たとえば、40000min-1で回転させる。
【0047】
次いで、回転する刃具100をワークWの上方の所定の位置に位置決めしたのち、主軸46を所定の回転数、たとえば、500min-1で回転させる。これにより、主軸46の回転数に応じた速度で刃具100が1分間当たり1000回の往復運動を開始する。
【0048】
次いで、主軸46をZ軸方向に所定の速度、たとえば、200mm/minの速度で下降させる。
これにより、刃具100は、1mmのストロークST1で往復運動を繰り返しながら、徐々にZ軸方向に下降し、ワークに切り込む。
ワークに切り込んだ刃具100は、繰り返し往復運動を行うため、切削屑は加工された穴から効率良く排出される。
また、切り込み動作と退避動作が繰り返されるため、刃具100の発熱による折損を抑制することができる。
【0049】
本実施形態では、刃具100をワークに対して切り込んでいく際に、たとえば、図8に示すように、ワークWの板厚Hの方向を3つの領域に分けて、各領域毎に刃具100の往復速度をコントロールしながら穴あけ加工を行う。
【0050】
具体的には、図8(a)に示すワークWの表面付近の加工領域(1)と、図8(b)に示すワークWの内部である加工領域(2)と、図8(c)に示すワークWの裏面付近の加工領域(3)に分ける。
加工領域(1)の深さは、板厚Hが10mmの場合、たとえば、1mm程度とする。加工領域(2)の深さは、たとえば、8mm程度とし、残りを加工領域(3)とする。
【0051】
加工領域(1)は、刃具100がワークWに食いつきを開始する領域であり、加工領域(3)は刃具100がワークWを貫通する領域であり、これらの領域はドリルが折損しやすい領域である。
【0052】
たとえば、加工領域(1)においては、主軸46の回転数を500min-1にし、加工領域(1)の加工が完了したのち、主軸46の回転数を1000min-1に上昇させて加工領域(2)の加工を行い、加工領域(2)の加工が完了したのち、再び主軸46の回転数を500min-1に減速して加工領域(3)の加工を行う。
このように、加工領域(1)および(3)においては、刃具100の往復速度を比較的小さな値にし、加工領域(2)においては加工領域(1)および(3)よりも大きな値になるようにコントロールすることにより、刃具100の折損を抑制することができるとともに、効率のよい穴あけ加工を行うことが可能となる。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、工具60を用いて穴あけ加工を行う際に、刃具100を工具60に内蔵したエアモータ80で回転させるとともに、主軸46の回転を利用して刃具100を回転軸方向に往復運動させながら主軸46をワークに対して所定の送り速度で下降させて穴あけ加工を行う。
たとえば、刃具100の下降および往復動作の双方を主軸46の移動のみで行なった場合には、マシニングセンタ1に大きな負担がかかるが、本実施形態では、往復動作を主軸46の回転を利用して楕円歯車150によって行わせるため、マシニングセンタ1の負担を大幅に軽減することができる。また、楕円歯車を用いた歯車機構を利用しているため、歯車回転時に適度な衝撃と高周波振動が発生する。これにより、切削屑が寸断されやすいという利点が生じる。また、楕円歯車150、第1冠歯車140および第2冠歯車180を摩耗に強い材料で形成することで、工具60の寿命も長くなる。
さらに、エアモータ80を使用して主軸46を通じて圧縮空気を供給する構成とすることにより、電源供給のための配線等が不要となるため、工具60の自動工具交換装置39による交換が可能となる。
【0054】
本発明は上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、エアモータ80により刃具100を回転させる構成としたが、たとえば、工具60内に発電機および電動モータを内蔵させて刃具100を回転させる構成とすることも可能である。
この場合には、主軸の回転力をギヤ機構および発電機の双方に伝達する構成とし、発電機の発生する電力によって電動モータを回転させ、この電動モータの回転によって刃具100を回転させる構成とすればよい。
また、上述した実施形態では、加工具としてドリル等の刃具100の場合について説明したが、たとえば、研削砥石等の他の加工具にも本発明は適用可能である。
さらに、上述した実施形態では、歯車機構によって刃具100を往復運動させる場合について説明したが、往復運動に限らず、たとえば、旋回運動等の他の運動を行わせることも可能である。
また、上述した一実施形態である工具60においては、刃具100の運動を楕円歯車150によって生成したが、楕円歯車に限らず他の非円形歯車を用いて主軸46の回転を利用して所定の運動をさせることも可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、マシニングセンタ等の工作機械による加工において、工作機械への負担を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される工作機械の一例としてのマシニングセンタの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る工具の構成を示す正面図である。
【図3】図2に示す工具から非回転部材66を取り外したところを示す正面図である。
【図4】図2に示す工具のA−A線方向の断面図である。
【図5】主軸を回転させたときの工具の動作を説明するための正面図である。
【図6】図5に示す工具のB−B線方向の断面図である。
【図7】主軸を回転させたときの歯車機構の動作を説明するための正面図である。
【図8】穴あけ加工の手順を説明するための図である。
【符号の説明】
1…マシニングセンタ
31…主軸モータ
39…自動工具交換装置
46…主軸
51…NC装置
60…工具
61…工具ホルダ
62…装着部材
66…非回転部材
67…軸受
69…回り止めピン
70…保持部材
80…エアモータ
95…チャッキング部材
100…刃具
140…第1冠歯車
150…楕円歯車
160…コイルスプリング
170…キャリア
180…第2冠歯車
200…バネ受け部材
300…エア源
Claims (8)
- 工作機械の主軸に着脱可能に装着される工具であって、
前記主軸に装着される装着部と、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を回転させる駆動モータと、
前記装着部から伝達される回転力を前記加工具の所定の運動に変換する歯車機構と
を有し、
前記歯車機構は、非円形歯車を用いて前記加工具を当該加工具の回転軸方向に所定のストロークで往復運動させる
工具。 - 前記非円形歯車は楕円歯車である
請求項1に記載の工具。 - 前記工作機械の非回転部分に接続され、かつ、前記装着部を回転自在に保持する非回転部と、
前記加工具を保持し、かつ、前記非回転部により当該加工具の回転軸方向に移動自在に保持される可動部とをさらに有し、
前記歯車機構は、前記装着部と前記可動部との間に設けられている
請求項1又は2に記載の工具。 - 前記駆動モータは、前記主軸および前記装着部の内部に形成された管路を通じて供給される圧縮空気により駆動されるエアモータである
請求項1〜3のいずれか1項に記載の工具。 - ワークを加工する加工具を回転自在に保持し、工作機械本体の主軸に着脱可能に装着される工具ホルダであって、
前記主軸に装着される装着部と、
前記加工具を回転させる駆動モータと、
ワークを加工する加工具を保持し、前記装着部に対して移動可能に設けられた可動部と、
前記装着部から伝達される回転力を前記可動部の所定の運動に変換する歯車機構と
を有し、
前記歯車機構は、非円形歯車を用いて前記可動部を当該加工具の回転軸方向に所定のストロークで往復運動させる
工具ホルダ。 - 主軸と、前記主軸を駆動する駆動手段と、前記主軸とワークとの相対位置を変更する少なくとも一の制御軸とを備える工作機械本体と、
前記駆動手段および制御軸を加工プログラムにしたがって駆動制御する制御装置と、
前記工作機械の主軸に着脱可能に装着される工具と、を有する工作機械であって、
前記工具は、前記主軸に装着される装着部と、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を回転させる駆動モータと、
前記装着部から伝達される回転力を前記加工具の所定の運動に変換する歯車機構と
を有し、
前記歯車機構は、非円形歯車を用いて前記加工具を当該加工具の回転軸方向に所定のストロークで往復運動させる
工作機械。 - 工作機械の主軸に着脱可能に装着される装着部と、ワークを加工する加工具と、前記加工具を回転させる駆動モータと、を備え、前記装着部から伝達される回転力を前記加工具の回転軸方向の往復運動に変換する歯車機構とを有する工具を工作機械の主軸に装着し、
前記主軸および前記駆動モータを駆動させ、
回転する前記加工具をワークに対して切り込みながら当該加工具を往復運動させてワークに穴あけ加工する
加工方法。 - 前記主軸の回転数を制御することにより、回転する前記加工具の往復運動の速度を制御する
請求項7に記載の加工方法。
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