JP3828159B2 - 患者の気管内の呼吸プローブを交換するための装置 - Google Patents

Description

本発明は、患者の気管内にすでに設置され、たとえば使い古された第一呼吸プローブを、前記患者の外部にあるたとえば新品の第二呼吸プローブに交換するための装置に関するものである。
補助呼吸を必要とする患者は、たとえば人工呼吸器に連結された適切な気体源に接続されることが知られている。
患者は気管内にプローブを備え、そのプローブは少なくとも一本の供給管を介して前記呼吸気源に接続される。
さらに、衛生面または技術的理由から、このようなプローブは、たとえばその特定の構成部品（位置固定用バルーン）の劣化が原因で、あるいはまた、すでに設置されているプローブをタイプの異なるプローブに代えるために、時々交換しなければならないことが知られている。一般に、多くの場合、気管の表面が膨れており、気管の直径が狭められることから、交換用プローブの設置は、複雑かつ面倒な作業である。
さらに、プローブの交換プロセスは、比較的長時間に渡って補助呼吸の中断を必要とし、このため患者の健康を損なう恐れがある。
本発明の目的は、これらの不都合を解消することである。
この目的のため、本発明によれば、患者の気管内にすでに設置された第一呼吸プローブを患者の外部にある第二呼吸プローブに交換するための装置で、前記第一プローブが少なくとも一本の供給用主管によって補助呼吸気を供給されるものは、以下の点により区別される：
−伸長および柔軟性管状であり、少なくとも一つの遠位孔と少なくとも一つの近位孔を有する。
−前記装置上をスライドすることができる前記第一および第二プローブの中に挿入することができる。
−近位孔を介して、供給用主管より高い圧力で呼吸気を供給するための補助管に接続することができる。
さらに、好都合なことに、前記呼吸プローブは、前記供給用補助管上をスライドすることができる。
このため、本発明によれば、患者の気管内にすでに設置され、それに接続された少なくとも一本の供給用主管によって補助呼吸気を供給される第一呼吸プローブを患者の外部にある第二呼吸プローブに交換する方法は、以下の工程から構成されることができる：
ａ）前記第一呼吸プローブから前記供給用主管を取外し、前記第一呼吸プローブの中に、少なくとも一つの遠位孔と少なくとも一つの近位孔を有する前記伸長および柔軟性管状装置を挿入し、
ｂ）前記伸長および柔軟性管状装置を、その近位孔を介して前記供給用主管より高い圧力で呼吸気を供給するための前記補助管に接続し、
ｃ）前記第一プローブを、気管内に固定されている前記および柔軟性管状装置に沿って、また適切であれば、前記供給用補助管に沿ってスライドさせることによって、前記気管から引出し、
ｄ）前記伸長および柔軟性管状装置から前記供給用補助管を取外し、前記第一プローブを除去し、
ｅ）前記供給用補助管上、適切であれば、前記伸長および柔軟性管状装置の上に前記第二プローブを通し、前記伸長および柔軟性管状装置をその近位孔介して前記供給用補助管に接続し、
ｆ）気管内に正確に設置されるまで、前記第二プローブを前記伸長および柔軟性管状装置上でスライドさせる。
したがって、本発明を用いて、供給管の取外し作業が毎回短時間で行えるので、補助呼吸の中断を最小限に抑えることができる。さらに、前記伸長および柔軟性管状装置は、第一呼吸プローブの引出しと第二プローブの設置のためのガイドとして機能し、その結果、プローブの交換が容易になるとともに、そのための作業プロセスを短縮することができる。
さらに、前記伸長および柔軟性管状装置は、それ以前に前記第一プローブを設置する際にもガイドとして機能できる。同様に、工程ｆ）後に、患者に補助呼吸気を分配するために前記第二プローブの中に置いたままにできる点に留意する。
しかしながら、上述のプロセスの有利な実施形態によれば、上記の工程ｆ）後に、以下のような連続した二つの追加工程が実施される：
ｇ）前記伸長および柔軟性管状装置から前記供給用補助管を取外し、前記第二プローブから前記伸長および柔軟性管状装置を引出し、
ｈ）前記供給用主管を前記第二プローブに接続する。
本発明による装置は、
−前記供給用補助管に接続できる近位孔および前記呼吸気を分配するための遠位孔を有する中央管状芯と、
−隙間とともに前記管状芯を取り囲み、前記中央管状芯と連動する管状被覆とを含むことができる。
前記管状被覆は、その遠位端において、前記管状芯の遠位端から突出していることが望ましい。
このため、前記中央管状芯は、前記管状芯の遠位孔が、たとえば粘液によって詰まることがないように前記管状被覆によって保護される。同じような理由から、第一の実施形態において、前記管状被覆は、その側壁の中に孔を備え、適切であれば、その遠位端において一つまたは複数の孔を設けた閉塞壁面によって閉鎖される。
好都合にも、前記装置は、前記患者の気管内に設置されるときに前記管状被覆が患者の口から外側に出るような長さを有し、前記患者の外側に出ている前記被覆の部分にもまた孔が設けられる。
このため、補助呼吸気を患者の外側にある被覆の孔を介して排出することができるので、患者の気管内に過圧が発生する恐れがなくなる。
本発明による装置の第二の実施形態において、管状被覆はその遠位端において開放され、中央芯と被覆との間の前記隙間は、たとえば水源のような加圧流体源に接続される。このため、気管を湿らせ補助呼吸気の作用による乾燥を防ぐことができる。もちろん、このようにして、他の何らかの流体（たとえば薬剤）を前記隙間を通して運ぶこともできる。さらに、前記被覆と前記芯との間に、さらに場合によっては、前記芯の壁の厚さの層の中に、流体の補助管を備えることもできる。
さらに、好ましいことに、装置の湾曲部分において芯および被覆が押しつぶされる（したがって補助呼吸が中断される）のを防ぐために、また、前記装置を気管の壁面に対してセンタリングするために、その実施形態にかかわらず、前記装置は、前記管状被覆を取り囲む外部コイルばねを備える。このようなばねは、形状記憶材料（たとえばニチノール）でつくることができ、気管内を支配する温度条件が課せられた場合にだけ螺旋形となることができる。
本発明による装置の第三の実施形態によれば、前記中央芯および前記管状被覆は螺旋形を有する。
さらに他の実施形態においては、本発明による装置は、複数の縦方向流路を備えたたとえば合成材料でできた伸長型本体を有し、前記流路の一つは、その近位端において呼吸気供給用補助管に接続できる。前記縦方向流路の他には、前記装置にたとえば螺旋形の形状を与えることができるように、変形可能なワイヤを挿入することができる。
添付の図面によって、本発明の実施方法が明らかになるだろう。これらの図面において、同じ参照番号は同類の要素を示している。
第１図は、補助呼吸を行う患者を示す概略図である。
第２ａ図ないし第２ｉ図は、本発明による装置を用いた補助呼吸プローブの交換プロセスを示している。
第３図は、本発明による装置の第一の実施形態の軸方向の縦断面図を示している。
第４図は、第３図の線IV−IVに沿った横断面図である。
第５図は、本発明の第一の実施形態に合致した装置の別形を示す、第４図に類似の横断面図である。
第６図および第７図は、本発明による装置の他の二つの実施形態を示す概略的縦断面図である。
第８図および第９図は、第７図の二つの変形実施形態を示している。
第１０図は、本発明による装置の他の実施形態を示す横断面図である。
第１図では、気管２内に第一の管状呼吸プローブ３が設置された患者１が示されているが、前記プローブの近位端４が、前記患者の口の外に出ている。第１図では、プローブは、単純な管の形状で、きわめて概略的に示されており、気管２内のプローブ３の（バルーンのような）固定手段はここには示されていない。
プローブ３の近位端４は、供給管５Ａを介して、人工呼吸器６Ａに接続される。このように、人工呼吸器６Ａは、患者１の肺に適切な圧力で呼吸気のサイクル（矢印７参照）を送ることができる。
第１図ないし第２ｉ図に見られるように、人工呼吸器６Ａは、二重の気体源６を形成するために、補助呼吸気源６Bに連結される。補助源６Ｂは、供給用補助管５Ｂを介して、主管５Ａによって供給される気体の圧力より大きい圧力で呼吸気を送る。
プローブを交換するときは、前記第一呼吸プローブ３から供給用主管５Ａを取外すことから始め、この第一プローブの中に、本発明に合致し、遠位端９に少なくとも一つの孔を有し、また近位端１０に少なくとも一つの孔を有する伸長および柔軟性管状装置８が挿入される（第２ａ図）。次に、患者の補助呼吸の中断が短時間に、プローブ３の中に柔軟性管状エレメントを挿入するのにちょうど十分な時間だけ行われるように、補助管５Ｂが、前記管状装置８の近位端の孔に接続される（第２ｂ図参照）。気体源６Ｂの圧力が呼吸器６Ａの圧力より大きいことによって、管状装置８の直径が最も小さいにもかかわらず、補助呼吸が十分に行われる。
次に（第２ｃ図参照）、第一プローブ３は、前記管状装置８および前記供給用補助管５Ｂに沿ってスライドさせることによって、患者の気管２から引き出される。
それから、柔軟性管状装置８の近位端１０から補助管５Ｂを切り離し、前記プローブ３を除去することができる（第２ｄ図参照）。このプローブ３を、前記補助管５Ｂの上を通した第二プローブ１１に交換することができる（第２ｅ図）。続いて、柔軟性管状装置８の近位端１０を補助管５Ｂに再接続し、前記柔軟性管状装置８を設置用ガイドとして利用しながら、この新しい呼吸プローブ１１を患者１の気管２内にスライドさせる（第２ｆ図）。
ここでもまた、補助呼吸の中断は、非常に短時間で、供給用補助管５Ｂにおいて第一プローブ３を第二プローブ１１に交換するのに十分な時間だけ行われる。
さらに（第２ｇ図参照）、第二呼吸プローブ１１は、第一プローブ２の位置になるまでガイド８上を押される。
場合によっては、次に、補助管５Ｂから柔軟性管状装置８が取り外され（第２ｈ図）、前記柔軟性管状装置８が引き出され、供給用主管５Ａが前記第二プローブ１１の近位端１２に接続される（第２ｉ図）。
第３図および第４図には、伸長および柔軟性管状装置８の第一の実施形態が示されている。これらの図面に見られるように、装置８は、呼吸気体を供給する補助管５Ｂに接続するための近位孔１０と、供給用補助管５Ｂによって導入された補助呼吸気を分配するための遠位孔１５とを備えた中心管状芯１４を有する。
中央芯１４は、その側壁内に孔１７を備えた管状芯１６によって取り囲まれる。また中央芯１４と管状被覆１６との間に、環状断面を有する空間１８が設けられる。
管状被覆１６は、その遠位端がそれ自体に孔１７が設けられた壁面１９で塞がれる。
図面に見られるように、中央管状芯１４の遠位端１５は、遠位孔１５と壁面１９との間に空洞２０が備えられるように、管状被覆１６の先端壁面１９よりも後方に引っ込んでいる。
さらに、装置８は、管状エレメント８がプローブ３および１１の中に置かれた時に、被覆１６の近位端に位置する孔１７が、患者の口の外側に来るような長さを有する。
このため、管５によって導入された気体は、管状芯１４を通して空洞２０内にまで運ばれ、さらにそこから環状空間１８に、また孔１７を通して患者の肺に向かって運ばれる。
第３図および第４図ではとりわけ単純な実施例を示したが、もちろん、薬剤の注入や圧力の測定等々のために内部流路をさらに付け加えることによって、管状装置８を補足することも可能である。
第５図は、変形実施形態が示されるが、この変形形態においては、被覆１６は二つの壁面１６ａおよび１６ｂを備え、それらの壁面は、その間に薬剤の注入もしくは圧力の測定、あるいはまた他の何らかの用途のための流路２１を設けるために、孔１７の付近においてだけ互いに連動している。
柔軟性管状装置８は、合成材料でできていることが望ましい。
第６図によって示される伸長および柔軟性管状装置８の第二の実施形態において、被覆１６は、孔２２によってその遠位端において開放され、その側壁にはいかなる孔１７も設けられていない。
環状断面を有する空間１８は、その近位端において、継手２４を介してたとえば水のような加圧された流体源２３に接続される。
このようにして、装置８の出口には、芯１４を通る補助呼吸気の流れによって引き起こされる霧状の水雲２５が現れる。
さらに、装置８によってつくりだされる湾曲部で、芯１４および被覆１６が押しつぶされるのを防ぐために、後者は、少なくとも被覆１６の近位端に連動しており、被覆１６を取り囲むコイルばね２６を備えている。コイル２６のワイヤの直径は、たとえばおよそ３００ないし６００μｍである。コイルばね２６は、たとえば、ニチノールの商品名で知られている材質のような形状記憶材料でつくられる。
第７図に示された第三の実施形態によると、芯１４と被覆１６は各々螺旋を形成し、芯１４の螺旋が被覆１６の螺旋の中に収納される。このようにして、特別なコイルばね２６を備える必要なく、押しつぶされないように保護することができる。第８図に示されているように、装置８の遠位端は、あらゆる任意の方向を有することもできる点に留意する。この第８図において、前記遠位端は近位端に向かって湾曲している。
さらに、第９図の変形実施形態においては、被覆１６の遠位端の孔２２は、壁面２７によって閉鎖され、その一方で、前記被覆１６の壁面は、その長さ全体にわたって分散し、たとえば、螺旋１４および１６の軸に向かって方向付けられた孔１７を備える。このため、装置８に沿って呼吸気体の注入を分散させることができる。
第１０図は、装置８の伸長型本体２８のための他の実施形態を示す横断面図である。この本体２８は、複数の縦方向流路２９ないし３３を備え、その流路のうちの二つは上記の芯１４および環状空間１８として機能できる。他の縦方向流路は、薬剤の注入、圧力の測定等に利用することができる。最後の縦方向流路３３には、前記本体２８を（たとえば螺旋形に）形作ることができる、たとえば金属製の変形可能なワイヤ３４が通される。

Claims (15)

1. 患者（１）の気管（２）内にすでに設置され且つ少なくとも一本の供給用主管（５Ａ）によって補助呼吸気を供給される第一プローブ（３）を患者（１）の外部にある第二呼吸プローブ（１１）と交換するための装置であって、
   供給用主管（５Ａ）の圧力より高い圧力で呼吸気を供給するための補助管（５Ｂ）と、
   伸長および柔軟性があり、少なくとも一つの遠位孔（１５）と少なくとも一つの近位孔（１０）を有する管状装置（８）と
   を含み、
   前記管状装置（８）は、前記管状装置（８）上をスライドすることができる前記第一および第二呼吸プローブ（３および１１）の中に挿入され、
   近位孔（１０）が補助管（５Ｂ）に接続され、
   遠位孔（１５）が補助管（５Ｂ）から供給される呼吸気を分配する
   ことを特徴とする交換装置。
2. 前記呼吸プローブ（３および１１）が前記供給用補助管（５Ｂ）上をスライドできることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 前記供給用補助管（５Ｂ）に接続できる近位孔（１０）と前記呼吸気を分配するための遠位孔（１５）とを有する中央管状芯（１４）と、
   隙間（１８）と共に前記管状芯（１４）を取り囲み、前記管状芯（１４）に連動する管状被覆（１６）と
   を備えていることを特徴とする請求項１または２に記載の装置。
4. 前記被覆（１６）が、その遠先端において、前記管状芯（１４）の遠位端（１５）から突出していることを特徴とする請求項３に記載の装置。
5. 前記管状被覆（１６）が、その壁面に孔（１７）を備え、その遠位端が閉塞壁面（１９または２７）によって閉鎖されていることを特徴とする請求項３または４に記載の装置。
6. 前記閉塞壁面（１９）に一つ以上の孔（１７）が備えられていることを特徴とする請求項５に記載の装置。
7. 前記患者（１）の気管内に設置されたときに、前記管状被覆（１６）が患者の口から出るような長さを有し、前記患者の外側に出る前記被覆の部分もまた、孔（１７）を備えていることを特徴とする請求項５または６に記載の装置。
8. 前記管状被覆（１６）が、その遠位端において開放され、前記隙間（１８）が流体源（２３）に接続されていることを特徴とする請求項３または４に記載の装置。
9. 前記管状被覆（１６）を取り囲むコイルばね（２６）を備えていることを特徴とする請求項３〜８のいずれか一項に記載の装置。
10. 前記ばねが、形状記憶材料でできており、気管内を支配する温度条件を課せられた場合に螺旋形をとることを特徴とする請求項９に記載の装置。
11. 前記中央芯（１４）および前記管状被覆（１６）は螺旋形を有することを特徴とする請求項８に記載の装置。
12. 遠位端は湾曲していることを特徴とする請求項１〜１１のいずれか一項に記載の装置。
13. 複数の縦方向流路（２９ないし３３）を備え、そのうちの一つは呼吸気の供給用補助管（５Ｂ）に接続できることを特徴とする請求項１または２に記載の装置。
14. 前記縦方向流路の一つが流体源（２３）に接続されることを特徴とする請求項１３に記載の装置。
15. 変形可能なワイヤは、前記装置にその形状を与えられることができるように、前記縦方向流路のいずれか一つの中に挿入されることを特徴とする請求項１３または１４に記載の装置。

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