JP3828012B2 - 虫歯リスク評価装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、被検者の口内から採取した僅かな量の唾液またはう蝕原因物質を含むその他のサンプルを用いて虫歯のリスクを評価するための虫歯リスク評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、口内が虫歯にかかりやすい状態であるかどうかを判断するために、唾液やう蝕原因物質を含むその他のサンプルのpH,ORP,カルシウムイオンなどの溶液物性パラメータおよび溶液物性値を測定することが行われている。例えば、pHでは唾液やう蝕原因物質を含むその他のサンプルが酸性であるとき、虫歯が増加する傾向にあるので、歯科医は患者の口内の状態を測定することにより、虫歯にかかやすい状態にある患者に対してこれを矯正することが勧められている。ところが、唾液またはう蝕原因物質などの被検者の口内から採取したサンプルはその量が限られるので、そのpHを測定することは困難であった。なお、以下、溶液物性パラメータの一例としてpHを、また、う蝕原因物質を含むサンプルの一例として歯垢を示し説明する。
【0003】
例えば測定対象液に浸して測定するようなpH測定器は多量のサンプルを必要としており、サンプルが唾液または歯垢などのう蝕原因物質を含むものである場合は、そのpHなどを測定するためにはできるだけ多くの唾液または歯垢などのう蝕原因物質を含むサンプルを被検者から採取して、これを容器などに溜めて測定対象液とし、この容器に集められた測定対象液を用いて測定を行う必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のpH測定器を用いた場合は、測定対象となる唾液または歯垢などのう蝕原因物質を含むサンプルをビーカなどの容器に測定可能な程度採取することが困難であり、唾液や歯垢などのう蝕原因物質のように採取できるサンプルの量がとりわけ少ない場合には測定不能であった。
【0005】
そこで、比較的少量のサンプルを用いて液体サンプルのpHを測定するpH測定器が開発されており、これによって比較的少ない量の唾液や歯垢などのう蝕原因物質を含むサンプルを用いて、より少ない測定対象液によって被検者の虫歯リスクを評価することが可能である。
【0006】
図7はpHを測定するpH測定器の一例を示している。本例のpH測定器はスプーンのように形成された凹部31の底部に、平面型pH応答ガラスによるpHセンサ(測定電極)32と、比較電極33を形成したものである。すなわち、比較的少量の唾液などを前記凹部31に滴下することにより、この唾液などを測定対象液として用いてそのpHを測定することが行われている。ところが、この場合も凹部31を満たす程度の唾液を測定対象液として用いる必要があり、唾液の少ない被検者にとっては測定が困難になることがあった。
【0007】
一方、例えば特開平10−328212号公報に示すような歯科用プローブが提案されており、この公報に記載された歯科用プローブは、その湾曲状に延びた先端部分の針状部の先端にpHセンサを設けることにより、歯間の歯垢などのう蝕原因物質に直接的にpHセンサを接触させて、そのpHを測定するものである。ところが、pHセンサとして機能する電極を針状部の先端のような極めて小さな領域に形成するためには、電極を極めて小さく形成する必要が生じ、これによって測定感度が悪化するだけでなく、針状部の先端のような外部に突出した部分にデリケートな電極を設けることは、電極の破損などの原因となり堅牢性の点で問題があった。
【0008】
とりわけ電極としてガラス応答膜を用いる場合には、従来のpHセンサのように剥き出しに形成された電極では、これが容易に破損することが問題となり、実用性の点で大きな課題となっていた。
【0009】
このため、歯科医が患者の口内の状態を正確に検査する場合には、大がかりで手間のかかるpH測定器を用いるのが現状であるから、実際のところ患者の口内の状態を測定することはほとんどなく、各患者は自分の虫歯リスクを十分に把握することができなかった。
【0010】
本発明は、被検者の口内から採取した唾液サンプルや歯垢サンプルをその量にかかわらず測定可能であり、丈夫で扱いやすい虫歯リスク評価装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため第1発明の虫歯リスク評価装置は、被検者の口内から採取したサンプルに測定電極と比較電極を接触させることによって、虫歯のリスクを評価するための溶液物性パラメータを測定する虫歯リスク評価装置であって、底面に一方の電極を臨ませてなる凹部を有するサンプル収容体と、他方の電極が前記一方の電極と対向した状態で近接するように内側に形成されてなる蓋体と、サンプル収容体に対する蓋体の開閉をガイドする開閉機構と、前記サンプルの溶液物性値を算出する演算手段とを有し、前記蓋体に設けられた他方の電極が前記サンプル収容体内のサンプルに当たって押し延ばすように構成したことを特徴としている。
【0012】
したがって、測定に際して必要とされる唾液や歯垢などのう蝕原因物質を含むその他のサンプルの量は測定電極と比較電極の間の隙間を満たす程度であれば十分であり、極微量の唾液または歯垢などのう蝕原因物質を含むサンプルを用いて虫歯リスク評価を行うことができる。なお、サンプルが歯垢などのう蝕原因物質である場合には、例えばKClの液体を添加して両電極間が満たされるようにしてもよい。つまり、極微量の唾液または歯垢などのう蝕原因物質を用いて虫歯リスク評価を行なうことにより、歯科医は的確な口内ケアーを指導することができ、虫歯発生を効果的に抑えることができる。
【0013】
また、前記両電極はサンプルに当たってこれを押し延ばすと共に両電極が対向した状態で近接するように設けられているので、より少ないサンプルをより広い面積で測定することができ、これが測定精度の向上に寄与する。また、電極の大きさを無闇に小さくする必要がないので、電極の形状を自由に選択でき、堅牢性も向上する。さらに、両電極は開閉機構の内側に面して形成されるものであるから、外部から直接的に当たる部分がなく、それだけ電極を保護することができる。とりわけ、電極は凹部の底面に形成されるので、衝突による衝撃から確実に保護することができる。
【0014】
つまり、前記構造によって虫歯リスク評価装置の堅牢性が向上することにより、歯科医はより気軽にこの虫歯リスク評価装置を用いて患者の口内状態を測定して客観的な治療の指針を得ることができる。そして、その患者に適切な治療を施したり、虫歯リスクに応じた口内ケアーを患者に指導することも可能となる。患者は数値データに基づく指導に安心を感じて歯科医の指示に従いやすくなる。
【0015】
前記開閉機構が、固定された前記サンプル収容体と、このサンプル収容体に対して支軸を中心に回動することによりサンプル収容体に対する相対位置を変更可能とする前記蓋体とからなる場合には、サンプルとしての唾液や歯垢などのう蝕原因物質を挟み込んで測定する動作を容易に行うことができ、より簡単な操作で手軽に虫歯リスクの評価を行うことができる。
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の実施の形態】
図1,2は、本発明の虫歯リスク評価装置1の構成を示す全体図である。図1,2において、本例の虫歯リスク評価装置1は、本体部2と、測定部3とからなる。Saは測定対象となる唾液である。つまり、以下に示す例では一例として唾液SaのpHを測定する場合を説明する。しかしながら、本発明は唾液SaのpHを測定するものに限定するものではない。すなわち、測定対象は唾液Saのみならず、歯垢などのう蝕原因物質を含むサンプルであってもよい。また、そのpHのみならず酸化還元電位(ORP)やカルシウムイオンなどその他の溶液物性パラメータを測定してもよい。
【0019】
本体部2には、唾液SaのpHを算出する演算手段としてのマイクロコンピュータなどの演算処理部(CPU)4と、このCPU4による演算結果を表示する表示部5とを有している。
【0020】
測定部3は唾液Saに接触する測定電極6と、この測定電極6を底面に形成したサンプル収容体(後述の凹部13)を構成する固定体7と、測定電極6に対向した状態で近接する比較電極8と、この比較電極8が内側に形成されてなる蓋体を構成する可動体9と、固定体7および可動体9の基端部に形成された軸芯Oを中心に、可動体9を固定体7に対して傾動自在に保持するヒンジ10とを有している。
【0021】
11は前記可動体9の基端部分に形成された操作レバー、12は可動部9を矢印Aの方向に付勢する弾性部材(ばね)、13は固定体7の上面に突出する壁体13aによって形成される凹部(以下、サンプル収容体13という)、14は前記サンプル収容体13に対応する可動体9の位置に形成されてサンプル収容体13よりも大きな面積を有する蓋体である。つまり、本例の場合、前記ヒンジ10,ばね12などが、サンプル収容体13に対する蓋体14の開閉をガイドする開閉機構15を構成する。
【0022】
16は前記測定電極6に接続された信号線、17は比較電極8に接続された信号線、これらの信号線16,17は本体部2のCPU4に接続されている。
【0023】
前記本体部2および測定部3の外カバーは例えばABS樹脂などによって形成されており、特に前記測定電極6および比較電極8を埋設する固定体7および可動体9は導電性のない材料であることが求められ、かつ、ある程度の強度や耐薬品性を有する材料によって形成されることが望ましい。
【0024】
表示部5は例えば液晶表示部であり、CPU4によって計算された測定結果を適宜表示するものである。なお、図2に示すように、本体部2は、例えば、電源スイッチ2aや測定開始スイッチ2b、さらには、後述する歯垢などのう蝕原因物質の測定に用いる水などの液体のタンク2cおよびポンプ2dなどを有している。同様に測定部3には前記ポンプ2dから送り出される水などの液体を導き出すための配管3aを設けている。
【0025】
前記測定電極6は固定体7に埋設してなるpH測定用のISFETである。つまり、ISFETによって測定電極6を形成することにより、その感応部分の表面積を飛躍的に小さくすると共に耐久性の向上を図っている。しかしながら、この測定電極6をガラス電極とし、これをサンプル収容体13の底面13bに対して面一になるように取り付けてもよいことは言うまでもない。
【0026】
また、電極6はサンプル収容体13の底面13bに面一となるように埋設されることにより電極6の感応部分が壁体13aによって言わば保護される。つまり、虫歯リスク評価装置1の堅牢性を向上することができる。また、電極6をサンプル収容体13の底面13bに面一とすることにより、不要な凹凸を避けて掃除などのメンテナンスを容易に行うことができる。しかしながら、この電極6を底面13bに対して突出するように形成してもさらに陥没するように形成してもよい。
【0027】
一方、前記比較電極8は前記蓋体14の内側の面14aから突出するように形成されている。つまり、蓋体14がサンプル収容体13を閉鎖するときに、比較電極8が唾液Saに接触し、これを押し延ばすようにして両電極6,8間に広がるようにしている。
【0028】
図3は唾液Saを用いて虫歯リスク評価を行うときの動作を説明する拡大図である。図3(A)は蓋体14を開けた状態を示しており、図3(B)は蓋体14を閉じた状態を示している。ここで、図3(A)において、サンプル収容体13の測定電極6上に乗せられた一滴の唾液Saは、図3(B)に示すように、蓋体14を閉めた状態で比較電極8と測定電極6に挟まれることにより、水平方向に広がって、両電極6,8間を隙間なく埋めるように押し延ばされる。なお、このとき、両電極6,8間には幾らかの隙間dが残されるように各部(壁体13aの高さ、蓋体14の深さ、比較電極8の突出量など)の大きさが調節されている。
【0029】
この間隔dは狭いほど測定対象となる唾液Saの量を少なくすることができるが、両電極6,8の衝突を避けるためには、所定の距離を保つことが望ましい。また、本例の壁体13aの高さは、蓋体14が閉じた状態でその内側の面14aとの間に僅かな隙間d’を形成する程度に形成している。
【0030】
すなわち、蓋体14を閉じるときに、極微量(本例では一滴)の唾液Saを押し広げてちょうど電極6,8間を満たす程度としているが、仮にこれが多過ぎて蓋体14が閉じた状態におけるサンプル収容体13内の容積より多くなった場合には、溢れた唾液Saが隙間d’を介して壁体13aの外側の周囲に滲むようにしており、これによって両電極6,8間の間隔dを一定に保つことができる。しかしながら、本発明はこれらの詳細な構成を限定するものではない。
【0031】
本発明は、両電極6,8がサンプルSa(本例の場合唾液)に当たってこれを押し延ばすと共に、比較電極8が測定電極6と対向した状態で近接するように構成することによって、極微量の唾液Saを用いてそのpHを測定することが可能となる。なお、各電極6,8の表面積は無闇に小さくする必要はなく、測定精度を確保できると共に、堅牢性が十分である程度の任意の面積になるように設計可能である。
【0032】
両電極6,8は開閉機構15の内側に形成されるものであるから、外部に露出するものに比べて外部衝撃から守られており、その堅牢性を向上できる。とりわけ、サンプル収容体13の底面13bに形成される電極6は、壁体13aによっていわば守られた位置に形成できるので、例えばガラス電極のように比較的破損しやすい電極を用いたとしても十分の堅牢性をもたせることができる。なお、本例では両電極6,8の何れもISFETによって形成しているので、さらなる堅牢性を備えている。
【0033】
また、本例では測定電極6を固定体7に形成し、比較電極8を可動体9に形成する例を示しているが、本発明はこの点を限定するものではない。すなわち、測定電極6を可動体9、比較電極8を固定体7に設けることも可能であり、両電極6,8を可動する台に設けてもよい。
【0034】
操作レバー11は作業者による可動体9の開閉操作を容易とするものであり、ばね12は操作者が操作レバー11から手を放したときに自動的に可動体9が矢印A方向に回動するように付勢するものである。なお、図1に示すばね12はスプリングであるが、これは板ばねであってもよく、合成樹脂などを弾性部材として用いてもよい。
【0035】
また、前記壁体13aの形状は一例として、平面視矩形状としているが、これを矩形状に限定するものではなく、円形その他の形状であってもよいことはいうまでもない。同様に、壁体13aによって形成されるサンプル収容体13の底面13bは、測定電極6の表面積よりやゝ広い程度の面積を有する、非常に小さい容量を有する容器としており、より少ない唾液Saを用いてそのpHを確実に測定可能としているが、底面13bの表面積は電極6の表面積と同じかそれ以上であればよい。
【0036】
前記虫歯リスク評価装置1を用いて唾液SaのpHを測定する場合には、利用者は操作レバー11を用いて可動体9を開いた状態で、微量の唾液Saをスポイドなどでサンプル収容体13内の測定電極6の上に滴下し、その後、操作レバー11を離す。このとき、可動体9はばね12の付勢力によって矢印A方向に回動し、唾液Saを両電極6,8によって押しつけ、その間隔dが確保された状態で両電極6,8間が唾液Saによって満たされる。
【0037】
測定に必要な唾液Saの量は、両電極6,8の面積に間隔dを掛けた量であるから極微量であり、この微量の唾液Saは被検者の口から容易に採取することができる。pHの測定結果は本体部2の演算手段としてのCPU4によって演算されて、この測定値5aが表示部5に表示される。また、図2に示す例では、pHの測定値5aに加えて、CPU4が判断した虫歯リスク評価5bを表示している。
【0038】
すなわち、CPU4はpHの測定値5aに対応する虫歯リスク評価の関係を記憶しておくことにより、直観的な判断を行うことができる虫歯リスク評価値5bを表示することができる。また、虫歯リスク評価値5bに合わせた歯磨きペーストなどの口内ケアーのための薬品を用意しておくことにより、歯科医は患者に対して適切な指導を行うことが可能となる。つまり、歯科医としての信頼性を向上できる。
【0039】
一方、患者は自らの口内の状態を測定値に基づいて判断し、適切な口内ケアーを行うことができるので、虫歯の発生を抑えることができ、それだけ、治療に伴う苦痛を避けることができる。さらに、医薬品の製造業者は虫歯リスク評価値5bに合わせた製品を製造し、これを本発明の虫歯リスク評価装置1と共に歯科医に提供することにより、医薬品の販売促進を図ることができる。
【0040】
なお、pH値を指標とする場合、サンプルに酸やアルカリを滴下して、pH緩衝能を評価する手法も挙げられる。虫歯リスク評価値5bはpHの測定値5aのみで判断することに限られるものではなく、ORPの測定値や、カルシウムなど様々なイオン溶液物性パラメータを用いた総合判断を行うものであってもよいことはいうまでもない。また、ORPやカルシウムイオンなどのその他の溶液物性パラメータを測定する場合には電極6,8の構成を変えることはいうまでもない。
【0041】
図4は前記虫歯リスク評価装置1を用いて被検者の口内から採取した歯垢SbのpHを測定する場合の例を示す図である。図4(A)は虫歯リスク評価装置1にサンプルとして歯垢Sbをセットする手順を示す図、図4(B)は歯垢Sbを調整する手順を示す図、図4(C)は調整された歯垢Sbを測定する手順を示す図である。なお図4において、図1〜3と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるからその詳細な説明を省略する。
【0042】
図4(A)は測定の第1段階を示しており、Sbは被検者の口内から採取した歯垢などのう蝕原因物質を含むサンプルであり、操作者は前記レバー11を操作して可動体9を開いた状態で、歯垢Sbを測定電極6の上に乗せることによりセットする。
【0043】
次いで、操作者が図2に示したポンプ2dを操作すると、図4(B)に示すように、配管3aから幾らかの水Wが吐出される。このとき、配管3aの吐出口3bが、例えば壁部13aの側面に設けられているので、歯垢Sbに対してこれにかかるように水Wが吐出される。吐水量は測定に必要な分量があればよく、極微量でよい。また、配管3aの任意の位置に水Wの逆流を防止する弁体を形成することが望ましい。なお、本発明はこの配管3a、ポンプ2dおよびタンク2cのような水Wの吐水機構に限定するものではなく、スポイドなどを用いて適宜の量の水Wを供給するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0044】
水Wを添加した後に、操作者がレバー11から手を放すと、図4(C)に示すように、歯垢Sbおよび水Wが両電極6,8によって押し潰されて、両電極6,8を満たすようになる。なお、このとき、電極6,8によって押し広げられた水Wの量が多く、壁体13aを越えるようであっても、隙間d’を介して壁体13aの外側に滲むことにより、電極6,8の間隔dを適正に保つことができる。
【0045】
また、前記配管3aに逆止弁が形成されていると、歯垢Sbに接触した水Wが配管3aに逆流して次回の測定に影響を及ぼすことがない。加えて、逆止弁に少しの遊びを設けておくことにより、吐出口3b近傍に空気の層3cが形成されて水Wの浸透を防ぐことができる。なお、ここで示す詳細な構成は単なる一例を示すものであり、本発明を限定するものではないことはいうまでもない。
【0046】
図4を用いて説明したように、本発明はサンプルとして唾液Saのみならず、歯垢Sbを用いて口内のpHを測定することが可能である。なお、その他の点については既に詳述した通りであるから、重複説明を避ける。
【0047】
なお、上述した開閉機構15は本例において説明したものに限られるものではなく、種々の変形が考えられる。図5は前記開閉機構15の変形例となる本例の別の測定部3Aの例を示す図である。なお、本例において図1〜4と同じ符号が付された部分は同一または同等の部材であるからその詳細な説明を省略する。
【0048】
図5に示す測定部3Aでは、前記可動体9を固定体7に対して平行移動するようにした開閉機構19を形成する例を示している。すなわち、図1に示すように軸芯Oを中心に回動するように両平面7a,9aを対向させる構成は簡素である反面、第1平面7aと第2平面9aとの間に角度が発生するために電極6,8間の位置関係を厳密に平行にすることは難しいが、本例のように、両平面7a,9aを平行移動するように対面させることにより、より少ない唾液Saまたは歯垢Sbを電極6,8間に位置させることができる。
【0049】
図6は前記開閉機構15,19のさらに異なる変形例となる別の測定部3Bの例を示している。また、本例において、図1〜5と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるからその詳細な説明を省略する。図6において、両平面7a,9aを回動させる軸芯Oを両平面7a,9aの長手方向に平行に設けて第1平面7aと第2平面9aを面一にさせるフラット状態に位置調整可能とした開閉機構20の例を示している。
【0050】
【0051】
【0052】
【0055】
【0056】
上述した各例では、唾液Saの化学物性の一例としてpHを測定するための測定電極6と比較電極8の例を挙げて説明しているが、本発明は、pH測定に限定されるものではない。すなわち、測定電極6と比較電極8の種類を変更することによって、特定のイオン濃度を測定することも、ORPの測定を行うことも可能である。なお、ORPの測定を行なうための測定電極6は例えば白金電極である。同様に、比較電極側に、KClもしくは水滴が任意に漏れ出すような形にすることも可能である。
【0057】
また、上述の各例では本体部2が測定部3,3A,3Bに対して一体的に接続された例を示しているが、本発明はこの点を限定するものではない。すなわち、前記本体部2が測定部に対して直接的に接触して電気信号を有線または無線によるデータ通信によって送信する通信部を有する子機と、データ通信によって得られた電気信号を解析演算して化学物性の測定結果を算出し、これを表示する処理部を有する親機によって形成してもよい。この場合、測定結果を親機側で記憶することにより統計演算を行ったり、測定結果の整理や評価を行ったりすることも可能である。
【0058】
この場合、表示部5を測定部3,3A,3Bから離れた位置に配置することも可能であり、これによって患者が表示部5を見て自らの口内の状態を確認しやすくなる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の虫歯リスク評価装置によれば、測定電極と比較電極が対向した状態で近接するので、極少量の唾液や歯垢などのう蝕原因物質を含むその他のサンプルを被検者から採取するだけで、被検者の口内の状態を的確に測定することができ、口内ケアーを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の虫歯リスク評価装置の例を示す図である。
【図2】 前記虫歯リスク評価装置の平面図である。
【図3】 前記虫歯リスク評価装置の測定手順を説明する図である。
【図4】 前記虫歯リスク評価装置を用いた別の測定手順を示す図である。
【図5】 前記測定部の変形例を示す図である。
【図6】 前記測定部の別の変形例を示す図である。
【図7】 従来のpH測定電極の例を示す図である。
【符号の説明】
1…虫歯リスク評価装置、2…本体部、3,3A,3B…測定部、4…演算手段(CPU)、6…測定電極、8…比較電極、13…サンプル収容体(凹部)、14…蓋体、15,19,20…開閉機構、Sa…唾液(サンプル)、Sb…歯垢などのう蝕原因物質(サンプル)。
Claims (2)
- 被検者の口内から採取したサンプルに測定電極と比較電極を接触させることによって、虫歯のリスクを評価するための溶液物性パラメータを測定する虫歯リスク評価装置であって、
底面に一方の電極を臨ませてなる凹部を有するサンプル収容体と、
他方の電極が前記一方の電極と対向した状態で近接するように内側に形成されてなる蓋体と、
サンプル収容体に対する蓋体の開閉をガイドする開閉機構と、
前記サンプルの溶液物性値を算出する演算手段とを有し、前記蓋体に設けられた他方の電極が前記サンプル収容体内のサンプルに当たって押し延ばすように構成したことを特徴とする虫歯リスク評価装置。 - 前記開閉機構が、固定された前記サンプル収容体と、このサンプル収容体に対して支軸を中心に回動することによりサンプル収容体に対する相対位置を変更可能とする前記蓋体とからなる請求項1に記載の虫歯リスク評価装置。
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