JP3827443B2 - Surface coating tool - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面被覆工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、超硬合金やサーメットあるいは高速度工具鋼等からなる工具基体の表面に、例えば化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法によりセラミック被覆を形成し、基体と被覆のそれぞれの特長を有効に活かすことで長寿命化を図った表面被覆工具が多数提案されている。
【0003】
例えば工具の耐摩耗性を向上させるために、基体の表面にセラミック被覆として、窒化Ti、炭化Tiあるいは炭窒化Tiの被膜を形成した工具が知られている。しかしながら、近年では加工効率向上等のために高速あるいは高負荷の切削が行われるなど、工具の使用条件はますます厳しくなる傾向にあり、さらに耐摩耗性に優れた工具が求められるようになってきている。
【0004】
このような中にあって、工具基体への被覆材料として近年、Ti−Al系複合炭窒化物が耐摩耗性に優れていることから注目が集められている。しかしながら、Ti−Al系複合炭窒化物の被膜は、膜強度及び基体との密着性の確保が比較的難しく、被膜剥離等の不具合を生じやすい欠点がある。この問題を解決するため、例えば特開平9−241825号公報には、工具基体とTi−Al系複合炭窒化物層との間にアモルファスTi又はTi含有アモルファスを含有する中間層を形成し、被膜の密着性を改善した工具が開示されている。他方、特許第2638406号公報には、基体上に窒化Tiあるいは炭窒化Tiの層とTi−Al系複合炭窒化物層とを交互に4層以上の多層に形成し、クラック伝播の抑制により耐摩耗性の向上を図った工具も提案がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−241825号公報に開示された工具では、中間層として使用しているアモルファス層が、結晶質の層と比較して強度や硬度に劣るため、性能的に必ずしも満足できない欠点があった。
【0006】
また、特許第2638406号公報に開示された工具では、多層被膜に含まれるTi−Al系複合炭窒化物層として、Ti成分、Al成分、C成分及びN成分のの組成比を、組成式Ti1-xAlxCyN1-yで表したときに、0.56≦x≦0.75(TixAl1-xCyN1-yで表したときは、0.25≦x≦0.44)と、かなりAlリッチの組成を有するものが採用されている。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果によれば、このようにAlリッチなTi−Al系複合炭窒化物層は、層自体の耐摩耗性は優れるものの、これと積層される窒化Tiあるいは炭窒化Tiの層との親和性が悪いため密着強度が不十分となり、切削衝撃等により層界面で剥離が生じて摩耗が急速に進行する恐れのあることがわかった。また、各層厚が0.3μm程度の薄層であるため、Ti−Al系複合炭窒化物層の耐摩耗性が必ずしも十分に活かされていなかった欠点がある。さらに、被膜中に上記層を最低4層、具体的には10〜数10層も形成しなければならないことから、製膜工程が複雑化する問題もある。
【0007】
本発明の課題は、Ti−Al系複合炭窒化物層を含んだセラミック被覆層を有するとともに、被覆層と工具基体との間の密着力が良好で、ひいては耐摩耗性や耐欠損性に優れた表面被覆工具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項に記載した表面被覆工具は以下の通りである。
(請求項1) 超硬合金、サーメット等の金属−セラミック複合材料又は高速度工具鋼等の金属にて構成された工具基体と、
その工具基体の表面を覆う複数層に形成されたセラミック被覆層とを備え、
そのセラミック被覆層が、
前記工具基体の表面に積層形成されるとともに、窒化Ti又は炭窒化Tiを主体に構成される第一セラミック層と、
その第一セラミック層上に積層形成されるとともに、Ti−Al系複合炭窒化物を主体に構成され、そのTi−Al系複合炭窒化物中のTi成分、Al成分、C成分及びN成分の組成比を、組成式TixAl1−xCyN1−yで表したときに、0.60≦x≦0.70及び0.05≦y≦0.45を満たす第二セラミック層と、を含み、
前記第一セラミック層は、構成セラミック粒子の平均粒径が0.07μm以上0.5μm以下となっていることを特徴とする表面被覆工具。
(請求項2) 前記第二セラミック層は、前記セラミック被覆層の最表層部を形成している請求項1記載の表面被覆工具。
(請求項3) 前記第一セラミック層の平均膜厚が0.1〜0.5μmの範囲で調整されている請求項1または2に記載の表面被覆工具。
(請求項4) 前記第二セラミック層の平均膜厚が1〜5μmの範囲で調整されている請求項1ないし3のいずれかに記載の表面被覆工具。
(請求項5) 前記工具は、すくい面と逃げ面との間に切削エッジとなる稜線部が形成される切削用工具であり、その稜線部には、断面が平面状、外向きの曲面状あるいは両者の組み合わせからなる形状をなす面取部が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の表面被覆工具。
(請求項6) 前記面取部は平面状部分を含んで形成され、その平面状部分の前記すくい面とのなす角度が20〜35°の範囲で調整されている請求項5記載の表面被覆工具。
【0009】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の工具の構成においては、工具基体を窒化Tiあるいは炭窒化Tiを主体とする第一セラミック層で被覆し、さらにその上に表記組成を有するTi−Al系複合炭窒化物を主体とする第二セラミック層を積層形成する構成とすることで、それらセラミック層からなるセラミック被覆層と工具基体との間に良好な密着状態が確保され、耐摩耗性及び耐欠損性に優れた表面被覆工具が実現される。
【0010】
窒化Tiあるいは炭窒化Tiを主体とする被膜層とTi−Al系複合炭窒化物を主体とする被膜層とを積層形成した被覆工具としては、前述の特許第2638406号公報に開示された工具があるが、既に説明した通りこのような多層被膜は層間の密着力が弱く、全体としての耐摩耗性が必ずしも十分はいえなかった。また、被膜層を4層以上の多層膜とする理由は、クラック伝播の抑制と記されているが、実際には層間の密着力不足を多層化によりカバーする目的もあるものと推察される。
【0011】
そして、本発明者らが鋭意検討した結果、Ti−Al系複合炭窒化物の組成を、上記公報技術のもの(TixAl1-xCyN1-yにおいて、0.25≦x≦0.44)と比べてTiリッチ側(すなわち、TixAl1-xCyN1-yにおいて、0.55≦x≦0.75)に選定することで、窒化Tiあるいは炭窒化Tiを主体とする第一セラミック層と、Ti−Al系複合炭窒化物を主体とする第二セラミック層との密着力が大幅に向上することが判明したのである。その結果、第一セラミック層を構成する窒化Tiの優れた潤滑性、耐衝撃性及び強度(炭窒化Tiの場合は、さらに耐摩耗性)と、第二セラミック層を構成するTi−Al系複合炭窒化物の優れた耐摩耗性及び耐熱衝撃性とがそれぞれ有効に引き出され、それらの相乗効果により耐摩耗性及び耐欠損性とが向上したものと考えられる。
【0012】
第二セラミック層を構成するTi−Al系複合炭窒化物の組成を組成式TixAl1-xCyN1-yで表したときに、xの値が0.55未満になると、第一セラミック層と第二セラミック層との親和性が低下し、層間の密着力が不足して十分な耐摩耗性を確保できなくなる。また、xの値が0.75を超えると、Ti−Al系複合炭窒化物の耐酸化性が損なわれ、加工中に第二セラミック層が高温酸化して、同様に工具の耐摩耗性が損なわれる。なお、より望ましくは、0.60≦x≦0.70とするのがよい。
【0013】
また、yの値については、これが0.05未満になると第二セラミック層の耐摩耗性が低下し、0.45を超えると第一セラミック層との間の密着力が損なわれて、いずれも工具の耐摩耗性が損なわれる結果につながる。なお、より望ましくは、0.10≦y≦0.40とするのがよい。
【0014】
なお、各層中のTi成分、Al成分、C成分及びN成分の含有比率は、X線光電子分光(XPS)法、あるいはオージェ電子分光(AES)法等の公知の分析手法により特定できる。
【0015】
また、第一セラミック層中の窒化Tiあるいは炭窒化Tiの組成を組成式TiCzN1-zで表したとき、0≦Z≦0.6となっているのがよい。Zが0.6を超えると、第一セラミック層の耐摩耗性不足や工具基体との密着性不足を招く場合がある。
【0016】
セラミック被覆層の各層は、その構成成分となるべき1又は複数種類のイオンを、該イオンとは逆極性に帯電させた工具基体の表面に対し気相を介して付着させることにより形成することができる。そして、このような被膜を形成するための代表的な気相成膜法として、イオンプレーティング法を例示することができる。イオンプレーティング法で各層を形成する場合には、例えば、その構成金属成分源となる金属を抵抗加熱、電子ビーム加熱、スッパタリング、あるいはアーク蒸発等の公知の方法により蒸発させて気相化し、これに窒素ないし炭素成分源となる窒素ガス、メタンガス等を導入・混合し、さらに、グロー放電、コロナ放電、高周波放電、マイクロ波放電等の公知の方法によりイオン化して、帯電させた工具基体の表面にそれらイオンを付着させる方法を採用することができる。
【0017】
次に、上記本発明の工具の構成では、第一セラミック層と第二セラミック層との密着力が著しく改善される結果、特許第2638406号公報に開示された工具のように、これらセラミック層の組を複数積層せずとも、請求項2のように第二セラミック層がセラミック被覆層の最表層部を形成する構成、すなわち第一セラミック層と第二セラミック層との2層構造とする構成でも耐摩耗性向上効果が十分に達成できる。これにより、セラミック被覆層中の層数が減るので、被覆工程を簡略化することが可能となる。
【0018】
次に、第一セラミック層は、請求項3のように、構成セラミック粒子の平均粒径(膜断面にて観察されるもの)を0.5μm以下(望ましくは0.3μm以下)とすることで、一層優れた耐摩耗性を実現することができる。これは、第一セラミック層の構成セラミック粒子が微細化することで、その上に形成される第二セラミック層のセラミック粒子も微細化し、膜強度が向上するためであると推測される。
【0019】
この場合、第二セラミック層の構成セラミック粒子は、その層面内にて観察される平均粒径が1.0μm以下(望ましくは0.8μm以下)となっていることが、耐摩耗性向上効果を高める上で一層望ましい。また、該構成セラミック粒子は、層厚方向に延びる柱状晶形態を呈していることが、同様に耐摩耗性向上の観点において望ましい。
【0020】
なお、各層の構成セラミック粒子の粒径は、図5に示すように、走査電子顕微鏡(SEM)等で観察される組織上の粒子の外形線に対し、その外形線と接し、かつ空隙ないし粒子内を横切らないように2本の平行線A,Bを、その粒子との位置関係を変えながら各種引いたときの、上記平行線A,B間の距離の最大値dとして定義する。そして、平均粒径は、こうして測定した多数の粒子の粒径の平均値として算出することができる。
【0021】
次に、第一セラミック層の平均膜厚が0.1〜0.5μmの範囲で調整されているのがよい(請求項4)。該膜厚が0.1μm未満になると、第二セラミック層との間の密着力を十分に確保できなくなる場合がある。他方、0.5μmを超えた場合、層中の構成セラミック粒子の平均粒径が0.5μmを超える場合が生じ、第二セラミック層の組織が粗粒化して工具の耐摩耗性向上効果を十分に達成できなくなる場合がある。該第一セラミック層の平均膜厚は、望ましくは0.1〜0.4μmの範囲で調整するのがよい。
【0022】
また、第二セラミック層の平均膜厚は1〜5μmの範囲で調整されているのがよい(請求項5)。該膜厚が1μm未満になると、工具の耐摩耗性向上効果を十分に達成できなくなる場合がある(特に、セラミック被覆層が2層構造の場合)。他方、第二セラミック層の平均膜厚が5μmを超えると、層中の内部応力が高くなって亀裂等を生じやすくなり、切削時の衝撃等により層剥離を生じやすくなる場合がある。該第二セラミック層の平均膜厚は、望ましくは2〜4μmの範囲で調整するのがよい。
【0023】
次に、工具基体を構成するセラミックとしては、Ti、V、Cr、Al、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの炭化物、窒化物及び炭窒化物の1種又は2種以上からなる硬質セラミック相粒子を、NiあるいはCoを主体とする結合金属相で結合した金属−セラミック複合材料(例えば超硬合金あるいはサーメット)で構成することができる。また、これ以外にも高速度工具鋼等を工具基体の構成材質として採用できる。
【0024】
本発明の表面被覆工具は、切削用チップやドリルなどの切削工具に適用した場合に、耐摩耗性向上による長寿命化の効果を特に顕著に期待できる。この場合、該工具は、すくい面と逃げ面との間に切削エッジとなる稜線部が形成される切削用工具とすることができる。また、その稜線部には断面が平面状、外向きの曲面状あるいは両者の組み合わせからなる形状をなす面取部を形成することができる(請求項6)。これにより、切削エッジにチッピングを生じにくくなる。上記面取部が平面状部分を含んで形成される場合、その平面状部分のすくい面とのなす角度を20〜35°の範囲で調整するのがよい(請求項7)。該角度が20°未満になると、逃げ面側で切削エッジにチッピングが生じやすくなる場合がある。また、角度が35°を超えるとすくい面側で切削エッジにチッピングが生じやすくなる場合がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例により説明する。
図1は、本発明の表面被覆工具の一実施例としての旋削用工具チップ1(以下、単にチップともいう)を示している。該チップ1は、図1(a)及び(b)に示すように、偏平な略四角柱形状に形成された工具基体3の外面全体をセラミック被覆層2で覆った構造を有しており、例えばその主面1cがすくい面を、側面1eが逃げ面を形成する。図1(c)に示すように、チップ1は、その各コーナー部1aにアールが施され、同図(d)に示すように各エッジ部1bには面取部1kが形成されている。また、(a)に示すように、その主面1cの中央には、図示しないチップホルダにチップ1を装着するためのねじ挿通孔1dが厚さ方向に貫通して形成されている。図1(d)に示すように、面取部1kは断面が平面状とされ、すくい面をなす主面1cとのなす角度θが20〜35°の範囲で調整されている。なお、面取部1kの断面形状を、図1(e)に示すように外向きの曲面(アール面)としたり、あるいは図1(f)のように平面と曲面との組み合わせとすることも可能である。
【0026】
工具基体3は、超硬合金やサーメット等の金属−セラミック複合材料、あるいは高速度工具鋼等の焼結体として構成される。一方、セラミック被覆層2は、窒化Ti又は炭窒化Tiを主体に構成される第一セラミック層2aと、その第一セラミック層2a上に積層形成されるとともに、Ti−Al系複合炭窒化物を主体に構成され、そのTi−Al系複合炭窒化物中のTi成分、Al成分、C成分及びN成分の組成比を、組成式TixAl1-xCyN1-yで表したときに、0.55≦x≦0.75(望ましくは0.6≦x≦0.70)及び0.05≦y≦0.45(望ましくは0.10≦x≦0.40)を満たす第二セラミック層2bとからなる。
【0027】
第一セラミック層2aは、構成セラミック粒子の平均粒径(例えば、SEMにより膜厚方向に沿う断面にて観察されるもの)が0.5μm以下であり、その平均膜厚は0.1〜0.5μm(望ましくは0.2〜0.4μm)とされている。また、第二セラミック層2bは、構成セラミック粒子の平均粒径(例えば、SEMにより膜面組織内にて観察されるもの)が例えば0.8μm以下であり、その平均膜厚は1〜5μm(望ましくは2〜4μm)とされている。
【0028】
なお、図4に示すように、工具チップ1の主面1c、すなわちすくい面には、その切削刃先となるエッジ部1bに近接する位置に、切削により発生する切り屑を乗り上げさせてこれを分断するためのチップブレーカ1gを形成することができる。図に示す例では、チップブレーカ1gは、エッジ部1bから所定距離内側に離れた位置において、該エッジ部1bに沿うリブ状に形成されている。
【0029】
以下、上記工具チップ1の製造方法の一例について説明する。
例えば超硬合金製の工具基体の場合、炭化W粉末及びCo粉末等の原料粉末を所定量配合し、これに必要に応じてバインダを添加・混合してプレス成形(冷間静水圧プレス法を含む)あるいは射出成形等の公知の方法で成形することによりグリーン成形体を作製し、さらに該成形体を所定の炉内で焼成することにより工具基体3を得る。
【0030】
次に、この工具基体3の表面にイオンプレーティング法によりセラミック被覆層2の第一セラミック層2a及び第二セラミック層2bを順次形成する。図2(a)は、アーク蒸発式イオンプレーティング装置の一例を概念的に示しており、チャンバー10内にターンテーブル式基板ホルダ31が配置されてこれに工具基体3が固定される一方、これと対向して1ないし複数の蒸発源としての金属ターゲット33が設けられ、各々直流電源32に接続されている。チャンバー10内は、排気口10aから減圧排気され、ガス導入口13から反応ガスが導入される。そして、その状態で工具基体3及び金属ターゲット33は、各直流電源32により各々負に帯電するように電圧が印加されるが、その各印加電圧のレベルは金属ターゲット33側が相対的に正、工具基体3側が相対的に負となるように調整される。これにより、金属ターゲット33と工具基体3との間にはアーク放電が生じ、その発熱により金属ターゲット33を構成する金属原料が蒸発する一方、金属ターゲット33と工具基体3との間の電位勾配により蒸発した金属原料及び反応ガスがイオン化し、これを工具基体3の表面に付着・堆積させることにより、金属ターゲットの材質及び反応ガスの種類に応じたセラミック層が形成される。
【0031】
例えば窒化Tiからなる第一セラミック層2aを形成するときは、金属ターゲット33の材質をTiとし、反応ガスを窒素ガスとする。また、Ti−Al系複合炭窒化物からなる第二セラミック層2bを形成するときは、金属ターゲット33の材質をTi−Al合金とし、反応ガスを窒素と炭化水素(例えばメタン)の混合ガスとする。なお、Ti−Al系複合炭窒化物のTi成分とAl成分との含有比率は、金属ターゲット33に使用するTi−Al合金の組成に基づいて調整することができる。また、同じくC成分とN成分との含有比率は、反応ガス中の窒素と炭化水素との混合比率に基づいて調整することができる。
【0032】
一方、図2(b)は、抵抗加熱蒸発式のイオンプレーティング装置の一例を概念的に示しており、チャンバー10内に配置された図示しない基板ホルダを介して工具基体3が固定され、これとほぼ対向する位置に例えばボート状の抵抗加熱フィラメント11が設けられて、ここに形成すべきセラミック被覆層の金属成分源としての金属原料Mが配置されるようになっている。そして、チャンバー10内を排気口10aから減圧排気しつつ、加熱電源12により抵抗加熱フィラメント11に通電して金属原料Mを加熱・蒸発させるとともに、ガス導入口13から反応ガスを導入する。そして、その状態で抵抗加熱フィラメント11側が正、工具基体3側が負となるように直流電源装置14によりバイアス電圧を印加して、蒸発した金属原料及び反応ガスをイオン化し、これを工具基体3の表面に付着・堆積させることにより、セラミック被覆層が形成される。
【0033】
なお、図3に示すように、チャンバー内に金属網あるいは穴あき金属板等で構成された円筒状の容器体18内に工具基体3を収容し、これをモータ19aを含む回転機構19により周方向に回転させながら、該容器体18を介して工具基体3を帯電させることにより、セラミック被覆層2(図1)を形成することもできる。これにより、工具基体3の外面全体に均一かつ能率的にセラミック被覆層2を形成することができる。
【0034】
上記旋削用工具チップ1の構成においては、工具基体3を窒化Tiあるいは炭窒化Tiを主体とする第一セラミック層2aで被覆し、さらにその上に表記組成を有するTi−Al系複合炭窒化物を主体とする第二セラミック層2bを積層形成する構成とすることで、それらセラミック層2a,2bからなる多層のセラミック被覆層2と工具基体3との間に良好な密着状態が確保される。その結果、第一セラミック層2aを構成する窒化Tiの優れた潤滑性、耐衝撃性及び強度(炭窒化Tiの場合は、さらに耐摩耗性)と、第二セラミック層2bを構成するTi−Al系複合炭窒化物の優れた耐摩耗性及び耐熱衝撃性とがそれぞれ有効に引き出され、それらの相乗効果により、旋削用工具チップ1の耐摩耗性及び耐欠損性を大幅に向上させることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、WC粉末(平均粒径1.6μm)に対してCo粉末(平均粒径1.2μm)を、WC+Coの合計量に対する比率で6重量%配合し、これに適量のバインダを配合して混合することにより原料粉末を得た。そして、この原料粉末を、図1に示す工具外形に対応する形状に金型プレス成形することにより成形体とし、この成形体を温度1360℃で焼成した後、得られた焼成体を図1に示す形状(ただしコーナー部1aにはアールを施していない)に研削加工して工具基体3とした。なお、工具基体3の寸法は、ISO規格でSNGA432−TNBとして規定されているものを採用した。具体的には、厚さ約4.76mm、一辺が約12.70mmの略正方形断面の偏平角柱形状を有するものである。また、エッジ部1bに施された面取部(チャンファ)は、図1(d)において、主面1c側の幅tが約0.05mm、主面1cに対する傾斜角度θが約25°となるように形成した。
【0036】
こうして得られた工具基体3の表面に、既存のアークイオンプレーティング装置により、第一セラミック層2aと第二セラミック層2bとを、各種組成及び厚さにて形成して工具チップ試料を得た。該アークイオンプレーティング装置には、金属ターゲット33としてTiターゲット及び各種組成のTi−Al合金ターゲットが取り付けられ、工具基体3はヒータにより加熱できるようになっている。そして、工具基体3は回転しながら各ターゲットの前を通過することによりセラミック層が形成されることとなる。
【0037】
具体的なイオンプレーティングの条件であるが、まずチャンバー内を8×10-5torrまで減圧した後、ヒータを使用して工具基体3を550℃まで昇温する。次いで、工具基体3に800V、100Aの直流電流を30〜80秒通じて、基体表面をTiイオンによりボンバードクリーニングする。そして、Tiターゲットに50〜100Aの直流電流を印加してアーク放電させ、続いて工具基体3に対するバイアス電圧を100Vに調整し、その状態で高純度窒素ガス及び/又は高純度メタンガスを各種流量で導入して、窒化Tiあるいは炭窒化Tiからなる第一セラミック層2aを形成した。その後、Ti−Al合金ターゲットを用いることにより、同様にしてTi−Al系複合炭窒化物からなる第二セラミック層2bを形成する。なお、各層の形成厚さは、工具基体3のアークイオン流に対する照射時間により調整できる。
【0038】
なお、得られた各工具チップ試料は、公知のXPS法により、膜厚方向のエッチングを行いながら各深さ位置でのTi、Al、N及びCの所定の電子軌道に係る結合エネルギーのピーク高さを測定し、それらピーク高さの比に基づいて、第一セラミック層2aと第二セラミック層2bとの各組成を同定した。なお、同定に使用したピークは、Tiの2p3/2、Alの2p、Nの1s、及びCの1sである。また、各層2a及び2bの平均膜厚は層断面の走査電子顕微鏡(SEM)像に基づいて測定した。さらに、各層の構成セラミック粒子の平均粒径は、第一セラミック層2aについては層断面のSEM観察像(倍率30000倍)を、また、第二セラミック層2bについては層表面のSEM観察像(倍率10000倍)を用いて、それぞれ公知の画像解析手段により、図5に示す方法に基づいて測定した。
【0039】
さらに、各試料(工具)の切削性能の評価は、下記の条件にて行なった。すなわち、図6(a)に示す形状の棒状の被削材Wを軸線周りに回転させ、その外周面に対し工具チップ1を、図6(b)に示すように当接させ、主面1cの一方をすくい面(以下、すくい面を1c’で表す)、側面1eを逃げ面として用いることにより、以下の切削1〜3の3条件にて被削材Wの外周面を湿式で連続切削した。
被削材 :はだ焼鋼(SNCM415)、形状:丸棒(外径φ240mm、長さ200mm);
切削速度V:以下の3通りの条件についてそれぞれ試験した;80m/分(切削1)、100m/分(切削2)、150m/分(切削3);
送り量 f:0.1mm/1回転;
切り込みd:0.15mm;
切削油 :水溶性切削油W1種1号Z(JISK2241(1986)に規定されているもの;エマルジョン化された不揮発分を90%以上含有し、そのpHは8.5〜10.5であり、不揮発分は、0〜30重量%の脂肪酸と、50〜80重量%の鉱物油と、15〜35%の界面活性を含有する);
切削時間 :5分。
【0040】
なお、試験片1と被削材とのより詳細な位置関係は、図7に示す通りである。なお同図において、1gは横逃げ面、1fは前逃げ面をそれぞれ示す。他の符号の意味は図面中に示している。切削終了後、工具の刃先の逃げ面摩耗量 Vn(横逃げ面1g側の旋削方向の摩耗高さ:図6(c)参照)を測定した。以上の結果を表1及び表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
表1の結果から明らかなように、第二セラミック層の組成をTixAl1-xCyN1-yで表したときに、x,yを0.55≦x≦0.75及び0.05≦y≦0.45に選定することで、少なくとも切削速度100m/分程度までの比較的厳しい条件で切削を行っても、良好な耐摩耗性が確保されていることがわかる。また、表2に示すように、第一セラミック層の平均膜厚を0.1〜0.5μmとし、第二セラミック層の平均膜厚を1〜5μmとすることで、切削速度が150m/分程度までのさらに苛酷な条件においても層剥離等を生じず、工具の耐摩耗性がさらに向上していることがわかる。
【0044】
なお、図8は、No.18の試験片の破断面のSEM写真である((a)は倍率10000倍、(b)は30000倍)。該断面に対し電子プローブ微小分析(EPMA)を行って得られるAl特性X線の強度分布から、Al成分を含有しない第一セラミック層と、Al成分を含有する第二セラミック層とを図示の通りに識別することができた。なお、第一セラミック層の平均膜厚は0.4μmであり、第二セラミック層の平均膜厚は2.0μmである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面被覆工具の一実施例としての工具チップを示す斜視図、側面部分断面模式図及び部分拡大斜視図。
【図2】イオンプレーティング装置の一例を示す概念図。
【図3】同じくその変形例を示す概念図。
【図4】チップブレーカを設けた表面被覆工具の一例を示す斜視図及びA−A断面図。
【図5】構成セラミック粒子の粒径の定義を示す説明図。
【図6】切削試験の概要を示す説明図。
【図7】切削試験における試験片と被削材との位置関係を示す説明図。
【図8】No.18の試験片の破断面のSEM写真。
【符号の説明】
1 旋削用工具チップ(表面被覆工具)
2 セラミック被覆層
2a 第一セラミック層
2b 第二セラミック層
3 工具基体[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a surface-coated tool.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a ceramic coating has been formed on the surface of a tool substrate made of cemented carbide, cermet, high-speed tool steel, etc., for example, by chemical vapor deposition (CVD) or physical vapor deposition (PVD), and each feature of the substrate and coating A number of surface-coated tools have been proposed in which the life is extended by making effective use of.
[0003]
For example, in order to improve the wear resistance of a tool, a tool is known in which a coating of Ti nitride, Ti carbide or Ti carbonitride is formed as a ceramic coating on the surface of a substrate. However, in recent years, tool usage conditions tend to become more severe, such as high-speed or high-load cutting to improve machining efficiency, etc., and tools with excellent wear resistance have been demanded. ing.
[0004]
Under such circumstances, as a coating material for the tool base, in recent years, Ti—Al based composite carbonitride has attracted attention because of its excellent wear resistance. However, the Ti—Al composite carbonitride film has a drawback that it is relatively difficult to ensure film strength and adhesion to the substrate, and problems such as film peeling are likely to occur. In order to solve this problem, for example, in Japanese Patent Laid-Open No. 9-241825, an intermediate layer containing amorphous Ti or Ti-containing amorphous is formed between a tool base and a Ti-Al composite carbonitride layer, A tool with improved adhesion is disclosed. On the other hand, in Japanese Patent No. 2638406, a Ti nitride or Ti carbonitride nitride layer and a Ti-Al based composite carbonitride layer are alternately formed on a substrate in a multilayer of 4 or more layers, and resistance to crack propagation is suppressed. Proposals have also been made for tools with improved wear characteristics.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the tool disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 9-241825, the amorphous layer used as the intermediate layer is inferior in strength and hardness as compared with the crystalline layer. there were.
[0006]
Further, in the tool disclosed in Japanese Patent No. 2638406, the composition ratio of Ti component, Al component, C component and N component as the Ti-Al based composite carbonitride layer contained in the multilayer coating is expressed by the composition formula Ti.1-xAlxCyN1-y, 0.56 ≦ x ≦ 0.75 (TixAl1-xCyN1-y0.25 ≦ x ≦ 0.44), which has a fairly Al-rich composition is employed. However, according to the results of intensive studies by the present inventors, the Al-rich Ti—Al-based composite carbonitride layer is excellent in wear resistance of the layer itself, but the Ti nitride layered thereon or Ti It was found that since the affinity with the Ti carbonitride layer is poor, the adhesion strength is insufficient, and peeling may occur at the interface of the layer due to cutting impact or the like, and wear may progress rapidly. Further, since each layer is a thin layer having a thickness of about 0.3 μm, there is a drawback that the wear resistance of the Ti—Al based composite carbonitride layer is not always fully utilized. Furthermore, since at least four layers, specifically 10 to several tens of layers, must be formed in the coating, there is a problem that the film forming process is complicated.
[0007]
The problem of the present invention is that it has a ceramic coating layer including a Ti-Al composite carbonitride layer, has good adhesion between the coating layer and the tool substrate, and thus has excellent wear resistance and fracture resistance. Another object is to provide a surface-coated tool.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The surface-coated tool described in the claims of the present invention is as follows.
(Claim 1) A tool base made of a metal such as a cemented carbide, a metal-ceramic composite material such as cermet, or a high-speed tool steel;
A ceramic coating layer formed in a plurality of layers covering the surface of the tool base,
The ceramic coating layer
A first ceramic layer mainly formed of Ti nitride or Ti carbonitride and laminated on the surface of the tool base;
The Ti-Al composite carbonitride is mainly formed and laminated on the first ceramic layer, and the Ti component, Al component, C component and N component in the Ti-Al composite carbonitride The composition ratio is represented by the composition formula TixAl1-xCyN1-yWhen expressed in0.60 ≦ x ≦ 0.70And a second ceramic layer satisfying 0.05 ≦ y ≦ 0.45.See
The first ceramic layer has an average particle size of constituent ceramic particles of 0.07 μm to 0.5 μm.A surface-coated tool characterized by that.
(Claim 2) The surface-coated tool according to
(Claim 3) The average film thickness of the first ceramic layer is adjusted within a range of 0.1 to 0.5
(Claim 4) The average film thickness of the second ceramic layer is adjusted in the range of 1 to 5 μm.The method according to any one of
(Claim 5) The tool is a cutting tool in which a ridge line portion serving as a cutting edge is formed between a rake surface and a flank surface, and the ridge line portion has a flat cross section and an outward curved surface shape. Or the chamfered part which makes the shape which consists of both is formed.
(Claim 6) The chamfered portion is formed to include a planar portion, and an angle between the planar portion and the rake face is adjusted in a range of 20 to 35 °.Claim 5Surface coating tool.
[0009]
[Action and effect of the invention]
In the construction of the tool according to
[0010]
As a coated tool in which a coating layer mainly composed of Ti nitride or Ti carbonitride and a coating layer mainly composed of Ti—Al based composite carbonitride is formed, the tool disclosed in the above-mentioned Japanese Patent No. 2638406 is used. However, as already described, such a multilayer coating has a weak adhesion between layers, and the overall wear resistance is not always sufficient. Moreover, although the reason why the coating layer is a multilayer film of four or more layers is described as suppression of crack propagation, it is presumed that there is actually an object to cover the lack of adhesion between layers by multilayering.
[0011]
As a result of intensive studies by the present inventors, the composition of the Ti—Al-based composite carbonitride was changed to that of the above-mentioned publication technique (TixAl1-xCyN1-yIn comparison with 0.25 ≦ x ≦ 0.44), the Ti rich side (ie, TixAl1-xCyN1-yIn this case, the first ceramic layer mainly composed of Ti nitride or Ti carbonitride and the second ceramic layer mainly composed of Ti—Al based composite carbonitride are selected by selecting 0.55 ≦ x ≦ 0.75). It has been found that the adhesion strength with is greatly improved. As a result, excellent lubricity, impact resistance and strength of Ti nitride constituting the first ceramic layer (further wear resistance in the case of Ti carbonitride) and Ti-Al based composite constituting the second ceramic layer It is considered that the excellent wear resistance and thermal shock resistance of carbonitride are effectively drawn out and the wear resistance and fracture resistance are improved by their synergistic effects.
[0012]
The composition of the Ti-Al based composite carbonitride constituting the second ceramic layer is represented by the composition formula TixAl1-xCyN1-yWhen the value of x is less than 0.55, the affinity between the first ceramic layer and the second ceramic layer is reduced, and the adhesion between the layers is insufficient, so that sufficient wear resistance can be secured. Disappear. Further, if the value of x exceeds 0.75, the oxidation resistance of the Ti-Al composite carbonitride is impaired, the second ceramic layer is oxidized at a high temperature during processing, and the wear resistance of the tool is similarly reduced. Damaged. More preferably, 0.60 ≦ x ≦ 0.70.
[0013]
As for the value of y, if this is less than 0.05, the wear resistance of the second ceramic layer is reduced, and if it exceeds 0.45, the adhesion between the first ceramic layer is impaired, This results in a loss of wear resistance of the tool. More preferably, 0.10 ≦ y ≦ 0.40.
[0014]
The content ratio of the Ti component, Al component, C component, and N component in each layer can be specified by a known analysis method such as an X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) method or an Auger electron spectroscopy (AES) method.
[0015]
In addition, the composition of Ti nitride or carbonitride Ti in the first ceramic layer is expressed by the composition formula TiC.zN1-zIt is preferable that 0 ≦ Z ≦ 0.6. If Z exceeds 0.6, the wear resistance of the first ceramic layer and the adhesion with the tool substrate may be insufficient.
[0016]
Each layer of the ceramic coating layer may be formed by adhering one or more kinds of ions, which are to be constituent components thereof, to the surface of the tool base charged with the opposite polarity to the ions via a gas phase. it can. An ion plating method can be exemplified as a typical vapor deposition method for forming such a film. When forming each layer by the ion plating method, for example, the metal as a constituent metal component source is vaporized by evaporating by a known method such as resistance heating, electron beam heating, sputtering, or arc evaporation, Nitrogen gas or methane gas as a source of nitrogen or carbon component is introduced and mixed with this, and further, ionized by a known method such as glow discharge, corona discharge, high frequency discharge, microwave discharge, etc. A method of attaching these ions to the surface can be employed.
[0017]
Next, in the configuration of the tool of the present invention described above, the adhesion between the first ceramic layer and the second ceramic layer is remarkably improved. As a result, the ceramic layer can be formed as in the tool disclosed in Japanese Patent No. 2638406. Even if a plurality of sets are not laminated, the structure in which the second ceramic layer forms the outermost layer portion of the ceramic coating layer as in
[0018]
Next, the first ceramic layer has an average particle size (observed in the film cross section) of the constituent ceramic particles of 0.5 μm or less (desirably 0.3 μm or less) as in
[0019]
In this case, the constituent ceramic particles of the second ceramic layer have an average particle size observed in the plane of the layer of 1.0 μm or less (preferably 0.8 μm or less). It is more desirable to increase. In addition, it is desirable that the constituent ceramic particles have a columnar crystal shape extending in the layer thickness direction from the viewpoint of improving wear resistance.
[0020]
In addition, as shown in FIG. 5, the particle diameter of the ceramic particles constituting each layer is in contact with the outline of the particle on the structure observed with a scanning electron microscope (SEM) or the like, and is in contact with the outline or particle. The two parallel lines A and B are defined as the maximum value d of the distance between the parallel lines A and B when the two parallel lines A and B are drawn while changing the positional relationship with the particles so as not to cross the inside. And an average particle diameter is computable as an average value of the particle diameter of many particles measured in this way.
[0021]
Next, the average film thickness of the first ceramic layer is preferably adjusted in the range of 0.1 to 0.5 μm. If the film thickness is less than 0.1 μm, sufficient adhesion between the second ceramic layer may not be ensured. On the other hand, if it exceeds 0.5 μm, the average particle size of the constituent ceramic particles in the layer may exceed 0.5 μm, and the structure of the second ceramic layer is coarsened to sufficiently improve the wear resistance of the tool. May not be achieved. The average film thickness of the first ceramic layer is desirably adjusted in the range of 0.1 to 0.4 μm.
[0022]
Moreover, the average film thickness of the second ceramic layer is preferably adjusted in the range of 1 to 5 μm. When the film thickness is less than 1 μm, the effect of improving the wear resistance of the tool may not be sufficiently achieved (particularly when the ceramic coating layer has a two-layer structure). On the other hand, when the average film thickness of the second ceramic layer exceeds 5 μm, the internal stress in the layer becomes high and cracks and the like are likely to occur, and delamination may easily occur due to impact during cutting. The average film thickness of the second ceramic layer is desirably adjusted in the range of 2 to 4 μm.
[0023]
Next, as the ceramic constituting the tool base, a hard material composed of one or more of carbides, nitrides and carbonitrides of Ti, V, Cr, Al, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta and W is used. The ceramic phase particles can be composed of a metal-ceramic composite material (for example, cemented carbide or cermet) bonded with a bonded metal phase mainly composed of Ni or Co. In addition to this, high-speed tool steel or the like can be adopted as a constituent material of the tool base.
[0024]
When the surface-coated tool of the present invention is applied to a cutting tool such as a cutting tip or a drill, the effect of prolonging the life by improving the wear resistance can be expected particularly remarkably. In this case, the tool can be a cutting tool in which a ridge line portion serving as a cutting edge is formed between the rake face and the flank face. Further, a chamfered portion having a cross-sectional shape that is a flat surface, an outwardly curved surface shape, or a combination of both can be formed on the ridge line portion. This makes it difficult for chipping to occur at the cutting edge. When the chamfered portion is formed to include a planar portion, the angle formed by the rake face of the planar portion is preferably adjusted within a range of 20 to 35 °. If the angle is less than 20 °, chipping may easily occur on the cutting edge on the flank side. Further, if the angle exceeds 35 °, chipping may easily occur at the cutting edge on the rake face side.
[0025]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the examples shown in the drawings.
FIG. 1 shows a turning tool tip 1 (hereinafter also simply referred to as a tip) as an embodiment of the surface-coated tool of the present invention. As shown in FIGS. 1A and 1B, the
[0026]
The
[0027]
The first ceramic layer 2a has an average particle diameter of constituent ceramic particles (for example, one observed by a cross section along the film thickness direction by SEM) of 0.5 μm or less, and an average film thickness of 0.1 to 0. 0.5 μm (preferably 0.2 to 0.4 μm). The second
[0028]
As shown in FIG. 4, on the main surface 1c of the
[0029]
Hereinafter, an example of the manufacturing method of the
For example, in the case of a tool base made of cemented carbide, a predetermined amount of raw material powders such as carbonized W powder and Co powder are blended, and a binder is added and mixed as necessary, followed by press forming (cold isostatic pressing method). A green molded body is formed by molding by a known method such as injection molding, and the molded body is fired in a predetermined furnace to obtain the
[0030]
Next, the first ceramic layer 2a and the second
[0031]
For example, when the first ceramic layer 2a made of Ti nitride is formed, the material of the
[0032]
On the other hand, FIG. 2B conceptually shows an example of a resistance heating evaporation type ion plating apparatus. The
[0033]
As shown in FIG. 3, the
[0034]
In the configuration of the
[0035]
【Example】
Examples of the present invention will be described below.
First, 6% by weight of Co powder (average particle size 1.2 μm) is mixed with WC powder (average particle size 1.6 μm) in a ratio to the total amount of WC + Co, and an appropriate amount of binder is mixed and mixed. As a result, a raw material powder was obtained. Then, this raw material powder is formed into a molded body by die press molding into a shape corresponding to the outer shape of the tool shown in FIG. 1, and this molded body is fired at a temperature of 1360 ° C., and the obtained fired body is shown in FIG. The
[0036]
A tool tip sample was obtained by forming the first ceramic layer 2a and the second
[0037]
The specific ion plating conditions are as follows.-FiveAfter reducing the pressure to torr, the
[0038]
Each tool tip sample obtained was subjected to a known XPS method, and the peak height of the binding energy related to predetermined electron trajectories of Ti, Al, N, and C at each depth position while performing etching in the film thickness direction. The composition of the first ceramic layer 2a and the second
[0039]
Further, the cutting performance of each sample (tool) was evaluated under the following conditions. That is, the rod-shaped work material W having the shape shown in FIG. 6A is rotated around the axis, and the
Work material: Bare-hardened steel (SNCM415), Shape: Round bar (outer diameter φ240mm, length 200mm);
Cutting speed V: Each of the following three conditions was tested: 80 m / min (cutting 1), 100 m / min (cutting 2), 150 m / min (cutting 3);
Feed amount f: 0.1 mm / 1 rotation;
Notch d: 0.15 mm;
Cutting oil: Water-soluble cutting oil W1
Cutting time: 5 minutes.
[0040]
A more detailed positional relationship between the
[0041]
[Table 1]
[0042]
[Table 2]
[0043]
As is clear from the results in Table 1, the composition of the second ceramic layer is TixAl1-xCyN1-yWhen x and y are selected as 0.55 ≦ x ≦ 0.75 and 0.05 ≦ y ≦ 0.45, cutting is performed under relatively severe conditions up to a cutting speed of about 100 m / min. It can be seen that good wear resistance is ensured even if the test is performed. Moreover, as shown in Table 2, the cutting speed is 150 m / min by setting the average film thickness of the first ceramic layer to 0.1 to 0.5 μm and the average film thickness of the second ceramic layer to 1 to 5 μm. It can be seen that delamination and the like do not occur even under severer conditions, and the wear resistance of the tool is further improved.
[0044]
Note that FIG. It is a SEM photograph of the fracture surface of 18 test pieces ((a) is 10,000 times magnification, (b) is 30000 times). From the Al characteristic X-ray intensity distribution obtained by performing electron probe microanalysis (EPMA) on the cross section, the first ceramic layer containing no Al component and the second ceramic layer containing the Al component are shown in the figure. Could be identified. The average film thickness of the first ceramic layer is 0.4 μm, and the average film thickness of the second ceramic layer is 2.0 μm.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing a tool tip as an example of a surface-coated tool of the present invention, a schematic side sectional view, and a partially enlarged perspective view.
FIG. 2 is a conceptual diagram showing an example of an ion plating apparatus.
FIG. 3 is a conceptual diagram showing a modified example of the same.
FIGS. 4A and 4B are a perspective view and an AA cross-sectional view showing an example of a surface-coated tool provided with a chip breaker. FIGS.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing the definition of the particle size of the constituent ceramic particles.
FIG. 6 is an explanatory diagram showing an outline of a cutting test.
FIG. 7 is an explanatory diagram showing a positional relationship between a test piece and a work material in a cutting test.
FIG. The SEM photograph of the fracture surface of 18 test pieces.
[Explanation of symbols]
1 Turning tool tips (surface coated tools)
2 Ceramic coating layer
2a First ceramic layer
2b Second ceramic layer
3 Tool base
Claims (6)
前記第一セラミック層の構成セラミック粒子の平均粒径が0.07μm以上0.5μm以下とされ、
前記第二セラミック層の構成セラミック粒子が、その層面内にて観察される平均粒径が1.0μm以下であって前記第一セラミック層の構成セラミック粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする表面被覆工具。A tool base composed of a metal such as cemented carbide, cermet, etc., or a metal such as high-speed tool steel, and a ceramic coating layer formed in a plurality of layers covering the surface of the tool base, A ceramic coating layer is laminated on the surface of the tool base, a first ceramic layer mainly composed of Ti nitride or Ti carbonitride, and laminated on the first ceramic layer. It is composed mainly of Al-based composite carbonitride, and the composition ratio of Ti component, Al component, C component, and N component in the Ti-Al-based composite carbonitride is expressed by the composition formula Ti x Al 1-x C y N A second ceramic layer satisfying 0.60 ≦ x ≦ 0.70 and 0.05 ≦ y ≦ 0.45 when represented by 1-y ,
The average particle size of the ceramic particles constituting the first ceramic layer is 0.07 μm or more and 0.5 μm or less ,
The constituent ceramic particles of the second ceramic layer have an average particle size observed in the layer plane of 1.0 μm or less and larger than the average particle size of the constituent ceramic particles of the first ceramic layer. surface coated tool to.
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