JP3826156B2 - 偏波分離構造、電波受信用コンバータおよびアンテナ装置 - Google Patents
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Description
この発明は、偏波分離構造、放送衛星や通信衛星等からの電波を受信する電波受信用コンバータ(LNB、Low Noise Blockdown Converterの略)およびアンテナ装置に関するものである。
衛星放送において使用されているマイクロ波には、通常2つの成分が含まれる。その代表的なものとして、例えば、円偏波には、右旋偏波と左旋偏波とが含まれている。
したがって、衛星放送からの電波を受信する受信用コンバータには、この二つの成分を分離する偏波分離構造が用いられる。特に、2つの成分のうち、一方のみ(たとえば右旋円偏波のみ)を受信する場合は、偏波分離器で分離した後、他方成分(交差偏波成分)を吸収したほうが分離度(交差偏波識別度)が良好となる。
ここで、そのような受信用コンバータの偏波分離構造の従来技術1について、その概略構造を示す要部分解斜視図である図43と、図43の切断線XIII−XIIIにおける断面図である図44を用いて説明する。
一対の電波受信用プローブ104a,104bが形成された基板103の一方の側に導波管101が配置されている。導波管101内には、導波管101内を2つに仕切る階段状の導波管側隔壁101aが形成されている。
基板103の他方の側には、電波反射部102が配置されている。電波反射部102内には、電波反射部102内を2つに仕切る電波反射部側隔壁102fが形成されている。また、電波反射部102の基板103に対して反対側に位置する端面には、電波反射面102aが形成されている。
基板103の電波反射部102が位置する側の面には、電波反射部102および電波反射部側隔壁102fの端面に沿って、その端面と接触するアース面(パターン)105が形成されている。基板103の導波管101が位置する側の面には、導波管101および導波管側隔壁101aの端面に沿って、その端面と接触するアース面(パターン、図示せず)が形成されている。
電波反射部102が接触するアース面105と導波管101が接触するアース面とは、スルーホール106を介して電気的に接続されている。これにより、基板103を介して導波管101と電波反射部102とは、接地電位に保たれる。
なお、一対の電波受信用プローブ104a,104bは、基板103の電波反射部102が位置する側に形成されている。そして、電波受信用プローブ104a,104bの配線部分は、アース面105、電波反射部102および導波管101と電気的に絶縁されている。
導波管側隔壁101aおよび電波反射側隔壁102fにより、それぞれ導波管101および電波反射部102内が2つの導波空間に仕切られる。導波管101内に入った円偏波は、階段状の導波管側隔壁101aによって直線偏波成分で分離され、それぞれの導波空間に導かれる。
この従来技術1では、導波管101や電波反射部102内の電波が外に漏れるのを防止したり、あるいは雑音を低減するために、各隔壁部101a,102f、導波管101および電波反射部102のそれぞれの端面と基板103のアース面とを接触させるようにしている。
ところが、隔壁部101aを含む導波管101および隔壁部102fを含む電波反射部102のそれぞれは、例えばアルミニウムダイカストなどを用いた鋳造製技術により形成されるが、実際の量産時の寸法精度を考えると、各隔壁部101a,102f、導波管101および電波反射部102のそれぞれの端面と基板103のアース面とを確実に接触させることが困難である。
すなわち、従来技術1では、例えば電波反射部側隔壁102aの端面を基板103のアース面105に確実に接触させようとすると、導波管101の端面とアース面とを確実に接触させられずその接触部分に隙間ができてしまい、その結果、電波が外へ漏れたり、雑音が増大することが想定される。
これに対して、従来技術2が提案されている。従来技術2について、その概略構造を示す要部分解斜視図である図45と、図45の切断線XIV−XIVにおける断面図である図46を用いて説明する。
従来技術2では、基板103に開口部103aを設け、導波管側隔壁101aを延設して、基板103の開口部103aを貫通する構成としている。そして、電波反射部102には、従来技術1のような電波反射部側隔壁102fを形成せず、延設された導波管側隔壁101aの端面を受け入れる穴部102iが形成されている。
さらに、従来技術2では、電波反射部102の穴部102iが外部と貫通しているため、外部との電波の出入りを防止するように、例えば板金からなり弾性を有する導電性部材107によって、導波管側隔壁部101aと穴部102iとの隙間を埋めるようにしている。
この従来技術2によれば、量産時の寸法精度にばらつきが生じても、導電性部材107が変形して、導波管101および電波反射部102のそれぞれの端面全面と基板103のアース面とを確実に接触させることが容易となる。
ここで、導電性部材107について、図47(a),(b),(c)を用いて説明する。この導電性部材107では、電波反射面102aに当接する係止部107aと、内側に向かって切り起こされ、先端が隔壁101aに当接する切り起こし部107bとが設けられ、幅Aが電波反射部102の穴部102iの幅Bよりも若干大きく設定されている。このような構成とすることにより、組み立て時の脱落を防止するとともに、隔壁101aと電波反射部102との電気的導通を確実にしようとしている。
しかしながら、上記従来技術2では、以下のような問題が想定される。
従来技術2では、別途導電性部材107を用いているため、原材料コストがかかるだけでなく、製造工程を考えると、導電性部材107を取り付ける工程が増加するため、大幅なコスト増大を招いてしまう。
従来技術2では、別途導電性部材107を用いているため、原材料コストがかかるだけでなく、製造工程を考えると、導電性部材107を取り付ける工程が増加するため、大幅なコスト増大を招いてしまう。
また、量産時の製造工程においては導電性部材107の取り付けが適切に行われないことも想定され、そうすると穴部102iから電波が外へ漏れたり、雑音が増大するなど、不良品率の増大や製品の特性劣化も予想される。その上、導電性部材107では、図47に示したように、切り起こし部107bの周囲に隙間ができたり、切り起こし部107bが形成されない2側面で導波管側隔壁部101aと穴部102iとの隙間を埋めることができない。すなわち、別部材を用いて隔壁部101aと穴部102iとの隙間を埋めるような構成では、実際に隙間を埋めることが困難であり、これに起因して製品の特性劣化が予想される。
また、電波受信プローブ104bは受信不能な偏波を減衰させるために終端抵抗によって終端する必要がある。このために終端抵抗が用いられるが、一般の終端抵抗では受信不能な偏波を十分減衰させることができないため、マイクロ波用の周波数特性の補償された高価な抵抗が必要となり、コスト高になってしまう。
また、受信不能な偏波が電波受信プローブ104bで受信されて基板103上にいったん導かれるため、減衰させる終端化回路にミスマッチング(不整合)があると反射波として基板103上を飛び回り、受信する側のプローブ104aに回り込んでしまうと、結果的に受信してはいけない偏波を受信してしまうことになり、いわゆる分離度(交差偏波識別度)の劣化を招く。
それゆえに、本発明は、低コストで量産性に優れ、かつ高性能の偏波分離構造、電波受信用コンバータおよびアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の偏波分離構造は、開口部を有するとともに1つの電波受信部が設けられた基板部と、基板部の一方の表面側に配置されて内部に隔壁部が設けられた導波管と、基板部の他方の表面側に配置されて内側に電波反射面が形成された電波反射部とを備え、導波管、基板部および電波反射部により導波空間が形成され、隔壁部は開口部を貫通して電波反射部にまで延在して電波反射面を2分し、隔壁部により導波空間が1つの電波受信部が位置する導波空間と、他方の導波空間とに仕切られ、さらに、他方の導波空間には無反射終端部が形成される。
したがって、電波受信部として受信する方の偏波用のみを設けているため、基板上に受信しない方の偏波が反射波として飛び交うことがなくなり、高性能化を図ることができる。また、無反射終端部を導波空間内に設けたので、低コスト化と量産性の向上を図ることができる。
好ましくは、導波管は基板部側端部の隔壁で分離された一方が閉口されてその内面で反射面が形成され、前記隔壁で分離された他方は開口されて偏波を後段へ送信し、基板部は開口部の形状が導波管の開口部と同形状に形成されていて、電波反射部は導波管の開口部と同形状に形成される。
また好ましくは、導波管は基板部側端部の隔壁で分離された一方が閉口されてその内面で反射面が形成され、隔壁で分離された他方は開口されて偏波を後段へ送信し、導波管の隔壁は基板開口部を貫通して後段の電波反射部まで延在し、基板部の開口部の形状と後段の電波反射部の開口部形状とが導波管の隔壁の断面形状とを合わせた形状である。
また好ましくは、波管の隔壁で分離された一方を閉口した反射面に無反射終端部を形成することを特徴とする。
このように、無反射終端部を装着することにより導波空間内で減衰させることによって、より一層反射波を抑制できる。
また好ましくは、反射面に形成した無反射終端部は、板状の電波吸収体であることを特徴とする。これによりコストの低減を図れる。
また好ましくは、反射面に形成した無反射終端部は、半円柱状の電波吸収体であることを特徴とする。これにより、より一層反射波の発生を抑えることができる。
また好ましくは、反射面に形成した無反射終端部は、半円錘状の電波吸収体であることを特徴とする。これにより、偏波が空間から電波吸収体に進入する際の整合をよくし、反射波を低減する。
また好ましくは、無反射終端部の電波吸収体は抵抗板であることを特徴とする。抵抗板は抵抗板に平行な偏波のみ減衰させるため、受信しない方の偏波のみ減衰させる効果がある。
また好ましくは、抵抗板の開口側の導波管側の一端に切欠き部を形成する。この切欠き部により偏波が空間から抵抗板に進入する際の整合をとり、そこで発生する反射波を抑えることができる。
また、電波受信用コンバータは、上記のいずれかの偏波分離構造を備えてなるものである。
したがって、本発明の電波受信用コンバータによれば、電波が外へ漏れたり雑音が増大することなく充分に良好な偏波分離特性が得られ、簡単な構造で量産時の良品率を向上でき、低コストで量産性に優れた電波受信用コンバータを実現することが可能となる。
また、本発明のアンテナ装置は、上記の電波受信用コンバータと、受信電波を反射して前記電波受信用コンバータに導く反射用パラボラ部とを備えてなるものである。
本発明のアンテナ装置によれば、電波が外へ漏れたり雑音が増大することなく充分に良好な偏波分離特性が得られ、簡単な構造で量産時の良品率を向上でき、低コストで量産性に優れたアンテナ装置を実現することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、電波が外へ漏れたり雑音が増大することなく充分に良好な偏波分離特性が得られ、簡単な構造で量産時の良品率を向上でき、低コストで量産性に優れた偏波分離構造、電波受信用コンバータおよびアンテナ装置を実現することが可能となる。
また、受信した偏波を効率よく分離した後、不要な方の偏波を無反射終端部で十分減衰させることができるため、不要な偏波を受信することがなく、良好な受信状態を保つことができる。
また、構造的にも簡単であり、量産性に優れ、コスト的にも構造を小さくできたり、安価な材料を使用したりできるため、メリットが大きい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、衛星からの電波を受信するための受信用コンバータ(LNB、Low Noise Blockdown Converterの略)およびアンテナ装置について説明する。衛星からの電波は、反射用パラボラ部51によって反射して集中され、電波受信用コンバータ52に導かれて取り込まれる。反射用パラボラ部51と電波受信用コンバータ52とからアンテナ装置が構成されている。
まず、図1を参照して、衛星からの電波を受信するための受信用コンバータ(LNB、Low Noise Blockdown Converterの略)およびアンテナ装置について説明する。衛星からの電波は、反射用パラボラ部51によって反射して集中され、電波受信用コンバータ52に導かれて取り込まれる。反射用パラボラ部51と電波受信用コンバータ52とからアンテナ装置が構成されている。
以下に説明する各実施の形態において、衛星からの電波は、円偏波であり、右旋円偏波と左旋円偏波が含まれる。そして、コンバータ52では、この2つの成分を分離して、その各成分を増幅し、10数GHz帯の電波から1GHz帯の信号に変換する。その変換された信号は、ケーブル53を経由して屋内の受信機器54に送られる。
以下の各実施の形態では、このような電波受信用コンバータまたはアンテナ装置に用いられる偏波分離構造について説明する。
(実施の形態1)
図2から図4を参照して、本発明の実施の形態1に係る偏波分離構造について説明する。
図2から図4を参照して、本発明の実施の形態1に係る偏波分離構造について説明する。
図2は本実施の形態の概略構造を示す要部分解斜視図であり、図3は図2の切断線I1−I1における部分断面図であり、図4は図2の切断線I2−I2における部分断面図である。
この偏波分離構造は、主に導波管1と、電波反射部2と、基板3とから構成される。
基板3には、開口部3aが形成されている。そして、基板3には、開口部3aに突出するように、対向するような位置で一対の電波受信用プローブ(電波受信部)4a,4bが導電性膜パターンにより設けられている。この一対の電波受信用プローブ4a,4bは、電波反射部2が位置する側の基板3の面に形成されている。なお、基板3は、たとえば、絶縁性樹脂基板やガラスエポキシ基板などの絶縁性基板に、銅などの導電性膜のパターンが形成されて構成されるものである。
基板3には、開口部3aが形成されている。そして、基板3には、開口部3aに突出するように、対向するような位置で一対の電波受信用プローブ(電波受信部)4a,4bが導電性膜パターンにより設けられている。この一対の電波受信用プローブ4a,4bは、電波反射部2が位置する側の基板3の面に形成されている。なお、基板3は、たとえば、絶縁性樹脂基板やガラスエポキシ基板などの絶縁性基板に、銅などの導電性膜のパターンが形成されて構成されるものである。
また、基板3には、電波受信用プローブ4a,4bを構成する導電性膜パターンを除く部分において、開口部3aの周囲に、電波反射部2の端面と接触するアース面5が導電性膜パターンにより形成されている。さらに、基板3には、アース面5の反対側の面に、導波管1の端面と接触するアース面(図示せず)が導電性膜パターンにより形成されている。そして、電波反射部2の端面と接触するアース面5と導波管1の端面と接触するアース面とは、スルーホール6を介して電気的に接続されている。これにより、基板3を介して、導波管1と電波反射部2とは、接地電位に保たれる。基板3に形成された電波受信用プローブ4a,4bを構成する導電性膜パターンの配線部分は、各アース面、導波管1および電波反射部2と電気的に絶縁されている。
基板3の一方の側には、導波管1が配置されている。この導波管1の内部には、階段状部分を備えた隔壁(隔壁部)1aが設けられている。そして、その隔壁1aは、基板3の開口部3aを貫通して、電波反射部2側に延設されている。本実施の形態においては、導波管1と隔壁1aとは、一体的に形成されており、たとえば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。
電波反射部2は筒状部分と基板3と略平行な端部の平板状部分とから構成され、その内側において平板状部分の内面が電波反射面2aである。なお、電波反射部2も、たとえばアルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって形成することができる。
本実施の形態においては、隔壁1aと電波反射部2の内面(内側の面)との間隔の設定は、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁1aと電波反射部2とが接触しないようにしている。
すなわち、本実施の形態では、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面とそのアース面に沿って隙間なく密着するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5とそのアース面に沿って隙間なく密着する構成として、導波管1の基板3側端面と基板3の一方の表面に設けられたアース面との接触部分および電波反射部2の基板3側端面と基板3の他方の表面に設けられたアース面5との接触部分で、外部に電波が漏れないように、また外部からノイズ成分が侵入しないようにしている。
さらに、本実施の形態では、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁1aが開口部3aの内面に接触しないようにしている。
すなわち、図3,4に示すように、隔壁1aの端面は、電波反射部2に対して、その電波反射面2aにもその筒状部分の内面(内側の面)にも接触しない。さらに、図3,4に示すように、隔壁1aの端面は、基板3の開口部3aの内面(内側の面)にも接触しない。なお、通常このような電波受信用コンバータは内部が気密構造とされているので、そのような隔壁1aと電波反射部2との間や隔壁1aと開口部3aとの間には、別部材が介在されるものではなく、空気等の気体が存在するだけである。
このような構造において、導波管1、基板部3および電波反射部2により導波空間が形成されており、その導波空間を隔壁部1aにより、一対の電波受信用プローブ4a,4bのうちの一方の電波受信用プローブが位置する導波空間と他方の電波受信用プローブが位置する導波空間とに仕切っている。なお、このような導波空間において、基板3と電波反射面2aとは電波の進行方向に対して略垂直となるように配置されており、隔壁1aは電波の進行方向に沿って配置されている。
次に、上述した偏波分離構造の動作について説明する。図2の矢印方向から、入力電波である円偏波が入力されると、導波管1に捉えられた円偏波は、隔壁1aの階段状部分により直線偏波に変換される。このとき、円偏波は右旋偏波と左旋偏波とを含むものであるため、変換された直線偏波には、右旋偏波が変換された成分と左旋偏波が変換された成分とが含まれる。
ここで、隔壁1aの階段状部分は、円偏波を直線偏波に変化する円偏波−直線偏波変換部として機能するものである。そして、その形状については、階段状に限定されるものではなく、例えば電波入力側から基板3側に直線的に広がるようなテーパー形状のものでも良く、円偏波−直線偏波変換部として機能するものであれば良い。なお、隔壁の階段状部分のことは、後述の各実施形態のいずれについても共通することである。
それから、隔壁1aによって2つに仕切られた導波空間のうち、一方の導波空間(導波空間A)にはその右旋偏波が変換された直線偏波成分(成分A)が捉えられ、他方の導波空間(導波空間B)には左旋偏波が変換された直線偏波成分(成分B)が捉えられる。
このように分離された成分Aは、開口部3aを経て電波反射部2aで反射されて、一対の電波受信用プローブ4a,4bのうちの一方における電波受信用プローブ4aで受信される。成分Bも同様にして、開口部3aを経て電波反射部2aで反射されて、他方の電波受信用プローブ4bで受信される。
一対の電波受信用プローブ4a,4bで受信された各直線偏波の成分A,Bは、コンバータ内の基板3に備えられた所定の回路(図示せず)に入力される。
本実施の形態においては、上述したように、隔壁1aと電波反射部2の内面(内側の面)との間隔の設定は、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁1aと電波反射部2とが接触しないようにしている。
そして、本実施の形態では、電波反射部2の内面(内側の面)とそれに対向する隔壁1aの端面との距離を、0.2mmから0.3mmとして設計したものである。これは、アルミニウムダイカストなどを用いて鋳造技術により、隔壁1aを含む導波管1と電波反射部2を形成するのに、通常寸法精度の誤差が±0.05mmであることを考慮したものである。すなわち、例えば導波管1側において+0.05mmで電波反射側2において+0.05mmの誤差があると仮定すると、合計で+0.1mmとなる。さらに、実際の製品では、導波管1と電波反射部2とを、基板3を介して、ねじにより固定するが、そのねじ止めにより基板3が多少なりとも圧縮されることになり、量産時に寸法のばらつきが生じる。そこで、本実施の形態では、設計上、電波反射部2の内面(内側の面)とそれに対向する隔壁1aの端面との距離を、0.2mm以上としている。このように0.2mm以上との設計とすれば、量産時のばらつきを考えても、導波管1の隔壁1aと電波反射部2との間隔が0.1mm程度以上となり、より確実に、導波管1の基板3側端面を基板3の一方の表面に設けられたアース面と接触させると共に、電波反射部2の基板3側端面を基板3の他方の表面に設けられたアース面5と接触させることができる。
また、衛星放送や衛星通信に使用される電波(マイクロ波)の波長が数cm程度であるから、その波長に比べて、電波反射部2の内面(内側の面)とそれに対向する隔壁1aの端面との距離が充分に微小であれば良いので、本実施の形態では、設計上0.3mm以下としている。これは、上述したような寸法誤差を考えると、0.4mm程度以下となり、このような値であれば、充分に良好な偏波分離特性を得ることができるからである。
このように、本実施の形態によれば、量産時のばらつきがあっても、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触することができる。
その結果、充分に良好な偏波分離特性を維持したまま、電波が導波空間の外へ漏れることや、雑音が増大することを抑えることができる。
さらに、上記従来技術2のように導波管と電波反射部とを接続するような別部材を必要としないので、製造に必要な費用や時間を削減することができる。例えば、上記従来技術2と比較すると、導波空間と偏波分離構造を形成する量産実装工程において、製造に必要な費用を約10%、製造に必要な時間を約50%削減することができる。その上、構造が単純であるので、製造を容易にし、量産での良品率を向上させることができる。
(実施の形態2)
図5から図13を参照して、本発明の実施の形態2に係る偏波分離構造について説明する。
図5から図13を参照して、本発明の実施の形態2に係る偏波分離構造について説明する。
図5は本実施の形態における電波反射部2の概略構造を示す要部斜視図であり、図6はその電波反射部2を用いた偏波分離構造の部分断面図であり、図7は図6の切断線II−IIにおける部分断面図であり、図8,9は図6の領域αの部分拡大図であり、図10は本実施の形態での偏波分離特性の測定系を示す概念図であり、図11,12は本実施の形態と上記従来技術2との偏波分離特性の比較を示す図である。
実施の形態2において、上記実施の形態1と異なる主な点は、電波反射部2の電波反射面2aに溝2bを設け、電波反射部2と隔壁1aとが接触することなく、その溝2bに挿入されるように、導波管1の隔壁1aの一部を更に延ばした点である。なお、この溝2bは、上記従来技術2の穴部102iのように、電波反射部を貫通して、導波空間を外部に露出させるようなものではない。また、本実施の形態においても、隔壁1aと電波反射部2との間隔、すなわち隔壁1aと電波反射部2の内面との距離は、上記実施の形態1と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図6から図8に示すように、溝2bの側部を底部から開口側に広がる形状としている。より具体的には、溝2bの四つ側面を、溝2bの底面に対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、溝2bの四つの側面のうち、それぞれ対向する側面間の間隔は、溝2bの底面側で最も接近し、電波反射面2a側で最も離れている。
このように溝2bの側部が底部から開口側に広がる形状とすれば、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどを用いた鋳造技術によって、溝2bを容易に形成することができる。その結果、溝2bを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
なお、このような溝2bの側部を底部から開口側に広がる形状としては、図9に示すように、溝2bの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であってもよい。このとき、図9に示すように、その溝2bに挿入される隔壁1aの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁1aと電波反射部2との接触を容易に回避できる。
本実施の形態では、このような溝2bを電波反射部2の電波反射面2aに形成し、その溝2bに導波管1の隔壁1aの一部を挿入するようにしている。したがって、その溝2bの部分では、導波空間内の電波進行方向に対して略垂直な方向の同一平面内で、隔壁1aと電波反射部2との間隔により形成される隙間が、上記実施の形態1のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、溝2bとそれに挿入される隔壁1aとにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態1よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。
なお、図7で隔壁1aの左右両側の下方向として示される部分に段差を設けたような形状としているが、このような段差を設けず、全体的に隔壁1aを伸ばすようにしても良く、そのときにはそれに対応して溝2bも図7の左右方向に延ばせば良い。
また、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態1と同様のものである。
次に、本実施の形態による偏波分離構造を備えてなる受信用コンバータと上記従来技術2との偏波分離特性の比較について説明する。
次に、本実施の形態による偏波分離構造を備えてなる受信用コンバータと上記従来技術2との偏波分離特性の比較について説明する。
まず、ここでの測定方法について、図10の測定系を示す概念図を用いて説明する。
図10(a),(b)に示すように、ネットワークアナライザー10を用いて偏波分離特性を測定した。導波管11を円偏波発生器12の電波入射側に取り付け、円偏波発生器12を受信用コンバータ52の電波入力側に取り付けた。入力信号は、同軸ケーブル13を経由して導波管11に印加され、直線偏波として導波管11内を伝播し、円偏波発生器12に到達する。入力信号は、円偏波発生器12を通過する際に円偏波に変換される。円偏波発生器12には2種類あり、入力信号を右旋円偏波に変換するもの(右旋円偏波発生器)と、入力信号を左旋円偏波に変換するもの(左旋円偏波発生器)がある。
図10(a),(b)に示すように、ネットワークアナライザー10を用いて偏波分離特性を測定した。導波管11を円偏波発生器12の電波入射側に取り付け、円偏波発生器12を受信用コンバータ52の電波入力側に取り付けた。入力信号は、同軸ケーブル13を経由して導波管11に印加され、直線偏波として導波管11内を伝播し、円偏波発生器12に到達する。入力信号は、円偏波発生器12を通過する際に円偏波に変換される。円偏波発生器12には2種類あり、入力信号を右旋円偏波に変換するもの(右旋円偏波発生器)と、入力信号を左旋円偏波に変換するもの(左旋円偏波発生器)がある。
まず、右旋円偏波発生器12を用いることによって、右旋円偏波を受信用コンバータ52の導波管1に入射させた。入力信号の周波数は12.2GHz(波長λ=2.459cm)から12.7GHz(波長λ=2.362cm)までの範囲で連続的に変化させた。
導波管1に入ってきた右旋円偏波は、隔壁1aによって直線偏波に変換され、導波空間Aに捉えられ、電波受信用プローブ4aによって受信される。偏波分離特性が完全であると仮定すると、導波空間Bには全く電波が存在しないから、電波受信用プローブ4bの受信信号強度はゼロである。実際には、偏波分離特性が完全ではないため、導波空間Bにも電波が少しだけ存在し、電波受信用プローブ4bによって受信される。電波受信用プローブ4aの受信信号強度(信号強度a)と、電波受信用プローブ4bの受信信号強度(信号強度b)とをそれぞれ、同軸ケーブル13を介してネットワークアナライザー10で測定した。偏波分離特性は次式によって計算した。
右旋円偏波を導波管1に入射させた場合は、
偏波分離特性=10×log(信号強度a/信号強度b) [dBm]
である。
偏波分離特性=10×log(信号強度a/信号強度b) [dBm]
である。
従って、例えば信号強度bが信号強度aの100分の1ならば、偏波分離特性は20dBmである。
次に、左旋円偏波発生器12を用いることによって、左旋円偏波を受信用コンバータ52の導波管1に入射させた。入力信号の周波数は同じく12.2GHz(波長λ=2.459cm)から12.7GHz(波長λ=2.362cm)までの範囲で連続的に変化させた。偏波分離特性は次式によって計算した。
左旋円偏波を導波管1に入射させた場合は、
偏波分離特性=10×log(信号強度b/信号強度a) [dBm]
である。
偏波分離特性=10×log(信号強度b/信号強度a) [dBm]
である。
後述の図12に示す偏波分離特性のグラフでは、まず、右旋円偏波を導波管1に入射させた場合と、左旋円偏波を導波管1に入射させた場合のそれぞれについて、入力信号の周波数の全範囲で偏波分離特性の最小値を求め、次に、両者のうち小さい方の値を測定値として採用した。なお、実用上、この測定値が23dBm以上であることが望ましいとされている。
また、ここでは、図8に示す隔壁1aの端面とそれに対向する電波反射部2の溝2bの底面との距離L(mm)を変化させたときに、偏波分離特性(dBm)の値を測定し、その結果の表を図11に示し、その結果のグラフを図12に示すす。なお、この測定においては、溝2bの四つの側面と隔壁1aとの距離を0.25mm、溝2bが形成されていない電波反射面2aと隔壁1aの端面との距離を0.2mmとして、隔壁1aの端面と電波反射部2の溝2bの底面との距離Lのみを変化させて、その偏波分離特性の測定を行った。
なお、図11,12には、本実施の形態と同様の測定により、上記従来技術2についても測定した結果を示している。
図11,12に示す結果より、隔壁1aの端面と電波反射部2の溝2bの底面との距離Lが、1.0mm以下であれば、実用上、充分に良好な偏波分離特性(23.0dBm以上)が得られることがわかる。このことから、隔壁1aと電波反射部2との間隔を、1.0mm以下とすれば、充分に良好な偏波分離特性が得られることがわかる。
また、従来技術2との比較結果より、隔壁1aの端面と電波反射部2の溝2bの底面との距離Lが0.5mm以下であれば、上記従来技術2よりも高い偏波分離特性が得られ、良好な偏波分離特性が実現できることがわかる。このことから、隔壁1aと電波反射部2との間隔を、0.5mm以下とすれば、より良好な偏波分離特性が得られることがわかる。したがって、隔壁1aと電波反射部2との間隔を、1.0mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることがより好ましい。
なお、このような間隔の距離については、上記実施の形態1及び後述する実施の形態3から実施の形態10についても同様であり、1.0mm以下とすれば充分に良好な偏波分離特性が得られ、0.5mm以下とすればより良好な偏波分離特性が得られ好ましいものである。
(実施の形態3)
図13を参照して、本発明の実施の形態3に係る偏波分離構造について説明する。
図13を参照して、本発明の実施の形態3に係る偏波分離構造について説明する。
図13において、(a)は本実施の形態における偏波分離構造の概略構造を示す部分断面図であって上記実施の形態2の説明で用いた図6に相当し、(b),(c)は(a)の領域βの部分拡大図である。
実施の形態3において、上記実施の形態1と異なる主な点は、電波反射部2の電波反射面2aに凸部2cを設け、電波反射部2と隔壁1aとが接触することなく、その凸部2cが挿入されるように、導波管1の隔壁1aの端面に溝1bを設けた点である。
なお、本実施の形態においては、凸部2cは電波反射部2と一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。また、本実施の形態においても、隔壁1aと電波反射部2との間隔、即ち隔壁1aと電波反射部2の内面と距離は、上記実施の形態1と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図13(b)に示すように、溝1bの側部を底部から開口側に広がる形状としている。より具体的には、溝1bの側面を、溝1bの底面に対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、溝1bの対向する側面間の間隔は、溝1bの底面側で最も接近し、溝部1bの開口側で最も離れている。
このように溝1bの側部が底部から開口側に広がる形状とすれば、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどを用いた鋳造技術によって、溝1bを容易に形成することができる。その結果、溝1bを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
なお、このような溝1bの側部を底部から開口側に広がる形状としては、図13(c)に示すように、溝1bの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であってもよい。このとき、図13(c)に示すように、その溝1bに挿入される電波反射部2の凸部2cの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁1aと電波反射部2との接触を容易に回避できる。
本実施の形態では、このように、電波反射部2の電波反射面2aに凸部2cを形成し、さらにその凸部2cを挿入する溝1bを隔壁部1aの端面に形成している。したがって、その溝1bの部分では、導波空間内の電波進行方向に対して略垂直な方向の同一平面内で、隔壁1aと電波反射部2との間の隙間が、上記実施の形態1のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、言い換えれば、凸部2cとそれを挿入する溝1bとにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態1よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。
なお、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態1と同様のものである。
(実施の形態4)
図14から図16を参照して、本発明の実施の形態4に係る偏波分離構造について説明する。
(実施の形態4)
図14から図16を参照して、本発明の実施の形態4に係る偏波分離構造について説明する。
図14(a)は本実施の形態における電波反射部2の概略構造を示す部分斜視図であり、図14(b)はその電波反射部2を用いた偏波分離構造の横断面図であって電波入力方向から見た様子を示すものであり、図15は図14(b)の切断線III−IIIにおける部分断面図であり、図16は電波入力方向から見た様子を示す偏波分離構造の横断面図であって図14(b)に対応する図である。
実施の形態4において、上記実施の形態1と異なる主な点は、電波反射部2の筒状部分の内面に2つの溝2dを設け、電波反射部2と隔壁1aとが接触することなく、その溝2dに挿入されるように、導波管1の隔壁1aの両側方の端面を延在した点である。なお、この溝2dは、上記従来技術2の穴部102iのように、電波反射部を貫通して、導波空間を外部に露出させるようなものではない。また、本実施の形態においても、隔壁1aと電波反射部2との間隔、即ち隔壁1aと電波反射部2の内面との距離は、上記実施の形態1と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図15に示すように、溝2dの底部を電波反射面2a側から基板3側に広がる形状としている。より具体的には、溝2dの底面を、電波反射面2aに対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、図15に示すように、対向する溝2dの底面間の間隔は、電波反射面2a側で最も接近し、基板3側で最も離れている。
また、図示はしないが、上記実施の形態2と同様に、溝2dの側部を底部から開口側に広がる形状としても良い。より具体的には、溝2dの3つの側面を、溝2dの底面に対する垂直方向から、例えば1.5度程度の勾配角度で勾配をつけた平面としても良い。なお、そのような溝2dの側部が底部から開口側に広がる形状としては、図16に示すように、溝2dの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であっても良く、その溝2dに挿入される隔壁1aの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁1aと電波反射部2との接触を容易に回避できる。
このように溝2dの底部を電波反射面2a側から基板3側に広がる形状とすれば、溝の側部を底部から開口側に広がる形状としたのと同様、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどを用いた鋳造技術によって、溝2dを容易に形成することができる。その結果、溝2dを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
本実施の形態では、このような溝2dを電波反射部2の筒状部分の内面に形成し、その溝2dに導波管1の隔壁1aの一部を挿入するようにしている。したがって、その溝2dの部分では、電波反射部2の筒状部分の内面に沿う曲面内で、隔壁1aと電波反射部2との間の隙間が、上記実施の形態1のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、溝2dとそれに挿入される隔壁1aとにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態1よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。
なお、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態1と同様のものである。また、本実施の形態において、上記実施の形態2または3で説明したような電波反射面2aでの構造を組み合わせても良く、そうすればより偏波分離特性を向上させることができる。
(実施の形態5)
図17から図19を参照して、本発明の実施の形態5に係る偏波分離構造について説明する。
図17から図19を参照して、本発明の実施の形態5に係る偏波分離構造について説明する。
図17は本実施の形態における偏波分離構造の概略構造を示す横断面図であって電波入力方向から見た様子を示すものであり、図18は図17の切断線IV−IVにおける部分断面図であり、図19は電波入力方向から見た様子を示す偏波分離構造の横断面図であり図17に対応する図である。
実施の形態5において、上記実施の形態1と異なる主な点は、電波反射部2の筒状部分の内面に2つの凸部2eを設け、電波反射部2と隔壁1aとが接触することなく、その凸部2eが挿入されるように導波管1の隔壁1aの両側方の端面に溝1cを設けた点である。
なお、本実施の形態においては、凸部2eは電波反射部2と一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。また、本実施の形態においても、隔壁1aと電波反射部2との間隔、即ち隔壁1aと電波反射部2の内面との距離は、上記実施の形態1と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図18に示すように、溝1cの底部を電波反射面2a側から基板3側に広がる形状としている。より具体的には、溝1cの底面を、電波反射面2aに対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、図18に示すように、反対側に位置する溝1cの底面間の間隔は、電波反射面2a側で最も接近し、基板3側で最も離れている。
また、図示はしないが、上記実施の形態3と同様に、溝1cの側部を底部から開口側に広がる形状としても良い。より具体的には、溝1cの側面を、溝1cの底面に対する垂直方向から、例えば1.5度程度の勾配角度で勾配をつけた平面としても良い。なお、そのような溝1cの側部が底部から開口側に広がる形状としては、図19に示すように、溝1cの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であっても良く、その溝1cに挿入される凸部2eの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁1aと電波反射部2との接触を容易に回避できる。
このように溝1cの底部を電波反射面2a側から基板3側に広がる形状とすれば、溝の側部を底部から開口側に広がる形状としたのと同様、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどを用いた鋳造技術によって、溝1cを容易に形成することができる。その結果、溝1cを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
本実施の形態では、このように、電波反射部2の筒状部分の内面に凸部2eを形成し、さらにその凸部2eを挿入する溝1cを隔壁部1aの端面に形成している。したがって、その溝1cの部分では、電波反射部2の筒状部分の内面に沿う曲面内で、隔壁1aと電波反射部2との間の隙間が、上記実施の形態1のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、凸部2eとそれを挿入する溝1cとにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態1よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。また、上記実施の形態4では、電波反射部2の筒状部分の内面に溝2dを設け、その溝2dに挿入させるよう隔壁1aの一部を延ばしたため、基板3の開口部3aにもそれに対応した形状に変更する必要がある。これに対して、本実施の形態では、電波反射部2の筒状部分の内面に凸部2eを設け、それが挿入される溝1cを隔壁1aに設けたので、そのように基板3の開口部3aの形状の変更を行う必要はない。
なお、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態1と同様のものである。また、本実施の形態において、上記実施の形態2または3で説明したような電波反射面2aでの構造を組み合わせてもよく、そうすればより偏波分離特性を向上させることができる。
そのような組み合わせの一例として、上記実施の形態2と本実施の形態5とを組み合わせたものが挙げられる。
(実施の形態6)
図20から図21を参照して、本発明の実施の形態6に係る偏波分離構造について説明する。
図20から図21を参照して、本発明の実施の形態6に係る偏波分離構造について説明する。
図20は本実施の形態の概略構造を示す要部分解斜視図であり、図21は図20の切断線V−Vにおける部分断面図である。
本実施の形態は、上記実施の形態1が隔壁1aを導波管1の内部に設けたのに対して、隔壁2fを電波反射部2の内部に設けた点が、上記実施の形態1と相違する。そして、隔壁2fが、一対の電波受信プローブ4a,4bで受信されるそれぞれの偏波を分離するように、開口部3aを貫通して導波管1側に延設されており、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するように、隔壁2fと導波管1との間隔が設定されている。以下では、上記実施の形態1と相違する点について説明する。
本実施の形態の導波管1は、上記実施の形態1のように隔壁1aが形成されず、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって形成することができる。
そして、本実施の形態の電波反射部2において、上記実施の形態1と異なるのは、内部に、階段状部分を備えた隔壁(隔壁部)2fが、電波反射面2aから突出するように設けられていることである。そして、その隔壁2fは、基板3の開口部3aを貫通して、導波管1側に延設されている。本実施の形態においては、電波反射部2と隔壁2fとは、一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。
そして、本実施の形態では、隔壁2fと導波管1の内面(内側の面)との間隔の設定は、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁2fと導波管1とが接触しないようにしている。
すなわち、本実施の形態では、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面とそのアース面に沿って隙間なく密着するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5とそのアース面に沿って隙間なく密着する構成として、導波管1の基板3側端面と基板3の一方の表面に設けられたアース面との接触部分及び電波反射部2の基板3側端面と基板3の他方の表面に設けられたアース面5との接触部分で、外部に電波が漏れないように、また外部からノイズ成分が侵入しないようにしている。
さらに、本実施の形態では、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁2aが開口部3aの内面に接触しないようにしている。
すなわち、図21に示すように、隔壁2fの端面は、導波管1の内面(内側の面)に接触しない。さらに、図21に示すように、隔壁2fの端面は、基板3の開口部3aの内面(内側の面)にも接触しない。なお、通常このような電波受信用コンバータは内部が気密構造とされているので、そのような隔壁2fと導波管1との間や隔壁2fと開口部3aとの間には、別部材が介在されるものではなく、空気等の気体が存在するだけである。
本実施の形態によっても、上記実施の形態1と同様に、充分に良好な偏波分離特性を維持したまま、電波が導波空間の外へ漏れることや、雑音が増大することを抑えることができ、さらに、上記従来技術2のように導波管と電波反射部とを接続するような別部材を必要とせず、構造が単純なので、量産性に優れ、製造を容易にし、量産での良品率を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、上記実施の形態1と類似して、隔壁2fと導波管1との間隔、即ち隔壁2fと導波管1の内面と距離は、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。ここでの間隔とは、図21の左方向では、隔壁2fの段差状部分ではなく図21における断面視で基板3が配置された位置から直線状に延びる隔壁2fの端面と、それに対向する導波管1の内面との間隔となる。
(実施の形態7)
図22から図23を参照して、本発明の実施の形態7に係る偏波分離構造について説明する。
図22から図23を参照して、本発明の実施の形態7に係る偏波分離構造について説明する。
図22(a),(b)は本実施の形態における偏波分離構造の概略構造を示す横断面図であって電波入力方向から見た様子を示すものであり、図23は図22(a)の切断線VI−VIにおける部分断面図である。
実施の形態7において、上記実施の形態6と異なる主な点は、導波管1の内面に2つの溝1dを設け、導波管1と隔壁2fとが接触することなく、その溝1dに挿入されるように、電波反射部2の隔壁2fの両側方の端面を延ばした点である。なお、この溝1dは、導波管1を貫通して、導波空間を外部に露出させるようなものではない。また、本実施の形態においても、隔壁2fと導波管1との間隔、すなわち隔壁2fと導波管1の内面との距離は、上記実施の形態6と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図23に示すように、溝1dの底部を電波入力側から基板3側に広がる形状としている。より具体的には、溝1dの底面を、基板3の基板面に対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、図23に示すように、対向する溝1dの底面間の間隔は、電波入力側で最も接近し、基板3側で最も離れている。
また、図示はしないが、上記実施の形態2に類似して、溝1dの側部を底部から開口側に広がる形状としてもよい。より具体的には、溝1dの側面を、溝1dの底面に対する垂直方向から、例えば1.5度程度の勾配角度で勾配をつけた平面としても良い。なお、そのような溝1dの側部が底部から開口側に広がる形状としては、図22(b)に示すように、溝1dの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であっても良く、その溝1dに挿入される隔壁2fの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁2fと導波管1との接触を容易に回避できる。
このように溝1dの底部を電波入力側から基板3側に広がる形状とすれば、溝の側部を底部から開口側に広がる形状としたのと同様、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどを用いた鋳造技術によって、溝1dを容易に形成することができる。その結果、溝1dを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
本実施の形態では、このような溝1dを導波管1の内面に形成し、その溝1dに電波反射部2の隔壁2fの一部を挿入するようにしている。したがって、その溝1dの部分では、導波管2の内面に沿う曲面内で、隔壁2fと導波管1との間の隙間が、上記実施の形態6のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、溝1dとそれに挿入される隔壁2fとにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態6よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。
なお、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態6と同様のものである。
(実施の形態8)
図24から図25を参照して、本発明の実施の形態8に係る偏波分離構造について説明する。
(実施の形態8)
図24から図25を参照して、本発明の実施の形態8に係る偏波分離構造について説明する。
図24(a),(b)は本実施の形態における偏波分離構造の概略構造を示す横断面図であって電波入力方向から見た様子を示すものであり、図25は図24(a)の切断線VII−VIIにおける部分断面図である。
実施の形態8において、上記実施の形態6と異なる主な点は、導波管1の内面に2つの凸部1eを設け、導波管1と隔壁2fとが接触することなく、その凸部1eが挿入されるように、電波反射部2の隔壁2fの両側方の端面に溝2gを設けた点である。
なお、本実施の形態においては、凸部1eは導波管1と一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。また、本実施の形態においても、隔壁2fと導波管1との間隔、すなわち隔壁2fと導波管1の内面との距離は、上記実施の形態6と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図25に示すように、溝2gの底部を電波入力側から基板3側に広がる形状としている。より具体的には、溝2gの底面を、基板3の基板面に対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、図25に示すように、反対側に位置する溝2gの底面間の間隔は、電波入力側で最も接近し、基板3側で最も離れている。
また、図示はしないが、上記実施の形態3に類似して、溝2gの側部を底部から開口側に広がる形状としてもよい。より具体的には、溝2gの側面を、溝2gの底面に対する垂直方向から、例えば1.5度程度の勾配角度で勾配をつけた平面としてもよい。なお、そのような溝2gの側部が底部から開口側に広がる形状としては、図24(b)に示すように、溝2gの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であってもよく、その溝2gに挿入される凸部1eの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁2fと導波管1との接触を容易に回避できる。
このように溝2gの底部を電波入力側から基板3側に広がる形状とすれば、溝の側部を底部から開口側に広がる形状としたのと同様、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどの鋳造技術によって、溝2gを容易に形成することができる。その結果、溝2gを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
本実施の形態では、このように、導波管1の内面に凸部1eを形成し、さらにその凸部1eを挿入する溝2gを隔壁部2fの端面に形成している。したがって、その溝2gの部分では、導波管1の内面に沿う曲面内で、隔壁2fと導波管1との間の隙間が、上記実施の形態6のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、凸部1eとそれを挿入する溝2gとにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態6よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。
なお、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態6と同様のものである。
(実施の形態9)
図26から図27を参照して、本発明の実施の形態9に係る偏波分離構造について説明する。
(実施の形態9)
図26から図27を参照して、本発明の実施の形態9に係る偏波分離構造について説明する。
図26は本実施の形態の概略構造を示す要部分解斜視図であり、図27は図26の切断線VIII−VIIIにおける部分断面図である。
本実施の形態は、上記実施の形態1が隔壁1aを導波管1の内部のみに設け、上記実施の形態6が隔壁2fを電波反射部2の内部のみに設けたのに対して、導波管1の内部に隔壁1aを設けるとともに、電波反射部2の内部にも隔壁2fを設けている。そして、それら両隔壁部1a,2fが、一対の電波受信部4a,4bで受信されるそれぞれの偏波を分離するように対向配置されており、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するように、両隔壁部1a,2f間の間隔が設定されている。以下では、上記実施の形態1と相違する点について説明する。
本実施の形態の導波管1は、内部に、階段状部分を備えた隔壁1aが形成されているが、上記実施の形態1のものほど延在されていない。本実施の形態においては、導波管1と隔壁1aとは、上記実施の形態1と同様に、一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。
また、本実施の形態の電波反射部2は、内部に隔壁2fが電波反射面から突出するように形成されているが、上記実施の形態6のものほど延在されておらず、またその隔壁2fに階段状部分が備えられていない。本実施の形態においては、上記実施の形態6と同様に、電波反射部2と隔壁2fとは、一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。
そして、本実施の形態では、図27に示すように、基板3の開口部3a付近で、隔壁1aの端面と隔壁2fの端面とが対向配置されいる。さらに、それら両隔壁1a,2fの間隔の設定は、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁1aと隔壁2fとが接触しないようにしている。
すなわち、本実施の形態では、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面とそのアース面に沿って隙間なく密着するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5とそのアース面に沿って隙間なく密着する構成として、導波管1の基板3側端面と基板3の一方の表面に設けられたアース面との接触部分および電波反射部2の基板3側端面と基板3の他方の表面に設けられたアース面5との接触部分で、外部に電波が漏れないように、また外部からノイズ成分が侵入しないようにしている。
さらに、本実施の形態では、導波管1の基板3側端面が基板3の一方の表面に設けられたアース面と確実に接触するとともに、電波反射部2の基板3側端面が基板3の他方の表面に設けられたアース面5と確実に接触するよう、隔壁1a,2fが開口部3aの内面に接触しないようにしている。
すなわち、図27に示すように、互いに対向する隔壁1aの端面と隔壁2fの端面とは、接触しない。さらに、隔壁1a,2fの端面は、基板3の開口部3aの内面(内側の面)にも接触しない。なお、通常このような電波受信用コンバータは内部が気密構造とされているので、そのような隔壁1aと隔壁2fとの間や隔壁1a,2fと開口部3aとの間には、別部材が介在されるものではなく、空気等の気体が存在するだけである。
本実施の形態によっても、上記実施の形態1,6と同様に、充分に良好な偏波分離特性を維持したまま、電波が導波空間の外へ漏れることや、雑音が増大することを抑えることができ、さらに、上記従来技術2のように導波管と電波反射部とを接続するような別部材を必要とせず、構造が単純なので、量産性に優れ、製造を容易にし、量産での良品率を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、図27に示すように隔壁1aと隔壁2fとのいずれもが基板3の開口部3aを貫通しない構成として、導波管1の筒状部分および電波反射部2の筒状部分それぞれの基板3側の端面の位置まで、それぞれの隔壁1a,2fを延設している。これに対して、例えば、上記実施の形態1において図4のように隔壁1aと電波反射部2の筒状部分の内面との間に隙間ができており、上記実施の形態6において図21のように隔壁2fと導波管1の筒状部分の内面との間に隙間ができている。したがって、本実施の形態のこのような構成によれば、上記実施の形態1,6のように隔壁と導波管1の筒状部分の内面や電波反射部2の筒状部分の内面との間に隙間ができないようにして、より偏波分離特性を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態においては、上記実施の形態1,6と類似して、隔壁1aと隔壁2fとの間隔、すなわち互いに対峙する隔壁1aの端面と隔壁2fの端面との距離は、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
(実施の形態10)
図28を参照して、本発明の実施の形態10に係る偏波分離構造について説明する。
図28を参照して、本発明の実施の形態10に係る偏波分離構造について説明する。
図28において、(a)は本実施の形態における偏波分離構造の概略構造を示す部分縦断面図であって図27に相当するものであり、(b),(c)は(a)の領域γの部分拡大断面図である。
実施の形態10において、上記実施の形態9と異なる主な点は、電波反射部2の隔壁2fの端面に凸部2hを設け、隔壁2fと隔壁1aとが接触することなく、その凸部2hが挿入されるように、導波管1の隔壁1aの端面に溝1bを設けた点である。
なお、本実施の形態においては、凸部2hは、隔壁2fとともに、電波反射部2と一体的に形成されており、例えば、アルミニウムダイカストを用いて鋳造技術によって一体形成することができる。また、本実施の形態においても、隔壁1aと隔壁2fとの間隔、すなわち隔壁1aと隔壁2fとの対向する面間の距離は、上記実施の形態9と同様、設計値として0.2mmから0.3mmとすることが好ましい。
さらに、本実施の形態においては、図28(b)に示すように、溝1bの側部を底部から開口側に広がる形状としている。より具体的には、溝1bの側面を、溝1bの底面に対する垂直方向から勾配をつけた平面としている。なお、本実施の形態では、その勾配角度を1.5度程度としている。また、図28(b)に示すように、溝1bの対向する側面間の間隔は、溝1bの底面側で最も接近し、電波反射面2a側で最も離れている。
なお、そのような溝1bが底部から開口側に広がる形状としては、図28(c)に示すように、溝1bの形状が断面視で楕円弧から形成される形状であってもよく、その溝1bに挿入される凸部2hの端面の形状も断面視で楕円弧から形成される形状とすれば、隔壁1aと隔壁2fとの接触を容易に回避できる。
このように溝1bの側部を底部から開口側に広がる形状とすれば、切削加工を用いなくても、アルミニウムダイカストなどを用いて鋳造技術によって、溝1bを容易に形成することができる。その結果、溝1bを形成するのに必要な費用を大幅に削減することができる。
なお、ここで、導波管1の隔壁1aの端面に凸部を設け、その凸部が挿入されるように電波反射部2の隔壁2fの端面に溝を設け、その溝の側部を底部から開口側に広がる形状としても良い。
本実施の形態では、このように、導波管1の隔壁1a又は電波反射部2の隔壁2fの対向する端面の一方に凸部を形成し、さらにその凸部を挿入する溝を他方の端面に形成している。したがって、その溝の部分では、導波空間において電波の進行方向に対して略垂直な同一平面内で、隔壁1aと隔壁2fとの間の隙間が、上記実施の形態9のように連続せず、途切れることになる。言い換えれば、凸部とそれを挿入する溝とにより、導波空間Aと導波空間Bとの間で迂回するような隙間となる。
よって、上記実施の形態9よりも、導波管空間Aと導波空間Bとの間で電波が漏れることを低減することができ、偏波分離特性を向上させることができる。
なお、以上の説明したこと以外は、上記実施の形態9と同様のものである。
(実施の形態11)
図29および図30を参照して、本発明の実施の形態11にかかる偏波分離構造について説明する。
(実施の形態11)
図29および図30を参照して、本発明の実施の形態11にかかる偏波分離構造について説明する。
上述の各実施形態において、電波受信プローブ4bは受信不能な偏波を減衰させるために終端抵抗によって終端する必要がある。このために終端抵抗が用いられるが、一般の終端抵抗では受信不能な偏波を十分減衰させることができないため、マイクロ波用の周波数特性の補償された高価な抵抗が必要となり、コスト高になってしまう。
また、受信不能な偏波が電波受信プローブ4bで受信されて基板3上にいったん導かれるため、減衰させる終端化回路にミスマッチング(不整合)があると反射波として基板3上を飛び回り、受信する側のプローブ4aに回り込んでしまうと、結果的に受信しては行けない偏波を受信してしまうことになり、いわゆる分離度(交差偏波識別度)の劣化を招く。そこで、このような問題を解消する実施形態について以下に説明する。
図29は本実施の形態における概略構造を示す要部分解斜視図であり、図30(a)は基板の上面図であり、図30(b)は図29の切断面IX−IXの断面図である。
図29において偏波分離構造は図2と同じであり、基板3に形成される一対の電波受信部4a,4bのいずれか一方に受信した偏波を吸収する無反射終端部を形成したものである。すなわち、図30(a)に示すように、電波受信プローブ4bからマイクロストリップライン7bの基板端部側に終端のための抵抗器8が配置されており、抵抗器8の他端はスルーホール6Rにより基板3の反対側のアース面に接続されている。
導波管1に導入された右旋円偏波は導波管1内の階段状の隔壁1aで直線偏波に変換されて、電波受信プローブ4aで受信され、後段に設けられているコンバータ回路へ送られて低雑音増幅され、中間周波数に変換されてBSレシーバなどに出力される。
一方、左旋円偏波は階段状の隔壁1aで直線偏波に変換されて電波受信プローブ4bで受信され、マイクロストリップライン7bを通り抵抗器8とスルーホール6Rでアースに接地された無反射終端回路に送られて減衰される。これにより、不要な偏波を吸収することができ、分離度の劣化を生じない。また、電波受信プローブ4bの近傍に抵抗器8を配置できるので、マイクロ波用の周波数特性の補償された高価な抵抗を必要とせず、一般用の抵抗で整合合わせができるため、不要な偏波を十分減衰させることができ、コスト低減が図れる。
(実施の形態12)
図31を参照して、この発明の実施の形態12にかかる偏波分離構造について説明する。
図31を参照して、この発明の実施の形態12にかかる偏波分離構造について説明する。
図31は偏波分離器の基板の上面図である。図31において偏波分離構造はこれまでの実施形態と同じであり、異なる点は基板3のマイクロストリップライン7bにスタブ整合部9を設け、マイクロストリップライン7bをほぼ90度下方に折り曲げたものである。スタブ整合部9により、後段の無反射終端回路とのインピーダンス整合を良好に調整できるため、反射波の発生を抑えることができる。また、抵抗器8が安価な一般用の抵抗器8であってもスタブ整合部9によって整合をとることができるため、コスト低減を図ることができる。
(実施の形態13)
図32(a)はこの発明の実施の形態13にかかる偏波分離構造を示す要部分解斜視図であり、図32(b)は図32(a)の切断面X−Xの断面図である。
図32(a)はこの発明の実施の形態13にかかる偏波分離構造を示す要部分解斜視図であり、図32(b)は図32(a)の切断面X−Xの断面図である。
図32において、偏波分離構造の基本構造は図2と同じであるが、電波受信プローブ4bが廃止されていて、電波反射部2の内部の導波空間B側の反射面上に電波吸収体などの無反射終端部10が設けられている点が異なる。無反射終端部10は、たとえばシリコンゴムなどのゴム系材料にフェライトなどの磁性体に粉末を混ぜ、電波吸収機能を持たせたものが用いられる。
動作については、左旋円偏波は階段状の隔壁1aで直線偏波に変換されて、導波空間Bに導かれるが、電波受信プローブ4bがないため受信されず、電波反射部2に導入される。しかし、電波反射部2には無反射終端部10が設けられているため、ここで直線偏波に変換された左旋円偏波が減衰される。よって、基板3上に左旋円偏波の成分が漏れたり、反射波として飛び回ることが低減される。
(実施の形態14)
図33はこの発明の実施の形態14にかかる偏波分離構造を示す要部分解斜視図であり、図34(a)は基板の上面図であり、図34(b)は図33の切断面XI−XIの断面図である。
図33はこの発明の実施の形態14にかかる偏波分離構造を示す要部分解斜視図であり、図34(a)は基板の上面図であり、図34(b)は図33の切断面XI−XIの断面図である。
この実施の形態14は、導波管1の隔壁1aで分離された後の一方側の半月状部分が閉口して反射面1fが形成され、他方側の半月状部分は開口されている。また、基板3の開口部も図34(a)に示すように、導波管1の開口形状の半月状に合わされている。さらに、基板3には一方の電波受信プローブ4aのみが設置されている。電波反射部も図34(b)に示すように、導波管1の反射面1cに無反射終端部10が装着されている。
動作について説明すると、受信偏波の右旋円偏波はこれまでの説明と同様にして、隔壁1aと基板3の半月状の開口面と電波反射部42で導波空間Aが形成されているので、受信プローブ4aで受信される。しかし、左旋円偏波は隔壁1aで分離されるが、導波管1が閉口されているため基板3には送信されず、反射面1fで反射する。反射面1fには無反射終端部10が設置されているため、左旋円偏波が吸収されて減衰する。これにより右旋円偏波のみが受信される。
この実施形態では、導波空間Bが形成されないため、また受信プローブ4bもないため、基板3上に不要な左旋円偏波が飛び回ることがなくなり、より良好な分離度が期待できる。また、導波管1内に侵入した左旋円偏波も電波吸収体などの無反射終端部10で減衰されるため、さらに良好となる。さらに、基板3の形状も小さくすることができるため、機器本体の小型化が図られ、コスト的にも優位となる。
(実施の形態15)
図35はこの発明の実施の形態15にかかる偏波分離構造を示す要部分解斜視図であり、図36(a)は基板の上面図であり、図36(b)は図35の切断面XII−XIIの切断面である。
図35はこの発明の実施の形態15にかかる偏波分離構造を示す要部分解斜視図であり、図36(a)は基板の上面図であり、図36(b)は図35の切断面XII−XIIの切断面である。
この実施形態は、構成および動作ともに図34および図35と同じであるが、導波管1の隔壁1aを電波反射部52の反射面まで延長させている点において異なる。この実施形態では、基板3と電波反射部52の開口形状は隔壁1aの断面形状を含むため、実施形態14よりやや大きくなるが、アースの接地をより確実に行うことができるので、より良好な分離度が得られる。
次に、実施形態13〜15の無反射終端部の変形例について説明する。電波吸収体としては前述のごとく、たとえばシリコンゴムなどのゴム系材料にフェライトなどの磁性体に粉末を混ぜ、電波吸収機能を持たせたものが用いられるが、吸収量が小さいため、良好な無反射終端部10を形成するのが困難となる。
そこで、図37〜図40に示すように無反射終端部が構成される。
図37〜図40の各(a)は導波管の水平断面図であり、図37〜図40の各(b)は同じく垂直断面図であり、図37(c)は円柱型電波吸収体を示す図であり、図38(c)は円錘型電波吸収体を示す図である。
図37〜図40の各(a)は導波管の水平断面図であり、図37〜図40の各(b)は同じく垂直断面図であり、図37(c)は円柱型電波吸収体を示す図であり、図38(c)は円錘型電波吸収体を示す図である。
無反射終端部10として図37(c)に示すようにポリスチロール系などの発泡材にカーボンなどを浸透させたタイプの半円柱状の円柱型電波吸収体10bを形成し、導波空間を覆うことにより減衰量を増大することができる。
また、図38(c)に示すように電波吸収体を円錐状に形成した円錐型電波吸収体10cを用いると、偏波が空間から電波吸収体に進入する際の整合をよくし、反射波を低減できる。
さらに、図39および図40は抵抗板を用いた例であり、図39に示す抵抗板11aは塩化ビニールやPETなどの薄い樹脂の表面にカーボン塗料などを焼き付けて、10mm×10mm角の抵抗値を数10から数100Ω程度に設定した樹脂板で、抵抗板11aに平行な電波を吸収するために使用する。この抵抗板11aを導波管1内に隔壁1aと交差する方向に挿入すれば、不要な左旋円偏波を吸収できる。
また、図40に示すように、抵抗板11bの開口側の導波管隔壁1a側の一端に切欠き部を形成し、偏波が空間から抵抗板11bに侵入する際の整合をとり、そこで発生する反射波を抑えることができるため、より良好な無反射終端部を形成できる。
図41はこの発明の偏波分離器を搭載した衛星放送受信用コンバータが設けられたパラボラアンテナの外観斜視図であり、図42はこの発明の偏波分離器を搭載した衛星放送受信用コンバータの断面図である。
衛星から送信される電波は、図41に示す反射型パラボラ部51で反射され、集められてフィードホーン54に送られ、さらに電波受信用コンバータ52に送られる。電波受信用コンバータ52に送られた電波は内部の回路により低雑音増幅され、中間周波信号に変換されて出力端子55から同軸ケーブル56で図示しないBSレシ−バに送られる。
次に、図42に示す偏波分離器を搭載した衛星放送受信用コンバータの構造について説明する。フィードホーン54の後段には導波管1と基板3と電波反射部2で形成されたこの発明にかかる偏波分離器が搭載されている。これによって、フィードホーン54で集められた円偏波(電波)は導波管1に送信され偏波分離器によって、右旋円偏波と左旋円偏波に分離される。受信偏波である右旋円偏波は基板3上に配置されたLNA(ローノイズアンプ)21で低雑音増幅され、ローカル発振器部22で発振されたローカル信号とミキサ回路23で合成されて中間周波数(IF)に変換され、さらにIFアンプ24で増幅され、出力端子を介してBSレシーバに送られる。
左旋円偏波は偏波分離器の無反射終端部で減衰するため、ほとんど出力されない。すなわち、受信偏波の右旋円偏波のみを純度よく受信することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,11 導波管、1a,2f 隔壁(隔壁部)、1b,1c,1d,2b,2d,2g 溝、1e,2c,2e,2h 凸部、1f 反射面、2 電波反射部、2a 電波反射面、3 基板、3a 開口部、4a,4b 電波受信用プローブ(電波受信部)、5 アース面、7a,7b マイクロストリップ、8 抵抗器、9 スタブ整合部、10 無反射終端部、10b 半円柱状電波吸収体、10c 円錐型電波吸収体、11a,11b 抵抗板、12 円偏波発生器、13,53,56 同軸ケーブル、21 LNA、22 ローカル発振器部、23 ミキサ回路、24 IFアンプ、51 反射用パラボラ部、52 電波受信用コンバータ、54 フィードホーン。
Claims (11)
- 開口部を有するとともに、1つの電波受信部が設けられた基板部と、
前記基板部の一方の表面側に配置され、内部に隔壁部が設けられた導波管と、
前記基板部の他方の表面側に配置され、内側に電波反射面が形成された電波反射部とを備え、
前記導波管、前記基板部および前記電波反射部により導波空間が形成され、
前記隔壁部は、前記開口部を貫通し前記電波反射部にまで延在して前記電波反射面を2分し、
前記隔壁部により、前記導波空間が前記1つの電波受信部が位置する導波空間と、他方の導波空間とに仕切られ、さらに
前記他方の導波空間には無反射終端部が形成されることを特徴とする、偏波分離構造。 - 前記導波管は前記基板部側端部の前記隔壁で分離された一方が閉口されてその内面で反射面が形成され、前記隔壁で分離された他方は開口されて偏波を後段へ送信し、
前記基板部は前記開口部の形状が前記導波管の開口部と同形状に形成されていて、
前記電波反射部は前記導波管の開口部と同形状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の偏波分離構造。 - 前記導波管は前記基板部側端部の前記隔壁で分離された一方が閉口されてその内面で反射面が形成され、前記隔壁で分離された他方は開口されて偏波を後段へ送信し、
前記導波管の隔壁は前記基板開口部を貫通して後段の電波反射部まで延在し、
前記基板部の開口部の形状と後段の電波反射部の開口部形状とが前記導波管の隔壁の断面形状とを合わせた形状であることを特徴とする、請求項1に記載の偏波分離構造。 - 前記導波管の隔壁で分離された一方を閉口した反射面に前記無反射終端部を形成したことを特徴とする、請求項2または3に記載の偏波分離構造。
- 前記反射面に形成した無反射終端部は、板状の電波吸収体であることを特徴とする、請求項1または4に記載の偏波分離構造。
- 前記反射面に形成した無反射終端部は、半円柱状の電波吸収体であることを特徴とする、請求項1または4に記載の偏波分離構造。
- 前記反射面に形成した無反射終端部は、半円錘状の電波吸収体であることを特徴とする、請求項1または4に記載の偏波分離構造。
- 前記無反射終端部の電波吸収体は抵抗板であることを特徴とする、請求項1または4に記載の偏波分離構造。
- 前記抵抗板の前記開口側の導波管側の一端に切欠き部を形成したことを特徴とする、請求項8に記載の偏波分離構造。
- 請求項1から9のいずれかに記載の偏波分離構造を備えてなる、電波受信用コンバータ。
- 請求項10記載の電波受信用コンバータと、受信電波を反射して前記電波受信用コンバータに導く反射用パラボラ部とを備えてなる、アンテナ装置。
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