JP3825989B2 - 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム - Google Patents

放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP3825989B2
JP3825989B2 JP2001134209A JP2001134209A JP3825989B2 JP 3825989 B2 JP3825989 B2 JP 3825989B2 JP 2001134209 A JP2001134209 A JP 2001134209A JP 2001134209 A JP2001134209 A JP 2001134209A JP 3825989 B2 JP3825989 B2 JP 3825989B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grid
grid stripe
component
image
stripe component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001134209A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002330343A (ja
Inventor
仁司 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001134209A priority Critical patent/JP3825989B2/ja
Publication of JP2002330343A publication Critical patent/JP2002330343A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3825989B2 publication Critical patent/JP3825989B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B6/00Apparatus or devices for radiation diagnosis; Apparatus or devices for radiation diagnosis combined with radiation therapy equipment
    • A61B6/52Devices using data or image processing specially adapted for radiation diagnosis
    • A61B6/5211Devices using data or image processing specially adapted for radiation diagnosis involving processing of medical diagnostic data
    • A61B6/5252Devices using data or image processing specially adapted for radiation diagnosis involving processing of medical diagnostic data removing objects from field of view, e.g. removing patient table from a CT image

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Computer Vision & Pattern Recognition (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Radiography Using Non-Light Waves (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)
  • Image Processing (AREA)
  • Closed-Circuit Television Systems (AREA)
  • Image Analysis (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、散乱放射線を除去するためのグリッドを使用した放射線撮影により被写体の放射線画像を取得する装置或いはシステムに用いられる、放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記憶媒体及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より例えば、X線に代表される放射線を被写体(物体)に照射し、当該被写体を透過した放射線成分の空間分布(放射線分布)を画像化することで、被写体内部を可視化可能とする技術が用いられているが、放射線は被写体内部で散乱放射線(散乱線)を発生するため、被写体を透過した直接透過放射線(直接線)と共に、散乱放射線(散乱線)をも画像化されてしまう。
【0003】
散乱線の発生過程は、放射線の種類や、被写体の物性、或いは構造等に依存し、通常は予測不可能である。このため、散乱線を除去した放射線画像を得るためには、様々な工夫が必要となってくる。
【0004】
散乱線を除去した放射線画像を簡便に得る方法において、代表的な方法としては、鉛等の放射線遮蔽物質の壁を放射線の受像面に設け、当該受像面に到達する放射線の角度を規制することで、散乱線成分を遮蔽する方法がある。
【0005】
具体的には例えば、医療分野におけるX線撮影では、人体等の被写体からの散乱X線を除去するために、「グリッド」と呼ばれる器具を被写体とX線の受像面の間に設置することが行われている。
【0006】
グリッドは、鉛等のX線遮蔽物質と、木材や、紙、アルミニウム、或いはカーボン等のX線透過物質とが、互いにX線発生源(焦点)へ収束する方向を向くように角度を付けて、所定の幅で交互に並べて構成される器具である。
【0007】
上述のようなグリッドは直接線の一部を除外するため、X線の受像面でもグリッドの影(グリッドの陰影、以下、「グリッド縞」とも言う)が見られることになるが、「X線遮蔽物質とX線透過物質を交互に配置する空間的な周期を正確にする」、及び「当該周期を比較的高い空間周波数にする」等という構成をとることで、X線画像の観察者に対して、当該X線画像上にグリッド縞が存在することの違和感を極力減らしている。
【0008】
図21は、グリッド940の構成を模式的に示したものである。
上記図21において、“910”はX線の発生源を示し、“920”はX線の放射方向を示す。“930”は人体等の被写体を示し、“950”はX線の受像面を示す。
【0009】
上記図21に示すように、グリッド940は、その製造のし易さ等の理由から、2次元平面上の1方向のみ(同図の矢印で示す縦方向)に縞構造を成すものが一般的である。
【0010】
また、グリッド縞のコントラストを低減(除去)する方法としては、X線曝射中に、グリッドのみを縞に直交する方向へ移動させ、X線の受像面でのX線曝射中の積分効果を利用する方法がある。
【0011】
ここでの放射線の受像面(受像部分)というのは、主に、放射線分布を直接感光材料に記録する放射線フィルムを意味している。
【0012】
ところで、近年では、医療用等の放射線画像についても、放射線フィルムにより直接画像化する方法よりも、放射線画像をディジタルデータとして扱う方法が一般化しつつある。
例えば、放射線分布を電気信号(アナログ信号)へ一旦変換し、当該アナログ信号をディジタル化(A/D変換)して数値データ(ディジタルデータ)ヘ変換する。これにより、ディジタル化された放射線画像(ディジタル放射線画像)に対して、ファイリング、画像処理、及びモニタ表示等の処理を低コストで行える。
【0013】
しかしながら、ディジタル放射線画像の場合、必然的に2次元空間的に画像信号をサンプリングする必要があるため、当然サンプリング定理に基づくエリアシングの問題が顕在化してくる。
【0014】
具体的には、一般の画像の場合、空間におけるサンプリング周期を適切な周期(細かい周期等)にすることで、多少のエリアシングが発生しても、画像を観察するにあたって問題はない。
【0015】
これに対して、グリッドを使用して得られたディジタル放射線画像の場合、グリッドによる周期的な縞模様がエリアシングにより非常に低周波になってしまう場合や、サンプリング周期によってはエリアシングは発生しないが低周波の振幅変動が発生してしまう場合があり、これは、画像の観察者の関知するところとなり問題である。
【0016】
そこで、エリアシング等による不適切なグリッド縞模様を除去する方法としては、次のような方法が提案されている。
ここでは、放射線画像をディジタル化する方法を大きく2つの方法に分類し、これらの2つの方法に対するグリッド縞模様を除去する(方法1)及び(方法2)を挙げるものとする。
【0017】
(方法1)
ここでのディジタル化方法では、先ず、放射線分布(放射線強度分布)を一旦別のエネルギー分布(蛍光等のエネルギー分布)に変換し、これを走査することで、画像を1方向にのみ空間サンプリングするアナログ的なビデオ信号(時間信号)を生成し、当該時間信号を別に用意した時間的な周期に基づいてA/D変換する。
当該ディジタル化方法の代表例としては、輝尽性蛍光体に貯えられたエネルギーをレーザ走査により逐次蛍光化/集光して、ビデオ信号として取得し、その後、順次A/D変換を行う方法が挙げられる。
【0018】
上記のディジタル化方法によりディジタル的な放射線画像を取得するにあたって、エリアシング等による不適切なグリッド縞模様を除去する方法としては、例えば、特許第2507659号、特許第2754068号、及び特開平8−088765号等に記載された方法がある。
【0019】
具体的には、先ず、放射線分布に対応した別のエネルギー分布に対する走査を、グリッド縞に直交する方向に行い、グリッド縞をビデオ信号上での周期信号に変換し、アナログ的な当該周期信号に対して、低域通過フィルタリングを行った後、時間軸のサンプリングを行う。このような通常のアンチエリアシングフィルタの構成により、不適切なグリッド縞を除去できる。
【0020】
上述のような方法に類する方法として、特許第2507659号等には、予備的にサンプリングした画像をフーリエ変換することにより、グリッド縞模様の像の存在及びその周波数を検出し、その検出結果に基づいた低域通過フィルタを選択し、これを用いて低域通過フィルタリングを行うことで、不適切なグリッド縞を除去する方法が提案されている。
【0021】
また、特許第2754068号や特開平8−088765号等には、特許第2507659号等で提案されているアナログ的な低域通過フィルタリング処理ではなく、時間軸のサンプリングを所望の間隔より短く行い、グリッド縞模様の情報のエリアシングを無くしてグリッド像を含む画像情報を取得した後に、グリッド像成分を除去するディジタル的な低域通過フィルタリングを行い、その後、ディジタル的に間引いて(再サンプリング)、所望のサンプリング間隔による画像を得る方法が提案されている。
【0022】
(方法2)
ここでのディジタル化方法では、先ず、放射線強度分布を一旦別のエネルギー分布(蛍光や電界強度等のエネルギー分布)に変換し、これに対して、2次元的に配置された複数の電気信号変換素子(フォトダイオードやキャパシター等)により直接2次元サンプリングを行い、各変換素子からの信号を順序取り出してA/D変換する。
当該ディジタル化方法の代表例としては、近年技術開発が進んでいる大画面平面センサにより、放射線による大面積にわたる蛍光分布若しくは電界強度分布を二次元配列された複数の画素毎の変換素子で電気信号化する、所謂放射線フラットパネルセンサを用いた方法が挙げられる。
【0023】
ところで、この方法2のディジタル化方法によりディジタル的な放射線画像を取得するにあたって、エリアシング等による不適切なグリッド縞模様を除去するのは非常に困難となっている。その理由は、放射線フラットパネルセンサ等(以下、単に「センサ」或いは「フラットパネルセンサ」とも言う)の複数の電気信号変換素子により2次元空間上で直接サンプリングされるため、方法1のようなアナログ的な電気信号に対するアンチエリアシングフィルタが適用できないためである。
【0024】
上記の問題を解決するために、センサにより2次元空間上でエリアシングを起こさない程度の細かさで直接サンプリングを行い、ディジタル的なアンチエリアシングフィルタを施した上で、上述した再サンプリングを行う方法が考えられるが、このような方法では、センサの電気信号変換素子の構成上、2次元空間での細かなサンプリングが困難であり、電気信号変換素子自体の性能を落とす上に、莫大なコストアップを招いてしまう。
【0025】
そこで、従来のようにX線曝射中にグリッドを移動させる方法が行なわれている。
【0026】
別の方法として、特開平9−75332号等では、センサにより2次元空間で直接サンプリングしてディジタルX線画像を取得する際に、グリッド縞を除去することを目的とし、グリッド縞の間隔とサンプリングピッチ(センサの画素ピッチ)を完全に一致させ、グリッド縞による直接線を遮断する領域と画素の隙間を一致させることにより、不適切なグリッド縞を画像上に発生させないようにする方法が提案されている。
【0027】
また、特開平9−78970号や、U.S.Patent5801385等では、グリッド縞の間隔をサンプリングピッチより小さくし、1画素(1つの電気信号変換素子)の有する受光部の開口の幅と同じにする或いはそれに近づけるようにすることで、グリッド縞のコントラストを低減する方法が提案されている。
【0028】
また、U.S.Patent5.050.198等では、複数の撮影条件でグリッド縞模様の像(グリッド像)を予め記憶しておき、実際にグリッドを用いた撮影を行ったときに、予め記憶した複数のグリッド像の中で撮影条件の一致又は近似したグリッド像により撮影で得た画像を除算することで、グリッド像を除去する方法が提案されている。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の放射線画像処理、特に、(方法2)に代表される、2次元空間上で直接サンプリングするセンサ及びグリッドを使用して放射線画像を取得した場合の画像処理では、次のような問題点があった。
【0030】
まず、特開平9−75332号等で提案されている構成において、グリッド縞の間隔とサンプリングピッチを完全に一致させることは非常に困難である。すなわち、一般的に半導体製造工程で作成されるフラットパネルセンサと、比較的厚みのある鉛板の組み合わせで作成されるグリッドとは、それぞれ独立して作成作業が行なわれ、或いは、グリッド自体は、そのときの状況により取り外し可能なように作成しなくはいけないため、これらの要因により、グリッド縞の間隔とセンサの画素ピッチ(サンプリングピッチ)を完全に合致させることは非常に困難である。
【0031】
また、特開平9−78970号やU.S.Patent5801385等で提案されている構成において、グリッド縞の間隔をサンプリングピッチより細かくし、1画素の有する受光部の開口の幅と同じにする或いは近づけるのは有効であるが、センサ(フラットパネルセンサ)が高精細化し、サンプリングピッチが、例えば、0.1mm以下になると、グリッド縞の間隔も同様に、1mm当たり10本以上という非常に細かなものが要求されるようになる。このような細かな縞のグリッドとなると、散乱線を遮断するための鉛板厚さはほぼ固定されているため、直接線の通過する領域を狭くするしかなく、この結果、放射線量の利用効率が極端に低くなり、良好な放射線撮影を行えなくなる。
【0032】
また、上述したような従来の構成では、放射線曝射中にグリッド自体を移動させるようになされているが、このグリッドの移動については、グリッド移動のための駆動系等によるコスト上昇、装置或いはシステムの大型化を招くと共に、駆動タイミングと放射線曝射タイミングの関係、及び駆動速度の関係等の調整制御等のための構成等を設ける必要がある。したがって、グリッド移動の構成は、グリッド縞を除去するためには有効であるが、上述のような制限があり、常に採用できるわけではない。
【0033】
そこで、上記の問題点を解決するために、得られる放射線画像がディジタルデータであることから、ディジタルフィルタリングにより、グリッド縞を除去する方法が考えられる。この方法によれば、グリッド縞の空間周波数と被写体に基づく有効な画像情報の空間周波数成分が完全に分離されていれば、単純なフィルタリング構成にてグリッド縞を除去できる。
【0034】
上記の方法の具体例として、特開平3−12785号等では、フーリエ変換を用いて、グリッド縞の空間周波数に相当するデータを除去若しくは低減する方法が提案されている。
【0035】
また、通常のFIR(Finite Inpulse Response)フィルタを用いて、グリッド縞の空間周波数に相当するデータを除去若しくは低減する方法も考えられる。
【0036】
ところで、グリッド縞の像は、鉛等のX線遮蔽物質による放射線の透過率の低減した陰影であるため、信号ではほぼ乗算的に重畳されるが、対数変換を行えば加算的に重畳されることになる。したがって、上述したようなフィルタリングが可能となる。
【0037】
また、一般的に、散乱線除去のためのグリッドの製造工程は、非常に精度よく管理されており、そのグリッド縞についても、画像全般にわたって均一の空間周波数特性を有するものが広く用いられている。このため、上述したようなフィルタリングについても、単一の空間周波数に対してのみ行えばよいという可能性がある。
【0038】
また、実際には、グリッド縞の像(陰影)の形状は、正確な正弦波状ではないため、逓倍周波数である2倍,3倍,…の空間周波数成分が存在する可能性があるが、この場合、センサでの変換過程(エネルギー変換過程)の2次元空間的な依存性に起因するボケにより、基本波成分のみが受像されると考える。
【0039】
しかしながら、上述したようなフィルタリングでの問題は、画像成分自体の空間周波数帯域を制限することは不可能に近いということにある。
【0040】
具体的には例えば、特許第2754068号や特開平8−088765等で提案されているものに代表されるように、空間サンプリングピッチを非常に細かくし、当該サンプリング後に有効なナイキスト周波数を高めて、有効な帯域幅(ナイキスト周波数以下の帯域幅)を広くとり、その中で画像成分とグリッド縞成分が完全に分離されれば、何の問題もなく、通常のフィルタリングでグリッド縞の除去が行えることは明確であるが、現実的な問題として、グリッド縞を除去するためだけのために、空間サンプリングピッチを高めることは、半導体プロセス、その他の要因によりセンサの非常なコストアップにつながり、さらに、放射線取得効率を落とす原因となり、有効ではない。
【0041】
したがって、ナイキスト周波数以下の帯域に有効な画像成分がほぼ収まる程度の空間サンプリングピッチでセンサ自体を構成することが、コスト的及び性能的に有効であるが、このような構成をとった場合、グリッド縞の空間周波数と有効な画像成分の空間周波数との間にある程度の重畳があるのはやむをえない。
【0042】
具体的には、例えば、図22(a)〜(d)を用いて説明すると、まず、同図(a)は、処理対象となる画像(元画像)を1次元で見たときの当該画像信号を示したものであり、当該画像信号は256点の数値で構成されている。
上記図22(b)は、同図(a)で示される画像信号をフィルタリングする際の、空間周波数領域でのフィルタの応答特性を示したものである。上記図22(b)では、離散フーリエ変換を意識して、周波数領域を“0”〜“128”の数値で表しており、空間周波数の値が“100”の位置での帯域カットフィルタリングとしている。
上記図22(c)は、同図(b)で示されるフィルタリングを、同図(a)で示される画像信号に対して施した結果を示したものである。上記図22(c)の画像信号は同図から明らかなように、同図(a)で示される画像信号の特性からほとんど変化がない。
上記図22(d)は、確認のために、同図(a)で示される画像信号と、同図(c)で示される画像信号との差分を示したものである。上記図22(d)から明らかなように、フィルタリングにより除去された信号成分はほとんどない。
【0043】
また、図23(a)は、上記図22(a)で示した画像信号(元画像信号)に対して、中間で急峻に立ち上がる部分(いわゆるエッジ部分)を加えたものを示したものである。
上記図23(b)は、上記図22(b)と同様に、上記図23(a)で示される画像信号をフィルタリングする際の、空間周波数領域でのフィルタの応答特性を示したものである。
上記図23(c)は、同図(b)で示されるフィルタリングを、同図(a)で示される画像信号に対して施した結果を示したものである。上記図23(c)において、丸で囲った部分から明らかなように、元画像信号から外れて不安定な振動をしていること(アーチファクト)がわかる。
上記図23(d)は、確認のために、同図(a)で示される画像信号と、同図(c)で示される画像信号との差分を示したものである。上記図23(d)から明らかなように、急峻に変動する部分(信号の両端部分を含む)に関して、多くの振動成分が現れている。
【0044】
上記図22(a)〜(d)及び図23(a)〜(d)に示されるように、通常の画像信号の場合、ナイキスト周波数(同図では空間周波数が“128”)以下の、かなり高い周波数の成分については、画像信号の主成分ではなく、ほとんど情報がない成分であるため、この位置で急峻なフィルタリング処理を施しても問題は少ない。これに対して、画像信号が急峻な部分(エッジ部分)を有する場合、上記のナイキスト周波数以下の、かなり高い周波数成分を用いて画像信号が表現されるため、これにフィルタリングを施すと、急峻に変動する部分で問題(アーチファクト)が発生してしまう。
【0045】
図24(a)〜(d)は、グリッドを摸して、上記図22(a)に示される元画像信号に対して、正弦波(sin(2π100x/256))を加えた場合の信号状態を示したものである。上記図24(a)〜(d)から明らかなように、同図(b)で示されるフィルタの応答特性を有するフィルタリングにより、グリッド縞がほぼ除去されている(同図(c)参照)。
【0046】
図25(a)〜(d)は、グリッドを摸して、上記図23(a)に示される元画像信号に対して、正弦波(sin(2π100x/256))を加えた場合の信号状態を示したものである。上記図25(a)〜(d)から明らかなように、同図(b)で示されるフィルタの応答特性を有するフィルタリングにより、上記図23(c)と同様なアーチファクトが発生している(上記図25(c)参照)。
【0047】
すなわち、特開平3−12785号等に記載されているような、単純なフィルタリング処理では、グリッド縞の成分を除去すると、上述のようなアーチファクトが強く発生してしまう可能性がある。また、アーチファクトを減らすために、フィルタのインパルス応答の幅を狭くすると、フィルタリングの応答特性が広い範囲で低減するようになってしまい、画像自体が強くなまった形になってしまう。
【0048】
また、上述したように、放射線画像をディジタルデータとして扱うことにより、当該放射線画像を冗長性の高いデータとして、データ量を圧縮し保存或いは転送等を行えるが、当該放射線画像上にグリッド縞成分が存在すると、圧縮率を上げることができない。
【0049】
具体的には例えば、まず、ディジタル画像情報の圧縮方法の一例としては、DCT(直交変換:Discrete Cosine Transform)を用いたJPEG標準方式が挙げられる。一般的な画像圧縮の場合、画像情報の冗長性として、画像情報の局所的な変動が少ないことを利用して、DCT等の変換により得られる高次の成分(画像情報の変動が少ないと、その値が小さくなる成分)を抑制することで、画像圧縮を行う。
【0050】
しかしながら、圧縮対象の画像が放射線画像であり、当該放射線画像に、本来不要な情報であるグリッド縞成分が存在した場合、すなわち実際には不要な縞状の変動成分が存在する場合、多くの圧縮方法では、画像情報の冗長性が少ないと判断され、画質保持のために圧縮率を上げることができない。また、これに反して無理に圧縮を行うと、グリッド縞成分の部分に対する無理な圧縮により、アーチファクトが発生してしまう。
【0051】
そこで、本発明は、上記の欠点を除去するために成されたもので、グリッドを使用した放射線撮影により得られた放射線画像から、グリッドに起因する画像成分の除去された良好な被圧縮放射線画像を得ることのできる、放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記憶媒体及びプログラムを提供することを目的とする。
【0052】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的下において、本発明の放射線画像処理装置は、散乱放射線を除去するためのグリッドを使用した放射線撮影により得られた放射線画像データを処理する放射線画像処理装置であって、前記グリッドに起因して前記放射線画像データに生じるグリッド縞の空間周波数を解析して得る手段と、前記解析して得た空間周波数に基づく帯域制限処理を前記放射線画像データに対して行い、処理結果として得られた画像データを第1のグリッド縞成分として抽出する第1の手段と、前記第1のグリッド縞成分の振幅を示す値を算出する手段と、前記算出した振幅を示す値が所定の範囲外である前記第1のグリッド縞成分の値を、前記算出した振幅を示す値が所定の範囲内である前記第1のグリッド縞成分の値から推定した値に置換し、置換して得られた画像データを第2のグリッド縞成分として抽出する第2の手段と、前記放射線画像データから前記第2のグリッド縞成分の除去処理を行う手段と、前記グリッド縞成分の除去された前記放射線画像データを圧縮処理する圧縮手段とを備えることを特徴とする。
【0053】
本発明の画像処理システムは、複数の機器が互いに通信可能に接続されて構成される画像処理システムであって、前記複数の機器のうち少なくとも1つの機器は、前記放射線画像処理装置の機能を有することを特徴とする。
【0054】
本発明の放射線画像処理方法は、散乱放射線を除去するためのグリッドを使用した放射線撮影により得られた放射線画像を処理する放射線画像処理方法であって、前記グリッドに起因して前記放射線画像データに生じるグリッド縞の空間周波数を解析して得る工程と、前記解析して得た空間周波数に基づく帯域制限処理を前記放射線画像データに対して行い、処理結果として得られた画像データを第1のグリッド縞成分として抽出する第1の工程と、前記第1のグリッド縞成分の振幅を示す値を算出する工程と、前記算出した振幅を示す値が所定の範囲外である前記第1のグリッド縞成分の値を、前記算出した振幅を示す値が所定の範囲内である前記第1のグリッド縞成分の値から推定した値に置換し、置換して得られた画像データを第2のグリッド縞成分として抽出する第2の工程と、前記放射線画像データから前記第2のグリッド縞成分の除去処理を行う工程と、前記グリッド縞成分の除去された前記放射線画像データを圧縮処理する圧縮工程とを有することを特徴とする。
【0055】
本発明のコンピュータ読出可能な記憶媒体は、前記放射線画像処理装置の機能、又は前記画像処理システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0056】
本発明のコンピュータプログラムは、前記放射線画像処理方法の処理工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0095】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0096】
[第1〜第5の実施の形態の構成の概要]
ここでは、本発明の実施の形態として、第1〜第5の実施の形態を例示として挙げる。第1〜第5の実施の形態の具体的な説明の前に、これらの概要について説明する。
【0097】
尚、ここでは放射線の一例として、X線を用い、X線撮影により得られたX線画像について処理するものとする。
また、以下に説明する構成は、本発明を適用した一構成例であり、これに限られることはない。
【0098】
第1〜第5の実施の形態では、特に、グリッド縞成分が重畳したX線画像(元画像)から当該グリッド縞成分のみを抽出し、そのグリッド縞成分を元画像から減じ、その後に画像圧縮を行う。この構成によれば、画像圧縮率の低下を防ぐと共に、アーチファクトの発生を防ぐことができる。これは、グリッド縞成分が、画像圧縮対象のX線画像(対象画像)から完全に除去されていれば、不要な情報(グリッド縞成分の情報)の変動がないため、様々な圧縮方法において、対象画像情報に冗長性があると判断することができ、その結果、圧縮率を大幅に上げることができる。また、無理な圧縮を行う必要もなくなるため、アーチファクトが発生することもない。
【0099】
具体的には、まず、第1の実施の形態では、対象画像(X線撮影で得られた画像)の1つのフレームを解析する。そして、グリッド縞に直交する方向の画素の欠陥については、線形予測型の画素欠陥補正処理を施す。
また、グリッド縞成分については、上記解析結果に基いて、一旦低次のFIRフィルタリングにて抽出し、その後、別のFIRフィルタリングとのベクトル振幅特性計算により包絡線情報を取得する。そして、当該包絡線情報に基づいて、グリッド縞成分から非定常な部分を抽出し、当該非定常分を、その周囲の定常な部分を利用して補修することで、グリッド縞成分を、全体として定常な信号系列に変換する。そしてさらに、より適切にグリッド縞成分のみを抽出するために、グリッド縞成分に対応する空間周波数を選択的に抽出するフィルタリング処理を実行し、その結果をグリッド縞成分とする。
上述のようにして取得したグリッド縞成分を、対象画像信号から差し引く。これにより、グリッド縞成分の除去後の画像が得られる。このグリッド縞成分の除去後の対象画像に対して、画像圧縮を行う。
【0100】
第2の実施の形態では、対象画像を解析し、この結果に基いて、グリッド縞成分を除去した後の画像に画素欠陥補正を行なう。ここでの画素欠陥補正としては、例えば、平均による画素欠陥補正を適用可能である。この画素欠陥補正後の画像に対して、画像圧縮を行う。
【0101】
第3の実施の形態では、グリッド装着を検知する検知手段を設け、グリッド装着が検知手段により確認された場合に、対象画像を解析し、この結果に基いて、予測型の画素欠陥補正、及びグリッド縞成分の除去を行う。そして、これらの処理後の対象画像に対して、画像圧縮を行う。
【0102】
第4の実施の形態では、X線曝射の照射野が、被写体の撮影部位に対応するように絞られている状態の場合、当該照射野に相当する部分画像のみを対象画像として、第1の実施の形態での処理を実行する。
【0103】
第5の実施の形態では、被写体の状況によっては画像の部分毎にグリッド縞が存在しない場合もあることにより、グリッド縞が存在しない部分の画像に対して、グリッド縞除去の処理を行わない方法をとる。
具体的には、抽出されたグリッド縞成分に関して、グリッド縞成分が存在しない部分の情報を零(“0”)データに置き換えることで、当該部分については、グリッド縞除去の処理を行わない。このような処理後の対象画像に対して、画像圧縮を行う。
【0104】
尚、第1〜第5の実施の形態において、例えば、抽出されたグリッド縞成分は画像情報として存在していることにより、その画像を保持しておくようにしてもよい。これにより、対象画像からグリッド縞成分を除去した場合であっても、その後に、保持しておいたグリッド縞成分の画像情報を用いて、元の対象画像、すなわちグリッド縞を除去しない状態の画像を復元可能としてもよい。また、保持しておいたグリッド縞成分に対しても、画像圧縮処理を行うようにしてもよい。さらに、このグリッド縞成分に対する画像圧縮処理において、当該グリッド縞成分に適した圧縮方法を適用することも可能である。
【0105】
[第1〜第5の実施の形態におけるグリッド縞成分の除去処理]
ここでは、第1〜第5の実施の形態における、グリッド縞成分の除去処理について説明する。
尚、以下の説明では、第1〜第5の実施の形態をまとめて「本実施の形態」と言う。
【0106】
まず、本実施の形態では、特に、特開平3−12785号等に記載されているような従来のフィルタリング処理(単純なフィルタリング処理)によりグリッド縞を除去したときの問題を、次のような構成により解決した。
【0107】
すなわち、処理対象のX線画像の信号(以下、単に「対象画像信号」又は「対象画像」とも言う)に重畳されている、本来画像全体にわたって安定な縞模様として存在するはずである、グリッド縞の成分情報(以下、単に「グリッド縞成分」とも言う)を推定して求める。そして、対象画像からグリッド縞成分を除去する、例えば、対象画像信号が対数画像の信号である場合、求めたグリッド縞情報を対象画像信号から差し引く。これにより、対象画像信号に影響を与えることなく、安定したグリッド縞情報の除去が可能となる。
【0108】
具体的には例えば、グリッド縞成分が示す周波数から、ほぼ当該グリッド縞成分を含む成分を分離し、分離後の当該成分を、グリッド縞の示すであろう特徴情報に基づいて加工し、当該加工後の情報を、グリッド縞成分と見なし、これを対象画像信号から除去する。
【0109】
グリッド縞成分は、空間スペクトル表現によれば、かなり強い成分を有し、グリッド縞の空間周波数を適当に選択すれば、サンプリングの際のナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2に相当する空間周波数)近辺に存在させることができる。この結果、上記図24(a)〜(d)に示したような、グリッド縞成分が通常の画像信号の主成分とは重ならないような状態が容易に得られる。
【0110】
ここで、対象画像信号に対して、急峻な変動成分が存在する場合に限り、上記図25(a)〜(d)を用いて説明したように、グリッド縞成分と対象画像信号との分離が困難となる。
【0111】
また、場合によっては、対象画像がグリッド縞自体が存在しない領域を含む場合も考えられる。これは、X線をほぼ完全に遮断するような部分を含む被写体をX線撮影した場合や、センサのダイナミックレンジで規定される以上の強いX線が当該センサの部分的領域に到達した場合に、サチュレーションにより当該領域のグリッド縞成分がなくなる場合である。
【0112】
尚、通常、X線画像を取得する場合、被写体内部を透過するX線量を重視するため、被写体外部(素抜け部分)では、被写体透過量の数100倍ものX線量になる。一般に、センサ、或いはセンサ用のアンプのダイナミックレンジを、情報のない被写体外部まで考慮して広げることは無意味であり、被写体外部は、ほとんどの場合、センサの入出力特性がサチュレーションによる非線形性を呈する領域に当たり、グリッド縞成分が存在しなくなる、或いはコントラストが落ちた状態となる。
【0113】
そこで、本実施の形態では、対象画像において、グリッド縞成分と対象画像信号の分離が困難になるような急峻な変動(例えばエッジ部分)がある場合、及びグリッド縞自体が存在しない領域を含む場合の双方に適応的に対応し、アーチファクトを発生することなく、グリッド縞成分を除去することを実現した。
【0114】
本実施の形態でのグリッド縞成分の除去処理は、主に、次のような第1処理ステップ〜第3処理ステップを含む処理としている。
【0115】
第1処理ステップ:
グリッド縞成分を含んで得られた対象画像から、グリッド縞に直交する方向のラインデータをサンプル的に抽出し、グリッド縞の空間周波数を割り出す。
【0116】
第2処理ステップ:
順次対象画像からグリッド縞成分を抽出し、その結果(グリッド縞成分)を対象画像から差し引くが、このとき、アーチファクトの発生を考慮して、アーチファクトが発生しても、その影響範囲が小さくなる比較的小さなスパンのFIRフィルタリングにより、グリッド縞を主とした成分を抽出する。
【0117】
第3処理ステップ:
第1処理ステップで得られたグリッド縞の空間周波数に基いて、第2処理ステップで得られたグリッド縞を主とした成分の包絡線を、当該成分と別のFIRフィルタリングによって当該成分の位相を90°移動させた成分とのベクトル振幅計算により求める。
【0118】
上記の第1処理ステップ〜第3処理ステップを含むグリッド縞成分の除去処理について、さらに具体的に説明すると、まず、第3処理ステップで得られた包絡線情報は、必ず正の値をとり、その特徴としては、次のような特徴(1)及び(2)を有する。
(1)急峻な変動部分(例えばエッジ部)に関しては、非常に大きな値を示す。
(2)グリッド縞が存在しない部分に関しては、ほぼ“0”となるような小さな値を示す。
【0119】
本実施の形態では、上記の包絡線情報に基いて、特徴(1)により示される値の部分(非常に大きな値の部分)、及び特徴(2)により示される値の部分(非常に小さな値の部分)について、グリッド縞成分を補修することで、より安定したグリッド縞成分の作成を実現する。
【0120】
グリッド縞成分の補修の方法としては、例えば、上記特徴(1)の部分を、その周辺の安定したグリッド縞の部分から予測した成分に置き換えることで、全体として安定したグリッド縞成分にする方法が挙げられる。
【0121】
上述のようにして取得した、安定した成分のみが存在するグリッド縞を主とした成分について、ライン全体に対して、通常のフィルタイリング処理を行う。このとき、グリッド縞の空間周波数を中心としたより狭い範囲の空間周波数みを抽出するフィルタリングを行う。
【0122】
上記のフィルタリングの結果(抽出成分)を、対象画像におけるグリッド縞成分とするが、包絡線情報が、特徴(2)を有するものである場合、すなわちグリッド縞を主とした成分にグリッド縞成分が存在しない部分がある場合、もともとグリッド縞が存在しないのだから、当該部分のグリッド縞を主とした成分を “0”に置き換える。
【0123】
また、対象画像に対してフィルタリング処理を施す際、より急峻なフィルタリング処理を安定に高速に行うために、高速フーリエ変換アルゴリズムを用いる場合があるが、この場合、データ点数が“2”のn乗(nは正の整数)に限定される。このため、通常データの周辺に“0”を詰めて点数を合わせるようにする。この“0”を詰めた範囲のデータも、包絡線情報が特徴(2)を示す部分に該当するデータと考えればよい。
【0124】
尚、グリッド自体の空間周波数として有効な空間周波数としては、ここでは、特願2000−028161号等で提案されているようなサンプリング周波数(空間サンプリングピッチの逆数)の30%以上40%以下となるような空間周波数(ナイキスト周波数の60%以上80%以下)から選ばれていると有効である。この理由は、一般的にサンプリング周波数の30%以下に画像の主成分が集中し、サンプリング周波数の40%以上60%以下の空間周波数を有する強いグリッド縞の成分は、サンプリング後に線形補間に類する補間処理が施された場合に、別の周期的な振幅変動を起こしたように見え、グリッド縞自体の安定性に欠けるためである。
【0125】
グリッド自体の空間周波数を“fg[cyc/mm]”とし、センサのサンプリングのピッチを“T”とすると、グリッド縞の空間周波数fmは、
【0126】
【数1】
Figure 0003825989
【0127】
なる式(1)で表される。
【0128】
本実施の形態では、上記式(1)で表される空間周波数fmに相当する縞模様がグリッド縞成分として対象画像中に存在することを考慮して、上述した第1処理ステップにおいて、グリッド縞を正確に抽出する。すなわち、グリッド縞の空間周波数fgは、予め判明しているため、サンプリングされたラインデータの中から、対象画像の空間周波数fm近辺を探索し、その検索結果により、ピーク値を示す空間周波数を以って、対象画像におけるグリッド縞の空間周波数fmと見なす。
【0129】
また、上述した第2処理ステップにおいて、空間周波数fmに対し、その空間周波数fmを中心として、できるだけ小さなスパンのFIRフィルタリングを行うことで、有効な画像成分の殆ど除去した状態で、且つ、急峻な変動(例えばエッジ部)によるアーチファクトの影響が狭い範囲に収まる状態で、グリッド縞成分を粗く抽出する。
【0130】
このとき、位相変動をなくすために、例えば、FIRフィルタの係数系列を偶関数とし、また、上記の狭い範囲を満たすために、3点若しくは5点のFIRフィルタが望ましい。
【0131】
具体的には例えば、対称3点のFIRフィルタとし、その係数を(a1,b1,a1)とすると、当該係数(a1,b1,a1)を求めるためには、空間周波数fmにおけるレスポンスが“1”であるという条件、及び画像情報の中心値である直流成分を“0”にするという条件の2つの条件を用いることができる。
【0132】
すなわち、当該係数演算は、
*a1+b1=0
*a1*cos(2πfmT)+b1=1
なる式で表される連立方程式であり、
【0133】
【数2】
Figure 0003825989
【0134】
なる式(2)で表される解をとる。
【0135】
上記のFIRフィルタリングは、空間周波数fmにおいてレスポンスが“1”であるが、空間周波数がそれ以上になると、レスポンスは次第に上昇していく。一般的に、この部分には画像成分が存在しないため、当該FIRフィルタイリングであってもグリッド縞を充分に抽出できる。
【0136】
また、対称5点のFIRフィルタリングとし、その係数を(a2,b2,c2,b2,a2)とすると、当該係数(a2,b2,c2,b2,a2)を求めるためには、空間周波数fmにおけるレスポンスが“1”であるという条件、及び画像情報の中心値である直流成分を“0”にするという条件の2つの条件の外に、空間周波数fmにおけるレスポンスの微分値が“0”(ピーク)を示すという条件をも用いることができる。
【0137】
すなわち、当該係数演算は、上記式(2)で表される解から、簡単な演算を行うことで、
(−a12,2a1(1−b1),1−2a12−(1−b1)2
2a1(1−b1),−a12
なる解が得られる。
【0138】
対称5点のFIRフィルタリングのフィルタの求め方としては、例えば、先ず、上記式(2)で表される係数(a1,b1,a1)を有するフィルタを、“1”から差し引いた形にすると、空間数端数fmで零点を有するフィルタとなる。このフィルタによるフィルタリングを2回施す処理を考慮すると、やはり空間周波数fmで零点を有するが、位相(符号)の反転がなくなる。このようなフィルタが、対称5点のFIRフィルタリングのフィルタであり、“1”から当該フィルタを差し引くことで、目的とする空間周波数fmにおいてピークを有するフィルタを構成できる。
【0139】
図1は、上述したような、対称3点のFIRフィルタリング(以下、「3点FIRフィルタリング」とも言う)、及び対称5点のFIRフィルタリング(以下、「5点FIRフィルタリング」とも言う)の形状(空間周波数特性)の一例を示したものである。
【0140】
上記図1に示されるFIRフィルタによるフィルタリングの結果は、殆どの場合、グリッド縞成分のみを抽出した結果となる。これは、上記図1から明かなように、主に低周波成分からなる有効な画像成分の当該低周波成分の多くが除去されるためである。
【0141】
しかしながら、上述したように、FIRフィルタリングにより抽出した成分の中には、かなりの量の有効画像成分が含まれているのも事実である。本来は、空間周波数fmを中心とする急峻な選択特性を有するフィルタによるフィルタリングを行いたいところであるが、これを行ったとしても、対象画像に含まれる急激な変動部分を構成する周波数成分が含まれることに変わりはない。
【0142】
そこで、上記の問題を解決するために、本実施の形態では、上述した第3ステップにおいて、グリッド縞成分の局所的な包絡線を求め、その変動から、グリッド縞成分以外の、アーチファクトを発生させる可能性のある成分が含まれる部分を検出することで、グリッド縞成分のみを安定に抽出(作成)する。
【0143】
一般の信号の包絡線は、ヒルベルト変換によらなければならないが、単一の正弦波の包絡線は、その周波数におけるレスポンス振幅が“1”であり、90°(π/2)の位相変動を起こすような空間フィルタを施し、その結果と元信号とのベクトル振幅(2乗和の平方根)をとれば求まる。
【0144】
位相が90°変動するFIRフィルタによるフィルタリングを、離散的なデータに対して施す場合、当該FIRフィルタの係数を点対称(奇関数)的なものとする。例えば、この係数を(−a3,0,a3)とすると、空間周波数fmでレスポンスを“1”にするためには、係数(−a3,0,a3)は、
*a3*sin(2πfmT)=1
なる式を満たす必要があり、
【0145】
【数3】
Figure 0003825989
【0146】
なる式(3)で表される解が得られる。
【0147】
上記式(3)で表される解の係数(−a3,0,a3)を有するFIRフィルタにより得られた信号系列と元信号系列との振幅を求める。
【0148】
例えば、図2(a)は、上記図24(a)で示した画像信号に対して、上記式(2)で示される解の係数(a1,b1,a1)を有するフィルタリングを施した結果を示したものである。上記図2(a)から明かなように、グリッド縞成分が殆ど抽出されている。
【0149】
また、図3(a)は、上記図25(a)で示した画像信号に対して、上記式(2)で示される解の係数(a1,b1,a1)を有するフィルタリングを施した結果を示したものである。
【0150】
上記図2(b)及び図3(b)で示す波形(太線で示す波形)はそれぞれ、図2(a)及び図3(a)に示される元画像信号に対して、上記式(3)で示される解の係数(−a3,0,a3)を有するフィルタリングを施した結果と、当該元画像信号との2乗和の平方根をとった包絡線を示したものである。
【0151】
特に、上記図3(b)に示す包絡線において、同図(c)に示す窪み部分に着目すると、当該窪み部分には明らかに非定常な成分が存在している。これは、抽出されたグリッド縞成分は、単純なフィルタリングでは異常に抽出され(対象画像のエッジ成分等を含み)、対象画像信号から差し引けば、この処理後の対象画像信号にアーチファクトが発生することを意味する。
【0152】
そこで、本実施の形態では、上述のようにして求められた包絡線から、異常な数値を示す範囲を特定し、当該範囲のグリッド縞成分をその周辺の数値列からの推定値で補正(置換)する。すなわち、本来有するグリッド縞成分の特徴である、全ての範囲にわたって常に定常な成分を有するという性質を利用して、グリッド縞成分を形成(作成)する。
【0153】
補正の際に用いる推定値(予測値)は、異常な数値を示す範囲の周辺のデータの統計的性質から求める。例えば、グリッド縞成分の空間周波数fmが既知であるので、この空間周波数fmを統計的性質として用いることができる。
【0154】
例えば、グリッド縞の空間周波数fm、及び位相φを以って、
【0155】
【数4】
Figure 0003825989
【0156】
なる式(4)により表される正弦波を用いて、非定常部のグリッド縞成分を形成する。
【0157】
例えば、最も簡便な方法としては、フーリエ変換(フーリエ級数展開)を用い、特定の周波数における2つの係数A及びφを周辺画素から求める方法が挙げられる。
【0158】
しかしながら、データに欠陥(非定常部分)が存在する等の問題から、通常のフーリエ変換を用いることができない。したがって、ここでは、フーリエ変換を一般化し、最小2乗の意味で、振幅及び位相情報を求める。このため、上記式(4)を、
【0159】
【数5】
Figure 0003825989
【0160】
なる式(5)に変形する。
【0161】
この場合、サンプリング点xiにおけるデータを“yi”(データ点数n)である時({xi,yi;i=0〜n−1})の2乗誤差εは、
【0162】
【数6】
Figure 0003825989
【0163】
なる式(6)で表される。
【0164】
このとき、注意すべきは、ここで用いられる成分“xi,yi”としては、上述した包絡線の成分の検証から、定常な部分であると判断されたデータのみを選択することである。そして、2乗誤差εを最小化するパラメータR,Iを、次のようにして求める。
【0165】
先ず、
【0166】
【数7】
Figure 0003825989
【0167】
なる式(7)は、
【0168】
【数8】
Figure 0003825989
【0169】
なる式(7´)で書き表される。
上記式(7´)の連立方程式を解くことで、パラメータR,Iが求まり、位相φと振幅Aを同時に推定できる。
【0170】
ここで、データ系列がk/(2・fm)(kは正の整数)の区間を等間隔でm等分するものであれば、上記式(7´)は、
【0171】
【数9】
Figure 0003825989
【0172】
なる式(8)で示されるように、特定の周波数の係数を求める離散フーリエ変換(フーリエ級数展開)となる。
【0173】
上記式(7´)若しくは上記式(8)により、非定常部分の周辺の定常な適当なデータを用いて、パラメータR,Iの値を求めることで、不適当であるとして除去された非定常部分の補修(置換)を行う。
【0174】
また、その他の補修方法としては、線形予測モデルを考え、グリッド縞の空間周波数を特定せずに、線形予測アルゴリズムによって順次予測して補修を行う方法が挙げられる。
【0175】
上述のような補修によって得られた信号波形は、全般的に定常な正弦波であり、グリッド縞成分を非常によく表している成分である。
【0176】
しかしながら、上記の信号波形(グリッド縞成分の信号波形)は、もともと上記式(2)で示される係数(a1,b1,a1)による狭いスパンのFIRフィルタリングの結果であり、上記図1に示したようなフィルタの応答特性を有し、グリッド縞成分以外の画像成分をかなり多く含んでいるものである。
【0177】
そこで、本実施の形態では、上記の信号波形に対して、さらに、グリッド縞の空間周波数fm近辺の成分のみを抽出するフィルタリングを施す。このフィルタリングは、上述したような操作により、既に非定常な成分が補修された成分に対して施されるものであり、当該フィルタリングによるリンギング等のアーチファクトが発生することはない。
【0178】
上記のフィルタリング後のグリッド縞成分の信号に対して、上述した包絡線作成を行った際、非常に小さな値(“0”に近い値)が観測された部分が存在した場合、この部分は、元々グリッド縞成分が何らかの理由(例えば、X線が完全に遮断されている、又はセンサがサチュレーションを起こしている等)で観測されなかった部分であり、グリッド縞成分が元々存在しない部分である。したがって、この部分に関しては、その情報を記録しておき、後段のフィルタリングの後に“0”に置き換える。この処理の結果を、グリッド縞成分として、対象画像信号から差し引く。
【0179】
本実施の形態では、対象画像信号から順次対象とするラインデータを1ラインづつ取り出しながら、グリッド縞成分の抽出処理を実行するが、1ラインデータを取り出すときに、その前後の数ラインデータの平均を求め、すなわち画像成分を弱めてから、又はグリッド縞成分を強調してから、グリッド縞成分を抽出することも可能である。
【0180】
上記のことは、通常グリッド縞とセンサは、ほぼ平行に配置されており、あるラインのグリッド縞と、その近辺のラインのグリッド縞との各成分は、非常に酷似しているからである。
【0181】
したがって、本実施の形態の他の形態として、上記の非常に酷似しているという特徴を利用し、グリッド縞成分の抽出のための計算処理回数を減らすために、処理するラインを間引き、あるラインで抽出されたグリッド縞成分を、その近辺のラインのグリッド縞成分とする。すなわち、グリッド縞成分が抽出されたラインの近辺のラインについてはグリッド縞成分の抽出処理を行なわず、上記のあるラインで抽出されたグリッド縞成分を用いて、その近辺のラインデータからの差し引き処理を行なうこともできる。
【0182】
尚、上述の間引きが可能であるか否かを判断するために、上述した第1処理ステップにおいて、グリッド縞の空間周波数を測定する際に、サンプルされた前後のライン若しくはサンプルされたライン同士のグリッド縞の位相差を調べ、グリッド縞がセンサに対して傾いていないことを確認する。
【0183】
また、本実施の形態の他の形態としては、上述のようにして、グリッド縞成分を対象画像信号から除去する場合に、信号強度等を検出することで、対象画像信号における照射野を認識し、当該照射野内部の画像データに対してのみ、上述のグリッド縞成分の除去処理を行なうようにしてもよい。
【0184】
ところで、例えば、固体撮像素子によりX線画像を取得する場合、複数の画素を配列してなる当該固体撮像素子特有の問題として、欠陥画素の問題がある。画像情報の冗長性(空間的に低周波成分を主成分とする)から、欠陥画素が少量であれば、その周辺画素値からの平均的な補間により、殆どの場合、欠陥画素についての修復(補正)が可能である。
【0185】
しかしながら、一般的には、欠陥画素周辺の統計的な性質により、予測が必要となってくる。例えば、本実施の形態のように、グリッド縞がナイキスト周波数の50%以上となると、平均補間では予測が逆転してしまう。
【0186】
図4は、1次元において、任意の点を欠陥画素とし、その両側の2点の画素の平均で補間する場合の、フィルタリングとしての応答関数を示したものである。
上記図4では、空間周波数を横軸で表している。上記図4に示すように、空間周波数が低く、ナイキスト周波数の50%以下であれば、応答は“正”、すなわち位相が反転しない。これに対して、ナイキスト周波数の50%以上となると、位相が反転し、期待される補間結果が得られない。
【0187】
図5は、欠陥画素補間の一例を示したものである。
上記図5において、黒丸点は、正常な画素から得られた画素値を表し、矢印で示す点(「欠陥画素位置」)は、データが得られていない欠陥画素を表している。また、上記図5は、グリッド縞が映り込んでいることにより、それぞれの画素データ(黒丸点で示すデータ)が細かく振動している状態を示している。
また、上記図5の「A:平均による補間値」と指している白丸点は、従来の平均補間により得られた画素値であり、同図の「B:理想的な補間値」と指してある白丸点は、グリッド縞を考慮した補間値である。
【0188】
本実施の形態では、上記図5の「B:理想的な補間値」で示される理想的な補間値を得るため、次の2つの方法を実施する。
(方法1:線形予測の方法)
上記図5において、欠陥画素位置のデータを、その周辺の画素から線形予測して求める。
(方法2)
上述したグリッド縞の除去処理により、元画像信号からグリッド縞成分を除去することで、ナイキスト周波数の50%以下の主成分を無くした状態で、従来の方法である平均による補間処理を行なう。
【0189】
以下に、(方法1)である線形予測の方法について、その概要を説明する。
【0190】
まず、処理対象の画像データ(画素データ)として、
データ系列{Xn,Xn-1,Xn-2,・・・,Xn-p
が与えられ、“n”におけるデータXnが、
【0191】
【数10】
Figure 0003825989
【0192】
なる差分方程式(9)で表されるものとする。
上記式(9)において、“εn”は白色雑音系列を表し、“ai{i=1,・・・,p}”は線形予測係数を表す。このような系列を「自己回帰過程(AR過程)Xn」と呼ぶ。
【0193】
上記式(9)を、遅延演算子Z-1を用いて書き直すと、
【0194】
【数11】
Figure 0003825989
【0195】
なる式(10)となる。
【0196】
但し、上記式(10)は、
【0197】
【数12】
Figure 0003825989
【0198】
なる式(10´)で表されるため、AR過程Xnは、パルス伝達関数1/A(z-1)を有する線形フィルタの入力εnに対する出力であると定義(スペクトル推定)できる。
【0199】
また、上記式(9)は、線形予測係数ai{i=1,・・・,p}が、信頼できるデータ系列から求まれば、(n−1)点目の画素データから、n点目の画素データが予測可能であることを示している。
【0200】
線形予測係数ai{i=1,・・・,p}の予測は、装置或いはシステムが定常であると過程して、最尤推定(最小2乗推定)を用いれば行える。すなわち、εnのパワー(分散)を最小にするものを求めることができる。εnは最小2乗推定によって得られた誤差であるため、その予測次数に対応する以下の相関成分を持たない。 したがって、必要十分な次数pで予測されて得られた予測誤差εnは式9で定義したように白色雑音となる。
【0201】
予測誤差εnの分散は、2乗平均(平均値“0”)であるため、当該平均を表す関数E[*]は、
【0202】
【数13】
Figure 0003825989
【0203】
なる式(11)で表される。
【0204】
上記式(11)において、
R(τ)=E[Xmm+τ](共分散関数:covariance)
であり、最小値を求めるために両辺を係数akで微分して“0”とおくと、
【0205】
【数14】
Figure 0003825989
【0206】
なる連立方程式(12)が得られる。これは、正規方程式若しくはYule−Walker方程式と呼ばれるものである。
【0207】
実際には、自己相関R(*)の演算は、全ての画素点で行うことなく、限られた(与えられた)画素数で演算した推定値を用いる。
例えば、高速算法であるLevinsonアルゴリズムを用いるが、Burgアルゴリズムを用いるようにしてもよい。このBurgアルゴリズムは、さらに少ない画素数のデータで共分散(自己相関)を直接計算せずに求められる最大エントロピー法によるアルゴリズムである。これらのアルゴリズムでは、予測誤差が正規分布であり画素数が多ければ数学的には一致するが、画素数が少ない場合、Burgアルゴリズム(最大エントロピー法によるアルゴリズム)が有利である。
【0208】
上述のような演算により得られる係数akを用いて、欠陥画素の前後の画素から予想される画素データを求める。
【0209】
[第1の実施の形態]
本発明は、例えば、図6に示すようなX線画像取得装置100に適用される。
【0210】
<X線画像取得装置100の全体構成及び動作>
本実施の形態のX線画像取得装置100は、医療用(画像診断用等)のX線画像を取得するための装置であり、上記図6に示すように、X線を被写体102(ここでは人体)に対して発生するX線発生部101と、被写体102からの散乱X線を除去するためのグリッド103と、被写体102を透過したX線量の分布を検出する面状のX線センサ104と、X線発生部101のコントローラ105(CONT)と、X線センサ104から出力される電気信号をディジタルデータに変換するアナログ/ディジタル(A/D)変換器106と、A/D変換器106から出力されるディジタルデータを対象画像データとして一旦蓄積するメモリ107と、X線を放射しない状態での撮影により取得されたディジタルデータを記憶するメモリ108と、メモリ107内の対象画像データに対してメモリ108のデータを用いた演算処理を施す演算器109と、演算器109での演算処理後の対象画像データの変換テーブル(参照テーブル:Look Up Table、以下、「LUT」とも言う)110と、X線センサ104を構成する画素毎のゲインのばらつきを補正するためゲインパタンデータを記憶するメモリ111と、LUT110から出力される変換後の対象画像データに対してメモリ111のゲインパタンデータを用いた演算処理を施す演算器112と、演算器112での演算結果後の対象画像データを一旦記憶するメモリ113と、X線センサ104固有の欠陥画素に関しての情報(欠陥画素位置情報等)を記憶するメモリ114と、メモリ114内の情報を用いてメモリ113に記憶された対象画像データに補正処理を施す補正処理部115と、メモリ113内の補正処理後の対象画像データに対してグリッド縞に関する情報を検出するグリッド縞検出部116と、グリッド縞検出部116で得られた情報に基いてメモリ113内の補正処理後の対象画像データからグリッド縞成分を抽出するグリッド縞成分抽出部117と、グリッド縞成分抽出部117で抽出されたグリッド縞成分を一時的に記憶するメモリ118と、メモリ113内の補正処理後の対象画像データからメモリ118内のグリッド縞成分を差し引く演算器119と、演算器119での演算結果(グリッド縞成分除去後の対象画像データ)を一旦記憶するメモリ120と、メモリ120内の対象画像データに画像処理を施して出力する画像処理部121と、画像処理部121での画像処理後の対象画像データを圧縮して出力する画像圧縮処理部151とを備えている。
【0211】
上述のようなX線画像取得装置100において、X線発生部101のコントローラ105は、不図示の操作部から操作者により発生トリガがかけられると、X線発生部101でのX線放射を開始する。
これにより、X線発生部101は、人体である被写体102に対して、X線を放射する。
【0212】
X線発生部101から放射されたX線は、被写体102を透過して、被写体102からの散乱X線を除去するグリッド103を介して、X線センサ104へと到達する。
【0213】
X線センサ104は、被写体102を透過したX線量の分布を検出する面(受像面)上に、当該X線強度を検出する複数の検出器(画素)がマトリックス状に配置された構成とされており、このマトリックス状に配置された複数の検出器(画素)により得られたX線強度に対応する電気信号を出力する。
【0214】
X線センサ104としては、例えば、次のようなセンサ(1)及び(2)を適用可能である。
センサ(1):
X線強度を一旦蛍光に変換し、その蛍光をマトリックス状に配置されている複数の検出器で光電変換して検出するようになされたセンサ。
センサ(2):
特定の物体に放射されたX線が当該物体内で光電変換されて遊離した自由電子を、一様な電界によって引き付けて電荷分布を構成し、その電荷分布を、マトリックス状に配置された複数の電荷検出器(キャパシタ)によって電気信号に変換するようになされたセンサ。
【0215】
A/D変換器106は、X線センサ104から出力された電気信号をディジタル化して出力する。
具体的には、A/D変換器106は、X線発生部101のX線の放射、若しくはX線センサ104の駆動に同期して、X線センサ104から出力される電気信号を順次ディジタルデータに変換して出力する。
【0216】
尚、上記図6では、1つのA/D変換器106を設ける構成としているが、例えば、複数のA/D変換器を設け、これらを並行に動作させるように構成してもよい。これにより、ディジタル変換速度を早めることができ、効率よく処理を進めることができる。
【0217】
A/D変換器106から出力されたディジタルデータは、対象画像データとしてメモリ107に一旦記憶される。
したがって、メモリ107には、X線センサ104を構成する複数の画素に対応する複数の画素データの集合であるディジタル画像データ(対象画像データ)が記憶される。
【0218】
メモリ108には、X線を放射しない状態での撮影により取得されたディジタルデータが予め記憶されている。このディジタルデータは、メモリ107に記憶された対象画像データから、X線センサ104特有のオフセット的に存在する固定パタンノイズを除去するためのデータである。したがって、予め、X線画像取得装置100において、X線発生部101によるX線を放射しない状態で撮影を行ない、これにより取得されたディジタルデータを画像データとして、メモリ108に記憶させておく。
【0219】
演算器109は、メモリ107に記憶された対象画像データ(被写体102を透過したX線により得られた画像データ)を構成する複数の画素データのそれぞれに対して、メモリ108に記憶された画像データ(X線なしの撮影により得られた固定パタンノイズの画像データ)を構成する複数の画素データの中の対応する位置の画素データを減算する処理を実行する。
【0220】
LUT110は、演算器109での処理後の対象画像データを、その対数に比例した値に変換して出力する。
【0221】
メモリ111には、LUT110による変換後の対象画像データに対して、X線センサ104を構成する画素毎のゲインのばらつきを補正するためゲインパタンデータが記憶されている。このため、予め、X線画像取得装置100において、被写体102がない状態でX線撮影を行ない、これにより得られた画像データから、メモリ108に記憶されたディジタルデータを用いて固定パタンノイズを除去し、さらにLUT110によって対数値に比例した値に変換して得られたデータを、ゲインパタンデータとしてメモリ111に記憶させておく。
【0222】
演算器112は、LUT110から出力された対象画像データから、メモリ111のゲインパタンデータを減算(対数変換されていなければ除算に相当)して出力する。
この演算器112での減算処理された対象画像データは、メモリ113に一旦記憶される。
【0223】
尚、メモリ111に記憶させるゲインパタンデータに使用する画像データの取得の際に、グリッド103を装着した状態で撮影を行なえば、これにより得られるゲインパタンデータ自体に、グリッド縞が写り込むことになる。予想されるのは、演算器112により、対象画像データからゲインパタンデータを減算した際に、被写体102に写り込んだグリッド縞自体がゲインの変動に近いものであることにより、グリッド縞成分が除去される可能性があることである。しかしながら、被写体102なしの撮影で得られたゲインパタンデータは、画像取得毎(実際の撮影毎)に毎回取得される可能性は少なく、殆どの場合、1日一回、或いはさらに低い頻度で得られるものであり、また、X線発生部101とX線センサ104との位置関係は撮影毎に変化する可能性があるため、グリッド縞成分は上記の減算によって除去されない。また、上記位置関係が不変であっても、被写体102ありの撮影と、被写体102なし撮影なしの撮影とでは、一般にX線の散乱線量や線質が異なるため、グリッド縞のコントラストが異なり、グリッド縞成分は減算によって除去されない。
何れの場合にもグリッド103方向が一致していれば、グリッド縞の空間周波数が変動することはない。好適には、ゲインパタンデータを取得する場合には、グリッド103自体を取り外して、グリッド縞がゲインパタンデータに含まれないようにすべきである。
【0224】
メモリ114には、X線センサ104固有の欠陥画素に関しての情報(欠陥画素位置情報等)が記憶される。
具体的には例えば、一般に平面状のX線センサは、半導体製造技術で製造されるが、その歩留まりは100%ではなく、製造工程での何らかの原因により、複数の検出器(画素)の内のいくらかは、検出器としての意味を無さない、すなわちその出力が意味を持たない欠陥画素である。ここでは、製造工程において、或いは不図示の手段によって、X線センサ104を予め検査し、その結果得られた欠陥画素の位置情報をメモリ114に記憶させておく。
【0225】
補正処理部115は、メモリ114に記憶された欠陥画素の位置情報により、メモリ113に記憶された対象画像データを構成する複数の画素データの中の欠陥画素データを補正し、当該補正後の画素データを、再びメモリ113の該当する位置に記憶させる。
【0226】
グリッド縞検出部116は、メモリ113内の対象画像データ(補正処理部115による補正処理後の画像データ)に対して、グリッド縞の解析を行い、グリッド縞の空間周波数fm、及びグリッド縞の角度θを検出して出力する。
【0227】
グリッド縞成分抽出部117は、メモリ113内の対象画像データ(補正処理部115による補正処理後の画像データ)を読み出し、当該読出画像データから、グリッド縞検出部116で得られたグリッド縞の空間周波数fm及びグリッド縞の角度θに基いて、グリッド縞成分を抽出する。
グリッド縞成分抽出部117で得られたグリッド縞成分は、メモリ118に一旦記憶される。
【0228】
演算器119は、メモリ113内の対象画像データ(補正処理部115による補正処理後の画像データ)から、メモリ118に記憶されたグリッド縞成分を差し引く。
演算器119によりグリッド縞成分が差し引かれた対象画像データは、メモリ120に一旦記憶される。
【0229】
画像処理部121は、メモリ120内の対象画像データに対して、観察者が観察しやすいように画像処理を施す。
ここでの画像処理としては、例えば、次のような処理が挙げられる。
・対象画像からのランダムノイズの除去処理。
・対象画像を表示した際に、観察者が見やすい濃度値になるように、階調を変換する、或いは詳細部分を強調する。
・対象画像から観察者にとって不要な部分を切り取り、対象画像の情報量を減らす。
【0230】
画像圧縮処理部151は、画像処理部121での画像処理後の対象画像データ、すなわちグリッド縞成分が除去された対象画像データを、JPEG方式等により圧縮する。
【0231】
画像圧縮処理部151による圧縮後の対象画像データは、不図示の手段により、外部或いはX線画像取得装置100内において、表示部への表示や、記憶部若しくは記憶媒体への格納、記録媒体への記録、或いは解析処理等が施される。
【0232】
また、画像圧縮処理部151は、画像処理部121での画像処理後の対象画像データのみならず、必要に応じて、メモリ118に記憶されたグリッド縞成分を圧縮する機能を有する。
例えば、画像圧縮処理部151は、グリッド縞成分の特徴である安定した縞模様であるという画像情報の冗長性を活かした圧縮方法により、グリッド縞成分を圧縮する。このように、グリッド縞成分と、これを除去した対象画像とを個別に圧縮することで、グリッド縞成分が存在する画像をそのまま圧縮する場合よりも、圧縮率を上げることができ、アーチファクトの発生を減少させることができる。
【0233】
<X線画像取得装置100の具体的な構成及び動作>
ここでは、上述したX線画像取得装置100において、特に具体的な説明が必要と思われる、次のような構成部分について具体的に説明する。
(1)メモリ118に記憶されたグリッド縞成分の画像データ
(2)補正処理部115による欠陥画素の補正処理
(3)グリッド縞検出部116及びグリッド縞成分抽出部117によるグリッド縞成分の検出及び抽出処理
【0234】
(1)メモリ118に記憶されたグリッド縞成分の画像データ
メモリ118に記憶されたグリッド縞成分の画像データは、グリッド縞成分が重畳された対象画像データから減算されるデータであるが、本実施の形態のように、メモリ118に記憶されるデータを減算後の対象画像データと対応づけて別途記憶する等の構成にすれば、グリッド縞が除去された対象画像データから、元のグリッド縞が重畳された対象画像データを再現できる。これにより、例えば、グリッド除去処理において、何らかの不具合により対象画像データが損傷を受けた場合であっても、上記の再現処理により、元の対象画像データに戻すことが可能となる。
【0235】
(2)補正処理部115による欠陥画素の補正処理
補正処理部115は、以下に説明するような処理を、例えば、マイクロプロセッサを用いたソフトウエアにより実行する。
【0236】
図7〜図10は、X線センサ104における画素欠陥の分布の例を示したものである。
ここでは、画素欠陥は基本的に1画素の幅でしか存在しないものとする。これは、大きなかたまりで隣接する複数の画素欠陥を有するX線センサは、欠陥画素の補修が困難であるので一般的に用いないためである。
【0237】
上記図7〜図10において、それぞれの各マス目は画素を表し、黒いマス目は欠陥画素を表している。また、図の下部には、グリッド103のグリッド縞の方向(縦方向)を図示している。
【0238】
まず、上記図7に示す欠陥画素は基本的な画素欠陥であり、同図に示すように、欠陥画素(黒マス目)の周囲に、8個の隣接する画素成分a1〜a8が存在している。
【0239】
上記図7に示す欠陥画素が存在し、グリッド縞成分が存在する対象画像において、当該グリッド縞成分の空間周波数軸上の信号分布を模式的に示したものが、図11である。
上記図11において、横軸は、対象画像の横方向の空間周波数軸uを表し、縦軸は、対象画像の縦方向の空間周波数軸vを表し、空間周波数軸u及び空間周波数軸vの両軸に対して、画素ピッチの逆数である「サンプリング周波数」とその半値である「ナイキスト周波数」を示している。
【0240】
グリッド縞は、対象画像の横方向に振動しており、縦方向には一定であるので、グリッド縞の成分は、上記図11に示すように、空間周波数軸u上に存在することになる(同図白丸参照)。
【0241】
通常の画像では、その主成分が、ナイキスト周波数の、さらに半値以下の空間周波数領域に分布しており、グリッド縞成分が存在しなければ、欠陥画素の任意の両側の画素値の平均により補間できる。これは、当該補間の空間スペクトルに与える影響が、例えば、上記図4で示したフィルタリングの応答関数(特性)を示すためである。
【0242】
したがって、上記図7に示す欠陥画素の補正の場合、縦方向にはグリッド縞成分がないことにより、縦方向の画素の平均、すなわち画素成分a2及画素成分a6の平均、或いは何れか一方の画素成分により、ほぼ満足な補正が可能となる。
【0243】
上記図8に示す欠陥画素は、横長に連結する画素欠陥である(同図中、黒マス目参照)。このような形状の欠陥画素の場合も、上記図7に示した欠陥画素と同様に、各画素の上下方向がグリッド縞に並行する方向であるため、対象欠陥画素の上下の画素成分により、ほぼ満足な補正が可能となる。
【0244】
上記図9に示す欠陥画素は、縦長に連結する画素欠陥である(同図中、黒マス目参照)。このような形状の欠陥画素の場合、連結欠陥画素の上端の欠陥画素或いは下端の欠陥画素以がいについては、対象画素の上下に信頼できる値を有する画素が存在しない。このような状態の欠陥画素に対して、横方向の単純な平均等で欠陥補正を行えば、上記図5を用いて説明したような、期待しない値の補正結果が得られてしまう。
【0245】
そこで、本実施の形態では、対象欠陥画素の右又は左側に連なる正常な画素成分を以って、上記式(12)で示したような連立方程式を利用し、係数ak(k=1〜P)を、対象欠陥画素の左右から求める。
このとき、例えば、使用する画素数を20程度とし、次数kを5程度とする。
【0246】
そして、係数akを以って、上記式(9)により対象欠陥画素値Xnを予測し、この結果得られた全ての欠陥画素値Xnの平均を求める。これにより、上記図5に示したような「B:理想的な補間値」が得られる。
【0247】
尚、本実施の形態では、上記式(12)を用いて、係数ak(k=1〜P)を求めるようにしているが、これに限られることはなく、例えば、最大エントロピー法と呼ばれるアルゴリズム等を用いるようにしてもよい。
【0248】
上記図10に示す欠陥画素は、上記図8に示した欠陥画素の状態、及び上記図9に示した欠陥画素の状態を重ね合わせた状態の欠陥画素である。この状態の欠陥画素の中で問題となる画素は、縦方向の連結欠陥画素と、横方向の連結欠陥画素との交わる部分の画素(十字に重なった部分の画素)、すなわち画素成分a4,a12,a18,a24で囲まれた欠陥画素である。
【0249】
上記図10に示すような状態の欠陥画素の補正は、横方向に連なった線状の欠陥画素の補正は、上下画素成分の平均で行い、縦方向に連なった線状の欠陥画素の補正は、上述したような連立方程式を用いて行う。
具体的には、次の3つの方法▲1▼〜▲3▼が挙げられるが、何れの方法を用いても、ほぼ同じ結果が得られる。
【0250】
▲1▼画素成分a4,a12,a18,a24に囲まれた欠陥画素の補正を、上下の欠陥補正値(補正された欠陥画素の値)の平均値を用いて行なう。
▲2▼画素成分a4,a12,a18,a24に囲まれた欠陥画素の補正を、欠陥補正値である左右画素の値を用いて、上記式(12)の連立方程式を解くことにより行う。
▲3▼画素成分a4,a12,a18,a24に囲まれた欠陥画素の補正を、▲1▼の結果と▲2▼の結果の平均値を用いて行なう。
【0251】
以上説明したような処理を実行することで、メモリ113に記憶された対象画像データを構成する複数の画素データの中の欠陥画素データが補正される。
【0252】
(3)グリッド縞検出部116及びグリッド縞成分抽出部117によるグリッド縞成分の検出及び抽出処理
【0253】
グリッド縞検出部116は、メモリ113内に記憶された対象画像データの一部を読み出し、当該読出データにより、対象画像データに含まれるグリッド縞のスペクトルを調べ、当該グリッド縞の空間周波数fm及び角度θを検出する。このグリッド縞の空間周波数fm及び角度θ(以下、「角度η」とも言う)の情報は、後段のグリッド縞成分抽出部117において、グリッド縞成分の抽出処理に使用される。
【0254】
図12(a)〜(d)は、グリッド縞の空間周波数fm及び角度θの検出処理を説明するための図である。
【0255】
上記図12(a)は、対象画像全体のイメージを示したものであり、“L1”乃至“L6”は、対象画像上部からのライン位置を表している。グリッド縞検出部116は、ラインL1〜L6をフーリエフーリエ変換した結果により、グリッド縞の空間周波数fmを測定する。このとき、グリッド縞検出部116は、グリッド縞のスペクトルを検出する際、当該検出能力を上げるために、各ラインL1〜L6の前後数ラインの平均(又はスペクトルの平均)を用いるようにしてもよい。
【0256】
上記図12(b)〜(d)はそれぞれ、ラインL1におけるリーリエフーリエ変換結果を表したものである。
すなわち、上記図12(b)は、振幅スペクトル(又はパワースペクトル)を表し、同図(c)は、フーリエフーリエ変換結果の余弦波の係数である実数部の値を表し、同図(d)は、正弦波の係数である虚数部の値を表している。
【0257】
図13は、グリッド縞検出部116の上記の処理をフローチャートによって示したものである。
【0258】
先ず、グリッド縞検出部116は、スペクトルの平均を求めるための変数cumulationをクリアする(ステップS201)。
また、グリッド縞検出部116は、スペクトルの平均を求める際の対象となるライン数のカウンタ(変数)nをクリアする(ステップS202)。
また、グリッド縞検出部116は、上記図12(a)に示したラインL1〜L6の中から処理対象ライン(選択ライン)を選択する変数iを“1”に初期設定する(ステップS203)。これにより、最初の処理では、ラインL1が対象ラインとして選択され処理されることになる。
【0259】
そして、グリッド縞検出部116は、次のステップS205〜ステップS215の処理を、対象画像のラインL1〜L6の全てのラインについて実行し終えたか否かを判別する(ステップS204)。
この判別の結果、処理終了した場合のみ、後述するステップS216へ進み、未だ処理終了していない場合には、次のステップS205からの処理を実行する。
【0260】
ステップS204の判別の結果、処理未終了の場合、先ず、グリッド縞検出部116は、対象画像のラインL1〜L6の中から、変数iで示されるラインLiを選択し、そのデータ(ラインデータLi)を取得する(ステップS205)。
【0261】
次に、グリッド縞検出部116は、ステップS205で取得したラインデータLiに対して、高速フーリエ変換等のフーリエ変換処理を施す(ステップS206)。
【0262】
次に、グリッド縞検出部116は、ステップS206でのフーリエ変換結果(空間周波数領域のデータ)から、パワースペクトル(又は振幅スペクトル)を取得する(ステップS207)。
【0263】
次に、グリッド縞検出部116は、ステップS207で取得したパワースペクトルにおいて、グリッド縞を示す有意なスペクトル(ピーク値)が存在するか否かを判別する(ステップS208)。
【0264】
具体的には例えば、まず、グリッド縞を発生させる原因となるグリッド鉛の絶対的な空間周波数は、グリッド103を設置した段階で既知であることにより、その周波数を“fg”として用いることで、ステップS208での判別処理を正確に行える。
【0265】
すなわち、X線センサ104のサンプリングピッチを“Ts”とすると、グリッド縞の発生する大まかな空間周波数fmは、
【0266】
【数15】
Figure 0003825989
【0267】
なる条件式(13)により特定できる。
【0268】
このとき、上記式(13)において、▲3▼に示される条件を満たしている場合には、▲2▼で得られた空間周波数fm´を用い、▲3▼に示される条件を満たしていない場合には、「J←J+1」として▲1▼を実行する。
【0269】
グリッド縞の正確な空間周波数fmは、上記式(13)で得られる“fm´”の近辺に存在するはずであり、ピーク値(グリッド縞を示す有意なスペクトル)が存在するか否かを判断する際に、当該近辺のみを検索すれば、画像成分やノイズ成分等の影響で異なるピーク値が存在したとしても、その影響を受けることなく、グリッド縞を示す有意なスペクトルであるピーク値の検出を行なえる。
【0270】
また、グリッド103のグリッド鉛の周波数fgは、かなり正確に製造されるものであるが、撮影の際に、グリッド103とX線センサ104との間に任意の距離以上あると、X線発生部101からのX線ビームがコーンビーム状であることにより、当該X線ビームが拡大されてX線センサ104に到達してしまう。このため、正確な空間周波数fmが異なるものになってしまい、簡単に予測することができない。
したがって、上記式(13)で得られる“fm´”近辺の周波数のうち、ピーク値を示す周波数を、空間周波数fmとして求める。
【0271】
但し、上記の場合、求められたピーク値に相当するものが、実際に安定して存在する有意なピーク値であるか否かを判断する必要がある。この判断は、通常ノイズレベルを基準に行う。このノイズレベルとしては、予め測定されるものでも構わないし、スペクトルの高域のピーク値以外の成分の平均値を代用するようにしてもよい。例えば、ピーク値を示した近隣のスペクトル値のパワースペクトルの総和(又は平均値)と、ノイズレベルとの比が、10程度以上あれば、通常有意な安定したピーク値であると判断する。
【0272】
上述のようなステップS208の判別の結果、有意なピーク値が存在しない場合、グリッド縞検出部116は、次のラインを処理するために、変数iをカウントアップして(ステップS217)、再びステップS204へと戻り、これ以降の処理ステップを繰り返し実行する。
【0273】
一方、ステップS208の判別の結果、有意なピーク値が存在する場合、グリッド縞検出部116は、当該ピーク値を示す空間周波数をPiとして(ステップS209)、これを変数cumulationに対して加算する(ステップSs210)。
【0274】
また、グリッド縞検出部116は、グリッド縞の位相を求め、変数θn及び変数Mnに対して、当該位相及び変数iに示されるライン位置を設定し(ステップS211〜ステップS214)、変数nをインクリメントする(ステップS215)。
その後、グリッド縞検出部116は、次のラインを処理するために、変数iをカウントアップして(ステップS217)、再びステップS204へと戻り、これ以降の処理ステップを繰り返し実行する。
【0275】
上述のようにして、全てのラインL1〜L6に対してステップS205〜ステップS215の処理を実行し終えると、グリッド縞検出部116は、現在の変数cumulationの値を、現在の変数nの値(有意なピーク値数)で除算することで、平均的なグリッド縞の空間周波数fmを求める(ステップS216)。
【0276】
また、グリッド縞検出部116は、上記図13の処理実行後、ステップS213で得られた変数θi(i=0〜n−1)を、ステップS214でのライン位置Mi(i=0〜n−1)により、平均的なグリッド縞の角度η(角度θ)を求めることに用いる。
【0277】
すなわち、グリッド縞検出部116は、i番目のラインLiの位相θiと、(i+1)番目のラインL(i+1)の位相θi+1との位相差(θi−θi+1)によるグリッド103の位置の差を、グリッド縞の空間周波数fmを以って、
[(θi−θi+1)/2π]/fm
なる式により求め、ラインLiとラインL(i+1)のライン差を、
(Mi+1)−Mi
なる式で求め、これらの結果を以って、グリッド縞の角度ηを、
【0278】
【数16】
Figure 0003825989
【0279】
なる式(14)により求める。
【0280】
そして、グリッド縞検出部116は、上記式(14)により得られた角度ηが異常に傾いていない場合、グリッド縞を抽出する処理を数ライン毎に実行し、これに対して当該角度ηが異常に傾いている場合、グリッド縞を抽出する処理を1ライン毎を実行する。
【0281】
尚、上述したグリッド縞検出部116が実行する処理では、グリッド縞の方向(縦又は横方向)が既知であることを前提としたが、例えば、グリッド縞の方向も不明である場合、例えば、予め縦方向と横方向の双方に対して同様の処理を実行し、有意なピーク値が検出された方向を、グリッド縞に略直交する方向とする。
【0282】
以上説明したような処理をグリッド縞検出部116が実行することで、グリッド縞の空間周波数fm及び角度θ(角度η)が求められる。
グリッド縞成分抽出部117は、グリッド縞検出部116により得られたグリッド縞の空間周波数fm及び角度θ(角度η)を用いて、実際にメモリ113に記憶されている、グリッド縞成分を含む対象画像データから、グリッド縞成分を抽出し、そのグリッド縞成分をメモリ118ヘ格納する。
【0283】
図14は、グリッド縞成分抽出部117でのグリッド縞成分抽出処理をフローチャートによって示したものである。
【0284】
先ず、グリッド縞成分抽出部117に対しては、処理パラメータとして、グリッド縞検出部116にて得られたグリッド縞の角度θ及びグリッド縞の空間周波数fmが与えられる。
グリッド縞成分抽出部117は、上記処理パラメータ(グリッド縞の角度θ及びグリッド縞の空間周波数fm)に基いて、以下に説明するステップS300〜ステップS321の処理を実行する。
【0285】
尚、グリッド縞成分抽出部117に対して与えられたグリッド縞の空間周波数fmの値が“0”の場合等は、対象画像上にグリッド縞が存在しない、すなわちグリッド103を使用せずに撮影が行なわれた場合であるので、この場合、グリッド縞成分抽出部117は、上記図14に示される処理を実行しない。また、例えば、メモリ118には、この場合のグリッド縞成分として“0”データが格納される。或いは、演算器119が機能しないことにより、メモリ120に対して、メモリ113に格納された対象画像データがそのまま格納される。
【0286】
グリッド縞検出部116からグリッド縞成分抽出部117に対して、グリッド縞の角度θ及びグリッド縞の空間周波数fmが与えられると、先ず、グリッド縞成分抽出部117は、上記式(2)を用いて、空間周波数fmから係数a1,a2(又は対称5点フィルタの係数(a2,b2,c2,b2,a2))を求める(ステップS300)。ここで得られた係数に対応するFIRフィルタを「FIR1」とする。
【0287】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、上記式(3)を用いて、空間周波数fmから係数a3を求める(ステップS301)。ここで得られた係数に対応するFIRフィルタを「FIR2」とする。
【0288】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、空間周波数fmの領域でのFIRフィルタリングを行うために、空間周波数fmを中心とするウインドウ関数を生成する(ステップS302)。
ここでのウインドウ関数としては、例えば、空間周波数fmを中心としたガウス分布形状の関数を適用可能である。
【0289】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、グリッド縞の角度θに基いて、対象画像を構成するラインデータに対してグリッド縞の抽出処理を実行するラインの範囲を決定する(ステップS303〜ステップS305)。
【0290】
具体的には例えば、グリッド縞成分抽出部117は、角度θの基準値を「0.1度」とし、グリッド縞検出部116で得られたグリッド縞の角度θが基準値0.1度よりも大きいか或いは小さいかを判別する(ステップS303)。この判別の結果、角度θが基準値0.1度よりも小さい場合、グリッド縞成分抽出部117は、変数skipに対して「5」を設定することで、5ライン毎に当該処理を省くことを決定する(ステップS304)。一方、角度θが基準値0.1度以上の場合、グリッド縞成分抽出部117は、変数skipに対して「0」を設定することで、全てのラインに対して当該処理を実行することを決定する(ステップS305)。
【0291】
尚、ステップS303〜ステップS305において、例えば、変数skipに対する設定だけではなく、角度θに基き、さらに細かな設定を行なうようにしてもよい。
【0292】
ステップS304又はステップS305の処理後、グリッド縞成分抽出部117は、変数countに対して、ステップS304又はステップS305にて設定が行なわれた変数skipの値を設定することで、変数countの初期化を行なう(ステップS306)。
【0293】
そして、グリッド縞成分抽出部117は、現在の変数countの値が、変数skipの値以上であるか否か、すなわち対象ラインデータに対するグリッド縞の抽出処理を実行すべきであるか否かを判別する(ステップS307)。
この判別の結果、処理実行する場合には、ステップS310からの処理に進み、処理実行でない場合には、ステップS308からの処理に進む。但し、最初に本ステップS307の実行時には、必ず処理実行と判別されるため、次のステップS310へ進む。
【0294】
ステップS307の判別の結果、処理実行の場合(skip≦count)、先ず、グリッド縞成分抽出部117は、メモリ113に格納されている対象画像データから処理対象となる1ラインのデータ(対象ラインデータ)を取得する(ステップS310)。
【0295】
尚、ステップS310において、対象画像データから対象ラインデータをそのまま取得するようにしてもよいが、例えば、対象ラインデータの前後数ライン分の平均値(移動平均値)を、実際の処理対象のラインデータとして取得するようにしてもよい。
【0296】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS310で取得した対象ラインデータに対して、ステップS300で係数を決定したFIR1を用いたフィルタリングを施し、ラインバッファ1(不図示)へ格納する(ステップS311)。
ここでの処理により、ラインバッファ1に対しては、グリッド縞成分を含む画像成分のデータが格納される。
【0297】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ1に格納されたラインデータに対して、ステップS301で係数を決定したFIR2を用いたフィルタリングを施し、ラインバッファ2(不図示)へ格納する(ステップS312)。
ここでの処理により、ラインバッファ2に対しては、グリッド縞成分の包絡線を求めるためのデータが格納される。
【0298】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、グリッド縞成分の包絡線を求める(ステップS313)。
すなわち、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ1内のデータと、ラインバッファ2内のデータを成分とするベクトルの振幅(すなわち2乗和の平方根)を求め、その結果を、ラインバッファ3(不図示)へ格納する。ここでの演算としては、平方根の単調増加性により、平方根を取らない演算であっても適用可能であり、同様の効果が得られる。
【0299】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ3内のデータ、すなわち包絡線データを調査して、その異常データを検出するためのしきい値の上限値th1及び下限値th2を決定する(ステップS314)。
上限値th1及び下限値th2の決定方法としては、様々な方法を適用可能であるが、例えば、平均値と標準偏差値を求め、平均値から標準偏差値のn倍(nは、例えば、“3”程度の値)以上ずれた値を上限値th1及び下限値th2とする方法や、ラインバッファ3内の包絡線データのヒストグラムを求め、その最頻値を中心として上限値th1及び下限値th2を決定する方法等が挙げられる。
【0300】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ラインバッファ3内の包絡線データにおいて、値th1以上若しくは値th2以下のデータを異常データ(画像データが急峻に変動していること等によるデータ)と見なし、その異常データに対応するラインバッファ1内のグリッド縞成分のデータを、当該異常データ周辺のデータから推定して書き換える(ステップS315)。このとき、全体のグリッド縞成分が周期的な変動パタンを示す安定な状態となるように、データ書き換えを行う。
尚、ステップS315の処理については、上記式(7´)等の説明部分で説明したので、ここではその詳細は省略する。
【0301】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS315の処理により、全体的に安定状態となったラインバッファ1内のグリッド縞成分のデータに対して、フーリエ変換処理を施し、グリッド縞成分の空間周波数領域のデータを求める(ステップS316)。
尚、ステップS316での変換処理については、フーリエ変換に限らず、例えば、コサイン変換等の他の直交変換をも適用可能である。
【0302】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS316で取得した空間周波数領域のデータに対して、ステップS302で求めた空間周波数fmを中心とするウインドウ関数によるフィルタリング、を施す(ステップS317)。これにより、グリッド縞成分のデータは、より選択的にグリッド縞を表すようになる。
【0303】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS317のフィルタリング処理後のグリッド縞成分のデータに対して、ステップS316の変換の逆変換処理を施し、この結果を、実際のグリッド縞成分のデータとする(ステップS318)。
【0304】
次に、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS318で取得したグリッド縞成分のデータを、メモリ118の当該位置へ格納する(ステップS319)。
【0305】
そして、グリッド縞成分抽出部117は、変数countに対して“0”を設定し(ステップS320)、メモリ113の対象画像データを構成する全てのラインデータについて、ステップS307からの処理を行ったか否かを判別する(ステップS321)。
この判別の結果、処理が終了した場合のみ、本処理終了とし、未だ処理が終了していない場合には、再びステップS307へ戻り、以降の処理ステップを繰り返し実行する。
【0306】
一方、上述したステップS307の判別の結果、処理実行でない場合(skip>count)、グリッド縞成分抽出部117は、メモリ118の該当位置に対して、前段で取得したグリッド縞成分のデータをコピーし(ステップS308)、コピーするラインを示す変数countをインクリメントして(ステップS309)、再びステップS307へ戻り、以降の処理ステップを繰り返し実行する。
【0307】
[第2の実施の形態]
本発明は、例えば、図15に示すようなX線画像取得装置400に適用される。
本実施の形態のX線画像取得装置400は、上記図6に示したX線画像取得装置100とは、以下の構成が異なる。
【0308】
尚、上記図15のX線画像取得装置400において、上記図6のX線画像取得装置100と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0309】
上記図6に示したX線画像取得装置100では、補正処理部115が、メモリ113内の対象画像データに対して、メモリ114内のデータを用いた欠陥画素の補正処理を施すように構成した。これに対して、本実施の形態のX線画像取得装置400では、上記図15に示すように、補正処理部115が、メモリ120内の対象画像データ、すなわちグリッド縞成分の除去後の対象画像データに対して、メモリ114内のデータを用いた欠陥画素の補正処理を施すように構成した。
【0310】
したがって、本実施の形態のX線画像取得装置400によれば、グリッド縞を考慮した画素欠陥補正が必要なくなるため、従来から知られるような、周辺の欠陥ではない画素値の平均値を用いて欠陥画素を補正する等のような、単純な欠陥画素補正を適用可能となる。
【0311】
[第3の実施の形態]
本発明は、例えば、図16に示すようなX線画像取得装置500に適用される。
本実施の形態のX線画像取得装置500は、上記図6に示したX線画像取得装置100とは、以下の構成が異なる。
【0312】
尚、上記図16のX線画像取得装置500において、上記図6のX線画像取得装置100と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0313】
本実施の形態のX線画像取得装置500は、上記図16に示すように、上記図6のX線画像取得装置100の構成に対して、さらに、グリッド103の装着を検知する検知部(スイッチ)122を設けた構成としている。
【0314】
検知部122は、グリッド103の装着の検知結果(グリッド装着信号)を、補正処理部115及びグリッド縞検出部116へそれぞれ供給する。
【0315】
補正処理部115は、検知部122からのグリッド装着信号により、グリッド103が装着されている場合、第1の実施の形態で説明したような、グリッド縞を考慮した欠陥画素補正処理を実行する。そうでない場合は、周囲の欠陥でない画素の画素値の平均値等により欠陥画素を補正する。
【0316】
グリッド縞検出部116も同様に、検知部122からのグリッド装着信号により、グリッド103が装着されている場合、第1の実施の形態で説明したような、グリッド縞の検出処理(解析処理)を実行する。但し、上記グリッド装着信号により、グリッド103が装着されていない場合、グリッド縞検出部116は、グリッド縞の検出処理を実行せずに、即座にグリッド縞無しと判断し、これに該当する処理を実行する。
【0317】
上述のように、本実施の形態のX線画像取得装置500では、検出部122を設け、この検出結果に基づいて、グリッド縞の検出を行うように構成したので、グリッド縞を検出する処理に要する時間を大幅に短縮できる。
【0318】
[第4の実施の形態]
本発明は、例えば、図17に示すようなX線画像取得装置600に適用される。
本実施の形態のX線画像取得装置600は、上記図6に示したX線画像取得装置100とは、以下の構成が異なる。
【0319】
尚、上記図17のX線画像取得装置600において、上記図6のX線画像取得装置100と同様に動作する構成部には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0320】
本実施の形態のX線画像取得装置600は、上記図17に示すように、上記図6のX線画像取得装置100の構成に対して、さらに、X線照射領域データを格納するためのメモリ123を設けた構成としている。
【0321】
メモリ123には、メモリ113に格納された対象画像データにおいて、X線が照射された領域部分のみを切り出した画像データ(照射領域データ)が格納され、このメモリ123内の照射領域データに対して、グリッド縞成分の検出及び抽出が行なわれる。
【0322】
具体的には、まず、X線撮影では一般に、被写体102(ここでは、人体)の目的とする部位以外への被曝を避けるために、X線発生部101のX線発生管球の出口に照射野絞りを設けることが行なわれる。これにより、被写体102の必要部分のみにX線の照射が行える。
【0323】
上記の照射野絞り機能を用いた場合、X線撮影により得られた画像も、X線センサ104から得られる画像信号全てが有効ではなく、照射野絞りによるX線照射野に対応する部分画像のみが有効になる。
【0324】
そこで、本実施の形態では、不図示の計算機手段(CPU等)により、メモリ113内の対象画像データから、X線強度分布や絞り形状、或いはその他の情報に基づいて、X線照射野に対応する有効な部分画像領域(照射領域)を見出し、その照射領域部分のデータ(照射領域データ)のみを、メモリ123に格納する。
【0325】
上述のように、本実施の形態では、メモリ123内の照射領域データ、すなわち対象画像データ全てではなく、情報量を削減した必要部分のデータのみを対象とするので、処理時間の短縮化を実現できる。
【0326】
尚、本実施の形態では、欠陥画素補正後の対象画像から、照射領域を切り出すように構成したが、例えば、当該照射領域の切り出し後に、当該照射領域に対して欠陥画素補正を行うようにしてもよい。
【0327】
[第5の実施の形態]
第1の実施の形態では、上記図6のX線画像取得装置100において、グリッド縞成分抽出部117でのグリッド縞成分抽出処理を、上記図14のフローチャートに従った処理とした。
本実施の形態では、グリッド縞成分抽出部117でのグリッド縞成分抽出処理を、例えば、図18に示すフローチャートに従った処理とする。
【0328】
尚、上記図18のグリッド縞成分抽出処理において、上記図14のグリッド縞成分抽出処理と同様に処理するステップには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0329】
まず、本実施の形態でのグリッド縞成分抽出処理の説明の前に、図19(a)は、グリッド縞成分を含む対象画像の一部分を示したものであり、同図において、“*”で示す部分は、X線を遮断する物質が存在する等の原因により、グリッド縞成分が存在しない部分を示している。
【0330】
上記図19(b)は、同図(a)の対象画像に対して、第1の実施の形態でのフィルタタリングにより、グリッド縞成分の抽出を行った結果を示したものである。上記図19(b)に示すように、グリッド縞成分において、対象画像の“*”で示す部分に対応する部分にアーチファクトが現れるため、第1の実施の形態で説明したように、当該部分を包絡線から抽出し、その前後のデータから推測して全体を安定したグリッド縞になるようにする。この結果を示したものが、上記図19(c)の図である。このように安定したグリッド縞成分であれば、フーリエ変換等の変換処理により、新たなアーチファクトは発生しない。
【0331】
第1の実施の形態では、上記図19(c)に示されるようなグリッド縞成分を、同図(a)に示されるような元の画像(対象画像)から差し引いて、グリッド縞成分を除去するように構成したが、この構成の場合、本来グリッド縞成分が存在しない部分(“*”で示す部分)に新たなグリッド縞成分が現れてしまうことが考えられる。
【0332】
そこで、本実施の形態では、上記図19(d)に示すように、同図(c)に示されるようなグリッド縞成分において、本来グリッド縞成分が存在しない部分(“*”で示す部分)を“0”に設定する。
【0333】
このため、本実施の形態では、グリッド縞成分抽出部117は、上記図18のフローチャートに従ったグリッド縞成分抽出処理を実行する。
すなわち、グリッド縞成分抽出部117は、ステップS318の処理実行後、この処理により取得した、安定したグリッド縞成分のデータに対して、ステップS315により推測で補った部分を“0”に置換する処理を施し(ステップS700)、その後、次のステップS319へ進む。これにより、もともとグリッド縞成分が存在しない部分であっても、グリッド縞除去処理により新たなグリッド縞成分が発生してしまうことを確実に防ぐことができる。
【0334】
尚、第1〜第5の実施の形態では、ハードウェア的に構成したが、本装置全体をソフトウェアにより制御することで実現することも可能である。
【0335】
また、本発明の目的は、第1〜第5の実施の形態のホスト及び端末の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読みだして実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が第1〜第5の実施の形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコード、及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータが読みだしたプログラムコードを実行することにより、第1〜第5の実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって第1〜第5の実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された拡張機能ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって第1〜第5の実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0336】
図20は、上記のコンピュータの機能800の構成例を示したものである。
コンピュータ機能800は、上記図20に示すように、CPU801と、ROM802と、RAM803と、キーボード(KB)809のキーボードコントローラ(KBC)805と、表示部としてのCRTディスプレイ(CRT)810のCRTコントローラ(CRTC)806と、ハードディスク(HD)811及びフレキシブルディスク(FD)812のディスクコントローラ(DKC)807と、ネットワーク840との接続のためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)808とが、システムバス804を介して互いに通信可能に接続された構成としている。
【0337】
CPU801は、ROM802或いはHD811に記憶されたソフトウェア、或いはFD812より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス804に接続された各構成部を総括的に制御する。
すなわち、CPU801は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM802、HD811或いはFD812から読み出して実行することで、第1〜第5の本実施の形態での動作を実現するための制御を行う。
【0338】
RAM803は、CPU801の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。
KBC805は、KB809や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。
CRTC806は、CRT810の表示を制御する。
DKC807は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び第1〜第6の実施の形態における所定の処理プログラム等を記憶するHD811及びFD812へのアクセス等を制御する。
NIC808は、ネットワーク840上の他の装置或いはシステムとの双方向のデータのやりとりを制御する。
【0339】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、グリッドを使用した放射線撮影により得られた放射線画像から、グリッドに起因する画像成分の除去された良好な被圧縮放射線画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1〜第5の実施の形態において、対象画像からグリッド縞成分を抽出するためのフイルタの空間周波数特性を説明するための図である。
【図2】上記フィルタにより対象画像から抽出されたグリッド縞成分の一例を説明するための図である。
【図3】上記フィルタにより対象画像から抽出されたグリッド縞成分の他の例を説明するための図である。
【図4】対象画像の欠陥画素補正における空間周波数特性を説明するための図である。
【図5】上記グリッド縞成分が存在する対象画像に対する欠陥画素補正における空間周波数特性を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態において、本発明を適用したX線画像取得装置の構成を示すブロック図である。
【図7】上記X線画像取得装置での対象画像において、欠陥画素の様子の一例(例1)を説明するための図である。
【図8】上記欠陥画素の様子の一例(例2)を説明するための図である。
【図9】上記欠陥画素の様子の一例(例3)を説明するための図である。
【図10】上記欠陥画素の様子の一例(例4)を説明するための図である。
【図11】上記X線画像取得装置での対象画像において、グリッド縞成分の空間周波数分布を説明するための図である。
【図12】上記X線画像取得装置での対象画像に対する、グリッド縞成分の検出(解析)を説明するための図である。
【図13】上記グリッド縞成分の検出(解析)処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】上記グリッド縞成分の検出(解析)処理の結果に基づいて、対象画像からグリッド縞成分を抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態において、本発明を適用したX線画像取得装置の構成を示すブロック図である。
【図16】第3の実施の形態において、本発明を適用したX線画像取得装置の構成を示すブロック図である。
【図17】第4の実施の形態において、本発明を適用したX線画像取得装置の構成を示すブロック図である。
【図18】第5の実施の形態において、上記グリッド縞成分の検出(解析)処理の結果に基づいて、対象画像からグリッド縞成分を抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】上記グリッド縞成分を抽出する処理を具体的例を挙げて説明するための図である。
【図20】第1〜第5の実施の形態の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読出可能な記憶媒体から当該プログラムを読み出して実行する構成の一例を示すブロック図である。
【図21】グリッドを用いた放射線撮影を説明するための図である。
【図22】上記放射線撮影で得られた画像に対してのフィルタリングの効果の一例を説明するための図である。
【図23】上記放射線撮影で得られた画像に対してのフィルタリングの効果の他の例を説明するための図である。
【図24】上記放射線撮影で得られた、グリッド縞成分が重畳した画像に対してのフィルタリングの効果の一例を説明するための図である。
【図25】上記放射線撮影で得られた、グリッド縞成分が重畳した画像に対してのフィルタリングの効果の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
100 X線画像取得装置
101 X線発生部
102 被写体
103 グリッド
104 X線センサ
105 コントローラ
106 アナログ/デジタル(A/D)変換器
107 メモリ
108 メモリ
109 演算器
110 変換テーブル
111 メモリ
112 演算器
113 メモリ
114 メモリ
115 補正処理部
116 グリッド縞検出部
117 グリッド縞成分抽出部
118 メモリ
119 演算器
120 メモリ
121 画像処理部

Claims (10)

  1. 散乱放射線を除去するためのグリッドを使用した放射線撮影により得られた放射線画像データを処理する放射線画像処理装置であって、
    前記グリッドに起因して前記放射線画像データに生じるグリッド縞の空間周波数を解析して得る手段と、
    前記解析して得た空間周波数に基づく帯域制限処理を前記放射線画像データに対して行い、処理結果として得られた画像データを第1のグリッド縞成分として抽出する第1の手段と、
    前記第1のグリッド縞成分の振幅を示す値を算出する手段と、
    前記算出した振幅を示す値が所定の範囲外である前記第1のグリッド縞成分の値を、前記算出した振幅を示す値が所定の範囲内である前記第1のグリッド縞成分の値から推定した値に置換し、置換して得られた画像データを第2のグリッド縞成分として抽出する第2の手段と、
    前記放射線画像データから前記第2のグリッド縞成分の除去処理を行う手段と、
    前記グリッド縞成分の除去された前記放射線画像データを圧縮処理する圧縮手段とを備えることを特徴とする放射線画像処理装置。
  2. 前記第2の手段において、前記置換して得られた画像データに対して前記解析して得た空間周波数に基づく第2の帯域制限処理を行い、処理結果として得られた画像データを第2のグリッド縞成分として抽出することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理装置。
  3. 前記第2の帯域制限処理で制限される帯域は、前記第1の手段での帯域制限処理で制限される帯域よりも狭いことを特徴とする請求項2に記載の放射線画像処理装置。
  4. 前記第2の手段において、前記第1のグリッド縞成分の振幅を示す値が所定値以下である前記第1のグリッド縞成分に対応する第2のグリッド縞成分の値を0とすることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理装置。
  5. 前記第1の手段の帯域制限処理はFIRフィルタリング処理を行うことで行われることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理装置。
  6. 前記振幅を示す値は包絡線であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理装置。
  7. 複数の機器が互いに通信可能に接続されて構成される画像処理システムであって、
    前記複数の機器のうち少なくとも1つの機器は、請求項1〜の何れか1項に記載の放射線画像処理装置の機能を有することを特徴とする画像処理システム。
  8. 散乱放射線を除去するためのグリッドを使用した放射線撮影により得られた放射線画像を処理する放射線画像処理方法であって、
    前記グリッドに起因して前記放射線画像データに生じるグリッド縞の空間周波数を解析して得る工程と、
    前記解析して得た空間周波数に基づく帯域制限処理を前記放射線画像データに対して行い、処理結果として得られた画像データを第1のグリッド縞成分として抽出する第1の工程と、
    前記第1のグリッド縞成分の振幅を示す値を算出する工程と、
    前記算出した振幅を示す値が所定の範囲外である前記第1のグリッド縞成分の値を、前記算出した振幅を示す値が所定の範囲内である前記第1のグリッド縞成分の値から推定した値に置換し、置換して得られた画像データを第2のグリッド縞成分として抽出する第2の工程と、
    前記放射線画像データから前記第2のグリッド縞成分の除去処理を行う工程と、
    前記グリッド縞成分の除去された前記放射線画像データを圧縮処理する圧縮工程を有することを特徴とする放射線画像処理方法。
  9. 請求項1〜の何れか1項に記載の放射線画像処理装置の機能、又は請求項に記載の画像処理システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読出可能な記憶媒体。
  10. 請求項8に記載の放射線画像処理方法の処理工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
JP2001134209A 2001-05-01 2001-05-01 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム Expired - Fee Related JP3825989B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001134209A JP3825989B2 (ja) 2001-05-01 2001-05-01 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001134209A JP3825989B2 (ja) 2001-05-01 2001-05-01 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002330343A JP2002330343A (ja) 2002-11-15
JP3825989B2 true JP3825989B2 (ja) 2006-09-27

Family

ID=18981936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001134209A Expired - Fee Related JP3825989B2 (ja) 2001-05-01 2001-05-01 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3825989B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101801273B (zh) * 2007-10-02 2013-05-15 株式会社岛津制作所 放射线图像处理装置以及放射线图像处理方法
JP5278544B2 (ja) * 2009-05-22 2013-09-04 株式会社島津製作所 同期型グリッドの箔影除去方法およびそれを用いた放射線撮影装置
JP5698577B2 (ja) * 2011-03-24 2015-04-08 富士フイルム株式会社 画像処理装置、画像処理方法並びに画像処理プログラム
JP5753502B2 (ja) * 2012-02-27 2015-07-22 富士フイルム株式会社 画像処理装置および方法
JP5753503B2 (ja) * 2012-02-27 2015-07-22 富士フイルム株式会社 画像処理装置および方法
CN104144648A (zh) 2012-02-27 2014-11-12 富士胶片株式会社 图像处理装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002330343A (ja) 2002-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4393483B2 (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記憶媒体及びプログラム
EP1265194A2 (en) Method, system and program for processing and storing radiation images
JP3903027B2 (ja) 放射線画像処理方法及び装置並びにグリッドの選別方法及び装置
JP3683914B2 (ja) ピラミッド的画像分解に基づいた放射線画像の多重処理法
JP3193806B2 (ja) ノイズ減少方法および装置
US8054940B2 (en) Image capturing system for medical use, image processing apparatus, and image processing method
KR20130128124A (ko) 파노라마 영상 데이터 제공 방법 및 장치
JP3793053B2 (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記憶媒体及びプログラム
JP4532730B2 (ja) 撮像装置及び撮像方法
JP2002325765A (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記録媒体、及びプログラム
JP4746761B2 (ja) 放射線画像処理装置、放射線画像処理方法、記憶媒体、及びプログラム
JP3825989B2 (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、コンピュータ読出可能な記憶媒体、及びコンピュータプログラム
JP3793039B2 (ja) 画像処理方法、画像処理装置、放射線画像処理装置、画像処理システム及びプログラム
JP2005021334A (ja) 医用画像処理装置及び医用画像処理システム
WO2020166561A1 (ja) 骨折リスク評価値取得装置及びその作動方法並びに骨折リスク評価値取得プログラム
JP3445258B2 (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記憶媒体、プログラム、放射線撮影装置、及び放射線撮影システム
WO2020158659A1 (ja) 被写体情報取得装置及びその作動方法並びに被写体情報取得プログラム
JP3977871B2 (ja) 画像、例えばマンモグラフィック画像内の予め規定されたサイズのオブジェクトを自動的に検知するための方法
JP2002530180A (ja) フィルタリングされたヒストグラムを使用してデジタル式x線検出器用の当該部分を自動検出する方法
JPH0448453B2 (ja)
JP4393436B2 (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記憶媒体及びプログラム
JP3825988B2 (ja) 放射線画像処理装置、画像処理システム、放射線画像処理方法、記録媒体、及びプログラム
Matsopoulos Medical imaging correction: A comparative study of five contrast and brightness matching methods
WO1997046971A9 (en) A method for automatically detecting objects of predefined size within an image, e.g. a mamographic image
EP0953940A2 (en) Method for converting digital image pixel values

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050719

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060703

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3825989

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090707

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100707

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100707

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110707

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120707

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120707

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130707

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees