JP3825120B2 - 片真空ゲートバルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
集積回路(IC)やウェハー等の材料を大気室と真空処理室との間を移送する場合に、大気室と真空処理室との間のロードロック室を経て行われる。本発明は、大気室とロードロック室との間の移送通路を開閉する片真空バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
真空処理室とロードロック室との間の移送通路、及びロードロック室と大気室との間の移送通路に、それぞれ真空ゲート弁(例えば実開昭62−199572号公報参照)が使用されていた。真空ゲート弁としては、弁箱内の前後2つの開口部の間にゲート組立体が挿入され、ゲート組立体のゲート弁板をシリンダにより2つの開口部の間に挿入するときの力を利用して、ゲート弁板が一方の開口部の弁座に押しつけられる。2つの開口部は弁箱の下方に配設され、シリンダは弁箱の上方に配置されている。
【0003】
従来の真空ゲート弁は、ゲート組立体の構成が相当複雑であり、しかも真空ゲート弁全体の高さが、シリンダの長さ又は開口部の高さの3倍を越え、体積が大きかった。そして、真空処理室とロードロック室との間の移送は、真空処理室とロードロック室とを真空にした状態で行われるが、ロードロック室と大気室との間の移送は、ロードロック室と大気室とを大気圧にした状態で行われる。そして、ロードロック室は、大気室との間で物品を移送する時以外は、真空状態にされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の真空ゲート弁よりも小型で構造が簡単な片真空ゲートバルブを提供することを第1の課題とし、片真空ゲートバルブのゲート弁体前後の圧力差がゲート弁体の閉鎖に利用でき、ゲート弁体のクランプ、アンクランプ時の塵の発生を極めて少なくすることを第2の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明に係る片真空ゲートバルブは、枠体に開口部が配設され、リフトシリンダによって枠体に沿って枠体から離れた状態で上下動されるゲート弁体が、枠体の前側に配設され、ゲート弁体の下降位置でゲート弁体が開口部に向けて押圧されるように構成された片真空ゲートバルブにおいて、ゲート弁体の前面に2個のリフトシリンダのシリンダチューブが連結され、枠体の上端部及び下端部の各2箇所に板バネの一端部が固定され、板バネの他端部が2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部に、該板バネの付勢力によりゲート弁体を枠体から離れた位置に付勢するように連結され、上記枠体に、ゲート弁体の下降位置で上記板バネの付勢力に抗してゲート弁体を開口部に向けて押圧する手段を備えたこと(第1の構成)を特徴とするものである。
本発明は、第1の構成において、枠体の上端部及び下端部の各2箇所に規制部材が配設され、規制部材の長穴に2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部がそれぞれ挿通され、板バネによって2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部が前方位置に付勢され、ゲート弁体が枠体より所定距離だけ離れた状態を維持するようにされたことを第2の構成とする。
本発明は、第1の構成又は第2の構成において、各リフトシリンダの両ピストンロッドにエア通路が形成され、各リフトシリンダのピストンロッド上端の上ポートが一方のエア通路を介して各リフトシリンダの上側シリンダ室に連通され、各リフトシリンダのピストンロッド下端の下ポートが他方のエア通路を介して各リフトシリンダの下側シリンダ室に連通されたことを第3の構成とする。
本発明は、第1の構成ないし第3の構成において、開口部の両側の枠部材前面にクランプシリンダのピストンロッド端が固定され、各クランプシリンダのシリンダチューブの内側にクランプ爪が突出して形成され、各リフトシリンダのシリンダチューブの外側に縦長のクランプ溝が形成され、ゲート弁体の下降位置でクランプ爪がクランプ溝に係合され、クランプシリンダの作動によりゲート弁体が、前記板バネの付勢力に抗して他部材と摺動することなく、開口部に向けて押圧できるようにされたことを第4の構成とする。
本発明は、第4の構成において、クランプシリンダのピストンロッド端がベースプレートを介して枠部材前面に固定され、クランプシリンダのピストンロッドに2つのエア通路が形成され、ベースプレートの閉ポートが前記一方のエア通路を通してクランプシリンダの後シリンダ室に連通され、ベースプレートの開ポートが前記他方のエア通路を通してクランプシリンダの前シリンダ室に連通されたことを第5の構成とする。
本発明は、第1の構成ないし第3の構成において、各リフトシリンダの両ピストンロッドの上端及び下端の近傍に柔軟材製の封鎖具が配置され、ゲート弁体が下降位置又は上昇位置にあるとき封鎖具によりリフトシリンダのシリンダチューブの端部が封鎖されるようにされたことを第6の構成とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明の片真空ゲートバルブの実施の形態を示す。
図1に片真空バルブの全体構造が示されている。図1(a) の前方が大気室であり後方がロードロック室であり、図1(b) の右方が大気室であり左方がロードロック室であり、図1(c) の下方が大気室であり上方がロードロック室であり、また図1(d) の上方が大気室であり下方がロードロック室である。左枠部材10A及び右枠部材10Bの上端面に板状の規制部材11A及び規制部材11Bを介して上枠部材10Cの左端部及び右端部がボルト等によりそれぞれ連結されている。そして、左枠部材10A及び右枠部材10Bの下端面に板状の規制部材11C及び規制部材11Dを介して下枠部材10Dの左端部及び右端部がボルト等によりそれぞれ連結されている。このようにして長方形の枠10が構成されている。なお、左枠部材10A、右枠部材10B、上枠部材10C及び下枠部材10Dを直接連結して長方形の枠10を構成し、枠10の上端部及び下端部に規制部材11A〜11Dを連結してもよい。枠10の内側下端に開口部枠12が装着されており、図1(a) において、ゲート弁体14の外枠と最も内側の点線との間であって、ゲート弁体14の後側に配置され、開口部枠12の厚みは枠10の厚みの約半分である。開口部枠12の内側が開口部であり、開口部枠12の前面は、ゲート弁体14が押圧される部分であり、弁座として機能する。
【0007】
図1及び図2により、ゲート弁体14の取付構造について説明する。本発明では、片真空ゲートバルブの高さを低くしコンパクトにするため、リフトシリンダ18のシリンダチューブ19がゲート弁体14の前面に連結され、リフトシリンダ18のピストンロッド20がそれぞれ枠10の上端部及び下端部に連結されている。本発明の実施の形態では、2個のリフトシリンダ18A(左)、18B(右)のシリンダチューブ19A、19Bがゲート弁体14の前面の左端及び右端にボルト等により連結されている。2個のリフトシリンダ18A、18Bのシリンダチューブ19A、19Bのピストンロッド20AU(左上)、20AD(左下、記号の記入は省略)、20BU(右上)、20BD(右下)が枠10の上端部の左、下端部の左、上端部の右、下端部の右に板バネ15A、15C、15B、15Dを介してそれぞれ連結されている。ゲート弁体14の取付構造は左右対称であるので、ここでは右側について説明し、左側の符号の付与及び説明は省略する。
【0008】
図2(a) 〜(c) に示されているように、板状の規制部材11B(右上)の上面の右端部後部に直方体の板バネ受16BUが複数のボルトにより連結され、板バネ受16BUの前面に板バネ15Bの平坦な一端部がボルト、ワッシャを用いて固定されている。このとき板バネ15Bは断面が縦方向に長くなるように配置されており、ゲート弁体14・リフトシリンダ18A・18Bを支持するのに十分な強度を有している。板バネ15Bの他端は、前方に半回転した形状に曲げられており、ボビン22BUの筒状部及び上下端のフランジ部に係合されている。
【0009】
板状の規制部材11Bの左方部の前寄りの位置に、上下方向に貫通した長穴24BUが、前後方向に長く左右方向に短くなるように形成されている。ピストンロッド20BUの上端部が長穴24BUに挿通され、規制部材11Bの上方位置でピストンロッド20BUの上端部にボビン22BUが嵌合されている。ピストンロッド20BUの上端部の上下2個の環状溝に止め輪23a、23bが装着され、止め輪23a、23bによりボビン22BUの上方位置及び下方位置が規制されている。下側の止め輪23bと規制部材11Bとの間には間隙があり、バネ板15Bの付勢力によりピストンロッド20BUの上端部は長穴24BUの中の前方端に押圧され、規制部材11Bによりピストンロッド20BUの前方位置が規制されている。この規制により、ゲート弁体14が枠体10よりも所定距離だけ前方に離れた状態で上下動することとなる。ゲート弁体14及びリフトシリンダ18A、18Bの合計の重量の約1/4が、ピストンロッド20BU、止め輪23a、ボビン22BU、バネ板15B及び板バネ受け16BU、枠10の上端部によって支持されている。
【0010】
図2(d) 〜(f) に示されているように、板状の規制部材11D(右下)の下面の右端部後部に直方体の板バネ受16BDが2個のボルトにより連結され、板バネ受16BDの前面に板バネ15Dの平坦な一端部がボルト、ワッシャを用いて固定されている。板バネ15Dは、板バネ15Bと同様に、断面が縦方向に長くなるように配置され、また板バネ15Dの他端は、板バネ15Bの他端と同様に、前方に半回転した形状に曲げられており、ボビン22BDの筒状部及び上下端のフランジ部に係合されている。
【0011】
板状の規制部材11Dの左方部の前寄りの位置に、上下方向に貫通した長穴24BDが、前後方向に長く左右方向に短くなるように形成されている。ピストンロッド20BDの下端部が長穴24BDに挿通され、規制部材11Dの下方位置でピストンロッド20BDの下端部にボビン22BDが嵌合されている。ピストンロッド20BDの下端部の上下2個の環状溝に止め輪23c、23dが装着され、止め輪23c、23dによりボビン22BDの上方位置及び下方位置が規制されている。上側の止め輪23cと規制部材11Dとの間には間隙があり、バネ板15Dの付勢力によりピストンロッド20BDの下端部は長穴24BDの中の前方端に押圧され、規制部材11Dによりピストンロッド20BDの前方位置が規制されている。ゲート弁体14及びリフトシリンダ18A、18Bの合計の重量の約1/4が、ピストンロッド20BD、止め輪23c、ボビン22BD、バネ板15D及び板バネ受け16BD、枠10の下端部の右端によって支持されている。なお、ピストンロッド20BDの下方位置を規制する止め輪23b及び23dについては、どちらか一方を省略することができる。
【0012】
図4(a) に示されているように、リフトシリンダ18Bの両ピストンロッド20BU(右上)・20BD(右下)に一方のエア通路26a(上側)及び他方のエア通路26b(下側)が形成されている。リフトシリンダ18Bのピストンロッド20BU上端の上ポート27が一方のエア通路26aを介してリフトシリンダ19Bの上側シリンダ室29と連通され、リフトシリンダ18Bのピストンロッド20BD下端の下ポート28が他方のエア通路26bを介してリフトシリンダ18Bの下側シリンダ室30に連通されている。ピストン31の両側にはピストンロッド20BU及び20BDが連結され、ピストン31の外周環状溝にはロッドパッキン32cが装着されている。シリンダチューブ19Bの上下端部にはロッドパッキン32a,32b、ガスケット33a,33b、カラー34a,34b及び止め輪35a,35b等がそれぞれ配設されている。リフトシリンダ18Aの構造もリフトシリンダ18Bと同じである。
【0013】
図1、図3及び図4(b),(c) により、ゲート弁体14のクランプ(締めつけ,押圧, 閉)及びアンクランプ(締めつけ解除、押圧解除, 開)のための構造について説明する。ゲート弁体14のクランプ、アンクランプの構造は左右対称であるので、ここでは左側について説明し、右側の符号の付与及び説明は省略する。
前面視で、開口部(開口部枠12の内側)の左側の左枠部材10Aの前面にクランプシリンダ38Aのピストンロッド(クランプロッド)39Aが固定され、クランプシリンダ38Aのシリンダチューブ(クランプチューブ)40Aの右側にクランプ爪41Aが突出して形成されている。リフトシリンダ18Aのシリンダチューブ19Aの左側に縦長のクランプ溝42Aが形成され、ゲート弁体14の下降位置でクランプ爪41Aがクランプ溝42Aに係合され、クランプシリンダ38Aの作動によりゲート弁体14が開口部枠12に向けて押圧できるようにされている。
【0014】
図1(a) において、下降位置にあるゲート弁体14の上下の中心線43上で、開口部の左側の左枠部材10Aの前面に、クランプシリンダ38Aの段付のベースプレート44がボルトにより連結されている。図4(b),(c) に示されているように、ピストンロッド39Aの後端部がベースプレート44の横孔に嵌合され、ベースプレート44の後面の凹部内でピストンロッド39A後端の環状溝に止め輪45が係合され、ピストンロッド39Aの抜け出しが防止されている。ベースプレート44の上下端に開口する2つの雌ねじ孔に、変換ねじ47a,47bがそれぞれ上下方向から螺合され、変換ねじ47a,47bの各基端がベースプレート44より少々突出されている。変換ねじ47aの上端に閉ポート49が形成され、閉ポート49はピストンロッド39A内の一方のエア通路48aを通して後シリンダ室51に連通されている。変換ねじ47bの下端に開ポート50が形成され、開ポート50はピストンロッド39A内の他方のエア通路48bを通して前シリンダ室52に連通されている。
【0015】
シリンダチューブ40Aの内面にピストン54が摺動自在に嵌合され、ピストンロッド39Aの前端部がピストン54の雌ねじに螺合され固定され、シリンダチューブ40Aの前端部に前蓋53が配設されている。シリンダチューブ40Aの後部にロッドカバー55が接続され、ロッドカバー55の中央孔にピストンロッド39Aが挿通され、シリンダチューブ40A内には回り止めガイド56が配設されている。シリンダチューブ40Aには後シリンダ室51, 前シリンダ室52に連通された雌ねじ孔が形成され、止めネジ58a,58bにより雌ねじ孔がそれぞれ封鎖され、止めネジ58bはナットにより固定されている。止めネジ58a,58bを緩めることにより、後シリンダ室51, 前シリンダ室52内のエアを抜くことができる。なお、空気漏れ防止のために、必要な箇所にピストンパッキン57、ロッドパッキン59、ガスケット60、Oリング61、鋼球64が配設されている。クランプシリンダ38Bの構造もクランプシリンダ38Aと同じである。
【0016】
図1に示されているように、各リフトシリンダ18A,18Bの上側のピストンロッド20AU,20BUの上端及び下側のピストンロッド下端の近傍に柔軟材製の封鎖具63A〜Dが配置されている。封鎖具63A,63Bは、ゲート弁体14が上昇位置にあるとき、シリンダチューブ19A,19Bの上端面に当接して、シリンダチューブ19A,19Bの上側シリンダ室29からのエアの漏洩を防止する。同様に、封鎖具63C,63Dは、ゲート弁体14が下降位置にあるとき、シリンダチューブ19A,19Bの下端面に当接して、シリンダチューブ19A,19Bの下側シリンダ室30からのエアの漏洩を防止する。また、ゲート弁体14の後側の開口部枠12の前側と当接する部分の溝に、枠状のシールゴム65が装着されている。
【0017】
本発明の片真空ゲートバルブの実施の形態の作用について説明する。不図示の大気室(前方)とロードロック室(後方)との間の通路に片真空ゲートバルブが配設され、ロードロック室の更に後方に通路(通路X)を介して真空処理室が配置され、通路Xに真空ゲートバルブが配設されているとする。例えば、ウェハー等の材料を大気室からロードロック室に搬入するとき、真空ゲートバルブ及び片真空ゲートバルブを閉じた状態で、先ずロードロック室に空気を入れ、ロードロック室の圧力を上昇させて大気圧にする。こうしてゲート弁体14の前後面の圧力が等しくなると、差圧による押圧力の作用がなく、ゲート弁体14を移動させ易くなる。
【0018】
圧縮空気をクランプシリンダ38A,38Bの開ポート50から変換ねじ47b内の通路、エア通路48bを通して前シリンダ室52に流入させ、後シリンダ室51内のエアをエア通路48a、変換ねじ47a内の通路、閉ポート49を通して大気に排出する。空気圧によってクランプシリンダ38A,38Bのシリンダチューブ40Aが前方へ移動し、シリンダチューブ40Aの移動はクランプ爪41A、リフトシリンダ18A,18Bのクランク溝42Aを介してゲート弁体14に伝えられ、ゲート弁体14が前方へ移動する。ゲート弁体14が前方へ移動するとき(後方へ移動するときも同様)、ゲート弁体14が他部材と摺動することがないので、クランプ時、アンクランプ時の塵の発生が極めて少ない。ゲート弁体14の前方への移動により、リフトシリンダ18A,18Bのピストンロッド20AU,20BU等の上端部及び下端部が、板バネ15A〜Dの付勢力も作用して、規制部材11A〜Dの長穴24BU,24BD等の後端位置から前端位置へ移動し、ゲート弁体14が前方へ所定距離だけ移動したアンクランプ状態となる。その後は、前シリンダ室52に圧縮空気を流入し続けなくても、板バネ15A〜Dの付勢力によってゲート弁体14のアンクランプ状態は維持される。
【0019】
ゲート弁体14のアンクランプ状態で、圧縮空気をリフトシリンダ18A,18Bのピストンロッド20AU,20BUの上端の上ポート27から、一方のエア通路26aを通して上側シリンダ室29に流入させ、下側シリンダ室30のエアを他方のエア通路26bを通して下ポート28から大気に排出させる。空気圧によってシリンダチューブ19A,19B及びゲート弁体14が上方へ移動し、クランプ爪41Aはクランプ溝42A内をスライドする。ゲート弁体14の上昇により開口部枠12内の開口部が半分程開くと、クランプ爪41Aとクランプ溝42Aとの係合が解除され、その状態でゲート弁体14は引き続き上昇する。ゲート弁体14が上昇するとき(下降するときも同様)、ゲート弁体14が枠体10よりも所定距離だけ前方位置に維持され、ゲート弁体14が他部材と摺動しないので、摩擦や塵の発生が極めて少ない。ゲート弁体14が上昇位置(上端位置)に到達すると、上方位置の封鎖具63A,63Bがシリンダチューブ19A,19Bの上端面に押圧され、シリンダチューブ19A,19Bの上側シリンダ室29から漏洩しようとするエアの流れを防止する。ゲート弁体14がこうした上昇位置にあるときに、ウェハー等の材料を大気室からロードロック室に搬入する。
【0020】
ウェハー等の材料が大気室からロードロック室に搬入された後に、圧縮空気をリフトシリンダ18A,18Bのピストンロッドの下端の下ポート28から、他方のエア通路26bを通して下側シリンダ室30に流入させ、上側シリンダ室29のエアを一方のエア通路26aを通して上ポート27から大気中に排出させる。空気圧によってシリンダチューブ19A,19B及びゲート弁体14が下方へ移動し、開口部枠12内の開口部が半分程閉じると、クランプ溝42Aにクランプ爪41Aが係合される。板バネ15A〜Dの付勢力によりリフトシリンダ18A,18Bのピストンロッド20AU、20BU等が前方位置(アンクランプ状態)にあり、クランプシリンダ38A,38Bのクランプ爪41Aも前方位置にあるので、クランプ溝42Aとクランプ爪41Aとの係合が円滑に行われる。その状態でゲート弁体14は引き続き下降する。ゲート弁体14が下降位置(下端位置)に到達すると、下方位置の封鎖具63C,63Dがシリンダチューブ19A,19Bの下端面に押圧され、シリンダチューブ19A,19Bの下側シリンダ室30から漏洩しようとするエアの流れを防止する。
【0021】
ゲート弁体14がこうした下降位置にあるときに、圧縮空気をクランプシリンダ38A,38Bの閉ポート49から変換ねじ47a内の通路、エア通路48aを通して後シリンダ室51に流入させ、前シリンダ室52内のエアをエア通路48b、変換ねじ47b内の通路、閉ポート50を通して大気中に排出する。空気圧によってクランプシリンダ38A,38Bのシリンダチューブ40Aが後方へ移動し、シリンダチューブ40Aの移動はクランプ爪41A、リフトシリンダ18A,18Bのクランク溝42Aを介してゲート弁体14に伝えられ、ゲート弁体14が後方へ移動する。ゲート弁体14の後方への移動により、ゲート弁体14の後側のシールゴム65が開口部枠12の前面に押圧され、片真空ゲートバルブが閉鎖され、クランプ状態となる。なお、ゲート弁体14の後方への移動により、リフトシリンダ18A,18Bのピストンロッド20AU,20BU等の上端部及び下端部が、板バネ15A〜Dの付勢力に抗して、規制部材11A〜Dの長穴24BU,24BD等の前端位置から後方位置へ移動する。
【0022】
ゲート弁体14が下方位置でクランプ状態のとき、ロードロック室を減圧し、ロードロック室が真空状態となったとき、真空ゲートバルブを開いて、ウェハー等の材料をロードロック室から真空処理室へ搬入し、真空ゲートバルブを閉じる。ロードロック室が真空状態のとき、ゲート弁体14には大気室とロードロック室との差圧が作用し、ゲート弁体14の後側のシールゴム65が開口部枠12の前面に一層強く押圧される。そして、こうした状態のとき、クランプシリンダ38A,38Bの後シリンダ室51への圧縮空気の流入を停止しても、ゲート弁体14のクランプ状態を維持することが可能である。
【0023】
【発明の効果】
請求項1〜3の本発明では、ゲート弁体の前面に2個のリフトシリンダのシリンダチューブが連結され、枠体の上端部及び下端部の各2箇所に板バネの一端部が固定され、板バネの他端部が2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部に連結された片真空ゲートバルブとなした。従って、従来の真空ゲート弁よりも小型で構造が簡単で、ゲート弁体を枠体から離れた状態で上下動することができる。
請求項4〜5の発明では、開口部の両側の枠部材前面にクランプシリンダのピストンロッド端が固定され、各クランプシリンダのシリンダチューブの内側にクランプ爪が突出して形成され、各リフトシリンダのシリンダチューブの外側に縦長のクランプ溝が形成され、ゲート弁体の下降位置でクランプ爪がクランプ溝に係合され、クランプシリンダの作動によりゲート弁体が、板バネの付勢力に抗して他部材と摺動することなく、開口部に向けて押圧できるようにされている。ゲート弁体のクランプ、アンクランプ時に摺動部をもたないので、塵の発生が極めて少なく、クリーンルームを汚染することなく、またゲート弁体の閉鎖後に、ゲート弁体前後の圧力差をゲート弁体の閉鎖方向に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の片真空ゲートバルブの実施の形態の全体構造を示し、図1(a) は正面図であり、図1(b) は左側面図であり、図1(c) は上面図であり、図1(d) は底面図である。
【図2】図2(a) は図1(c) の一部拡大図であり、図2(b) は図1(a) の一部拡大図であり、図2(c) は図2(b) 部分の説明図であり、図2(d) は図1(a) の一部拡大図であり、図2(e) は図1(d) の一部拡大図であり、図2(f) は図2(d) 部分の説明図である。
【図3】図3(a) は図1(c) の一部拡大図であり、図3(b) は図1(a) の一部拡大図であり、図3(c) は図1(b) の一部拡大図である。
【図4】図4(a) は本発明の片真空ゲートバルブの実施に使用するリフトシリンダ一部断面正面図であり、図4(b) は本発明の片真空ゲートバルブの実施に使用するクランプシリンダの縦断側面図であり、図4(c) のクランプシリンダの一部縦断上面図である。
【符号の説明】
10 枠体
14 ゲート弁体
15A〜D 板バネ
18A,B リフトシリンダ
19A,B シリンダチューブ
20AU,BU,BD ピストンロッド
38A,B クランプシリンダ
39A ピストンロッド
40A シリンダチューブ
41A クランプ爪
42A クランプ溝
Claims (6)
- 枠体に開口部が配設され、リフトシリンダによって枠体に沿って枠体から離れた状態で上下動されるゲート弁体が、枠体の前側に配設され、ゲート弁体の下降位置でゲート弁体が開口部に向けて押圧されるように構成された片真空ゲートバルブにおいて、
ゲート弁体の前面に2個のリフトシリンダのシリンダチューブが連結され、枠体の上端部及び下端部の各2箇所に板バネの一端部が固定され、板バネの他端部が2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部に、該板バネの付勢力によりゲート弁体を枠体から離れた位置に付勢するように連結され、
上記枠体に、ゲート弁体の下降位置で上記板バネの付勢力に抗してゲート弁体を開口部に向けて押圧する手段を備えた、
ことを特徴とする片真空ゲートバルブ。 - 枠体の上端部及び下端部の各2箇所に規制部材が配設され、規制部材の長穴に2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部がそれぞれ挿通され、板バネによって2個のリフトシリンダのピストンロッドの両端部が前方位置に付勢され、ゲート弁体が枠体よりも所定距離だけ離れた状態を維持するようにされた請求項1記載の片真空ゲートバルブ。
- 各リフトシリンダの両ピストンロッドにエア通路が形成され、各リフトシリンダのピストンロッド上端の上ポートが一方のエア通路を介して各リフトシリンダの上側シリンダ室に連通され、各リフトシリンダのピストンロッド下端の下ポートが他方のエア通路を介して各リフトシリンダの下側シリンダ室に連通された請求項1又は2記載の片真空ゲートバルブ。
- 開口部の両側の枠部材前面にクランプシリンダのピストンロッド端が固定され、各クランプシリンダのシリンダチューブの内側にクランプ爪が突出して形成され、各リフトシリンダのシリンダチューブの外側に縦長のクランプ溝が形成され、ゲート弁体の下降位置でクランプ爪がクランプ溝に係合され、クランプシリンダの作動によりゲート弁体が、前記板バネの付勢力に抗して他部材と摺動することなく、開口部に向けて押圧できるようにされた請求項1ないし3のいずれか1つに記載された片真空ゲートバルブ。
- クランプシリンダのピストンロッド端がベースプレートを介して枠部材前面に固定され、クランプシリンダのピストンロッドに2つのエア通路が形成され、ベースプレートの閉ポートが前記一方のエア通路を通してクランプシリンダの後シリンダ室に連通され、ベースプレートの開ポートが前記他方のエア通路を通してクランプシリンダの前シリンダ室に連通された請求項4記載の片真空ゲートバルブ。
- 各リフトシリンダの両ピストンロッドの上端及び下端の近傍に柔軟材製の封鎖具が配置され、ゲート弁体が下降位置又は上昇位置にあるとき封鎖具によりリフトシリンダのシリンダチューブの端部が封鎖されるようにされた請求項1ないし3のいずれか1つに記載された片真空ゲートバルブ。
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