JP3823346B2 - 塗料用ワニス組成物、防汚塗料組成物及び防汚方法 - Google Patents
塗料用ワニス組成物、防汚塗料組成物及び防汚方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶、漁網、排水路等の水中構造物に対する水中生物の付着防止を目的とする塗料用ワニス組成物、防汚塗料組成物及び防汚方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
海水中には、例えばフジツボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキイガイ、アオサ等の海中生物が多数生息している。このような海中に船舶、漁網、排水路等の構造物を設置又は就航すると、海中生物が付着生育して種々の被害が発生する。例えば、船底に海中生物が付着すると海水との摩擦抵抗が増大して航行速度の低下を生じ、一定の速度を維持するために燃料消費が増大し、経済的に好ましくない。また、養殖用の漁網に海中生物が付着すると網目が閉塞し魚介類を致死させることがある。
【0003】
従来、このような海中構造物に海中生物が付着することを防止するために有機錫含有不飽和単量体の単独重合体又は共重合体を樹脂成分とする防汚塗料(特公昭40−21426号公報、特公昭44−9579号公報、特公昭46−13392号公報、特公昭49−20491号公報、特公昭51−11647号公報、特公昭51−12049号公報、特公昭52−48170号公報等参照)を塗装していた。これら重合体は有機錫部分が海水(pH8.0〜8.3)によって加水分解され、有機錫が防汚剤として働くだけでなく、海水可溶化された重合体表面が徐々に移動する海水により侵食され、新しい塗膜表面が暴露されることによって、長期の安定した防汚効果が発揮される。しかしながら、これらの塗料から海水中へ放出される有機錫は、分解しにくく海洋生物だけでなく食物連鎖によって人間の体内でも蓄積され、奇形などの障害を起こすため非常に危険であることから、有機錫化合物の利用が制限されるようになった。
【0004】
これら危険性の高い有機錫系樹脂に代わり、長期の安定した防汚性を達成できる防汚塗料用樹脂の開発が望まれている。そこで、加水分解性のあるものとして種々の特殊なカルボン酸エステルを側鎖に有する樹脂が提案されている(特表昭60−500452号公報、特開平2−69576号公報、特開昭63−215780号公報、特公昭55−39271号公報、特開昭62−57464号公報、特公昭61−3830号公報)が、その効果は全く満足いくものではない。
一方、無水マレイン酸をはじめとする酸無水物や遊離カルボキシル基を有する誘導体の共重合体を本用途に用いることが提案されている(特開昭50−29654号公報、特表昭62−501293号公報、特開平2−99567号公報、特開昭51−124130号公報、特開昭62−135575号公報及び特表昭62−501293号公報)。
【0005】
しかしながら、前記共重合体の内、実施例に記載されている(メタ)アクリル酸エステル共重合体はほとんど自然界では分解せず、防汚塗料に用いる場合海水中へ溶出した後海中に蓄積され続けることが問題となっている。
また前記公報では、無水マレイン酸−酢酸ビニル、酪酸ビニル又はピバル酸ビニル共重合体や無水マレイン酸−メチルビニルエーテル又はエチルビニルエーテル共重合体をバインダー樹脂として本用途に用いることが提案されているが、その生分解性については全く考慮されていない。
【0006】
一方、油化学、第34巻、456頁、(1985)には無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体のナトリウム塩及び無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体のナトリウム塩が生分解性を有していることが報告されているが、前記共重合体も海水可溶性となり溶出後はナトリウム塩となっているため生分解性を有していることが予想される。
しかしながら、前記共重合体を防汚塗料に用いる場合、防汚剤をはじめとする各種添加剤の分散性が悪く、良好な塗膜を得ることが難しかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、生分解性と分散性に優れる塗料用ワニス組成物を提供するものである。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらに得られる塗膜の溶出性に優れる塗料用ワニス組成物を提供するものである。請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらに得られる塗料が安定した粘度を有する塗料用ワニス組成物を提供するものである。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、より生分解性に優れる塗料用ワニス組成物を提供するものである。請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、より生分解性に優れる塗料用ワニス組成物を提供するものである。
【0008】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、より得られる塗膜の溶出性に優れる塗料用ワニス組成物を提供するものである。請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、さらに増粘抑制効果に優れる塗料用ワニス組成物を提供するものである。
【0009】
請求項8記載の発明は、生分解性に優れ、優れた防汚性を長期に渡って維持でき、良好な塗膜を形成することが可能な防汚塗料組成物を提供するものである。請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の効果に加えて、さらに毒性が低い防汚塗料組成物を提供するものである。請求項10記載の発明は、請求項8記載の発明の効果に加えて、より防汚性に優れる防汚塗料組成物を提供するものである。請求項11記載の発明は、生分解性に優れ、優れた防汚性を長期に渡って維持でき、良好な塗膜を形成させることが可能な防汚方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(11)に関するものである。
(1)(a)一般式(I)
【化8】
(式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基を示す)、一般式(II)
【化9】
(式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有してもよいメチル基又は置換基を有してもよいエチル基を示す)及び一般式(III)
【化10】
(式中、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基であり、R7は置換を有してもよい直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す)で表される1種類以上の構成単位と、(b)一般式(IV)
【化11】
(式中、nは0又は1であり、X1は酸素原子、イオウ原子又は−NH−を示し、R10はアルコキシカルボニル基が置換してもよい直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基、アラルキル基又はアシル基を示す(但し、nが0であり、X 1 が酸素原子であり、R 10 が炭素数1〜2のアルキル基及び炭素数が1〜5のアシル基であるものは除く))で表される構成単位とを有する共重合体を含有してなる塗料用ワニス組成物。
【0011】
(2)一般式(IV)が、一般式(V)
【化12】
(式中、X2は酸素原子又はイオウ原子であり、R11は水素原子、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す(但し、X 2 が酸素原子であり、R 11 が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であるものは除く))で表される構成単位である請求項1記載の塗料用ワニス組成物。
【0012】
(3)一般式(IV)が、一般式(VI)
【化13】
(式中、X3は酸素原子又はイオウ原子を示し、R12は直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す(但し、X 3 が酸素原子であり、R 12 が炭素数1及び2のアルキル基であるものは除く))又は一般式(VII)
【化14】
(式中、nは0又は1であり、X4は酸素原子、イオウ原子又は−NH−を示し、R13は直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基を示し、R14は直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す)で表される構成単位である請求項1記載の塗料用ワニス組成物。
【0013】
(4)一般式(V)において、X2が酸素原子であり、R11が炭素数5、9、11、13及び17のアルキル基の中から選択される1種類以上のアルキル基である請求項2記載の塗料用ワニス組成物。
【0014】
(5)一般式(VI)において、X3が酸素原子であり、R12が炭素数4、8及び18のアルキル基の中から選択される1種類以上のアルキル基である請求項3記載の塗料用ワニス組成物。
(6)さらに(c)成分として、アルコール類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、アミド類、チオ尿素類から選択される1種類以上の化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料用ワニス組成物。
(7)さらに、(d)成分として、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体及びベンゾチアゾール誘導体の中から選択される1種類以上の化合物を含有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料用ワニス組成物。
(8)請求項1〜7のいずれかに記載の塗料用ワニス組成物と防汚剤を含有してなる防汚塗料組成物。
(9)防汚剤が有機防汚剤である請求項8記載の防汚塗料組成物。
【0015】
(10)防汚剤が銅化合物を主成分とする防汚剤である請求項8記載の防汚塗料組成物。
(11)請求項8〜10記載の防汚塗料組成物を水中構造物に塗布することを特徴とする防汚方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料用ワニス組成物は、(a)上記一般式(I)、上記一般式(II)及び一般式(III)で表される構成単位の1種類以上と、(b)一般式(IV)で表される構成単位とを有する共重合体を含有してなるものである。
【0017】
本発明において、一般式(I)で表される構成単位は、無水マレイン酸誘導体を重合することにより得ることができる。一般式(I)で表される構成単位を得るために使用される無水マレイン酸誘導体の好ましい具体例としては、例えば、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物等が挙げられる。これらの中で、さらに好ましくは、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物等が挙げられ、特に好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。
【0018】
(a)として一般式(I)で表される構成単位のみを使用する場合は、一般式(I)で表される構成単位の割合としては、重合体総量中20〜80モル%とすることが好ましく、30〜70モル%とすることがより好ましく、40〜60モル%とすることが特に好ましく、45〜50モル%とすることが極めて好ましい。この割合が、20モル%未満では十分な塗膜性能を示す樹脂が得られにくい傾向があり、80モル%を超えると生分解性が劣る傾向がある。
これらの一般式(I)で表される構成単位は、重合体中に単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0019】
また、一般式(II)で表される構成単位は、無水イタコン酸誘導体を重合することにより得ることができる。一般式(II)で表される構成単位を得るために使用される無水イタコン酸誘導体の好ましい具体例としては、無水イタコン酸、2−エチリデンコハク酸無水物、2−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−プロピリデンコハク酸無水物、2−クロロメチレンコハク酸無水物、2−ブロモメチレンコハク酸無水物等が挙げられる。これらの中で、さらに好ましくは、無水イタコン酸、2−エチリデンコハク酸無水物、2−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−プロピリデンコハク酸無水物等が挙げられ、特に好ましくは、無水イタコン酸が挙げられる。
【0020】
(a)として一般式(II)で表される構成単位のみを使用する場合は、一般式(II)で表される構成単位の割合としては、重合体総量中1〜80モル%とすることが好ましく、20〜60モル%とすることがより好ましく、30〜50モル%とすることが特に好ましい。この割合が、1モル%未満では充分な塗膜性能を示す樹脂が得られにくい傾向があり、80モル%を超えると生分解性が劣る傾向がある。
これらの一般式(II)で表される構成単位は、重合体中に単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
さらに、一般式(III)で表される構成単位は、不飽和ジカルボン酸モノエステルを重合することにより得ることができる。また、不飽和ジカルボン酸無水物を重合後にエステル化することによっても得ることができる。
一般式(III)においてR7で示される炭素数が1〜20の置換されていてもよい直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基 、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ノルボルニル基、2−フリル基、3−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−テニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
【0022】
一般式(III)で表される構成単位を得るために使用される不飽和ジカルボン酸モノエステルの好ましい具体例としては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノプロピルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノメトキシエチルエステル、マレイン酸モノエトキシエチルエステル、マレイン酸モノブトキシエチルエステル、メチルマレイン酸モノメチルエステル、メチルマレイン酸モノエチルエステル、メチルマレイン酸モノプロピルエステル、メチルマレイン酸モノブチルエステル、ジメチルマレイン酸モノメチルエステル、ジメチルマレイン酸モノエチルエステル、ジメチルマレイン酸モノプロピルエステル、ジメチルマレイン酸モノブチルエステル、エチルマレイン酸モノメチルエステル、エチルマレイン酸モノエチルエステル、エチルマレイン酸モノプロピルエステル、エチルマレイン酸モノブチルエステル、ジエチルマレイン酸モノメチルエステル、ジエチルマレイン酸モノエチルエステル、ジエチルマレイン酸モノプロピルエステル、ジエチルマレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、フマル酸モノプロピルエステル、フマル酸モノブチルエステル、フマル酸モノメトキシエチルエステル、フマル酸モノエトキシエチルエステル、フマル酸モノブトキシエチルエステル、メチルフマル酸モノメチルエステル、メチルフマル酸モノエチルエステル、メチルフマル酸モノプロピルエステル、メチルフマル酸モノブチルエステル、ジメチルフマル酸モノメチルエステル、ジメチルフマル酸モノエチルエステル、ジメチルフマル酸モノプロピルエステル、ジメチルフマル酸モノブチルエステル、エチルフマル酸モノメチルエステル、エチルフマル酸モノエチルエステル、エチルフマル酸モノプロピルエステル、エチルフマル酸モノブチルエステル、ジエチルフマル酸モノメチルエステル、ジエチルフマル酸モノエチルエステル、ジエチルフマル酸モノプロピルエステル、ジエチルフマル酸モノブチルエステル等が挙げられ、より好ましくはマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノプロピルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、フマル酸モノプロピルエステル、フマル酸モノブチルエステル等が挙げられ、特に好ましくはマレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル等が挙げられる。
【0023】
また、一般式(III)で表される構成単位を得るために使用される、不飽和ジカルボン酸無水物の好ましい具体例としては、例えば、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物等が挙げられ、特に好ましくは無水マレイン酸である。
さらに、一般式(III)で表される構成単位を得るために上記の不飽和カルボン酸無水物を用いる場合には、重合後にさらに酸無水物基をエステル化反応させる必要がある。エステル化反応は公知の各種の方法によって行うことができる。例えばアルコール類によりエステル化反応を行う場合には、通常、一般式(III )で表される構成単位で示されるようなモノエステルを得ることができる。
【0024】
(a)として一般式(III)で表される構成単位のみを使用する場合は、一般式(III)で表される構成単位の割合は、重合体総量中20〜80モル%とすることが好ましく、30〜50モル%とすることがより好ましく、45〜50モル%とすることが特に好ましい。この割合が、20モル%未満では充分な塗膜性能を示す樹脂が得られにい傾向があり、80モル%を超えると生分解性が劣る傾向がある。
これらの一般式(III)で表される構成単位は、重合体中に単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】
(a)として一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される構成単位の中の2種類以上の構成単位を混合して使用する場合は、一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される構成単位は、重合体総量に対して、それぞれ、一般式(I)は0〜75モル%とすることが好ましく、一般式(II)は0〜75モル%とすることが好ましく及び一般式(III)は0〜75モル%とすることが好ましい。
また、一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される構成単位の総量は、重合体総量に対して、20〜80モル%とすることが好ましく、30〜60モル%とすることがより好ましく、40〜50モル%とすることが特に好ましい。
【0026】
本発明における(b)成分としては、一般式(IV)に示す構造であれば特に制限はない。
【化15】
(式中、nは0又は1であり、X1は酸素原子、イオウ原子又は−NH−を示し、R10はアルコキシカルボニル基が置換してもよい直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基、アラルキル基又はアシル基を示す(但し、nが0であり、X 1 が酸素原子であり、R 10 が炭素数1〜2のアルキル基及び炭素数が1〜5のアシル基であるものは除く))
【0027】
一般式(IV)において、R10で示される炭素数が1〜20のアルコキシカルボニル基が置換していてもよい直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ノルボルニル基、2−フリル基、3−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−テニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
【0028】
本発明において、一般式(IV)で表される構成単位としては、下記の一般式(V)
【化16】
(式中、X2は酸素原子又はイオウ原子であり、R11は水素原子、直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す(但し、X 2 が酸素原子であり、R 11 が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であるものは除く))、一般式(VI)
【化17】
(式中、X3は酸素原子又はイオウ原子を示し、R12は直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す(但し、X 3 が酸素原子であり、R 12 が炭素数1及び2のアルキル基であるものは除く))及び一般式(VII)
【化18】
(式中、nは0又は1であり、X4は酸素原子、イオウ原子又は−NH−を示し、R13は直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基を示し、R14は直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基を示す)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0029】
上記一般式(V)、一般式(VI)及び一般式(VII)の構成単位を得るためには、下記一般式(VIII)
【化19】
(式中、nは0又は1であり、X5は酸素原子、イオウ原子又は−NH−、R15はアルコキシカルボニル基が置換していてもよい直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基又はアシル基を示す)
で表される不飽和単量体を使用することができる。
【0030】
一般式(VIII)において、R15で示されるアルコキシカルボニル基が置換していてもよい直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基、アラルキル基又はアシル基としては、炭素数が1〜20の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基、アラルキル基又はアシル基のものが好ましく、これに置換するアルコキシカルボニル基としては炭素数が1〜10のものが好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基 、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ノルボルニル基、アセチル基、プロピニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ペンタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、o−トルオイル基、m−トルオイル基、p−トルオイル基、2,3−キシロイル基、2,4−キシロイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、2−フリル基、3−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−テニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(VIII)で表される不飽和単量体の好ましい具体例としては、例えば、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、2−メチル安息香酸ビニル、3−メチル安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、2,3−ジメチル安息香酸ビニル、2,4−ジメチル安息香酸ビニル、1−ナフタレンカルボン酸ビニル、2−ナフタレンカルボン酸ビニル、2−フランカルボン酸ビニル、3−フランカルボン酸ビニル、2−チオフェンカルボン酸ビニル、3−チオフェンカルボン酸ビニル、ニコチン酸ビニル、イソニコチン酸ビニル、ヘキサンチオ酸ビニル、ヘプタンチオ酸ビニル、オクタンチオ酸ビニル、ノナンチオ酸ビニル、デカンチオ酸ビニル、ラウリンチオ酸ビニル、ミリスチンチオ酸ビニル、パルミチンチオ酸ビニル、ステアリンチオ酸ビニル、チオ安息香酸ビニル、2−メチルチオ安息香酸ビニル、3−メチルチオ安息香酸ビニル、4−メチルチオ安息香酸ビニル、2,3−ジメチルチオ安息香酸ビニル、2,4−ジメチルチオ安息香酸ビニル、1−ナフタレンチオ酸ビニル、2−ナフタレンチオ酸ビニル、2−フランチオ酸ビニル、3−フランチオ酸ビニル、2−チオフェンチオ酸ビニル、3−チオフェンチオ酸ビニル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ネオペンチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、1−ナフチルビニルエーテル、2−ナフチルビニルエーテル、o−トリルビニルエーテル、m−トリルビニルエーテル、p−トリルビニルエーテル、2,3−キシリルビニルエーテル、2,4−キシリルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ノルボニルビニルエーテル、2−フリルビニルエーテル、3−フリルビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−チエニルビニルエーテル、3−チエニルビニルエーテル、2−テニルビニルエーテル、2−ピリジルビニルエーテル、3−ピリジルビニルエーテル、4−ピリジルビニルエーテル、プロピルビニルスルフィド、ブチルビニルスルフィド、イソブチルビニルスルフィド、tert−ブチルビニルスルフィド、ペンチルビニルスルフィド、ネオペンチルビニルスルフィド、2−エチルヘキシルビニルスルフィド、ドデシルビニルスルフィド、オクタデシルビニルスルフィド、フェニルビニルスルフィド、1−ナフチルビニルスルフィド、2−ナフチルビニルスルフィド、o−トリルビニルスルフィド、m−トリルビニルスルフィド、p−トリルビニルスルフィド、2,3−キシリルビニルスルフィド、2,4−キシリルビニルスルフィド、ベンジルビニルスルフィド、フェネチルビニルスルフィド、シクロヘキシルビニルスルフィド、ノルボニルビニルスルフィド、2−フリルビニルスルフィド、3−フリルビニルスルフィド、フルフリルビニルスルフィド、テトラヒドロフルフリルビニルスルフィド、2−チエニルビニルスルフィド、3−チエニルビニルスルフィド、2−テニルビニルスルフィド、2−ピリジルビニルスルフィド、3−ピリジルビニルスルフィド、4−ピリジルビニルスルフィド、ビニルオキシ酢酸メチル、ビニルオキシ酢酸エチル、ビニルオキシ酢酸ブチル、ビニルオキシプロピオン酸メチル、ビニルオキシプロピオン酸エチル、ビニルオキシプロピオン酸ブチル、ビニルオキシブタン酸メチル、ビニルオキシブタン酸エチル、ビニルオキシブタン酸ブチル、アリルオキシ酢酸メチル、アリルオキシ酢酸エチル、アリルオキシ酢酸ブチル、アリルオキシプロピオン酸メチル、アリルオキシプロピオン酸エチル、アリルオキシプロピオン酸ブチル、アリルオキシブタン酸メチル、アリルオキシブタン酸エチル、アリルオキシブタン酸ブチル、ビニルチオ酢酸メチル、ビニルチオ酢酸エチル、ビニルチオ酢酸ブチル、ビニルチオプロピオン酸メチル、ビニルチオプロピオン酸エチル、ビニルチオプロピオン酸ブチル、ビニルチオブタン酸メチル、ビニルチオブタン酸エチル、ビニルチオブタン酸ブチル、アリルチオ酢酸メチル、アリルチオ酢酸エチル、アリルチオ酢酸ブチル、アリルチオプロピオン酸メチル、アリルチオプロピオン酸エチル、アリルチオプロピオン酸ブチル、アリルチオブタン酸メチル、アリルチオブタン酸エチル、アリルチオブタン酸ブチル、N−アリルアミノ酢酸メチル、N−アリルアミノ酢酸エチル、N−アリルアミノ酢酸ブチル、N−アリルアミノプロピオン酸メチル、N−アリルアミノプロピオン酸エチル、N−アリルアミノプロピオン酸ブチル、N−アリルアミノブタン酸メチル、N−アリルアミノブタン酸エチル、N−アリルアミノブタン酸ブチル等が挙げられる。これらの中で、好ましくは、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ビニルオキシ酢酸メチル、ビニルオキシ酢酸エチル、アリルオキシ酢酸メチル、アリルオキシ酢酸エチル、N−アリルアミノ酢酸メチル、N−アリルアミノ酢酸エチル、N−アリルアミノプロピオン酸エチル等が挙げられ、より好ましくは、ヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0032】
本発明において、一般式(V)で表される構成単位は、上記一般式(VIII)で表される単量体の中で特にビニルエステル化合物を用いることにより得ることができる。
一般式(V)において、R11で示される炭素数が1〜20の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基 、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ノルボルニル基、2−フリル基、3−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−テニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられ、これらの中で好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられ、より好ましくは、ヘプチル基、ノニル基、ウンデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。
【0033】
本発明において、一般式(VI)で表される構成単位は、上記一般式(VIII)で表される単量体の中で特にビニルエーテル化合物又はビニルスルフィド化合物を用いることにより得ることができる。
一般式(VI)において、R12で示される炭素数が1〜20の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基 、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ノルボルニル基、2−フリル基、3−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−テニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられ、これらの中で好ましくは、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、より好ましくは、ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0034】
本発明において、一般式(VII)で表される構成単位は、上記一般式(VIII)で表される単量体の中で特にビニルオキシカルボン酸エステル化合物、アリルオキシカルボン酸エステル化合物、ビニルチオカルボン酸エステル化合物、アリルチオカルボン酸エステル化合物、ビニルアミノカルボン酸エステル化合物、アリルアミノカルボン酸エステル化合物等を用いることにより得ることができる。
一般式(VII)において、R13で示される直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、エチルエチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基等が挙げられ、これらの中で好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、より好ましくは、メチレン基が挙げられる。R14で示される直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、アリール基、複素環基又はアラルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、これらの中で好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0035】
本発明において、(b)成分の割合は、共重合体総量中20〜99モル%とすることが好ましく、40〜70モル%とすることがより好ましく、50〜60モル%とすることが特に好ましい。
この割合が、20モル%未満では得られた重合体の生分解性が劣る傾向があり、99モル%を超えると充分な塗膜性能を示す樹脂が得られにくい傾向がある。
これらの(b)成分の構成単位は、共重合体中単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0036】
また、本発明における共重合体には、生分解性等の効果を損なわない範囲で、その他の単量体を併用することもできる。
これらを用いる場合は、重合体総量中30モル%以下で使用することが好ましい。
【0037】
本発明における共重合体の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いて製造することができる。
【0038】
使用される有機溶媒としては、無水マレイン酸誘導、無水イタコン酸誘導体又は不飽和ジカルボン酸モノエステル及び他の不飽和単量体との反応性がなく、生成した重合体を溶解するものであれば特に制限なく、例えば、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(へキサン、シクロヘキサン等)、環状エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、鎖状エーテル系溶媒(エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)、ハロゲン系溶媒(クロロホルム、塩化メチレン等)、非プロトン性極性溶媒等(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等)などが挙げられ、好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、キシレン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0039】
溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、重合体総量中重量比で1〜5倍程度が好ましく、より好ましくは1〜3.5倍程度である。
【0040】
使用するラジカル重合触媒としては、アゾ系化合物、パーオキシド系化合物等の通常のラジカル重合に使用できる開始剤が使用できる。具体的には、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。使用する開始剤の量は特に制限はないが、好ましくは重合体総量中0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜4重量%である。
【0041】
得られる重合体の数平均分子量は特に制限されるものではないが、塗料用樹脂としての諸特性の面から、好ましくは3,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000である。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値である。
【0042】
また、分子量を調節する目的で重合時に適当な連鎖移動剤を配合してもよい。具体的には、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、イソプロパンチオール、ブタンチオール、2−メチルプロパンチオール、3−メチルプロパンチオール、1,1−ジメチルエタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、ベンゼンチオール、2−メチルベンゼンチオール、3−メチルベンゼンチオール、4−メチルベンゼンチオール、2−エチルベンゼンチオール、3−エチルベンゼンチオール、4−エチルベンゼンチオール、ビス(4−ヒドロキシジメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ブロモメチルフェニル)ジスルフィド、ジナフチルジスルフィド、ジ−2−ベンゾチアジスルフィド、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム等が挙げられる。連鎖移動剤の配合量は、目的とする重合体の分子量により適宜選択できる。
重合は、通常、不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガスには、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
【0043】
以上の方法で製造された生分解可能な重合体含有してなる本発明の塗料用ワニス組成物は、樹脂固形分としては、特に制限されるものではないが、塗料用樹脂としての諸特性の面から10〜90重量%とすることが好ましく、20〜80重量%とすることがより好ましくい。
【0044】
本発明の塗料用ワニス組成物は、上記生分解可能な重合体とともに(c)分子中に疎水基と親水基を両方有し、かつ0℃以上の融点を有する化合物を含有することが好ましい。
本発明における(c)分子中に疎水基と親水基を両方有し、かつ0℃以上の融点を有する化合物は、長期に亘る塗膜消耗性を向上させる目的で添加される。
(c)分子中に疎水基と親水基を両方有し、かつ0℃以上の融点を有する化合物とは、酸無水物基又はカルボキシル基に対して反応性がなく、1つの分子中に疎水基と親水基を両方有する化合物である。
【0045】
疎水基としては、置換基を有してもよい炭素数4以上の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アリール基、アラルキル基等や親水基を含んで環状化合物を形成する置換基を有してもよい炭素数4以上の炭化水素基等が挙げられる。
疎水基として具体的に好ましいものとして、1価の炭化水素基としては、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。
【0046】
親水基としては、
【化20】
等が挙げられる。
【0047】
具体的な化合物としては、炭素数12以上のアルコール類(ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、トリフェニルメタノール等)、炭素数12以上のチオール類(ドデカンチオール、テトラデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオオール、トリフェニルメタンチオール等)、炭素数12以上のカルボン酸エステル類(ヘキサン酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘプチル、ヘキサン酸オクチル、ヘキサン酸−2−エチルヘキシル、ヘキサン酸ノニル、ヘキサン酸デシル、オクタン酸ブチル、オクタン酸イソブチル、オクタン酸−sec−ブチル、オクタン酸−tert−ブチル、オクタン酸ペンチル、オクタン酸ヘキシル、デカン酸エチル、デカン酸プロピル、デカン酸イソプロピル、デカン酸ブチル、デカン酸イソブチル、デカン酸−sec−ブチル、デカン酸−tert−ブチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸−sec−ブチル、ラウリン酸−tert−ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸−sec−ブチル、ミリスチン酸−tert−ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソブチル、パルミチン酸−sec−ブチル、パルミチン酸−tert−ブチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸−sec−ブチル、ステアリン酸−tert−ブチル等)、ホスフィンオキシド類(リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等)、アミド類 (ベンズアミド、ベンズアニリド、ラウリン酸アミド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アミド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アミド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アニリド、ε−カプロラクタム等)、尿素類(フェニル尿素、ジフェニル尿素等)、チオ尿素類等(フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素等)などが挙げられる。
【0048】
これらのうち、融点が0℃以上、さらには10℃以上、特には20℃以上の化合物は、添加した際に、防汚塗料の塗膜の強度を低下させる影響が少ないため好ましい。さらに、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等は、長期に亘る塗膜消耗性を向上させる効果が高いため好ましく、より好ましいものとしてはパルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0049】
これらの(c)分子中に疎水基と親水基を両方有し、かつ0℃以上の融点を有する化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用されるが、使用量としては、用いる生分解可能な重合体(樹脂固形分)に対して、1〜200重量%のとすることが好ましく、5〜50重量%とすることがより好ましい。この使用量が、1重量%未満では添加効果が不充分となり、長期に亘っての塗膜消耗性が劣る傾向がある。また、200重量%を超えると海水中での塗膜の耐久性が低下する傾向がある。
【0050】
また、本発明の塗料用ワニス組成物には、さらに(d)トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体及びベンゾチアゾール誘導体の中から選択された1種以上の化合物を添加すると、防汚剤である銅化合物との混合による増粘を防ぐ効果が大きいので好ましい。
【0051】
トリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾール誘導体、アミノ置換トリアゾール誘導体、その他のトリアゾール誘導体等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−メチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−フェニル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−フェニル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−ニトロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−エチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−プロピル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−イソブチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メトキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾールカルボン酸及びそのエステル誘導体、N−ジアルキルアミノメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられ、アミノ置換トリアゾール誘導体としては、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられ、その他のトリアゾール誘導体としては、1,2,3−トリアゾール、1−メチル−1,2,3−トリアゾール、1−フェニル−1,2,3−トリアゾール、1−ベンジル−1,2,3−トリアゾール、2−メチル−1,2,3−トリアゾール、2−フェニル−1,2,3−トリアゾール、2−ベンジル−1,2,3−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、4−フェニル−1,2,3−トリアゾール、4−ヒドロキシ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジメチル−1,2,3−トリアゾール、4−メチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジメチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール、1,5−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3−クロロ−1,2,4−トリアゾール、3−ブロモ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジエチル−1,2,4−トリアゾール、1,3−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、1,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール等のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン又はヒドロキシ置換トリアゾール誘導体等が挙げられる。
【0052】
また、ベンゾチアゾール誘導体としては、イオウ置換ベンゾチアゾール誘導体が好ましく、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸等が挙げられ、また、チアジアゾール誘導体としては、イオウ置換チアジアゾール誘導体が好ましく、具体的には、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアゾール、2−メチルアミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−チオ酢酸−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。
【0053】
これらの(d)成分としては、効果が高いことから、トリアゾール誘導体が好ましく、具体的に好ましい化合物としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾールから選択されたものである。
【0054】
これらの(d)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用されるが、使用量としては、用いる生分解可能な重合体(樹脂固形分)に対して、0.1〜50重量%とすることが好ましく、0.2〜10重量%とすることがより好ましい。この使用量が、0.1重量%未満では添加効果が不充分となり、防汚剤である銅化合物との塗料化により増粘が起こりやすい傾向がある。また、50重量%を超えると良好な塗膜を形成しにくい傾向がある。
【0055】
なお、本発明の塗料用ワニス組成物には、本発明の効果を損なわない程度に前記生分解可能な重合体以外の重合体を混合することもできる。
【0056】
前記本発明の塗料用ワニス組成物は、公知の顔料などの着色剤、公知の防汚剤、各種添加剤(増量剤、分散又はタレ止め剤等)を配合して防汚塗料組成物とすることができる。
【0057】
本発明の防汚塗料組成物に使用される防汚剤としては、有機防汚剤を主成分 (全防汚剤の50重量%以上)とする防汚剤、銅化合物を主成分とする防汚剤等が好ましいものとして挙げられる。
有機防汚剤としては、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)−イソチアゾロン、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N′−ジメチル−N′−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメイト、ジヨードメチルパラトリルスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ピリジン−トリフェニルボラン等が挙げられる。
【0058】
銅化合物としては、クロム酸第二銅、フェロシアニン酸第二銅、キノリン第二銅、δ−ハイドロキノン第二銅、オレイン酸第二銅、硝酸第二銅、燐酸第二銅、酒石酸第二銅、酸化第一銅、ロダン銅、銅−ニッケル固溶合金、よう化第一銅、亜硫酸第一銅、酸化亜鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム等が挙げられる。
また、防汚剤として有機錫化合物、トリアジン化合物、有機硫黄化合物等を使用することもできる。
これらの防汚剤の使用量は、特に制限されないが、全重合体量(樹脂固形分)に対して、1〜500重量%とすることが好ましく、50〜450重量%とすることがより好ましい。この使用量が、1重量%未満では防汚剤としての効果をほとんど示さない傾向があり、500重量%を超えると良好な塗膜が形成されにくい傾向がある。
【0059】
顔料として代表的なものには、酸化チタン(チタン白)、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系、キナクリドン系等の有機顔料を用いることができるが、通常は無機顔料が用いられる。これらの顔料は必要に応じて用いられ、使用する場合の使用量としては、特に制限はないが、全重合体量(樹脂固形分)に対して、200重量%以下とすることが好ましい。この使用量が、200重量%を超えると塗膜としての安定性に劣る傾向がある。
【0060】
また、増量剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、アルミナ、ゼオライト等が挙げられる。これらの増量剤は必要に応じて用いられ、使用する場合の使用量としては、特に制限はないが、全重合体量(樹脂固形分)に対して、100重量%以下とすることが好ましい。この使用量が、100重量%を超えると塗膜としての安定性に劣る傾向がある。
【0061】
分散又はタレ止め剤としては、シリカゲル系、ベントナイト系、カオリナイト系、タルク系、ヘクトライト系、モンモリロナイト系、サポナイト系、バイデライト系等の無機の分散又はタレ止め剤、脂肪酸アマイド系、脂肪酸エステル系、酸化ポリエチレン系、硫酸エステル系アニオン界面活性剤、ポリカルボン酸アミン塩系、ポリカルボン酸系、ポリアマイド系、高分子ポリエーテル系、アクリル共重合物系、特殊シリコン系等の有機の分散又はタレ止め剤が挙げられる。この使用量としては、特に制限はないが、全重合体量(樹脂固形分)に対して、0.01〜100重量%とすることが好ましい。この使用量が、0.01重量%未満では添加効果が充分に現われ難い傾向があり、100重量%を超えると塗膜としての安定性に劣る傾向がある。
さらに、溶出助剤として、ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等を併用することも可能である。
【0062】
本発明の防汚方法は、前記本発明の防汚塗料組成物を、水中構造物(船底、漁網等)に塗布することを特徴とする。
本発明の防汚方法は、水中構造物に優れた防汚性を付与することができる。
【0063】
【実施例】
つぎに実施例により本発明を説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。また、以下の実施例では「塗料用ワニス(組成物)」を単に「ワニス(組成物)」と、「防汚塗料組成物」を単に「塗料組成物」と略記する。
【0064】
製造例1
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、滴下ロート、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン69.9g、無水マレイン酸14.7gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、イソブチルビニルエーテル15.1g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で4時間保温した。その後、メチルイソブチルケトン8.0g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75gの混合物を20分間で滴下し、さらに60℃で2時間保温した後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体を、1H−NMRで測定し、各成分の積分強度比から、組成を決定した(以下同様)。
その結果、前記一般式(I)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であった。また、数平均分子量は24,000であった。
【0065】
製造例2
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルエチルケトン21.2g、無水マレイン酸5.88gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、2−エチルヘキシルビニルエーテル9.38g、2,2′−アゾビス (2,4−ジメチルバレロニトリル)0.298gを窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で6時間保温した。その後メチルエチルケトン15.0gを添加した後放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(I)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は50,000であった。
【0066】
製造例3
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにキシレン10.4g、無水マレイン酸1.96gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、オクタデシルビニルエーテル5.96g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)9.92×10-2gを窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で6時間保温した。その後キシレン7.98gを添加した後放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(I)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は24,000であった。
【0067】
製造例4
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコに酢酸エチル12.7g、無水マレイン酸2.94gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、ヘキサン酸ビニル4.27g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.150gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で4時間保温した。その後酢酸エチル3.58gを添加した後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(I)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は15,000であった。
【0068】
製造例5
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルエチルケトン9.01g、無水マレイン酸2.95gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、ラウリン酸ビニル6.80g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.149gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で4時間保温した。その後メチルエチルケトン5.45gを添加した後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(I)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は11,000であった。
【0069】
製造例6
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにキシレン10.2g、無水マレイン酸2.95gを挿入し、60℃に加熱して無水マレイン酸を溶解した。
次に、ステアリン酸ビニル9.32g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.152g、キシレン5.03gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で6時間保温した。その後キシレン3.00gを添加した後、放冷して樹脂固形分40重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(I)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は23,000であった。
【0070】
製造例7
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、滴下ロート、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン21.9g、無水イタコン酸9.00gを挿入し、室温で攪拌しながら60℃に保持した。
次に、ラウリン酸ビニル18.1g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.397gの混合物を、窒素ガス気流下で攪拌しながら1.5時間で滴下し、60℃で4時間保温した。その後メチルイソブチルケトン42.0gを添加した後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(II)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は12,000であった。
【0071】
製造例8
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにキシレン20.2g、無水イタコン酸4.48gを挿入し、室温で攪拌しながら無水イタコン酸を溶解した。
次に、オクタデシルビニルエーテル11.9g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.198gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で6時間保温した。その後キシレン18.4gを添加した後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(II)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であり、数平均分子量は21,000であった。
【0072】
製造例9
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、滴下ロート、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン69.9g、無水マレイン酸14.7gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、イソブチルビニルエーテル15.1g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で4時間保温した。その後、メチルイソブチルケトン8.0g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75gの混合物を20分間で滴下し、さらに60℃で2時間保温して数平均分子量が24,000の重合体を得た。
【0073】
上記の重合体5.0gをコンデンサー、乾燥管を備えた1リットルなす型フラスコに挿入し、さらにn−ブタノール200mlを加え、攪拌しながら60℃で1時間保温した。その後、120℃で6時間攪拌保温した後、n−ブタノールを減圧留去し、さらにテトラヒドロフランを溶媒としてメタノールから再沈澱法により回収した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(III)の構成単位が49モル%、前記一般式(IV)の構成単位が51モル%であった。
得られた重合体4.5gをメチルイソブチルケトン10.5gに溶解して、樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
【0074】
製造例10
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコに酢酸エチル12.7g、無水マレイン酸2.94gを挿入し、室温で攪拌しながら無水マレイン酸を溶解した。
次に、ヘキサン酸ビニル4.27g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.150gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、60℃で4時間攪拌保温して数平均分子量が15,000の重合体を得た。
上記の重合体5.0gをコンデンサー、乾燥管を備えた1リットルなす型フラスコに挿入し、さらにn−ブタノール200mlを加え60℃で1時間攪拌保温した。その後、120℃で6時間攪拌保温した後、n−ブタノールを減圧留去し、さらにテトラヒドロフランを溶媒としてメタノールから再沈澱法により回収した。
得られた重合体の組成は、前記一般式(III)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であった。
得られた重合体4.5gをメチルイソブチルケトン10.5gに溶解して、樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
【0075】
製造例11
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルエチルケトン9.92g、マレイン酸モノブチルエステル5.17gを挿入し、室温で攪拌しながら溶解した。
次に、イソブチルビニルエーテル3.00g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.149gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、60℃で4時間攪拌保温した。その後メチルエチルケトン5.45gを添加した後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、18,000であり、重合体の組成は、前記一般式(III)の構成単位が50モル%、前記一般式(IV)の構成単位が50モル%であった。
【0076】
製造例12
攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコにメチルエチルケトン6.78g、フマル酸モノブチルエステル5.17gを挿入し、室温で攪拌しながら溶解した。
次に、ラウリン酸ビニル6.80g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.149gの混合物を窒素ガス気流下で挿入し、攪拌しながら60℃で4時間保温した。その後メチルエチルケトン5.45gを添加した後放冷して、樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、16,000であり、重合体の組成は、前記一般式(III)の構成単位が48モル%、前記一般式(IV)の構成単位が52モル%であった。
【0077】
実施例1〜12
上記製造例1〜12で製造した各ワニスの樹脂固形分5.0gに、リン酸トリクレジル0.5gを添加して充分に混合しワニス組成物を製造した。
【0078】
実施例13〜24
上記製造例1〜12で製造した各ワニスの樹脂固形分5.0gに、リン酸トリクレジル0.5g及び1,2,3−ベンゾトリアゾール0.05gを添加して充分に混合しワニス組成物を製造した。
【0079】
実施例25〜36
上記実施例1〜12で製造した各ワニス組成物の樹脂固形分15gに、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)−イソチアゾリン50g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0080】
実施例37〜38
上記実施例2及び実施例10で製造した各ワニス組成物の樹脂固形分15gに、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル50g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0081】
実施例39〜40
上記実施例2及び実施例10で製造した各ワニス組成物の樹脂固形分15gに、ピリジントリフェニルボラン50g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0082】
実施例41〜52
上記実施例13〜24で製造した各ワニス組成物の樹脂固形分15gに、亜酸化銅(純度90%以上、粉末)45g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン5g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0083】
実施例53〜64
上記製造例1〜12で製造した各ワニスから重合体をそれぞれ単離した。
【0084】
製造例13
油化学,第34巻,456頁,(1985)記載の方法に基づき、攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコに無水マレイン酸9.8g、酢酸ビニル8.6g及びアセトン43gを挿入し、重合触媒として、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)0.456gを添加し、56℃で4時間加熱攪拌して重合を行った後、放冷して樹脂固形分30重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、6,000であった。
【0085】
製造例14
特開平6−41284号公報記載の方法に基づき、攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコに無水マレイン酸10.1gを挿入し、反応器内を窒素で充分に置換した後、n−ブチルアルデヒド14.8g、メチルイソブチルケトン14.8g及びメチルビニルエーテル7.2gを挿入し、無水マレイン酸が完全に溶解するまで15分間攪拌した。
この混合物を60℃に加熱し、ラウロイルパーオキサイド0.2g及びn−ブチルアルデヒド20gからなる開始剤液を6mlを加え、5時間加熱攪拌して重合を行った後、放冷して樹脂固形分33重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、38,000であった。
【0086】
製造例15
特表昭60−500452号公報記載の方法に基づき、温度計及び攪拌機を備えた500mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート114.6g、メチルメタクリレート14.6g、ブチルアクリレート20.8g及びキシレン150gを仕込み、重合触媒として、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)1.5gを加え、80℃で1時間加熱し、さらに80℃で6時間重合を行った後、放冷してワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、11,000であった。
【0087】
製造例16
特開平2−99567号公報記載の方法に基づき、攪拌装置、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を備えた4つ口フラスコに、無水イタコン酸9.00g、酢酸ビニル9.13g、メチルイソブチルケトン7.80g、ベンゾイルパーオキサイド0.362gを挿入し、攪拌下90℃で3時間反応させ、さらにベンゾイルパーオキサイド0.181gとメチルイソブチルケトン19.4gを添加し、90℃攪拌下で2時間反応させて樹脂固形分40重量%のワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、12,000であった。
【0088】
製造例17
特表昭60−500452号公報記載の方法に基づき、温度計及び攪拌機を備えた500mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート114.6g、メチルメタクリレート14.6g、ブチルアクリレート20.8g及びキシレン150gを仕込み、重合触媒として、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)1.5gを加え、80℃で1時間加熱し、さらに80℃で6時間重合を行った後、放冷してワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、11,000であった。
【0089】
製造例18
特表昭60−500452号公報記載の方法に基づき、温度計及び攪拌機を備えた500mlフラスコに、p−ニトロフェニルアクリレート118.2g、メチルメタクリレート13.1g、ブチルアクリレート18.6g及びキシレン150gを仕込み、重合触媒として、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)1.5gを加え、80℃で1時間加熱し、さらに80℃で6時間重合を行った後、放冷してワニスを製造した。
得られた重合体の数平均分子量は、12,300であった。
【0090】
比較例1〜3
上記製造例13、14及び15で製造した各ワニスの樹脂固形分5.0gに、リン酸トリクレジル0.5gを添加して充分に混合しワニス組成物を製造した後、その各ワニス組成物の樹脂固形分15g当たり、ピリジントリフェニルボラン50g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0091】
比較例4〜8
上記製造例13〜17で製造した各ワニスの樹脂固形分15gに、亜酸化銅 (純度90%以上、粉末)45g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン5g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0092】
比較例9〜11
上記製造例13〜15で製造した各ワニスの樹脂固形分15gに、ピリジントリフェニルボラン45g、炭酸カルシウム10g、ベンガラ(酸化鉄(III))5g、分散及びタレ止め剤として、フローノンSP1000(共栄社化学株式会社製)1g、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン5g並びにワニス溶剤4gを配合し、さらにガラスビーズ(直径2mm)を加えて、メカニカルスターラを用いて混練攪拌後、ガラスビーズをろ過して塗料組成物を調製した。
【0093】
比較例12〜16
上記製造例13〜17で製造した各ワニスから重合体をそれぞれ単離した。
【0094】
塗料調製試験
上記実施例25〜36及び比較例1〜3で調製した塗料組成物を調製後、室温で一晩放置した後、塗料の状態を観察し、塗料状態が非常に滑らかで塗料材料の分散性が良好なものを○、塗料中に不溶物が残ったり又は塗料が分離してしまい分散状態が悪いものを×とした。
さらに塗料用組成物を用いて、FRP板上に塗膜を作成し、室温下一晩自然乾燥した。得られた塗膜の状態を観察し、塗膜が非常に平滑な表面を持つものを○、塗膜表面にぶつぶつが発生し、表面平滑性が悪いものを×とした。
これらの結果を表1及び表2に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
この実験から明らかなように、本発明の塗料組成物は、着色剤、防汚剤及び各種添加剤の分散性に優れ、非常に滑らかな状態の塗料を得ることができる。一方、比較例1及び2の塗料組成物は、塗料調製時に着色剤、防汚剤及び各種添加剤の分散性が悪く、塗料中に不溶物が残ったり又は塗料が分離してしまった。そのためこれらの塗料組成物から得られた塗膜は、表面の平滑性が悪く防汚塗料としては不適であることが分かった。
【0098】
貯蔵安定性試験
上記実施例25〜36、実施例41〜52及び比較例4〜6で調製した塗料組成物を、調製後室温で一晩保存した後、塗料の状態を観察し粘度を25℃で測定した。この塗料組成物を、サンプル瓶中で密栓して、40℃の恒温槽中で20日間保存した後、塗料の状態を観察するとともに、25℃で粘度を測定した。その結果を表3、表4及び表5に示した。
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
この実験結果より、本発明の塗料組成物(実施例25〜36及び41〜52)は、いずれも増粘がわずかで貯蔵安定性に優れることが示されるのに対し、比較例4〜6の塗料組成物は増粘が著しく防汚塗料として不適であることが分かった。
【0103】
塗膜消耗試験
上記実施例25〜36、実施例41〜52及び比較例4〜11で製造した塗料組成物を、調製後、室温で一晩放置した後、FRP板の片面に乾燥膜厚が150μmとなるように塗膜を作成し、室温下一晩自然乾燥した。
これらの塗膜付きFRP板をディスクローター板に取付け、海水(水温15±2℃)で一定速度(周速約15ノット)で10カ月間回転させ、塗膜表面の観察及び塗膜の膜厚の変化を測定した。その結果を表6、表7、表8及び表9に示した。
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】
【表8】
【0107】
【表9】
【0108】
この実験結果から明らかなように、本発明の塗料組成物(実施例25〜36及び41〜52)は塗膜の消耗性が長期に亘って持続し、防汚塗料として非常に有用であることが分かった。
それに対し、比較例4〜8で調製した塗料組成物は、塗膜の消耗性が著しく低く、一方、比較例9〜11で調製した塗料組成物は塗膜の消耗性が高過ぎて1ケ月以内に全て溶出してしまい防汚塗料として不適であることが分かった。
【0109】
防汚性試験
上記実施例25〜40及び比較例4〜8の塗料組成物を用いて、予め防錆塗料を塗布してある塗装鋼(100×200×1mm)の両面に、乾燥膜厚が片面100μmとなるようにスプレー塗装を2回行い、室温下一晩自然乾燥して試験板を作成した。
この試験板を、茨城県日立市日立港内に設置した浸漬筏に取付け海中に浸漬し、試験板上の付着生物(フジツボ)の付着数を経時的に観測した。その結果を表10、表11、表12及び表13に示した。
【0110】
【表10】
【0111】
【表11】
【0112】
【表12】
【0113】
【表13】
【0114】
この実験結果から明らかなように、本発明の塗料組成物は、比較例の塗料組成物と比較して、いずれも防汚性に優れ生物の付着がわずかしか観察されなかった。
【0115】
生分解性試験
上記実施例53〜64及び比較例12〜16で単離した重合体を用いて生物化学的酸素消費量(BOD5)をJIS K0102に従って測定し、理論的酸素消費量(ThOD)との比から生分解率(%)を求めた。
ここで言うBOD5は、試料溶液(1000ppm)を希釈水で希釈し、20℃で5日間静置した時に消費される溶存酸素の量から求め、ThODは試料が完全に酸化されたときに消費される酸素の量を計算により求めた。
また、下記の式により生分解率(%)を求めた。その結果を表14及び表15に示した。
【数1】
【0116】
【表14】
【0117】
【表15】
【0118】
この実験結果から明らかなように、本発明の塗料組成物に含有される重合体は、比較例12、13及び14の重合体とほぼ同程度ではあるが、比較例15及び16の重合体と比較して生分解性に優れていることが分かった。
【0119】
【発明の効果】
請求項1記載の塗料用ワニス組成物は、生分解性と分散性に優れ、防汚塗料組成物に好適である。
請求項2記載の塗料用ワニス組成物は、請求項1記載の塗料用ワニス組成物の効果を奏し、さらに得られる塗膜の溶出性に優れ、より防汚塗料組成物に好適である。
請求項3記載の塗料用ワニス組成物は、請求項1記載の塗料用ワニス組成物の効果を奏し、さらに得られる塗料の粘度が安定しており、より防汚塗料組成物に好適である。
請求項4記載の塗料用ワニス組成物は、請求項2記載の塗料用ワニス組成物の効果を奏し、より生分解性に優れ、より防汚塗料組成物に好適である。
請求項5記載の塗料用ワニス組成物は、請求項3記載の塗料用ワニス組成物の効果を奏し、より生分解性に優れ、より防汚塗料組成物に好適である。
【0120】
請求項6記載の塗料用ワニス組成物は、請求項1〜5のいずれかに記載の塗料用ワニス組成物の効果を奏し、より得られる塗膜の溶出性に優れ、より防汚塗料組成物に好適である。
請求項7記載の塗料用ワニス組成物は、請求項1〜6のいずれかに記載の塗料用ワニス組成物の効果を奏し、さらに増粘抑制効果に優れ、より防汚塗料組成物に好適である。
【0121】
請求項8記載の防汚塗料組成物は、生分解性に優れ、優れた防汚性を長期に渡って維持でき、良好な塗膜を形成することが可能であり、防汚塗料に好適である。
請求項9記載の防汚塗料組成物は、請求項8記載の防汚塗料組成物の効果を奏し、さらに毒性が低く、より防汚塗料に好適である。
請求項10記載の防汚塗料組成物は、請求項8記載の防汚塗料組成物の効果を奏し、より防汚性に優れ、より防汚塗料に好適である。
請求項11記載の防汚方法は、生分解性に優れ、優れた防汚性を長期に渡って維持でき、良好な塗膜を形成させることが可能である。
Claims (7)
- (a)成分として、
一般式(I)
一般式(II)
一般式(III)
(b)成分として、
一般式(IV)
(c)成分として、
0℃以上の融点を有するアルコール類、カルボン酸エステル、リン酸エステル類、アミド類及びチオ尿素類から選択される1種類以上の化合物、及び
(d)成分として、
トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体及びベンゾチアゾール誘導体の中から選択される1種類以上の化合物を含有し、前記共重合体中の20〜99モル%が(b)成分であることを特徴とする塗料用ワニス組成物。 - 一般式(V)において、R11が炭素数5、9、11、13及び17のアルキル基の中から選択される1種類以上のアルキル基である請求項2記載の塗料用ワニス組成物。
- 一般式(VI)において、X3が酸素原子であり、R12が炭素数4、8及び18のアルキル基の中から選択される1種類以上のアルキル基である請求項3記載の塗料用ワニス組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の塗料用組成物に更に防汚剤を添加してなる防汚塗料組成物。
- 請求項6に記載の防汚塗料組成物を水中構造物に塗布することを特徴とする防汚方法。
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