JP3823205B2 - 編組紐の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、螺旋状又は環状をなす形態で使用されるグランドパッキン等の構成材として好適する編組紐の製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、グランドパッキンの構成材としては、一般に、図16に示すような格子編み装置101により得られる編組紐108が使用されている。すなわち、格子編み装置101によれば、基盤103に設けた編糸繰出器104…から編糸141…を組成点106へと導いた上、編糸繰出器104…を回行駆動して、編糸141…を所定の編糸経路上を移動しつつ相互に交絡させることにより、図17に示す如く、断面正方形の格子編み編組紐108が得られる。なお、編組紐108は、組成点106の上方位置に設けられた巻取装置102により、組成点106から延びる直線状経路上を移送される。
【0003】
而して、グランドパッキンPは、このようにして得られた編組紐108を所定寸法に裁断した上、図14に示す如く、螺旋状に変形させた状態でスタフィングボックスに装填されるか、或いは、所定寸法に裁断した編組紐108を環状に変形させたものを、図15に示す如く、複数段積み重ねた状態でスタフィングボックスに充填される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の編組紐108は、図17(A)に示す如く直線状に編組されたものであるから、図18(A)に示す如く螺旋状又は環状に変形させた場合、軸線方向において、基準面(編組紐108の断面中心を通過して内外周面108b,108cに平行する面)X−Xより外周面108b側においては引張力Fが作用すると共に内周面108c側には圧縮力fが作用することになる。したがって、内周面108cが図18(A)に示す如く凹凸状に変形して、相手軸部材との接触が不均一となり、更に上記した引張力F及び圧縮力fの作用により各断面における密度分布が不均一となる上、断面形状が図18(B)に示す如く台形状に変形する。また、グランドパッキンの構成材として使用される編組紐108にあっては、図16に鎖線図示する如く、編糸141より弾性に優れる芯糸151…を編糸141と交絡しない状態で組成点106に供給して、編糸141…による編組層中に芯糸151…を貫通状に配置しておくことにより、グランドパッキンの弾性(復元性)を向上させるようにすることも試みられているが、かかる場合にも、基準面X−Xより内周面108c側に配置された芯糸151は、上記した圧縮力fにより、図18(A)に示す如く、波状に変形して、弾性向上機能を効果的に発揮することができないし、密度分布の更なる不均一度を増大させることになる。
【0005】
これらのことから、従来の編組紐108を使用してグランドパッキンを構成した場合には、シール面への接触が不均一となる等により良好なシール機能を発揮させることができない。また、十分な弾性(復元性)を確保することができず、パッキン押さえによる締付面圧を必要以上に高くする必要が生じたり、締付面圧を増大させる所謂増し締め作業を頻繁を行う必要がある。
【0006】
かかる問題を解決するために、従来からも、適宜の金型を使用して、編組紐108を螺旋状又は環状に加圧成形して、断面形状及び内周面形状を適正に修正することが行われている。例えば、螺旋状のグランドパッキンPについては、図19(A)に示す如く、所定寸法の裁断した編組紐108を円柱状の芯型110に螺旋状金属板であるスペーサ111を介在させた状態で螺旋状に巻きつけ、これら108,110,111を有底円筒状の外型112内にセットした上で、同図(B)に示す如く、円筒状の押し型113により加圧成形することによって、断面形状が適正な方形をなし且つ内周面を含む表面が凹凸のない平滑面をなす螺旋紐形状に修正するようにしている。
【0007】
しかし、このような金型成形によっては、グランドパッキンの外観形態を修正できるにすぎず、密度の不均一や芯糸151の変形を修正することができない。すなわち、編組紐108を芯型110に螺旋状に巻きつけた場合、その断面形状は、上記した如く、外周面108b側に引張力Fが作用すると共に内周面108c側に圧縮力fが作用することから、内周面108c方向に拡がる台形形状に変形する(図18(B),図19(A)参照)。そして、かかる変形状態では、圧縮力fが作用する内周面108c側の密度が引張力Fが作用する外周面108b側より高くなる。したがって、このような台形形状の断面を、図19(B)に示す如く、方形状に加圧,修正した場合、内周面108c側の密度は更に高くなり、外周面108b側との間の密度差は加圧成形前より更に大きくなる。また、外観形態上、内周面108cの凹凸も加圧成形によって平滑面に修正されるが、内周面108c側の密度分布は均一とならず、編組紐108(螺旋状パッキンP)の長手方向における内周面108c側の密度分布は更に不均一となる。すなわち、内周面108cの凸部と凹部とでは加圧修正による密度変化が異なり、例えば凸部については加圧修正により密度が更に高くなることから、内周面108c側においては更に密度分布が不均一となる。さらに、上記した基準面X−Xより内周面側の芯糸151の変形(図18(A)参照)は上記した加圧成形によっては修正されず、変形度を却って増大させることになる。
【0008】
したがって、金型成形(加圧成形)を施すことによっては、グランドパッキンにおける上記した機能上の問題を解決することはできない。しかも、このような金型成形を編組紐108に施すことは、グランドパッキンを安価且つ容易に提供し得ず、グランドパッキンの製作経済上、極めて不利である。
【0009】
本発明は、このような問題を生じることなく、螺旋状又は環状をなす形態で使用されるグランドパッキン等の構成材として極めて実用的な螺旋状の編組紐を効率良く且つ高品質に製造することができる製造方法を提供すると共に、この方法を好適に実施することができる製造装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成すべく、複数本の編糸を一定の組成点において編組させると共に、組成点で生成される編組部分を、順次、組成点から延びる螺旋状経路上を強制移送せしめるべく、一定方向に回転し且つ一定方向に軸線移動する巻取軸に巻き取ることによって、巻取軸の外周面上を螺旋状に延びる編組紐を生成するようにしたことを特徴とする編組紐の製造方法を提案する。
【0011】
かかる方法にあっては、組成点に、編糸に加えて、編糸と交絡させない芯糸を供給することによって、編糸による編組層内に芯糸が貫通する螺旋状の編組紐を得るようにすることができる。また、芯糸の材質,配置又は編組紐の断面形状は任意であるが、当該編組紐をグランドパッキンとして使用する場合には、芯糸として編糸より弾性に優れたものを使用しておくことが好ましく、断面方形の編組紐を得るようにすることが好ましい。また、外径の異なる巻取軸部分を有する巻取軸を使用することにより、径の異なる螺旋状編組紐を連続的に製造するようにすることができる。このような編組紐によれば、一本の編組紐から、例えば異なる軸径に適用できる複数種のグランドパッキンを採取することができる。ところで、グランドパッキンは、所定の軸径範囲毎に、異なる断面積のものが使用される(例えば、軸径が大きくなるに従い、使用されるグランドパッキンの断面積も大きくなる)から、上記螺旋状編組紐は、その径に応じた断面積のものに編組されるようにしておくことが好ましい。
【0012】
また、かかる方法を実施するために、本発明は、複数本の編糸を一定の組成点において紐状に編組させる編組装置と、編組装置により得られる編組紐を巻き取る巻取装置とを具備する編組紐の製造装置を提案する。かかる製造装置にあっては、巻取装置が、断面円形をなす巻取軸と、巻取軸をその外周面上に組成点が位置する状態で一定方向に回転させる回転機構と、巻取軸をその外周面上に組成点が位置する状態で軸線方向に移動させる送り機構とを具備して、組成点で生成される編組部分を、順次、巻取軸の外周面に螺旋状をなして巻き取ることにより、巻取軸の外周面上を螺旋状に延びる編組紐を生成するように構成されている。
【0013】
かかる製造装置にあっては、編組装置を、組成点に編糸と交絡させない芯糸を供給することによって、編糸による編組層内に芯糸が貫通する編組紐を得るように構成されたものとしておくことができる。また、巻取軸は、外径の異なる巻取軸部分を有するものとしておくことができる。また、巻取軸の外周面に螺旋状の鍔部を突設して、編組紐が鍔部間に挟持された状態で巻き取られるようにしておくことができる。この場合、鍔部が複数部分に分割されており、巻取軸の外周面に着脱自在であることが好ましい。また、編組装置が断面方形の編組紐を得るものである場合には、巻取軸が断面方形の鍔部を有する角ネジ形状をなすものであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図15に基づいて具体的に説明する。
【0015】
まず、本発明に係る編組紐の製造装置の構成について説明すると、この製造装置は、図1〜図3に示す如く、編組装置1と巻取装置2とからなる。
【0016】
編組装置1は、図1〜図3に示す如く、装置基盤3上に複数の編糸繰出器4…(一部のみ図示)を移動自在に設けると共に複数の芯糸繰出器5…(一部のみ図示)を固定し、各編糸繰出器4から繰り出した編糸41及び各芯糸繰出器5から繰り出した芯糸51を基盤3の直上方位に設定した組成点6に導いて、基盤3に内装した駆動機構(図示せず)により編糸繰出器4…を、編糸41…を所定の編糸経路7…上を交互に交差するように移動せしめるべく、回行移動させることにより、編糸41…による編組層の一定位置に芯糸51…が編糸41…と交絡することなく配置された断面正方形の編組紐8(図7,図9)を得るように構成されたものであり、冒頭で述べた一般的な格子編み装置(巻取装置を除く)101と同様の構成,機能を有するものである。ところで、かかる編組装置1によって得られる編組紐8の断面形状は、一般に、編糸経路数Mないし編糸本数Nによって決定され、両者M,N間にはN=2M2+2M−4の関係があるが、この例では、M=4,N=36として、図4に示す如く、36本の編糸41…(一部のみ図示)が第1〜第4編糸経路7a,7b,7c,7d上を移動することにより、組成点6において断面正方形の編組部分8aを順次形成して、当該編組部分8aが連続してなる編組紐8を得るようにしてある。また、芯糸51…は、編糸41…と交絡することなく編組紐8の編組層中にその長手方向に貫通状に配置されるものであるが、この例では、図4に示す如く、7本の芯糸51…が、第1及び第4編糸経路7a,7dの一方のコーナ部(以下、このコーナ部に配置されるものを、他の芯糸51…と区別する必要がある場合、「第1芯糸51a」という)、当該両編糸経路7a,7dの他方のコーナ部(以下、このコーナ部に配置されるものを、他の芯糸51…と区別する必要がある場合、「第2芯糸51b」という)及び第1芯糸51a,51aが配置される表面側(編組紐8における外周面8b側)における編糸経路7a,7b,7c,7dの3つの交絡部(以下、この交絡部に配置されるものを、他の芯糸51…と区別する必要がある場合、「第3芯糸51c」という)に配置されている。すなわち、芯糸51…は、後述する如くして得られる螺旋状の編組紐8において、外周面8b側の角部を第1芯糸51a,51aが貫通し、内周面8c側の角部を第2芯糸51b,51bが貫通し、外周面8b側の表層部分を第3芯糸51c…が外周面8bと平行する並列状態で貫通するように、芯糸繰出器5…から組成点6へと導かれている。
【0017】
編糸41…としては、編組紐8の用途,使用条件に応じて同種のもの又は異種のものを任意に選択することができ、例えば、アラミド繊維,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維,炭素繊維,炭化繊維等の有機,無機繊維からなるものや膨張黒鉛製のもの(膨張黒鉛シートを細幅(例えば、5mm以下)の帯状に裁断したものを複数枚重ね合わせ、その表面をアラミド繊維等でニット編み又は袋編み被覆してなる糸)等を使用することができる。芯糸51…も、編組紐8の用途,使用条件等に応じて任意に選択することができ、例えば、編組紐8をグランドパッキンのように弾性を必要とするものの構成材として使用する場合には、ガラス繊維,炭素繊維(編糸41として弾性の低いピッチ系の炭素繊維を使用した場合),セラミック繊維等の有機,無機繊維からなるものやゴム糸等のように、編糸41より弾性に優れたもの(材質の異なる複数種の編糸41…を使用する場合には、最も弾性に優れる編糸41より弾性に優れたもの)を使用する。この例では、編糸41…及び芯糸51…として夫々同一材質のものを使用し、且つ芯糸51として編糸41より弾性に優れた材質のものを使用して、弾性に優れたグランドパッキンとして使用できる編組紐8が得られるようにしている。
【0018】
巻取装置2は、図1〜図3に示す如く、断面が一様の円形をなす巻取軸9と、巻取軸9を回転駆動させる回転機構10と、巻取軸9を軸線方向に移動(軸線移動)させる送り機構11とを具備する。
【0019】
回転機構10は、図1及び図2に示す如く、巻取軸9の両端部に着脱自在な連結器12,12を介して同心状に連結された一対の支軸13,13と、支軸13,13を回転自在に支持する軸受体14,14と、一方の支軸13にモータ出力軸を連結して、巻取軸9を一定方向(矢印方向)に回転駆動させる変速機付きの駆動モータ15とを具備する。送り機構11は、図1及び図2に示す如く、編組装置1の上方位において装置フレーム16に水平に軸受支持17,17されたネジ軸18と、ネジ軸18に螺合された一対の雌ネジ筒19,19と、ネジ軸18を正逆転駆動させる変速機付きの送りモータ20とを具備して、送りモータ20によりネジ軸18を正逆転駆動することにより、両雌ネジ筒19,19を所定の間隔を隔てた状態で軸線方向に螺送させるようになっている。
【0020】
巻取軸9は、図1及び図2に示す如く、軸受体14,14を連結体21,21を介して雌ネジ筒19,19に連結固定することによって、外周面9a上に組成点6が位置する水平状態で回転可能且つ軸線方向移動可能に支持されている。巻取軸9と組成点6との相対位置関係は、図3及び図8に示す如く、巻取軸9の外周面9aにおける巻取軸9の回転により上昇移動する部分9b(図8参照)の適所であって組成点6における編組作用を妨げない個所(この例では、巻取軸9の中心を通過する水平面上ないしその近傍の個所)に、組成点6で編組されつつある編組部分8aの一側面(編組紐8の内周面8cを形成する面)が接触するように設定されている。なお、軸受体14と雌ネジ筒19との上下間隔は、連結体21を油圧シリンダ等の上下伸縮構造のものにすること又は連結体21に軸受体14若しくは雌ネジ筒19を昇降可能に連結しておくこと等によって、任意に変更できるようになっており、軸受体14と雌ネジ筒19との上下間隔を変更することによって、編糸繰り出し部から組成点6までの距離H(図1(A)参照)を編組条件に応じて適正に調整しうるようになっている。また、巻取軸9の外周面9aには、編組紐8を確実に巻き取るべく、編組紐8の内周面8cとの間に十分な摩擦係合力が生じるような工夫が施されている。例えば、外周面9aに微細な突起,針を突設しておくか、高摩擦材をコーティングしておく。
【0021】
したがって、巻取軸9は、上記した組成点6との相対位置関係を保持した状態で、ネジ軸18を正転駆動させることにより軸線方向に水平移動される。すなわち、ネジ軸18を正転駆動させることにより、巻取軸9は、雌ネジ筒19,19(及び各連結器12,支軸13,軸受体14,連結体21)を介して、組成点6が巻取軸9の始端部に位置する巻取り開始位置(図1(A)に示す位置)から組成点6が巻取軸9の終端部に位置する巻取り終了位置(図2(C)に示す位置)へと一定速度で水平移動(軸線方向移動)される。なお、ネジ軸18を逆転駆動させることにより、巻取軸9を巻取り開始位置へと復帰させることができる。
【0022】
なお、巻取軸9の回転速度(巻取り速度)及び軸線方向移動速度(送り速度)は、各モータ15,20の変速機により、編糸経路7…上における編糸41…の移動速度等に応じて適宜に設定することができる。
【0023】
而して、本発明に係る編組紐の製造方法は、以上のように構成された製造装置を使用して、次のように実施される。
【0024】
巻取軸9を巻取り開始位置に位置させた状態で、巻取軸9を回転駆動させると共に編組装置1による編組作用を開始させる(図1(A))。更に、ネジ軸18を正転駆動させて、巻取軸9を巻取り開始位置から巻取り終了位置へと一定速度で移動させると、組成点6において編組部分8aが順次形成されて、それが順次組成点6から延びる螺旋状経路上を強制移送せしめられるべく巻取軸9に巻き取られていく(図1(B),図3)。すなわち、図5に示す如く、編組部分8aの連続的な形成により得られる編組紐8が、巻取軸9の外周面9aに螺旋状をなして巻き取られていく。そして、巻取軸9が巻取り終了位置に位置して、編組紐8が巻取軸9の始端部から終端部に亘る部分に螺旋状に巻き取られると(図2(C)と、各装置1,2を停止した上、連結器12,12を操作して、巻取軸9を巻取装置2から取り外す(図2(D)。しかる後、巻取軸9に巻き取られた編組紐8から巻取軸9を引き抜くことにより、図6に示す如き螺旋状の編組紐8が得られる。
【0025】
このように、組成点6から生成する編組紐8を巻取軸9に螺旋状に巻取りながら、編組部分8aを順次生成させるようにすると、組成点6においては、常に、編組部分8aが巻取軸9の外周面9aに一致する内径を有する円弧形状をなした形態で形成されることになる。すなわち、編糸41は内外周面8b,8cで交互に折り返しつつ他の編糸41…と交絡されるが、巻取軸9による編糸41の送り速度が編組紐8ないし編組部分8aにおける外周面8b側と内周面8c側とで異なることから、図8に示す如く、外周面8b側の折り返しピッチPbは内周面8c側の折り返しピッチPcより大きくなる。その結果、組成点6においては円弧形状をなす編組部分8aが順次形成されていき、巻取軸9の外周面9a上を螺旋状に延びる編組紐8が生成されることになるのである。したがって、内外周面8b,8cが歪となるようなことがなく、平滑な湾曲面となる。また、編組紐8の長手方向に貫通する芯糸51a,51b,51cも、図8に示す如く、波形に変形することなく、内外周面8b,8cに沿って螺旋状に延びることになる。
【0026】
したがって、このように螺旋状に編組された編組紐8にあっては、その内外周面8b,8c側に軸線方向力(引張力又は圧縮力)が作用しておらず、内周面側層、外周面側層、中間層の何れにおいても軸線方向(編組紐8の長手方向)における密度分布が均一となっており、編組紐8の各断面における密度分布が一定となる。また、内外周面8b,8cは何れも平滑面とされており、各断面における形状も一定であり、編組紐8を貫通する芯糸51…も、図8に示す如く、内外周面8b,8cと平行して螺旋状に延びており、芯糸51…が変形することもない。
【0027】
而して、かかる編組紐8を適当寸法に裁断することによって、冒頭で述べた如き金型成形を行うことなく、図14又は図15に示すグランドパッキンPを容易に得ることができる。このように螺旋状に編組された編組紐8から得たグランドパッキンPにあっては、上記した如く、各断面の密度分布,形状が一定であること、内外周面8b,8cが平滑な湾曲面をなしていること、及び弾性材である芯糸51…が内外周面8b,8cに平行し且つ変形していない適正な湾曲線状に配置されていることから、パッキン押さえによる締付面圧を必要以上に高くすることなく、スタフィングボックス内に密に充填され得て、良好なシール機能が発揮される。また、芯糸51…によりパッキンPの弾性機能(復元力)が効果的に増大されて、頻繁な増し締め作業を行う必要がなく、長期に亘ってメンテナンスフリーとなる。
【0028】
ところで、編組紐8の内径寸法は、巻取軸9の外周面9aの径(軸径)によって決定される。したがって、巻取軸9の軸径は、編組紐8を構成材として使用しようとするグランドパッキンPの内径に応じて設定しておく必要がある。但し、螺旋状に編組された編組紐8は、その内径寸法を変更すべく、変形(縮径変形又は拡径変形)させても、その変形がある程度の範囲で行われる限り、上記した機能,効果が損なわれることがない。したがって、編組紐8は、このような範囲内において、内径の異なる複数種のグランドパッキンについて適正に汎用させることができる。
【0029】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。
【0030】
例えば、図10〜図12に示す如く、巻取軸9の外周面9aに螺旋状の鍔部22を突設して、編組紐8が鍔部22,22間に挟持された状態で巻き取られるようにしておくことができる。このようにすれば、編組紐8の巻取り時における断面形状の変形を確実に防止し得て、断面一様の編組紐8を得ることができる。特に、編組装置1が上記した格子編み編組紐8のような角打組物(断面方形の編組構造物)を生成するものである場合には、図10及び図12に示す如く、鍔部22の断面形状を方形として、巻取軸9を角ネジ形状をなすものとしておくことにより、適正な方形断面をなす編組紐8を確実に得ることができる。このような鍔部22を設ける場合には、巻き取った編組紐8の巻取軸9からの離脱を容易に行うために、鍔部22を、図10〜図12に示す如く、複数部分22a…に分割して、これらの部分22a…を巻取軸9の外周面9aにボルト22b…等により着脱自在に固定するように工夫しておくことが好ましい。
【0031】
また、巻取軸9を、図13に例示する如く、外径の異なる複数の巻取軸部分91,92,93が軸線方向に縦列するものに構成しておいてもよい。このようにすれば、径D1,D2,D3(D1<D2<D3)の異なる螺旋状編組紐81,82,83を連続的に製造することができ、つまり径の異なる螺旋状編組紐81,82,83が連続してなる編組紐8を得ることができ、一本の編組紐8から径の異なる複数種のグランドパッキンを採取することができる。この場合、太さが一定長毎に段階的に変化する編組糸を使用する等により、螺旋状編組紐81,82,83がその径に応じた断面積のものに編組されるようにしておくことが好ましい。なお、このような巻取軸9を使用する場合においても、各巻取軸部分91,92,93の外周面に前記した鍔部22に相当するものを突設しておくことは可能である。また、巻取軸9を、軸線方向に漸次縮径又は拡径する円錐軸(角打組物である場合には、編組紐8を巻き取る面を軸線に平行な階段状の螺旋面に形成しておくことが好ましい)として、軸線方向に漸次縮径又は拡径する螺旋状の編組紐8を得るようにすることもできる。
【0032】
また、編組装置1及び巻取装置2の構成も任意であり、製造しようとする編組紐8の用途,形状等に応じて任意に選定,設計することができる。また、本発明は、芯糸51…を有さず、編糸41…のみによって編組される螺旋状の編組紐8を製造する場合にも好適に適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から容易に理解されるように、本発明によれば、螺旋状形態又は環状形態で使用されるグランドパッキン等の構成材として好適する螺旋状の編組紐を、金型成形のような格別の加工を施すことなく、効率良く且つ高品質に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る編組紐の製造装置を示す側面図である。
【図2】図1と異なる作用状態を示す図1相当の側面図である。
【図3】図1のIII −III 線に沿う縦断正面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図であり、組成点における編糸経路をモデル化して示すものである。
【図5】図1(B)の要部の拡大詳細図であり、編組紐が巻取軸に巻き取られた状態を示す側面図である。
【図6】螺旋状の編組紐を示す一部縦断の斜視図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】図3の要部拡大図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】巻取軸の変形例を示す一部切欠の側面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う縦断正面図である。
【図12】図10に示す巻取軸に編組紐を巻き取らせた状態を示す一部縦断側面図である。
【図13】巻取軸の更に他の変形例を示しており、巻取軸に編組紐を巻き取らせた状態を示す一部縦断側面図である。
【図14】編組紐を使用したグランドパッキンの一例を示す斜視図である。
【図15】編組紐を使用したグランドパッキンの変形例を示す斜視図である。
【図16】従来の編組紐の製造装置を示す正面図である。
【図17】(A)図は従来の編組紐の要部を示す正面図であり、(B)図は(A)図のXVII−XVII線断面図である。
【図18】(A)図は従来の編組紐を湾曲させた状態を示す要部の正面図であり、(B)図は(A)図のXVIII −XVIII 線断面図である。
【図19】従来の編組紐を螺旋状のグランドパッキンに金型成形する場合の工程を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1…編組装置、2…巻取装置、3…装置基盤、4…編糸繰出器、5…芯糸繰出器、6…組成点、7,7a,7b,7c,7d…編糸経路、8,81,82,83…編組紐、8a…編組部分、8b…螺旋状編組紐の外周面、8c…螺旋状編組紐の内周面、9…巻取軸、9a…巻取軸の外周面、10…回転機構、11…送り機構、22…鍔部、22a…鍔部の分割部分、41…編糸、51,51a,51b,51c…芯糸、91,92,93…巻取軸部分、P…グランドパッキン。
Claims (10)
- 複数本の編糸を一定の組成点において編組させると共に、組成点で生成される編組部分を、順次、組成点から延びる螺旋状経路上を強制移送せしめるべく、一定方向に回転し且つ一定方向に軸線移動する巻取軸に巻き取ることによって、巻取軸の外周面上を螺旋状に延びる編組紐を生成するようにしたことを特徴とする編組紐の製造方法。
- 組成点に、編糸に加えて、編糸と交絡させない芯糸を供給することによって、編糸による編組層内に芯糸が貫通する螺旋状の編組紐を得るようにしたことを特徴とする、請求項1に記載する編組紐の製造方法。
- 断面方形の編組紐を得るようにしたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する編組紐の製造方法。
- 外径の異なる巻取軸部分を有する巻取軸を使用して、径の異なる螺旋状編組紐を連続的に製造するようにしたことを特徴とする、請求項1、請求項2又は請求項3に記載する編組紐の製造方法。
- 複数本の編糸を一定の組成点において紐状に編組させる編組装置と、編組装置により得られる編組紐を巻き取る巻取装置とを具備しており、
巻取装置が、断面円形をなす巻取軸と、巻取軸をその外周面上に組成点が位置する状態で一定方向に回転させる回転機構と、巻取軸をその外周面上に組成点が位置する状態で軸線方向に移動させる送り機構とを具備して、組成点で生成される編組部分を、順次、巻取軸の外周面に螺旋状をなして巻き取ることにより、巻取軸の外周面上を螺旋状に延びる編組紐を生成するように構成されていることを特徴とする編組紐の製造装置。 - 編組装置が、組成点に編糸と交絡させない芯糸を供給することによって、編糸による編組層内に芯糸が貫通する編組紐を得るように構成されたものであることを特徴とする、請求項5に記載する編組紐の製造装置。
- 巻取軸が外径の異なる巻取軸部分を有するものであることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載する編組紐の製造装置。
- 巻取軸の外周面に螺旋状の鍔部を突設して、編組紐が鍔部間に挟持された状態で巻き取られるようにしたことを特徴とする、請求項5、請求項6又は請求項7に記載する編組紐の製造装置。
- 鍔部が複数部分に分割されており、巻取軸の外周面に着脱自在であることを特徴とする、請求項8に記載する編組紐の製造装置。
- 編組装置が断面方形の編組紐を得るものであり、巻取軸が断面方形の鍔部を有する角ネジ形状をなすものであることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載する編組紐の製造装置。
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