JP3822953B2 - ディスクブレーキ装置のアジャスタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦パッドとロータとの間の隙間調整を行うディスクブレーキ装置のアジャスタに関するもので、詳しくは、制動動作時における摩擦パッドの駆動源に空気圧を利用するエアー駆動式のディスクブレーキ装置に用いて好適なアジャスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、エアー駆動式のディスクブレーキ装置に使用されるアジャスタとして、摩擦パッドの裏板に当接させた一対の加圧片の後方に、回転駆動されるねじによる送り機構を介して前記加圧片をロータ側に押し出す調整スピンドルと、各調整スピンドルを回転駆動するための操作レバーと、各調整スピンドルの回転を同期させる同期装置と、各調整スピンドルに作用する回転トルクを調整する後調整装置とを組み込んだ構成のものが提案されている(特表平8−508080号参照)。
【0003】
また、外周に雄ねじが刻設されると共に先端をロータに向けてロータの軸方向に移動可能に装備されて摩擦パッドを押圧する一対のピストンと、それぞれのピストンの外周に刻設された雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が内周に形成されて回転駆動されるとピストンをロータ軸に沿って進退させる一対のスリーブと、各スリーブの端部に連結されてスリーブと一体に回転する一対の伝達ギヤと、これらの一対の伝達ギヤと噛合するようにこれらの一対の伝達ギヤ間に装備されたアジャスタギヤと、操作レバーを回動操作によって回動するカムシャフトと、このカムシャフトの回転によって前記アジャスタギヤを回転させる伝達機構とを備えた構成のアジャスタも提案されている(欧州特許 EP0703379A1参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者のアジャスタの場合は、調整スピンドルを始めとして各種の機構がロータ軸方向に繋がる構造のため、ロータ軸方向に寸法が大きくなり、ロータ軸方向に大きな収容スペースの確保が必要で、小型の車両等には搭載することが難しいという問題があった。
【0005】
また、後者のアジャスタの場合は、摩擦パッドを押圧する一対のピストンをスリーブ内に螺合させる構造のため、ピストンの外径が小さくなる。そのため、摩擦パッドとの接触性を安定させるためには、摩擦パッドに対して接触面積の大きなロードプレートを介在させる必要があり、該ロードプレートの装備のために重量が増大し、重量化という問題が発生する。
また、カムシャフトの回転によってアジャスタギヤを回転させる伝達機構を備えているが、これもロータの軸方向にワンウェイクラッチ機構を重ねて備える必要があり、ロータ軸方向の寸法の増加を招いている。
更に、摩擦パッドの交換などで調整を解除する場合のマニュアルリリースについては開示されていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することにあり、ロータ軸方向の寸法を抑えることができて、小型の車両等にも容易に搭載でき、軽量化を図ると同時に、マニュアルリリースを実行することのできるディスクブレーキ装置のアジャスタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、摩擦パッドとロータとの間の隙間調整を行うディスクブレーキ装置のアジャスタであって、前記摩擦パッドを前記ロータに押圧する一対のピストンと、前記ピストンに螺合し、回転することにより該ピストンをロータ軸方向に螺出させる一対のアジャスタねじ部材と、前記ピストン間でキャリパに保持され、前記アジャスタねじ部材を回転駆動するラチェット部材と、前記ピストン間でキャリパに軸支されているカムシャフトと、前記カムシャフトに所望の隙間を備えつつ保持されるリング部と該リング部から延出して先端が前記ラチェット部材の爪に係合するアーム部とからなり、前記カムシャフトの回転と一体に前記ラチェット部材を回転させるアジャスタレバーと、前記カムシャフトの端部に連結装備されて該カムシャフトを回動操作する操作レバーと、前記アジャスタレバーのアーム部を上方に引き上げて該アーム部と前記ラチェット部材との係合を外すマニュアルリリース用のギヤとを有し、前記アジャスタレバーが、前記リング部の下面の一部に前記カムシャフトに組み付けた際に高さ方向の位置決めを果たす突起部が装備され、前記マニュアルリリース用のギヤによって前記アーム部に引き上げ力が作用した時に、該突起部が揺動支点となる揺動動作により前記アーム部が前記ラチェット部材から外れる構成としている。
【0008】
そして、以上の構成によれば、ロータ間に配置された操作レバーを回動すると、該操作レバーと一体にカムシャフトが回動し、該カムシャフトに装備しているアジャスタレバーが、ラチェット部材を一定量回動させる。これによって、ラチェット部材の一構成ギヤであるアジャスタギヤが回転し、アジャスタギヤに噛合しているアジャスタねじ部材に含まれた各伝達ギヤを介して各ピストンに螺合しているアジャスタねじを回転させ、各ピストンがキャリパに対してロータ側に螺出されて、これらのピストンが当接している摩擦パッドをロータ側に移動する。
【0009】
そして、上記構成では、伝達ギヤに操作レバーの回動を伝えるためのラチェット機構等は、一対のピストン間のスペースに配置されて、ロータ軸方向の寸法に影響を与えない。即ち、ロータ軸方向に繋がる構成部材が少ないため、ロータ軸方向の寸法を抑えることができる。
【0010】
さらに、摩擦パッドを押圧するピストンは、アジャスタねじの外周に嵌合(螺合)する構成とすることで、キャリパ上での寸法制限内で、ピストン径を最大限に大きくすることができる。そして、ピストン径を大きくすることができるため、ピストンと摩擦パッドとの接触性が安定し、接触性を安定するためにピストンと摩擦パッドとの間にロードプレートを介在させる必要がなくなる。
【0011】
また、ラチェット部材に係合しているアジャスタレバーは、カムシャフトに嵌合するリング部に位置決め用の突起部が装備されているので、マニュアルリリース用のギヤによるリリース操作時には、前記突起部が揺動支点となる揺動動作によりラチェット部材に係合しているアーム部側が首振りして、ラチェット部材との係合が外れる構成である。従って、例えば、リリース操作時には前記リング部とアーム部とを一体にカムシャフト上をスライドさせて係合を外す構成と比較すると、カムシャフトとリング部との嵌め合いを寸法公差の大きい隙間嵌めとしても、リリース操作時に作用する曲げモーメントでリング部の内周縁がカムシャフトに引っかかってリリース動作が妨げられるといった不都合が発生せず、円滑なリリース動作を確保できる。また、このようにアジャスタレバーが揺動可能にカムシャフトに取り付けられていると、制動動作時等に加わる振動等でアジャスタレバーに曲げモーメントが作用する場合でも、微小な揺動動作により負荷を軽減することができ、振動等に起因したアジャスタレバーの変形や破損を防止して、アジャスタレバーの耐振性及び動作信頼性を向上させることができる。
なお、上記カムシャフトは偏心カムシャフトとすることにより、倍力作用を増幅させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図示実施形態により、本発明を説明する。
図1乃至図9は本発明に係るディスクブレーキ装置のアジャスタの一実施形態を示したもので、図1は一実施形態のアジャスタ1の分解斜視図、図2は同アジャスタ1を組み込んだディスクブレーキ装置2の一部を断面した平面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4は図2のB−B線に沿う断面図、図5は図3に示したアジャスタレバーのC矢視図、図6は図5のD矢視図、図7は図6のE矢視図、図8は一実施形態におけるアジャスタレバーのマニュアルリリース時(アジャストMAX時)の動作の説明図で、図9は一実施形態のアジャスタレバーのフリー状態時の動作の説明図である。
【0013】
この一実施形態のアジャスタ1が装備されるディスクブレーキ装置2は、図2に示すように、車輪と一体回転する円盤状のロータ4と、このロータ4を挟んで対向配置される一対の摩擦パッド6,7と、一方の摩擦パッド6をロータ4に向けて押圧するピストンの収容部となる駆動機構収容部11cがロータ4を跨ぐブリッジ部11aの一端に装備されると共にブリッジ部11aの他端側には他方の摩擦パッド7の背面を押圧する爪部11bを有するキャリパ11と、車体側に固定されると共にキャリパ11を支持したサポート10(図3及び図4参照)とを備えた構成である。
前述したアジャスタ1は、自動二輪車に使用されている空気圧駆動式のディスクブレーキ装置に使用される上で好適な構成となっているが、乗用車等で普及している油圧駆動式のディスクブレーキ装置にも搭載可能であることは言うまでもない。
【0014】
前述の各摩擦パッド6,7は、ロータ4の表面に押圧されて所定の摩擦力を発生するライニング12と、該ライニング12の裏面側に固着装備されて取付金具等として機能する裏板13とから構成されている。
【0015】
一実施形態のアジャスタ1は、キャリパ11の駆動機構収容部11cに組み込まれた一対のピストン15,16によって、一方の摩擦パッド6をロータ4側に移動させて、各摩擦パッド6,7とロータ4との間の隙間調整を行う。
【0016】
具体的には、アジャスタ1は、図1及び図2に示すように、キャリパ11の駆動機構収容部11c内でロータ4方向に摺動可能に保持されているピストン支持ケース18と、該ピストン支持ケース18によりロータ軸方向に移動自在に支持された一対のピストン15,16とを備えている。ピストン15,16の内周の雌ねじに螺合するねじ部21a,22aが先端側外周に形成されると共に基端側内周には締結用のねじ部19が形成された一対のアジャスタねじ21,22と、該アジャスタねじ21,22の基端部のねじ部19に螺着するねじ部24を有して一対のアジャスタねじ21,22と一体回転する一対の伝達ギヤ27,28と、これらの一対の伝達ギヤ27,28と噛合するようにこれらの一対の伝達ギヤ27,28間に装備されたアジャスタギヤ30と、アジャスタギヤ30と同軸にかつ該アジャスタギヤ30と一体回転可能に装備されたラチェット部材32とがそれぞれピストン支持ケース18に支持されている。
更に、軸線をロータ4の半径方向に向けて上記対となっているピストン15,16間に回転自在に装備された偏心カムシャフト34と、偏心カムシャフト34の端部に連結装備されて該偏心カムシャフト34を回動操作する操作レバー36と、偏心カムシャフト34に嵌合するリング部52と該リング部52から延出して先端がラチェット部材32の爪に係合するアーム部53とを有して偏心カムシャフト34と一体回転して偏心カムシャフト34の回動に応じてラチェット部材32を回転させるアジャスタレバー38と、アジャスタレバー38のアーム部53を上方に引き上げて該アーム部53とラチェット部材32との係合を外すマニュアルリリース用のギヤ60とを備えている。
【0017】
ピストン支持ケース18は、ピストン15,16を収容する一対の筒状部18a,18a間に、偏心カムシャフト34の偏心カム部分に対応しているシャフト挿通孔18bが形成された構成を成している。また、シャフト挿通孔18bの中心を貫通するように、アジャスタギヤ30,ラチェット部材32を回転自在に支持するギヤ支持孔18cが設けられている。
【0018】
一対のピストン15,16は、一端を開放した有頭筒状をなしたもので、閉じた他端側をロータ4側に向けてピストン支持ケース18の筒状部18aに摺動自在に嵌合している。そして、これらのピストン15,16は、ロータ軸方向にのみ移動し、ピストン支持ケース18内での回転動作が規制されるように、摩擦パッド6の裏板13に当接する先端面には、係合溝40が形成されている。この係合溝40が、裏板13に形成された突起に係合することで、各ピストン15,16は回転が規制される。
【0019】
アジャスタねじ21,22は、図1及び図2に示すように、略筒状を成していて、前述の伝達ギヤ27,28のねじ部(雄ねじ)24に螺合するねじ部(雌ねじ)19は、基端部の内周に刻設されている。このねじ部19は、それぞれのアジャスタねじ21,22の先端側外周に形成されたねじ部21a,22aに対して逆ねじとなっている。また、各アジャスタねじ21,22の基端寄りの外周部には、鍔部42が形成されている。この鍔部42には、ピストン15,16の端面に当接して、これらのピストン15,16の初期位置が設定される。
【0020】
また、一対の伝達ギヤ27,28は、これらの伝達ギヤ27,28に螺着したアジャスタねじ21,22の鍔部42との協働で、ピストン支持ケース18の筒状部18aの基端の内径側に膨出した突起部を挟むことで、ピストン支持ケース18に回転自在に支持されている。
【0021】
伝達ギヤ27,28が回転駆動されると、各アジャスタねじ21,22がこれらの伝達ギヤ27,28と一体回転して、ピストン15,16がロータ軸方向に進退する。これらの各伝達ギヤ27,28の中心には、ピストン15,16を摩擦パッド6から引き離す方向に付勢するリターンスプリング44を挿通するための開口が設けられている。
【0022】
リターンスプリング44は、伝達ギヤ27,28やアジャスタねじ21,22内を挿通する筒部46aと、該筒部46aの基端から張り出して伝達ギヤ27,28の端面に当接する位置決め片46bとを有したばね受けスリーブ46に収容される。
ばね受けスリーブ46の中心を挿通して一端をピストン15,16に螺着されたボルト48の他端に装備されたばね受け用の座金49により、リターンスプリング44が圧縮を受けてリターン方向の付勢力をピストン15,16に作用させている。従って、リターンスプリング44はピストン15,16をその付勢力で安定させ、センタリングをも実行している。
ばね受けスリーブ46の位置決め片46bは、ばね受けスリーブ46の外側から駆動機構収容部11cにねじ止めされるボディカバー50と、伝達ギヤ27,28との間に挾持されて、固定されている。
【0023】
この一実施形態の場合、アジャスタレバー38は、リング部52とアーム部53とが別体で、図5に示すように、アーム部53は基端側にリング部52の外周に巻き付く湾曲部53aが形成されている。そして、アーム部53は、湾曲部53aをリング部52の外周に巻き付けた状態でリング部52と共に偏心カムシャフト34に装着され、これらのリング部52及びアーム部53を挿通して偏心カムシャフト34に螺合するねじ部材56によって、リング部52と一緒に偏心カムシャフト34に固定されている。
また、図4に示すように、リング部52とカムシャフト34の突起部34aとの間には隙間があり、一定量△xの非アジャスト範囲を設けることにより、引きずりを防止している。
【0024】
さらに、この一実施形態の場合、アジャスタレバー38は、図5乃至図7に示すように、リング部52の下面の一部に偏心カムシャフト34に組み付けた際に、偏心カムシャフト34のカム部の上面に当接して高さ方向の位置決めを果たす突起部82が装備され、マニュアルリリース用のギヤ60の作用によりアーム部53に引き上げる力が作用した時には、図8に矢印(ロ)で示すように、該突起部82が揺動支点となる揺動動作によりアーム部53がラチェット部材32から外れるように偏心カムシャフト34に組み付けられている。
また、突起部82による支持は、車両の制動時の振動やラチェット部材32の戻り方向の力により下向きの負荷が作用した時にも有効で、その場合には、図9に矢印(ハ)で示すように、該突起部82が揺動支点となる揺動動作によりアーム部53が下方に揺動する。
【0025】
なお、アジャスタレバー38の偏心カムシャフト34へのセット時は、アーム部53を図6に示すように水平な状態に位置決めし易いように、そして、カム上面への接触が点接触となって姿勢が不安定にならないように、さらには、揺動方向が制限されるように、突起部82は先端面82aが平坦に仕上げられ、且つ、ある程度の接触面積が得られるように、図7に示す如く、細長く設けてある。
【0026】
また、偏心カムシャフト34の上端側は、図1及び図4に示したように、駆動機構収容部11cの上部に開口したシャフト挿通孔11dにねじ止めされたリテーナ54により回転自在に支持される。そして、リテーナ54とリング部52との間には、アジャスタレバー38の端部がラチェット部材32に係合した状態を保つように、アジャスタレバー38を付勢するばね58が装備される。
そして、ボディカバー50には、図1に示すように、マニュアルリリース用のギヤ60がレバー61により回転操作可能に取り付けられている。このギヤ60は、レバー61を回動させると回転して、アジャスタレバー38を上方に引き上げて、アジャスタレバー38とラチェット部材32との係合を外して、隙間調整を初期状態に戻す。
【0027】
以上に説明した一実施形態のアジャスタ1では、操作レバー36を回動すると、該操作レバー36と一体に偏心カムシャフト34が回動し、該偏心カムシャフト34に装備しているアジャスタレバー38が、図3の矢印(イ)方向に動いて、ラチェット部材32を一定量回動させる。これによって、ラチェット部材32と一体のアジャスタギヤ30が回動し、該アジャスタギヤ30の回転は、アジャスタギヤ30に噛合している各伝達ギヤ27,28を介して各ピストン15,16の内周に螺合しているアジャスタねじ21,22を回転させ、このアジャスタねじ21,22の回転により各ピストン15,16がロータ側に螺出されて、これらのピストン15,16が当接している摩擦パッド6をロータ4側に移動させて、ロータ4と各摩擦パッド6,7との間の隙間を縮める。
【0028】
そして、以上のアジャスタ1では、ピストン15,16をロータ4側に移動させるために、ロータ軸方向に繋がる構成部材は、アジャスタねじ21,22と、このアジャスタねじ21,22の端部に連結された伝達ギヤ27,28程度で、伝達ギヤ27,28に操作レバー36の回動を伝えるためのラチェット機構等は、一対のピストン15,16間のスペースに配置されて、ロータ軸方向の寸法に影響を与えない。
即ち、ロータ軸方向に繋がる構成部材が少ないため、ロータ軸方向の寸法を抑えることができて、小型化を図ることができ、小型の車両等にも搭載が容易になる。
【0029】
また、摩擦パッド6を押圧するピストン15,16は、アジャスタねじ21,22の外周に嵌合(螺合)するものであるため、摩擦パッドを押圧する一対のピストンをスリーブ内に螺合させる構成とした従来のものと比較すると、キャリパ上での寸法制限内で、ピストン径を最大限に大きくすることができる。そして、ピストン径を大きくすることができるため、ピストン15,16と摩擦パッド6との接触性が安定し、接触性を安定するためにピストン15,16と摩擦パッド6との間にロードプレートを介在させる必要がなくなる。
従って、ロードプレートを装備しなければならない構造のものと比較すると、軽量化を図ることができ、また、制動解除時におけるピストン15,16の戻り動作を速やかにして引きずり等の不都合の発生を防止することができる。
【0030】
また、アジャスタレバー38は、図10及び図11に示すように、リング部52の下端面全体を平坦に仕上げて、この平坦な下端面全体を偏心カムシャフト34のカムの上面に当接することで、偏心カムシャフト34に組み付けた際の位置決めを行い、マニュアルリリース用のギヤ60によるリリース操作時には、アジャスタレバー38全体を偏心カムシャフト34上でスライドさせる構成とすることができる。しかし、このような組み付け構造では、マニュアルリリース用のギヤ60の操作に大きな力が必要となり、さらに、スライドを容易にするために、偏心カムシャフト34とリング部52との間の嵌め合いを、寸法公差の大きな隙間嵌めにすると、スライド動作時に傾いたリング部52の内周縁が偏心カムシャフト34に引っかかって、円滑なリリース操作ができなくなる場合があった。
【0031】
そこで、アジャスタ1におけるアジャスタレバー38では、偏心カムシャフト34に嵌合するリング部52に位置決め用の突起部82が装備される構成としている。これにより、マニュアルリリース用のギヤ60によるリリース操作時には、突起部82が揺動支点となる揺動動作によりラチェット32に係合しているアーム部53側が首振りして、ラチェット32との係合が外れる構成で、リリース操作時にはリング部52とアーム部53とを一体に偏心カムシャフト34上をスライドさせて係合を外す従来の場合と比較すると、偏心カムシャフト34とリング部52との嵌め合いを寸法公差の大きい隙間嵌めとしても、リリース操作時に作用する曲げモーメントでリング部52の内周縁が偏心カムシャフト34に引っかかってリリース動作が妨げられるといった不都合が発生せず、円滑なリリース動作を確保できる。
【0032】
また、このようにアジャスタレバー38が揺動可能に偏心カムシャフト34に取り付けられていると、制動動作時等に加わる振動等でアジャスタレバー38に曲げモーメントが作用する場合でも、微小な揺動動作により負荷を軽減することができ、振動等に起因したアジャスタレバー38の変形や破損を防止して、アジャスタレバー38の耐振性及び動作信頼性を向上させることができる。
【0033】
なお、前述した一実施形態のアジャスタ1は、操作レバー36を回動動作させた際の往動時に作動する往き作動タイプであるが、操作レバー36の戻り動作時に作動する戻り作動タイプに変更する場合には、図1で二点鎖線で囲んだ構成部品64を、破線で囲んだ構成部品66に交換すれば良い。
【0034】
また、前述した一実施形態のアジャスタ1はポジティブタイプのものであったが、ラチェット部材32の爪の向きを変更して、アジャスタレバー38の当接向きを変更すれば、ネガティブタイプとすることも可能である。
【0035】
さらに、この一実施形態では、アジャスタレバー38は、リング部52とアーム部53とを別体としたが、これらのリング部52とアーム部53とを一体形成してもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明のディスクブレーキ装置のアジャスタでは、伝達ギヤに操作レバーの回動を伝えるためのラチェット機構等は、一対のピストン間のスペースに配置されて、ロータ軸方向の寸法に影響を与えない。即ち、ロータ軸方向に繋がる構成部材が少ないため、ロータ軸方向の寸法を抑えることができて、小型化を図ることができる。
ロードプレートを装備しなければならない構造のものと比較すると、軽量化を図ることができ、また、制動解除時におけるピストンの戻り動作を円滑にして引きずり等の不都合の発生を防止することができる。
更に、摩擦パッドの交換などで調整を解除する場合のマニュアルリリースを備える構成を与えることができ、このリリース操作時には、突起部が揺動支点となる揺動動作によりラチェット部材に係合しているアーム部側が首振りして、ラチェット部材との係合が外れる構成で、リリース操作時に作用する曲げモーメントでリング部の内周縁が偏心カムシャフトに引っかかってリリース動作が妨げられるといった不都合は発生せず、円滑なリリース動作を確保できる。
また、制動動作時等に加わる振動等でアジャスタレバーに曲げモーメントが作用する場合でも、微小な揺動動作により負荷を軽減することができ、振動等に起因したアジャスタレバーの変形や破損を防止して、アジャスタレバーの耐振性及び動作信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディスクブレーキ装置のアジャスタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のアジャスタを組み込んだディスクブレーキ装置の一部を断面した平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図3に示したアジャスタレバーのC矢視図である。
【図6】図5のD矢視図である。
【図7】図6のE矢視図である。
【図8】本発明の一実施形態のアジャスタレバーのマニュアルリリース時(アジャストMAX時)の動作の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態のアジャスタレバーのフリー状態時の動作の説明図である。
【図10】従来のアジャスタレバーの取り付け構造を示す平面図である。
【図11】図10のF矢視図である。
【符号の説明】
1 アジャスタ
2 ディスクブレーキ装置
4 ロータ
6,7 摩擦パッド
11 キャリパ
11c 駆動機構収容部
15,16 ピストン
18 ピストン支持ケース
19 ねじ部
21,22 アジャスタねじ
21a,22a ねじ部
24,25 ねじ部
27,28 伝達ギヤ
30 アジャスタギヤ
32 ラチェット部材
34 偏心カムシャフト
34a 突起部
36 操作レバー
38 アジャスタレバー
40 係合溝
44 リターンスプリング
46 ばね受けスリーブ
48 ボルト
52 リング部
53 アーム部
54 リテーナ
58 ばね
60 マニュアルリリース用のギヤ
61 レバー
82 突起部

Claims (1)

  1. 摩擦パッドとロータとの間の隙間調整を行うディスクブレーキ装置のアジャスタであって、前記摩擦パッドを前記ロータに押圧する一対のピストンと、前記ピストンに螺合し、回転することにより該ピストンをロータ軸方向に螺出させる一対のアジャスタねじ部材と、前記ピストン間でキャリパに保持され、前記アジャスタねじ部材を回転駆動するラチェット部材と、前記ピストン間でキャリパに軸支されているカムシャフトと、前記カムシャフトに所望の隙間を備えつつ保持されるリング部と該リング部から延出して先端が前記ラチェット部材の爪に係合するアーム部とからなり、前記カムシャフトの回転と一体に前記ラチェット部材を回転させるアジャスタレバーと、前記カムシャフトの端部に連結装備されて該カムシャフトを回動操作する操作レバーと、前記アジャスタレバーのアーム部を上方に引き上げて該アーム部と前記ラチェット部材との係合を外すマニュアルリリース用のギヤとを有し、前記アジャスタレバーが、前記リング部の下面の一部に前記カムシャフトに組み付けた際に高さ方向の位置決めを果たす突起部が装備され、前記マニュアルリリース用のギヤによって前記アーム部に引き上げ力が作用した時に、該突起部が揺動支点となる揺動動作により前記アーム部が前記ラチェット部材から外れることを特徴としたディスクブレーキ装置のアジャスタ。
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