JP3822503B2 - 可変利得増幅器及びこれを用いた直交変調器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変利得増幅器及びこれを用いた直交変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA(Code division multiple access:符号分割多元接続)の普及に伴い、CDMA方式に対応した無線機(以下、CDMA無線端末という)の研究開発が盛んに行われている。CDMA無線機の送信部では、70dB以上の送信電力制御が必須であり、RF(高周波)段、IF(中間周波)段もしくはBB(ベースバンド)段に可変利得増幅器が必須となる。一般に送信電力を大きくする場合、3次歪みが増大するため、可変利得増幅器を含む各増幅器の3次歪みを小さくすることが大きな課題となる。
【0003】
図1に、MOSFET(以下、MOSトランジスタという)を用いた可変利得増幅器の例を示す。この可変利得増幅器は、差動ペアを構成するMOSトランジスタMN1,MN2とMN1,MN2のソース端子間に接続されたソース縮退抵抗2R1からなる相互コンダクタンス(Gm)増幅器と、MOSトランジスタMN3,MN4とMN3,MN4のソース端子に接続された抵抗R2,R3(R2=R3)からなる電流源によって構成される。ソース縮退抵抗2R1は、可変抵抗素子が用いられる。
【0004】
ここで、一般にソース縮退抵抗2R1 に用いる可変抵抗素子は、線形領域で動作するMOSトランジスタを用いて実現され、MOSトランジスタのゲート電圧によって抵抗値が変化する。Gm増幅器のトランジスタMN1,MN2のゲート端子に入力された入力信号Vin(−Vin ,+Vin )はGm増幅器によって増幅され、トランジスタMN1,MN2のドレイン端子間から出力信号VOUT として取り出される。このとき、入力信号Vinが2トーン信号(周波数の異なる2つの所望波)とすると、Gm増幅器の非線形動作により出力信号VOUT には3次歪みが生じる。
【0005】
一方、電流源のトランジスタMN3,MN4は飽和領域で使用されており、MN3,MN4の出力抵抗Ro は一般にR1 に比べ大きいので、実効ソース縮退抵抗RS は2R1 で近似できる。一般に、トランジスタの相互コンダクタンスgmと実効ソース縮退抵抗R1との積が1よりも十分大きいとき(gmR1 >>1)、Gm増幅器の相互トランスコンダクタンスGm1は、次式のように近似できる。
【数1】
【0006】
利得を高く設定する場合には、実効ソース縮退抵抗RS (≒2R1 )を小さくすればよい。歪みとソース縮退抵抗との関係は、gmR1 >>1と仮定すると
【数2】
が成立する(文献:Willy Sansen, Distortion in Elementary Transistor Circuits IEEE Transactions on Circuits and Systems. ANALOG AND DIGITAL SIGNAL PROCESSING, VOL.46, NO.3.MARCH 1999 pp.315-325参照)。ここで、(IM3/D)は3次歪み(IM3)と所望波(D)との比を表し、Ioは2つの電流源で作られる電流値である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の可変利得増幅器では、高利得時にはソース縮退抵抗2R1 を小さくするので、(2)式から電流IO が一定である場合、従来の可変利得増幅器では、低利得時に比べて高利得時の歪み劣化は避けられない。従って、利得設定を高くしたときの歪みを小さくする回路技術が望まれる。
【0008】
従って、本発明は高利得時の歪み劣化を抑圧できる可変利得増幅器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明によれば縮退インピーダンス素子を有する相互コンダクタンス増幅器と、該相互コンダクタンス増幅器に電流を供給するように配置され、利得制御電圧に従って該電流が相互コンダクタンス増幅器の実効縮退インピーダンスと同時に変化するように構成された可変電流源とを有する可変利得増幅器が提供される。
【0010】
より具体的には、相互コンダクタンス増幅器は差動ペアを形成する第1及び第2のトランジスタと該第1及び第2のトランジスタのソース端子間またはエミッタ端子間に接続された縮退インピーダンス素子とを有し、可変電流源はドレイン端子が第1及び第2のトランジスタのソース端子またはエミッタ端子にそれぞれ接続され、各々のソース端子が定電位点に接続され、各々のゲート端子に利得制御電圧が印加され、線形領域で動作する第3及び第4のトランジスタによって構成される。
【0011】
このように構成される本発明の可変利得増幅器では、例えば高利得時に可変電流源を構成するソース接地トランジスタ(第3及び第4のトランジスタ)のゲート端子に印加する利得制御電圧を高くし、該トランジスタの出力抵抗を小さくすることにより、相互コンダクタンス増幅器の実効縮退インピーダンスを小さくするとともに、可変電流源の電流を増加させることができ、これによって高利得時の歪み、特に3次歪み劣化が抑圧される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る歪み劣化を抑制する可変利得増幅器の概念図を示す。この可変利得増幅器は、相互コンダクタンス増幅器(以降、Gm増幅器という)1と可変電流源2及び利得制御電圧発生器3から構成される。Gm増幅器1には入力信号Vinが入力され、可変電流源2には利得制御電圧発生器3から利得制御電圧VGCが入力される。
【0013】
ここで、利得制御電圧VGCを変化させて可変電流源2の出力抵抗を小さくすることにより、可変電流源2の電流を増加させるとともに、Gm増幅器1の実効縮退抵抗インピーダンスを小さくできる。これにより、高利得時の3次歪み劣化を抑圧することが可能である。
【0014】
図3には、図2のGm増幅器1と可変電流源2の詳細を示す。Gm増幅器1は差動ペアを構成するMOSトランジスタMN1,MN2と、トランジスタMN1,MN2のソース端子間に接続されたソース縮退抵抗素子2R1 から構成される。トランジスタMN1,MN2のドレイン端子は、負荷抵抗R4 ,R5 (R4 =R5 )をそれぞれ介して電源Vddに接続される。トランジスタMN1,MN2のゲート端子には、バイアス電圧VBIAS2が重畳された入力信号Vin(+Vin−(−Vin ))の負信号−Vin及び正信号+Vinがそれぞれ入力される。入力信号VinはGm増幅器1によって電圧−電流変換されつつ増幅されてMN1,MN2のドレイン端子に現れ、さらに負荷抵抗R4 ,R5 によって電流−電圧変換されることにより、電圧信号の出力信号VOUT として取り出される。
【0015】
可変電流源2は、MOSトランジスタMN3,MN4より構成され、トランジスタMN3,MN4のドレイン端子はGm増幅器1のトランジスタMN1,MN2のソース端子にそれぞれ接続され、トランジスタMN3,MN4のソース端子は定電位点、この例ではグラウンドに接続される。トランジスタMN3,MN4のゲート端子には、図2中に示した利得制御電圧発生器3から利得制御電圧VGCが印加される。
【0016】
利得制御電圧VGCによって可変電流源2からGm増幅器1に供給される電流IO の値、すなわちトランジスタMN3,MN4のソース電流が変化する。可変電流源2を構成するMOSトランジスタMN3,MN4は、特に可変利得増幅器の高利得時には線形領域で使用されることにより、利得制御電圧VGCによってソース電流IO と共に出力抵抗(トランジスタMN3,MN4のドレイン・ソース間抵抗)rO の値が制御される。このように可変電流源2を構成するMOSトランジスタMN3,MN4は、高利得時に線形領域で動作するように設定されているため、トランジスタMN3,MN4の動作は次式で表される。
【0017】
【数3】
【0018】
ここで、VGSはゲート・ソース間電圧、VTHはしきい値電圧、VDSはドレイン・ソース間電圧、Kは定数である。これから出力抵抗rO 、すなわちドレイン・ソース間抵抗は、VDS≒0のとき
【数4】
と近似できる。入力信号Vinの正負信号+Vin,−Vinの直流電位は一定なので、利得制御電圧VGC(=VGS )を大きくすると、出力抵抗rO は小さくなり、可変電流源2の電流値IO は大きくなる。
【0019】
図4に示すMOSトランジスタのVDS−ID 特性を用いて、可変電流源2を構成するMOSトランジスタMN3,MN4の出力抵抗rO の変化について説明する。式(4)から、出力抵抗rO は図4のVDS−ID 特性の接線の傾きに反比例する。言い換えれば、接線の傾きは1/rO で与えられる。MOSトランジスタは、線形領域ではゲート・ソース間電圧VGSをVGS1 ,VGS2 ,VGS3 のように変えることにより、出力抵抗rO が変わることが図4からも分かる。
【0020】
このように可変電流源2の電流値IO 及び出力抵抗rO を変えると、Gm増幅器1の実効縮退インピーダンス(図3の例では、縮退インピーダンス素子として抵抗2R1 が用いられているため、実効ソース縮退抵抗2RS )は、次式となる。
【数5】
【0021】
ここで、MOSトランジスタは線形領域で動作しているため、一般に仮定されるrO >>R1 は成り立たない。従って、実効ソース縮退抵抗2RS は、可変電流源2の出力抵抗rO を可変にすることにより変化する。(1)、(2)式と同様に、Gm増幅器1のトランスコンダクタンスGm2及び3次歪み(IM3)と所望波(D)との比IM3/Dは、
【数6】
となる。
【0022】
また、低利得時のGm増幅器1の実効ソース縮退抵抗を2RS1とし、高利得時の実効ソース縮退抵抗を2RS2とすると、
【数7】
が成り立つように利得制御電圧VGCを変化させる。
【0023】
さらに、可変電流源2の低利得時の出力抵抗をrO1、高利得時の出力抵抗をrO2とすると、rO1>rO2となるため、高利得時の電流値I2は低利得時の電流値I1に比べ大きくなる。このように高利得時には、可変電流源2からGm増幅器1に供給する電流IO を増やし(I1 <I2 )、実効ソース縮退抵抗2RS を小さくすることにより、高利得時の3次歪みの劣化を抑圧することができる。
【0024】
図5には、式(6)、(7)から求めた、可変電流源2からGm増幅器1に流れる電流IO と可変電流源2の出力抵抗rO の値による所望波と3次歪みの大きさの変化を示した。図5に示される通り、出力抵抗ro を小さくし、電流IO を大きく設定することにより、3次歪み劣化を抑圧できることが分かる。
【0025】
図6に、本実施形態の他の実施形態に係る可変利得増幅器を示す。本実施形態が図3に示した実施形態と異なる点は、可変電流源2のMOSトランジスタMN3,MN4のソース端子と接地間に抵抗R2 ,R3 (ソース縮退抵抗)が挿入されていることである。歪み劣化を抑圧しながら利得を上げるために、可変電流源2の出力抵抗rO を小さくし、Gm増幅器1の実効ソース縮退抵抗2RS =2(rO +R2 )//2R1 を小さくする。高利得時には出力抵抗rO は小さくなり、可変電流源2からGm増幅器1に供給される電流は増加する。これにより、高利得時の歪み劣化を抑圧することができる。
【0026】
本実施形態の可変利得増幅器では、新たに可変電流源2に追加したソース縮退抵抗R2 ,R3 により、可変電流源2の出力抵抗rO の下限が大きくなるが、図3と同様に利得制御電圧VGCを変えることで、出力抵抗rO を変化させることができる。
【0027】
図7は、本実施形態の別の実施形態に係る可変利得増幅器であり、図6と異なる点はGm増幅器1を構成する差動ペアのトランジスタをMOSトランジスタMN1,MN2からバイポーラトランジスタQ1,Q2に置き換えた点であり、このようにしても図6と同様に、高利得時の歪み劣化を抑えることができる。
【0028】
図8及び図9は、図6に示したソース縮退抵抗2R1 をキャパシタ2C1 及びインダクタ2L1 にそれぞれ置き換えた実施形態である。従来、リアクタンス素子は雑音が理想的に発生しないため、よく用いられる。また、インダクタ及びキャパシタのインピーダンスは低周波ではそれぞれ0Ω、∞Ωとなるため、図8及び図9の回路はIF周波数、RF周波数でそれぞれ用いるのに適している。
【0029】
次に、可変利得機能付き直交変調器に本発明を適用した実施形態について説明する。図10に、Ich,Qch用のそれぞれのミキサをDBM(Double Balance Mixer:二重平衡ミキサ)とした場合の具体的な可変利得機能付き直交変調器の回路構成を示す。
【0030】
図10においては、MOSトランジスタMN1,MN2からなる差動ペアとソース縮退抵抗素子2R1 によって第1のGm増幅器1Aが構成され、MOSトランジスタMN11,MN12とソース縮退抵抗素子2R1 によって第2のGm増幅器1Bが構成されている。Gm増幅器1A,1Bには、それぞれMOSトランジスタMN3,MN4と抵抗R2,R3からなる第1の可変電流源2A及びMOSトランジスタMN9,MN10と抵抗R6,R7からなる第2の可変電流源2Bが接続される。
【0031】
一方、MOSトランジスタMN5,MN6からなる差動ペアとMN7,MN8からなる差動ペアによって第1の電流スイッチ4Aが構成され、同様にMOSトランジスタMN13,MN14からなる差動ペアとMN15,MN16からなる差動ペアによって第1の電流スイッチ4Bが構成されている。
【0032】
Gm増幅器1Aと可変電流源2A及び電流スイッチ4AはIch用ミキサを構成し、同様にGm増幅器1Bと可変電流源2B及び電流スイッチ4BとはQch用ミキサを構成している。直交変調器のベースバンド部を可変利得増幅器で実現し、3次歪み劣化を抑圧する。Gm増幅器1A及び1BのMOSトランジスタMN1,MN2,MN11,MN12には、それぞれI信号及びQ信号(±Ich,±Qch)が入力される。
【0033】
電流スイッチ4A,4Bを構成するトランジスタのうち、トランジスタMN5,MN8のゲート端子には第1のローカル信号LOI の負信号が入力され、トランジスタMN6,MN7のゲート端子には第1のローカル信号LOI の正信号が入力される。電流スイッチ4BのトランジスタMN13,MN16のゲート端子には第2のローカル信号LOQ の負信号が入力され、トランジスタMN14,MN15のゲート端子には第2のローカル信号LOQの正信号が入力される。ローカル信号LOI とLOQ は、位相が互いに90°異なる信号である。
【0034】
可変電流源2A,2BのトランジスタMN3,MN4,MN9,MN10には、利得制御電圧VGCが印加される。高い利得を得ようとするときには、利得制御電圧VGCを高くし、可変電流源2A,2BのトランジスタMN3,MN4,MN9,MN10のゲート電圧を上げることにより出力抵抗rO を下げ、Gm増幅器1A,1Bの実効ソース縮退抵抗を2RS =2R1 //2(rO +R2 )に下げる。ただし、R2 =R3 =R6 =R7 と仮定する。このとき電流IO は大きくなるため、IO が一定の時よりも3次歪み劣化を抑圧することができる。
【0035】
Gm増幅器1A,1Bで電圧−電流変換されかつ増幅されたIch信号及びQch信号がスイッチ4A,4Bでローカル信号LOI 及びLOQ とそれぞれ乗算されることによってRF信号に変換され、電流減算されたIch信号及びQch信号が出力信号VOUT として出力される。
【0036】
図11は、同様に本発明を可変利得機能付き直交変調器に適用した実施形態であり、Gm増幅器1A,1B及び電流スイッチ4A,4Bを構成するトランジスタをMOSトランジスタからバイポーラトランジスタQ1〜Q12に置き換えた点以外は、図10に示した実施形態と同様である。
【0037】
これまでの実施形態では、送信部に用いる可変利得増幅器および直交変調器について説明をしたが、送信部のアップコンバータ及び受信のLNA、ダウンコンバータ、IF段可変利得増幅器(VGA)、直交復調器後のベースバンド段可変利得増幅器にも本発明を適用することができる。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係る歪み劣化抑圧機能を備えた可変利得増幅器の応用システムの例として、携帯電話機やその他の携帯端末における無線送受信回路について説明する。図12は、ヘテロダイン方式による無線送受信機の回路構成を示している。ここでは送受の切り替えを時間分割で行うTDD(Time Division
Duplex)方式を例として説明するが、これに限られるものではない。
【0039】
まず、送信部について説明すると、ベースバンド信号発生部(TX-BB)101では直交した第1及び第2の送信ベースバンド信号Ich(TX),Qch(TX)が適当なフィルタにより帯域制限されて出力される。これらの直交送信ベースバンド信号Ich(TX),Qch(TX)は、二つの乗算器102,103と加算器104からなる直交変調器105に入力され、2つの直交した周波数をfLO2 の第2ローカル信号を変調する。第2ローカル信号は、局部発振器106により発生され、かつ90°移相器(90°−PS)107により2分割されて直交変調器105に入力される。
【0040】
直交変調器105から出力される被変調信号はIF(中間周波)信号であり、可変利得増幅器109に入力される。可変利得増幅器109は、図示しない制御系からの利得制御信号に従って入力されたIF信号を適当な信号レベルに調節する。可変利得増幅器109から出力されるIF信号は、一般に直交変調器105及び可変利得増幅器109で発生する不要な高調波成分を含むため、この不要成分を除去するためのローパスフィルタまたはバンドパスフィルタ110を介してアップコンバータ111に入力される。
【0041】
アップコンバータ111は、IF信号と第1局部発振器112で発生される周波数fLO1の第1ローカル信号との乗算を行うことにより周波数変換(アップコンバート)を行い、周波数fLO1 +fLO2 のRF信号と周波数fLO1 −fL02 のRF信号を生成する。これら二つのRF信号のいずれか一方が所望波出力であり、他方は不要なイメージ信号である。ここでは、周波数fL01 +fL02 のRF信号を所望波とするが、周波数fLO1 −fL02 のRF信号を所望波出力としてもよい。イメージ信号は、イメージ除去フィルタ113により除去される。
【0042】
アップコンバータ111からイメージ除去フィルタ113を介して抽出された所望波出力は、電力増幅器(PA)114により所要の電力レベルまで増幅された後、送受切り替え電流スイッチ(T/R)115を介してアンテナ116に供給され、電波として放射される。
【0043】
一方、受信部においては、アンテナ116から出力される受信RF信号が送受切り替え電流スイッチ115及びバンドパスフィルタ117を介して、低雑音増幅器(LNA)118に入力される。低雑音増幅器118により増幅された受信RF信号は、イメージ除去フィルタ119を介してダウンコンバータ120に入力される。
【0044】
ダウンコンバータ120は、第1局部発振器112で発生される周波数fL01 の第1ローカル信号と受信RF信号の乗算を行い、受信RF信号をIF信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。ダウンコンバータ120から出力されるIF信号は、バンドパスフィルタ121及び可変利得増幅器122を介して分波器(図示せず)と乗算器123,124からなる直交復調器125に入力される。
【0045】
直交復調器125には、送信部の直交変調器105と同様に、第2局部発振器106から90°移相器(90°−PS)108を介して直交した周波数fL02 の第2ローカル信号が入力される。直交復調器125の出力Ich(RX)及びQch(RX)は、受信部ベースバンド処理部(RX−BB)126に入力され、ここで受信信号が復調されることによって、元のデータ信号が再生される。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば高利得時に電流源の出力抵抗を下げ、電流を増加させることにより、歪み劣化を抑圧できる可変利得増幅器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の可変利得増幅器の構成を示す回路図
【図2】本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の概略的構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の回路図
【図4】MOSトランジスタのVDS−ID特性と出力抵抗の関係を示す図
【図5】図1に示した従来の可変利得増幅器及び図3に示した本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の出力信号における所望波と3次歪みの関係を示す図
【図6】可変電流源のMOSトランジスタにソース縮退抵抗を接続した本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の回路図
【図7】相互コンダクタンス増幅器の差動ペアにバイポーラトランジスタを用いた本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の回路図
【図8】縮退インピーダンス素子にキャパシタを用いた本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の回路図
【図9】縮退インピーダンス素子にインダクタを用いた本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器の回路図
【図10】本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器をベースバンド増幅段に適用した直交変調器の回路図
【図11】本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器をベースバンド増幅段に適用した直交変調器の回路図
【図12】本発明の一実施形態に係る可変利得増幅器を無線機の変調器回路を示すブロック図
【符号の説明】
1,1A,1B…相互コンダクタンス増幅器
2,2A,2B…可変電流源
3…利得制御電圧発生器
4A,4B…電流スイッチ
Claims (4)
- 縮退インピーダンス素子を有する相互コンダクタンス増幅器と、
前記相互コンダクタンス増幅器に電流を供給するように配置された可変電流源であって、線形領域で動作するトランジスタを有し、利得制御電圧に従って該電流が変化すると共に前記縮退インピーダンス素子のインピーダンスと前記可変電流源の出力インピーダンスとの並列合成インピーダンスが変化するように構成された可変電流源とを具備する可変利得増幅器。 - 前記相互コンダクタンス増幅器は、差動ペアを形成する第1及び第2のトランジスタと該第1及び第2のトランジスタのソース端子間またはエミッタ端子間に接続された縮退インピーダンス素子とを有し、
前記可変電流源は、ドレイン端子が前記第1及び第2のトランジスタのソース端子またはエミッタ端子にそれぞれ接続され、各々のソース端子が定電位点に接続され、各々のゲート端子に前記利得制御電圧が印加され、線形領域で動作する第3及び第4のトランジスタを有する請求項1記載の可変利得増幅器。 - 前記相互コンダクタンス増幅器の利得A1 における前記並列合成インピーダンスをRS1 、前記電流の値をI1 とし、該相互コンダクタンス増幅器の利得A2 における前記並列合成インピーダンスをRS2、前記電流の値をI2としたとき(ただし、A1 <A2 )、
RS1>RS2
I1<I2
の条件を満足する請求項1または2記載の可変利得増幅器。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可変利得増幅器であって、互いに直交する第1及び第2のベースバンド信号をそれぞれ増幅して第1及び第2の電流出力信号を出力する第1及び第2の可変利得増幅器と、
互いに直交する第1及び第2のローカル信号のうち第1のローカル信号と前記第1の電流出力信号とを乗算する第1の乗算手段と、
前記第2のローカル信号と前記第2の電流出力信号とを乗算する第2の乗算手段とを具備する直交変調器。
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