JP3822424B2 - 交通管制システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は道路網における車両の流れを円滑にするための交通管制システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば高速道路網において、車両の流れを円滑にするための種々のシステムが開発され実用化されている。これらのシステムにおいては、高速道路網を構成する各路線において、所定距離区間毎に、交通量検出器を配設し、各区間における、車両の存在数、平均速度、所要時間等を測定して、各区間における渋滞の有無及び渋滞の程度(渋滞距離、渋滞箇所通過所要時間)を判定する。
【0003】
そして、公共のラジオ放送を用いたり、各車両に登載されたナビゲーション・システムを用いたり、VICS(道路交通情報通信システム)を用いたり、さらに、道路上に設置された電光掲示板を用いたりして、高速道路網の各路線を走行中の車両の運転手に渋滞発生区間を知らせるようにしている。
【0004】
このような渋滞発生区間及び渋滞程度を上述した方法で確認した各車両の運転者は、現在位置から自己の目的地までの経路(ルート)に、渋滞区間が含まれるか否かを判断して、渋滞区間が含まれる場合は、先ず、渋滞程度を判断して、目的地までの所要時間を推定する。所要時間が許容範囲を超える場合は、この渋滞区間を迂回する迂回路線が存在するか否かを考える。複数の迂回路線が存在した場合は、最短の迂回路線を選択する。迂回路線が存在しなければ、我慢して、渋滞発生区間へ車両を進める。
【0005】
このような、運転手の思考過程を、交通管制システム側で行い、渋滞発生区間とこの渋滞発生区間を迂回する最良の迂回路線も同時に運転手に、上述した手法で通知する場合もある。
【0006】
なお、ナビゲーション・システムによっては、ナビゲーション・システム自体が自己が有する地図情報を用いて、迂回路線を含めて現在地から目的地まで最短時間で到達する路線を自動的に演算して、表示画面に表示する場合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、渋滞が発生した場合において、最適の迂回路線を走行中の車両の運転手に通知する交通管制システムやナビゲーション・システムにおいてもまだ解消すべき次のような課題があった。
【0008】
すなわち、上述した渋滞発生区間及び迂回路線は、道路網の各路線を走行中の全ての車両の運転手に同時に通知される。その結果、各路線を走行中の全ての車両が渋滞発生区間の路線への進入を中止して、一斉に迂回路線へ進入することになる。その結果、滞発生区間の路線における渋滞は大幅に解消されるが、迂回路線に新たな渋滞区間が発生することになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、渋滞発生等の管制対対象路線と迂回路線とに対する車両の誘導量を個別に制御することによって、車両の流れが管制対対象路線と迂回路線とに分散され、確実に渋滞等を解消でき、道路網全体における車両の流れをより一層円滑化することができる交通管制システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明の交通管制システムにおいては、道路網を複数の路線に分割した場合の各路線の交通量を検出する交通量検出手段と、この交通量検出手段で検出された各路線の交通量に基づいて、複数の路線のなかから交通管制の実施が必要な管制対象路線を検出する管制対象路線検出手段と、この検出された管制対象路線における、当該管制対象路線への車両の進入禁止及び当該管制対象路線内の全車両の他の路線への排除を示す「排除」、当該管制対象路線へ進入車両の一部の他の路線への誘導を示す「抑制」、当該管制対象路線に対する車両の進入退出の制限を実施しないことを示す「維持」、当該管制対象路線に対する他の路線からの誘導許容を示す「許容」、当該管制対象路線に対する交通管制の解除を示す「解除」の各交通量に応じた管制目標を決定する管制目標決定手段と、この管制目標決定手段における「排除」、「抑制」の管制目標の決定に応じて、該当する管制対象路線に対する1つ又は複数の迂回路線を選択する迂回路線選択手段と、「排除」の管制目標決定に応じて、当該管制対象路線に対する閉鎖入口指定を行う閉鎖入口指定手段と、「抑制」の管制目標決定に応じて、選択された迂回路線に対する車両の誘導量及び管制対象路線に対する車両の各誘導量を経験式を用いて算出する誘導量算出手段と、「抑制」の管制目標決定に応じて、迂回路線と管制対象路線との分岐点近傍において、該当分岐点から迂回路線又は管制対象路線へ進入しようとする各車両に対して、算出した各誘導量に対応した時間割合で迂回路線又は管制対象路線への誘導通知を実施する誘導制御手段とを備えている。
【0011】
このように構成された交通管制システムにおいては、道路網を構成する各路線の交通量が検出される。そして、各路線は、該当路線の交通量に応じて管制対象路線か非管制対象路線かに区分けされる。例えば、渋滞が発生している路線は管制対象路線に指定される。
【0012】
管制対象路線に対しては、該当路線の交通量に応じて「排除」「抑制」「維持」「許容」「解除」等の各管制目標が設定される。さらに、この設定された管制目標に応じて該当管制対象路線に対する迂回路線が選択される。そして、管制対象路線と迂回路線とに対する車両の各誘導量が算出されて、誘導制御される。
【0013】
したがって、管制対象路線と迂回路線とに車両の流入量が分散されるので、管制対象路線の渋滞が解消されるとともに、迂回路線においても渋滞は発生しない。
【0015】
さらに、迂回路線と管制対象路線との分岐点近傍において、例えば、5分間のうち、3分間は各車両を迂回路線へ誘導し、2分間は各車両を管制対象路線へ誘導する。よって、管制対象路線と迂回路線とに車両の流入量が分散される。
【0016】
また、別の発明においては、上述した発明における交通管制システムに対して、さらに、誘導制御手段による車両の流入量の制御を実施した後における管制対象路線と迂回路線における交通量検出手段で得られる実績の交通量に基づいて、算出された誘導量を評価する管制評価手段と、この管制評価手段の評価に基づいて誘導量算出手段における経験式を補正する補正手段とを備えている。
【0017】
たとえ、誘導制御手段にて、迂回路線及び管制対象路線に対する車両の流入量を算出された各誘導量に制御したとしても、短時間で渋滞が効果的に解消されるとは限らないので、制御した結果を評価して、その評価結果を誘導量算出にフィードバックしている。よって、この交通管制システムを長期間稼働すると、管制精度が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は実施形態に係る交通管制システムの概略構成を示すブロック図である。例えば首都高速道路網等からなる道路網1は、分岐点2で複数の路線3に分割される。したがって、この路線3の距離は分岐点2の位置に依存するので、各路線3によって様々である。これに対して、先述した区間は例えば1km等のように固定長であり、路線3の距離より短い。各路線3には、交通量検出器4が設置されている。各路線3の分岐点2近傍位置にはそれぞれ電光掲示板5が配設されている。
【0019】
各交通量検出器4は、路線3を通行する車両の単位時間当りの通行量(車両数)及び各車両の速度を検出して、交通量取込部6へ送信する。各路線3の分岐点2近傍位置に設置された電光掲示板5には、該当分岐点2を通過する各車両に対して、管制案内を表示する。この管制案内とは、例えば、
「現在、A路線は渋滞しているので、B路線の迂回路線を経由して下さい」
等である。この各電光掲示板5の表示内容は管制出力部7から指示される。
【0020】
コンピユータからなる交通管制システム内には、データベース8、交通データファイル9、管制対象路線ファイル10、管制目標メモリ11、経験式メモリ12等が設けられている。データベース8内には、路線データベース13、閾値メモリ14、地図メモリ15が形成されている。
【0021】
路線データベース13内には、図2に示すように、道路網1を構成する各路線3毎に、該当路線3を特定する路線NO、路線名、距離が記憶されている。
【0022】
交通データファイル9内には、図3に示すように、道路網1を構成する各路線3毎に、該当路線3内に存在する車両の全台数を示す存在台数、該当路線3を車両が通過するのに必要な平均所要時間を示す旅行時間、及び平均速度が格納されている。なお、この交通データファイル9内の存在台数、旅行時間及び平均速度は、交通量算出部16によって、例えば、5分間隔で最新の存在台数、旅行時間及び平均速度に更新される。
【0023】
データベース8の閾値メモリ14内には、図4に示すように、道路網1を構成する各路線3毎に、該当路線3に渋滞が発生していると判定する存在台数の台数閾値と、旅行時間の時間閾値とが記憶されている。なお、この存在台数の台数閾値と旅行時間の時間閾値とは、この交通管制システムの管理者がマニュアル操作で任意に変更可能である。
【0024】
データベース8の地図メモリ15内には、道路網1を構成する各路線3相互間の分岐点2を介した接続状況を示す地図データが記憶されている。
【0025】
管制対象路線ファイル10内には、図5に示すように、各路線3毎に交通管制の必要の有/無と、異常発生の有/無とが記憶されている。この管制対象路線ファイル10内の管制有/無と異常発生の有/無の情報も例えば5分毎に最新値に更新される。
【0026】
管制目量メモリ11内には、図6に示すように、各路線3毎に交通管制の管制目標及び誘導量が記憶されている。当然、交通管制を実施する必要のない非管制対象路線の路線3には、管制目標及び誘導量は設定されていない。管制目標とは、各管制対象路線及び隣接する路線の交通量に応じて該当管制対象路線に対する具体的管制指示内容を示し、例えば、「排除」「抑制」「維持」「許容」「解除」の5段階に設定される。
【0027】
誘導量とは、上述した各管制目標を実現するために、該当管制対象路線及び迂回路線に対する具体的な車両の誘導量である。
【0028】
経験式メモリ12には、前記各管制目標のうち具体的動作を伴う「排除」「抑制」「維持」から実際の誘導量を得るための手法を示す具体的な経験式が記憶されている。
【0029】
さらに、この交通管制システム内には、図1に示すように、交通量算出部16、管制対象路線検出部17、異常検出部18、管制目標算出部19、迂回路線選択部20、閉鎖入口指定部21、誘導量算出部22、誘導制御部23、管制評価部24、補正部25等が設けられている。
【0030】
次に、各部16〜25の動作を順番に説明する。
【0031】
交通量算出部16は、各路線3に設置された交通量検出器4から出力された該当路線3を通行する車両の単位時間当りの通行量(車両数)及び各車両の速度と、路線データベース15の該当路線3の距離とから、該当路線3に存在する例えば5分間の平均の存在台数を算出する。また、各車両の速度から例えば5分間の平均速度を算出する。さらに、平均速度から該当路線3の平均の旅行時間を算出する。算出した各路線3における存在台数、旅行時間、平均速度を例えば5分間隔で交通データファイル9に書込む。したがって、前述したように交通データファイル9には常時最新の交通量データが記憶保持されている。
【0032】
管制対象路線検出部17は、交通量データファイル9の各値及び閾値メモリ14の各値を用いて、各路線3毎に、該当路線3が交通管制を実施すべきか否かを判断する。具体的には、図3の交通データファイル9に記憶されている旅行時間が一定期間連続して、図4の閾値メモリ14の該当路線3の時間閾値以上になった場合、及び、存在台数が一定期間連続して、図3の交通データファイル9に記憶されている存在台数が一定期間連続して、図4の閾値メモリ14の該当路線3の台数閾値以上になった場合において、該当路線3を管制対象路線に指定する。管制対象路線を指定したか否かの結果を図5に示す管制対象路線ファイル10へ書込む。
【0033】
異常検出部18は、図3に示す交通データファイル9の各路線3毎の存在台数、旅行時間、平均速度における時間的変化から、該当路線3に、交通事故等の異常が発生しか否かを判定して、管制対象路線ファイル10の対応する路線3の領域に書込む。また、異常が発生した場合、該当路線3内における異常発生位置、閉鎖車線数、閉鎖予想時間を判定し、その情報も該当領域に書込む。そして、この異常が発生した路線3を管制対象路線に指定する。
【0034】
さらに、この異常検出部18は、交通データファイル9内の異常発生位置を含む路線3の上流側の路線3における交通量を監視し、この上流側の路線3の平均速度が予め定められた例えば40km/h等の閾値以下で、かつこの平均速度が低下傾向にある場合、及びこの上流側の路線3の存在台数が予め定められた台数以上で、かつこの存在台数が増加する傾向にある場合は、この上流側の路線3を管制対象路線に指定する。
【0035】
管制目標算出部19は、交通データファイル9の各存在台数、旅行時間、平均時間に基づいて、管制対象路線ファイル10内に設定された各管制対象路線に対して、前述した「排除」「抑制」「維持」「許容」「解除」の各管制目標のうちのいずれかの管制目標を決定して図6に示す管制目標メモリ11へ書込む。
【0036】
具体的には、
「排除」とは、該当管制対象路線内で発生している異常事象発生地点への進入を禁止し、該当管制路線内の存在する全車両を他の路線3又は一般道理へ退出させることを示す。例えば、事故発生等に起因して、通行止めが生じた場合にこの「排除」の管制目標となる。
【0037】
「抑制」とは、該当管制対象路線内における交通量を減少させることを示す。例えば、平均速度が小さい路線が一路線でも隣接しており、該当管制対象路線内における交通量を隣接する路線へ振分けることによる減少させる場合にこの「抑制」の管制目標を設定する。
【0038】
「維持」とは、該当管制対象路線内における現状の交通量を維持することを示す。例えば、隣接する路線の平均速度が該当管制対象路線の平均速度と同等の場合にこの「維持」の管制目標を設定する。
【0039】
「許容」とは、該当管制対象路線内における交通量の増加を許可することを示す。例えば、隣接する路線の交通量が該当管制対象路線の交通量より多い場合に、この「許容」の管制目標を設定する。
【0040】
「解除」とは、該当管制対象路線に対する管制対象を解除することを示す。この解除の条件として、図3の交通データファイル9に記憶されている旅行時間が一定期間連続して、図4の閾値メモリ14の該当路線3の時間閾値未満になった場合、及び、図3の交通データファイル9に記憶されている存在台数が一定期間連続して、図4の閾値メモリ14の該当路線3の台数閾値未満になった場合である。
【0041】
迂回路線選択部20は、図6の管制目標メモリ11に設定された各管制対象路線に設定された「排除」「抑制」「維持」「許容」「解除」のうち、実線に管制を実施する「排除」「抑制」「維持」の各管制目標に対して、データベース8の地図メモリ15の地図情報を用いて
(1) 該当管制対象路線を迂回する全ての迂回路線を抽出する。
(2) 抽出した各迂回路線のうち、迂回路線自体の交通量が閾値メモリ14の閾値を超える迂回路線を除外する。
【0042】
(3) 各迂回路線における合計の旅行時間を算出する。
(4) なお、各迂回路線のうち他の管制対象路線の迂回路線に指定されている場合は、旅行時間を例えば1,3倍等の重み付けを実施する。
(5) 調整後の旅行時間が管制対象路線の旅行時間の1.5倍未満の迂回路線を選択する。
(6) 選択した各迂回路線を、誘導量算出部22へ送出する。
【0043】
誘導量算出部22は、管制対象路線に対する車両の流入量と選択された各迂回路線に対する車両の流入量とを求める。具体的には、
(1) 選択された各迂回路線の各流入量と管制対象路線の流入量が最終的に等しくなるように、管制対象路線及び各迂回路線に対する各誘導量を決定する。この場合、現在時点の管制対象路線における存在台数、旅行時間、平均速度と、現在時点の各迂回路線線における存在台数、旅行時間、平均速度との比の逆数に経験的な係数を乗算して、この各乗算値を管制対象路線及び各迂回路線に対する各誘導量と決定する。
【0044】
すなわち、交通量が少ない迂回路線に対してより大きい誘導量が与えられる。当然、大きい誘導量が与えた交通量が閾値メモリ14の各閾値を上回らない条件を満たす必要がある。
【0045】
(2) 管制対象路線の交通量が閾値メモリ14の各閾値未満になるように、この各閾値を超えた交通量だけ各迂回路線に移動させるように管制対象路線及び各迂回路線に対する各誘導量を決定する。
【0046】
このように、誘導量算出部22は、管制対象路線に対する車両の誘導量と選択された各迂回路線に対する車両の誘導量とを求めるが、この各誘導量は、交通データテーブル9の実際の交通量から経験式に基づいて算出される。
【0047】
この経験式やこの経験式に組込まれた各係数や重み付けは、経験式メモリ12に記憶されている。この経験式メモリ12に記憶されている経験式やこの経験式に組込まれた各係数や重み付けは補正部25にて一定期間経過する毎に最適値に補正される。
【0048】
閉鎖入口指定部21は、管制目標メモリ11に記憶されている各管制対象路線の「抑制」の各管制目標に対応する管制対象路線に入口が存在したとき、下記の手順で入口閉鎖を決定する。
【0049】
(1) 管制対象路線における渋滞発生してい最下流地点を検索する。
【0050】
(2) 検索した地点より上流の入口について、流入量が多い順にソートする。
【0051】
(3) 管制対象路線について、迂回路線への迂回の誘導指示を出力した後に一定期間経過後に、該当管制対象路線の交通量が増加する傾向がある場合において、ソートした順に各入口に対して入口閉鎖の管制指示を誘導制御部23へ送出する。
【0052】
また、閉鎖入口指定部21は、管制目標メモリ11に記憶されている各管制対象路線の「排除」の各管制目標に対応する管制対象路線に入口が存在したとき、該当管制対象路線に異常が発生したので、この異常発生位置から上流側の分岐点2までの各入口に対して入口閉鎖の管制指示を誘導制御部23へ送出する。
【0053】
誘導制御部23は、誘導量算出22で算出した各管制対象路線及び迂回路線に対する車両の流入量を誘導量算出22で算出した各誘導量に制御する。
【0054】
具体的には、迂回路線と管制対象路線との分岐点2近傍に設置された電光掲示板5を用いて、該当分岐点2から迂回路線又は管制対象路線へ進入しようとする各車両に対して、各誘導量に対応した時間割合で迂回路線又は管制対象路線への誘導通知を実施するようにしている。例えば、5分間のうち、3分間は各車両を電光掲示板5で迂回路線へ誘導し、2分間は各車両を同一電光掲示板5で管制対象路線へ誘導する。したがって、管制対象路線と迂回路線とに車両の流入量が分散され、管制対象路線の渋滞は解消される。
【0055】
さらに、分岐点2近傍の電波発信源からこの分岐点2近傍のみ届く電波を発信して、分岐点2から迂回路線又は管制対象路線へ進入しようとする各車両のナビゲーション・シシテムに割込をかけ、このナビゲーション・シシテムに上述した電光掲示板と同一内容を表示させることも可能である。
さらに、誘導制御部23は、閉鎖入口指定部21から入口閉鎖指定された道路網1の入口に対して閉鎖指令を送出する。
【0056】
管制評価部24は、誘導量算出部22から出力された各誘導量及び閉鎖入口指定部21から出力された入口閉鎖指定を取込む。さらに、管制評価部24は、上記各誘導量及び入口閉鎖に対する管制対象路線及び迂回路線の実績の交通量を検出する。
【0057】
具体的には、管制開始から管制終了までの間、前記5分間隔で、交通データファイル9の各路線3における存在台数、旅行時間、平均速度を採取する。さらに、管制対象路線ファイル10から、管制対象路線の管制実施時間を採取する。そして、今回の管制制御処理に対する評価を点数で評価する。管制実施時間が短いほど高点数で、道路網1全体の存在台数が減少しているほど高点数で、各路線毎の旅行時間が短いほど高点数である。
【0058】
このように、管制評価部24においては、交通データファイル9の管制対象の交通量に対して実施された誘導制御に対する評価結果が得られる。そして、管制評価部24は、この管制対象の交通量と誘導制御と評価結果との関係から、管制対象の交通量から最良の評価結果が得られる誘導制御を、例えばニューラルネットワーク手法を用いて学習する。
【0059】
その学習結果に基づいて、経験式メモリ12に記憶されている経験式やこの経験式に組込まれた各係数や重み付けを、補正部25を介して補正する。
【0060】
なお、この管制評価部24は、例えば30分に1回等のように、所定量の実績データが収集できた時点で実施される。
【0061】
このように構成された交通管制システムの全体動作を図7に示す流れ図に従って説明する。
例えば、5分等の単位時間T1が経過すると(S1)、交通量算出部16が起動して、各路線3の存在台数、旅行時間、平均速度からなる交通量を求めて交通データファイル9へ書込む(S2)。異常検出部18が各路線3の存在台数、旅行時間、平均速度から交通事故等の異常発生の有無を判断する(S3)。
【0062】
次に、管制対象路線検出部17が起動して、交通データファイル9の各交通量及び異常検出部18の異常発生有無情報に基づいて、管制対象路線の有無を判断して存在しなければ(S4)、S1へ戻り、次の5分等の単位時間T1が経過するのを待つ。
【0063】
管制対象路線が存在知すれば、各管制対象路線を管制対象路線ファイル10へ設定する。そして、管制目標算出部19が起動して、各管制対象路線の管制目標を設定して、管制目標メモリ11へ書込む(S5)。各管制対象路線の管制目標が定まると、管制手法設定処理を実施する(S6)。この管制手法設定処理においては、迂回路線選択部20で迂回路線を選択し誘導量算出部22で管制対象路線と迂回路線に対する誘導量を決定すると共に、閉鎖入口指定部21で、必要な入口の入口閉鎖指示を決定する。そして、誘導制御部32で、各管制対象路線及び迂回路線に流入する各車両に対する誘導制御を実施する(S7)。
【0064】
そして、例えば、前回から30分等の規定期間T2が経過していなければS1へ戻る、前回から30分等の規定期間T2が経過すると、管制評価部24及び補正部25が起動して、実施した誘導制御の評価を行い、誘導量を求める経験式を改良する(S9)。
【0065】
このように構成された交通管制システムにおいては、交通量に応じて管制目標が設定され、管制目標に応じて該当管制対象路線に対する迂回路線が選択される。そして、管制対象路線と迂回路線とに対する車両の各誘導量が算出されて、誘導制御される。したがって、管制対象路線と迂回路線とに車両の流入量が分散されるので、管制対象路線の渋滞が解消されるとともに、迂回路線においても渋滞は発生しない。
【0066】
このような交通管制システムの実際の応用例を図8〜図12を用いて説明する。図8は首都高速道路網からなる道路網1であり、道路網1は分岐点2で複数の路線3に分割される。今、上方の出発地30から下方の目的地31まで車両で移動するとする。
【0067】
渋滞が発生していない場合、図9に示すように、最短、又は最小時間の太い実線で示す通常ルート32を経由して目的地31へ向かう。ここで、図10に示すように、通常ルート32上の路線33に渋滞が発生すると、この渋滞が発生した各路線33が管制対象路線となり、図11に示すように、Aの分岐点2から渋滞発生した各路線33を迂回する迂回経路34を選択する。この場合、渋滞発生した各路線33を通行する場合に比較して1.5倍の旅行時間を要する迂回経路は迂回対象外とする。
【0068】
但し、図11で選択した迂回経路34においては、Cの分岐点2から目的地31までの路線3に交通量が集中して新たな渋滞が発生する可能性がある。この場合m、図12に示すように、Bの分岐点2より先の交通量も考慮して、Bの分岐点2より新たな別の迂回路線35を選択する。
【0069】
したがって、この例においては,Aの分岐点2とBの分岐点2との2カ所において、電光表示板を用いて各車両に対して誘導指示を示すことになる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の交通管制システムにおいては、道路網を分岐点で複数の路線に分割し、各路線毎に交通量を検出し、渋滞発生等の管制対対象路線と迂回路線とに対する車両の誘導量を個別に制御している。
【0071】
したがって、車両の流れが管制対対象路線と迂回路線とに分散され、確実に渋滞等を解消でき、道路網全体における車両の流れをより一層円滑化することができる。
【0072】
また、管制制御した結果を評価して、その評価結果を誘導量算出にフィードバックしている。よって、この交通管制システムを長期間稼働することによって、より一層管制精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる交通管制システムの概略構成を示すブロック図
【図2】同交通管制システム内に形成された路線データベースの記憶内容を示す図
【図3】同交通管制システム内に形成された交通データベースの記憶内容を示す図
【図4】同交通管制システム内に形成された閾値メモリの記憶内容を示す図
【図5】同交通管制システム内に形成された管制対象路線ファイルの記憶内容を示す図
【図6】同交通管制システム内に形成された管制目標メモリの記憶内容を示す図
【図7】同交通管制システムの全体動作を示す流れ図
【図8】同交通管制システムが適用される道路網を示す図
【図9】同道路網における渋滞が発生していない通常のルートを示す図
【図10】同道路網における渋滞が発生している状態を示す図
【図11】同道路網における渋滞が発生している路線に対する迂回路線を示す図
【図12】同道路網における渋滞が発生している路線に対するさらに別の迂回路線を示す図
【符号の説明】
1…道路網
2…分岐点
3…路線
4…交通量検出器
5…電光掲示板
8…データベース
9…交通データファイル
10…管制対象路線ファイル
16…交通量算出部
17…管制対象路線検出部
18…異常検出部
19…管制目標算出部
20…迂回路線選択部
22…誘導量算出部
23…誘導制御部
24…管制評価部

Claims (2)

  1. 道路網を複数の路線に分割した場合の各路線の交通量を検出する交通量検出手段と、
    この交通量検出手段で検出された各路線の交通量に基づいて、前記複数の路線のなかから交通管制の実施が必要な管制対象路線を検出する管制対象路線検出手段と、
    この検出された管制対象路線における、当該管制対象路線への車両の進入禁止及び当該管制対象路線内の全車両の他の路線への排除を示す「排除」、当該管制対象路線へ進入車両の一部の他の路線への誘導を示す「抑制」、当該管制対象路線に対する車両の進入退出の制限を実施しないことを示す「維持」、当該管制対象路線に対する他の路線からの誘導許容を示す「許容」、当該管制対象路線に対する交通管制の解除を示す「解除」の各交通量に応じた管制目標を決定する管制目標決定手段と、
    この管制目標決定手段における「排除」、「抑制」の管制目標の決定に応じて、該当する管制対象路線に対する1つ又は複数の迂回路線を選択する迂回路線選択手段と、
    前記「排除」の管制目標決定に応じて、当該管制対象路線に対する閉鎖入口指定を行う閉鎖入口指定手段と、
    前記「抑制」の管制目標決定に応じて、前記選択された迂回路線に対する車両の誘導量及び前記管制対象路線に対する車両の各誘導量を経験式を用いて算出する誘導量算出手段と、
    前記「抑制」の管制目標決定に応じて、前記迂回路線と前記管制対象路線との分岐点近傍において、該当分岐点から前記迂回路線又は前記管制対象路線へ進入しようとする各車両に対して、前記算出した各誘導量に対応した時間割合で迂回路線又は管制対象路線への誘導通知を実施する誘導制御手段と
    を備えた交通管制システム。
  2. 前記誘導制御手段による車両の流入量の制御を実施した後における前記管制対象路線と迂回路線における前記交通量検出手段で得られる実績の交通量に基づいて、前記算出された誘導量を評価する管制評価手段と、
    この管制評価手段の評価に基づいて前記誘導量算出手段における経験式を補正する補正手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の交通管制システム。
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