実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る放送受信記録装置の構成を概略的に示すブロック図である。図1に示されるように、実施の形態1の放送受信記録装置は、放送電波(放送信号)を受信するアンテナ1と、受信する放送信号のチャンネルを設定(選択)するチューナ2と、チューナ2からの出力信号の復調を行いチューナ2で選択されたチャンネルの番組の映像信号を生成する復調部3と、復調された映像信号をデジタルデータに変換するA/D(アナログ/デジタル)変換部4と、デジタルデータに変換された映像信号を、例えば、MPEG2方式等の符号化によってデータ圧縮するエンコーダ5と、エンコーダ5の出力信号をMPEG2方式のプログラムストリーム(PS:Program Stream)やトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)等のデータ構造に変換する記録信号処理部6とを有する。また、実施の形態1の放送受信記録装置は、例えば、IDE(Integrated Device Electronics)規格等のドライブインターフェース7と、ランダムアクセス可能な記録媒体、例えば、ハードディスクや光ディスク(DVD)等に対するランダムなデータ読み書きが可能なディスクドライブ8とを有する。さらに、実施の形態1の放送受信記録装置は、ディスクドライブ8に記録されたPS又はTSフォーマットの信号から映像及び音声のデータを分離抽出する再生信号処理部9と、再生信号処理部9で生成された映像信号をデコード(復号)するデコーダ10と、復号されたデジタル映像信号をアナログに変換するD/A(デジタル/アナログ)変換部11と、テレビモニタ等へ映像音声信号を出力するための出力部12とを有する。さらにまた、実施の形態1の放送受信記録装置は、装置全体を制御する制御部13と、視聴者が扱う操作部としてのリモコン15からの赤外線パルスを受光して、受光した赤外線パルスに対応する電気信号を制御部13に与える受光部14とを有する。
アンテナ1で受信された放送電波は、チューナ2によって選択されているチャンネルに基づいて選択抽出される。チャンネルの選択は、例えば、リモコン15から入力されたチャンネル選択情報を受光部14経由で受け取った制御部13からの制御信号に基づいて行われる。チューナ2から出力される信号は、復調部3によって復調され、その結果、映像信号が生成される。復調部3によって生成された映像信号は、A/D変換部4でデジタルデータに変換される。変換されたデジタルデータは、エンコーダ5によって圧縮され、記録信号処理部6によってディスクドライブ8に記録可能なデータ構造、例えば、TS又はPS等のデータ構造に変換される。ここで、TS信号は、通信メディアを考慮したデータ構造を有し、PS信号は、パッケージメディアを考慮したデータ構造を有する。なお、ディスクドライブ8に記録されるデジタルデータのデータ構造は、音声及び映像をハードディスク等の記録媒体に記録できるデータ構造であれば、TS又はPS等の規格に準ずるものである必要はない。また、記録信号処理部6は、デジタルデータを、ドライブインターフェース7に入力させることができる信号形式に変換するための処理も行う。制御部13の制御により、記録されるべき放送番組データはドライブインターフェース7を介してディスクドライブ8へ記録される。
実施の形態1の放送受信記録装置において、制御部13は、以下のような制御を行う。ディスクドライブ8への放送番組データの記録中(録画中)にチューナ2により選択されるチャンネルが変更された場合に、制御部13は、チャンネル変更直前のチャンネルの放送番組データの記録時間が予め設定された基準時間R0以下であるか否かを判定し、この記録時間が基準時間(所定時間)R0以下であると判定された放送番組データをディスクドライブ8から削除させる。このような制御により、ディスクドライブ8による放送番組データの記録中にチューナ2により設定されるチャンネルが変更された場合に、記録時間が基準時間R0以下である放送番組データを(短時間しか録画されなかったので、記録の必要性の低い放送番組であると判断して)自動的に削除するので、視聴者にとって有用な放送番組データのみをディスクドライブ8に残し、再生した画像を視聴する視聴者は、自身にとって不要な放送番組データを視聴しないで済むという利点がある。
また、チャンネル変更直前のチャンネルの放送番組データの記録時間が基準時間R0以下であるか否かの判定は、通常は、チャンネル変更直後に実行するが、判定時期はチャンネル変更直後に限定されない。また、放送番組データのディスクドライブ8からの削除は、通常は、チャンネル変更直後に実行させるが、削除時期はチャンネル変更直後に限定されない。しかし、チャンネル変更直後に不要な放送番組データを削除すれば、タイムシフト再生又はタイムシフト録画のように録画後の早い時期に再生画像を視聴する録画再生モードであっても、視聴者は自身にとって不要な放送番組データを確実に視聴しなくて済むという利点がある。
さらに、制御部13は、基準時間R0の変更指令信号を、例えば、リモコン15から受光部14を経由して受け取り、受け取った変更指令信号に基づいて基準時間R0を変更することができるように構成されている。このように、ディスクドライブ8に残すべき放送番組データであるか、削除すべき放送番組データであるかの判定基準である基準時間R0を視聴者の操作によって自由に変更可能とすることにより、削除せずにディスクドライブ8に残すべき放送番組データの記録時間を視聴者の好みに応じて変えることができる。
次に、実施の形態1の放送受信記録装置の動作を詳細に説明する。ここでは、視聴者がリモコン15を操作することにより、タイムシフト録画が開始された場合について説明する。ここで、タイムシフト録画とは、録画動作が指令されていないときであっても、予め設定された一定時間の放送番組データがディスクドライブ8に保持されるように現時点の放送番組データを記録し続け、視聴者が現在視聴している放送番組は記録された放送番組データをディスクドライブ8から順次読み出したデータに基づくものであり、現在視聴している放送番組よりも時間を遡った番組の視聴を可能にする再生録画方法である。したがって、放送受信記録装置においてタイムシフト録画が開始されると、放送番組データは逐次ディスクドライブ8へ記録され、これと並行して、視聴者は、図示しないテレビモニタにより、出力部12から出力される再生信号に基づく映像及び音声を視聴する。ここで、視聴者がリモコン15によってチューナ2で選択されるチャンネルの変更を指示すると、制御部13は、受光部14を経由してその指示を受け取り、チューナ2を制御する。これによって、今まで視聴していたチャンネルの放送番組の信号ではなく、新たに選択されたチャンネルの放送番組の信号が復調部3へ入力されることになり、結果的に、ディスクドライブ8へは新たに選択されたチャンネルの放送番組データが記録されることになり、また、視聴者は新たに選択されたチャンネルの放送番組を視聴することになる。
図2は、ディスクドライブ8上の論理的なデータ空間を示す説明図である。図2に示される例では、視聴者は時刻t0でチャンネルを変更して番組Aの録画及び視聴を開始し、時刻t1でチャンネルを変更して番組Bの録画及び視聴を開始し、その後、番組Bの録画及び視聴を継続した場合のデータ空間を示している。図2に示されるように、チャンネルが変更されると、録画情報は論理的に別のデータとして記録される。図2は論理的なデータ空間を示すものであり、番組Aのデータと番組Bのデータとが連続した領域を占めている場合を示しているが、番組Aのデータと番組Bのデータとがディスクドライブ8上で物理的に連続している必要はない。図2に示される例では、不要録画情報は、番組Aのデータになる。
図3は、ディスクドライブ8上に記録されている番組を管理するための記録情報管理テーブルの説明図である。図3の左側には、記録情報管理テーブルが示されており、図3の右側には、領域情報の一例が示されている。図3に示される記録情報管理テーブルはタイムシフト録画を開始した時点で制御部13の指示により生成され、ディスクドライブ8の所定領域へ記録される。また、チャンネルの変更に追従して、記録情報管理テーブルは更新される。ここで、タイムシフト録画中にチャンネルを番組Aのチャンネルから番組Bのチャンネルへと変更した場合の領域情報が、管理(1)の領域情報20である。
図3の右側に示されるように、管理(1)の領域情報20は、チャンネル変更によって発生する記録履歴情報が記憶される記録状態情報22と、ディスクドライブ8内の番組A及び番組Bのデータの位置情報と大きさ情報から構成されるマップ情報23,24とから構成される。記録状態情報22には、番組Aと番組Bが記録されていることが記憶されている。マップ情報23,24は、制御部13が所望の番組データを制御する場合に必要になる。
図4は、実施の形態1の放送受信記録装置におけるタイムシフト録画の概要を示すフローチャートである。図4に示されるように、タイムシフト録画が開始されると、設定されているチャンネルの放送番組データが逐次ディスクドライブ8に記録される(ステップS1)。制御部13は、設定されたチャンネルの放送番組データが逐次ディスクドライブ8に記録されている最中において、チャンネル変更が実施されたかどうかを判定する(ステップS2)。ここで、チャンネル変更が発生しなければ録画処理を続行する。チャンネル変更が発生した場合には、チャンネル変更直前のチャンネルの番組を予め決められた基準時間R0より長く視聴したかどうかを、マップ情報に基づいて判定する(ステップS3)。ここで、「チャンネル変更直前のチャンネルの番組を予め決められた基準時間R0より長く視聴したかどうか」とは、実際に視聴者が映像を視聴した時間を意味するものではなく、「チャンネル変更直前のチャンネルを予め決められた基準時間R0より長く設定し続けたかどうか」又は「チャンネル変更直前のチャンネルの番組を予め決められた基準時間R0より長く記録したかどうか」と同じ意味である。チャンネル変更直前のチャンネルの番組を基準時間R0より長く記録したと判定された場合には、引き続き録画処理を続行し、チャンネル変更直前のチャンネルの番組を基準時間R0以下しか記録していないと判定された場合には、チャンネル変更直前の番組を不要な録画情報であるとして削除する(ステップS4)。なお、録画開始後において、上記ステップS2〜S4の処理を繰り返すので、不要な録画情報を削除した後も、引き続き録画処理は実行される。
図5に、実施の形態1の放送受信記録装置におけるタイムシフト録画の詳細を示すフローチャートである。図5に示されるように、タイムシフト録画が開始されると、チューナ2で設定されたチャンネルの放送番組データが逐次ディスクドライブ8に記録され(ステップS1)、制御部13は図示しない内蔵のタイマーを起動するとともに、予め用意した視聴フラグをオフ(OFF)に設定する(ステップS11)。視聴フラグは、視聴者がチャンネル変更をせずに基準時間R0より長く視聴した場合に、オン(ON)に設定される。ここで、「視聴者がチャンネル変更をせずに基準時間R0より長く視聴した場合」とは、実際に視聴者が映像を視聴した時間を意味するものではなく、「チャンネル変更をせずに基準時間R0より長くチャンネルが設定されていた場合」又は「チャンネル変更をせずに基準時間R0より長く記録された場合」と同じ意味である。また、視聴フラグは、制御部13が書き換え可能な図示しないメモリ上に記憶する。録画が開始されるにあたり、視聴者がリモコン15によって、タイムシフト録画を終了する指示を装置に送った場合には(ステップS12)、制御部13は録画中であっても録画を終了するように制御を行う(ステップS17)。タイムシフト録画が開始され、視聴中の放送番組データを逐次ディスクドライブ8に記録している最中に、チャンネル変更が発生したかどうかを監視する(ステップS2)。チャンネル変更が無い場合には録画処理を継続する。
図6は、図5のステップS2及びS12を繰り返す過程において制御部13が実施する割り込み処理を示すフローチャートである。制御部13は、ステップS11においてスタートしたタイマーの計測時間が基準時間R0に達した時点で視聴フラグをONに設定する(ステップS30)。視聴フラグがONであるということは、視聴者が視聴中の番組を基準時間R0より長く見続けたこと、即ち、設定されたチャンネルが基準時間R0より長く設定され続けたことを意味する。割り込み処理では、視聴フラグをONにした後、タイマー割り込み処理を終了する(ステップS31)。なお、ここで起動するタイマーは、予め決めた基準時間R0を測定し、その基準時間R0に達した時点で制御部13に内蔵するCPUに割り込み処理がかかる。
図5のステップS2においてチャンネル変更が発生した場合には、視聴フラグがOFFであるか否かを判定する(ステップS13)。視聴フラグがON、即ち、チャンネル変更直前のチャンネルを基準時間R0より長く設定していた場合には、そのまま録画処理を継続する。一方、視聴フラグがOFF、即ち、チャンネル変更直前のチャンネルを基準時間R0より長く設定していない場合には、チャンネル変更直前のチャンネルの番組データを削除する(ステップS14)。不要な録画番組の削除によってディスクドライブ8上のデータの配列も変化することになるので、記録情報管理テーブルを変更する(ステップS15)。そして、起動しているタイマーを無効にし、新たなタイマースタートに備える(ステップS16)。
次に、図3に示される記録情報管理テーブルの変更方法について説明する。図7は、ディスクドライブ8の論理的なデータ空間から不要な録画番組Aのデータが削除される場合を示す説明図である。ここで、「削除する」とは、ディスクドライブ8に記録された番組Aのデータを、読み出しできない状態に変更することを意味する。図3に示される記録情報管理テーブル内にある記録状態情報22においては、番組A及び番組Bをディスクドライブ8に記録していることを記憶しているが、番組Aを削除する場合には、番組Bのみをディスクドライブ8に記録していることを記憶するように変更する。さらに、図3に示される番組Aの領域情報23は削除され、図3に示される番組Bの領域情報24のみが残される。このような処理によって、元々、番組Bのチャンネルのみを選択していたようにディスクドライブ8上に録画情報が記録される。
次に、録画された番組データを再生する場合について説明する。再生にあたっては、視聴者がリモコン15によって該当の録画番組を再生する指示を制御部13へ送る。制御部13では、ディスクドライブ8上の記録情報管理テーブル内にある領域情報を読み取り、再生するべき番組データのディスクドライブ8上の位置を解析する。実施の形態1においては、番組Bが対象となる。番組データのディスクドライブ8上の位置が分かった後は、制御部13はディスクドライブ8から該当する番組データを読み出し、再生信号処理部9へ渡すようにドライブインターフェース7を制御する。再生信号処理部9では、ディスクドライブ8に記録されたPS又はTSフォーマットの信号から映像データ及び音声データを分離抽出する。生成されたデータは圧縮されたデータであるのでデコーダ10にて伸張を行い、D/A変換部11でアナログ信号に変換される。アナログ信号になった映像信号は出力部から出力されてテレビモニタに映し出される。結果的には、視聴者は、短時間だけチャンネル選択されていた番組Aについては視聴することなく、番組Bだけを視聴することができる。
なお、図1から図7までを用いた上記説明においては、予め決められた基準時間R0内にチャンネル変更した番組について録画データの削除を実施しているが、基準時間R0については視聴者が任意に設定変更できるようにしてもよい。
また、図1から図7までを用いた上記説明においては、アナログ放送番組のタイムシフト録画について説明したが、デジタル放送番組においても同様の制御によって不要な録画番組を自動的に削除することができる。デジタル放送の場合には、チューナ2をデジタルチューナに置き換え、復調部3、A/D変換部4、及びエンコーダ5をデジタル復調部に置き換え、不要番組の自動削除のために図4、図5、及び図6に示される処理を実行すればよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、チャンネルの変更が発生した時にチャンネル変更直前のチャンネルの放送番組データについての判定及び削除を実行していたが、実施の形態2では、チャンネル変更直前のチャンネルについての判定及び削除が必ずしもチャンネル変更毎に実行されない。実施の形態2では、設定されたチャンネルが予め決められた第2の基準時間R2以上継続して設定され続けた場合に、例えば、判定及び削除を実施し、それまでに記録した番組データのうち不要であると判断したものを、まとめて削除する場合を説明する。なお、実施の形態2の放送受信記録装置の説明においては、図1のブロック図をも参照する。
実施の形態2の放送受信記録装置においては、制御部13が以下のような制御を行う。制御部13は、ディスクドライブ8への放送番組データの記録中に、チューナ2により設定されるチャンネルが変更された場合に、チャンネル変更直前のチャンネルの放送番組データの記録時間が予め設定された第1の基準時間R1以下であるか否かを判定する。また、制御部13は、ディスクドライブ8による放送番組データの記録中に、現在のチャンネルへのチャンネル変更時点から現時点までの放送番組データの記録時間が予め設定された第2の基準時間R2に達したか否かを判定する。さらに、制御部13は、現在のチャンネルへのチャンネル変更時点から現時点までの放送番組データの記録時間が第2の基準時間R2に達したと判定された場合には、記録時間が第1の基準時間R1以下であると判定されている放送番組データをディスクドライブ8から削除させる。このような制御により、ディスクドライブ8による放送番組データの記録中にチューナ2により設定されるチャンネルが変更された場合に、記録時間が予め設定された第1の基準時間R1以下である放送番組データを自動的に削除するので、視聴者にとって有用な放送番組データのみをディスクドライブ8に残し、再生時に視聴者は自身にとって不要な放送番組データを視聴しないで済むという利点がある。また、不要な番組情報をまとめて削除するので、繰り返しチャンネル変更した場合であっても、頻繁に記録媒体をアクセスし録画及び削除処理を繰り返す必要がなくなる。
また、記録時間が第1の基準時間R1以下であると判定された放送番組データの中に、記録時間が第2の基準時間R2に達したと判定された放送番組データと同じチャンネルの放送番組データがある場合には、記録時間が第2の基準時間R2に達したと判定された放送番組データと同じチャンネルの放送番組データを削除させないように制御してもよい。このような制御により、第2の基準時間R2より長く記録された番組と同じチャンネルの番組については第1の基準時間R1以下の記録時間であっても、記録媒体から削除しないので、視聴者にとって有効な番組まで削除しなくて済む利点がある。
さらに、現在のチャンネルへのチャンネル変更時点から現時点までの放送番組データの記録時間が第2の基準時間R2に達したと判定された場合に、ディスクドライブ8から削除されなかった複数の放送番組データを1つの放送番組データとして再生できるように、複数の放送番組データを関連付ける情報を保持するように制御することもできる。このような制御により、削除の対象とならなかった番組情報を連続して再生でき、視聴者が視聴したい番組情報のみを連続して視聴することができる。
さらにまた、第1の基準時間R1の変更指令信号及び第2の基準時間R2の変更指令信号の少なくともいずれか一方を受け取り、受け取った変更指令信号に基づいて第1の基準時間R1又は第2の基準時間R2を変更するように構成することもできる。このような制御により、所定時間継続して視聴したことを判定する際に使用する第2の基準時間R2を、視聴者が任意に設定できるので、削除せずにディスクドライブ8に残すべき放送番組データの記録時間を視聴者の好みに応じて変えることができる。
図8は、ディスクドライブ8上の論理的なデータ空間を示す説明図である。図8に示される例は、時刻t0でチャンネルを変更して番組Aの録画及び視聴を開始し、次に時刻t1でチャンネルを変更して番組Bの録画及び視聴を開始し、次に時刻t2でチャンネルを変更して番組Cの録画及び視聴を開始し、次に時刻t3でチャンネルを変更して番組Dの録画及び視聴を開始し、番組Dを比較的長い時間録画及び視聴した場合である。図8に示されるように、チャンネルが変更されると、録画情報は論理的に別のデータとして記録される。図8は論理的なデータ空間を示すものであり、番組Aのデータ50、番組Bのデータ51、番組Cのデータ52、及び番組Dのデータ53が連続した領域を占めている場合を示しているが、これらの各データがディスクドライブ8上で物理的に連続している必要はない。図8に示される例では、不要録画情報は、番組A、番組B、及び番組Cのデータ50,51,52である。
図9は、ディスクドライブ8上に記録されている番組を管理するための記録情報管理テーブルの説明図である。図9の左側には、記録情報管理テーブルが示されており、図9の右側には、領域情報の一例が示されている。図9に示される記録情報管理テーブルはタイムシフト録画を開始した時点で制御部13の指示により生成され、ディスクドライブ8の所定領域へ記録される。また、チャンネルの変更に追従して、記録情報管理テーブルは更新される。ここで、タイムシフト録画中にチャンネルを番組A、番組B、番組C、番組Dの順で切り替えた場合の領域情報が、管理(1)の領域情報60である。
図9の右側に示されるように、管理(1)の領域情報60は、チャンネル変更によって発生する記録履歴情報が記憶される記録状態情報62と、ディスクドライブ8内の番組A、番組B、番組C,番組Dのデータの位置情報と大きさ情報から構成されるマップ情報63〜66とから構成される。記録状態情報62には、番組A、番組B、番組C,番組Dが記録されていることが記憶されている。マップ情報63〜66は、制御部13が所望の番組データを制御する場合に必要になる。マップ情報には、基準時間以上視聴したかどうかを判定できる情報、例えば視聴時間も記録されている。
図10は、実施の形態2の放送受信記録装置におけるタイムシフト録画の概要を示すフローチャートである。図10に示されるように、タイムシフト録画が開始されると、設定されているチャンネルの放送番組データが逐次ディスクドライブ8に記録される(ステップS50)。制御部13は、設定されたチャンネルの放送番組データが逐次記録されている最中において、チャンネル変更が実施されたかどうかを判定する(ステップS51)。ここで、チャンネル変更が発生しなければ録画処理を続行する。チャンネル変更がされた場合には、既に過去に記録されていた不要番組情報を削除するための削除条件を設定する(ステップ52)。ここで、「削除条件を設定する」とは、チャンネルを変更しないで継続してチャンネルを設定していた時間が第1の基準時間R1を越えたことを通知する機能を持たせることである。ステップ52で削除条件が設定された後は、例えば、制御部13内の図示しないタイマーが起動され、第1の基準時間R1を計測した後にチャンネル変更がなされない場合には、削除条件を満たしたこととする。チャンネル変更がない場合には、削除条件の設定は行わない。次に、不要録画情報の削除処理を実行するための削除条件が満たされたか否かを判定する(ステップS53)。ここで、不要録画情報の削除処理を実行するための削除条件が満たされている場合には、該当する録画情報を削除処理する(ステップS54)。
図11は、実施の形態2の放送受信記録装置におけるタイムシフト録画の詳細を示すフローチャートである。図11に示されるように、タイムシフト録画が開始されると、設定されたチャンネルの放送番組データが逐次ディスクドライブ8に記録される(ステップS50)。また、予め用意した削除フラグとタイマーフラグをOFFに設定する(ステップS50)。これらのフラグは、制御部13が書き換え可能な図示しないメモリ上に記憶する。録画が開始されるにあたり、視聴者がリモコン15によって、タイムシフト録画を終了する指示を装置に送った場合には、録画中であっても録画を終了するように制御を行う(ステップS67)。タイムシフト録画が開始され、チャンネル設定されている番組を逐次記録している最中に、チャンネル変更が発生した場合には、不要録画情報の削除条件の設定処理を行う(ステップS52)。ステップS52では、タイマーフラグがONであるかどうか判定する(ステップS61)。このタイマーフラグは制御部13が持つタイマーを起動しているかどうかを記憶しておくものである。従って、視聴者によってチャンネル変更が第1の基準時間R1内に繰り返される場合には、タイマーを一旦無効にし(ステップS62)、2重にタイマーが起動されないようにする。次にタイマーをスタートする(ステップ63)。つまり、チャンネル変更がなされる度に、タイマーは新規にスタートすることになる。なお、ここで起動するタイマーとしては、実施の形態1と同様、予め決めた基準時間を測定し、その基準時間に達した時点で制御部13は対応する割り込み処理に入る。
図12は、チャンネルが設定されている時間が第2の基準時間R2に達した時点で制御部13が実施する割り込み処理を示すフローチャートである。ここでは、図8に示されるように、時刻t0でチャンネルを変更して番組Aの録画及び視聴を開始し、次に時刻t1でチャンネルを変更して番組Bの録画及び視聴を開始し、次に時刻t2でチャンネルを変更して番組Cの録画及び視聴を開始し、次に時刻t3でチャンネルを変更して番組Dの録画及び視聴を開始し、番組Dを比較的長い時間視聴した場合について説明する。番組Dの視聴時間が、第2の基準時間R2に達した時点でタイマーからの割り込み通知を制御部13が受け取ると、削除フラグをONにセットする(ステップS70)。これにより、不要録画番組を削除できる条件が満たされる。次に、起動したタイマーを無効にするために、タイマーの機能を停止するとともに、タイマーフラグをOFFにセットする(ステップS71)。そして、ステップS72で割り込み処理を終了する。
前述のタイマー割り込み処理の結果、削除フラグがONにセットされることになり、ステップS64の判定によって不要録画番組が削除される(ステップS65)。不要録画番組の削除によってディスクドライブ8上のデータの配列も変化することになるので、記録情報管理テーブルを変更する(ステップS66)。
次に、図9に示される記録情報管理テーブルの変更方法について説明する。図13は、不要録画番組データが番組A、番組B、番組Cのデータ50,51,52が削除され、番組Dのデータ53が残される場合を示す説明図である。ここで、「削除する」とは、ディスクドライブ8に記録された番組A、番組B、番組Cのデータ50,51,52を、読み出しできない状態に変更することを意味する。図9に示される記録情報管理テーブル内にある記録状態情報62では、番組A、番組B、番組C、番組Dをディスクドライブ8に記録していることを記憶しているが、番組A、番組B、番組Cを削除する場合には、番組Dのみをディスクドライブ8に記録していることを記憶するように変更する。さらに、図9に示される番組Aのマップ情報63、番組Bのマップ情報64、番組Cのマップ情報65は削除され、図9に示される番組Dの領域情報66のみが残される。このような処理によって、元々、番組Dのみを視聴していたようにディスクドライブ8上に録画情報が記録される。
図14は、実施の形態2の放送受信記録装置におけるディスクドライブの論理的なデータ空間から不要な録画番組のデータが削除される場合(第2の例)を示す説明図である。また、図15は、実施の形態2の放送受信記録装置おける不要録画番組データ削除時のディスクドライブ8上の論理的なデータ空間を示す説明図である。図14は、番組Dのチャンネルを第2の基準時間R2以上設定し続けて番組A,B,Cのデータ50,51,52を削除してから、番組Eのチャンネルを第1の基準時間R1以下設定し、番組Fのチャンネルを第2の基準時間R2以上設定した場合の論理的なデータ空間を示している。また、図14は、既に番組Aのマップ情報63、番組Bのマップ情報64、番組Cのマップ情報65は既に削除されている場合を示している。この場合には、削除対象の放送番組データは番組Eのデータ54である。従って、番組Eのデータ54が図14に示すデータ空間から削除されることとなる。それに伴い、記録情報管理テーブル内にある記録状態情報62は、番組Dと番組Fを記録していることを記憶するように変更される。番組Eのデータ54の削除、及び、記録情報管理テーブルの変更のタイミングは、番組Fのチャンネルを第2の基準時間R2以上設定していたと判定された後である。
次に、録画された番組データを再生する場合について説明する。再生にあたっては、視聴者がリモコン15によって該当の録画番組を再生する指示を制御部13へ送る。制御部13では、ディスクドライブ8上の記録情報管理テーブル内にある領域情報を読み取り、再生するべき番組データのディスクドライブ8上の位置を解析する。実施の形態2においては、番組D及び番組Fが再生対象となる。番組データの位置が分かった後は、制御部13はディスクドライブ8から該当する番組データを読み出し、再生信号処理部9へ渡すようにドライブインターフェース7を制御する。このとき制御部13は、記録情報管理テーブル内にある領域情報によって、番組Dと番組Fを時間的な境界なくひとつの番組として読み出し制御を行う。再生信号処理部9では、ディスクドライブ8に記録されたPS又はTSフォーマットの信号から映像と音声のデータを分離抽出する。生成されたデータは圧縮されたデータであるのでデコーダ10にて伸張を行い、D/A変換部11でアナログ信号に変換される。アナログ信号になった映像信号は出力部から出力されてテレビモニタに映し出される。結果的には視聴者は、短時間だけチャンネル選択されていた番組A、番組B、番組C、及び番組Eについては視聴することなく、番組Dと番組Fだけを視聴することができる。
なお、図1、図8から図15までを用いた上記説明においては、予め決められた第1の基準時間R1内にチャンネル変更した番組について削除を実施しているが、第1の基準時間R1については視聴者が任意に設定変更できるようにしてもよい。
また、図1、図8から図15までを用いた上記説明においては、アナログ放送番組のタイムシフト録画について説明したが、デジタル放送番組においても同様の制御によって不要な録画番組を自動的に削除することができる。デジタル放送の場合には、チューナ2をデジタルチューナに置き換え、復調部3、A/D変換部4、及びエンコーダ5をデジタル復調部に置き換え、不要番組の自動削除のために、図10、図11、及び図12に示される処理を実行すればよい。
また、図1、図8から図15までを用いた上記説明においては、記録情報管理テーブル内のマップ情報に視聴時間を記憶させたが、マップを生成する際に視聴時間が第1の基準時間R1より長いか否かの判定結果を記憶させてもよい。
また、図1、図8から図15までを用いた上記説明においては、番組A、B、C、D、E、Fがすべて別のチャンネルの番組であると仮定して説明したが、例えば、図16に示すように、番組A、番組D(1)、番組B、番組Cの各チャンネルを第1の基準時間R1以下だけ選択し、その後、再び番組D(2)のチャンネルを第1の基準時間R1より長い時間選択した場合には、第1の基準時間R1以下しか選択していない番組D(1)の番組情報を削除の対象とせず、有効な番組情報として扱ってもよい。この場合、番組A、番組B、番組Cだけが削除対象となり、記録情報管理テーブルについても、これらが削除されたものとして変更がなされる。
1 アンテナ、 2 チューナ、 3 復調部、 4 A/D変換部、 5 エンコーダ、 6 記録信号処理部、 7 ドライブインターフェース、 8 ディスクドライブ、 9 再生信号処理部、 10 デコーダ、 11 D/A変換部、 12 出力部、 13 制御部、 14 受光部、 15 リモコン、 20,60 管理(1)の領域情報、 21,61 管理(2)の領域情報、 22,62 記録状態情報、 23,63 番組Aのマップ情報、 24,64 番組Bのマップ情報、 50 番組Aの放送番組データ、 51 番組Bの放送番組データ、 52 番組Cの放送番組データ、 53 番組Dの放送番組データ、 54 番組Eの放送番組データ、 55 番組Fの放送番組データ、 65 番組Cのマップ情報、 66 番組Dのマップ情報、 67 番組Eのマップ情報、 68 番組Fのマップ情報、 71 番組D(1)の放送番組データ、 72 番組D(2)の放送番組データ。