JP3821723B2 - 液体浸入防止構造を有する電気装置 - Google Patents

液体浸入防止構造を有する電気装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体浸入防止構造を有する電気装置に関し、より詳細には、ケースに取付けられたリード線を伝って液体がケースの内部に浸入することを防止するための液体浸入防止構造を有する電気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケース内に設けられた金属製の端子にリード線の先端部分が電気的に接続され、該リード線がケースの外部に延長してその基端部が外部機器等に電気的に接続され、該リード線を介して電気信号を入出力する種々の電気装置が知られている。このような電気装置の一例として、車両のエンジンやトランスミッション等に用いられるギヤの回転数を検出する回転検出センサがある。当該回転検出センサは、例えば特開2001−264350号公報等により開示されている。
【0003】
特開2001−264350号公報で開示されている回転検出センサを図6および図7を参照して説明する。図6および図7に示されるように、回転検出センサ10は、合成樹脂により有底筒状に成形されたセンサケース1と、一対のリード線14と電気的に接続し、センサケース1に部分的に収容されたセンサ本体5と、リード線14を挿通させながらセンサ本体5の上端に嵌合されるゴム製の防水キャップ7と、を備えている。リード線14は、金属製の芯線14aおよび該芯線14aを覆う絶縁被覆14bを有する。
【0004】
センサ本体5は、回転検出手段3と、合成樹脂製のハウジング12と、金属製の一対の端子9と、を備える。回転検出手段3は、例えば、ホールIC(即ち、磁電変換素子)やその他の電気素子等が含まれる電気部品である。ハウジング12は、端子9の中間部分に位置するように、インサート成形によって端子9と一体に形成されている。端子9は、先端部が回転検出手段3にそれぞれ電気的に接続され、そして基端部がセンサ本体5から外側に露出するようにハウジング12から突出している。そして、センサ本体5は、センサケース1の挿入用開口部17に挿入され、センサケース1の有底筒状部1bに回転検出手段3と、端子9の先端部と、ハウジング12の一部とが収容および被覆されるようにセンサケース1に取付けられる。
【0005】
図7に示されるように、センサケース1の挿入用開口部17の周縁には、センサ本体5の挿入の際にハウジング12の突き合わせ面12bと当接する溶着用突起18が形成されている。そして、ハウジング12の突き合わせ面12bをセンサケース1の溶着用突起18に当接させながら溶着させることにより、センサ本体5がセンサケース1に固定される。ここで用いられる溶着工法の例としては、超音波溶着、オービタル振動溶着、等の公知の溶着工法が挙げられる。
【0006】
リード線14の先端部分において絶縁被覆14bから露出された芯線14aは、ハンダ付け等によって端子9の一端部にそれぞれ固定され、且つ電気的に接続されている。これらのリード線14を挿通させるようにセンサ本体5のハウジング12の上端部に防水キャップ7が嵌合されている。
【0007】
防水キャップ7は、その下端部に形成された嵌合溝7aがハウジング12の上端部に突設された係合突部12aと嵌合することにより、ハウジング12の上面に固定される。防水キャップ7において、リード線14が挿通する貫通孔7bの内面と該リード線14の絶縁被覆14bの外面とが密着している。
【0008】
図6に示されるように、センサケース1の有底筒状部1bに収容されている回転検出手段3の先端部がギヤ23の外周から一定距離離間されるように、センサケース1の外周に突設した取付用フランジ部1aが例えばトランスミッションのギヤケース21に固定される。回転検出手段3のホールICに内蔵されたマグネットおよび外周に凹凸部を有するギヤ23によって形成される磁気回路においてギヤ23の回転のために生じる磁束の変化を回転検出手段3により検出して、ギヤ23の回転検出が行われる。
【0009】
尚、センサケース1の外周面には環状凹部15が形成されており、該環状凹部15にはゴム製のOリング16が組み付けられている。このOリング16によって、回転検出センサ10がギヤケース21に固定される際にギヤケース21の挿入孔22の内面とセンサケース1の外周面との間の隙間が埋められ、それによりギヤ23側からオイル等の液体が当該隙間に浸入してギヤケース21の外側へ流出することが防止されている。
【0010】
従って、上述の回転検出センサ10によれば、ハウジング12とセンサケース1が溶着され、且つ防水キャップ7とハウジング12とが嵌合し、且つ防水キャップ7がリード線14に密着しているため、回転検出センサ10内へのオイル、水、等の液体、塵埃、等の浸入が防止されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転検出センサ10から外部へ延長され(換言すれば、引き出され)且つ回転検出センサ10の検出信号を送信するために外部機器等の入力端子と電気的に接続されるリード線14の基端部が、オイル、水、等の液体と接するような箇所に配置されている場合、当該液体がリード線14の絶縁被覆14b内に浸入し且つ絶縁被覆14b内を伝って、リード線14の先端部分から回転検出センサ10内部に浸入する可能性がある。
【0012】
端子9はインサート成形によりハウジング12と一体に形成されているが、インサート成形であっても金属製の端子9と合成樹脂製のハウジング12との間への液体の浸入を完全に防止することはできない。それ故、液体が、リード線14の先端部分から端子9の一端部に進み、端子9とハウジング12の間を端子9の他端部へ向けて伝ってセンサ本体5に到達する可能性がある。このように液体が回転検出センサ10内部に浸入すると、回転検出センサ10の性能の低下、誤動作、故障、等を引き起こす可能性がある。
【0013】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケースに取付けられたリード線を伝って液体がケースの内部に浸入することを防止するための液体浸入防止構造を有する電気装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の液体浸入防止構造を有する電気装置は、請求項1に記載したように、リード線と、
前記リード線が挿入された挿入孔を一端部に有し、前記挿入孔と連通して前記リード線の先端部分を突出させる開口を他端部に有する中空部材と、
前記中空部材が設けられ、前記中空部材の一端部を囲む包囲部を有し、前記中空部材の開口および挿入孔により内外を連通されるケースと、
前記ケースに収容された電気部品と、
前記電気部品に設けられ、前記リード線の先端部分と電気的に接続する接続部を有する端子と、
前記リード線の先端部分と協働して前記中空部材の開口を液密に封止する導電性のシール材と、
前記ケースの包囲部の内周面および前記中空部材の一端部の外周面に密着する弾性シール部材と、
を備えていることを特徴としている。
【0015】
一方、前述した目的を達成するために、請求項6に記載した本発明の液体浸入防止構造を有する電気装置は、挿入孔を一端部に有し、該挿入孔と連通する開口を他端部に有する中空部材と、
前記中空部材が設けられ、前記中空部材の一端部を囲む包囲部を有し、前記中空部材の開口および挿入孔により内外を連通されるケースと、
前記ケースに収容された電気部品と、
前記電気部品に設けられ、前記中空部材の他端部の外面と接する接続部を有する端子と、
前記挿入孔から前記中空部材に挿入されており、前記中空部材内に少なくとも一部が配置され且つ前記端子の接続部と電気的に接続される先端部分を有するリード線と、
前記中空部材の開口を液密に封止する導電性のシール材と、
前記ケースの包囲部の内周面および前記中空部材の一端部の外周面に密着する弾性シール部材と、
を備えていることを特徴としている。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、リード線の先端部分とシール材とが協働して中空部材の開口を液密に封止する。請求項6に記載の発明によれば、中空部材の開口が少なくともシール材により液密に封止される。従って、液体がリード線を伝って中空部材の内部に浸入したとしても、開口が液密に封止された中空部材によって塞き止められ、これ以上ケース内部には浸入できない。更に、請求項1および請求項6に記載の発明によれば、弾性シール部材が、ケースの包囲部の内周面および中空部材の一端部の外周面に密着するため、リード線を伝って中空部材の内部に浸入した液体が中空部材から漏れ出てケースと中空部材の外周面との接触面まで到達することがなく、外部からケースの包囲部の内部に液体が浸入することもない。従って、ケース内部への液体の浸入が防止される。尚、本発明において用いられる導電性のシール材の例としては、ハンダ、その他の低融点金属、導電接着剤、等が挙げられるが、中空部材の開口を液密に封止できるシール材でなければならない。
【0017】
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記接続部が前記中空部材の開口の近傍に位置するように前記端子に設けられており、前記導電性のシール材が、前記中空部材の他端部、前記端子の接続部、そして前記リード線の先端部分の少なくとも各一部を覆うことを特徴としている。一方、本発明は、請求項7に記載したように、前記接続部が前記中空部材の開口の近傍に位置するように前記端子に設けられ且つ、前記リード線の先端部分が前記中空部材の他端部内に少なくとも一部が配置されており、前記導電性のシール材が、前記中空部材の他端部、前記端子の接続部、そして前記リード線の先端部分の少なくとも各一部を覆うことを特徴としている。
【0018】
請求項2および請求項7に記載の発明によれば、端子の接続部が中空部材の開口の近傍に位置しているため、中空部材の他端部、端子の接続部、そしてリード線の先端部分の少なくとも各一部を導電性のシール材で一括して一体的に覆い易い。当該少なくとも各一部にシール材を一体的に設けた場合、当該少なくとも各一部毎に別個にシール材を設けた場合と比較して、一つのシール材の接する表面積が大きいため、シール材を確実に固着することができ、且つシール材を設ける作業の作業性が向上する。
【0019】
また、本発明は、請求項3および請求項8に記載したように、前記ケースから前記弾性シール部材が抜け落ちることを防止するための固定部材を更に備え、該固定部材が前記弾性シール部材を覆うように前記ケースに取付けられていることを特徴としている。請求項3および請求項8に記載の発明によれば、弾性シール部材が抜け落ちて所望のシール性能が失われることが確実に防止される。
【0020】
また、本発明は、請求項4および請求項9に記載したように、前記導電性のシール材が前記中空部材の開口の内部にまで延設されて前記中空部材の他端部の内部空間を液密に封止していることを特徴としている。請求項4に記載の発明によれば、リード線の先端部分とシール材とが協働して中空部材の他端部の内部空間を液密に封止する。請求項9に記載の発明によれば、シール材が単独で中空部材の他端部の内部空間を液密に封止するか若しくはリード線の先端部分とシール材とが協働して中空部材の他端部の内部空間を液密に封止する。従って、中空部材の他端部の内部空間を確実に封止することができ、それにより液体浸入防止構造の信頼性を向上させる。尚、リード線が複数の細線の集合体である場合は、中空部材の他端部の内部空間を液密に封止する役割を持つ当該複数の細線の部分にシール材を浸透させればよい。
【0021】
また、本発明は、請求項5および請求項10に記載したように、前記リード線が芯線および該芯線を覆う絶縁被覆を有し、前記リード線の先端部分を形成するように前記芯線が前記絶縁被覆から露出されており、前記中空部材はその内面に、前記リード線の芯線を挿通させ且つ絶縁被覆を係止する膨出部を有していることを特徴としている。
【0022】
請求項5および請求項10に記載の発明によれば、挿入孔を介して中空部材に挿入されたリード線の絶縁被覆の端縁が膨出部により係止されて、リード線が中空部材に対して位置決めされるため、中空部材の他端部の端面に対する芯線の位置を規定し易い。例えば、リード線の先端部分を中空部材の他端部から突出させる形態とする場合は、芯線の突出長のバラツキを低減することができる。更に、膨出部によりリード線が中空部材内で支持されるため、導電性のシール材を設ける際にリード線を保持する作業が省略される。
【0023】
尚、前記弾性シール部材に中空部材の挿入孔から露出するリード線の外周面に密着するリード線挿通孔を設けてもよい。このようなリード線挿通孔を弾性シール部材に設ければ、外部からリード線の外面を伝ってケースの包囲部の内部に液体が浸入することがない。また、リード線がリード線挿通孔の所で弾性シール部材により支持されるため、リード線に応力が加えられたとしても弾性シール部材の弾性により当該応力を緩和することができる。従って、応力によるリード線の破損や断線を防止できる。即ち、弾性シール部材はシールと応力吸収ダンパーの2つの役目を果たす。
【0024】
尚、端子の接続部が中空部材の開口の近傍に位置し、リード線の先端部分を中空部材の他端部から開口を介して突出させて端子の接続部と電気的に接続させる形態とする場合、前記中空部材の開口と略同一軸線上に並ぶように収容穴を前記端子の接続部に形成し、前記リード線の先端部分の一部を前記収容穴内に配置させてもよい。この場合、リード線の先端部分の軸方向に対して少なくとも略直交する方向における位置決めが為される。更に、リード線の先端部分を当該収容穴に挿入し易い。
【0025】
前記接続部の収容穴は、本発明の液体浸入防止構造の採りうる形態によっては貫通孔でもよいが、当該収容穴を貫通孔とせずに、前記接続部の収容穴により前記リード線の先端部分の端縁が収容されるように前記接続部を断面において部分的に略U字状に成形して、前記収容穴を形成してもよい。この場合、接続部が断面において部分的に略U字状に成形されるため、収容穴が穴底を有する。従って、この収容穴の穴底にリード線の先端部分の端縁を当接させるように当該リード線を中空部材に挿入すれば、リード線の先端部分の軸方向における位置決めもできる。
【0026】
また、前記導電性のシール材をハンダにして、前記中空部材の他端部、前記端子の接続部、そして前記リード線の先端部分の少なくとも各一部をハンダ付けしてもよい。信頼性が高く一般に広く普及しているハンダを前記導電性のシール材として用いれば、所望の箇所を他のシール材と比較して安全確実に封止および固定することができ、且つコストダウンもできる。尚、本発明において用いられるハンダの例としては、一般的な錫鉛合金ハンダ、鉛非含有ハンダ、アルミハンダ、銀入りハンダ、フラックス入りハンダ、非塩素系フラックス入りハンダ、等が挙げられるが、中空部材の開口を液密に封止できるハンダでなければならない。
【0027】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明の実施の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の液体浸入防止構造を有する電気装置の一実施形態を示す分解斜視図、図2は電気装置の部分的な断面を示す図、図3は電気装置の液体浸入防止構造を説明する図、図4(A)は図3における部分IVの拡大図、図4(B)は図4(A)のセンサ側端子の変形例を示す図、そして図5(A)および図5(B)は図4(A)のセンサ側端子の他の変形例を示す図である。
【0029】
本発明を理解し易くする目的で、従来の技術の説明と同様に車両のエンジンやトランスミッション等に用いられるギヤの回転数を検出する回転検出センサに本発明を適用し、防水を要求される電気装置の一実施形態として説明する。
【0030】
図1および図2に示されるように、本実施形態の回転検出センサ31は、回転検出手段35が組み付けられた電気部品であるセンサ本体37と、有底筒状のセンサケース33と、センサ本体37が所定位置に収容されたセンサケース33の挿入用開口部50の開口縁を封止する合成樹脂製のセンサカバー39と、を備えている。即ち、センサケース33およびセンサカバー39により回転検出センサ31のケースが形成され、当該ケース内に電気部品であるセンサ本体37を収容する収容部が形成されている。
【0031】
センサケース33は、センサ本体37を収容する有底筒状部41と、該有底筒状部41の挿入用開口部50の開口縁に鍔状に突出形成された取付用フランジ部42と、を備えている。有底筒状部41および取付用フランジ部42が合成樹脂により一体に成形されて、センサケース33が形成されている。この取付用フランジ部42は、下面42aをギヤケース21(図3参照)等の外表面に当接させた状態でギヤケース21に固定される。この固定により、有底筒状部41の底部41aは、回転検出すべきギヤ(図示せず)の外周から一定距離離間させた状態に設置される。
【0032】
そして、取付用フランジ部42には、一対の中空部材47がインサート成形により包囲部42bと一体に形成されている。中空部材47を形成する材料の例としては、金属材、合成樹脂材、ガラス材、セラミック材、複種類の材料を含むコンポジット材、等が挙げられ、当該材料を実施形態に応じて適宜中空部材47に用いればよい。本実施形態では金属製の中空部材47を用いた。中空部材47は、その一端から他端にかけて貫通する孔を有する部材であるが、その詳細は後述する。本実施形態では筒状(管状)の中空部材47を用いた。各中空部材47はセンサケース33の内外を連通するように包囲部42bに設けられている。当該包囲部42bにより固定される中空部材47の外周面には抜止凸部47gが形成されている。この抜止凸部47gによりセンサケース33からの各中空部材47の抜けが防止される。
【0033】
図1に示されるように一対のリード線45が回転検出センサ31には設けられており、図3に示されるように当該リード線45が中空部材47にそれぞれ挿入される。各リード線45は、芯線45aおよび該芯線45aを覆う絶縁被覆45bを有しており、芯線45aを露出させるように絶縁被覆45bが剥かれ、この芯線45aの露出部分によりリード線45の先端部分45cが形成されている。中空部材47は、リード線45を挿入する挿入孔47aを一端部47bに有する。また、中空部材47は、中空部47eによって挿入孔47aと連通する開口47cを他端部47dに有する。挿入されたリード線45の先端部分45cは開口47cから突出する。中空部47eはその内面に、リード線45の芯線45aを挿通させ且つ絶縁被覆45bを係止する膨出部47fを有している。
【0034】
挿入孔47aを介して中空部材47に挿入されたリード線45は、その絶縁被覆45bの端縁が膨出部47fにより係止されるため、リード線45と中空部材47との相対的な位置決めができる。それ故、絶縁被覆45bを剥くことによって露出される芯線45a(即ち、先端部分45c)の長さを予め所定の長さにしておけば、中空部材47の他端部47dの端面(即ち、開口47c)に対するリード線45の先端部分45cの位置決めが容易である。従って、先端部分45cの中空部材47の他端部47dからの突出長バラツキを低減できる。
【0035】
また、回転検出センサ31には、防水性を確保するための弾性シール部材が設けられている。弾性シール部材を形成する材料の例としては、ゴム材、発泡プラスチック材、複種類の材料を含むコンポジット材、等の弾性材料が挙げられる。本実施形態では弾性シール部材として、ゴムブッシュ48(即ち、ゴム製の弾性シール部材)を用いた。図2に示されるように、ゴムブッシュ48は、リード線挿通孔48aを有しており、中空部材47の一端部47bの外周面47hとセンサケース33(即ち、取付用フランジ部42)の包囲部42bとの間に形成された空間に挿入され、この空間を液密に封止している。特に、ゴムブッシュ48は、包囲部42bの内周面42cおよび中空部材47の一端部47bの外周面47hに密着している。リード線45は、ゴムブッシュ48に挿通した状態で中空部材47に挿入される。尚、図1に示されるように、一対のリード線45(および一対の中空部材47)に対して、本実施形態では一体化されたゴムブッシュ48を用いた。
【0036】
このゴムブッシュ48は外周面に環状突条48bを有している。ゴムブッシュ48を包囲部42bに挿入すると環状突条48bが弾性変形させられる。この環状突条48bにより包囲部42bの内周面42cへのゴムブッシュ48の密着度合いが高まるとともに、当該包囲部42bの内周面42cと対向する中空部材47の一端部47bの外周面47hへの密着度合いも高められる。また、ゴムブッシュ48のリード線挿通孔48aは、リード線45の中空部材47の挿入孔47aから露出する部分の外周面に密着する。ここで、リード線45はリード線挿通孔48aの所でゴムブッシュ48により支持されるため、リード線45に応力が加えられたとしてもゴムブッシュ48の弾性により当該応力を緩和することができる。従って、応力によるリード線45の破損や断線を防止できる。即ち、ゴムブッシュ48は、シールとしてだけでなく、応力吸収ダンパーとしても役目を果たしている。
【0037】
尚、回転検出センサ31には、センサケース33(即ち、包囲部42b)からゴムブッシュ48が抜け落ちることを確実に防止するための固定部材として、合成樹脂製のキャップ49が設けられている。このキャップ49はゴムブッシュ48を覆うように包囲部42bに取付けられている。包囲部42bとキャップ49にはそれぞれ係合手段(不図示)が設けられ、キャップ49が包囲部42bに固定されている。キャップ49を設けることにより、ゴムブッシュ48が抜け落ちて所望のシール性能が失われることが防止される。リード線45、キャップ49およびゴムブッシュ48のセンサケース33への組み付けについては、キャップ49のゴムブッシュ挿通孔49aおよびゴムブッシュ48のリード線挿通孔48aにリード線45を挿通させた状態で中空部材47に挿入される。尚、リード線45をゴムブッシュ48のリード線挿通孔48aに挿通させた状態で該リード線45を中空部材47に挿入して集合体を形成し、この集合体をセンサケース33にインサート成形してもよい。リード線45はその基端部側がゴムブッシュ48のリード線挿通孔48aから導出されている。ゴムブッシュ挿通孔49aからはリード線挿通孔48aを形成するゴムブッシュ48の部分が一部突出しており、これによりリード線45を応力から保護している。尚、キャップ49を設けずともゴムブッシュ48の抜けを構造的に防止できる場合は、キャップ49を設ける必要はない。
【0038】
センサ本体37は、端子として金属製の一対のセンサ側端子57を有している。各センサ側端子57は、回転検出手段35と電気的に接続されており、本実施形態では回転検出手段35から出力された電気信号の出力端子として働く。しかしながら、ケースに収容される電気部品(電気素子)によってセンサ側端子57は入力端子または入出力端子として用いられる。センサ側端子57には、リード線45の先端部分45cと電気的に接続する接続部57aが垂設されている。センサ側端子57は、センサ本体37がセンサケース33に収容された際に中空部材47の開口47cの近傍に接続部57aが位置するように、センサ本体37に配置されている。
【0039】
センサ側端子57の接続部57aは、中空部材47の開口47cと略同一軸線上に並ぶように形成された収容穴57bを有しており、この収容穴57b内にリード線45の先端部分45cの一部が配置される。即ち、中空部材47の他端部47dから開口47cを介して突出するリード線45の先端部分45cが該収容穴57bに挿入され、先端部分45cの一部が該収容穴57bに配置される。従って、リード線45の先端部分45cの軸方向に対して少なくとも略直交する方向における位置決めが為される。また、収容穴57bが中空部材47の開口47cと略同一軸線上に並ぶように形成されているため、中空部材47の他端部47dから開口47cを介して突出するリード線45の先端部分45cを当該収容穴57bに挿入し易い。
【0040】
図2および図4(A)から判るように、接続部57aの収容穴57bは貫通孔である。当該収容穴を貫通孔とせずに、図4(B)に示されるように、リード線45の先端部分45cの端縁を覆うように接続部57cを断面において部分的に略U字状に成形して収容穴57dを形成したセンサ側端子57'を設けてもよい。このような収容穴57dを設けても、リード線45の先端部分45cの軸方向に対して略直交する方向における位置決めができる。更に、接続部57cが断面において部分的に略U字状に成形されるため、収容穴57dが穴底を有している。従って、この収容穴57dの穴底にリード線45の先端部分45cの端縁を当接させるように当該リード線45を中空部材47に挿入すれば、リード線45の先端部分45cの軸方向における位置決めも可能である。収容穴57dを採用する場合は、前述した中空部材47に膨出部47fを設けなくてもよい。
【0041】
図3、図4(A)そして図4(B)に示されるように、中空部材47とセンサ側端子57(57')とリード線45に跨って導電性のシール材46が設けられている。導電性のシール材46は、中空部材47の他端部47d、センサ側端子57(57')の接続部57a(57c)、そしてリード線45の先端部分45cの少なくとも各一部を覆うように設けられている。特に、導電性のシール材46は、中空部材47の開口47cを液密に封止するように設けられている。本実施形態では、シール材46が、リード線45の先端部分45cと協働して、中空部材47の開口47cを液密に封止している。リード線45の先端部分45cとセンサ側端子57(57')の接続部57a(57c)との電気的な接続については、これらが導電性のシール材46を設けていない状態で安定確実に接触しているのならば、その接触箇所に導電性のシール材46を設ける必要はなく、導電性のシール材46が中空部材47の開口47cを液密に封止するように設けられていればよい。勿論、該接触箇所を固定する目的で適宜必要な量の導電性のシール材46を当該接触箇所に設けてもよい。尚、リード線45の先端部分45cとセンサ側端子57(57')の接続部57a(57c)との間に僅かながらでも隙間が生じている非接触状態においても、リード線45とセンサ側端子57(57')は導電性のシール材46を介して電気的に接続可能である。
【0042】
さて、リード線45の先端部分45cとシール材46とが協働して中空部材47の開口47cを液密に封止するため、図3のリード線45上に描かれた矢印に指し示されるようにオイル、水、等の液体がリード線45の内部(即ち、絶縁被覆45b内)を伝って中空部材47の内部に浸入したとしても、液密に封止された中空部材47の開口47cによって塞き止められ、これ以上ケース内部には浸入できない。従って、ケース内部への液体の浸入を防止することができる。また、前述のゴムブッシュ48が中空部材47の一端部47bの外周面47hの周りに密着しているため、リード線45の内部を伝って中空部材47の内部に浸入した液体が中空部材47から漏れ出て、包囲部42bの中空部材47を固定する部分と中空部材47との接触面の間の隙間を伝って、センサケース33の内部に浸入することはない。代わりに、ゴムブッシュ48が中空部材47の一端部47bの端縁に密着する形態としても効果的であることは言うまでもない。ただし、何らかの理由で中空部材47の一端部47bの外周面47hに中空部47eへ貫通する窓等を形成する場合は、当該窓を液密に封止するようにゴムブッシュ48が外周面47hの周りに密着していなければならない。換言すれば、当該窓はゴムブッシュ48により液密に封止されえる外周面47hの箇所に設けられなければならない。更に、ゴムブッシュ48は包囲部42bの内周面42cにも密着しているため、外部から包囲部42bの内部に液体が浸入することもない。また更に、ゴムブッシュ48がリード線挿通孔48aの所でリード線45の外周面の周りに密着しているため、リード線45の絶縁被覆45bの外面を伝って液体がゴムブッシュ48の内部に浸入することもない。
【0043】
また、センサ側端子57(57')の接続部57a(57c)が中空部材47の開口47cの近傍に位置しているため、中空部材47の他端部47d、センサ側端子57(57')の接続部57a(57c)、そしてリード線45の先端部分45cの少なくとも各一部をシール材46で一括して一体的に覆い易い。当該少なくとも各一部にシール材46を一体的に設けた場合、当該少なくとも各一部毎に別個にシール材46が設けられた場合と比較して、シール材46の接する表面積が大きくなるため、シール材46を確実に固着することができ、且つシール材46を設ける作業の作業性が向上する。尚、リード線45の芯線45aが単線ではなく複数の細線の集合体である場合は、中空部材47の開口47cを液密に封止する役割を持つ当該複数の細線の部分にシール材46を浸透させればよい。尚、シール材46を中空部材47の他端部47dに固着し易くするため、図2に示されるように、中空部材47の他端部47dはそのセンサ側端子57側の部分が、センサケース33を形成する合成樹脂から露出していることが望ましい。
【0044】
導電性のシール材46の例としては、ハンダ、その他の低融点金属、導電接着剤、等が挙げられるが、中空部材47の開口47cを液密に封止できるシール材でなければならない。更に、電気装置のケースに収容される電気部品(電気素子)の各種特性、中空部材47の材料、センサ側端子57(57')の材料ならびにリード線45の材料の特性も考慮して、シール材の種類を選択してもよい。本実施形態では、導電性のシール材46として具体的にハンダを用いて、中空部材47の他端部47d、センサ側端子57(57')の接続部57a(57c)、そしてリード線45の先端部分45cの少なくとも各一部をハンダ付けしている。ハンダを用いる場合、中空部材47を形成する材料としては、例えば、金属材等の耐熱温度が高く、ハンダ付け性の高いものが望ましい。本実施形態では、中空部材47の材料を耐熱温度がハンダの融点よりも十分高く且つハンダ付け性の良い導電性の金属材としているので、ハンダである導電性のシール材46を中空部材47に固着させ易く、中空部材47の開口47cをシール材46およびリード線45の先端部分45cにより液密に確実に封止することができる。更に、リード線45の先端部分45cとセンサ側端子57(57')の接続部57a(57c)とを中空部材47および導電性のシール材46を介して電気的に接続させることも可能である。リード線45の芯線45aおよびセンサ側端子57(57')の材料は、導電性の金属材であることは勿論のこと、導電性のシール材46としてハンダを用いる場合は、ハンダ付け性の良いものが望ましい。
【0045】
信頼性が高く一般に広く普及しているハンダを導電性のシール材46として用いれば、他のシール材と比較して安全確実に所望の箇所を封止および固定することができ、且つコストダウンもできる。尚、ハンダの例としては、一般的な錫鉛合金ハンダ、鉛非含有ハンダ、アルミハンダ、銀入りハンダ、フラックス入りハンダ、非塩素系フラックス入りハンダ、等が挙げられるが、中空部材の開口を液密に封止できるハンダでなければならない。更に、電気装置のケースに収容される電気部品(電気素子)の各種特性、中空部材47の材料、センサ側端子57(57')の材料ならびにリード線45の材料の特性も考慮して、ハンダの種類を選択してもよい。一方、中空部材47の材料が、例えば、合成樹脂、ガラス材、セラミック材、複種類の絶縁材料を含むコンポジット材、等のハンダ付け性の悪い絶縁材料である場合は、導電性のシール材46として例えば導電接着剤を用いればよい。
【0046】
尚、図4(A)および図4(B)に例が示されているように、導電性のシール材46が中空部材47の開口47cの内部にまで延設されて中空部材47の他端部47dの内部空間を液密に封止していることが望ましい。中空部材47の開口47cの内部にまで導電性のシール材46が延設されれば、当該シール材46がリード線45の先端部分45cと協働して中空部材47の開口47cを確実に封止することができ、それにより液体浸入防止構造の信頼性を更に向上させる。
【0047】
一方、図5(A)および図5(B)は、図4(A)の他の変形例を示している。図5(A)に示されるように、この変形例では、センサ側端子57の代わりにセンサ側端子57"をセンサ本体37に設けている。具体的に、センサ側端子57"には、接続部57eが垂設され、この接続部57eに収容穴57fが形成されている。接続部57eが中空部材47の他端部47dの外面と接するように、中空部材47の他端部47dが延長されて収容穴57fに挿入されている。この変形例の場合、リード線45の先端部分45cを中空部材47の他端部47dから突出させても、突出させなくても、どちらでもよく、リード線45の先端部分45cの少なくとも一部を中空部材47内に配置させればよい。そして、中空部材47の開口47cが少なくとも導電性のシール材46により液密に封止される。
【0048】
例えば図5(A)に示されるように、リード線45の先端部分45cの少なくとも一部を中空部材47の他端部47d内に配置する場合、導電性のシール材46をリード線45の先端部分45cにも接触(即ち、固着)させ、当該先端部分45cおよび導電性のシール材46により中空部材47の開口47cを液密に封止させる形態としてもよい。リード線45の先端部分45cを中空部材47の他端部47dから突出させる場合、リード線45の先端部分45cとセンサ側端子57"の接続部57eとの電気的な接続は、図4(A)および図4(B)に係る説明において既に述べた何れかの形態にすればよい。ただし、先端部分45cを長めに突出させてセンサ側端子57"の接続部57eと電気的に接続させてもよい。一方、リード線45の先端部分45cを中空部材47の他端部47dから突出させない場合は、導電性のシール材46または該シール材46および導電性の中空部材47を介して電気的な接続が為されるものであってもよい。また、例えば、リード線45の先端部分45cを予め導電性の中空部材47内に挿入して、加締め、スポット溶接、ハンダ付け等により当該中空部材47と電気的に接続させておき、その後、中空部材47をセンサケース33に設け、そして中空部材47の開口47cを導電性のシール材46により液密に封止して、中空部材47の他端部47dの外面とセンサ側端子57"の接続部57eとを電気的に接続させる形態としてもよい。尚、センサ側端子57"の接続部57eと中空部材47の他端部47dの外面との間に安定確実な電気的接触が得られるのであれば、当該接触箇所を固定するように導電性のシール材46を設けなくてもよい。
【0049】
その他、図5(A)および図5(B)に係る変形例の他の構成やそれらの内容については、図1から図4(B)に基づいて説明した構成の内容と略同様であり、容易に推察可能であるため説明は省略する。同様に、図5(A)および図5(B)に係る変形例の作用についても、図1から図4(B)に基づいて説明した内容から容易に推察可能であるため説明を省略する。尚、センサ側端子の接続部を中空部材47の他端部47dの端面と接触させ、この接続部にリード線45の先端部分45cを挿通させるように収容穴を形成する形態としてもよい。
【0050】
センサケース33の挿入用開口部50には、有底筒状部41に挿入されたセンサ本体37を所定位置に位置決めするための位置決め用段差部52と、該位置決め用段差部52よりも上方に位置する溶着用段差部53とが設けられている。
【0051】
センサ本体37は、下面が位置決め用段差部52に当接して挿入用開口部50に嵌合されるケース嵌合部55aと、組み付けられた回転検出手段35を支持するハウジング55bとを備えており、これらのケース嵌合部55aとハウジング55bが合成樹脂により一体に形成されている。そして、ケース嵌合部55aおよびハウジング55bには、回転検出手段35に電気的に接続された金属製のセンサ側端子57がインサート成形されており、該センサ側端子57の端部がケース嵌合部55aの外側面から中空部材47に向けて突出している。
【0052】
センサ本体37は、回転検出手段35として例えば、ホールIC(即ち、磁電変換素子)35aやその他の電気素子(本実施形態ではコンデンサ35b)等を含む電気部品であり、先端部のホールIC35aに内蔵されたマグネットと検出対象のギヤ(不図示)とで形成される磁気回路における該ギヤの回転のために生じる磁束の変化を、被検出体である該ギヤの回転検出を行う。
【0053】
そして、本実施形態の回転検出センサ31では、図3に示したように、センサケース33の有底筒状部41内に接着剤61を充填した状態でセンサ本体37を挿着し、センサ側端子57とリード線45との電気的接続およびシール材46の固着を済ませた後に、該センサケース33の挿入用開口部50にセンサカバー39を被嵌装着させる。
【0054】
センサカバー39は、図3に示したように、センサケース33に収容されたセンサ本体37の上から挿入用開口部50を覆って、該センサケース33内への液体や塵埃等の浸入を防止するものである。センサカバー39は、図2に示したように、合成樹脂の一体成形品であり、挿入用開口部50を覆う天板39aの内面に、押圧突起39bと溶着用リブ39cとが突設されている。
【0055】
押圧突起39bは、先端部がケース嵌合部55aの上面を押圧付勢し、センサ本体37を位置決め用段差部52に押し付けて位置決めできるように、天板39aの中心寄り位置に略U字状に突出して設けられている。また、溶着用リブ39cは、センサカバー39をセンサ本体37の上から被せた際に、先端部が溶着用段差部53に接触するように、天板39aの周縁に沿って環状に突出して設けられている。
【0056】
尚、押圧突起39bと溶着用リブ39cとは、それぞれ先端部が略同時にケース嵌合部55aの上面と溶着用段差部53とに当接する高さに設定されるが、押圧突起39bの先端部も、センサカバー39の溶着用リブ39cを溶着する際の超音波振動により適宜溶融するので、若干高めに設定することもできる。
【0057】
上述した本実施形態の回転検出センサ31においては、センサ本体37をセンサケース33に挿入し、ケース嵌合部55aを位置決め用段差部52に着座させることにより所定位置に収容した後、センサカバー39をセンサ本体37の上から被せる。そして、図3に示したように、押圧突起39bによってセンサ本体37を挿入方向へ押圧付勢しながら溶着用リブ39cを溶着用段差部53に溶着することによって、センサカバー39がセンサケース33の挿入用開口部50を覆った状態に一体化され、センサケース33内を封止する。このセンサカバー39とセンサケース33との一体化により当該ケース内への液体や塵埃等の浸入が防止される。
【0058】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質,形状,寸法,形態,数,配置個所,等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0059】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、液体がリード線を伝ってケースに設けられた中空部材の内部に浸入したとしても、開口が液密に封止された中空部材によって塞き止められ、これ以上ケース内部には浸入できない。更に、本発明によれば、弾性シール部材が、ケースの包囲部の内周面および中空部材の一端部の外周面に密着するため、リード線を伝って中空部材の内部に浸入した液体が中空部材から漏れ出てケースと中空部材の外周面との接触面まで到達することがなく、また、外部からケースの包囲部の内部に液体が浸入することもない。
【0060】
また、本発明によれば、端子の接続部が中空部材の開口の近傍に位置しているため、中空部材の他端部、端子の接続部、そしてリード線の先端部分の少なくとも各一部を導電性のシール材で一括して一体的に覆い易い。該少なくとも各一部にシール材を一体的に設けた場合、当該少なくとも各一部毎に別個にシール材を設けた場合と比較して、一つのシール材の接する表面積が大きいため、シール材を確実に固着することができ、且つシール材を設ける作業の作業性が向上する。
【0061】
また、本発明によれば、固定部材により、弾性シール部材が抜け落ちて所望のシール性能が失われることが確実に防止される。
【0062】
また、本発明によれば、シール材が単独で中空部材の他端部の内部空間を液密に封止するか若しくはリード線の先端部分とシール材とが協働して中空部材の他端部の内部空間を液密に封止する。従って、中空部材の他端部の内部空間を確実に封止することができ、それにより液体浸入防止構造の信頼性を向上させる。
【0063】
また、本発明によれば、挿入孔を介して中空部材に挿入されたリード線の絶縁被覆の端縁が膨出部により係止されて、リード線が中空部材に対して位置決めされるため、中空部材の他端部の端面に対する芯線の位置を規定し易い。例えば、リード線の先端部分を中空部材の他端部から突出させる形態とする場合は、芯線の突出長のバラツキを低減することができる。更に、膨出部によりリード線が中空部材内で支持されるため、導電性のシール材を設ける際にリード線を保持する作業が省略される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体浸入防止構造を有する電気装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】電気装置の部分的な断面を示す図である。
【図3】電気装置の液体浸入防止構造を説明する図である。
【図4】図4(A)は図3における部分IVの拡大図、そして図4(B)は図4(A)のセンサ側端子の変形例を示す図である。
【図5】図5(A)は図4(A)のセンサ側端子の変形例を示す図、図5(B)は図5(A)に係るセンサ側端子を示す斜視図である。
【図6】特開2001−264350号公報で開示されている従来の回転検出センサを説明する断面図である。
【図7】図6の回転検出センサの分解図である。
【符号の説明】
31 回転検出センサ(電気装置)
33 センサケース(ケース)
37 センサ本体(電気部品)
39 センサカバー(ケース)
42b 包囲部
42c 包囲部の内周面
45 リード線
45c リード線の先端部分
46 導電性のシール材
47 中空部材
47a 挿入孔
47b 中空部材の一端部
47c 開口
47d 中空部材の他端部
47f 膨出部
47h 一端部の外周面
48 ゴムブッシュ(弾性シール部材)
48a リード線挿通孔
49 キャップ
57 センサ側端子(端子)
57' センサ側端子(端子)
57" センサ側端子(端子)
57a 接続部
57b 収容穴
57c 接続部
57d 収容穴
57e 接続部
57f 収容穴

Claims (10)

  1. リード線と、
    前記リード線が挿入された挿入孔を一端部に有し、前記挿入孔と連通して前記リード線の先端部分を突出させる開口を他端部に有する中空部材と、
    前記中空部材が設けられ、前記中空部材の一端部を囲む包囲部を有し、前記中空部材の開口および挿入孔により内外を連通されるケースと、
    前記ケースに収容された電気部品と、
    前記電気部品に設けられ、前記リード線の先端部分と電気的に接続する接続部を有する端子と、
    前記リード線の先端部分と協働して前記中空部材の開口を液密に封止する導電性のシール材と、
    前記ケースの包囲部の内周面および前記中空部材の一端部の外周面に密着する弾性シール部材と、
    を備えていることを特徴とする液体浸入防止構造を有する電気装置。
  2. 前記接続部が前記中空部材の開口の近傍に位置するように前記端子に設けられており、
    前記導電性のシール材が、前記中空部材の他端部、前記端子の接続部、そして前記リード線の先端部分の少なくとも各一部を覆うことを特徴とする請求項1に記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  3. 前記ケースから前記弾性シール部材が抜け落ちることを防止するための固定部材を更に備え、
    該固定部材が、前記弾性シール部材を覆うように前記ケースに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  4. 前記導電性のシール材が前記中空部材の開口の内部にまで延設されて前記中空部材の他端部の内部空間を液密に封止していることを特徴とする請求項1に記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  5. 前記リード線は芯線および該芯線を覆う絶縁被覆を有し、
    前記リード線の先端部分を形成するように前記芯線が前記絶縁被覆から露出されており、
    前記中空部材はその内面に、前記リード線の芯線を挿通させ且つ絶縁被覆を係止する膨出部を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  6. 挿入孔を一端部に有し、該挿入孔と連通する開口を他端部に有する中空部材と、
    前記中空部材が設けられ、前記中空部材の一端部を囲む包囲部を有し、前記中空部材の開口および挿入孔により内外を連通されるケースと、
    前記ケースに収容された電気部品と、
    前記電気部品に設けられ、前記中空部材の他端部の外面と接する接続部を有する端子と、
    前記挿入孔から前記中空部材に挿入されており、前記中空部材内に少なくとも一部が配置され且つ前記端子の接続部と電気的に接続される先端部分を有するリード線と、
    前記中空部材の開口を液密に封止する導電性のシール材と、
    前記ケースの包囲部の内周面および前記中空部材の一端部の外周面に密着する弾性シール部材と、
    を備えていることを特徴とする液体浸入防止構造を有する電気装置。
  7. 前記接続部が前記中空部材の開口の近傍に位置するように前記端子に設けられ且つ、前記リード線の先端部分が前記中空部材の他端部内に少なくとも一部が配置されており、
    前記導電性のシール材が、前記中空部材の他端部、前記端子の接続部、そして前記リード線の先端部分の少なくとも各一部を覆うことを特徴とする請求項6に記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  8. 前記ケースから前記弾性シール部材が抜け落ちることを防止するための固定部材を更に備え、
    該固定部材が、前記弾性シール部材を覆うように前記ケースに取付けられていることを特徴とする請求項6に記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  9. 前記導電性のシール材が前記中空部材の開口の内部にまで延設されて前記中空部材の他端部の内部空間を液密に封止していることを特徴とする請求項6に記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
  10. 前記リード線は芯線および該芯線を覆う絶縁被覆を有し、
    前記リード線の先端部分を形成するように前記芯線が前記絶縁被覆から露出されており、
    前記中空部材はその内面に、前記リード線の芯線を挿通させ且つ絶縁被覆を係止する膨出部を有していることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一つに記載した液体浸入防止構造を有する電気装置。
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