JP3821576B2 - 光モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザや発光ダイオード等の発光素子から出射される出射光を光ファイバと結合させる光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光モジュールは、半導体レーザと、当該半導体レーザから出射される出射光と結合するレンズを先端部に有する光ファイバとを備えており、「IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.7、NO.7、p.798−800、1995」に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献によれば、アナモルフィックファイバマイクロレンズによるレーザダイオードとシングルモードファイバとの間の光結合について評価されているが、その結合効率は十分ではない。本発明は、半導体発光素子からの光を高い結合効率で光ファイバに結合させることができる構造を有する光モジュールを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本光モジュールは、近視野パターンが横長の半導体発光素子と、前記半導体発光素子に対向し、前記横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させる光入射端面を有する光ファイバと、前記半導体発光素子の光出射端面と前記光ファイバの前記光入射端面との間に配置された集光レンズとを備え、前記光ファイバの入射端面で楕円状の光束を円形状に補正して入射することにより、モード径の不整合が改善されるとともに、前記集光レンズの焦点位置からずれた位置に結合損失が最小となる前記光ファイバの入射端面の基準位置を有し、前記光ファイバの入射端面が前記基準位置近傍に位置するように、前記集光レンズの焦点位置から所定距離ずらして配置されていることを特徴とする。半導体発光素子は、好ましくは半導体レーザである。近視野パターンが横長の出射光の遠視野パターンは縦長となる。したがって、光ファイバは、横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させるので、光ファイバへの入射光を高い結合効率でそのコア内に収束させることができる。また、半導体発光素子からの出射光を集光レンズで収束して光ファイバの入射端面に入射させ、更に、入射端面で楕円状の光束を円形状に補正して入射する構成とすると、機械精度の許容範囲を大きくすることができると共に、光結合効率の向上を更に図ることができる。また、半導体発光素子の光出射端面と集光レンズとの間に、コリメータレンズを備えることにより、集光レンズからの光束が光ファイバの入射端面に入射する位置が、発光素子と光ファイバの入射端面との位置ずれの影響を更に受けなくなり、結合効率が向上する。そして、このような効果が得られることにより、更に量産性の向上、機械強度の向上、設計の自由度の向上等の効果が得られる。なお、光ファイバの光入射端面近傍のコア径は拡大されていることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係る光モジュールについて説明する。同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0006】
端面出射形の半導体レーザや同形の発光ダイオードから出射される出射光は、光出射端面での回折に起因する放射角をもって拡がり、出射パターン(近視野パターン又は遠視野パターン)が楕円状であって真円ではない。すなわち、出射光束の垂直方向(又は水平方向)における放射角θsと水平 方向(又は垂直方向)の放射角θpとが異なっている。このような出射パターン が楕円状の出射光を、入射端面が円形の光ファイバに直接結合させても、モード径の不整合のために高い結合効率が得られない。
【0007】
そこで、第1実施の形態の光モジュールは、図1(A)に模式的に示すように、コアを中心にして一方向(同図中、垂直方向s)についてのみ凸曲面に加工された入射端面INを有する光ファイバ(シリンドリカルレンズ付き光ファイバという)CLFを用いることとし、発光素子LDからの出射光の放射角の大きな方向(垂直方向s)と入射端面INの凸曲面の方向を一致させている。すなわち、本光モジュールは、近視野パターンが横長の半導体発光素子LDと、前記横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させる光入射端面INを有する光ファイバCLFとを備えている。半導体発光素子LDは好ましくは半導体レーザである。近視野パターンが横長の出射光の、遠視野パターンは縦長となる。したがって、光ファイバは、横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させるので、光ファイバへの入射光を高い結合効率でそのコア内に収束させることができる。
【0008】
また、この構造によると、発光素子LDからの楕円状の出射光束が入射端面INで円形光束に直されて入射するため、結合効率の改善が図られている。なお、横方向は、半導体レーザLDの厚み方向及び光出射方向の双方に垂直な方向であり、縦方向は半導体レーザLDの厚み方向に平行な方向、すなわち光ファイバCLFの長手方向及び前記横方向の双方に垂直な方向であるものとする。
【0009】
図1(A)に示した光モジュールにあっては、発光素子LDの光出射端面とシリンドリカルレンズ付き光ファイバCLFの入射端面INとを結合させるためには、極めて高い組立精度が得られるように予め設計する必要がある。
【0010】
図1(B)の縦断面図に示すように、発光素子LDの光出射端面と光ファイバCLFの入射端面INのコアの中心(凸曲面の頂上部分)までの間隔をZとし、光ファイバCLFに入射した光の損失を低減するために入射端面INの焦点距離fを3Z〜5Zになるように凸曲面にしたとする。換言すれば、発光素子LDの出射光のニアフィールド径をr1、光ファイバCLFのモードフィールド径をr2とした場合に、これらの比(r2/r1)を3〜5にするように入射端面INを凸曲面にしたとする。そして、実際の組立工程等において、図1(C)に示すように、発光素子LDと光ファイバCLFとに位置ずれが発生して、発光素子LDの光出射端面の中心と光ファイバCLFのモードフィールド径r2の中心との垂直方向sにおけるずれ量がaになった場合には、入射端面INに入射した光束の集光位置は、見かけ上、コアの中心より径方向に距離3a〜5aずれた位置となり、組立精度が悪いと結合効率を更に増加させることができない。
【0011】
また、この光束の集光位置(焦点位置)のずれを小さくするためには、発光素子LDの光出射端面と光ファイバCLFの入射端面INを極めて近接させる必要があるため、極めて高い機械精度が必要になる。
【0012】
そこで、第2実施の形態に係る光モジュールでは、機械精度が極めて高くなくても、結合効率を増加させることができるように、その構造を工夫した。
【0013】
図2(A)は、この光モジュールの内部構造を示すための横断面図、図2(B)は、同じく内部構造を示すための縦断面図であり、何れも後述する光学部品の光軸を含む断面で切った状態を示している。
【0014】
図2(A)、図2(B)において、この光モジュールは、金属成形等により形成された筐体2のキャビティ4内に、後述の各種光学部品が収容固定され、筐体2の内部を密閉して、筐体2の一側壁に所謂ピックテイルとなる光ファイバFBが接続されることにより、モジュール化された構造となっている。
【0015】
キャビティ4内の底壁6には、温度制御用ペルチェ素子8が固着され、ペルチェ素子8の上端には、サブマウント8aを介してフォトダイオード等のモニタ用受光素子PDがベアチップのままの形態で固定されると共に、サブマウント8bを介して、端面出射形半導体レーザや同形の発光ダイオード等の発光素子LDがベアチップのままの形態で固定される。更に、発光素子LDの光出射端面は、筐体2の所定の側壁10に向けられ、受光素子PDの受光端面は、発光素子LD側に向けられている。また、筐体2に一体形成された複数のリード端子と発光素子LDと受光素子PD及びペルチェ素子8がボンディングワイヤ等で接続されている。
【0016】
更に、サブマウント8aの上端には、発光素子LDの前記光出射端面に対応する円形貫通孔12を有する第1のスリーブ14が固定され、貫通孔12中には、コリメータレンズ16が嵌め込まれている。第1のスリーブ14の形状は予め設計段階で決められている。そして、組立工程で、第1のスリーブ14をサブマウント8aの所定の上端に固着して、コリメータレンズ16を取り付けると、コリメータレンズ16と発光素子LDの光出射端面が近接配置され、且つ光軸合わせが成される。
【0017】
筐体2の側壁10には、第1のスリーブ14の貫通孔12に対応する貫通孔18が形成され、貫通孔18中には、筒状の第2のスリーブ20が外側から取り付けられている。第2のスリーブ20には、発光素子LD及びコリメータレンズ16の光軸に合わせられた貫通穴22が予め形成されている。第2のスリーブ20の先端部分には、貫通穴22を塞いでキャビティ4の内部を密閉封止するガラス又はサファイア等で形成された透明薄板24が、ハーメチックシールにて固定されている。貫通穴22内には、集光レンズ26が組み付けられている。
【0018】
なお、側壁10の貫通孔18の位置及び形状と第2のスリーブ20の形状は、予め設計段階で決められており、組立工程で、第2のスリーブ20を貫通孔18内に挿入してYAG溶接等で固着して、透明薄板24と集光レンズ26を組み付けることにより、集光レンズ26と発光素子LD及びコリメータレンズ16の光軸合わせが成されるようになっている。また、第2のスリーブ20は、側壁10の貫通孔18中に嵌着される円筒部材と、集光レンズ26を挿入固定する円筒部材とからなり、これらの円筒部材をYAG溶接等で連結することにより一体化される構造となっている。
【0019】
更に、第2のスリーブ20の貫通穴22の後端部分には、この貫通穴22と連通する貫通穴20aを有する第3のスリーブ20bがYAG溶接等で固着され、光ファイバFBを挿入固定したフェルール28の先端部分が、貫通穴20aに挿入されている。この第3のスリーブ20bとフェルール28の形状も予め設計段階で決められており、組立工程においてフェルール28が貫通穴20a中に挿入されると、光ファイバFBの光入射端面INが前記光軸と一致するように設計されている。
【0020】
光ファイバFBの入射端面INは、図3に模式的に示すように、コアを中心にした凸曲面、すなわちレンズ形状に加工されており、更にその凸曲面の光軸断面の形状は、一方向(同図中、垂直方向s)にのみ円弧状であって、それと垂直な方向(同図中、水平方向p)は光軸方向qに対して直角になっている。
【0021】
そして、組立工程では、第3のスリーブ20bにフェルール28を嵌挿し、所謂パワーモニタ法等を用いて、実際に発光素子LDを発光させたときの光ファイバFBの入射光束が最大パワーになるように、周方向の回転角度を調整することにより、発光素子LDから出射される出射光の放射角の大きな方向と入射端面の凸曲面の形成方向(垂直方向s)とを一致させる。なお、図3では、便宜上、垂直方向sの放射角θsが水平方向pの放射角θpより大きな楕円状の出射光に対する、光ファイバFBの入射端面INの周方向の向きを示している。本光モジュールは、第1実施の形態と同様に、近視野パターンが横長の半導体発光素子LDと、前記横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させる光入射端面を有する光ファイバFBとを備えている。半導体発光素子LDは好ましくは半導体レーザである。近視野パターンが横長の出射光の、遠視野パターンは縦長となる。したがって、光ファイバFBは、横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させるので、光ファイバへの入射光を高い結合効率でそのコア内に収束させることができる。
【0022】
次に、かかる構造を有する光モジュールの作動を説明する。発光素子LDの光出射端面から放射角をもって出射される出射光は、コリメータレンズ16で平行光束となり、透明薄板24を通って、集光レンズ26で収束されて光ファイバFBの入射端面INに入射する。そして、楕円状の出射光は光ファイバFBの入射端面INの凸曲面によって円形状に直されて入射するので、結合効率が向上する。
【0023】
一方、組立工程等において、発光素子LD、コリメータレンズ16、集光レンズ26及び光ファイバFBの入射端面INが位置ずれを生じ、そのずれが出射光の放射角の大きな方向(図3では、垂直方向s)に生じたとすると、この場合にも、出射光はコリメータレンズ16によって正規の光軸qとほぼ平行な平行光束となり、更に集光レンズ26で収束されて光ファイバFBの入射端面INに入射する。
【0024】
すなわち、発光素子LDに位置ずれがあったとしても、放射角をもって出射される出射光はコリメータレンズ16でほぼ平行光束にされため、集光レンズ26で収束された光束の入射端面INへの入射位置のずれは、発光素子LDの位置ずれに比べて極めて小さくなる。また、コリメータレンズ16と集光レンズ26及び光ファイバFBの少なくとも何れか一つに位置ずれが生じたとしても、同じ原理により、集光レンズ26で収束された光束の入射端面INへの入射位置のずれは極めて小さくなる。また、光ファイバFBの光入射端面INの位置は、集光レンズ26の焦点位置からずれている。
【0025】
したがって、発光素子LDの光出射端面とコリメータレンズ16等との位置がずれても、放射角をもって出射する出射光をコリメータレンズ16で略平行光束にすることにより、集光レンズ26への入射範囲がほぼ一定に保たれ、集光レンズ26で収束された光束の光ファイバFBの入射端面INへの入射位置の変動も大幅に抑制される。また、出射パターンが楕円状の出射光は、凸曲面に形成された入射端面INにおいて楕円状から円形状に補正されて入射するため、モード径の不整合が改善され、結合効率が向上する。
【0026】
このように、この実施の形態の光モジュールは、発光素子LDと光ファイバFB、これらの間に配置されるコリメータレンズ16及び集光レンズ26の何れかに位置ずれが生じても、光ファイバFBの入力端面INへの光束の入射位置のずれを大幅に抑制することができる結合構造となっているため、これらの各光部品の組付け精度の大幅緩和と、光結合効率の向上とを同時に実現することができる。
【0027】
クラッド径が125μmの一般的な光ファイバFBと、発光波長が0.98μmの発光素子LDを用いた実際の実験結果によれば、端面出射形半導体レーザLDの光出射端面、コリメータレンズ16、集光レンズ26及び光ファイバFBのコア中心が、±1μmの範囲内でそれぞれ軸ずれを生じたとしても、約70%以上の光結合効率が得られ、当該結合構造の優位性が実験的にも確認された。
【0028】
図4は、軸方向(ファイバFB長手方向)のずれ(μm)に対する相対結合損失(dB)の関係を示すグラフである。なお、集光レンズ26から光ファイバFBに向かう方向を正とする。結合損失は基準位置(0μm地点)から12μm離れると、約1dB増加する。集光レンズ26の焦点位置は、グラフ中において約−20μmの位置にある。同図に示すように、±10μm、±5μmの範囲内で軸ずれが生じた場合においても、相対結合損失はそれぞれ0.8dB、0.3dB以下であった。すなわち、集光レンズ26の焦点位置から20μm±10μm、20μm±5μmの範囲内で軸ずれが生じた場合においても、相対結合損失はそれぞれ0.8dB、0.3dB以下とすることができる。
【0029】
また、前記結合効率は、コリメータレンズ16と集光レンズ26の間隔によっては影響されないため、例えばこれらの間隔を大きくすることにより、自動組立工程の容易化を実現することができる。また、これらのレンズ16,26間に様々な光学部品を配設することにより、様々な機能を有する光モジュールを容易に形成することができる等、設計の自由度を大幅に向上させることができる。
【0030】
更に、放射角度をもった出射光をコリメータレンズ16で平行光束にするので、光ファイバFBの入射端面INに入射する光束の照射パターンが過度に大きくなることがない。したがって、入射端面INの凸曲面の曲率半径を小さくしなくても、モード径の不整合を改善することができる。このため、この入射端面INを先鋭に加工しなくて済み、加工が容易となる。また、入射端面INが先鋭でないことから、機械強度が高く、他の光学部品と当たってその先端部分が破損する等の事故を防止することができる。なお、前記実験では、入射端面INの曲率を8〜15μmの範囲内の比較的大きな曲率半径に設定しても、約70%以上の光結合効率が得られた。
【0031】
更に、前記各光学部品を取り付けてモジュール化するために、YAG溶接によって各光学部品やスリーブ14,20,20b及びフェルール28等の結合部分を固着することとすると、このYAG溶接の際に各光学部品に僅かな位置ずれを生じる場合があるが、この実施の形態によれば、トレランスが大きいために、YAG溶接を用いて量産化を促進することができるという効果も得られる。
【0032】
なお、この実施の形態では、光ファイバFBの入射端面INを特定の曲率の凸曲面に形成する場合を説明したが、本発明は、かかる形状の入射端面に限定されるものではない。要は、発光素子からの出射光の出射パターンの形状を円形状に直して光ファイバ中に入射させる屈折率分布を有する形状、例えば、非球面レンズ形状や、複数の入射角に設定された多角形の入射面形状にしてもよい。また、前記集光レンズ26を非球面レンズにして、コリメータレンズ16により生じる非点収差を改善するようにしてもよい。
【0033】
また、この実施の形態では、コリメータレンズ16と集光レンズ26を備える構造を説明したが、本発明は、コリメータレンズ16は必要に応じて配設すればよく、発光素子LDから出射される出射光を収束して、光ファイバFBの光入射端面INに入射させる少なくとも一個のレンズを備えればよい。
【0034】
更に、光ファイバFBに代えて図5に示す光ファイバFB’を用いてもよい。図5は、光入射端面IN近傍の直径が拡大されたコアCOREを有する光ファイバFB’を示す。すなわち、光ファイバFB’は、光入射端面INの中心からその長手方向に沿って直径が小さくなるように延びるコアCOREを有しており、この光ファイバFB’を用いると、更に結合効率及びトレランスを向上させることができる。長さLのコア径拡大領域のモードフィールド径MFDは、光入射端面INを通過することによって光軸に垂直な断面形状が円形に補正された入射光がコア径拡大領域Lに整合するように調整されている。
【0035】
この光学系においては、光ファイバFB’のs軸方向の軸ずれトレランスΔyは、レンズ系16,26の倍率mに略比例する。すなわち、Δy≒k×m(kは係数)である。
【0036】
詳説すれば、光ファイバFB’のp軸、s軸方向の軸ずれトレランスΔx、Δyは、それぞれ以下の式を満たす。
【0037】
Δx=0.5×(ln10/10)0.5×MFD
Δy=0.5×(ln10/10)0.5×MFD
×(1/{(πMFD2/4λ)2×((n−1)/R)2+1}0.5)
但し、Rは、光入射端面INの曲率半径の最小値、すなわち、光ファイバFB’の縦断面内における光入射端面INの曲率半径であり、nはコアCOREの屈折率、λは光の波長である。
【0038】
トレランスΔyを増加させるためには、倍率mを増加させればよい。しかしながら、倍率mを増加させると、上記光の整合をとるためにモードフィールド径MFDは増加させる必要がある。すなわち、m=j×MFD(jは係数)である。光ファイバFB’のコア径を拡大することによって、モードフィールド径MFDを増加させることができるので、トレランスΔyを増加させることができる。
【0039】
なお、光軸に対して回転対称な2つのレンズ系16,26の倍率mは、m=F2/F1×G(F1)で与えられる。但し、F1は、コリメータレンズ16の焦点距離、F2は集光レンズ26の焦点距離、G(F1)はF1の関数である。したがって、コリメータレンズ16の焦点距離F1を短くするか、又は集光レンズ26の焦点距離F2を長くすることにより、倍率mを増加させることができる。また、レンズ系が集光レンズ26のみで構成されている場合には、レーザLDをレンズ26に近づけることにより、倍率mを増加させることができる。換言すれば、関数G(F1)は、F2に依存しないので、F2を増加させることにより、倍率mを増加させることができるので、モードフィールド径MFDを増加させることができ、したがって、トレランスΔx、Δyを増加させることができる。
【0040】
また、結合損失は、モードフィールド径MFDと曲率半径Rとの関係に依存し、曲率半径Rが光入射端面IN上のモードフィールド径MFDの0.5倍乃至2倍でない場合は、結合損失は著しく増加する。したがって、曲率半径Rは光入射端面IN上のモードフィールド径MFDの0.5倍乃至2倍であることが好ましい。
【0041】
焦点距離F1を0.74mm、焦点距離F2を2.5mm、曲率半径Rを17μm、光入射端面IN上のモードフィールド径MFD,コア径CDを20μm,14μm、コア非拡大部のコア径を7μm、比屈折率差を0.3%にした場合のトレランスΔyは1.1μmであり、結合損失は少なくとも1dB以下である。このトレランスΔyから予想される組立損失は0.8dBである。また、コア径CDが7μmよりも大きい場合は、コア径CDの方がモードフィールド径MFDよりも大きく、コア径CDが7μmよりも小さい場合は、コア径CDの方がモードフィールド径MFDよりも小さいので、コア径CDを適宜調整することにより、所望のモードフィールド径MFDを得ることができる。
【0042】
次に、コア径拡大領域Lの製造方法について説明する。まず、図6に示すような直径7μmのシングルモード光ファイバSMFを用意する。次に、図7に示すように、光ファイバSMFの端面から5mm以下の領域を加熱し、コアCORE内のドーパントをクラッドCLAD内に拡散させ、端面IN内のコア径CDが10乃至15μmにされた光ファイバFB’の中間体を製造する。更に、図5に示した形状になるように、端面INを研磨し、光ファイバFB’が完成する。
【0043】
以上、説明したように、上記光モジュールは、発光素子の光出射端面に対向して配置されて前記光出射端面より出射される出射光を収束する集光レンズと、前記出射光の出射パターンの形状を円形に補正するレンズ形状に加工された入射端面を有して前記集光レンズで収束された光束を前記入射端面にて入射する光ファイバとを備える。
【0044】
また、前記発光素子の光出射端面と前記集光レンズとの間に、前記発光素子からの出射光を平行光束にして前記集光レンズへ出射するコリメータレンズを備える構造とした。
【0045】
発光素子から出射される出射光が、集光レンズで収束されて光ファイバの入射端面に入射する。発光素子の光出射端面と光ファイバの入射端面との間に位置ずれが生じても、集光レンズで出射光を収束して光ファイバの入射端面へ入射させることにより、前記位置ずれを緩和、抑制して、光ファイバの入射端面に入射させる。また、出射パターンが楕円状の出射光は、入射端面において楕円状から円形状に補正されて入射するため、モード径の不整合が改善され、結合効率を向上させる。
【0046】
また、前記発光素子の光出射端面と前記集光レンズとの間に、前記コリメータレンズを備えると、発光素子から放射角をもって出射される出射光が、コリメータレンズで平行光束にされて集光レンズに入射するため、集光レンズで収束された光束の光ファイバ入射端面への入射位置が均一化される。つまり、集光レンズからの光束が光ファイバの入射端面に入射する位置は、発光素子と光ファイバの入射端面との位置ずれの影響を更に受けなくなり、結合効率が向上する。
【0047】
また、コア拡大領域Lを形成することとすると、コア径の異なる種類の光ファイバであっても、そのモードフイールド径MFDは、上記コア拡大工程によって調整することができるため、異なる光ファイバ毎の結合効率を等しくすることができる。また、コアを拡大することで、凸曲面INの曲率半径を大きくすることができ、したがって、凸曲面INの加工が容易となり、更に、その機械的強度を向上させることができる。
【0048】
【発明の効果】
本光モジュールの光ファイバは、横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させるので、光ファイバへの入射光を高い結合効率でそのコア内に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態の光モジュールの構造を模式的に示す説明図。
【図2】第2実施の形態の光モジュールの(A)横断面図及び(B)縦断面図。
【図3】図2に示す要部構造を模式的に示す説明図。
【図4】軸方向(ファイバFB長手方向)のずれ(μm)に対する相対結合損失(dB)の関係を示すグラフ。
【図5】コア径が拡大された光ファイバFB’の斜視図。
【図6】シングルモード光ファイバFBの斜視図。
【図7】光ファイバFB’中間体の斜視図。
【符号の説明】
LD…半導体発光素子、IN…光入射端面、FB…光ファイバ。
Claims (6)
- 近視野パターンが横長の半導体発光素子と、前記半導体発光素子に対向し、前記横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させる光入射端面を有する光ファイバと、前記半導体発光素子の光出射端面と前記光ファイバの前記光入射端面との間に配置された集光レンズとを備え、
前記光ファイバの入射端面で楕円状の光束を円形状に補正して入射することにより、モード径の不整合が改善されるとともに、
前記集光レンズの焦点位置からずれた位置に結合損失が最小となる前記光ファイバの入射端面の基準位置を有し、前記光ファイバの入射端面が前記基準位置近傍に位置するように、前記集光レンズの焦点位置から所定距離ずらして配置されていることを特徴とする光モジュール。 - 前記光ファイバはシリンドリカルレンズ付き光ファイバであることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
- 前記光ファイバの前記光入射端面は、その曲率中心を規定する軸の回りに湾曲した曲面を有し、前記軸は前記横方向に平行であって前記光ファイバのコアと交差しており、横方向に沿った光強度分布よりも縦方向の光強度分布を大きく収束させることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
- 前記光ファイバの前記光入射端面は、その曲率中心を規定する軸の回りに湾曲した曲面を有しており、前記光ファイバは、前記軸が前記半導体発光素子からの光の最大放射角を規定する平面に垂直となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
- 前記光ファイバの前記光入射端面近傍のコア径が拡大されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
- 前記半導体発光素子の前記光出射端面と前記集光レンズとの間に配置されたコリメータレンズを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
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