JP3821012B2 - モータの速度制御装置及びその装置を使用した車両用シート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のモータの速度制御装置及びその装置を使用した車両用シート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二台のモータを駆動源にして、車両用のシート本体を車両前後方向でスライドさせつつ水平方向に回転させることにより、シート本体を車両前方を向く「着座位置」と、この着座位置よりも前方の位置で車両側部の乗降口を向く「乗降位置」との間で移動させることができるスライド及び回転機構付き車両用シート装置が知られている。
このスライド及び回転機構付き車両用シート装置では、シート本体の移動軌跡が一定となるようにするために、シート本体が移動している間、スライド用モータ(第1モータ)と回転用モータ(第2モータ)の回転速度比率がほぼ一定となるようにモータの速度制御が行われる。
【0003】
第1モータと第2モータの速度制御は、図8に示す制御装置150によって行われる。
制御装置150は、第1モータの回転速度に応じて発生するパルス数を累積計算してシート本体のスライド位置を求め、さらに第2モータの回転速度に応じて発生するパルス数を累積計算してシート本体の回転位置を求め、前記スライド位置に対する回転位置が適正かどうかを計算し、その結果に基づいて第1モータと第2モータとの回転速度制御を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した制御装置150では、速度制御計算が複雑であり、さらにパルス数を累積計算したデータを記憶する必要があるため、シート本体の動作の途中で電源等のトラブルが発生してパルス数を累積計算したデータが消失すると、電源をオンしても速度制御を継続することができない。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、制御計算が簡易で信頼性の高いモータの速度制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、第1モータの回転数に応じてパルスを発生させる第1パルス発生手段と、第2モータの回転数に応じてパルスを発生させる第2パルス発生手段と、第2モータに供給する電力の初期値に対し、第1パルス発生手段からパルス信号が入力される毎に電力をK1だけ増加させ、第2パルス発生手段からパルス信号が入力される毎に電力をK2だけ減少させる第2モータ電力制御手段とを有しており、第1モータと第2モータとの回転速度の比がN1:N2に設定されており、第1パルス発生手段と第2パルス発生手段とのモータ単位回転数当たりの発生パルス数がそれぞれP1とP2とに設定されているときに、電力K1と電力K2との間には、N1×P1×K1=N2×P2×K2の関係が成立することを特徴とする。
【0006】
本発明によると、第2モータに供給する電力Wは、
さらに、[第1パルス発生手段からのパルス入力数]は、第1モータの実際の回転速度N1t(平均値)×P1×所定時間Tとなり、[第2パルス発生手段からのパルス入力数]は、第2モータの実際の回転速度N2t(平均値)×P2×所定時間Tとなる。
ここで、N1×P1×K1=N2×P2×K2の関係が成立するため、仮に、第1モータ及び第2モータの回転速度が一定ならば、第1モータの回転速度と第2モータの回転速度との比率がN1:N2に保持されているので、[第1パルス発生手段からのパルス入力数]×K1=[第2パルス発生手段からのパルス入力数]×K2となり、第2モータに供給する電力Wは、初期値に等しくなる。
しかし、第1モータの回転速度が減少するか、あるいは第2モータの回転速度が増加すると、第1モータの回転速度に対する第2モータの回転速度の比率が所定値(N2/N1)から増加して、[第1パルス発生手段からのパルス入力数]×K1<[第2パルス発生手段からのパルス入力数]×K2となり、第2モータに供給する電力Wは、初期値から減少する。この結果、第2モータの回転速度が減少して、第1モータの回転速度に対する第2モータの回転速度の比率が一定値(N2/N1)に収束するように制御される。
また、第1モータの回転速度が増加するか、あるいは第2モータの回転速度が減少すると、第1モータの回転速度に対する第2モータの回転速度の比率がが所定値(N2/N1)から減少して、[第1パルス発生手段からのパルス入力数]×K1>[第2パルス発生手段からのパルス入力数]×K2となり、第2モータに供給する電力Wは、初期値から増加する。この結果、第2モータの回転速度が増加して、第2モータの回転速度と第1モータの回転速度との比率が一定値(N2/N1)に収束するように制御される。
【0007】
このように、第1パルス発生手段及び第2パルス発生手段からのパルス信号が第2モータ電力制御手段に入力される毎に第2モータに供給する電力を増減させて、第1モータの回転速度に対する第2モータの回転速度の比率を一定に制御する方式のため、従来のように、第1パルス発生手段及び第2パルス発生手段で発生するのパルス数を累積計算したり、このパルス数が適正がどうかを計算する必要がなくなり、速度制御計算が簡単になる。また、パルス数を累積計算しないため、第1、第2モータの運転中に電源オフ等のトラブルが発生しても、電源をオンすれば速度制御を継続できる。即ち、第2モータ電力制御手段の信頼性が高くなる。
【0008】
また、請求項2の発明は、第1パルス発生手段で発生した先のパルスから次のパルスまでの時間が設定時間よりも短い場合にはその第1モータに供給する電力を減少させ、先のパルスから次のパルスまでの時間が設定時間よりも長い場合にはその第1モータに供給する電力を増加させる第1モータ電力制御手段を備えている。即ち、第1モータ電力制御手段により、第1モータの回転速度が設定回転速度に近づくように、その第1モータに供給する電力を調整することができ、負荷の変動等に起因した第1モータの回転速度変化を抑制することができる。
【0009】
また、請求項3に示すように、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のモータの速度制御装置を車両用シート装置に使用すれば、簡単な構成でシート本体の移動軌跡が一定になるようにすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施形態1に係るモータの速度制御装置及びその装置を使用する車両用シート装置の説明を行う。本実施形態に係る車両用シート装置は、二台のモータを駆動源にして、シート本体を車両前後方向でスライドさせつつ水平方向に回転させることにより、シート本体を車両前方を向く「着座位置」と、この着座位置よりも前方の位置で車両側部の乗降口を向く「乗降位置」との間で移動させる装置であり、それらのモータの回転速度が速度制御装置によって制御される。ここで、図1〜図3はモータの速度制御装置の速度制御方法を表すフローチャートであり、図4、図5は第2モータに供給する電力(PWM出力値)の変化等の一例を表すグラフである。また、図6はモータの速度制御装置のブロック図、図7は車両用シート装置の分解斜視図である。
【0011】
車両用シート装置1は、図7に示すように、車室の床部(図示されていない)に水平に固定されるスライド支持台10を備えており、そのスライド支持台10上にスライド機構20を介してスライドテーブル40が車両の前後方向にスライド可能な状態で設置されている。また、スライドテーブル40上には、回転機構50を介してシートフレーム3が設置されており、そのシートフレーム3にシート本体2が載置されている。
【0012】
スライド機構20は、スライドテーブル40がスライド支持台10に対して車両の前後方向に移動できるように保持する左右一対の保持機構22と、そのスライドテーブル40をスライド支持台10に対して移動させる移動機構30とから構成されている。
保持機構22は、車両前後方向に延びるレール状の固定側保持部材24と、その固定側保持部材24に沿ってスライド可能な移動側保持部材26とから構成されており、左右の固定側保持部材24がスライド支持台10の両端部に固定されている。
【0013】
左右の移動側保持部材26は、左右の固定側保持部材24によって幅方向両側から挟まれた状態でスライドテーブル40の下面に固定されている。固定側保持部材24の内側面と移動側保持部材26の外側面とは互いに対向しており、その内側面と外側面とに長手方向に延びるV字溝24a,26aが形成されている。そして、両V字溝24a,26aの間に多数の鋼球(図示されていない)が嵌め込まれている。これにより、移動側保持部材26は固定側保持部材24に対して前後方向にスライド可能、かつ上下動不能に保持される。
【0014】
移動機構30は、車両前後方向に延びるネジ軸31と、そのネジ軸31に螺合するスライドナット33と、ネジ軸31を軸回りに正転あるいは逆転させる第1モータ35とから構成されている。ネジ軸31は、回転可能な状態で軸受け部材32に支持されており、その軸受け部材32が前記車室の床部に固定されている。なお、軸受け部材32の内側には、第1モータ35の回転力をネジ軸31に伝達する動力伝達部材(図示されていない)が設けられている。
スライドナット33の上部にはブラケット33bが固定されており、そのブラケット33bがスライドテーブル40の下面に連結されている。
【0015】
この構造により、第1モータ35が駆動し、ネジ軸31が正転あるいは逆転すると、ネジの作用でスライドナット33がネジ軸31に沿って前方あるいは後方に移動する。これによって、スライドナット33にブラケット33bを介して連結されているスライドテーブル40がそのスライドナット33と共にスライド支持台10に対して車両前後方向に移動する。
第1モータ35には、その第1モータ35の単位回転数あたりP1個のパルスを発生させるエンコーダ35e(図6参照)が設けられており、そのエンコーダ35eの出力が制御装置60に送信される。
即ち、エンコーダ35eが本発明の第1パルス発生手段に相当する。
【0016】
スライドテーブル40上に設置される回転機構50は、回転盤52を備えている。回転盤52は、外周に歯車52wを備える外輪52rと、その外輪52rの内側に収納された内輪52eとから構成されており、その外輪52rと内輪52eとが相対回転可能に保持されている。そして、回転盤52の外輪52rがスライドテーブル40の上面に固定され、内輪52eがシートフレーム3の下面に固定されている。さらに、シートフレーム3の下面には、外輪52rの歯車52wと噛合する駆動歯車54が水平回転可能な状態で装着されており、その駆動歯車54に第2モータ56が動力伝達部材56c(図6参照)を介して接続されている。
【0017】
この構造により、第2モータ56が駆動され、駆動歯車54が外輪52rの歯車52wに対して正転あるいは逆転すると、外輪52rが固定されているスライドテーブル40に対して内輪52eが固定されているシートフレーム3及びシート本体2が水平方向に回動する。
第2モータ56には、その第2モータ56の単位回転数あたりP2個のパルスを発生させるエンコーダ56e(図6参照)が設けられており、そのエンコーダ56eの出力が制御装置60に送信される。
即ち、エンコーダ56eが本発明の第2パルス発生手段に相当する。
【0018】
制御装置60は、スライド機構20の駆動源である第1モータ35の回転速度と、回転機構50の駆動源である第2モータ56の回転速度とを制御する。即ち、制御装置60が本発明の第1モータ電力制御手段及び第2電力制御手段に相当する。また、制御装置60及びエンコーダ35e,56e等が本発明のモータの速度制御装置に相当する。
【0019】
次に、図1から図3のフローチャート図等に基づいて、第1モータ35と第2モータ56との速度制御方法を説明する。ここで、フローチャートに示す各処理は制御装置60内のCPU(図示されていない)が実行する。
先ず、操作スイッチ(図示されていない)がONされると(図1のステップ101)、制御装置60から第1モータ35に電力(初期値W10)が供給され、第1モータ35が駆動される(ステップ102)。ここで、初期値W10は、第1モータ35を予め設定された回転速度N1(以下、設定回転速度N1という)で回転させるために必要とされる理論電力値である。
【0020】
また、制御装置60から第2モータ56に電力(初期値W20)が供給され、第2モータ56が駆動される(ステップ103)。ここで、初期値W20は、第2モータ56を予め設定された回転速度N2(以下、設定回転速度N2という)で回転させるために必要とされる理論電力値である。
なお、第1モータ35の実際の回転速度をN1t、第2モータ56の実際の回転速度をN2tとして以下の説明を行う。
第1モータ35及び第2モータ56に供給される電力はPWM制御法により制御される。なお、PWM制御法は、オンしているパルスの幅を変化させて、第1モータ35に供給する電力を制御する方式である。
【0021】
第1モータ35の速度制御は、図2のステップ111からステップ116の処理に基づいて行われる。なお、第1モータ35の速度制御は、前記操作スイッチがONした後、所定時間が経過してから行われる。
先ず、第1モータ35のエンコーダ35eから制御装置60に入力されたパルス信号間の時間Ts、即ち、先のパルス信号から今回入力されたパルス信号までの時間Tsが測定される(ステップ111)。次に、測定時間Tsと設定時間T0とが比較される(ステップ112)。ここで、設定時間T0は、第1モータ35が設定回転速度N1で回転しているときのパルス信号間の時間である。
【0022】
測定時間Tsが設定時間T0よりも大きい場合、即ち、第1モータ35の回転速度が設定回転速度N1より低い場合には(ステップ114 YES)、第1モータ35のPWM出力値を一定量Hだけ増加させる(ステップ115)。これによって、第1モータ35の回転速度が上昇し、第1モータ35の回転速度は設定回転速度N1に近づくようになる。
【0023】
また、測定時間Tsが設定時間T0よりも小さい場合、即ち、第1モータ35の回転速度が設定回転速度N1より高い場合には(ステップ114 NO)、第1モータ35のPWM出力値を一定量Hだけ減少させる(ステップ116)。これによって、第1モータ35の回転速度が低下し、第1モータ35の回転速度は設定回転速度N1に近づくようになる。
このように、第1モータ35の駆動中に、ステップ111からステップ116までの処理が繰り返し実行されることにより、第1モータ35の回転速度が設定回転速度N1に保持されるように、その第1モータ35の速度制御が行われる。
【0024】
次に、図3〜図5に基づいて、第2モータ56の速度制御について説明する。
第2モータ56の速度制御も前記操作スイッチがONした後、所定時間が経過してから行われる。
速度制御開始後に、第1モータ35のエンコーダ35eから制御装置60に最初のパルス信号が入力されると(ステップ121 YES)、第2モータ56のPWM出力値S(0)(=初期値W20)に電力K1が加算される(ステップ122)。ここで、前記パルス信号は最初のパルス信号であるため、nは1に設定される。したがって、この時の第2モータ56のPWM出力値S(1)=初期値W20+K1となる。
【0025】
次に、第1モータ35のエンコーダ35eから制御装置60に2番目のパルス信号が入力されると(ステップ121 YES)、第2モータ56のPWM出力値S(1)に電力K1が加算される(ステップ122)。したがって、この時の第2モータ56のPWM出力値S(2)=S(1)+K1となる。なお、
第2モータ56のPWM出力値S(2)は、初期値W20+2×K1で表すことができる。
【0026】
次に、第2モータ56のエンコーダ56eから制御装置60に3番目のパルス信号が入力されると(ステップ123 YES)、第2モータ56のPWM出力値S(2)から電力K2が減算される(ステップ124)。したがって、第2モータ56のPWM出力値S(3)=S(2)−K2となる。ここで、前記PWM出力値S(3)は、初期値W20+2×K1−K2で表すことができる。
したがって、一般的に、第2モータ56のPWM出力値S(n)は、初期値W20+[第1モータ35のパルス信号入力個数]×K1−[第2モータ56のパルス信号入力個数]×K2…▲1▼式で表すことができる。
【0027】
ここで、第1モータのパルス信号が入力されることで加算される電力K1と第2モータのパルス信号が入力されることで減算される電力K2との間は、次の関係が成立している。
即ち、N1×P1×K1=N2×P2×K2…▲2▼式となる。前述のように、N1は、第1モータ35の設定回転速度であり、N2は、第2モータ56の設定回転速度である。また、P1は第1モータ35の単位回転数当たりのパルス信号数、P2は第2モータ56の単位回転数当たりのパルス信号数である。このため、第1モータ35と第2モータ56とが所定時間Tの間それぞれ設定回転速度N1,N2で回転していれば、[第1モータ35のパルス信号入力個数]=N1×P1×T…▲3▼式となり、[第2モータ56のパルス信号入力個数]=N2×P2×T…▲4▼式となる。
【0028】
したがって、上記▲1▼式に、▲2▼式、▲3▼式及び▲4▼式を代入すると、
第2モータ56のPWM出力値S(n)=初期値W20となる。これによって、第2モータ56の回転速度は設定回転速度N2に保持される。
しかし、例えば、第1モータ35の回転速度N1tが設定回転速度N1より低くなると、設定回転速度N1で回転している場合よりも[第1モータ35のパルス信号入力個数]が少なくなるため、▲1▼式における[第1モータ35のパルス信号入力個数]×K1は、[第2モータ56のパルス信号入力個数]×K2よりも小さくなる。
【0029】
即ち、[第1モータ35のパルス信号入力個数]×K1−[第2モータ56のパルス信号入力個数]×K2=α とすれば、
第2モータ56のPWM出力値S(n)は、S(n)=初期値W20−αで表される。このように、第2モータ56のPWM出力値S(n)が初期値W20よりαだけ小さくなるため、第2モータ56の回転速度N2tも設定回転速度N2から低下する。
【0030】
逆に、第1モータ35の回転速度N1tが設定回転速度N1から上昇すると、設定回転速度N1で回転している場合よりも[第1モータ35のパルス信号入力個数]が多くなるため、▲1▼式における[第1モータ35のパルス信号入力個数]×K1は、[第2モータ56のパルス信号入力個数]×K2よりも大きくなる。
即ち、[第1モータ35のパルス信号入力個数]×K1−[第2モータ56のパルス信号入力個数]×K2=βとすれば、
第2モータ56のPWM出力値S(n)=初期値W20+βで表される。
【0031】
このように、第2モータ56のPWM出力値S(n)が初期値W20よりβだけ大きくなるため、第2モータ56の回転速度N2tは設定回転速度N2から上昇する。このように、第1モータ35の回転速度N1tの増減に対応して第2モータ56の回転速度N2tが増減するため、第1モータ35の回転速度N1tに対する第2モータ56の回転速度N2tの比率(N2t/N1t)がほぼ一定値(N2/N1)に保持される。
【0032】
次に、図4、図5を使用して、第2モータの速度制御時における第2モータ56のPWM出力値S(n)の変化の様子を具体的に説明する。ここで、図4、図5のグラフは、N1:N2=2:1、P1=P2、初期値W20=100、またK1=1、K2=K1×(N1・P1÷N2・P2)=2の条件下で作成したものである。なお、初期値W20=100、K1=1及びK2=2は相対値(無単位)である。
また、図4、図5の横軸Lは時間軸であり、横軸Lの下に記載された1〜20、21〜40の数字は第2モータの速度制御(図3参照)のプログラム処理回数を表している。さらに、棒グラフがパルス信号(黒…第1モータ、白…第2モータ)の入力タイミング(一例)を表している。
【0033】
即ち、最初のプログラム処理時(L=1 図4参照)には、最初のパルス信号(n=1)が第1モータ35のエンコーダ35eから入力されるため、第2モータ56のPWM出力値S(1)=初期値W20+K1=100+1=101となる。2回目のプログラム処理時(L=2)には、パルス信号が入力されないため、第2モータ56のPWM出力値はS(1)=101に保持される。3回目のプログラム処理時(L=3)には、2番目のパルス信号(n=2)が第1モータ35のエンコーダ35eから入力されるため、第2モータ56のPWM出力値S(2)=S(1)+K1=101+1=102となる。
【0034】
4回目のプログラム処理時(L=4)には、3番目のパルス信号(n=3)が第2モータ56のエンコーダ56eから入力されるため、第2モータ56のPWM出力値S(3)=S(2)−K2=102−2=100となる。
このように、所定時間内に第1モータ35のパルス信号が二個に対して第2モータ56のパルス信号が一個入力されれば、第2モータ56のPWM出力値S(n)は初期値100に収束する。即ち、第1モータ35が設定回転速度N1で回転していれば、第2モータ56も設定回転速度N2(=N1÷2)で回転するように速度制御される。
【0035】
しかし、例えば、8回目のプログラム処理時(L=8)〜12回目のプログラム処理時(L=12)に示すように、所定時間(L=8〜L=12)内に第1モータ35の回転速度N1tが上昇し、第1モータ35が設定回転速度N1で回転している場合よりも、第1モータ35のパルス信号入力個数が増加すると、第2モータ56のPWM出力値S(9)〜(12)は増加する。これによって、第2モータ56の回転速度N2tが第1モータ35の回転速度に追従して上昇し、第1モータ35に対する第2モータ56の回転速度比率(N2t/N1t)がほぼ一定値(N2/N1)に保持される。
【0036】
また、例えば、14回目のプログラム処理(L=14)〜18回目のプログラム処理時(L=18)に示すように、所定時間(L=14〜L=18)内に第1モータ35の回転速度N1tが低下し、第1モータ35が設定回転速度N1で回転している場合よりも、第1モータ35のパルス信号入力個数が減少すると、第2モータ56のPWM出力値S(14)〜(18)は減少する。これによって、第2モータ56の回転速度N2tが第1モータ35の回転速度N1tに追従して低下し、第1モータ35に対する第2モータ56の回転速度比率(N2t/N1t)がほぼ一定値(N2/N1)に保持される。
【0037】
次に、車両用シート装置1の動作を簡単に説明する。
先ず、シート本体2が車両前方を向く「着座位置」にある状態で操作スイッチがONされると、スライド機構20の第1モータ35が正転駆動され、さらに回転機構50の第2モータ56が正転駆動される。これによって、スライド機構20の働きでスライドテーブル40、回転機構50及びシート本体2がスライド支持台10に対して前進するとともに、回転機構50の働きでシート本体2がスライドテーブル40に対して左方向に水平回転する。
【0038】
このとき、車両が駐車される場所によってスライド機構20の第1モータ35に掛かる負荷は変わってくる。例えば、車両の前側が高くなるようにその車両が駐車されている場合等は、車両が水平に駐車されている場合よりも第1モータ35に掛かる負荷は増加する。このため、第1モータ35の回転速度が設定回転速度N1よりも低下し、シート本体2等のスライド速度が低下する。このとき、第2モータ56の速度制御プログラム(図3参照)が働くため、第1モータ35の回転速度が低下すると、第2モータ56のPWM出力値が減少し、第2モータ56の回転速度も低下する。
【0039】
即ち、第2モータ56の回転速度が第1モータ35の回転速度に追従して低下し、第1モータ35に対する第2モータ56の回転速度比率(N2t/N1t)がほぼ一定値(N2/N1)に保持される。このため、シート本体2等のスライド速度の低下に応じてそのシート本体2の回転速度も低下し、シート本体2のスライド位置と回転位置とが対応するようになる。
また、第1モータ35の速度制御プログラムも同時に働くため、第1モータ35の回転速度が設定回転速度N1より低下すると、第1モータ35のPWM出力値が増加し、第1モータ35の回転速度N1tが上昇して設定回転速度N1に収束するようになる。
【0040】
このようにして、シート本体2等が前進限位置までスライドし、そのシート本体2が左方向に約90°水平回動した位置で、図示されていない、前進限リミットSW、左回動限リミットSW等が動作し、第1モータ35及び第2モータ56が停止する。この位置が「乗降位置」であり、シート本体2は車両側部の乗降口方向(左方向)を向いた状態に保持される。
【0041】
シート本体2を「乗降位置」から「着座位置」まで戻すには、操作スイッチにより第1モータ35と第2モータ56とを逆転駆動させ、スライドテーブル40、回転機構50及びシート本体2をスライド支持台10に対して後退させるとともに、シート本体2をスライドテーブル40に対して右方向に水平回転させる。このとき、上記したように、第2モータ56の速度制御プログラム(図3参照)が働くため、第1モータ35の回転速度変化に追従するように第2モータ56の回転速度が制御され、第1モータ35に対する第2モータ56の回転速度比率(N2t/N1t)がほぼ一定値(N2/N1)に保持される。これによって、シート本体2のスライド位置と回転位置とが対応するようになる。また、第1モータ35の速度制御プログラムの働きで、第1モータ35の回転速度N1tは設定回転速度N1に収束するように制御される。
なお、シート本体2が「着座位置」まで戻されると、後退限リミットSW、右回動限リミットSW等が動作し、第1モータ35及び第2モータ56が停止する。
【0042】
このように、上記した車両用シート装置1におけるモータの速度制御装置では、第1モータ35の回転速度に対する第2モータ56の回転速度の比率を一定に制御するために、第1パルス発生手段(エンコーダ35e)及び第2パルス発生手段(エンコーダ56e)からのパルス信号が制御装置60に入力される毎に、第2モータ56のPWM出力値を一定量増減させるだけであるので、従来のように、第1パルス発生手段及び第2パルス発生手段より発生するパルス数を累積計算したり、このパルス数が適正かどうかを計算する必要がなくなる。このため、速度制御計算が簡単になるとともに、パルス数を累積計算したデータを記憶する必要がなく、第1、第2モータの運転中に電源OFF等のトラブルが発生しても、電源をONすれば速度制御を継続できる。即ち、第2モータ電力制御手段の信頼性が高くなる。
【0043】
なお、本実施形態における第2モータの速度制御方法では、N1:N2=2:1、P1=P2、K1=1に設定した場合を例に説明したが、N1、N2、P1、P2、K1等は任意の値に設定可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明によると、速度制御計算が簡単になり、装置の信頼性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るモータの速度制御装置の速度制御方法を表すフローチャートである。
【図2】第1モータの速度制御方法を表すフローチャートである。
【図3】第2モータの速度制御方法を表すフローチャートである。
【図4】第2モータに供給する電力(PWM出力値)の変化等を表すグラフである。
【図5】第2モータに供給する電力(PWM出力値)の変化等を表すグラフである。
【図6】モータの速度制御装置のブロック図である。
【図7】車両用シート装置の分解斜視図である。
【図8】従来のモータの速度制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 車両用シート装置
2 シート本体
20 スライド機構
35 第1モータ
35e エンコーダ(第1パルス発生手段)
50 回転機構
56 第2モータ
56e エンコーダ(第2パルス発生手段)
60 制御装置(第1モータ電力制御手段、第2モータ電力制御手段)
K1 電力増加量
K2 電力減少量
P1 第1モータの単位回転数あたりのパルス発生数
P2 第2モータの単位回転数あたりのパルス発生数
N1 第1モータの設定回転速度
N2 第2モータの設定回転速度
Claims (3)
- 第1モータの回転数に応じてパルスを発生させる第1パルス発生手段と、
第2モータの回転数に応じてパルスを発生させる第2パルス発生手段と、
第2モータに供給する電力の初期値に対し、第1パルス発生手段からパルス信号が入力される毎に電力をK1だけ増加させ、第2パルス発生手段からパルス信号が入力される毎に電力をK2だけ減少させる第2モータ電力制御手段とを有しており、
第1モータと第2モータとの回転速度の比がN1:N2に設定されており、第1パルス発生手段と第2パルス発生手段とのモータ単位回転数当たりの発生パルス数がそれぞれP1とP2とに設定されているときに、電力K1と電力K2との間には、N1×P1×K1=N2×P2×K2の関係が成立することを特徴とするモータの速度制御装置。 - 請求項1記載のモータの速度制御装置であって、
第1パルス発生手段で発生した先のパルスから次のパルスまでの時間が設定時間よりも短い場合にはその第1モータに供給する電力を減少させ、先のパルスから次のパルスまでの時間が設定時間よりも長い場合にはその第1モータに供給する電力を増加させる第1モータ電力制御手段を備えていることを特徴とするモータの速度制御装置。 - シート本体をほぼ水平に回転させる回転機構の駆動源として使用される第2モータと、
前記シート本体を前記回転機構と共に車両の前後方向にスライドさせるスライド機構の駆動源として使用される第1モータと、
前記シート本体が車両前方を向く着座位置から前方にスライドする過程で車両側部の乗降口に向く乗車位置まで回転するように、スライド機構の第1モータと回転機構の第2モータとの回転速度を制御するモータの速度制御装置とを有しており、
前記モータの速度制御装置には、請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたモータの速度制御装置が使用されていることを特徴とする車両用シート装置。
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