JP3819973B2

JP3819973B2 - 繊維製品の製造方法

Info

Publication number: JP3819973B2
Application number: JP29825796A
Authority: JP
Inventors: 孝志米田; 正二佐野
Original assignee: 株式会社ツーウイン; 岡本商事株式会社
Priority date: 1996-10-21
Filing date: 1996-10-21
Publication date: 2006-09-13
Anticipated expiration: 2016-10-21
Also published as: JPH10131057A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、防虫、防菌、脱臭等の機能を有する竹酢液を繊維表面に付着させて、これらの機能を付加した繊維製品の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、各種の繊維製品に防臭や防菌等の機能を付与する場合、その機能を繊維に与えるために各種の薬剤を繊維に付着させる方法がある。付着方法は、固形の薬剤の粒子等をアクリル系樹脂等のバインダーに混合し、薬剤が混合されたバインダーを繊維に塗布し、硬化させるものであった。この方法によれば、薬剤が繊維に強固に取り付けられ洗濯等の物理的作用を受けても落ちにくいものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の場合、固体である薬剤の粒子はバインダーにより繊維に付着させることができるが、液体の薬剤をそのまま効果的に繊維に付着させることはできず、繊維に染み込んだとしても洗濯により容易に落ちてしまうものであった。また、液体の薬剤をそのままバインダーに混入させるとバインダーの接着強度を低下させたり、薬剤の効果が充分に発揮されない等の問題があった。
【０００４】
また、近年竹を炭にする際に薫煙の蒸留液（薫液）から抽出される竹酢液には、高い防虫効果、腐敗菌に対する殺菌効果、消臭効果等があることがわかり、竹酢液の抗菌剤や消臭剤としての利用方法が提案されている。
【０００５】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたもので、竹酢液を繊維に強固に付着させ、竹酢液の効果が長期間充分に発揮される繊維製品の製造方法を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この発明は、繊維表面に、竹から得られる竹酢液を含浸させた微粒子の徐放性担体を、バインダーを介して付着させた繊維製品である。この徐放性担体は竹炭から成る多孔質炭微粒子で形成され、大きな表面積、細孔容積を有している。
【０００７】
また、竹から得られる竹酢液を微粒子の徐放性担体に含浸させ、この徐放性担体をバインダーに混合し、この徐放性担体とバインダーの混合物を繊維に塗布し、そのバインダーを硬化させ、硬化後に、前記徐放性担体の表面を被ったバインダーのうち繊維の外側のバインダーを除去するために、繊維表面に紫外線照射を行なう繊維製品の製造方法である。
【０００８】
この発明の繊維製品は、竹酢液を多孔質炭微粒子の徐放性担体に含浸させ、バインダーにより繊維に付けるため、接着強度が高く繊維の使用中に徐々に竹酢液が放出され、竹酢液の効果が長期間にわたって充分に発揮される。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態の繊維製品は、合成繊繊維、半合成繊維、天然繊維等の織物、編物及びそれらの製品に、竹酢液を含浸させた徐放性担体１０を、バインダー１２により繊維１４の表面に取り付けたものである。徐放性担体１０は、竹炭、その他活性炭等の多孔質炭微粒子で形成され、多孔性微粒子で、大きな表面積（３００〜９００ｍ^２/ｇ）、細孔容積（１．０〜２．０ml/ ｇ）を有している。そして、この孔から含浸した液体が徐々に揮発して放散するものである。また、バインダー１２としてはポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が使用される。
【００１０】
この実施形態の繊維製品の製造方法は、まず、竹を炭にする際、その薫煙の蒸留液である薫液かられる竹酢液を徐放性担体１０に含浸させる。その後、徐放性担体１０をバインダー１２に混入させ充分に攪拌を行なう。そして商品となる繊維１４の表面に、徐放性担体１０が混合されたバインダー１２を付着する。
【００１１】
徐放性担体１０とバインダー１２の混合液の繊維１４への付着方法は、製品の場合はそのままバインダー１２と徐放性担体１０の混合液中に漬けるバッディング法や、この混合液を吹き付けるスプレー法で行なわれる。また生地加工の場合は、バッディング法、スプレー法の他コーティング法でも行なわれる。そして、徐放性担体１０の混合液を付着後、所定温度で乾燥しバインダー１２を硬化させる。
【００１２】
この実施形態の繊維製品によれば、竹酢液は徐放性担体１０に含浸されているため、時間とともに徐々に外部へ放出され、竹酢液の防虫効果、腐敗菌に対する殺菌効果、脱臭効果を長期間充分に発揮させるものである。そして徐放性担体１０はバインダー１２により強固に繊維１４表面に接着されているため、洗濯や摩擦等の刺激を受けても落ちにくく、耐久性に優れている。そして竹酢液によれば、高い防虫効果等を有しかつ安全性の高い機能性繊維加工が可能である。
【００１３】
また、徐放性担体１０として竹炭等の消臭性その他の機能を有する機能性微粒子を用いた場合、竹酢液が放散した後も、消臭性等の効果を維持することができる。
【００１４】
さらに、この発明の繊維製品は、バインダー１２の硬化後、徐放性担体１０の表面を被ったバインダー１２のうち繊維製品の外側のバインダー１２を除去するために、繊維１４を光表面処理装置にセットし、バインダー１２が取り付けられた面に紫外線照射を行なっても良い。この光表面処理装置用の紫外線光源は定圧水銀ランプ等を使用し、波長は１８４．９ｎｍと２５３．７ｎｍの２波長で、照射時間は４５〜１８０秒間とする。この場合、紫外線照射により、バインダー１２の表面が劣化され、分子間力が弱くなり、徐放性担体１０を覆うバインダー１２が剥離しやすい状態となる。このため、徐放性担体１０の表面が容易に露出され、竹酢液が放出されやすい状態となり竹酢液の効果がより早く有効に作用する。
【００１５】
なお、この発明は竹酢液に限定されず、その他の機能性薬液による機能付加加工にも使用することができる。
【００１６】
【発明の効果】
この発明の繊維製品は、竹酢液を有した徐放性担体がバインダーにより耐久性を有して繊維に付着され、竹酢液の効果が長期間にわたって充分に発揮されるものである。その結果、高い防虫効果、腐敗菌に対する抗菌効果、防臭効果を有し、なおかつ安全なものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】この実施形態の繊維製品の表面の電子顕微鏡写真のスケッチである。
【符号の説明】
１０徐放性担体
１２バインダー
１４繊維

Claims

竹を炭化する際に得られる竹酢液を、炭化した竹炭の微粒子である多孔質炭微粒子である徐放性担体に含浸させ、この徐放性担体をバインダーに混合し、この徐放性担体とバインダーの混合物を繊維に塗布し、そのバインダーを硬化させ、硬化後に、前記徐放性担体の表面を被ったバインダーのうち繊維の外側のバインダーを除去するために、繊維表面に紫外線照射を行なうことを特徴とする繊維製品の製造方法。