JP3819844B2 - 無線基地システム、同期バーストの送信制御方法および送信制御プログラム - Google Patents
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Description
この発明は無線基地システム、同期バーストの送信制御方法および送信制御プログラムに関し、特に、複数のユーザが同一周波数における1つのタイムスロットを空間多重(パス多重)してデータを送受信することができるPDMA(Path Division Multiple Access)方式の通信システムにおいて、信号の受信が絶えたユーザ端末に対し切り戻り用の同期バーストを送信する無線基地システム、そのような同期バーストの送信制御方法および送信制御プログラムに関する。
背景技術
近年、急速に発達しつつある移動通信システム(たとえば、Personal Handyphone System:以下、PHS)において、周波数の有効利用を図るべく種々の伝送チャネル割当制御方法が提案されており、その一部のものは実用化されている。
特に、最近では、携帯型電話機の急速な普及により、電波の周波数利用効率を高める必要性が著しく増大し、これに対処すべくPDMA方式が提案されている。このPDMA方式は、同じ周波数における1つのタイムスロットを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送するものである。
このPDMA方式では、アダプティブアレイなどの相互干渉除去装置を用いて1つのタイムスロットを空間的に複数のチャネルに分割して、互いに干渉の小さい複数のユーザの当該タイムスロットへのパス多重接続を許容している。
より具体的に、このPDMA方式では、基地局(Cell Station:、以下、CS)は、同一周波数および同一タイムスロットのチャネルにパス多重接続された複数のユーザの移動端末装置(Personal Station:以下、PS)からの複数系統の信号電波を周知のアダプティブアレイ処理により互いに分離して抽出する。
図9は、PDMA方式におけるCSとPSとのパス多重接続状態を模式的に示した図である。図9を参照して、CS100には、たとえば当初3台のPS、すなユーザAのPS10、ユーザBのPS20、およびユーザCのPS30がパス多重接続されていたものとする。
ここで、ユーザAの圏外への移動や干渉などによる伝送路の劣化など、何らかの原因により、矢印(X)で示すようにPS10の接続先のCS100との接続が切断された場合、当該PS10は、矢印(Y)の破線で示すように別のCS200との接続を確立しようとする(いわゆるハンドオーバ)。
一方、当該PS10からの電波を受信できなくなった元の接続先のCS100は矢印(Z)で模式的に示すように、当該PS10との接続を再確立するための同期バースト、すなわち切り戻り用の同期バーストを数十秒という期間にわたって、所定レベルで送信する。
PS10が、何らかの原因でCS200との接続を確立できなかった場合、PS10は接続先をCS100に戻そうとする。上述の切り戻り用の同期バーストはこの際の目印となる同期バーストであり、PS10はこの切り戻り用の同期バースト(Z)を認識することができればCS100との同期を再確立し、さらに所定のシーケンスを介してCS100との通話チャネルを再確立する。一方、PS10がこの切り戻り用の同期バースト(Z)を認識できなかった場合には、CS100との同期を再確立することができず、PS10はいずれのCSとも接続できなくなり、通話チャネルが切断されてしまうことになる。
ここで、一般に、CSとPSとの接続が確立されている場合には、周知のアダプティブアレイ処理によりCSからPSに対して送信指向性を伴って電波が送信され、この電波が当該CSに多重接続中の他のPSに干渉を及ぼすことはない。しかしながら、図9の例で説明したように、たとえばPS10がCS200へのハンドオーバによりCS100と切断されている期間中(数秒から数十秒の期間)は、CS100はPS10から信号電波を受信していないため、PS10への送信指向性を失っている。すなわち、PS10への送信指向性なしに、CS100から数十秒にわたって所定レベルで送信されている切り戻り用の同期バーストは、CS100にパス多重接続している他のユーザBおよびCのそれぞれのPS20およびPS30にとっては、単なる妨害波(干渉波)にすぎない。
したがって、CSからの長期間にわたる切り戻り用の同期バーストの指向性を伴わない送信は、当該CSに接続している他のPSの電波に悪影響を与えるという問題点があった。
それゆえに、この発明の目的は、切り戻り用の同期バーストが当該CSに多重接続している他のPSへ与える影響を軽減するとともに、ハンドオーバに失敗したPSが当該CSに容易に再接続することができるようにした無線基地システム、そのような同期バーストの送信制御方法および送信制御プログラムを提供することである。
発明の開示
この発明によれば、空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムは、同期バースト送信手段と、同期バースト送信レベル設定手段とを備えている。同期バースト送信手段は、複数の移動端末装置のいずれかとのパス多重接続が切断されたときに当該切断されたチャネルを介して信号フレームごとに切り戻り用同期バーストを送信する。同期バースト送信レベル設定手段は、第1の複数の連続するフレームにおいて切り戻り用同期バーストの送信レベルを相対的に大きなレベルに設定し、第2の複数の連続するフレームにおいて切り戻り用同期バーストの送信レベルを相対的に小さなレベルに設定し、第1の複数の連続するフレームおよび第2の複数の連続するフレームからなるフレーム周期で送信レベルの設定を周期的に繰返す。
好ましくは、同期バースト送信手段は、パス多重接続が切断された移動端末装置が複数存在するとき、フレーム周期で送信レベルが設定された切り戻り用同期バーストをそれぞれの移動端末装置ごとに時分割的に送信する。
より好ましくは、相対的に小さなレベルは0レベルである。
より好ましくは、無線基地システムは、同期バースト送信手段が切り戻り用同期バーストを送信している期間中、複数の移動端末装置の他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させる送信レベル変更手段をさらに備える。
この発明の他の局面に従うと、空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムにおける同期バースト送信制御方法は、複数の移動端末装置のいずれかとのパス多重接続が切断されたときに当該切断されたチャネルを介して信号フレームごとに切り戻り用同期バーストを送信するステップと、第1の複数の連続するフレームにおいて切り戻り用同期バーストの送信レベルを相対的に大きなレベルに設定し、第2の複数の連続するフレームにおいて切り戻り用同期バーストの送信レベルを相対的に小さなレベルに設定し、第1の複数の連続するフレームおよび第2の複数の連続するフレームからなるフレーム周期で送信レベルの設定を周期的に繰返すステップとを備える。
好ましくは、同期バーストを送信するステップは、パス多重接続が切断された移動端末装置が複数存在するとき、フレーム周期で送信レベルが設定された切り戻り用同期バーストをそれぞれの移動端末装置ごとに時分割的に送信する。
より好ましくは、相対的に小さなレベルは0レベルである。
より好ましくは、同期バースト送信制御方法は、切り戻り用同期バーストを送信している期間中、複数の移動端末装置の他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させるステップをさらに備える。
この発明のさらに他の局面によれば、空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムにおける同期バースト送信制御プログラムは、コンピュータに、複数の移動端末装置のいずれかとのパス多重接続が切断されたときに当該切断されたチャネルを介して信号フレームごとに切り戻り用同期バーストを送信するステップと、第1の複数の連続するフレームにおいて切り戻り用同期バーストの送信レベルを相対的に大きなレベルに設定し、第2の複数の連続するフレームにおいて切り戻り用同期バーストの送信レベルを相対的に小さなレベルに設定し、第1の複数の連続するフレームおよび第2の複数の連続するフレームからなるフレーム周期で送信レベルの設定を周期的に繰返すステップとを実行させる。
好ましくは、同期バーストを送信するステップは、パス多重接続が切断された移動端末装置が複数存在するとき、フレーム周期で送信レベルが設定された切り戻り用同期バーストをそれぞれの移動端末装置ごとに時分割的に送信する。
より好ましくは、相対的に小さなレベルは0レベルである。
より好ましくは、同期バースト送信制御プログラムは、コンピュータに、切り戻り用同期バーストを送信している期間中、複数の移動端末装置の他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させるステップをさらに実行させる。
したがって、この発明によれば、切り戻り用同期バーストを一定の送信レベルで連続的に送信するのではなく、送信レベルの大きな期間と送信レベルが小さな(または0レベルの)期間とを交互に設け、一定周期で繰返し送信することにより、当該無線基地局(CS)に接続している他の移動端末装置(PS)への切り戻り用同期バーストの影響を軽減することができる。
また、この発明では、切り戻り用同期バーストを送信している期間中、当該無線基地局にパス多重接続している他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させるので、他の移動端末装置に対する送信電波が切り戻り用同期バーストに対する妨害波となることを防止することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、PDMA方式の通信システムにおける上り(PS→CS)回線および下り(CS→PS)回線の送信スロットの構成を模式的に示す図である。
図1において、上り回線および下り回線はそれぞれ時系列的に交互に4スロット単位でデータを送信しており、上り回線および下り回線のいずれも同じフォーマットを有している。
すなわち、任意の1スロット(ここでは先頭のスロットとする)には、制御チャネル(Control Channel:以下、CCH)信号が割当てられている。次の周波数f1のスロット2には、ユーザ1およびユーザ4がパス多重接続されており、周波数f2のスロット3にはユーザ2および5がパス多重接続されており、最後の周波数f3のスロット4にはユーザ3および6がパス多重接続されている。
図1のCSの各タイムスロットに接続される各ユーザのPSと、当該CSとの間で伝送されるユーザごとの信号のフォーマットは、たとえばPHSの規格では、図2Aおよび図2Bに示すとおりである。
すなわち、CSと、そこに接続される各PSとの間の通話チャネルが、上り/下りの各回線とも、図2Aに示す物理スロット構成を有する共通双方向制御チャネル(Signaling Control Channel:以下、SCCH)と、図2Bに示す物理スロット構成を有する情報チャネル(Traffic Channel:以下、TCH)とから構成される。
より特定的に、SCCHは、4ビットのR(過渡応答用ランプタイム)と、2ビットのSS(スタートシンボル)と、62ビットのPR(プリアンブル)と、32ビットのUW(同期ワード)と、4ビットのCI(チャネル種別)と、42ビットのCSID(CS識別符号)と、28ビットのPSID(PS識別符号)と、34ビットのI(上り/下りアイドルビット)と、16ビットのCRC(冗長巡回検査)と、16ビットのG(ガードビット)とから構成される。
このうち、CI(4ビット)と、CSID(42ビット)と、PSID(28ビット)と、I(34ビット)と、CRC(16ビット)とが、上り/下りの各回線における同期バーストを構成する。
一方、TCHは、4ビットのRと、2ビットのSSと、6ビットのPRと、16ビットのUWと、4ビットのCIと、16ビットのSSと、160ビットのIと、16ビットのCRCと、16ビットのGとから構成される。
図2Aに示すSCCHは、図2Bに示すTCHを起動して情報チャネルを確立するために用いられる。
なお、図1に示す合計8スロットで伝送信号の1フレームを構成するものとする。各スロットの時間幅は625マイクロ秒であり、したがって1フレームの時間幅は5ミリ秒となる。
次に、図3は、この発明の実施の形態によるPDMA方式のCSの構成を示す機能ブロック図である。
図2Aおよび図2Bに関連して説明したように、CSとPSとの間で送受信される信号電波は、呼接続に必要な情報を伝送する制御チャネルSCCHと、通信に使用する情報チャネルTCHとから構成される。
図3を参照して、図示しない複数のアンテナで構成されるアレイアンテナ1で受信された図示しない複数のPSからの複数系統の受信信号電波は、受信RFアンプ2において、増幅、周波数変換などの所定の受信処理が施された後、復調器3によってデジタル復調信号に変換され、受信データ処理用デジタルシグナルプロセッサ(DSP)4に与えられる。
DSP4において、デジタル復調信号に対し、周知のアダプティブアレイ処理を含む各種の処理がソフトウェア的に施され、それぞれのユーザごとに算出されたウエイトベクトルによりそれぞれのユーザの受信信号が分離抽出される。分離抽出されたそれぞれのユーザからの受信信号は、公衆回線インターフェイスI/F5を介して公衆回線6に接続される。
一方、公衆回線6からの送信信号は、公衆回線I/F5を介して送信データ作成用DSP7に与えられる。また、受信データ処理用DSP4により算出されたそれぞれのユーザのウエイトベクトルが送信データ作成用DSP7に与えられ、それぞれのユーザの送信指向性が決定される。
送信データ作成用DSP7で作成されたデジタル送信データは、変調器8でアナログ送信信号に変調され、送信RFアンプ9に与えられる。送信RFアンプ9は、複数系統の送信信号に送信処理を施し、アレイアンテナ1を介して対応するユーザのPSに、送信指向性を伴って送信する。
次に、図4は、この発明の原理を説明するためのタイミング図であり、図5ないし図8は、図3に示したこの発明の実施の形態によるCSの切り戻り用同期バーストの送信に関する制御を示すフロー図である。
先に説明したように、従来のCSでは、PSが当該CSの圏外に出たことによりまたは伝送路の干渉などにより、他のCSに接続先を切換えようとすると、当該CSは、そのPSとそれまで通信中であったチャネルにおいて下り(CS→PS)の切り戻り用同期バーストを所定時間にわたって所定レベルで送信していたが、これが当該CSに接続している他のPSに対しては妨害波(干渉波)の役目を果たしていた。
そこで、この発明の実施の形態によるCSでは、切り戻り用の同期バーストを所定期間にわたって連続して同一レベルで送信するのではなく、送信レベルにある周期で強弱を付けることにより、切り戻り用同期バーストの他のPSに対する影響を低減しようとするものである。
一例として、図4ないし図7を参照して以下に説明する実施の形態の制御例では、図4に示すように、240フレーム(1フレームが5ミリ秒なので240フレームでは1.2秒)を周期とし、そのうちの最初の連続する8フレームについては、下りの同期バーストを相対的に大きなレベルで送信し、残りの連続する232フレームについては下りの同期バーストを相対的に小さなレベルで送信する。なお、この相対的に小さなレベルを0レベルに設定すれば、最初の8フレームのみ同期バーストが送信され、残りの232フレームでは同期バーストが送信されない間欠動作が実現されることになる。
図4に示すように、このような送信レベルの強弱を240フレーム周期で与えることにより、数十秒にわたって連続するフレームで下り同期バーストを同一送信レベルで切り戻り用同期バーストとして送信する従来例に比べて、他のPSに対する切り戻り用同期バーストの影響が軽減される。
このような同期バーストの送信制御は、図3に示したCSの送信データ作成用DSP7によりソフトウェアで実現される。
次に、図5ないし図7を参照して、送信データ作成用DSP7による切り戻り用同期バーストの送信制御についてより詳細に説明する。
図5はまず、図4のCSが、あるユーザのPSが何らかの原因で他のCSへ切換わりいったこと(TCH切換)を検出して、切り戻り用同期バーストの送信を開始するまでの制御を説明するフロー図である。
図5を参照して、ステップS1において、制御が開始されると、ステップS2において、あるユーザのPSが他のCSへ切換わること、すなわちTCHチャネルを切換えることを要求するTCH切換要求をCSが受信したか否かが判断される。CSが受信したものと判断されると、ステップS5へ進み、CSは、TCH切換指示を当該PSへ送信する。
一方、ステップS2において、TCH切換要求を受信していないと判断すると、ステップS3へ進み、CSは、TCH切換条件が満たされているか否かを判断する。そして、TCH切換条件が満たされていると判断されると、ステップS5へ進み、CSはTCH切換指示を当該PSへ送信する。ステップS3において、TCH切換条件が満たされていないと判断されると、ステップS4で処理は終了する。
ステップS5でTCH切換指示が送信されると、ステップS6に進み、切換待ちタイマが0に初期化される。そして、ステップS7で切換待ちタイマのカウントをモニタしながらステップS9で当該PSが実際にTCH切換を実行したか否かを判断する。
そして、未だTCH切換を実行していないことが判断されると、ステップS11においてタイマの値を加算しながら、さらに上述のステップS7およびS9を繰返す。その間に、ステップS9において、PSがTCH切換を実行したことが判断されると、ステップS10に進み、切り戻り用同期バーストの送信を開始する。切り戻り用同期バーストの送信レベル制御については後述する。そしてステップS12で処理を終了する。
一方、上述のステップS7、S9、およびS11を繰返した結果、ステップS7において、切換待ちタイマのカウント値が所定値に達しタイムアウトと判定されると、PSが実際にTCH切換を実行しなかったものと判断して、切り戻り用同期バーストを送信することなく、ステップS8で処理を終了する。
次に、図6は、図5のステップS10において切り戻り用同期バーストの送信開始が指示された後、CSが、図4に示すように切り戻り用同期バーストの送信レベルを240フレーム周期で制御する処理を示すフロー図である。
図6を参照して、ステップS21において制御が開始されると、ステップS22において、当該フレームで切り戻り用同期バーストの送信が指示されているか否かが判断される。送信が指示されていなければ、ステップS23において、フレーム数をカウントするフレームカウンタを0に初期化して、ステップS24において処理を終了する。
一方、送信が指示されていれば、ステップS25において、当該フレームに対応してフレームカウンタに1が加算される。そして、ステップS26において、当該フレームにおいてフレームカウンタの値が240フレーム以上か否かが判断され、以上であると判断されると、ステップS27でフレームカウンタを0に初期化する。
そしてステップS28に進み、フレームカウンタの値が8フレーム以上か否かが判断される。当該フレームで、ステップS27においてフレームカウンタは0に初期化されたところなので、フレームカウンタの値は8フレーム以上ではなく、したがってステップS29に進み当該フレームにおいて相対的に大きな送信レベルで同期バーストが送信される。そして、ステップS31で当該フレームの処理を終了する。
フレームごとに図6の処理が繰返され、ステップS28でフレームカウンタの値が8に達するまで、図4に示すように連続8フレーム(フレームカウンタ値0〜7)にわたって、ステップS29において同期バーストが相対的に大きな送信レベルで送信される。
その後、あるフレームにおいて、ステップS28でフレームカウンタの値が8以上になったことが判断されると、ステップS30に進み、当該フレームにおいて相対的に小さな送信レベル(または0レベル)で同期バーストが送信される。そしてステップS31で当該フレームの処理を終了する。
さらに、フレームごとに図6の処理が継続され、ステップS26でフレームカウンタの値が240に達するまで、図4に示すように連続232フレーム(フレームカウンタ値8〜231)にわたってステップS30において同期バーストが相対的に小さい送信レベルで送信される。
その後、あるフレームにおいて、ステップS26でフレームカウンタの値が240以上になったことが判断されると、再度ステップS27でフレームカウンタを0に初期化する。そして、ステップS28でフレームカウンタの値が8に達するまで、図4に示すように、さらに連続8フレームにわたって、ステップS29において同期バーストが相対的に小さい送信レベル(または0レベル)で送信される。
以上のように、図6に示す同期バースト送信制御によれば、図4のタイミング図に示すように、切り戻り用同期バーストの送信レベルを一定のフレーム周期で、大きな期間と小さな期間(または0の期間)とに分けているので、当該CSに接続している他のPSに対する切り戻り用同期バーストの干渉波としての影響を低減することができる。
一方、当該CSに接続している他のPSに対する送信電波もまた、上記の切り戻り用同期バーストから見れば妨害波となる。したがって、切断されたPSが切り戻り用バーストを認識して当該CSとの再接続を確立しやすくするため、切り戻り用同期バースト送信期間中には、他のPSに対する送信レベルを低下させてやる必要がある。
図7は、このように切り戻り用同期バーストの送信時に他のPSへの送信レベルを制御するDSP7の送信制御処理を示すフロー図である。
図7を参照して、ステップS41において処理が開始されると、ステップS42において、同一スロットにパス多重している残りのユーザのうち、同期バースト送信レベルが大きなユーザが存在するか否かが判断される。
そのようなユーザがいなければステップS45で処理は終了する。一方、ステップS42において、送信レベルの大きなユーザの存在が判断されれば、ステップS43においてその送信レベルを下げる処理を行ない、ステップS45で処理を終了する。
このように、パス多重接続中の他ユーザへの送信レベルが、切り戻り用同期バーストに干渉波として悪影響を与えることが防止され、切断されているPSの当該CSへの再接続が容易になる。
なお、図6に示す同期バースト送信制御は、図1に関連して説明したように、各スロットにおけるユーザ多重数が2で、そのうちの1ユーザについて切り戻り用同期バーストの送信制御を行なう場合であった。しかし、たとえば各スロットに3以上のユーザが多重しており、しかもそのうちの2以上のユーザについて同時に切り戻り用同期バーストの送信を行なっている場合には、その送信周期が重なり合う場合がある。送信指向性を伴わない2以上の切り戻り用同期バーストの送信周期が重なり合うと、対応するPSがこの切り戻り用同期バーストを正確に認識してCSとの再接続を確立することが困難になる。
図8は、このような多重状態における切り戻り用同期バーストの送信レベルを制御する処理を示すフロー図である。図6の処理では、処理の1周期である240フレームをカウントするフレームカウンタと、送信レベルを大きくする期間である8フレームをカウントするフレームカウンタとを用いていたが、図8の例では、フレームカウンタを1つとして、各ユーザが送信レベル大で送信する期間を順次規定している。
たとえば、4多重のそれぞれのユーザについて切り戻り用同期バーストを送信する場合、1周期である240フレームのうち、ユーザ番号0については、フレーム0〜7の期間において送信レベルを大とし、フレーム8〜239の期間において送信レベルを小とする。次に、ユーザ番号1については、フレーム60〜67の期間において送信レベルを大とし、フレーム0〜59および68〜239の期間において送信レベルを小とする。次に、ユーザ番号2については、フレーム120〜127の期間において送信レベルを大とし、フレーム0〜119および128〜239の期間において送信レベルを小とする。次に、ユーザ番号3については、フレーム180〜187の期間において送信レベルを大とし、フレーム0〜179および188〜239の期間において送信レベルを小とする。
図8を参照して処理を具体的に説明する。ステップS51で制御が開始されると、ステップS52で、当該フレームで切り戻り用同期バーストの送信が指示されているか否かが判断される。送信が指示されていなければ、ステップS57においてフレームカウンタに1を加算して、ステップS58において処理を終了する。
一方、送信が指示されていれば、ステップS53において、1周期のフレーム数である240を多重ユーザ数で除算したフレーム数にユーザ番号を乗算したものをtmpと置く。
たとえば、上述の4多重の場合、ユーザ番号0のtmpは0であり、ユーザ番号1のtmpは60であり、ユーザ番号2のtmpは120であり、ユーザ番号3のtmpは180である。
たとえば、ユーザ番号0のとき、ステップS54においてフレームカウンタの値が、tmp=0以上でありかつtmp+8=8未満であるかが判定される。ユーザ番号0については、上述のようにこのフレーム期間においては送信レベルを大に設定するので、ステップS55に進み、相対的に大きな送信レベルでユーザ番号0についての切り戻り用同期バーストを送信する。
一方、フレームカウンタの値が上記の範囲になければ、ステップS56に進み、相対的に小さな送信レベルでユーザ番号0についての切り戻り用同期バーストを送信する。
ステップS55または56での同期バーストの送信後、ステップS57においてフレームカウンタに1を加算して、ステップS58において処理を終了する。
次に、ユーザ番号1のときには、ステップS54においてフレームカウンタの値が、tmp=60以上でありかつtmp+8=68未満であるかが判定される。ユーザ番号1については、上述のようにこのフレーム期間においては送信レベルを大に設定するので、ステップS55に進み、相対的に大きな送信レベルでユーザ番号1についての切り戻り用同期バーストを送信する。
一方、フレームカウンタの値が上記の範囲になければ、ステップS56に進み、相対的に小さな送信レベルでユーザ番号1についての切り戻り用同期バーストを送信する。
次に、ユーザ番号2のときには、ステップS54においてフレームカウンタの値が、tmp=120以上でありかつtmp+8=128未満であるかが判定される。ユーザ番号2については、上述のようにこのフレーム期間においては送信レベルを大に設定するので、ステップS55に進み、相対的に大きな送信レベルでユーザ番号2についての切り戻り用同期バーストを送信する。
一方、フレームカウンタの値が上記の範囲になければ、ステップS56に進み、相対的に小さな送信レベルでユーザ番号2についての切り戻り用同期バーストを送信する。
次に、ユーザ番号3のときには、ステップS54においてフレームカウンタの値が、tmp=180以上でありかつtmp+8=188未満であるかが判定される。ユーザ番号3については、上述のようにこのフレーム期間においては送信レベルを大に設定するので、ステップS55に進み、相対的に大きな送信レベルでユーザ番号3についての切り戻り用同期バーストを送信する。
一方、フレームカウンタの値が上記の範囲になければ、ステップS56に進み、相対的に小さな送信レベルでユーザ番号3についての切り戻り用同期バーストを送信する。
なお、当該CSに接続中のPSについては、前述の図7の制御が実行される。
以上のように、図8に示した送信制御では、多重接続ユーザのうちの4ユーザについて切り戻り用同期バーストを送信する場合、各ユーザごとに見れば図6の例と同じ240フレーム周期の送信レベルの大小制御(8フレームで送信レベル大、232フレームで送信レベル小)を、他のユーザと60フレームずつずらしながら順次時分割的に実行することにより、同期バーストの送信周期がユーザ同士で重なり合うことを防止することができ、切断されているPSのCSへの再接続が容易になる。
以上のように、この発明によれば、切り戻り用同期バーストの送信レベルを、送信レベルの大きな期間と送信レベルの小さな期間とを一定周期で交互に設けることにより、当該無線基地局(CS)にパス多重している他の移動端末装置(PS)に切り戻り用同期バーストが干渉波として影響することを低減させることができる。
また、この発明では、切り戻り用同期バーストの送信期間中は、当該CSにパス多重接続している他のPSへの送信レベルを下げるように制御することにより、切断されているPSの当該CSへの再接続の確立を容易にしている。
産業上の利用可能性
この発明によれば、無線基地局にパス多重接続している他の移動端末装置に切り戻り用同期バーストが干渉波として影響しないので、空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムにおいて有効である。
【図面の簡単な説明】
図1は、PDMA方式の通信システムにおける送信スロットの構成を模式的に示す図である。
図2Aおよび図2Bは、PSとCSとの間で伝送される信号フォーマットを示す図である。
図3は、この発明の実施の形態によるPDMA方式のCSの構成を示す機能ブロック図である。
図4は、この発明の原理を説明するためのタイミング図である。
図5は、切り戻り用同期バーストの送信を開始するまでの処理を説明するフロー図である。
図6は、切り戻り用同期バーストの送信レベルを制御する処理を示すフロー図である。
図7は、CSに接続されている他のPSに対する送信レベル制御を示すフロー図である。
図8は、切り戻り用同期バーストの送信レベルを制御する処理の他の例を示すフロー図である。
図9は、PDMA方式におけるCSとPSとのパス多重接続状態を模式的に示す図である。
Claims (12)
- 空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムであって、
前記複数の移動端末装置のいずれかとのパス多重接続が切断されたときに当該切断されたチャネルを介して信号フレームごとに切り戻り用同期バーストを送信する同期バースト送信手段(7)と、
第1の複数の連続するフレームにおいて前記切り戻り用同期バーストの送信レベルを第2の複数の連続するフレームにおける前記切り戻り用同期バーストの送信レベルに比べて相対的に大きなレベルに設定し、第2の複数の連続するフレームにおいて前記切り戻り用同期バーストの送信レベルを第1の複数の連続するフレームにおける前記切り戻り用同期バーストの送信レベルに比べて相対的に小さなレベルに設定し、前記第1の複数の連続するフレームおよび前記第2の複数の連続するフレームを交互に配するフレーム周期で送信レベルの設定を周期的に繰返す同期バースト送信レベル設定手段(7)とを備えた、無線基地システム。 - 前記同期バースト送信手段は、パス多重接続が切断された移動端末装置が複数存在するとき、前記フレーム周期で送信レベルが設定された切り戻り用同期バーストをそれぞれの移動端末装置ごとに時分割的に送信する、請求項1に記載の無線基地システム。
- 前記相対的に小さなレベルは0レベルである、請求項1に記載の無線基地システム。
- 前記同期バースト送信手段が前記切り戻り用同期バーストを送信している期間中、前記複数の移動端末装置の他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させる送信レベル変更手段をさらに備える、請求項1に記載の無線基地システム。
- 空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムにおける同期バースト送信制御方法であって、 前記複数の移動端末装置のいずれかとのパス多重接続が切断されたときに当該切断されたチャネルを介して信号フレームごとに切り戻り用同期バーストを送信するステップと、
第1の複数の連続するフレームにおいて前記切り戻り用同期バーストの送信レベルを第2の複数の連続するフレームにおける前記切り戻り用同期バーストの送信レベルに比べて相対的に大きなレベルに設定し、第2の複数の連続するフレームにおいて前記切り戻り用同期バーストの送信レベルを第1の複数の連続するフレームにおける前記切り戻り用同期バーストの送信レベルに比べて相対的に小さなレベルに設定し、前記第1の複数の連続するフレームおよび前記第2の複数の連続するフレームを交互に配するフレーム周期で送信レベルの設定を周期的に繰返すステップとを備えた、方法。 - 前記同期バーストを送信するステップは、パス多重接続が切断された移動端末装置が複数存在するとき、前記フレーム周期で送信レベルが設定された切り戻り用同期バーストをそれぞれの移動端末装置ごとに時分割的に送信する、請求項5に記載の方法。
- 前記相対的に小さなレベルは0レベルである、請求項5に記載の方法。
- 前記切り戻り用同期バーストを送信している期間中、前記複数の移動端末装置の他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させるステップをさらに備えた、請求項5に記載の方法。
- 空間的に分割された複数のチャネルを介してパス多重接続している複数の移動端末装置との間で信号を送受信する無線基地システムにおける同期バースト送信制御プログラムであって、コンピュータに、
前記複数の移動端末装置のいずれかとのパス多重接続が切断されたときに当該切断されたチャネルを介して信号フレームごとに切り戻り用同期バーストを送信するステップと、
第1の複数の連続するフレームにおいて前記切り戻り用同期バーストの送信レベルを第2の複数の連続するフレームにおける前記切り戻り用同期バーストの送信レベルに比べて相対的に大きなレベルに設定し、第2の複数の連続するフレームにおいて前記切り戻り用同期バーストの送信レベルを第1の複数の連続するフレームにおける前記切り戻り用同期バーストの送信レベルに比べて相対的に小さなレベルに設定し、前記第1の複数の連続するフレームおよび前記第2の複数の連続するフレームを交互に配するフレーム周期で送信レベルの設定を周期的に繰返すステップとを実行させる、プログラム。 - 前記同期バーストを送信するステップは、パス多重接続が切断された移動端末装置が複数存在するとき、前記フレーム周期で送信レベルが設定された切り戻り用同期バーストをそれぞれの移動端末装置ごとに時分割的に送信する、請求項9に記載のプログラム。
- 前記相対的に小さなレベルは0レベルである、請求項9に記載のプログラム。
- 前記切り戻り用同期バーストを送信している期間中、前記複数の移動端末装置の他の移動端末装置に対する送信レベルを低下させるステップをさらに備えた、請求項9に記載のプログラム。
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