JP3819527B2 - シート用クッション体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシート用クッション体、特に、シートおよびシートバックの少なくとも一方に用いられるクッション体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬さの異なる複数の素材を用いて部分的にクッション性を変えたシート用クッション体が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のクッション体は、クッション性の変化範囲が比較的狭く、そのため体圧分布に応じたクッション性を得ることが困難である。また複数の素材を用いることから材料費が嵩むと共に製造工程が複雑となり、クッション体の製造コストが高い、という問題もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は体圧分布に応じたクッション性を得ることが可能であり、且つ製造コストを低減し得る前記クッション体を提供することを目的とする。
【0005】
前記目的を達成するため本発明によれば、シートおよびシートバックの少なくとも一方に用いられるシート用クッション体であって、軟質弾性体と、その軟質弾性体と組み合わせて使用されて該軟質弾性体の単独使用の場合よりもクッション体のばね性を高めることができる繊維マットとよりなり、前記繊維マットは、クッション体の厚さ方向に各々延び且つ相互に並列する複数の筒状セルを内部に有しており、前記軟質弾性体は、前記筒状セル内に浸透するように未硬化の状態で前記繊維マットに付与されて硬化したものであり、前記軟質弾性体の前記繊維マットへの付与量は、前記シートおよびシートバックの少なくとも一方における体圧分布に応じて設定されていることを特徴とするシート用クッション体が提供される。
【0006】
繊維マットに対する軟質弾性体の付与量を変化させると、クッション体のクッション性が変化する。そこで、体圧分布に応じて軟質弾性体の付与量を変化させれば、体圧分布に応じた最適なクッション性を得ることが可能である。
【0007】
また繊維マットにおける各セル内には、軟質弾性体よりなる柱状体が形成されると共にその柱状体の周囲にはセルを形成する隔壁と軟質弾性体とよりなる複合体が存在するので、クッション体はその厚さ方向と直交する方向において形状保持性を発揮し、これによりクッション体の使用に伴って発生するクリープ等の弊害を軽減することができる。しかも上記繊維マットを軟質弾性体と併用することで、軟質弾性体の単独使用の場合よりもクッション体のばね性を高めることができる。
【0008】
さらに、使用する軟質弾性体は一種のみでよく、これは製造工程の簡素化をもたらす。これによりクッション体の製造コストを低減することができる。
【0009】
本発明は前記クッション体を容易に量産し得る前記製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
前記目的を達成するため本発明によれば、複数のノズルと、各ノズルに設けられた開閉弁とを有する射出機を用いて、未硬化の前記軟質弾性体を前記繊維マットに付与するクッション体の製造方法が提供される。
【0011】
前記射出機によれば、繊維マットに対する軟質弾性体の付与を効率良く行うと共に開閉弁の開放時間を調節することにより軟質弾性体の付与量を容易に変化させることが可能である。これにより前記クッション体を容易に量産することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜3において、車両用バケット型シートに用いられるクッション体1は、内部に厚さ方向に延びる複数の筒状セル2を有する繊維マット3と、それら筒状セル2内に浸透するように繊維マット3に付与して硬化させた軟質弾性体4とよりなる。
【0013】
繊維マット3としては、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維を用いて編成または製織されたものであって、図3に明示するように、第1層5と、それと対向する第2層6とそれら両層5,6間を繋ぐと共に複数の筒状セル2を形成する隔壁7とよりなる三次元構造体が適している。
【0014】
この場合、軟質弾性体4の付与量は、繊維マット3全体に亘り一定ではなく変化させてある。
【0015】
例えば、図4(a)に示すように、第1クッション部81 では軟質弾性体4が各筒状セル2一杯に充填されている。また図4(b)に示すように、第2クッション部82 では、第1クッション部81 と同一構造のもの9の受圧面10側に、軟質弾性体4よりなる複数の突起11が設けられている。さらに図4(c)に示すように、第3クッション部83 では、第1クッション部81 と同一構造のもの9の受圧面10側に軟質弾性体4のみからなる積層部12が設けられ、その積層部12の表面に、軟質弾性体4よりなる複数の突起11が設けられている。
【0016】
図5は、第1〜第3クッション部81 〜83 における荷重とストローク(縮み量)との関係を示す。図5において、線L1 〜L3 はそれぞれ第1〜第3クッション部81 〜83 に該当し、また線L4 は軟質弾性体4のみからなるものに該当する。図5より、同一ストロークに対する荷重は第1〜第3クッション部81 〜83 の順に低くなり、軟質弾性体4のみの場合が最低となる。つまり、各クッション部81 〜83 のばね性については、第1クッション部81 >第2クッション部82 >第3クッション部83 の関係が成立する。第3クッション部83 の変形例として積層部12の厚さを変化させたものを挙げることができ、この場合、積層部12の厚さが厚くなる程ばね性が低くなる。
【0017】
このように、繊維マット3に対して軟質弾性体4の付与量を変化させることにより、各クッション部81 〜83 のクッション性を変化させることができる。これに基づいて、軟質弾性体4の付与量をシートにおける体圧分布に応じて変化させる。
【0018】
図6はシート13における体圧分布図であり、図7(a)は図6、a−a線上における、シート13とダミー14との関係を示し、図7(b)はクッション体1の断面図で、図6、b−b線断面図に相当する。
【0019】
図7(b)において、クッション体1の前後方向構造について言えば、最大荷重が作用する部分、つまりダミー14の臀部15の支持部分は第1クッション部81 より構成され、その前側には第2,第3,第2および第3クッション部82 ,83 ,82 ,83 が順次配置される。また第1クッション部81 の後側には第2および第3クッション部82 ,83 が順次配置される。
【0020】
つまり、原則的には荷重の最も高い部分に第1クッション部81 が配置され、その荷重減少に伴いばね性の低いクッション部が配置される。
【0021】
ただし、膝部16の支持部分は荷重が最も低いにもかかわらずばね性の高い第2クッション部82 が配置されている。これは、第1クッション部81 との協働で、臀部15の座りを安定化するためである。
【0022】
前記のように構成することにより、クッション体1において体圧分布に応じたクッション性を得ることができる。
【0023】
図8は他の実施例を示し、同図(a),(b)は図7(a),(b)にそれぞれ対応する。このクッション体1において、繊維マット3としては前記のものよりも厚いものが用いられ、また部分的に空隙17が存在する。この場合、軟質弾性体4の付与量が多い程ばね性が高い。したがって図8(b)において、図7(b)と同一のクッション部には同一符号を付す。クッション体1の外周部は第1クッション部81 より枠状に構成される。なお、軟質弾性体4の量を図8(b)鎖線示のように連続的に変化させることも可能である。
【0024】
図9に示す射出機18は、クッション体1を製造すべく、繊維マット3に未硬化の軟質弾性体4を付与するために用いられる。その射出機18は、軸線を上下方向に向け、且つスクリュ19を有する射出シリンダ20と、射出シリンダ20の下部シリンダヘッド21に連なる分配ボックス22と、分配ボックス22の下面に取付けられた複数のノズル23と、各ノズル23に設けられた開閉弁24とを備えている。射出シリンダ20、分配ボックス22および各ノズル23にはそれぞれヒータ(図示せず)が設けられている。
【0025】
射出機18は上下、左右方向に移動自在であり、また各ノズル23を繊維マット3の第1または第2層5,6に刺通すことができる。さらに各開閉弁24はコンピュータによりその開放時間を調節され、これにより繊維マット3への各ノズル23による未硬化の軟質弾性体4の付与量が制御される。
【0026】
未硬化の軟質弾性体4の付与は、図7(b)の例では上方から行われ、また図8(b)の例ではその繊維マット3の下面を上方に向けた状態において上方から、つまり空隙17が存する側から行われる。
【0027】
軟質弾性体4としては、弾性効果を有する熱可塑性素材が用いられる。その未硬化の素材の硬度域は、アスカーC硬度で0〜70程度またはJIS A硬度で40以下が適当である。
〔実施例〕
縦300mm、横300mm、厚さ5mm、筒状セル2の直径5〜10mmのポリエステル製繊維マットを用意した。また未硬化の軟質弾性体として、アスカーC硬度40のコスモゲルMC04(商品名、コスモ計器社製)を用意した。コスモゲルMC04を射出機18に装入し、また繊維マット3を金型内に設置して作業を行い、図7(b)に示したものと同様のクッション体1を製造した。
【0028】
なお、本発明はシートに限らず、シートバックにも適用される。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、前記のように構成することによって、軟質弾性体を単独で使用する場合よりも高いばね性が得られ、しかも体圧分布に応じた最適なクッション性と、良好な形状維持性とを備え、且つ製造コストの安価なシート用クッション体を提供することができる。
【0030】
また本発明によれば、前記クッション体を容易に量産し得る製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クッション体の斜視図である。
【図2】 図1の2−2線断面図である。
【図3】 繊維マットの要部斜視図である。
【図4】 クッション体の各部の構造を示す断面図である。
【図5】 ストロークと荷重との関係を示すグラフである。
【図6】 シートにおける体圧分布図である。
【図7】 (a)は図6、a−a線上におけるシートとダミーとの関係を示す説明図、(b)はクッション体の一例の断面図で、図6、b−b線断面図に相当する。
【図8】 (a)は図6、a−a線上におけるシートとダミーとの関係を示す説明図、(b)はクッション体の他例の断面図で、図6、b−b線断面図に相当する。
【図9】 射出機の概略図である。
【符号の説明】
1 クッション体
2 筒状セル
3 繊維マット
4 軟質弾性体
13 シート
18 射出機
23 ノズル
24 開閉弁
Claims (2)
- シート(13)およびシートバックの少なくとも一方に用いられるシート用クッション体(1)であって、
軟質弾性体(4)と、その軟質弾性体(4)と組み合わせて使用されて該軟質弾性体(4)の単独使用の場合よりもクッション体(1)のばね性を高めることができる繊維マット(3)とよりなり、
前記繊維マット(3)は、クッション体(1)の厚さ方向に各々延び且つ相互に並列する複数の筒状セル(2)を内部に有しており、
前記軟質弾性体(4)は、前記筒状セル(2)内に浸透するように未硬化の状態で前記繊維マット(3)に付与されて硬化したものであり、
前記軟質弾性体(4)の前記繊維マット(3)への付与量は、前記シート(13)およびシートバックの少なくとも一方における体圧分布に応じて設定されていることを特徴とするシート用クッション体。 - 内部に厚さ方向に延びる複数の筒状セル(2)を有する繊維マット(3)と、前記筒状セル(2)内に浸透するように前記繊維マット(3)に付与して硬化させた軟質弾性体(4)とよりなり、シート(13)およびシートバックの少なくとも一方に用いられるシート用クッション体(1)を製造するに当り、複数のノズル(23)と、各ノズル(23)に設けられた開閉弁(24)とを有する射出機(18)を用いて、未硬化の前記軟質弾性体(4)を前記繊維マット(3)に付与することを特徴とするシート用クッション体の製造方法。
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JP08368697A JP3819527B2 (ja) | 1997-04-02 | 1997-04-02 | シート用クッション体およびその製造方法 |
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