JP3818763B2 - 泥水式シールド掘進機における支障物撤去方法 - Google Patents
泥水式シールド掘進機における支障物撤去方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、泥水式シールド掘進機において、シールド前方に出現した支障物を撤去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人口集中の著しい主要都市部においては、シールド工法により地下空間に構造物を構築する場合、地上および地下構造物の輻輳によって、既設構造物やその基礎がシールド計画線上に出現し、シールド掘進の支障物となる事例が増加している。近年、シールド工事は周辺への影響等を考慮し、密閉型シールド工法が主流となっており、この密閉型シールド掘進機ではその構造上、施工中に切羽前方の状況を直接確認することは不可能である。
【0003】
そこで、密閉型シールド工法で切羽前面に支障物が出現した場合には、従来、薬液注入等により支障物周辺の地盤改良を実施したり、チャンバ内に限定圧気をかける等の切羽安定対策を施した後、作業員が切羽へ出て支障物を撤去する方法が一般的に採用されている。また、工事計画段階から支障物が存在することが明らかな場合には、支障物を撤去し易いように開放型シールドを採用したり、途中の立坑で密閉型シールドから開放型シールドへ改造するといった方法が採用されることもある。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、切羽の安定を薬液注入等の地盤改良や圧気工法等の補助工法に依存せざるを得ず、切羽の安定性に問題がある。また、このような状況下で、作業員が狭い切羽空間に出て作業を行わなければならないことから、安全性や作業性、施工性の点においても改善策が期待されている。
【0005】
シールドトンネルの計画線上に出現する支障物の種類としては、杭および土留めがあり、これらの材質としては、H形鋼、鋼管、鋼矢板等の鋼材やRC、木材等が挙げられる。この中で、木材については、シールドマシンに取り付けられる通常のカッタービットで切削が可能であり、シールド掘進上特に大きな問題とはならない。鋼材やRCについては、単独で出現した場合には特殊な対策を施していない通常のシールドマシンで切削した事例もあるが、このような場合には切削によりカッタービットが損傷し、直後にビット交換を実施する等の対策が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
今後、都市の地下空間は増々輻輳化が予想され、トンネル計画線に支障物が出現する可能性も更に増大するものと考えられる。従って、本発明は、泥水式シールドで作業員が切羽へ出ることなくシールド前方に出現した支障物をスムーズに撤去することができる工法を提供することを発明の解決課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る泥水式シールド掘進機における支障物撤去方法は、カッタヘッド後方に設置した破砕手段により該カッタヘッドの開口部を通してシールド前方に出現した支障物を破砕し、該破砕片を前記カッタヘッド背面に位置するチャンバ内の泥水を利用してスクリューコンベアで後方の分離槽へ搬送し、該分離槽にて破砕片を系外に取り出すとともに、泥水を循環処理系に戻すことを特徴とするものである。
【0008】
前記破砕手段としては、前記スクリューコンベアで搬送可能な程度に細かく破砕可能な点で、ジョークラッシャ等の油圧式の破砕機が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら好適な実施形態を詳述する。
図1は、泥水式シールド掘進機10の要部縦断側面図であり、初めに、このシールド掘進機10の構成を説明するが、以下の説明においてシールド掘進機10の進行方向を、前方、前面などと称する。
【0010】
シールド掘進機10は、シールド11の前面に設けられた円盤状のカッタヘッド12を回転軸13を介して駆動モータ14により回転させて切羽を掘削し、かつ、送泥管15から泥水を供給して隔壁16と切羽の間のチャンバ17を加圧した泥水で満たすことにより、切羽の安定を図るとともに、掘削した土砂を泥水中に取り込み、排泥水として排泥管18を用いて流体輸送を行うものである。なお、図1において、符号19はシールドジャッキであり、符号20は構築されたトンネルの覆工体である。また、符号22、22・・はカッタヘッド12の前面に取着された多数のカッタービットである。
【0011】
本実施形態において、破砕手段30はジョークラッシャ、その他、油圧式の破砕機が好ましく、後述するスクリューコンベアで搬送可能な程度に細かく破砕することが必要である。
【0012】
破砕手段30は、チャンバ17内においてシールド11の半径方向に設けられた油圧ジャッキ等のスライド機構31にアーム32を介して接続されている。
アーム32と破砕手段30との接合部33はピン接合として、破砕手段30が360度回転可能とする。また、アーム32の中間部には、水平・垂直方向の動きを許容するヒンジ34を設ける。
なお、符号35はマンロックであり、作業員が万が一切羽に出る必要が生じた場合に備えたものである。
【0013】
チャンバ17の後方のシールド11内にはスクリューコンベア40を設け、その取入口41はチャンバ17と接続され、排出口42は仕切弁43を介して分離槽45と接続されている。符号44はスクリューコンベア40の駆動モータである。
【0014】
分離槽45は、破砕片を貯留するのに十分な大きさとし、分離槽45の下部側壁には破砕片の取出口46を設ける。分離槽45は、環流弁47を介して排泥管18に接続されている。符号48は分離槽40の底部近傍に設けた排泥水の排出弁である。
【0015】
続いて、このシールド掘進機10における支障物の撤去方法について説明する。
シールド掘進機10の前方にH形鋼等の支障物Hが出現したら、その位置を前方探査またはボーリング等により把握し、支障物Hの直前位置までシールド掘進機10で前進し、シールド断面内の支障物Hの位置を再確認する。
【0016】
図1は、カッタヘッド12に設けられた図示してない開口部から、破砕手段30が切羽前方に突出した状態を示しているが、シールド掘進機10の通常掘進時には、破砕手段30はチャンバ17内に格納され、前記開口部は鉄板等により閉塞されており、磨耗等による損傷から保護される。
【0017】
破砕手段30は、アーム32をスライド機構31に沿って移動させ、かつ、アーム32の接合部33とヒンジ34の角度を調整することにより、シールド断面のあらゆる位置に移動させることができるから、支障物Hがシールド掘進機10のいずれの位置に出現しても、これを破砕することができる。
【0018】
破砕手段30によって細かく破砕された支障物Hの破砕片はチャンバ17内の泥水と一緒に、スクリューコンベア40の取入口41から取り込まれ、分離槽45内に搬送される。分離槽45内には破砕片が堆積していき、一方、排泥水は開放状態の環流弁47を経て排泥管18から図示してない泥水処理プラントへと環流される。
【0019】
分離槽45内に大量の破砕片が堆積したら、仕切弁43と環流弁47を閉鎖し、他方、排出弁48を開放して、分離槽45内の排泥水を系外に排出した後、取出口46より破砕片を取り除く。
分離槽45内から破砕片を取り出したならば、上記バルブ操作とは逆に、取出口46と排出弁48を閉鎖し、仕切弁43と環流弁47を開放した後、掘進作業または破砕作業を繰り返す。
【0020】
【発明の効果】
本発明に係る泥水式シールド掘進機によれば、作業員が切羽へ出ることなく支障物をスムーズに切断、撤去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】泥水式シールド掘進機の要部縦断側面図である。
【符号の説明】
H 支障物
10 シールド掘進機
12 カッタヘッド
17 チャンバ
30 破砕手段
40 スクリューコンベア
45 分離槽
Claims (1)
- カッタヘッド背面に位置するチャンバ内にジョークラッシャを格納しておき、これを前記カッタヘッドの開口部から突出させた状態でシールド前方に出現した支障物を破砕し、該破砕片を前記チャンバ内の泥水を利用してスクリューコンベアで後方の分離槽へ搬送し、該分離槽にて破砕片を系外に取り出すとともに、泥水を循環処理系に戻すことを特徴とする泥水式シールド掘進機における支障物撤去方法。
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1997
- 1997-12-01 JP JP34589397A patent/JP3818763B2/ja not_active Expired - Fee Related
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