JP3818560B2 - 加硫モールド内の状態検出方法及び温度センサ並びに加硫システム - Google Patents

加硫モールド内の状態検出方法及び温度センサ並びに加硫システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ等のゴム製品を製造する際の加硫モールド内の状態検出方法及びこれに用いる温度センサ並びに加硫システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイヤを含むゴム製品を製造する際には、生ゴムに硫黄を加えたものを加硫装置の金型(以下、モールドと称する)に入れて密閉加熱し、目的に応じた弾性及び形状をもつゴム製品に加工している。
【0003】
加硫装置は、制御装置によってモールド内の温度と圧力を制御しているが、季節の違いによる周囲温度の変動などによってもモールド内の温度が変動するため、未加硫製品、即ち加硫処理が完全に終了していない製品が製造されることがあるので、ある程度の時間を加算した加硫時間を設定して製造を行っていた。
【0004】
しかし、好適な加硫時間を超過して加硫処理が行われる場合があり、製品の品質低下を招くことがあった。
【0005】
この問題を解決するための方法として、例えば特開昭63−139708号公報には、タイヤの加硫制御方法及びその装置が開示されている。
【0006】
この加硫制御方法及び装置では、タイヤの加硫中に加硫の微小時間後とに加硫金型及びブラダー内の温度からタイヤ内部の一箇所以上の場所の温度を推定することにより最小加硫度を演算し、この最小加硫度から加硫停止後の予測最小加硫度を予測して、この予測最小加硫度が目標加硫度を超えたら加硫を停止している。
【0007】
これにより、好適な加硫時間を超過しての加硫処理を防止し、製品の品質低下を回避している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の加硫制御方法及びその装置においては、加硫金型及びブラダー内の温度から加硫対象製品であるタイヤ内部の温度を推定し、さらに予測最小加硫度を予測するという、推定と予測による制御であるため、一般に普及させることが困難であった。
【0009】
最良の制御方法として一般的に考えられることは、モールド内の温度を実測して、この実測値に基づいてモールド内の温度制御を行うことである。
【0010】
しかし、加硫処理中は、加硫モールドは密閉され且つその内部は高温、高圧に保たれているため、温度センサ等をモールド内部に配置しても、センサとモールド外部とを結ぶ配線の経路を設けるのが非常に困難であった。
【0011】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、加硫モールド内部の温度や圧力等の状態を実測する加硫モールド内の状態検出方法を提供すること、またこのような実測に好適な温度センサを提供すること、さらには前記実測値に基づいて加硫制御を行う加硫システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために請求項1では、硫黄を混ぜた生ゴムをモールド内に封入して加硫処理を行っているときのモールド内の状態を検出する加硫モールド内の状態検出方法であって、少なくとも前記モールドが密閉されて加硫処理が開始された後、検出対象となる1つ以上の状態を前記モールド内に配置した1つ以上のセンサによって検出し、該検出結果を前記モールド内に配置された記憶手段に記憶し、前記加硫処理が終了して前記モールドが開放された後、前記記憶手段に記憶されている検出結果を読み出す加硫モールド内の状態検出方法を提案する。
【0013】
該加硫モールド内の状態検出方法によれば、モールドを密閉する前にモールド内に1つ以上のセンサが配置され、少なくとも前記モールドが密閉されて加硫処理が開始された後に前記センサによって検出対象となる1つ以上の状態、例えばモールド内の温度や圧力等が検出され、該検出結果は前記モールド内に配置された記憶手段に記憶される。従って、前記加硫処理が終了して前記モールドが開放された後に、前記記憶手段に記憶されている検出結果を読み出すことにより、加硫処理中におけるモールド内の状態を知ることができる。
【0014】
また、請求項2では、請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法において、前記センサによって所定時間おきに複数回状態検出を行い、該複数の検出結果を前記記憶手段に記憶する加硫モールド内の状態検出方法を提案する。
【0015】
該加硫モールド内の状態検出方法によれば、前記センサによって所定時間おきに複数回の状態検出が行われ、該複数の検出結果が前記記憶手段に記憶される。従って、加硫処理中におけるモールド内の状態の履歴を知ることができる。
【0016】
また、請求項3では、請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法において、前記記憶手段の記憶内容をアクセスするトランスポンダを前記モールド内に配置し、該トランスポンダを用いてワイアレスで前記記憶手段に記憶されている検出結果を読み出す加硫モールド内の状態検出方法を提案する。
【0017】
該加硫モールド内の状態検出方法によれば、前記モールド内に前記センサ及び記憶手段と共にトランスポンダが配置され、前記記憶手段の記憶内容はトランスポンダを用いてワイアレスでアクセスされ、前記記憶手段に記憶されている検出結果が読み出される。
【0018】
また、請求項4では、請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法において、前記検出対象となるモールド内の状態がモールド内温度である加硫モールド内の状態検出方法を提案する。
【0019】
該加硫モールド内の状態検出方法によれば、前記センサによってモールド内の温度が検知され、該検知温度が記憶手段に記憶される。
【0020】
また、請求項5では、請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法において、前記検出対象となるモールド内の状態がモールド内圧力である加硫モールド内の状態検出方法を提案する。
【0021】
該加硫モールド内の状態検出方法によれば、前記センサによってモールド内の圧力が検知され、該検知圧力が記憶手段に記憶される。
【0022】
また、請求項6では、請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法において、前記検出対象となるモールド内の状態がモールド内温度と圧力である加硫モールド内の状態検出方法を提案する。
【0023】
該加硫モールド内の状態検出方法によれば、前記センサによってモールド内の温度と圧力が検知され、該検知された温度と圧力が記憶手段に記憶される。
【0024】
また、請求項7では、本体の一部をなす温度検知部で温度を検知し該検知温度に対応した電気信号に変換して出力するセンサ本体と、前記温度検知部に密着された高熱伝導性部材と、前記センサ本体から出力された電気信号に基づいて、所定時間内における検知温度情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の記憶情報をアクセスするトランスポンダと、前記高熱伝導性部材の所定部分を除く他の部分と前記センサ本体、前記記憶手段及び前記トランスポンダとを密閉して覆う保護部材とからなる温度センサを提案する。
【0025】
該温度センサによれば、温度検知対象となる熱は前記高熱伝導性部材を介してセンサ本体の温度検知部に伝達され、該温度検知部によって温度が検知される。さらに、センサ本体は前記検知温度に対応した電気信号を出力し、該電気信号に基づいて、記憶手段によって検知温度情報が記憶される。該記憶手段に記憶された検知温度情報はトランスポンダを介して外部からワイアレスでアクセスされ読み出される。また、センサの各構成部分は前記保護部材によって密閉されて外界との直接の接触が絶たれて保護される。
【0026】
また、請求項8では、請求項7記載の温度センサにおいて、前記トランスポンダによって前記記憶手段がアクセスされ、前記記憶手段に記憶されていた検知温度情報が読み出された後に前記記憶手段の記憶内容を初期化する初期化手段を設けた温度センサを提案する。
【0027】
該温度センサによれば、前記トランスポンダを介して前記記憶手段に記憶されている検知温度の履歴情報が読み出された後に初期化手段によって前記記憶手段の記憶内容が初期化される。
【0028】
また、請求項9では、請求項7記載の温度センサにおいて、前記記憶手段は、所定時間内における検知温度の履歴情報を記憶する温度センサを提案する。
【0029】
該温度センサによれば、前記記憶手段によって所定時間内における検知温度の履歴情報が記憶される。
【0030】
また、請求項10では、加硫装置と該加硫装置の動作制御を行う制御装置とを備え、硫黄を混ぜた生ゴムを加硫装置のモールド内に封入して加硫処理を行う加硫システムにおいて、前記モールド内部の温度を検出して電気信号に変換する温度センサと、前記温度センサから出力される電気信号に基づいて、少なくとも加硫1サイクルの間の温度の実測履歴情報を電気的に記憶する実測情報記憶手段と、前記実測情報記憶手段の記憶内容をアクセスして前記実測履歴情報を送信するトランスポンダとからなる測定部を前記加硫装置のモールド内に配置すると共に、前記制御装置に、前記トランスポンダとの通信手段と、加硫1サイクルの間の好適なモールド内温度履歴情報が基準履歴情報として格納されている基準情報記憶手段と、前記通信手段によって受信した前記実測履歴情報と前記基準履歴情報とを比較し、前記実測履歴情報における温度が前記基準履歴情報における温度に近づくように前記加硫装置のモールド内温度を制御する制御手段とを設けた加硫システムを提案する。
【0031】
該加硫システムによれば、例えば前記モールドが密閉され加硫処理が開始されると、温度センサによって前記モールド内部の温度が検出されて電気信号に変換され、該電気信号に基づいて、実測情報記憶手段により少なくとも加硫1サイクルの間の温度の実測履歴情報が電気的に記憶される。
【0032】
また、制御装置の通信手段によって前記トランスポンダとの通信が行われ、これにより前記実測情報記憶手段はトランスポンダによってアクセスされて、記憶されている前記実測履歴情報がトランスポンダから制御装置の通信手段に送信される。
【0033】
これにより、前記制御装置の制御手段によって、前記通信手段によって受信した前記実測履歴情報と前記基準履歴情報とが比較され、前記実測履歴情報における温度が前記基準履歴情報における温度に近づくように前記加硫装置のモールド内温度が制御される。
【0034】
また、請求項11では、請求項10記載の加硫システムにおいて、前記測定部に、前記加硫装置のモールド内に配置され前記モールド内部の圧力を検出して電気信号に変換する圧力センサを設け、前記実測情報記憶手段は前記温度センサ及び圧力センサから出力される電気信号に基づいて、少なくとも加硫1サイクルの間の温度及び圧力の実測履歴情報を電気的に記憶すると共に、前記基準情報記憶手段には加硫1サイクルの間の好適なモールド内温度履歴情報及び圧力履歴情報が基準履歴情報として格納され、前記制御手段は前記通信手段によって受信した前記実測履歴情報と前記基準履歴情報とを比較し、前記実測履歴情報における温度と圧力が前記基準履歴情報における温度と圧力に近づくように前記加硫装置のモールド内温度と圧力を制御する加硫システムを提案する。
【0035】
該加硫システムによれば、例えば前記モールドが密閉され加硫処理が開始されると、温度センサ及び圧力センサによって前記モールド内部の温度及び圧力が検出されて電気信号に変換され、該電気信号に基づいて、実測情報記憶手段により少なくとも加硫1サイクルの間の温度及び圧力の実測履歴情報が電気的に記憶される。
【0036】
また、制御装置の通信手段によって前記トランスポンダとの通信が行われ、これにより前記実測情報記憶手段はトランスポンダによってアクセスされて、記憶されている前記実測履歴情報がトランスポンダから制御装置の通信手段に送信される。
【0037】
これにより、前記制御装置の制御手段によって、前記通信手段によって受信した前記実測履歴情報と前記基準履歴情報とが比較され、前記実測履歴情報における温度及び圧力が前記基準履歴情報における温度及び圧力に近づくように前記加硫装置のモールド内の温度及び圧力が制御される。
【0038】
また、請求項12では、請求項10又は11記載の加硫システムにおいて、前記測定部は一体形成されている加硫システムを提案する。
【0039】
該加硫システムによれば、前記測定部のセンサ、記憶手段、及びトランスポンダは一体に形成されている。
【0040】
また、請求項13では、請求項10又は11記載の加硫システムにおいて、前記加硫装置のモールド内に2つ以上の測定部を設けると共に、前記制御手段は前記通信手段が受信した2つ以上の実測履歴情報に基づいて、加硫処理制御を行う加硫システムを提案する。
【0041】
該加硫システムによれば、前記加硫装置のモールド内には、例えばそれぞれ異なる位置に2つ以上の測定部が設けられ、前記通信手段がそれぞれの測定部から受信した2つ以上の実測履歴情報に基づいて、前記制御装置の制御手段によって加硫処理の制御が行われる。
【0042】
また、請求項14では、請求項10又は11記載の加硫システムにおいて、前記通信手段は、1サイクルの加硫処理が終了して前記加硫装置のモールドが開放されたときに前記トランスポンダとの通信を行って前記実測履歴情報を受信すると共に、前記制御手段は、前記通信手段が受信した実測履歴情報に基づいて、次の1サイクルの加硫処理における制御を行う加硫システムを提案する。
【0043】
該加硫システムによれば、前記加硫装置において1サイクルの加硫処理が終了してモールドが開放されたときに、前記制御装置の通信手段により、前記トランスポンダとの通信が行われて前記実測履歴情報が受信され、該通信手段が受信した実測履歴情報に基づいて、前記制御装置の制御手段により、次の1サイクルの加硫処理の制御が行われる。
【0044】
また、請求項15では、請求項10又は11記載の加硫システムにおいて、前記制御装置に、前記実測履歴情報と前記基準履歴情報との温度差或いは圧力差が所定の閾値以上のときに前記加硫装置を停止して警報を発する異常処理手段を設けた加硫システムを提案する。
【0045】
該加硫システムによれば、前記実測履歴情報と前記基準履歴情報との温度差或いは圧力差が所定の閾値以上のときに、前記制御装置の異常処理手段によって、前記加硫装置が停止されると共に警報が発せられる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態におけるタイヤの加硫システムを示す構成図である。図において、1は加硫システムで、加硫装置10と、この加硫装置10の動作制御を行う制御装置20及び加硫モールド内の温度及び圧力を測定するための測定部30とから構成されている。
【0048】
加硫装置10は、加硫モールド11、加硫モールド11内の圧力を調節する圧力調節部12、加硫モールド11内の温度を調節する温度調節部13、加硫モールド11の開閉を行う開閉機構駆動部14及び操作パネル部15から構成されている。
【0049】
加硫モールド11は、図2に示すように、上型モールド41と下型モールド42を備え、下型モールド42は固定され、上型モールド41は加硫処理時には下型モールド42に嵌合されて内部空間が密閉状態に保たれ、グリーンタイヤの挿入及びタイヤの取り出し時に、図示せぬ開閉機構によって開放される。
【0050】
また、加硫モールド11内のタイヤ50の内側にはブラダー44が配置され、ブラダー44内には図示せぬ加圧加熱流体が図示せぬパイプを介して循環供給されるようになっている。
【0051】
さらに、ブラダー44内の所定位置には、測定部30を構成する温度センサ31と圧力センサ32が配置されている。
【0052】
制御装置20は、CPU等から構成される中央処理部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25、警報部26、及び加硫装置10に対して制御信号を送出するためのインタフェース部27から構成されている。
【0053】
中央処理部21は、予め設定されているプログラムに基づいて次の処理を行う。
【0054】
(1)通信部25を介して電波を用いて、測定部30の温度センサ31及び圧力センサ32に加硫中のモールド11内の温度と圧力の履歴を記録させて、モールド開放時にこの履歴情報を得る。
【0055】
(2)予め実験によって求めた、或いは経験値から得られた理想的な加硫処理の温度と圧力の時系列データと、(1)によって得られた温度と圧力の履歴情報とを比較して、次の加硫処理におけるモールド内温度と圧力の制御値を補正する。
【0056】
(3)上記(2)における比較の結果、実測値と理想値との間の温度或いは圧力の差が所定のしきい値以上のときは加硫装置の故障等の異常が生じたものとして警報を発生する。
【0057】
温度センサ31は、図3の平面図及び図4の側断面図に示すように、センサ本体311、チップ状のトランスポンダ本体312、コイル状のアンテナ313、電源部314、高熱伝導部材315、及びこれらを覆う樹脂からなる円柱又は角柱状保護部材316から構成されている。
【0058】
センサ本体311、トランスポンダ本体312及び電源部314は保護部材316のほぼ中心部に埋設され、アンテナ313は保護部材316の側面近傍に埋設されている。また、高熱伝導部材315は円筒状の突出部315aを有し、この突出部315aが保護部材316に挿入され、高熱伝導部材315はビス317によって固定されている。さらに、突出部315aはセンサ本体311の感温部に当接され、高熱伝導部材315によって外部温度がセンサ本体311に熱伝導されるようになっている。
【0059】
このようにセンサ本体311とトランスポンダ本体312及び電源部314が保護部材316によって保護されているので、保護部材316の耐え得る環境においての使用が可能であると共に、センサ本体311の感温部(温度検知部)には高熱伝導部材315を介して周囲の熱が伝達されるので、遅延時間をほとんど生じること無く周囲温度を検知することができる。
【0060】
圧力センサ32は、図5の平面図及び図6の側断面図に示すように、センサ本体321、チップ状のトランスポンダ本体322、コイル状のアンテナ323、電源部324、及びこれらを覆う樹脂からなる円柱状保護部材325から構成されている。
【0061】
センサ本体321、トランスポンダ本体322及び電源部324は保護部材325のほぼ中心部に埋設され、アンテナ323は保護部材325の側面近傍に埋設されている。また、センサ本体321の感圧部のみが円筒部材326によって保護部材325の表面に露出され、センサ本体321が外部圧力を検知できるようになっている。
【0062】
図7は、温度センサ31の電気系回路を示す構成図である。図において、311は温度センサ本体、312はトランスポンダ本体で、整流回路61、検波部62、中央処理部63、発信部64及びデュープレクサ65から構成されている。
【0063】
整流回路61は、ダイオード611,612、コンデンサ613、及び抵抗器614から構成され、周知の全波整流回路を形成している。この整流回路61の入力側にはデュープレクサ65を介してアンテナ313が接続され、制御装置20から送信された100〜300KHzの電波によってアンテナ313に誘起した高周波電流を整流して直流電流に変換し、蓄電器等から構成される電源部314に供給する。電源部314に蓄積された電気エネルギーは、温度センサ本体311、中央処理部63、及び発信部64の駆動電源として使用される。
【0064】
検波部62は、ダイオード621とアナログ/ディジタル(以下、A/Dと称する)変換回路622からなり、ダイオード621のアノードはデュープレクサ65を介してアンテナ313に接続され、カソードはA/D変換回路622を介して中央処理部63のCPU631に接続されている。これにより、検波部62はアンテナ313に誘起した高周波電流を検波して受信した信号を復調し、この信号をディジタル信号に変換して中央処理部63に送出する。
【0065】
中央処理部63は、周知のCPU631、記憶部632、タイマー回路633、A/D変換回路634、ディジタル/アナログ(以下、D/Aと称する)変換回路635から構成され、CPU631は電源が供給されて駆動するとEEPROM等の半導体メモリからなる記憶部632内に記憶されているプログラムに基づいて、実測処理開始命令を受信したときに、A/D変換回路634を介して温度センサ311によって所定時間の温度検出を行い、この時間内の検出温度の時間的な履歴を温度履歴情報として記憶部632に蓄積すると共に、制御装置20から情報読み出し命令を受信したときに蓄積した温度履歴情報をD/A変換回路635を介して発信部64に出力すると共に、送信終了後に記憶部632に蓄積されている温度履歴情報を消去する。
【0066】
また、記憶部632の所定アドレスには、予めトランスポンダ毎に個別に付与されたIDコードが記憶されており、トランスポンダ312はこのIDコードが指定された信号を受信したときにのみ上記処理を行う。
【0067】
発信部64は、発振回路641、変調回路642及び高周波増幅回路643から構成され、発振回路641によって発振された、例えば300MHzの搬送波を、中央処理部63から入力した信号に基づいて、変調回路642で変調して、これを高周波増幅回路643及びデュープレクサ65を介してアンテナ313に供給する。
【0068】
また、デュープレクサ65は、ローパスフィルタ65a及びハイパスフィルタ65bからなり、例えば100KHz〜300KHz程度の周波数の信号のみをローパスフィルタ65aを介してアンテナ313から整流回路61及び検波部62へ伝送し、300MHz程度の高周波信号をハイパスフィルタ65bを介して発振部64からアンテナ313へ伝送する。
【0069】
図8は、圧力センサ32の電気系回路を示す構成図である。図において、図7に示す温度センサ31と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、温度センサ31と圧力センサ32のとの相違点は、図7の温度センサ本体311に代えて圧力センサ本体321を設け、中央処理部63によって圧力を検出して記憶部632に蓄積し、この圧力履歴情報を送信するようにしたことにある。
【0070】
即ち、圧力センサ32の中央処理部63は、電源が供給されて駆動するとEEPROM等の半導体メモリからなる記憶部632内に記憶されているプログラムに基づいて、実測処理開始命令を受信したときに、A/D変換回路634を介して圧力センサ321によって所定時間の圧力検出を行い、この時間内の検出圧力の時間的な履歴を圧力履歴情報として記憶部632に蓄積すると共に、制御装置20から情報読み出し命令を受信したときに蓄積した圧力履歴情報をD/A変換回路635を介して発信部64に出力すると共に、送信終了後に記憶部632に蓄積されている圧力履歴情報を消去する。
【0071】
また、記憶部632の所定アドレスには、このトランスポンダに固有のIDコードが記憶されており、トランスポンダ312はこのIDコードが指定された信号を受信したときにのみ上記処理を行う。
【0072】
次に、前述の構成よりなる加硫システムの動作を説明する。
【0073】
本システムの一連の動作は、図9に示すように、タイヤの加硫が終了して加硫モールド11が開放された後、制御装置20から情報読み出し命令を送信して測定部30の温度センサ31及び圧力センサ32から加硫中の温度及び圧力の履歴情報を読み出す。これと並行して作業員によってモールド11内の加硫済みタイヤが取り出された後、次に加硫を行うグリーンタイヤがモールド11内に挿入される。ここで、加硫モールド11の開放から情報読み出し命令の送信開始までの時間は中央処理部21のプログラムでt1に設定されている。
【0074】
制御装置20は、温度センサ31及び圧力センサ32から読み出した温度及び圧力データに基づいて、次の加硫処理における温度及び圧力の制御値を補正する。
【0075】
次いで、加硫装置10のスタートスイッチがオンされると、制御装置20から測定部30の温度センサ31及び圧力センサ32に対して実測処理開始命令が送信され、加硫モールド11が閉鎖されて、加硫処理が開始される。このときのモールド11内の温度及び圧力は上記補正され値で制御が行われる。この後、所定時間の加硫処理が終了すると、モールド11が開放される。
【0076】
ここで、スタートスイッチがオンされてから実測処理開始命令の送信が開始されるまでの時間はt2、実測処理開始命令の送信開始から加硫モールド11の閉鎖までの時間はt3、モールド11が閉鎖されてから加硫処理が開始されるまでの時間はt4、加硫処理時間はt5、加硫処理が終了してからモールドが開放されるまでの時間はt6にそれぞれ中央処理部21のプログラムによって設定されている。
【0077】
次に、制御装置20並びに温度センサ31及び圧力センサ32の詳細な動作を図10乃至図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0078】
制御装置20の中央処理部21は、図10のフローチャートに示すように、加硫装置10の操作部15に備わるスタートスイッチがオンされたか否かを監視し(SA1)、スタートスイッチがオンされたときに、通信部25を介して温度センサ31及び圧力センサ32に対して100〜300KHzの電波によって実測処理開始命令を送信する(SA2)。このとき実測処理命令には温度センサ31及び圧力センサ32のそれぞれのトランスポンダ312,322を指定するIDコードが付記される。さらに、実測処理開始命令を送信する前に搬送波のみを所定時間送信して、温度センサ31及び圧力センサ32の電源部314,324に充電が行われる。
【0079】
実測処理開始命令の送信を終了した制御装置20の中央処理部21は、加硫モールド11を閉鎖し(SA3)、中央処理部21内に備わるタイマー(図示せず)をリセットしてスタートさせ、時間の計時を開始する(SA4)。次いで、中央処理部21は、記憶部22に記憶されている温度及び圧力の制御値に基づいて加硫モールド11内の温度と圧力を制御して変化させ加硫処理を開始する(SA5)。
【0080】
この後、中央処理部21は、タイマーの計時時間が加硫処理終了時間に達したか否かを判定し(SA6)、加硫処理終了時間に達したいときは加硫モールド11内の温度と圧力を常温常圧に戻して加硫処理を終了(SA7)した後、加硫モールド11を開放する(SA8)。
【0081】
加硫モールド11を開放した後、中央処理部21は通信部25を介して測定部30の温度センサ31及び圧力センサ32に対して情報読み出し命令を送信し(SA9)、これに対して温度センサ31及び圧力センサ32から送信された温度履歴情報及び圧力履歴情報を受信する(SA10)。
【0082】
次いで、中央処理部21は、記憶部22に記憶されている理想的な加硫処理の温度と圧力の時系列データ(理想値(基準履歴情報))と、受信して得られた温度と圧力の履歴情報とを比較する(SA11)。この比較において、温度の実測値と理想値との差が所定のしきい値以上のものがあるか否かを判定し(SA12)、しきい値以上の差を示す実測値が存在するときは後述するSA15の処理に移行する。また、温度の実測値と理想値との温度差がしきい値に達していないときは、圧力の実測値と理想値との差が所定のしきい値以上のものがあるか否かを判定し(SA13)、しきい値以上の差を示す実測値が存在するときは後述するSA15の処理に移行する。
【0083】
温度の実測値と理想値との温度差がしきい値に達していないときは、上記比較の結果に基づいて、次の加硫処理におけるモールド内温度と圧力の制御値を補正して(SA14)、前記SA1の処理に移行する。
【0084】
また、温度或いは圧力の実測値と理想値との差がしきい値以上のときは、加硫装置10の故障等の異常が生じたものとして加硫装置10を停止して(SA15)、表示部24にこの旨を表示すると共に、警報部26を介して警報を発生する(SA16)。これにより、不良製品の発生を最小限に留めることができる。
【0085】
一方、温度センサ31においては、図11のフローチャートに示すように、トランスポンダ312の中央処理部63は、制御装置20からの自己に対する実測処理開始命令を受信したか否かを監視し(SB1)、実測処理開始命令を受信しないときは後述するSB7の処理に移行し、受信したときはタイマー回路633をリセットしてスタート(SB2)させた後、加硫処理の間、1秒間隔で温度を検出してこの温度値を記憶部632に順次記憶して温度履歴情報とする。
【0086】
即ち、中央処理部63は、A/D変換回路634を介して温度センサ本体311から検出温度値を取得し(SB3)、このデータを記憶部632に蓄積する(SB4)。次いで、加硫処理の終了時間に達したか否か、即ち実測処理開始命令を受信してから時間(t3+t4+t5)が経過したか否かを判定し(SB5)、加硫処理終了時間に達したときは測定処理を終了して前記SB1の処理に移行し、加硫処理終了時間に達していないときは、前回の温度検出から1秒経過したか否かを判定し(SB6)、1秒経過したら前記SB3の処理に移行して温度検出処理を継続する。
【0087】
また、前記SB1の判定の結果、実測処理開始命令を受信しないときは情報読み出し命令を受信したか否かを判定し(SB7)、情報読み出し命令を受信したときは記憶部632に蓄積されている温度履歴情報を読み出してこれを送信する(SB8,SB9)。この後、記憶部632内の温度履歴情報を消去する(SB10)。これにより、温度履歴情報の二重読み取り等の検出誤りの発生を防止することができる。
【0088】
また、圧力センサ32においても温度センサ31とほぼ同様の処理が行われる。
【0089】
即ち、図12のフローチャートに示すように、トランスポンダ322の中央処理部63は、制御装置20からの自己に対する実測処理開始命令を受信したか否かを監視し(SC1)、実測処理開始命令を受信しないときは後述するSC7の処理に移行し、受信したときはタイマー回路633をリセットしてスタート(SC2)させた後、加硫処理の間、1秒間隔で圧力を検出してこの圧力値を記憶部632に順次記憶して圧力履歴情報とする。
【0090】
即ち、中央処理部63は、A/D変換回路634を介して圧力センサ本体321から検出圧力値を取得し(SC3)、このデータを記憶部632に蓄積する(SC4)。次いで、加硫処理の終了時間に達したか否か、即ち実測処理開始命令を受信してから時間(t3+t4+t5)が経過したか否かを判定し(SC5)、加硫処理終了時間に達したときは測定処理を終了して前記SC1の処理に移行し、加硫処理終了時間に達していないときは、前回の圧力検出から1秒経過したか否かを判定し(SC6)、1秒経過したら前記SC3の処理に移行して圧力検出処理を継続する。
【0091】
また、前記SC1の判定の結果、実測処理開始命令を受信しないときは情報読み出し命令を受信したか否かを判定し(SC7)、情報読み出し命令を受信したときは記憶部632に蓄積されている圧力履歴情報を読み出してこれを送信する(SC8,SC9)。この後、記憶部632内の圧力履歴情報を消去する(SC10)。
【0092】
前述したように本実施形態によれば、加硫モールド11内の加硫1サイクルにおける温度及び圧力の履歴情報をトランスポンダ312,322を備えた温度センサ31及び圧力センサ32によって記録しておき、加硫モールド11の開放時にこれらのトランスポンダをアクセスすることによって蓄積された温度及び圧力の履歴情報を取得して次回の加硫処理における温度及び圧力の制御値を補正しているので、加硫モールド11に測定のための配線接続等の特別な加工を施すことなく、加硫処理中における密閉されたモールド11内の温度及び圧力を正確に且つ容易に知ることができる。
【0093】
また、制御装置20によって実測した温度値及び圧力値が理想値の温度値及び圧力値に近づくようにモールド内の温度及び圧力が制御されるので、従来に比べて製造製品の外観及び物性の質を向上させることができる。
【0094】
尚、本実施形態では、測定部30を構成する温度センサ31と圧力センサ32を別体に形成したが、これらを一体形成しても良い。例えば、図13及び図1414に示すように、温度センサ本体311、圧力センサ本体321、1つのトランスポンダ本体332等を一体として保護部材336中に埋設した温度・圧力センサ33を形成し、1つのトランスポンダ本体332によって温度及び圧力の履歴情報を取得できるようにしても良い。
【0095】
また、本実施形態では、温度センサ31及び圧力センサ32をそれぞれ1個ずつ設けたが、それぞれ2つ以上設けて複数の履歴情報を取得し、これら複数の履歴情報に基づいて制御値を補正するようにしても良い。
【0096】
さらに、本実施形態では測定部30による測定対象を温度と圧力にしたが、これら以外のモールド11内の状態を検出する際にも、検出対象に合わせたセンサ本体に代えることにより、モールド内の状態の履歴を正確に且つ容易に測定することができる。
【0097】
また、本実施形態では測定部30の温度センサ31及び圧力センサ32により蓄積された履歴情報をトランスポンダを用いた通信によって制御装置20に取り込むようにしたが、トランスポンダを用いることなく、モールド11が開放されてから配線接続して履歴情報を取得するようにしても良い。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法によれば、少なくともモールドが密閉されて加硫処理が開始された後にセンサによって検出対象となる1つ以上の状態、例えばモールド内の温度や圧力等が検出され、該検出結果が前記モールド内に配置された記憶手段に記憶されるので、前記加硫処理が終了して前記モールドが開放された後に、前記記憶手段に記憶されている検出結果を読み出すことにより、加硫処理中における密閉されたモールド内の状態を正確に且つ容易に知ることができる。
【0099】
また、請求項2記載の加硫モールド内の状態検出方法によれば、上記の効果に加えて、前記センサによって所定時間おきに複数回の状態検出が行われ、該複数の検出結果が前記記憶手段に記憶されるので、加硫処理中におけるモールド内の状態の正確な履歴を容易に知ることができる。
【0100】
また、請求項3記載の加硫モールド内の状態検出方法によれば、上記の効果に加えて、前記モールド内に配置された記憶手段の記憶内容はトランスポンダによってワイアレスでアクセスされてモールド外部に向けて送信され、前記記憶手段に記憶されている検出結果が読み出されるので、検出結果の読み出し時に前記記憶手段への配線接続などを行う必要が無く、非常に簡単に検出結果の読み出しを行うことができる。
【0101】
また、請求項4記載の加硫モールド内の状態検出方法によれば、上記の効果に加えて、前記センサによってモールド内の温度が検知され該検知温度が記憶手段に記憶されるので、加硫処理中における密閉されたモールド内の温度を正確に且つ容易に知ることができる。
【0102】
また、請求項5記載の加硫モールド内の状態検出方法によれば、上記の効果に加えて、前記センサによってモールド内の圧力が検知され該検知圧力が記憶手段に記憶されるので、加硫処理中における密閉されたモールド内の圧力を正確に且つ容易に知ることができる。
【0103】
また、請求項6記載の加硫モールド内の状態検出方法によれば、上記の効果に加えて、前記センサによってモールド内の温度と圧力が検知され該検知温度及び圧力が記憶手段に記憶されるので、加硫処理中における密閉されたモールド内の温度と圧力を正確に且つ容易に知ることができる。
【0104】
また、請求項7記載の温度センサによれば、センサ本体と記憶手段及びトランスポンダが保護部材によって保護されているので、保護部材の耐え得る環境においての使用が可能であると共に、センサ本体の温度検知部には高熱伝導性部材を介して周囲の熱が伝達されるので、遅延時間をほとんど生じること無く周囲温度を検知することができる。また、センサ本体による検知温度情報は記憶手段に記憶されると共に前記記憶手段に記憶された検知温度情報はトランスポンダを介してアクセスすることができるので、ワイアレスで検知結果の読み出しを容易に行うことができ、密閉容器内部等の外界から隔離された場所における温度も容易に検出することができる。
【0105】
また、請求項8記載の温度センサによれば、上記の効果に加えて、前記トランスポンダを介して前記記憶手段に記憶されている検知温度情報が読み出された後に初期化手段によって前記記憶手段の記憶内容が初期化されるので、検知温度情報の二重読み取り等の検出誤りの発生を防止することができる。
【0106】
また、請求項9記載の温度センサによれば、上記の効果に加えて、前記記憶手段によって所定時間内における検知温度の履歴情報が記憶されるので、前記記憶手段の1回の読み取り処理によって検知対象温度の変化を正確に知ることができる。
【0107】
また、請求項10記載の加硫システムによれば、加硫装置のモールドが密閉されて加硫処理が行われている間にも、前記モールド内に配置された測定部によってモールド内の温度が検出されてその履歴情報が記憶されると共に該実測履歴情報をトランスポンダを介してワイアレスで読み出すことができるので、前記密閉状態のモールド内の温度を正確に且つ容易に検出して知ることができる。また、制御手段によって前記実測履歴情報の温度が基準履歴情報の温度に近づくように前記モールド内の温度が制御されるので、従来に比べて製造製品の外観及び物性の質を向上させることができる。
【0108】
また、請求項11記載の加硫システムによれば、上記の効果に加えて、加硫装置のモールドが密閉されて加硫処理が行われている間にも、前記モールド内に配置された測定部によってモールド内の温度及び圧力が検出されてその履歴情報が記憶されると共に該実測履歴情報をトランスポンダを介してワイアレスで読み出すことができるので、前記密閉状態のモールド内の温度及び圧力を正確に且つ容易に検出して知ることができる。また、制御手段によって前記実測履歴情報の温度及び圧力が基準履歴情報の温度及び圧力に近づくように前記モールド内の温度と圧力が制御されるので、製造製品の外観及び物性の質をさらに向上させることができる。
【0109】
また、請求項12記載の加硫システムによれば、上記の効果に加えて、前記測定部のセンサ、記憶手段、及びトランスポンダが一体に形成されているので、測定部の小型化可能となる。
【0110】
また、請求項13記載の加硫システムによれば、上記の効果に加えて、前記加硫装置のモールド内には2つ以上の測定部が設けられ、制御装置の通信手段がそれぞれの測定部から受信した2つ以上の実測履歴情報に基づいて、前記制御装置の制御手段によって加硫処理の制御が行われるので、加硫処理制御の精度を向上させることができる。
【0111】
また、請求項14記載の加硫システムによれば、上記の効果に加えて、前記加硫装置において1サイクルの加硫処理が終了してモールドが開放されたときに、制御装置の通信手段により、前記トランスポンダとの通信が行われて前記実測履歴情報が受信され、該通信手段が受信した実測履歴情報に基づいて、前記制御装置の制御手段により、次の1サイクルの加硫処理制御が行われるので、前記モールドが前記トランスポンダと通信手段との間の通信を遮断する物質によって構成されている場合にも1サイクル遅れで的確な制御を行うことができる。
【0112】
また、請求項15記載の加硫システムによれば、上記の効果に加えて、実測履歴情報と基準履歴情報との温度差或いは圧力差が所定の閾値以上のときに、前記制御装置の異常処理手段によって前記加硫装置が停止されると共に警報が発せられるので、不良製品の発生を最小限に止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における加硫システムを示す構成図
【図2】本発明の一実施形態における加硫モールドを示す構成図
【図3】本発明の一実施形態における温度センサを示す平面図
【図4】本発明の一実施形態における温度センサを示す側断面図
【図5】本発明の一実施形態における圧力センサを示す平面図
【図6】本発明の一実施形態における圧力センサを示す側断面図
【図7】本発明の一実施形態における温度センサの電気系回路を示す構成図
【図8】本発明の一実施形態における圧力センサの電気系回路を示す構成図
【図9】本発明の一実施形態における加硫処理過程を説明する図
【図10】本発明の一実施形態における制御装置の処理を説明するフローチャート
【図11】本発明の一実施形態における温度センサの測定処理を説明するフローチャート
【図12】本発明の一実施形態における圧力センサの測定処理を説明するフローチャート
【図13】本発明の一実施形態における温度・圧力センサの他の実施例を示す平面図
【図14】本発明の一実施形態における温度・圧力センサ電気系回路の他の実施例を示す構成図
【符号の説明】
10…加硫装置、11…加硫モールド、12…圧力調節部、13…温度調節部、14…開閉機構駆動部、15…操作部、20…制御装置、21…中央処理部、22…記憶部、23…操作部、24…表示部、25…通信部、26…警報部、27…インタフェース部、30…測定部、31…温度センサ、311…温度センサ本体、312…トランスポンダ本体、313…アンテナ、314…電源部、315…高熱伝導部材、316…保護部材、32…圧力センサ、321…圧力センサ本体、322…トランスポンダ本体、323…アンテナ、324…電源部、325…保護部材、33…温度・圧力センサ、61…整流回路、62…検波部、63…中央処理部、64…発信部、65…デュープレクサ。

Claims (15)

  1. 硫黄を混ぜた生ゴムをモールド内に封入して加硫処理を行っているときのモールド内の状態を検出する加硫モールド内の状態検出方法であって、
    少なくとも前記モールドが密閉されて加硫処理が開始された後、
    検出対象となる1つ以上の状態を前記モールド内に配置した1つ以上のセンサによって検出し、
    該検出結果を前記モールド内に配置された記憶手段に記憶し、
    前記加硫処理が終了して前記モールドが開放された後、
    前記記憶手段に記憶されている検出結果を読み出す
    ことを特徴とする加硫モールド内の状態検出方法。
  2. 前記センサによって所定時間おきに複数回状態検出を行い、該複数の検出結果を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法。
  3. 前記記憶手段の記憶内容をアクセスするトランスポンダを前記モールド内に配置し、該トランスポンダを用いてワイアレスで前記記憶手段に記憶されている検出結果を読み出す
    ことを特徴とする請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法。
  4. 前記検出対象となるモールド内の状態がモールド内温度であることを特徴とする請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法。
  5. 前記検出対象となるモールド内の状態がモールド内圧力であることを特徴とする請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法。
  6. 前記検出対象となるモールド内の状態がモールド内温度と圧力であることを特徴とする請求項1記載の加硫モールド内の状態検出方法。
  7. 本体の一部をなす温度検知部で温度を検知し該検知温度に対応した電気信号に変換して出力するセンサ本体と、
    前記温度検知部に密着された高熱伝導性部材と、
    前記センサ本体から出力された電気信号に基づいて、検知温度情報を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段の記憶情報をアクセスするトランスポンダと、
    前記高熱伝導性部材の所定部分を除く他の部分と前記センサ本体、前記記憶手段及び前記トランスポンダとを密閉して覆う保護部材とからなる
    ことを特徴とする温度センサ。
  8. 前記トランスポンダによって前記記憶手段がアクセスされ、前記記憶手段に記憶されていた検知温度情報が読み出された後に前記記憶手段の記憶内容を初期化する初期化手段を設けたことを特徴とする請求項7記載の温度センサ。
  9. 前記記憶手段は、所定時間内における検知温度の履歴情報を記憶することを特徴とする請求項7記載の温度センサ。
  10. 加硫装置と該加硫装置の動作制御を行う制御装置とを備え、硫黄を混ぜた生ゴムを加硫装置のモールド内に封入して加硫処理を行う加硫システムにおいて、
    前記モールド内部の温度を検出して電気信号に変換する温度センサと、
    前記温度センサから出力される電気信号に基づいて、少なくとも加硫1サイクルの間の温度の実測履歴情報を電気的に記憶する実測情報記憶手段と、
    前記実測情報記憶手段の記憶内容をアクセスして前記実測履歴情報を送信するトランスポンダとからなる測定部を前記加硫装置のモールド内に配置すると共に、
    前記制御装置に、
    前記トランスポンダとの通信手段と、
    加硫1サイクルの間の好適なモールド内温度履歴情報が基準履歴情報として格納されている基準情報記憶手段と、
    前記通信手段によって受信した前記実測履歴情報と前記基準履歴情報とを比較し、前記実測履歴情報における温度が前記基準履歴情報における温度に近づくように前記加硫装置のモールド内温度を制御する制御手段とを設けた
    ことを特徴とする加硫システム。
  11. 前記測定部に、前記加硫装置のモールド内に配置され前記モールド内部の圧力を検出して電気信号に変換する圧力センサを設け、前記実測情報記憶手段は前記温度センサ及び圧力センサから出力される電気信号に基づいて、少なくとも加硫1サイクルの間の温度及び圧力の実測履歴情報を電気的に記憶すると共に、
    前記基準情報記憶手段には加硫1サイクルの間の好適なモールド内温度履歴情報及び圧力履歴情報が基準履歴情報として格納され、
    前記制御手段は前記通信手段によって受信した前記実測履歴情報と前記基準履歴情報とを比較し、前記実測履歴情報における温度と圧力が前記基準履歴情報における温度と圧力に近づくように前記加硫装置のモールド内温度と圧力を制御する
    ことを特徴とする請求項10記載の加硫システム。
  12. 前記測定部は一体形成されていることを特徴とする請求項10又は11記載の加硫システム。
  13. 前記加硫装置のモールド内に2つ以上の測定部を設けると共に、前記制御手段は前記通信手段が受信した2つ以上の実測履歴情報に基づいて、加硫処理制御を行う
    ことを特徴とする請求項10又は11記載の加硫システム。
  14. 前記通信手段は、1サイクルの加硫処理が終了して前記加硫装置のモールドが開放されたときに前記トランスポンダとの通信を行って前記実測履歴情報を受信すると共に、
    前記制御手段は、前記通信手段が受信した実測履歴情報に基づいて、次の1サイクルの加硫処理における制御を行う
    ことを特徴とする請求項10又は11記載の加硫システム。
  15. 前記制御装置に、前記実測履歴情報と前記基準履歴情報との温度差或いは圧力差が所定の閾値以上のときに前記加硫装置を停止して警報を発する異常処理手段を設けた
    ことを特徴とする請求項10又は11記載の加硫システム。
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