JP3818270B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に係り、より特別には積層型又はフィンチューブタイプの熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、図2に示すように、平行に配列されたチューブ4の両端を筒状のヘッダ2,3に接続した積層型熱交換器10があり、たとえば車両用空調装置の蒸発器や凝縮器に用いられている。しかし問題点として、この熱交換器10をヘッダ2,3が垂直になるような姿勢で使用した場合、エバポレータで考えると、熱交換器に流入してくる熱流体が気液二相のため、ヘッダ2,3内で気液分離してチューブ4への冷媒分配が悪化するという問題があった。
【0003】
そのため、たとえば従来の公知技術として、図3に示されるように、入口部に冷媒を均一に分配するディストリビュータ31を設置したり、あるいは、ヘッダ内に別部品を挿入することで冷媒分配の改善をしてきた(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)が、いずれも部品点数が増え、コストが高くなる等の問題があった。
【特許文献1】
特開平第5−346297号(第2頁)
【特許文献2】
実公平第7−17961号(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、部品点数を増加させることなく、冷媒分配を改善することのできる熱交換器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の形態では、熱交換器は上述した目的を達成するために、冷媒が最初に流入する細長い入口ヘッダと、前記入口ヘッダに接続されていて冷媒が前記入口ヘッダから流入する複数のチューブとを具備する。更に該熱交換器は、前記複数のチューブが前記細長い入口ヘッダの一部分に集中して配置されることを特徴とする。
【0006】
この様に構成することにより、熱交換器の主な熱交換部を形成する複数のチューブを、液体冷媒が集中して溜まる入口ヘッダの一部分に接続させることにより、複数のチューブに等しく液体冷媒を供給して、熱交換器と空気等の媒体との間で均一に熱交換することを可能にする。
複数のチューブに均等に液体冷媒を供給させることによる、均等な熱交換作用を構成部品の追加による部品点数を増加することなく実施可能であり、従って部品点数の増加による製造コストの高騰を招かない。
【0007】
本発明の請求項2の形態では、上記請求項1の形態に従い、前記細長い入口ヘッダは実質的に直立するように配置されており、前記複数のチューブは前記細長い入口ヘッダの底部付近に集中して配置されることを特徴とする。
本形態によれば、入口ヘッダを実質的に直立して配置することにより、入口ヘッダの下部に集中した液体冷媒を、入口ヘッダの底部付近に複数のチューブを接続させることにより、複数のチューブに等しく液体冷媒を供給して、熱交換器と熱交換する空気等の媒体を均一に熱交換することを可能にする。
【0008】
本発明の請求項3の形態では、上記請求項1又は2のいずれかの形態において、冷媒がそこから流出する出口ヘッダを具備することを特徴とする。
本形態によれば、本発明の熱交換器をより具体化する形態を開示する。
【0009】
本発明の請求項4の形態では、上記請求項1から3の形態のいずれか一項において、該熱交換器は積層型であることを特徴とする。
本形態によれば、本発明の対象となる熱交換器のタイプをより具体化する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態の装置を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱交換器の一つの実施の形態の図解的な正面図を示す。ここでは図1を参照すると、図2及び図3に開示される従来技術の例の要素部分と同じ又は同様である図1の要素部分は、同じ参照符号により指定されている。
【0011】
図1を参照すると、本実施の形態のフィンチューブタイプの熱交換器1を示している。熱交換器1は、設置された状態で示されており、両端において2つの細長い円筒状のヘッダ2,3を、実質的に垂直な状態で具備する。図面の左側のヘッダは入口ヘッダ2であり、その頂部に付近に冷媒入口7を具備しており、右側のヘッダは出口ヘッダ3であり、その底部付近に冷媒出口8を具備する。ヘッダ2と3には冷媒の通路であるパイプ状の複数のチューブ4が、直角である水平方向から実質的に等間隔で接続される。チューブ4には放熱面積を増大するために、複数のフィン5が設置される。チューブ4とフィン5は、熱交換を行なうコア6を形成する。
【0012】
出口ヘッダ3に接続されるチューブ4は、従来の熱交換器と同様にフィン5の寸法に対応する広い間隔で配置されるが、その一方で入口ヘッダ2に接続されるチューブ4は、入口ヘッダ2への接続部においてチューブ4間の間隔が狭くされており、図1に示すように、チューブ4が入口ヘッダ2の底部付近に集中するように配置される。この様に、チューブ4の入口ヘッダ2への接続部においてチューブピッチが小さくなっていることが本発明の特徴である。
【0013】
次に本発明に作動について説明するが、分り易くするため作動は、本実施の形態の熱交換器1を空調装置のエバポレータとして使用する場合について説明する。一般的にコンデンサ(図示されない)で液化された高圧の冷媒は絞り(図示されない)で減圧された後に、冷媒入口7から熱交換器1に導入され、一旦入口ヘッダ2に流入する。冷媒は絞りで減圧されるので、一部が気化し、気液二相になっている場合がある。入口ヘッダ2において冷媒の滞留時間が長いので、気液の二相からなる冷媒は分離し、この場合通常多くの割合を占める液体冷媒は、入口ヘッダ2の下部側に溜まり、気体の冷媒は入口ヘッダ2の上部に分離する。液体冷媒はそこから各チューブ4に分配される。この様子は、図4(B)に分かり易く示されている。
【0014】
本実施の形態においては、各チューブ4は入口ヘッダ2の底部に集中して接続されているので、各チューブ4には液体冷媒が分配される。従って、本実施の形態のエバポレータにおいては、チューブ4内を通過する液体冷媒が、チューブ4の外側を通過する高温の空気と熱交換して気化されて気化熱を吸収することにより、効率良く冷却を行うことが出来る。即ち従来の熱交換器に比べて、一部のチューブを気体冷媒が通過する可能性はより低くなる。
一方従来例の熱交換器においては、図4(A)に示すように、入口ヘッダ2の下部に溜まった液体冷媒が下部のチューブ4に流入し、入口ヘッダ2の上部に溜まった気体冷媒は上部のチューブ4に流入する。従って、従来の熱交換器においては、空気の冷却に寄与するのは液体冷媒のため、ヘッダ上側で接続されているチューブではほとんど空気を冷却しておらず、コア6からの吹出し空気に温度差が見られていた。
【0015】
次に上記実施の形態の効果及び作用について説明する。
本発明の実施の形態の熱交換器により以下の効果が期待できる。
・少なくとも冷媒をチューブへ流入させる側のヘッダにて、チューブのピッチを小さくすることで、ヘッダ内の液冷媒をチューブへ積極的に流入させることが出来るため、コアからの吹出し空気温度の温度差を抑えることが出来る。
・この様に熱交換器の複数のチューブの全てに液体冷媒を流すことの出来る可能性を高め、更に効率良い冷却をするために、部品点数の増加を招くことがない。
・従って、部品点数の増加による製造コストの増加を招くこともない。
【0016】
上記の説明において、本実施の形態のヘッダは円筒形状として説明されたがこれ以外の形状、例えば四角形や正方形又は多角形等の断面形状を有する筒状体であっても良い。
本発明の熱交換器は2つの細長いヘッダが略垂直に直立する状態で設置される熱交換器として記載されたが、前記ヘッダが傾斜して設置されたり、略水平に設置される熱交換器であっても良い。
また、本実施例では本発明がエバポレータとして使用される例を示したが、それ以外の用途に使用されても良く、本発明の適用対象はエバポレータに限定するものではない。
【0017】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は、該実施の形態により制限されるものではなく、請求項に記載される事項によってのみ規定されており、上記以外の実施の形態も実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一つの実施の形態の熱交換器の図解的な正面図である。
【図2】図2は、従来技術の熱交換器の例の図解的な正面図である。
【図3】図3は、図2の従来技術の熱交換器の問題に対処した公知技術の熱交換器の例の図解的な立体図である。
【図4】図4は、従来技術の熱交換器の例(図4(A))と本発明の熱交換器(図4(B))との相違を説明する図解的な熱交換器の入口ヘッダ付近の側断面図である。
【符号の説明】
1…熱交換器
2…入口ヘッダ
3…出口ヘッダ
4…チューブ
5…フィン
6…コア
7…冷媒入口
8…冷媒出口

Claims (4)

  1. 熱交換器において、この熱交換器は、
    冷媒が最初に流入する細長い入口ヘッダと、
    前記入口ヘッダに接続されていて冷媒が前記入口ヘッダから流入する複数のチューブと、
    を具備しており、
    前記複数のチューブは前記細長い入口ヘッダの一部分に集中して配置されることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記細長い入口ヘッダは実質的に直立するように配置されており、前記複数のチューブは前記細長い入口ヘッダの底部付近に集中して配置されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 冷媒がそこから流出する出口ヘッダを具備することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の熱交換器。
  4. 該熱交換器は積層型であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器。
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