JP3818116B2 - 電子ビーム管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子ビームを放射する電子ビーム管に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子ビームを利用して、印刷物のインキの乾燥、食品または医療品の殺菌などが行われるようになっている。このような電子ビームを発生する電子ビーム管としては図2に示すものが提案されている。
真空容器1内に内部リード棒8に支持された電子ビーム発生器2を配置し、電子ビーム発生器2内のカソード(不図示)から放出された電子をビーム状に形成し、高電圧で加速してアノード3に集め、電子ビーム放射窓4を通して気中に出力として電子ビームを照射する電子ビーム管10はエネルギー源として広く使用されている。6はアノード3と同電位の導体であり、電子ビーム発生器2で発生した電子ビームを電子ビーム放射窓4の方向へ誘導するための電子ビーム誘導部材である。9は外部リード部、11はソケットである。この図2は右半分を概略の断面図で表記している。
【0003】
しかし、従来のこの構造の電子ビーム管では出力の変動が生じ、安定した照射が出来ないという不具合が生じることがあった。
【0004】
その原因につき、本願発明者が鋭意研究したところによれば、図2の従来構造の電子ビーム管10では、真空容器1内に配置された電子ビーム発生器2のカソード(不図示)から放出され、電子ビームとして形成された電子群は、高電圧で加速されアノード4まで走行する間、電子同士の反発や放出速度の影響でビームの広がりを生じ、その一部が真空容器1の内壁に衝突する。この結果、真空容器1の内壁からは二次電子が放出され、真空容器1が帯電してその帯電領域の周辺の電界が不安定となり、電子ビームの変動を生ぜしめ、このため、出力として気中に照射された電子ビームも変動し、照射対象物への電子ビームの均一な照射が出来ないものであるということを突き止めた。
図2の構造の電子ビーム管10における電子ビーム誘導部材6では、電子ビーム発生器2からアノード3間を走行する電子ビームの広がりを押さえることができず、真空容器1のガラス壁が帯電するものと考えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、従来の電子ビーム管の問題であった出力変動を解決し、安定した電子ビームの照射が得られる電子ビーム管を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、真空容器内に配置された、電子ビーム発生器から放出された電子をビーム状に形成し、これを高電圧で加速してアノードに集め、電子ビーム放射窓を通して気中に出力として電子ビームを照射する電子ビーム管において、アノードと同電位の円筒状の導体を、アノードを起点として真空容器内部へ少なくとも電子ビーム発生器の上端面までの距離以上に延在させたことを特徴とする電子ビーム管とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記導体は真空容器内壁より離隔して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム管とするものである。
【0008】
【作用】
カソードからアノードまでの電子ビームが走行する範囲の真空容器内面を、アノードと同電位の円筒状の導体で遮蔽し、広がった電子ビームの一部が当該真空容器内面に衝突し、帯電するのを防止する。これにより電界の不安定は解消され、安定した照射出力が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、真空容器1内に配置された、内部リード棒8で支持された電子ビーム発生器2から放出された電子をビーム状に形成し、これをアノード3と外部リード部9の間に印加された高電圧で加速してアノード3に集め、電子ビーム放射窓4を通して気中に出力として電子ビームを照射する電子ビーム管10である。
右半分を概略の断面図で表している。アノード3と同電位の円筒状の導体(図では金属円筒部材5)を、アノード3を起点として真空容器1内部へ少なくとも電子ビーム発生器2の上端面、すなわちスリーブ7の上端面までの距離以上に延在させる。この金属円筒部材5は途中で径を変えたものとなっているが、直円筒状のものでもいい。途中で径を変えた場合、図のように径の変わる部分は丸みをつけたものとする。これは電界の集中を避けるためである。そして、金属円筒部材5は真空容器1内壁より離隔して配置されている。
【0010】
【実施例】
本発明の具体的実施例を再び図1を使って説明する。
電子ビーム管10はその一例を示すと,真空容器1を形成する,直径約45mm,長さ約110mmの円筒状のガラス管で、その片端に、電子を放出するカソードとビームを形成する電極等から成る電子ビーム発生器2を配置し、他端に、電子ビームを加速し捕捉するアノード3と、電子ビームを出力として気中に照射する電子ビーム放射窓4を配置して構成される。そしてこれらは真空気密に封止される。なお、電子ビーム発生器2内のカソードを含めた詳細構造は図において省略する。電子ビーム発生器2(すなわちスリーブ7の上端))とアノード3とは約20mmの間隔で配置され、この間に約25〜60kVの高電圧を印加することによって、この20mmの真空空間を加速された電子ビームが走行する。
【0011】
本発明は、この真空空間にさらされている真空容器1のガラス面を、アノード3に接続された、アノード3と同電位の直径約38mmの金属円筒部材5で遮蔽するものである。これにより走行中に広がった電子ビームの一部はこの金属円筒部材5に捕捉され、アノード3に流れる。この結果、真空容器1であるガラスは帯電せず、安定な電界を維持することが出来る。
【0012】
つまり、金属円筒部材5で遮蔽する範囲は、その目的から最小でもこの電子ビーム発生器2とアノード3の間隔である20mmの範囲が必要であり、金属円筒部材5が必ず電子ビーム発生器2を覆うことが重要である。従って、電子ビーム発生器2の上端、すなわちスリーブ7上端面(図1のa)と、金属円筒部材の下端(図1のb)との位置関係は、最小でも同一線上で無ければならない。
【0013】
今回の実施例ではこの位置関係の重なり部分(図1のL)を2mmとした。この金属円筒部材5と電子ビーム発生器2との間には、高電圧が印加され強電界となっているためこの間の絶縁破壊を勘案し、印加電圧によっては電子ビーム発生器2のスリーブの半分の長さまでを金属円筒部材5で覆い、真空容器1であるガラスは帯電防止の効果をより確実にするのが好ましい。
【0014】
また、真空容器1の直径を大きくし、金属円筒部材5の内径も大きくすれば電界が弱くなり、前述の金属円筒部材5と電子ビーム発生器2との位置関係の調整をすることによって真空容器1であるガラスは帯電防止の効果が得られることは容易に推定できる。
【0015】
金属円筒部材5はその目的から、真空容器1のガラスとの間に適切な間隔をもって配置する。今回の実施例ではこの間隔(図1のL)を2mmで配置したが、印加電圧によって、その大きさとともに変化させるものである。
【0016】
更に、今回の実施例ではアノードと同電位の導体として金属製の円筒を用いたが、金属以外のものを使用する場合、その表面に導電剤を塗布、あるいはコーティングすることによって、金属製の円筒と同様の効果が得られる。
【0017】
図3は従来の構造の電子ビーム管と本発明に係る電子ビーム管において、点灯開始(=電子ビーム放射開始)から15分間の電子ビーム出力電流値(出力特性)を示したものである。すなわちアノードと同電位であって、アノードを起点として真空容器内部へ少なくとも前記電子ビーム発生器の上端面までの距離以上に延在させた金属円筒部材の有無による、電子ビーム出力の時間的変化の相違を説明する図を示す。A、Bが従来の構造の電子ビーム管、Cが本発明の電子ビーム管の出力特性を示す。
【0018】
従来の構造の電子ビーム管Aでは出力変動が発生してしまい、放射開始2〜4分で大幅に電子ビーム出力電流値が低下している。これは、真空容器内壁への電子のチャージアップ(帯電)が偏在して起こっていることによって、電子ビーム発生器からアノードへ向けた電子ビームの流れがチャージアップした真空容器内壁側に振れ、出力の低下として現れたものであると推定される。そして、その後、電流値が安定するのは、真空容器の内壁全周に亘り一様に電子がチャージアップして見かけ上安定となったものと推定される。
【0019】
次に、従来の構造の電子ビーム管Bのケースでも出力変動が発生する。これは、真空容器全周に亘り、放射当初から一様に電子がチャージアップした場合に、何らかのきっかけにより真空容器内壁とアノード間で局所的な放電が生じ、電子ビーム出力が乱れたものが現れたものと推定される。
このA、及びBの電子ビームの出力変動は、独立して起こるケースもあり、併せて起こるケースもある。
【0020】
それに対して、Cは本発明の電子ビーム管の場合だが、電子ビーム出力は非常に安定したものであり、真空容器の内壁への電子のチャージアップは生じていないものと推定される。
【0021】
【発明の効果】
このように電子ビームが走行する真空空間のガラス面を、アノードと同電位の導体で遮蔽し、ガラスの帯電を防止することによって、安定した出力が得られる。すなわち、本発明による電子ビーム管を使用することによって、安定した良質な電子ビーム照射が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子ビーム管の部分断面図を示す。
【図2】 従来構造の電子ビーム管の部分断面図を示す。
【図3】 帯電防止部材としての金属円筒部材の有無による電子ビーム出力電流値の時間的変化の相違を説明する図を示す。
【符号の説明】
1 真空容器
2 電子ビーム発生器
3 アノード
4 電子ビーム放射窓
5 金属円筒部材
6 電子ビーム誘導部材
7 スリーブ
8 内部リード棒
9 外部リード部
10電子ビーム管
11ソケット
Claims (2)
- 真空容器内に配置された、電子ビーム発生器から放出された電子をビーム状に形成し、これを高電圧で加速してアノードに集め、電子ビーム放射窓を通して気中に出力として電子ビームを照射する電子ビーム管において、
前記アノードと同電位の円筒状の導体を、該アノードを起点として前記真空容器内部へ少なくとも前記電子ビーム発生器の上端面までの距離以上に延在させたことを特徴とする電子ビーム管。 - 前記導体は前記真空容器の内壁より離隔して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム管。
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