JP3817865B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形性に優れ、かつ外観に優れた成形品を製造し得る高転写ブロー成形に用いることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブロー成形法は、中空容器を成形する技術として、ポリオレフィン系樹脂を中心に広く使用されている。
近年、エアースポイラー、バンパー、グローブボックスドア、インストルメントパネルなどの自動車部品、コンピューターのハウジング、ワークステーション、キャビネットドアパネル、机の天板などのOA機器・事務用品、冷蔵庫ドアパネル、テレビ台天板や空調装置のパネルなどの家電用品、ドア、壁パネル、キッチンドアパネルなどの住宅関連用品などの分野において、このブロー成形法は、計量化、省資源化、コストダウンなどの目的で、エンジニアリング樹脂を用いた二重壁構造を有する大型ブロー成形品に使用され始めている。
【0003】
最近、エンジニアリング樹脂も、この大型ブロー成形品の素材として使用が試みられているが、大型部品を成形しようとすると、
(イ)パリソン(溶融、軟化状態の中空円筒状の樹脂)の強度が充分ではなく、パリソンがドローダウンし易いこと、
(ロ)また仮に成形可能な場合でも、樹脂の溶融粘度の温度依存性が大きいので、良好な耐ドローダウン性を示す温度幅が充分でなく、成形条件幅が狭いこと、などの欠点を有しており、ブロー成形性を改良する必要がある。
また、ブロー成形法では、パリソンのブロー圧が高々5〜10kg/cm2 と低いため、射出成形では外観性に優れ、かつ精巧な成形品が成形できるエンジニアリング樹脂でも、従来のブロー成形では外観性に劣り、かつ精巧な成形品が得られない。これらの課題を解決するために、最近、高転写ブロー成形技術が開発され、エンジニアリング樹脂を用いて、外観性に優れ、かつ精巧なブロー成形品を得ている(例えば、特開平7−108534号公報)。このように、高転写ブロー成形技術を用いることにより、外観性、精巧性に優れたエンジニアリング樹脂のブロー成形品が得られることから、その用途展開が期待され、外観性、精巧性がさらにに優れた大型ブロー成形品が求められている。しかしながら、この要望に対して、従来のエンジニアリング樹脂では、充分満足することができない場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パリソンの強度が充分で、成形条件幅が広いなどのブロー成形性に優れ、かつ外観に優れた成形品を与える高転写ブロー成形に用いることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記〔1〕の熱可塑性樹脂組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
但し、下記[1]で、ポリテトラフルオロエチレンの重量平均分子量はASTM D4591に準拠し、下記式(1)よって算出したものとする。
LogMw=27.5345−12.1405D・・・・・(1)
(式(1)中、Mwは重量平均分子量、Dは標準比重を示す)
〔1〕
(A)ポリメタアクリレート系樹脂100重量部、
(B)重量平均分子量が50万以上であるポリテトラフルオロエチレン0.01〜10重量部、および
(C)上記(A)ポリメタアクリレート系樹脂と同種の構造の樹脂であり、且つ該樹脂の2倍以上の重量平均分子量を有する熱可塑性樹脂0.01〜10重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
以下本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目的、利点および効果が明らかとなるであろう。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるエンジニアリング樹脂としての(A)成分、ポリメタアクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリアミド系樹脂(以下、これらの樹脂を総称して、「(A)エンジニアリング樹脂」ともいう)について説明する。なお、これらのエンジニアリング樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0007】
<ポリメタアクリレート系樹脂>
周知の如く、主たるモノマーとしてメタアクリレートを重合して得られる樹脂である。本発明では、メタアクリレートの単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。メタアクリル系樹脂は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などで得ることができ、特に好ましい重合法は、乳化重合、溶液重合である。
本発明のポリメタアクリレート系樹脂は、メタクリル酸エステルを主成分とする重合体である。ここで、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチルシクロへキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸N−フェニルアミド、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−ナフチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのメタクリル酸エステルのなかで、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチルシクロへキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸N−フェニルアミド、メタクリル酸−2−ナフチルが好ましく、なかでもメタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチルシクロへキシルが耐熱性に優れ特に好ましい。
【0008】
ポリメタアクリレート系樹脂中のメタクリル酸エステル成分の含量は、通常100〜40重量%である。
メタクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、などのシアン化ビニル化合物、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド系化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸、などの酸無水物化合物;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸化合物などを挙げることができる。
これらの共重合可能な単量体のなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類などである。これらの他の単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0009】
<ポリカーボネート系樹脂>
周知の如く、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの芳香族ジオールとホスゲンとを反応することにより得られる樹脂である。
このようなポリカーボネート系樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(三菱化学(株))、バンライン(帝人化成(株))、レキサン(日本ジーイープラスチックス(株))などは、好ましく使用することができる。
【0010】
<ポリエステル系樹脂>
周知の如く、テレフタール酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂肪族ジオールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステル樹脂である。本発明においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ1,4−シクロヘキサンテレフタレートなどが好ましく用いられ、さらに好ましくはPET及びPBTであり、特に好ましくはPBTである。
【0011】
<ポリアミド系樹脂>
周知の如く、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミンとアジピン酸などのジカルボン酸との重縮合、あるいはε−カプロラクタムなどのカプロラクタムの開環重合により得られる樹脂であるが、本発明においては、脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸との重縮合反応物が好ましい。好ましい具体例として、ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6,10、ポリアミド10,ポリアミド11,ポリアミド4.6などを挙げることができる。
【0012】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される(B)ポリテトラフルオロエチレンについて説明する。(B)ポリテトラフルオロエチレンは、溶解度指数が6.2とポリマーの中でも最も低く、本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される他のポリマーとは相溶性がないにもかかわらず、本発明の熱可塑性樹脂組成物をブロー成形する際のパリソン形成工程で、該組成物の溶融粘度の温度依存性を小さくしてブロー成形条件幅を広げるように機能し、且つ後記する(C)成分と共に、耐ドローダウン性を著しく改良する。
(B)ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレン単独重合体のほか、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンなどを共重合したものであってもよい。好ましくは、テトラフルオロエチレン単独重合体である。
(B)ポリテトラフルオロエチレンは、乳化重合、懸濁重合などのそれ自体公知の重合法で得られる。
【0013】
(B)ポリテトラフルオロエチレンの重量平均分子量は、50万以上、好ましくは100万以上、さらに好ましくは1,000万以上、特に好ましくは2,500万〜1億である。50万未満では、(A)エンジニアリング樹脂のブロー成形時の弾性、いわゆるバラス効果が向上しないため、耐ドローダウン性が改良され難い。
なお、本発明において、(B)ポリテトラフルオロエチレンの重量平均分子量は、ASTM D4591に準拠し、下記式によって算出されたものである。
LogMw=27.5345−12.1405D
(式中、Mwは重量平均分子量、Dは標準比重を示す。)
【0014】
(B)ポリテトラフルオロエチレンの配合量は、各(A)エンジニアリング樹100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.5〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。0.01重量部未満では、耐ドローダウン性が改良されない。一方、10重量部を超えると、メルトフラクチャの発生が大きく、成形品の外観が低下する。
【0015】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される、(C)上記(A)エンジニアリング樹脂と相溶性があり、且つ該樹脂より高い重量平均分子量を有する熱可塑性樹脂(以下、単に「(C)その他の熱可塑性樹脂」ともいう)である。この(C)その他の熱可塑性樹脂は、本発明の熱可塑性樹脂組成物をブロー成形する際のパリソン形成工程で、溶融粘度を高くせずとも、パリソンの垂れを防止し、上記(B)成分と共に、耐ドローダウン性を著しく改良するように機能する。
(C)その他の熱可塑性樹脂の ソルビリテイー パラメーター(SP値)は、(A)エンジニアリング樹脂SP値の−1〜+1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは−0.5〜+0.5の範囲にあり、特に好ましくは−0.2〜+0.2の範囲にある。
また、(C)その他の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、(A)エンジニアリング樹脂の重量平均分子量の2倍以上が好ましく、さらに好ましくは5倍以上、特に好ましくは5〜30倍である。
また、(C)その他の熱可塑性樹脂として、(A)エンジニアリング樹脂と同種あるいは類似の構造のものを使用することが好ましい。
【0016】
これら(C)その他の熱可塑性樹脂は、(A)エンジニアリング樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部配合される。
配合量が上記範囲であることにより、上記した(C)その他の熱可塑性樹脂の機能が十分に果たされる。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物物は、上記(A)〜(C)成分と、必要に応じて配合される、各種の充填材および添加剤などを混練りして製造される。
混練り方法としては、押し出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いる方法がある。
好ましい方法としては、押し出し機を用いる方法であり、押し出し機としては単軸押し出し機、二軸押し出し機などを用いることができる。
上記、混練り方法を用いて各種成分を混練りするに際し、全成分を一括して混練りしてもよく、一部の成分を先に混練りし、残りの成分を一括または分割して添加混練りしてもよい。
【0018】
上記各種の充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ガラスのミルドファイバー、ロックフィラー、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ガラスバルーン、セラミックバルーンなどの充填材の1種あるいは併用が挙げられる。これらの充填剤のうち、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、そしてその形状が、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、通常、1〜200重量部の範囲で用いられる。
また、添加剤としては、公知の着色剤、顔料、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱老化防止剤、可塑剤、抗菌・防カビ剤などが挙げられる。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ブロー成形法、好適には高転写ブロー成形法によって各種成形品を成形することができる。勿論、他の成形法に適用することもできる。
ところで、通常のブロー成形法は、パリソン(チューブ状の成形材料)を金型で挟み、パリソン内部に空気を吹き込むことで、パリソン表面を金型に圧着して、中空品を成形する成形法である。しかしながら、パリソンのブロー圧が高々5〜10kg/cm2 と低いため、金型表面の鏡面やシボ面の転写が充分ではなく、射出成形品に較べ、成形品の外観性が劣り、また精巧な成形品が得られないという欠点がある。
この欠点を改良するのが、高転写ブロー成形技術である。この技術は、上記パリソン表面の圧着工程における金型表面温度をパリソンの成形材料のビカット軟化温度以上にする方法であり、金型表面の転写が充分な、成形品の外観性に優れ、また精巧な成形品が得られる。なお、高転写ブロー成形技術は、全工程をビカット軟化温度以上に保持する必要はなく、パリソン表面が金型表面に圧着した段階で金型温度が成形材料の該ビカット軟化温度以上に到達していればよい。
【0020】
ここで、上記の金型表面温度を成形材料のビカット軟化温度以上に加熱する方法としては、例えば
▲1▼金型表面の裏側に空間部を設け、それに加熱媒体を噴射する方法、
▲2▼金型表面の裏側を、輻射加熱する方法、
▲3▼金型表面の裏側を、加熱ヒーターの接近あるいは接触で加熱する方法、
▲4▼パリソン挿入前の金型表面を、輻射加熱する方法、
▲5▼パリソン挿入前の金型表面を、加熱ヒーターの接近あるいは接触で加熱する方法、などが挙げられる。
特に、上記▲1▼の加熱方法において、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一段と優れた高転写性が得られる。
上記の金型表面温度は、良好な成形外観を得るために、ビカット軟化温度以上に設定するが、さらに好ましくはビカット軟化温度+10℃以上〜ビカット軟化温度+60℃が良い。
このように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高転写ブロー成形用として有用である。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に制限されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断わらない限り重量基準である。
また、実施例において、ペレットの造粒、物性の測定、ブロー成形、耐ドローダウン性および成形品の外観の評価は、下記により行い、また使用樹脂材料は、次のようにして調製した。
【0022】
〔ペレットの造粒〕
下記の押し出し機および押し出し条件で、各試料のペレットを造粒した。
押し出し機;中谷機械(株)製、NVC
スクリュー径;55mm、L/D=32
温度;設定230〜270℃
〔ビカット軟化温度の測定〕
下記の射出成形機および成形条件で試験片を作製したのち、ビカット軟化温度(ASTM D1525に準拠)を測定した。
射出成形機;東芝機械(株)製、IS80A
温度;シリンダー設定温度=220〜260℃
金型温度;50℃
【0023】
〔高転写ブロー成形法〕
成形金型;図1に示すビン成形用の金型で、成形表面の裏側に、空間部を有し、該空間部に金型表面加熱工程では加熱水蒸気を噴射する機構、金型表面冷却工程では冷却水を噴射する機構をそれぞれ有する金型を用いた。
なお、図1において、1a,1bは成形面の形成されている金属体、2a,2bは断熱体、3は金型、3a,3bは金型本体、4a,4bは空間、5a,5bは水蒸気または冷却水の給入管、6a,6bは水蒸気または冷却水の排出管である。
上記の成形金型を用い、かつブロー成形機として、石川島播磨重工業(株)製、IPB−EP−55を用い、下記の成形条件でブロー成形を行った。
成形条件;
▲1▼押し出し機温度;220℃
▲2▼型締め圧力;15トン
▲3▼パリソン吹き込み圧力;6kg/cm2
▲4▼パリソン温度;230℃
▲5▼型締め保持時間;5秒
▲6▼加熱水蒸気噴射加熱による金型成形面最終到達温度;ビカット軟化温度+32℃
▲7▼噴射する冷却水圧力;6kg/cm2
▲8▼金型成形面冷却の最終到達温度;70℃
▲9▼冷却保持時間;60秒
【0024】
〔耐ドローダウン性〕
高化式フローテスター機(シリンダー直径=11mm、オリフィス外径=10mm、オリフィス内径=1mm)を用い、温度230℃、または250℃、荷重50kgで、樹脂を0.5cc押し出したのち、ぶら下がっている樹脂の直径をレーザーで測定し、最大直径が80%になるまでの時間を求め、ドローダウン時間とする。耐ドローダウン性は、ドローダウン時間が長いほど、良いと判定する。
〔ブロー成形品の外観〕
上記高転写ブロー成形法で成形されたブロービン成形品の表面状態(大きな凹み)を目視観察して、下記3段階評価をした。
○;良好(凹みがない状態)
△;やや不良(一見して、凹みが分かる状態)
×;不良(一見して、凹みが多数ある状態)
【0025】
〔樹脂材料〕
(A)エンジニアリング樹脂
(i)PMMA樹脂:メチルメタクリレート80%、ブチルアクリレート20%からなるポリメチルメタアクリレート樹脂(ポリスチレ ン換算重量平均分子量:145万)。
(ii)ポリカーボネート樹脂(PC樹脂):ユーピロン S-2000(商品名 三菱瓦斯化学(株)製)
(iii)ポリエステル樹脂(PET樹脂):ベルペット DFG-1(商品名 鐘淵化学 (株)製)
(iv)ポリアミド樹脂(PA樹脂):アミラン (商品名 東レ(株)製)
【0026】
(B)ポリテトラフルオロエチレン
PTFE樹脂−1;重量平均分子量400万のポリテトラフルオロエチレン。
(C)その他の熱可塑性樹脂
上記(A)エンジニアリング樹脂と同種の樹脂で、重量平均分子量が約10倍、SP値が−0.1〜+0.1の範囲にあるもの。
【0027】
実施例1、比較例1〜4
(A)成分としてPMMA樹脂を選定し、(B)成分および(C)成分を表1に示されるように配合し、上記の方法によりペレット化し、耐ドローダウン性、ブロー成形品の外観を評価した。結果を表1に示した。
本発明の組成物(実施例1)は、耐ドローダウン性が優れ、ブロー成形品の外観も優れている。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例2、比較例5〜8
(A)成分としてPC樹脂を選定し、(B)成分および(C)成分を表2に示されるように配合し、上記の方法によりペレット化し、耐ドローダウン性、ブロー成形品の外観を評価した。結果を表2に示した。
本発明の組成物(実施例2)は、耐ドローダウン性が優れ、ブロー成形品の外観も優れている。
【0030】
【表2】
【0031】
実施例3、比較例9〜12
(A)成分としてPET樹脂を選定し、(B)成分および(C)成分を表3に示されるように配合し、上記の方法によりペレット化し、耐ドローダウン性、ブロー成形品の外観を評価した。結果を表3に示した。
本発明の組成物(実施例3)は、耐ドローダウン性が優れ、ブロー成形品の外観も優れている。
【0032】
【表3】
【0033】
実施例4、比較例13〜16
(A)成分としてPA樹脂を選定し、(B)成分および(C)成分を表4に示されるように配合し、上記の方法によりペレット化し、耐ドローダウン性、ブロー成形品の外観を評価した。結果を表4に示した。す。
本発明の組成物(実施例4)は、耐ドローダウン性が優れ、ブロー成形品の外観も優れている。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ブロー成形性に優れ、かつ外観に優れた成形品を製造し得る高転写ブロー成形に用いることができる熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高転写ブロー成形に使用される金型の断面模式図である。
【符号の説明】
1a,1b 成形面の形成されている金属体
2a,2b 断熱体
3 金型
3a,3b 金型本体
4a,4b 空間
5a,5b 水蒸気または冷却水の給入管
6a,6b 水蒸気または冷却水の排出管
Claims (1)
- (A)ポリメタアクリレート系樹脂100重量部、
(B)重量平均分子量が50万以上であるポリテトラフルオロエチレン0.01〜10重量部、および
(C)上記(A)ポリメタアクリレート系樹脂と同種の構造の樹脂であり、且つ該樹脂の2倍以上の重量平均分子量を有する熱可塑性樹脂0.01〜10重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
但し、ポリテトラフルオロエチレンの重量平均分子量は、ASTM D4591に準拠し、下記式(1)よって算出したものとする。
LogMw=27.5345−12.1405D・・・・・(1)
(式(1)中、Mwは重量平均分子量、Dは標準比重を示す)
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