JP3817375B2 - 映像表示装置およびその色分離ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネルあるいは反射式映像表示素子などのライトバルブ素子を使用して、スクリーン上に映像を投影する投射装置、例えば液晶プロジェクタ装置、反射式映像表示プロジェクタ装置、液晶テレビジョンまたは投射型ディスプレイ装置等の映像表示装置及びその色分離ユニット、光学ユニットに関し、特にホワイトバランスの向上に好適な技術を提供する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネル等のライトバルブ素子に、電球などの光源からの光を当てて、液晶パネル上の画像を拡大投射する液晶プロジェクタ等の投射型映像表示装置が知られている。
この種の映像表示装置は、光源からの光をライトバルブ素子で画素ごとの濃淡に変えて調節し、スクリーンなどに投射するものである。液晶表示素子の代表例であるツイステッド・ネマティック(TN)型液晶表示素子は、透明な電極被膜をもつ一対の透明基板間に液晶を注入して成る液晶セルの前後に、各々の偏光方向が互いに90°異なるように2枚の偏光板を配置したものであり、液晶の電気光学効果により偏光面を回転させる作用と、偏光板の偏光成分の選択作用とを組み合わせることにより、入射光の透過光量を制御して画像情報を表示するようにしている。近年、こうした透過型あるいは反射型の液晶表示素子では、素子自体の小型化が進むとともに、解像度等の性能も急速に向上している。
このため、この液晶表示素子を用いた表示装置の小型高性能化も進み、単に従来のようにビデオ信号等による映像表示を行うだけでなく、パーソナルコンピュータの画像出力装置としての投射型液晶表示装置も新たに提案されている。この種の投射型映像表示装置には、明るさと、色の再現性、特にホワイトバランスの良さが求められている。
【0003】
また現在、映像表示装置の光源として使用されている光源にはメタルハライドランプや超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等があるが、いずれも500から600nmの緑色光の比率が高く、CIE表色系におけるy値が高いホワイトになっていた。
そこで、従来では例えば、特開平3−67216号公報に記載のような黄色の輝線を排するような液晶表示装置を使用していたが、CIE表色形において黄色の輝線のy刺激値(目の細胞を刺激する刺激値)は0.500程度でありホワイトのy値を下げるには多くの光を排除しなければならず結果として明るさを不十分なものとし、またCIE表色形においてのx値が大きく下がってしまう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はホワイトバランスを改善した映像表示装置及びその色分離ユニット、光学ユニットを提供することにある。
本発明の他の目的はホワイトバランスの調整が非常に困難であった投射型映像表示装置において、明るさの損失を最小限に押さえてホワイトバランスを改善した映像表示装置及びその色分離ユニット、光学ユニットを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、本発明による映像表示装置は、光源を含む照明系と、光を色別に分離する色分離系と、ライトバルブ素子と、ライトバルブ素子から出射された光を拡大投射する拡大手段とを備え、前記色分離系の分光特性を制御して、前記光源の光の内約450nmから約550nmの範囲内で選択された波長帯域の光を光路上から排除する。
この映像表示装置において、前記色分離系は赤色光フィルタ、緑色光フィルタ、青色光フィルタを有するカラーフィルタを備えており、前記B光フィルタを約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以下の波長の光を出射するフィルタで構成し、前記G光フィルタを約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上及び約570nmから約600nmの範囲から選択された第3の設定値以下の波長の光を出射するフィルタで構成する。この映像表示装置において、前記第1の設定値を約500nmに設定し、前記第2の設定値を約520nmに設定し、前記第3の設定値を約580nmに設定する。
【0006】
この映像表示装置において、前記色分離系は、緑色光と青色光とを分離し、前記青色光の帯域を約490nmから約550nmの範囲から選択された第1の設定値以下の波長となるように設定する分離色分離手段と、約450nmから約530nmの範囲から選択された第2の設定値以上の青色光を遮光する手段とを備える。この映像表示装置において、前記第1の設定値を約520nmに設定し、前記第2の設定値を約500nmに設定する。
この映像表示装置において、前記色分離系は、緑色光と青色光とを分離し、緑色光の帯域を約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以上の波長となるように設定する色分離手段と、約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上、約570nmから約600nmの範囲から選択された第3の設定値以下の帯域の緑色光を出射させる手段とを備える。この映像表示装置において、前記第1の設定値を約500nmに設定し、前記第2の設定値を約520nmに設定し、前記第3の設定値を約580nmに設定する。
【0007】
この映像表示装置において、前記色分離系は、緑色光と青色光とを分離し、緑色光の帯域を約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以上の波長となるように設定する分離色分離手段と、約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上の緑色光を出射させる手段とを備える。この映像表示装置において、前記第1の設定値を約500nmに設定し、前記第2の設定値を約520nmに設定する。この映像表示装置において、前記光源は放電ランプである。また、前記放電ランプは超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びキセノンランプ等である。
また、この映像表示装置において、前記光を前記色分離系で赤色光、緑色光及び青色光に分割し、前記照明系から前記ライトバルブ素子に至る前記青色光の経路上にある各レンズ及びミラーを約400nmから約430nmの波長の光を約95%以上通過させる。また、この映像表示装置において、前記光を前記色分離系で赤色光、緑色光及び青色光に分割し、前記色分離系から前記ライトバルブ素子に至る前記青色光の経路上にある各レンズ及びミラーを約680から約700nmの波長の光を約95%以上通過させるように設定する。
【0008】
本発明による色分離ユニットは、ランプを有する照明系からの光を複数の色の光に分離してライトバルブ素子に入射する色分離ユニットは、赤色光フィルタ、緑色光フィルタ、青色光フィルタを有するカラーフィルタを備えており、前記B光フィルタを約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以下の波長の光を出射するフィルタで構成し、前記緑色光フィルタを約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上及び約570nmから約600nmの範囲から選択された第3の設定値以下の波長の光を出射するフィルタで構成する。
本発明による色分離ユニットは、ランプを有する照明系からの光を複数の色の光に分離してライトバルブ素子に入射する色分離ユニットは、緑色光と青色光とを分離し、前記青色光の帯域を約490nmから約550nmの範囲から選択された第1の設定値以下の波長となるように設定する分離色分離手段と、約450nmから約530nmの範囲から選択された第2の設定値以上の青色光を遮光する手段とを備える。
【0009】
本発明による色分離ユニットは、ランプを有する照明系からの光を複数の色の光に分離してライトバルブ素子に入射するる色分離ユニットは、緑色光と青色光とを分離し、緑色光の帯域を約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以上の波長となるように設定する分離色分離手段と、約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上、約570nmから約600nmの範囲から選択された第3の設定値以下の帯域の緑色光を出射させる手段とを備える。
本発明による色分離ユニットは、ランプを有する照明系からの光を複数の色の光に分離してライトバルブ素子に入射する色分離ユニットは、緑色光と青色光とを分離し、緑色光の帯域を約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以上の波長となるように設定する分離色分離手段と、約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上の緑色光を出射させる手段とを備える。
【0010】
これらの色分離ユニットにおいて、前記光を前記色分離系で赤色光、緑色光及び青色光に分割し、前記照明系から前記ライトバルブ素子に至る前記青色光の経路上にある各レンズ及びミラーを約400nmから約430nmの波長の光を約95%以上通過させるように設定する。また、これらの色分離ユニットにおいて、前記光を前記色分離系で赤色光、緑色光及び青色光に分割し、前記照明系から前記ライトバルブ素子に至る前記青色光の経路上にある各レンズ及びミラーを約680から約700nmの波長の光を約95%以上通過させるように設定する。
【0011】
本発明による光学ユニットは、ランプを有する照明系と、前記照明系からの光を分離する色分離系とを備え、前記色分離系からの光をライトバルブ手段を介して拡大投射する装置に使用する光学ユニットは、赤色光フィルタ、緑色光フィルタ、青色光フィルタを有するカラーフィルタを備えており、前記B光フィルタを約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以下の波長の光を出射するフィルタで構成し、前記緑色光フィルタを約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上及び約570nmから約600nmの範囲から選択された第3の設定値以下の波長の光を出射するフィルタで構成する。
【0012】
また、本発明による光学ユニットは、ランプを有する照明系と、前記照明系からの光を分離する色分離系とを備え、前記色分離系からの光をライトバルブ手段を介して拡大投射する装置に使用する光学ユニットは、緑色光と青色光とを分離し、前記青色光の帯域を約490nmから約550nmの範囲から選択された第1の設定値以下の波長となるように設定する分離色分離手段と、約450nmから約530nmの範囲から選択された第2の設定値以上の青色光を遮光する。
【0013】
本発明による光学ユニットは、ランプを有する照明系と、前記照明系からの光を分離する色分離系とを備え、前記色分離系からの光をライトバルブ手段を介して拡大投射する装置に使用する光学ユニットは、緑色光と青色光とを分離し、緑色光の帯域を約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以上の波長となるように設定する分離色分離手段と、約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上、約570nmから約600nmの範囲から選択された第3の設定値以下の帯域の緑色光を出射させる手段とを備える。
本発明による光学ユニットは、ランプを有する照明系と、前記照明系からの光を分離する色分離系とを備え、前記色分離系からの光をライトバルブ手段を介して拡大投射する装置に使用する光学ユニットは、緑色光と青色光とを分離し、緑色光の帯域を約450nmから約530nmの範囲から選択された第1の設定値以上の波長となるように設定する分離色分離手段と、約500nmから約550nmの範囲から選択された第2の設定値以上の緑色光を出射させる手段とを備える。
【0014】
本発明の目的を達成するために、本発明による映像表示装置は、光源を有する照明系と、前記光源の出射光を複数の色に分離する色分離系と、前記色分離系からの光を映像信号に応じた光学像が形成されるライトバルブ素子に照射する手段と、前記ライトバルブ素子から出射した光を投射する投射手段とで構成される映像表示装置において、前記照明手段の光路上に配置され、光源より出射された光を赤色光、緑色光、青色光に分離して前記ライトバルブ手段に入射させ、約490から約550nmの範囲から選択された第1の設定値の波長以下の青色光を得る色分離手段と、前記色分離手段により分離された青色光を約450から約530nmの範囲から選択された第2の設定値の波長以上の光をライトバルブ素子に対して遮光する手段とを備える。この映像表示装置において、前記遮光手段は、ダイクロイックミラー、光吸収材、遮光板から選択されたものを用いる。
【0015】
本発明による映像表示装置は、光源を有する照明系と、前記光源の出射光を複数の色に分離する色分離系と、前記色分離系からの光を映像信号に応じた光学像が形成されるライトバルブ素子に照射する手段と、前記ライトバルブ素子から出射した光を投射する投射手段とで構成される映像表示装置において、照明手段の光路上に配置され、光源より出射された光を赤色光、緑色光、青色光に分離してライトバルブ手段に入射させ、約450から約530nmの範囲から選択された第1の設定値の波長以上の緑色光を得る色分離手段と、前記色分離手段によって分離された緑色光の内、約490から約550nmの範囲から選択された設定値の波長以下の光をライトバルブに対して遮光する手段とを備える。この映像表示装置において、前記遮光手段は、ダイクロイックミラー、光吸収材、遮光板から選択されたものを用いる。
【0016】
本発明による映像表示装置は、光源を有する照明系と、前記光源の出射光を複数の色に分離する色分離系と、前記色分離系からの光を映像信号に応じた光学像が形成されるライトバルブ素子に照射する手段と、前記ライトバルブ素子から出射した光を投射する投射手段とで構成される映像表示装置において、光源からの出射光を赤色光、緑色光、青色光もしくは赤色光、緑色光、青色光および白色光に波長域を限定してライトバルブ素子に入射させる赤色光用カラーフィルタ、緑色光用カラーフィルタ及び青色光用からーフィルタとを有するカラーフィルタを備え、前記緑色光用カラーフィルタは約500から約550nmの範囲から選択された設定値の波長以下の光を減光する。この映像表示装置において、前記前記緑色光用カラーフィルタはダイクロイックミラーである。
【0017】
本発明による映像表示装置は、光を放射する光源の出射光を赤色光、緑色光、青色光に分離し、映像信号に応じた光学像が形成されるライトバルブ素子に照射し、前記映像表示素子から出射した光を投射する映像表示装置において、前記青色光をライトバルブ素子に向けて入射させる手段一部は約400から約430nmの波長の光を約95%以上通過させる特性を有する。
また、本発明による映像表示装置は、光を放射する光源の出射光を赤色光、緑色光、青色光に分離し、映像信号に応じた光学像が形成されるライトバルブ素子に照射し、前記映像表示素子から出射した光を投射する映像表示装置において、前記赤色光をライトバルブ手段に向けて入射させる手段の一部は約680から約700nmの波長の光を95%以上通過させる特性を有する。この映像表示装置において、前記入射手段の一部はレンズ及びミラーで構成される。
【0018】
本発明の目的を達成するために、本発明においては、少なくとも光源と、前記光源からの出射光を被照射面上に照射させる作用を有する照明手段と、光を変調する映像表示素子と、前記映像表示素子から出射した光をスクリーンまたはそれに準ずる表示面に投射する投射手段とを有する映像表示装置において、前記映像表示装置は少なくとも2枚の、光軸に対しある所定の角度を有し配された色分離手段を有し、第一の色分離手段により前記光源より発せられた光を約490から約550nmの範囲の所定の波長により分離し、分離された短波長側の光の光路上に第二の色分離手段を配する。前記第二の色分離手段により約450から約530nmの範囲の所定の波長の光を前記映像表示素子への光路より排する様に配置する。
また、前記映像表示装置は少なくとも2枚の、光軸に対しある所定の角度を有し配された色分離手段を有し、第一の色分離手段により前記光源より発せられた光を約450から約530nmの範囲の所定の波長により分離し、分離された長波長側の光の光路上に第二の色分離手段を配する。前記第二の色分離手段により約500から約550nmの範囲の所定の波長の光を前記映像表示素子への光路より排する様に配置する構成とする。
【0019】
または、前記映像表示手段において緑色光のみを透過、もしくは反射させることにより前記映像表示素子に対し通過させる少なくとも一枚のカラーフィルタを有し、このカラーフィルタは約450から約550nmの内の所定の波長の光をそれぞれの波長において50%以下の通過率になるような構成とする。また、通過する構成に対し約400から約430nmの波長を70%以上通過させるような構成とする。また、通過する構成に対し約680から約700nmの波長を70%以上通過させるような構成とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例を用い、図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明による映像表示装置の第一の実施例を示す模式図、図1(b)は本発明による映像表示装置の第二の実施例を示す模式図である。図1(a)は透過型ライトバルブ素子を用いた投射型映像表示装置を示し、図1(b)は反射型のライトバルブ素子を用いた投射型映像表示装置を示す。
図1(a)、図1(b)において、投射型映像表示装置には光源1が備えられている。光源1は超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ等の白色ランプである。光源1から放射された光は楕円面または放物面または非球面のリフレクタ2にて集光され、照明系3に入射される。照明系3は少なくとも一枚のレンズ若しくは少なくとも一つの偏光変換素子からなり、光源1を出てリフレクタ2により反射された光をライトバルブ素子4A、4B、例えば液晶表示素子に効率的に照射する役割を持つ。図1(a)において、照明系3からの光はカラーフィルタ5(図2を用いて後述する)を通してライトバルブ素子4に入射される。ライトバルブ素子4Aに入射された光は、ライトバルブ素子4Aを透過し、投射レンズ6で拡大されてスクリーン7に映像が表示される。
【0021】
図1(b)において、カラーフィルタ5を通してライトバル素子4B入射された光はライトバルブ素子4Bで反射され、この反射された光は投射レンズ6で拡大された後スクリーン7に映像が表示される。
なお、ライトバルブ素子4(4A、4B)は表示する画素数に対応する(例えば横800画素縦600画素各3色など)数の液晶表示部が設けてある。そして、カラーフィルタ5より出射された光は、外部より駆動される信号に従って、ライトバルブ素子4の画素の偏光角度が変わる。その結果、外部より入力する信号に従った画像が投影される。
【0022】
図2はカラーフィルタの平面図である。図に示すように、カラーフィルタ5にはR光(赤色光)のみを透過させるR光フィルタ5R、G光(緑色光)のみを透過させるG光フィルタ5G、B光(青色光)のみを透過させるB光フィルタ5Bが設けられており、回転軸8を中心に回転している。従って、ライトバルブ素子4A、4BにはR光、G光、B光が順次到達する。このカラーフィルタ5はとしては種々のフィルタが考えられる。例えば、この3色の光の他に輝度を上げるための白フィルタを追加しても良いし、カラーフィルタとしてはR、G、B光だけではなく、シアン、マゼンタ等の組み合わせでもよい。従って、カラーフィルタ5としては色光を分離することができれば良い。
所が、光源1としては超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ等の白色ランプが用いられるが、これらのランプは500nmから600nmの緑色光の比率が高く、CIE表色系におけるy値が高いホワイトになっている。
【0023】
この点を解決するために、図1(a)、図1(b)に示す映像表示装置に用いられているカラーフィルタ5のB光フィルタ5B及びG光フィルタ5Gの透過特性を次のように設定する。即ち、B光フィルタ5Bをショートウェーブパスフィルタで構成し、透過率50%になる波長を480から520nmの所定の値、例えば500nmに設定し、これ以下の波長の光のみを透過させるようにする。
【0024】
また、G光フィルタ5Gの透過特性をバンドパスフィルタで構成し、透過率50%波長を500から550nm、例えば520nmに設定し、他の透過率50%の波長を570nmから600nmの所定の値、例えば580nmに設定する。このようにすると、G光路に入射した500nm以上の波長の光の内、520nm以上580nm以下の波長の光は透過して、ライトバルブ素子4A、4Bに入射するが、520nm以下の波長の光は反射し、光路より排除される。
このようにして、これにより480nmから550nm近傍の任意の波長域の光を光路上より排除することが可能となり、NWの色度のy値を下げることができる。
【0025】
図3は本発明による映像表示装置の第三の実施例を示す模式図である。図3において、ライトバルブ素子として投射型液晶表示素子を用いて、これを光の三原色のR光(赤色光:略略590から700nmの波長帯域の光とする。)、G光(緑色光:略略500から590nmの波長帯域の光とする。)、B光(青色光、略略400から500nmの波長帯域の光とする。)の三色に対応して合計三枚用いた三板式投射型液晶表示装置を示している。
【0026】
本実施例において、ランプユニット11はランプ9、放物反射面鏡リフレクタ10及び複数の集光レンズ(図示せず)から構成されており、光源である例えば超高圧水銀ランプのようなランプ9より出射した光は、放物反射面鏡リフレクタ10で反射された後、この放物反射面鏡リフレクタ10の出射開口と略同等サイズの矩形枠に設けられた複数の集光レンズからなる第一のアレイレンズ12に入射される。すなわち、このランプ9及びリフレクタ10からなるランプユニット11から出射した光を集光して、複数の2次光源像を形成するための第一のアレイレンズ12に入射する。さらに、第一のアレイレンズ12からの出射光は、複数の集光レンズにより構成され、この複数の2次光源像が形成される近傍に配置され、かつR、G、B用ライトバルブ素子である液晶表示素子13R、13G、13Bに第一のアレイレンズ12の個々のレンズ像を結像させる第二のアレイレンズ14を通過する。この出射光は第二のアレイレンズ14の各々のレンズ光軸の横方向のピッチに適合するように配置され、各々のレンズ幅の略1/2サイズの菱形プリズムを有する偏光ビームスプリッタ15の列へ入射する。このこのビームスプリッタ15のプリズム面には偏光ビームスプリッター用の膜が張り付けられている。入射光はこの偏光ビームスプリッター15にてP偏光光とS偏光光に分離される。P偏光光は、そのまま偏光ビームスプリッタ−15内を直行し、このプリズムの出射面に設けられたλ/2位相差板16により、偏光方向が90°回転され、S偏光光に変換され出射される。一方、S偏光光は、偏光ビームスプリッター15により反射され、隣接する菱形プリズム内で本来の光軸方向にもう一度反射してからS偏光光として出射される。その後、少なくとも1枚のレンズからなるコンデンサレンズ17により、液晶表示素子13R、13G、13Bに集光される。
【0027】
コンデンサレンズ17と液晶表示素子13R、13G、13Bの間の光路上にあって、光軸に対してその法線を任意の角度、例えば45度の傾きを持って全反射ミラー18を配する。これによりその光路を90°折り曲げることが可能であり、装置全体のレイアウトの自由度を高め、より小型の装置を作ることが可能となる。
この光路上にあって、光軸に対してその法線が45°の角度になるように配置されたB光(青色)、G光(緑色)反射ダイクロイックミラー19により、560から610nmの内の所定の波長以上の光、例えば585nm以上の光、すなわちR光は透過し、この所定の波長以下の光、すなわちB光、G光は反射する。透過したR光は、その法線を光軸に対し所定の角度、例えば45°になるように配された赤色光用反射ミラー20によりその光路を折り曲げられて、赤色光用コンデンサレンズ21R及び赤色光用入射側偏光板22Rを通過し、対向電極、液晶等で構成された液晶表示素子13Rに入射され、液晶表示素子13Rの光の出射側に設けられた赤色光用出射側偏光板23Rを通過する。ここで、赤色光用入射前偏光板22Rの入射側、もしくは赤色光用コンデンサレンズ21の出射側にR透過型ダイクロイックミラー24Rを配しても良い。
【0028】
赤色光用出射偏光板23Rを出射したR光は、R光を反射させる作用を有するダイクロイックプリズム25にて反射され、投射手段26、例えばズームレンズに入射し、スクリーンに投射される。
一方、B、G反射ダイクロイックミラー19を反射したB光とG光は、G反射ダイクロイックミラー27に入射し、ミラー27により490から550nmの内の所定の波長以上の光、例えば520nm以上の光、すなわちG光を反射する。この光は緑色用コンデンサレンズ21Gを通過した後、550から600nmの内の所定の波長以下の光、例えば580nm以下の光のみを透過させるG透過型ダイクロイックミラー24Gにより所定の波長以上の波長の光を排除した後、緑色用入射側偏光板22Gを通過して、緑色用液晶表示素子13Gに入射する。緑色用液晶表示素子13Gの出射光は出射側に設けられた緑色用出射側偏光板23Gを通過する。緑色用出射偏光板23Gを出射したG光は、G光を透過する作用を有するダイクロイックプリズム25を透過し、投射手段26に入射し、スクリーンに投射される。
【0029】
また、G反射ダイクロイックミラー27を透過した前記所定の波長以下の光であるB光は、レンズ群28を構成する第一のレンズ28A、28Bの内の少なくとも1枚を通過し、青色光用反射ミラー群29を構成するミラー29A、ミラー29Bを構成する少なくとも1枚によって折り曲げられ、青色用コンデンサレンズ21Bを通過する。その後、450から530nmの内の所定の波長以下の光、例えば500nm以下の波長の光のみを透過させるダイクロイックミラー24Bにより、所定の波長以上の光を排除した後、青色用入射偏光板22Bを通過し、青色用液晶表示素子13Bに入射される。青色用液晶表示素子13Bの出射光は青色用液晶表示素子13Bの出射側に設けられた青色用出射偏光板23Bを通過する。青色用出射偏光板23Bを出射したB光は、B光を反射させる作用を有するダイクロイックプリズム25にて反射された後、投射手段26により、スクリーンに投射される。
さらに、照明系からライトバルブ素子に至る光学部品の内、照明系以降の各レンズ及びミラーについては、白色光および青色光通過時には400から430nmの波長の光を95%以上通過させる様にARコート等の薄膜コートの設計を行う。また、照明系以降の各レンズ及びミラーは白色光および赤色光通過時には680から700nmの波長の光を95%以上通過させる様にARコート等の薄膜コートの設計を行う。
【0030】
以上述べたように、R、G、Bそれぞれに対応した光はダイクロイックミラー19、反射ミラー20、ダイクロイックミラー27、レンズ群28及びミラー群29を備えた色分離手段によって分離され、ダイクロイックプリズム25を備えた色合成手段により合成され、投射レンズ26によりR、G、Bそれぞれに対応した液晶表示素子13R、13G、13B上の画像を拡大してスクリーン上に投射することによって、スクリーン上に拡大した実像を得るものである。
【0031】
本実施例ではG反射ダイクロイックミラー27および、ダイクロイックミラー24Bの通過波長域の差により約450から550nmの任意の波長域の光を光路上より排し、かつ400から430nmおよび680から700nmの波長の任意の光を有効に使用しているためNW(ノーマルホワイト)の色度のx値があがり、y値が下がる効果を得らる。また、G反射ダイクロイックミラー20及び、ダイクロイックミラー24Bの通過波長域は自由に調整することが可能であるため色度の調整が自由にうことができる。
【0032】
図4は本発明による映像表示装置に使用される光源の分光特性図であり、横軸に光の波長λ(単位nm)を、縦軸に相対強度Sをしめす。図において、実線で示す特性曲線31は白色光源の代表例である超高圧水銀ランプの分光特性を示し、点線で示す特性曲線32はメタルハライドランプの分光特性を示す。
図より明らかなように、超高圧水銀ランプは、従来のメタルハライドランプや、キセノンランプなどに比べ特に白色光の色度としてy値の高い光の割合が多い。550nm輝線ピークに対してB光、R光の割合が少ない。したがって、スクリーン上での白色(ノーマリーホワイト:NW)の色度のy値が高くなる。このため、y値を下げる工夫が必要となる。
本発明においては、後述するように、このy値を下げることができるように図3に示すG光、B光反射ダイクロイックミラー19、G光反射ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー24G、ダイクロイックミラー24Bの分光特性を変えている。
【0033】
図5は図3に示す映像表示装置の光学部品全体の分光特性の一実施例を示す特性図であり、横軸に光の波長λ(単位nm)を、縦軸に相対強度Sを示す。実線で示す特性曲線33は本発明による分光特性であり、点線で示す特性曲線34は従来の分光特性である。
図5において、特性曲線33は図3に示す光源、すなわちランプ9からの入射光に対する光学部品全体、すなわち図3のGB反射ダイクロイックミラー19、G反射ダイクロイックミラー27、ダイクロイックミラー24G、ダイクロイックミラー24Bまた、他のレンズ群あるいはライトバルブ素子13R、13G、13B、投射レンズ26、クロスプリズム25などを通過した時の出射光の分光特性を示す。特性曲線33から明らかなように、本発明の実施例においては450nmから550nm付近、使用するランプによっては480nmから540nm付近の波長帯域の光を光路上より排し、さらに、照明系以降からライトバルブ素子に至る各レンズ及び各ミラーを400から430nm付近の波長帯域の光および680から700nm付近の波長帯域の光を95%以上通過させることである。これによりスクリーン上でのNWの色度のy値が低くなり、x値が高くなる効果がある。
【0034】
図6は本発明の一実施例を説明するためのホワイトのCIE表色系における色度変化図であり、横軸にx値、縦軸にy値を示す。
図において、特性曲線35は黒体輻射の線を表す。従来の投射型映像表示装置においてはスクリーン上でのNW(ノーマルホワイト)の色度は、例えば図の斜線部36である。全光学部品の総合の分光特性を図5に示すように波長帯域の操作を行った本発明の一実施例におけるスクリーン上でのNWの色度は、例えば図の網掛部37である。図6に示すように、網掛部37は斜線部36に比べ黒体輻射の線35に近づいており、より標準の白色に近づいたことを示す。
【0035】
図7は本発明による映像表示装置の色分離系の第一の実施例を示す分光特性図であり、横軸に光の波長λ(単位nm)を、縦軸に光の強度Sの百分率(%)を示す。
図7(a)はG反射、B透過型ダイクロイックミラー27の分光特性を示す。図3に示すダイクロイックミラー19はショートウェーブパスフィルタであり、透過率50%になる波長を490から550nmの所定の値、例えば520nmに設定する。したがって、520nm以下の波長の光はB光路に入り、520nmを超える波長の光はG光路に入る。次に、図7(b)はダイクロイックミラー24Bの分光特性である。このダイクロイックミラー24Bはショートウェーブパスフィルタであり、透過率が50%になる波長を450から530nmの間の既定値、例えば500nmに設定する。したがって、B光路に入ってきた520nm以下の波長の光の内、500nm以下の波長の光は透過し、520nm以下の波長の光は反射し、光路上より排される。これにより450nmから550nm近傍の任意の波長帯域、この場合500から520nmの光を光路上より排することが可能となり、NWでの色度のy値を下げることができる。
【0036】
図8は本発明による映像表示装置の色分離系の第二の実施例を示す分光特性図であり、横軸に光の波長λ(単位nm)を、縦軸に光の強度Sの百分率(%)を示す。図8(a)はG反射、B透過型ダイクロイックミラー27の分光特性を示す。このダイクロイックミラー27はショートウェーブパスフィルタであり、透過率50%になる波長を450から530nmの所定の値、例えば500nmに設定する。したがって、500nm以下の光はB光路に入り、500nmを超える波長の光はG光路に入る。図8(b)はダイクロイックミラー24Gの分光特性を示す。このダイクロイックミラー24Gはバンドパスフィルタであり、透過率50%波長を500から550nm及び、570から600nmの所定の値、例えば520nmおよび580nmに設定する。したがって、G光路に入射した500nm以上の波長の光の内、520nm以上580nm以下の波長の光は透過し、ライトバルブ素子13Gに入射するが、520nmより小さいの波長の光は反射され、光路より排される。
これにより約450nmから550nm近傍の任意の波長域の光を光路上より排することが可能となり、NWの色度のy値を下げることができる。
【0037】
図9は本発明による映像表示装置の色分離系の第三の実施例を示す分光特性図であり、横軸に光の波長λ(単位nm)を、縦軸に光の強度Sの百分率(%)を示す。図9(a)はG反射、B透過型ダイクロイックミラー27の分光特性を示す。ダイクロイックミラー27の透過率50%になる波長を450から530nmの所定の値、例えば500nmに設定する。図9(b)はダイクロイックミラー24Gの分光特性を示す。ダイクロイックミラー24Gの透過率50%波長を500から550nmの所定の値、例えば520nmに設定する。これにより、選択された設定値の場合は500nmから520nm近傍の波長域の光を、最も範囲の広い場合には約480から550nmの光を光路上より排することが可能となり、ホワイトの色度のy値を下げることができる。
【0038】
図7、8,9を用いて説明したダイクロイックミラー19、24B、27、24Gの透過特性は例えば誘電体の材料、膜厚、または膜を蒸着させる時の蒸気を当てる角度を変えて部分的に膜厚を変える等種々の方法によって設定することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、500から530nm近傍のy値の高い波長の光を排除できるため、投射画像のy値を下げると共にx値を上げることができる。
また、ダイクロイックミラー等のカラーフィルタの通過波長域を調整することにより自由にホワイトの色度を調整することが可能となる。
また、400から420nm近傍の波長の光を活用することにより、スクリーン照度を下げずにホワイトのy値を下げることができる。
また、他に特別な機構を使用しない為、透過率の減少を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による映像表示装置の第一、第二の実施例を示す模式図である。
【図2】カラーフィルタの平面図である。
【図3】本発明による映像表示装置の第三の実施例を示す模式図である。
【図4】本発明による映像表示装置に使用される光源の分光特性図である。
【図5】図3に示す映像表示装置の光学部品全体の分光特性の一実施例を示す特性図である。
【図6】本発明の一実施例を説明するためのホワイトのCIE表色系における色度変化図である。
【図7】本発明による映像表示装置の色分離系の第一の実施例を示す分光特性図である。
【図8】本発明による映像表示装置の色分離系の第二の実施例を示す分光特性図である。
【図9】本発明による映像表示装置の色分離系の第三の実施例を示す分光特性図である。
【符号の説明】
1…光源、2…リフレクタ、3…照明系、4A、4B…ライトバルブ素子、5…カラーフィルタ、6…投射レンズ、7…スクリーン、9…ランプ、10…リフレクタ、11…ランプユニット、12…第一のアレイレンズ、13R、13G、13B…液晶表示素子、14…第二のアレイレンズ、15…偏光ビームスプリッター、16…λ/2位相差板、17…コンデンサレンズ、18…全反射ミラー、19…B光、G光反射ダイクロイックミラー、20…赤色光用反射ミラー、22…入射側偏光板、23…出射側偏光板、24…ダイクロイックミラー、25…ダイクロイックプリズム、26…投射レンズ、27…G光反射型ダイクロイックミラー。
Claims (3)
- 最大出力の波長が540nmから560nmの範囲にある光を出射する光源と、
前記光源から出射された光を複数の色光に分離する色分離手段と、
前記色分離手段からの光を映像信号に基づいて変調するライトバルブ素子と、
前記ライトバルブ素子が変調した光を投射する投射手段と、
前記色分離手段からの光のうち、少なくとも波長が500nmから520nmの範囲の光を排除し、且つ残りの光を透過させる排除手段とを有することを特徴とする映像表示装置。 - 請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記排除手段は、前記ライトバルブ素子の入射側の略近傍に配置されることを特徴とする映像表示装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の映像表示装置であって、
前記色分離手段及び前記排除手段は、前記光源から出射された光を時分割するカラーフィルタであることを特徴とする映像表示装置。
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