JP3817096B2 - 中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造 - Google Patents

中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間層免震構造物におけるエレベータ昇降路や階段室などの縦シャフトの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
上部構造と下部構造との間に免震装置を設けた中間層免震構造物は、建物の最下端と基礎との間に免震装置を設けた一般的な免震構造物に比べ、多くの利点を有している。
【0003】
例えば、地上階および地下階を有する多層建物の最下端と基礎との間に免震装置を設けた免震構造物においては、地下階の全周囲にドライエリアを兼ねた緩衝帯(地震時の建物の挙動を許容する空間)を形成する必要があるため、地盤の空堀量が多くなり、作業に多大の手間を要し、土地の利用効率の観点からも非常に不経済であるが、同規模の多層建物を、例えば地上レベルで上部構造と下部構造に分離して構成し、上部構造と下部構造との間に免震装置を設けて、中間層免震構造物とした場合、地震時に地盤と一体に揺れる下部構造の周囲には、空堀による緩衝帯の形成が不要であり、非常に経済的である。
【0004】
しかしながら、中間層免震構造物においては、免震層を隔てた上部構造と下部構造とでは、地震時の動きが互いに異なるため、上部構造と下部構造とにわたってエレベータ昇降路や階段室などの縦シャフトを設ける場合、特殊な支持構造が必要となる。
【0005】
このような中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造としては、従来より、大別して、
▲1▼縦シャフトを、免震層を貫通する形で上部構造から一体に下部構造内に延出させ、上部構造によって吊り下げ方式で支持する構造(特公平5−49595号)▲2▼縦シャフトを、免震層を貫通する形で上部構造から一体に下部構造内に延出させ、上部構造によって吊り下げ方式で支持する構造とし、さらに、縦シャフトのうち、下部構造内に延出させた下部シャフトを、縦梁と横梁で構成された変形しやすい骨組架構とすることにより、上部構造がロッキング運動を起こしたときの下部シャフトの最下端と下部構造との接触や衝突による下部シャフトと上部構造との連結部分での応力集中を緩和するようにした支持構造(特開平9−202562号)
▲3▼縦シャフトを、免震層を貫通する形で上部構造から一体に下部構造内に延出させ、この延出させた縦シャフトの下端と下部構造との間に、もう一つの免震層(副免震層)を形成して、縦シャフトを支持する構造(特開平10−46864号)
の三つが提案されている。
【0006】
しかしながら、上述した▲1▼、▲2▼の支持構造においては、いずれも、吊り下げられた縦シャフトの自重が、縦シャフトの鉛直部材を通じて免震層上部に伝達されるため、縦シャフトの自重を支持している部材の断面が大きくなり、殊に、下部構造の階数が多い場合、吊り下げる縦シャフトの重量が大きくなるから、免震層より上部の荷重が増大し、必要とされる免震装置寸法が大きくなり、納まり上、階高を高くしなければならないといった面で不経済になることが多い。
【0007】
また、▲1▼の支持構造においては、地震時に上部構造がロッキング運動(片側の免震装置の積層ゴムが圧縮されているとき、反対側の免震装置の積層ゴムが圧縮されないか、反対に膨張して、上部構造が免震層を基準にして積層ゴムの圧縮側に傾き、これが左右交互に繰り返される運動)を起こしたとき、縦シャフトの下端が下部構造に接触や衝突し、縦シャフトや下部構造が破損するという問題点も指摘されている。
【0008】
この点、▲2▼の支持構造では、下部構造内に延出させた下部シャフトが、縦梁と横梁で構成され、変形しやすい骨組架構となっているので、下部シャフトの最下端と下部構造との接触や衝突による下部構造の破損や下部シャフトと上部構造との連結部分での応力集中による破損を防止できるが、その反面、下部構造内に延出させた下部シャフトの水平剛性が小さいため、下部構造の階数が多い場合、下部シャフトの水平変形が大きくなり、必要とされるクリアランスが大きくなるという問題点がある。また、容易に変形するため接触や衝突による下部構造等の破損を防止できるとは言え、下部シャフトの最下端と下部構造との接触部位に緩衝材を設置することが、実際上、望ましく、これがコスト増の要因となる。
【0009】
また、▲3▼の支持構造においては、縦シャフトの下部が別の免震装置(副免震層)を介して下部構造に支持されているが、縦シャフトが上部構造から一体に延出されているため、上部構造の自重も一部、縦シャフト下部の免震装置(副免震層)で支持されることになる。換言すれば、縦シャフトが上部構造から一体に延出されているため、常時は、上部構造と下部構造との間の免震装置(主免震層)と、縦シャフト下部の免震装置(副免震層)が共に上部構造の自重を支持することになり、地震時には、上部構造の鉛直動による大きな付加軸力が副免震層に作用することになる。
【0010】
従って、縦シャフト下部の免震装置(副免震層)の必要とされる免震装置寸法が大きくなり、縦シャフト下部に大きなスペースが必要であり、また、下部構造内に延出させた縦シャフト部分を構成する鉛直部材に作用する軸力が大きいため鉛直部材の断面寸法が大きくなり、これらが、いずれも、コスト増の要因となるので、非常に不経済である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来例の問題点をふまえてなされたものであって、上部構造のロッキング運動に起因する縦シャフトや下部構造等の破損を防止できるのみならず、上部構造の荷重や地震時の鉛直動による付加荷重が縦シャフトに作用しないため、縦シャフトの自重を支持する部材の断面や縦シャフト下部の必要スペース等を小さくすることができる非常に経済的な中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明では、上部構造と下部構造と間に免震装置を設けた中間層免震構造物において、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトを、上部構造側の縦シャフトと下部構造側の縦シャフトとに分離して構成し、上部構造側の縦シャフトを上部構造と一体に構成し、下部構造側の縦シャフトを、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結する一方、下部構造側の縦シャフトの下部と下部構造との間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明では、上部構造と下部構造との間に免震装置を設けた中間層免震構造物において、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトを、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結する一方、縦シャフトの下部と下部構造との間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明では、上部構造と下部構造との間に免震装置を設けた中間層免震構造物において、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトを、縦シャフトと上部構造の最下階とのジョイント部において、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結し、上部構造の他の階と縦シャフトとの間には、各階の層間変位量を吸収するためのクリアランスを形成する一方、縦シャフトの下部と下部構造との間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置を設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトが、上部構造側の縦シャフトと、下部構造側の縦シャフトとに分離され、上部構造側の縦シャフトは上部構造と一体に構成され、下部構造側の縦シャフトが、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結されており、請求項2,3に記載の発明によれば、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトが、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結されているので、いずれも、上部構造の自重の伝達経路が縦シャフトから切り離されており、縦シャフト下部の支持装置には、上部構造の荷重が作用せず、地震時の上部構造の鉛直動による付加軸力も作用しない。
【0016】
従って、縦シャフトの自重を支持する部材の断面や、上部構造と下部構造の間に設置される免震装置の寸法ならびに縦シャフト下部の支持装置の寸法が小さくて済み、縦シャフト下部の必要スペースも小さくて済み、非常に経済的である。
【0017】
また、たとえ上部構造がロッキング運動を起こしても、免震層レベルにおいて鉛直方向のスライド機構が働くことにより、縦シャフト下部には、上部構造のロッキング運動による水平変形の増大が生じないため、縦シャフト下部と下部構造との接触や衝突が発生せず、上部構造のロッキング運動に起因する縦シャフトや下部構造等の破損を防止できる。また、ロッキング運動を考慮しないで済むため、縦シャフトを、鉄骨フレームとブレース、RC耐震壁等、水平剛性の大きい構造形式で構成することができ、下部の水平変形を小さくして、縦シャフト下部と下部構造との間に形成する免震クリアンスを免震層レベルでの免震クリアランスと同程度に抑えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、中間層免震構造物1におけるエレベータ昇降路や階段室などの縦シャフト2の支持構造の一例を示す。中間層免震構造物1は、多層建物を上部構造(例えば地上階)3Aと下部構造(例えば地下階)3Bとに分離して構成し、上部構造3Aと下部構造3Bとの間に、積層ゴム等で構成される複数の免震装置4を設けて、免震層5を形成したものである。免震層5は、免震装置4の設置に必要最小限の小さな階高とした不使用階(免震以外に用途のない階)とすることもできるが、この実施の形態では、他の階と同様な通常の階高を有する使用階(例えば、駐車場として使用する階)を免震層5とすることにより、免震層5の形成に伴う無駄なスペースをなくし、高さ方向の省スペース化を図っている。図中の4A,4Bは、免震装置4を設置する位置に設けた柱状の支持体であり、支持体4A,4Bの長さにより、他の階と同様な階高を確保している。つまり、免震装置4自体の上下幅は狭いが、これを上下に長い支持体4A,4Bに設置することで、使用可能な階高を確保している。
【0019】
前記縦シャフト2は、上部構造3Aと下部構造3Bとにわたって設けられているが、上部構造3A側の縦シャフト2Aと下部構造3B側の縦シャフト2Bとに分離して構成されており、上部構造側の縦シャフト2Aは上部構造3Aと一体に構成されている。
【0020】
下部構造側の縦シャフト2Bは、鉄骨フレーム6とブレース7等で構成される水平剛性の大きい鉄骨系の架構とされ、縦シャフト2B上端のジョイント部(図1に丸印aで示した位置)において、上部構造3Aに、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結されており、下部構造側の縦シャフト2Bの下部と下部構造3Bとの間には、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置8を設けて、副免震層9を形成してある。10a,10b,10cは、下部構造側の縦シャフト2Bの周囲に形成した免震クリアランスである。
【0021】
支持装置8は、滑り支承を利用した既知の免震装置と同じ構造のものであり、例えば、ステンレススチール板上を滑る滑り材、ベアリング等によって構成される。
【0022】
図2と図3は、図1に示したジョイント部の具体的な構成を示す。図において11は、上部構造3Aの下端面に固定されたブラケットである。上部構造3AがRC造の場合、ブラケット11は、図示のように、アンカーボルト12で固定されるが、上部構造3AがS造である場合、溶接等の手段により固定される。ブラケット11には、縦シャフト2Bの鉄骨フレーム6の側面と対向する鉛直板部11aに縦長のルーズホール13が形成され、鉄骨フレーム6には、ルーズホール13に対応するボルト挿入孔が形成されている。そして、鉄骨フレーム6と鉛直板部11aとを、座金14とボルト15a及びナット15bを介して連結することにより、鉄骨フレーム6をルーズホール13の範囲内で鉛直方向にスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結してある。図示しないが、鉄骨フレーム6とブラケット11の鉛直板部11aとの間に、フッ素樹脂等の滑り材を挟んで実施してもよく、座金14として滑り材付きの座金を使用してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、上部構造3Aと下部構造3Bとにわたって設けられる縦シャフト2が、上部構造側の縦シャフト2Aと、下部構造側の縦シャフト2Bとに分離され、上部構造側の縦シャフトAは上部構造3Aと一体に構成され、下部構造側の縦シャフト2Bが、上部構造3Aに、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結されているので、上部構造3Aの自重の伝達経路が縦シャフト2Bから切り離されており、縦シャフト2B下部の支持装置8には、上部構造3Aの荷重が作用せず、地震時の上部構造3Aの鉛直動による付加軸力も作用しない。
【0024】
従って、縦シャフト2の自重を支持する部材の断面や、上部構造3Aと下部構造3Bの間に設置される免震装置4の寸法ならびに縦シャフト2B下部の支持装置8の寸法が小さくて済み、縦シャフト2B下部の必要スペースも小さくて済み、非常に経済的である。
【0025】
また、たとえ上部構造3Aが地震時にロッキング運動を起こしたとしても、免震層5レベルにおいて、下部構造側の縦シャフト2Bが上部構造3Aに対して鉛直方向にスライドすることにより、縦シャフト2Bの下部側に水平変形の増大が生じないため、縦シャフト2Bと下部構造3Bとの接触や衝突が発生せず、上部構造3Aのロッキング運動に起因する下部構造側の縦シャフト2Bや下部構造3B等の破損を防止できる。
【0026】
また、下部構造側の縦シャフト2Bが、鉄骨フレーム6とブレース7等で構成される水平剛性の大きい構造形式とされているので、縦シャフト2B下部の水平変形を小さくして、縦シャフト2B下端側と下部構造3Bとの間に形成する免震クリアンス10cを免震層5レベルでの免震クリアランス10aと同程度に抑えることができる。
【0027】
また、上記の構成によれば、免震装置4を柱状の支持体4A,4Bに設置することにより、他の階と同様な階高を確保し、使用階を免震層5としているので、免震層5の形成に伴う無駄なスペースがなくなり、高さ方向の省スペース化が達成される。
【0028】
図4〜図6は、他の実施の形態を示し、縦シャフト2B上端のジョイント部(図4に丸印aで示した位置)において、縦シャフト2Bの側面を、上部構造3A自体の側面に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結した点に特徴がある。
【0029】
この例では、縦シャフト2Bの鉄骨フレーム6に縦長のルーズホール13を形成する一方、上部構造3A自体の側面にアンカーボルト12を埋設してある。そして、鉄骨フレーム6と上部構造3Aとの相対向する側面間に、フッ素樹脂等で板状に形成された滑り材16を挟んだ状態で、アンカーボルト12に座金(滑り材付きの座金を使用してもよい)14を介してナット15bを螺着することにより、鉄骨フレーム6をルーズホール13の範囲内で鉛直方向にスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結してある。その他の構成や作用は、図1〜図3で示した実施の形態と同じであるから、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0030】
図7は、他の実施の形態を示す。この実施の形態は、下部構造3B側の縦シャフト2BをRC耐震壁等で構成される水平剛性の大きい鉄筋コンクリート系の架構とし、縦シャフト2B上端のジョイント部(図7に丸印aで示した位置)において、縦シャフト2Bの側面と、これに対向する上部構造3A自体の側面との間に、フッ素樹脂、ステンレススチール板等で形成された滑り材17を挟み込むと共に、縦シャフト2Bの上端面と上部構造3Aの下端面との間に、上部構造3Aと縦シャフト2Bとの鉛直方向での相対的なスライドを許容するクリアランス18を形成することにより、縦シャフト2Bの側面を、上部構造3A自体の側面に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結した点に特徴がある。
【0031】
滑り材17は、縦シャフト2Bの側面と、これに対向する上部構造3A自体の側面とのうち、少なくとも一方(図示の例では、上部構造3A自体の側面)に固着されている。その他の構成や作用は、図4で示した実施の形態と同じであるから、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0032】
図8は、中間層免震構造物1における縦シャフト2の支持構造の他の一例を示す。前記縦シャフト2は、上部構造3Aと下部構造3Bとにわたって連続して設けられている。そして、縦シャフト2を、上部構造3Aに対し、図8に複数の丸印aで示すように、各階において、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結する一方、縦シャフト2の下部と下部構造3Bとの間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置8を設けて、副免震層9を形成してある。
【0033】
図中の10a,10b,10cは、縦シャフト2と下部構造3Bとの間に形成された免震クリアランス、19は、縦シャフト2の上端面と、これに対向する上部構造3Aのスラブ下面との間に形成され、上部構造3Aと縦シャフト2との鉛直方向での相対的なスライドを許容するクリアランスである。
【0034】
縦シャフト2は、全体が鉄骨系の架構とされているが、上部構造3Aの最下階とのジョイント部よりも下方に位置する縦シャフト部分は、鉄骨フレームとブレース等で構成され、水平剛性の大きい構造形式とされている。縦シャフト2のうち、前記ジョイント部よりも上方に位置する縦シャフト部分は、水平剛性の小さい鉄骨フレームで構成され、上部構造3Aの変形に追随させて変形するように構成されている。
【0035】
尚、支持装置8は、図1〜図7の各実施形態における支持装置8と同じ構造のものであり、例えば、ステンレススチール板上を滑る滑り材、ベアリング等によって構成される。縦シャフト2を上部構造3Aの各階に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結するための具体的な手段としては、例えば、図5と図6で示したジョイント部と同様に、縦シャフト2の鉄骨フレーム6に縦長のルーズホールを形成する一方、上部構造3Aの各階の側面にアンカーボルトを埋設し、鉄骨フレーム6と上部構造3A各階の相対向する側面間に、フッ素樹脂等で板状に形成された滑り材を挟んだ状態で、前記アンカーボルトに座金(滑り材付きの座金を使用してもよい。)を介してナットを螺着することにより、鉄骨フレーム6をルーズホールの範囲内で鉛直方向にスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結してもよく、図7で示したジョイント部と同様に、縦シャフト2の側面と、これに対向する上部構造3A各階の側面との間に、フッ素樹脂やステンレススチール板等で構成される滑り材を挟み込んでもよい。
【0036】
上記の構成によれば、縦シャフト2が上部構造3Aと下部構造3Bとにわたって連続して設けられているが、上部構造3Aの各階に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結されているので、上部構造3Aの自重の伝達経路が縦シャフト2から切り離されており、縦シャフト2下部の支持装置8には、上部構造3Aの荷重が作用せず、地震時の上部構造3Aの鉛直動による付加軸力も作用しない。
【0037】
従って、縦シャフト2の自重を支持する部材(鉛直方向の鉄骨フレーム6)の断面や、上部構造3Aと下部構造3Bの間に設置される免震装置4の寸法ならびに縦シャフト2下部の支持装置8の寸法が小さくて済み、縦シャフト2下部の必要スペースも小さくて済み、非常に経済的である。
【0038】
また、たとえ上部構造3Aが地震時にロッキング運動を起こしたとしても、免震層5レベルを含む各階において、縦シャフト2が上部構造3Aに対して鉛直方向にスライドすることにより、縦シャフト2の下部側に水平変形の増大が生じないため、縦シャフト2の最下端と下部構造3Bとの接触や衝突が発生せず、上部構造3Aのロッキング運動に起因する縦シャフト2や下部構造3B等の破損を防止できる。
【0039】
また、縦シャフト2は、上部構造3Aの最下階とのジョイント部よりも下方に位置する縦シャフト部分が、鉄骨フレーム6とブレース7等で構成された水平剛性の大きい構造形式とされているので、縦シャフト2下部の水平変形を小さくして、縦シャフト2下端側と下部構造3Bとの間に形成する免震クリアンス10cを免震層5レベルでの免震クリアランス10aと同程度に抑えることができる。
【0040】
図9は、他の実施の形態を示す。この実施の形態は、上部構造3Aと下部構造3Bとにわたって連続して設けられる縦シャフト2の全体をRC耐震壁等で構成される水平剛性の大きい鉄筋コンクリート系の架構とし、当該縦シャフト2を、縦シャフト2と上部構造3Aの最下階とのジョイント部(図9に丸印aで示した位置)において、上部構造3Aに、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結し、上部構造3Aの他の階と縦シャフト2との間には、各階の層間変位量を吸収するためのクリアランス20を設けた点に特徴がある。
【0041】
縦シャフト2を上部構造3Aの最下階に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結するための具体的な手段として、この例では、図7で示したジョイント部と同様に、上部構造3Aの最下階と、これに対向する縦シャフト2の側面との間に、フッ素樹脂やステンレススチール板等で構成される滑り材17を挟み込んでいるが、上部構造3Aの最下階と、これに対向する縦シャフト2の側面のうち、一方に、縦長のルーズホールが形成されたブラケットを設け、他方にはボルト挿入孔が形成されたブラケットを設けて、両ブラケットを滑り材付きの座金とボルト・ナットを介して連結したり、あるいは、上部構造3Aの最下階にアンカーボルトを埋設する一方、縦シャフト2には、縦長のルーズホールが形成されたブラケットを設け、当該ブラケットと上部構造3A最下階の相対向する側面間に、フッ素樹脂等で板状に形成された滑り材を挟んだ状態で、前記アンカーボルトに滑り材付きの座金を介してナットを螺着して連結するなど、種々の具体的手段を採用することができる。その他の構成や作用は、図8で示した実施の形態と同じであるから、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上部構造のロッキング運動に起因する縦シャフトや下部構造等の破損を防止できるのみならず、上部構造の荷重や地震時の鉛直動による付加荷重が縦シャフトに作用しないため、縦シャフトの自重を支持する部材の断面や縦シャフト下部の支持装置とその設置に必要なスペース等を小さくすることができ、非常に経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造を説明する図である。
【図2】図1に示した上部構造と下部構造側の縦シャフトとのジョイント部を説明する要部の正面図である。
【図3】図1に示した上部構造と下部構造側の縦シャフトとのジョイント部を説明する要部の側面図である。
【図4】中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造を説明する図である。
【図5】図4に示した上部構造と下部構造側の縦シャフトとのジョイント部を説明する要部の正面図である。
【図6】図4に示した上部構造と下部構造側の縦シャフトとのジョイント部を説明する要部の正面図である。
【図7】中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造を説明する図である。
【図8】中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造を説明する図である。
【図9】中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造を説明する図である。
【符号の説明】
2…縦シャフト、2A…上部構造側の縦シャフト、2B…下部構造側の縦シャフト、3A…上部構造、3B…下部構造、4…免震装置、8…支持装置。

Claims (3)

  1. 上部構造と下部構造と間に免震装置を設けた中間層免震構造物において、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトを、上部構造側の縦シャフトと下部構造側の縦シャフトとに分離して構成し、上部構造側の縦シャフトを上部構造と一体に構成し、下部構造側の縦シャフトを、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結する一方、下部構造側の縦シャフトの下部と下部構造との間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置を設けたことを特徴とする中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造。
  2. 上部構造と下部構造との間に免震装置を設けた中間層免震構造物において、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトを、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結する一方、縦シャフトの下部と下部構造との間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置を設けたことを特徴とする中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造。
  3. 上部構造と下部構造との間に免震装置を設けた中間層免震構造物において、上部構造と下部構造とにわたって設けられる縦シャフトを、縦シャフトと上部構造の最下階とのジョイント部において、上部構造に、鉛直方向にはスライド自在で且つ水平方向にはピン固定の状態に連結し、上部構造の他の階と縦シャフトとの間には、各階の層間変位量を吸収するためのクリアランスを形成する一方、縦シャフトの下部と下部構造との間に、水平方向にはスライド自在で且つ鉛直方向には荷重を支持する支持装置を設けたことを特徴とする中間層免震構造物における縦シャフトの支持構造。
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