JP3815573B2 - 積層体の打ち抜き処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数枚の切り込み付可撓性シート材を積層することで構成される積層体から、各シート材の切り込みに囲まれたシート片を積層することで構成される積層シート片を打ち抜くために用いられる打ち抜き処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば紙器の製造工程においては、図1に示すように、複数枚の可撓性シート材1に紙器の展開形状に対応する切り込み2を入れ、その切り込み付可撓性シート材1を積層することで積層体3を構成し、各シート材1の切り込み2に囲まれたシート片4を積層することで構成される積層シート片を積層体3から打ち抜き、各シート片4から紙器を組み立てることが行なわれている。
【0003】
上記可撓性シート材1に入れられる切り込み2は連続したものではなく、部分的な不連続部2′を有することから、積層体3からの積層シート片の打ち抜き不良が生じないように、その打ち抜きには、その積層体3の下面を支持する支持部材と、この支持部材に支持された積層体3の上面を切り込み2の外方位置で上型を介し押さえる手段と、その積層体3の下面を切り込み2の内方位置で下型を介し突き上げる手段とを有する専用の打ち抜き装置が用いられている(実公昭62‐5917号公報参照)。
【0004】
上記のような打ち抜き装置への積層体3の送り込みを人手により行なうには多大な労力を必要とする。そこで、積層体3を載置するためのテーブルと、このテーブルに載置された積層体3を打ち抜き装置に送り込む送り込み装置とを設け、労力を軽減することが図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような打ち抜き装置にあっては、積層体3を突き上げる前の下型は、積層体3の支持部材の上面よりも下方に位置させる必要がある。この場合、突き上げ前の下型の上面と支持部材の上面との上下間距離は、打ち抜き時間を短縮し、また、装置を小型化する上では可及的に小さくすることが望まれる。
【0006】
しかし、可撓性シート材1により構成される積層体3は支持部材による支持箇所の間で撓むため、その支持部材の上面よりも垂れ下がってしまう。そのため、下型と支持部材の上面との上下間距離を小さくすると、突き上げ前の下型に前記送り込み装置による送り途中の積層体3が衝突してしまう。これにより、その上下間距離を小さくすることができず、打ち抜き時間の短縮や打ち抜き装置の小型化が阻害される。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することのできる積層体の打ち抜き処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による積層体の打ち抜き処理装置は、複数枚の切り込み付可撓性シート材を積層することで構成される積層体の載置用テーブルと、各シート材の切り込みに囲まれたシート片を積層することで構成される積層シート片を積層体から打ち抜く装置と、この打ち抜き装置に前記テーブルに載置された積層体を送り込む送り込み装置とを備え、その打ち抜き装置は、その積層体の下面を支持する支持部材と、この支持部材に支持された積層体の上面を前記切り込みの外方位置で上型を介し押さえる手段と、その積層体の下面を前記切り込みの内方位置で下型を介し突き上げる手段とを有し、その突き上げ前の下型の上面は、その支持部材の上面よりも下方に配置され、その突き上げ前の下型に前記送り込み装置による送り途中の積層体がその支持部材の上面よりも垂れ下がって衝突するのを規制できるように、その下型とテーブルとの間に積層体の下面を支持する垂れ下がり規制部材が設けられ、その垂れ下がり規制部材の前端は積層体の送り方向とこの送り方向に直角な横方向とに位置変更可能とされている。
【0009】
【作用】
本発明の構成によれば、送り装置によってテーブルから打ち抜き装置に送り込まれる途中の積層体の下面は、垂れ下がり規制部材により支持される。すなわち、積層体は支持部材の間での垂れ下がりが規制されるので、下型に積層体が衝突するのを防止できる。また、垂れ下がり規制部材の前端を、下型の配置に応じ積層体の送り方向とこの送り方向に直角な横方向とに位置変更できる。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0011】
図2に示す積層体の打ち抜き処理装置は、前記図1に示したシート材1の積層体3から、切り込み2に囲まれたシート片4を積層することで構成される積層シート片5を打ち抜くためのものであり、本実施例では、一つの積層体3から6つの積層シート片5を2回の打ち抜き動作により3つずつ打ち抜くものである。
【0012】
この打ち抜き処理装置は、積層体3を上下に2分すると共にその2分割後に上方に位置する積層体3を一方向(図2において矢印A方向、以下、本実施例において前方とする)に送り出して分離する分離装置6と、この分離装置6の前方に位置して積層体3を前方に送る送り装置7と、この送り装置7の前方に位置して積層体3から積層シート片5を打ち抜く打ち抜き装置8と、この打ち抜き装置8の前方に位置して打ち抜かれた積層シート片5を前方に搬送する搬送装置9と、この搬送装置9の左方に位置して打ち抜きに用いられる型を予め準備するための型準備装置10とを備える。その搬送装置9はガイドレール11に沿い前後方向に走行可能とされ、その型準備装置10はガイドレール12に沿い左右方向に走行可能とされている。図3に示すように、搬送装置9が前方に移動することで型準備装置10は打ち抜き装置8の前方に位置することができ、この状態で、打ち抜き装置8と型準備装置10との間で打ち抜きに用いられる後述の型ベースの交換が可能とされている。
【0013】
図4、図5に示すように、その分離装置6は、積層体3の第1載置装置15と、この第1載置装置15の前方に配置された送り装置7のエアテーブル16の下方に配置された走行コンベヤ17と、この走行コンベヤ17を支持する左右一対のレール18と、その第1載置装置15の後方に配置された受装置19と、その第1載置装置15の上方に配置された押さえ装置14とを有する。
【0014】
その第1載置装置15は、パレット20に載置された積層体3を受ける載置台21と、この載置台21をリンク機構を介し昇降させる昇降機構22とを有する。
【0015】
その走行コンベヤ17は、フレーム25と、このフレーム25により支持されると共に図4において矢印B方向に周回駆動されるコンベヤベルト(送り出し体)26と、そのフレーム25に取り付けられる複数の車輪27とを有し、その車輪27が回転駆動されることで前記レール18上を前後方向に走行する。なお、そのコンベヤベルト26の上面の高さは、後端において僅かに低くなるものとされている。
【0016】
そのフレーム25に、コンベヤベルト26の後方において、左右方向に伸縮するロッドを有する流体圧シリンダ28が取り付けられ、その伸縮ロッドにブラケット29を介し受け刃30が取り付けられている。なお、その受け刃30はブラケット29にバネを介し取り付けられ、その左方側に形成された刃先30aは弾性的に僅かに上下揺動し得る。また、そのフレーム25の右端に、前後方向に伸縮するロッドを有する流体圧シリンダ32が上下方向軸中心に揺動可能に取り付けられ、その伸縮ロッドにブラケット33が上下方向軸中心に揺動可能に取り付けられている。そのブラケット33と、フレーム25の左端に上下方向軸中心に揺動可能に取り付けられたブラケット34とに、受け刃30の下方において、ロータ35が横軸中心に回転可能に取り付けられ、このロータ35を図4において矢印C方向に回転駆動するモータ36が、その右端のブラケット33に取り付けられている。また、フレーム25の左右側面の前方側に、上下に伸縮するロッドを有する傾斜用流体圧シリンダ37が取り付けられ、そのロッドの下端は前記レール18の押圧部とされている。
【0017】
その受装置19は、左右一対の支柱38に取り付けられたビーム39と、図6にも示すように、そのビーム39にブラケットを介し取り付けられた一対のガイドロッド40と、このガイドロッド40に左右方向に移動可能に支持された支持プレート41と、この支持プレート41に取り付けられると共に上下方向に伸縮するロッドを有する流体圧シリンダ44と、この流体圧シリンダ44の伸縮ロッドに接続されると共にその支持プレート41に一対のガイドロッド42を介し上下動可能に取り付けられた昇降プレート43と、この昇降プレート43に連結されたガイドプレート45と、このガイドプレート45に固定プレート49を介し取り付けられた流体圧シリンダ46と、この流体圧シリンダ46の前後方向に伸縮するロッドに一対のガイドロッド47を介し前後動可能に取り付けられた受部材48とを有する。そのガイドプレート45に対する固定プレート49の固定位置は前後方向に変更可能とされている。その受部材48に、リミットスイッチ50が取り付けられ、積層体3の後面に当接するとオンする。
【0018】
その押さえ装置14は、前記左右一対の支柱38に取り付けられた上部ビーム55と打ち抜き装置8との間に架け渡されたレール56に取り付けられた流体圧シリンダ57と、このシリンダ57の上下方向に伸縮するロッドに取り付けられたアーム58と、このアーム58に取り付けられた押圧具59とを有する。その押圧具59は、筒体59aと、この筒体59aに内蔵された圧縮コイルバネに上下動可能に支持された押圧体59bとから構成されている。
【0019】
上記分離装置6により積層体3を上下に分離するには、まず、第1載置装置15により積層体3を上下動させ、積層体3の上下分離位置の高さを受け刃30の刃先30aの高さに一致させる。
【0020】
次に、図8の(I)に示すように、走行コンベヤ17を後方に移動させ、受け刃30を積層体3の前端の右方に配置する。さらに、受部材48をシリンダ46により前方に移動させ、積層体3の後方側の側面を受部材48により受ける。この際、受部材48の下端は、積層体3の上下分離位置よりも下方に位置するものとする。なお、受部材48が積層体3の後方側の側面を受けると、リミットスイッチ50は積層体3の後方側の側面に当接してシリンダ46の制御装置(図示省略)に信号を送り、これにより、シリンダ46は作動停止し、受部材48が積層体3を前方に押すのを防止している。
【0021】
次に、図8の(II)に示すように、受け刃30をシリンダ28により左方に移動させて積層体3に受け刃30を挿入し、積層体3の左右中央において、積層体3の上下分離位置よりも上方側を受け刃30により支持する。この積層体3に挿入された受け刃30の刃先30aは、積層体3の重量により弾性的に僅かに下方揺動し、受け刃30の本体の上下面の間に位置する。これにより、その刃先30aによるシート材1の傷付きが防止されている。
【0022】
次に、第1載置装置15により積層体3を載置したパレット20を下方移動させ、積層体3の後方側をパレット20と共に下方移動させ、積層体3の前端の上下分離位置よりも下方側をパレット20と共に下方移動させる。これにより、2分割後に上方側に位置することになる積層体3の前端部は、受け刃30によって、下方側に位置することになる積層体3に対し相対的に上方に持ち上げられた状態になる。
【0023】
次に、図9の(III)に示すように、シリンダ32を伸長してロータ35を積層体3の上下分離間に送り込み、次いで、図9の(IV)に示すように、走行コンベヤ17を後方に移動させ、コンベヤベルト26を積層体3の上下分離間に送り込む。これにより、上方側に位置することになる積層体3の送り出し方向後方側がコンベヤベルト26に乗り上げて積層体3が上下に分割され、コンベヤベルト26の上面に上方側に位置する積層体3が載置される。この際、上方側に位置することになる積層体3の後方側の側面は受部材48により支持されているので、積層体3の前後寸法が短い場合やシート材1が可撓性の小さい材質であっても、コンベヤベルト26が上方側に位置することになる積層体3を後方に押しやってしまうのを防止できる。なお、コンベヤベルト26の上面の高さは後端において僅かに低くされ、コンベヤベルト26が受部材48と干渉するのが防止されている。また、押さえ装置14の流体圧シリンダ57の伸縮ロッドが下方移動し、積層体3の前方側の上面に押圧具59に内蔵されたバネの弾性力が押圧体59bを介し作用することによっても、上方側に位置することになる積層体3がコンベヤベルト26により後方に押しやられるのを防止している。さらに、その走行コンベヤ17の後方移動の際にロータ35を回転させると共にコンベヤベルト26を周回駆動させ、その走行コンベヤ17の後方移動速度とロータ35の回転速度およびコンベヤベルト26の周回駆動速度を同期させ、上方側に位置することになる積層体3の下面に対するロータ35およびコンベヤベルト26の接触部の摩擦低減を行ない、コンベヤベルト26への積層体3の乗り上げを促進している。これにより、積層体3を確実に上下2分割して上方側に位置する積層体3をコンベヤベルト26に載置することができ、積層体3の崩れを防止できる。
【0024】
次に、図10に示すように、傾斜用流体圧シリンダ37を伸長させ、その伸縮ロッドをレール18に押し付けることで、走行コンベヤ17の前端を後端よりも上方に位置させてコンベヤベルト26を傾斜させ、コンベヤベルト26の前端の高さをエアテーブル16の上面と一致させる。しかる後に、コンベヤベルト26を周回駆動させることで、コンベヤベルト26に載置された積層体3は送り装置7のエアテーブル16に載置される。
【0025】
次に、傾斜用流体圧シリンダ37を収縮させ、走行コンベヤ17を前方に移動させてエアテーブル16の下方に復帰させ、受部材48を流体圧シリンダ46により後方に変位させることで、上記積層体3の分離工程を繰り返すことができる。この際、受部材48を流体圧シリンダ46によって後方に変位させることで、積層体3を第1載置装置15によって上方移動させる際に、受部材48が積層体3の上方移動を規制したり積層体3を構成するシート材1を傷付けることはない。
【0026】
なお、上記分離装置6においては、第1載置装置15への積層体3の搬入は、受部材48の後方から行なうものとされている。そのため、第1載置装置15への積層体3の搬入時には、ガイドロッド40に沿って支持プレート41を左右方向に移動させることで、受部材48を搬入途上の積層体3に干渉することのない位置に退避させる。また、積層体3の前後方向寸法は、シート材1の種類により異なるため、その寸法の変化に対応して受部材48による積層体3の受け位置も変化させる必要がある。その受部材48の受け位置の変化に流体圧シリンダ46の伸縮により対応することも考えられるが、流体圧シリンダ46が大型化するので、ガイドプレート45に対する固定プレート49の固定位置を前後方向に変更させることで、その受け位置の変化に対応している。
【0027】
なお、上方側に位置することになる積層体を下方側に位置することになる積層体に対し送り出し方向前方側において相対的に上方に持ち上げる手段は上記構成に限定されず、公知の構成を用いることができ、また、積層体を送り出す送り出し体もコンベヤベルトに限定されず例えば搬送テーブルを用いてもよく、その送り出し体を積層体の分割間に送り込む構成も上記機構に限定されない。また、受部材は積層体の送り出し方向後方の側面を支持することができれば構造は特に限定されず、受部材の変位手段も積層体の送り出し方向に沿って変位させるものであれば特に構造は限定されない。
【0028】
上記分離装置6によって送り装置7のエアテーブル16の上面に送り込まれた積層体3は、その送り装置7によって打ち抜き装置8に送り込まれる。すなわち、その送り装置7は、エアテーブル16と、このエアテーブル16の上方に配置されたプッシャー65とにより主構成されている。
【0029】
そのエアテーブル16は、図7に示すように、その上面に開口する多数の空気流出孔60を有する。この空気流出孔60は、テーブル本体61の上面に出没可能なボール62により開閉される。すなわち、そのボール62はバネ64により上方に押されることで空気流出孔60を閉鎖する。その空気流出孔60は図外ブロワーに配管63を介し接続される。そのテーブル本体61に積層体3が載置されると、ボール62が積層体3により押し下げられて空気流出孔60が開かれ、積層体3の下面とテーブル本体61との間に空気層が形成され、積層体3の最下層のシート材1の下面とテーブル本体61の上面との間の摩擦が軽減される。
【0030】
そのプッシャー65は、図4、図5、図10に示すように、前記レール56に取り付けられたガイド66に前後方向に沿って移動可能に支持された移動体67と、この移動体67に取り付けられたナット68に噛み合うスクリュー69を回転駆動するモータ70と、その移動体67にガイドロッド71を介し上下動可能に取り付けられた支持プレート72と、この支持プレート72と移動体67とに連結された上下伸縮する流体圧シリンダ73と、その支持プレート72に側面視L字形のアーム74を介し取り付けられた左右一対のプッシャー本体75とを備える。
【0031】
そのスクリュー69を回転させることでプッシャー本体75は前後方向に移動し、その流体圧シリンダ73を伸縮させることでプッシャー本体75は上下方向に移動する。前記分離装置6により積層体3をエアテーブル16上に送り込む際には、図10に示すように、プッシャー本体75はエアテーブル16の後方かつ積層体3の上方の待機位置に配置される。その積層体3をエアテーブル16から打ち抜き装置8に送り出す際には、図4、図5に示すように、プッシャー本体75は降下された後に前方に移動され、これにより、エアテーブル16上の積層体3はプッシャー本体75により後方側面を押されることで打ち抜き装置8に送り込まれる。なお、プッシャー本体75をアーム74に前後方向軸中心に回転可能に取り付けることで、プッシャー本体75の下端を上下に位置変更させるようにしてもよい。
【0032】
その打ち抜き装置8は、図11、図12に示すように、フレーム80と、積層体3を支持する複数の支持部材81と、この支持部材81に支持された積層体3の上面を前記切り込み2の外方位置で上型82を介し押さえる押さえ機構83と、その積層体3の下面を前記切り込み2の内方位置で下型84を介し突き上げる突き上げ機構85とを有する。
【0033】
そのフレーム80に、左右方向に沿う前後一対の支持バー86、87が取り付けられ、その支持バー86、87に各支持部材81がブラケット81aを介し上方から着脱可能に取り付けられ、その取り付け位置は左右に変更可能とされると共に、例えば支持バー86、87とブラケット81aとに抜き差し可能なピンを介し固定される。
【0034】
その押さえ機構83は、支持部材81の上方に位置する上型用基板90と、この上型用基板90に取り付けられた上下方向軸心のスクリュー91と、このスクリュー91にねじ合わされると共にフレーム80上に回転可能に支持されるナット92と、モータ93の回転をそのナット92の回転に変換する伝動機構94とを有する。その上型用基板90に上型82が上型用型ベース95を介し着脱可能に取り付けられる。これにより、そのモータ93によりナット92を回転駆動することで上型82は上下動する。
【0035】
その突き上げ機構85は、支持部材81の下方においてフレーム80にガイド97を介し上下動可能に取り付けられた下型用基板98と、この下型用基板98に取り付けられたクランク機構99と、このクランク機構99にモータ100の回転を伝達する伝動機構101とを有する。その下型用基板98に下型84が下型用型ベース103を介し着脱可能に取り付けられる。これにより、そのモータ100によりクランク機構99を駆動することで下型84は上下動する。
【0036】
上記打ち抜き装置8の支持部材81に積層体3を支持し、次に上型82を下降させることで積層体3の上面の前記切り込み2の外方位置を押さえ、次に下型84を上昇させることで積層体3の下面を前記切り込み2の内方位置で突き上げることにより、積層体3から積層シート片5を打ち抜くことができる。
【0037】
その打ち抜き装置8の支持部材81上へのエアテーブル16からの積層体3の送り込みは、前記プッシャー本体75により積層体3の後方側面を押すことでなされる。この際、プッシャー本体75の下端をエアテーブル16の上面に常時接触させようとすると、エアテーブル16やプッシャー65は破損し易く寿命が短くなるため、図13に示すように、プッシャー本体75の下端とエアテーブル16の上面16aとの間には隙間δが設けられている。その隙間δを積層体3を構成するシート材1の厚さよりも小さくすることは、プッシャー本体75を支持するアーム74の撓みや組立、加工上の公差があることから困難である。一方、積層体3の下面3aとエアテーブル16の上面16aとの間の摩擦は、その間に形成される空気層によって積層体3を構成するシート材1相互の摩擦よりも小さくされているが、打ち抜き装置8の支持部材81の上面と積層体3の下面との間の摩擦は、小さくすると積層体3が慣性により移動し、上型82および下型84に対する積層体3の位置を一定位置にすることができなくなるので、シート材1相互の摩擦よりも大きくされている。そのため、プッシャー本体75に押された積層体3がエアテーブル16上から支持部材81上に至った際に、積層体3の最下層のシート材1がプッシャー本体75により押されていないと、その最下層のシート材1は上方のシート材1に対しずれてしまい、積層シート片5の打ち抜き不良の原因になる。そこで、エアテーブル16の上面から上方に突出する一対の角柱状乗り上げ部材106、107が設けられている。
【0038】
図14、図15に示すように、各乗り上げ部材106、107は、エアテーブル16の前端に、支持機構108を介し取り付けられている。その支持機構108は、エアテーブル16にブラケット109を介し取り付けられたベースプレート110と、このベースプレート110上に取り付けられた前後一対の左右方向に沿うレール111、112と、このレール111、112により左右方向に移動可能に支持された左右一対の移動プレート113、114と、そのベースプレート110上の左右端に取り付けられた一対のブロック115、116とを備える。その各ブロック115、116にそれぞれレバー117、118が左右方向に移動可能に挿通されると共に、各レバー117、118の移動を解除可能に固定するボルト119、120が各ブロック115、116にねじ合わされている。その各レバー117、118にそれぞれ前記移動プレート113、114が連結されている。各移動プレート113、114の上部にボルト121により着脱自在に押さえプレート122、123が取り付けられ、その押さえプレート122、123と移動プレート113、114とにより乗り上げ部材106、107が挟み込まれている。これにより、各乗り上げ部材106、107は前後方向、上下方向および左右方向に位置変更可能とされている。
【0039】
各乗り上げ部材106、107の横断面は4角形であり、後端側はエアテーブル16の上面に配置され、前端側は打ち抜き装置8の支持部材81の側方に配置されている。また、両乗り上げ部材106、107の左右間に両プッシャー本体75が配置されている。各乗り上げ部材106、107の後端は、後方に向かうに従い下方に向かうガイド部106a、107aとされている。これにより、プッシャー本体75に押された積層体3は、そのガイド部106a、107aを介しエアテーブル16の上面から乗り上げ部材106、107に乗り上げることができる。この乗り上げ部材106、107への積層体3の乗り上げにより、図13に示すように、積層体3に撓みが生じ、積層体3の下面3aとエアテーブル16の上面16aとの間に隙間Dが生じる。この積層体3の下面3aとエアテーブル16の上面16aとの間に生じる隙間Dは、プッシャー本体75が積層体3の後方側面を押す位置において、プッシャー本体75の下端とエアテーブル16の上面16aとの間に生じる隙間δよりも大きくされている。
【0040】
これにより、プッシャー本体75は確実に積層体3の最下層のシート材1の後方側面を押すことができ、積層体3がエアテーブル16上から支持部材81上に至った際に、積層体3の最下層のシート材1が上方のシート材1に対しずれてしまうのを防止でき、積層シート片5の打ち抜き不良を防止できる。また、エアテーブル16に乗り上げ部材106、107を取り付けるだけで容易に実施できる。なお、プッシャー65は積層体3の側面を押すことができれば特に形状や機構は上記構成に限定されない。また、乗り上げ部材やガイド部の形状や寸法も、上記作用を奏するものであれば特に限定されない。
【0041】
上記打ち抜き装置8においては、積層体3を突き上げる前の下型84は、積層体3と干渉しないように支持部材81の上面よりも下方に配置される。その突き上げ前の下型84の上面と支持部材81の上面との上下間距離は、打ち抜き時間を短縮し、装置を小型化するために可及的に小さくされている。その突き上げ前の下型84に、複数の支持部材81による支持箇所の間で撓んで垂れ下がった積層体3が、エアテーブル16から送り込まれる途中に衝突するのを防止するため、図14、図16に示すように、そのエアテーブル16と下型84との間に積層体3の垂れ下がり規制部材124が設けられている。
【0042】
各垂れ下がり規制部材124は、2つの垂れ下がり規制プレート130と3本の4角柱状垂れ下がり規制ロッド125とから構成されている。すなわち、各垂れ下がり規制プレート130は、前記ベースプレート110上に載置される前後一対の支持プレート128、129の上部に取り付けられ、上壁130a、前後壁130b、130cおよび前壁130bの下端に連なる下壁130dとから構成されている。その前壁130bに形成された開口130eと、各支持プレート128、129の上端に形成された切欠128a、129aとに、垂れ下がり規制ロッド125が前後方向に移動可能に挿入され、これにより、各垂れ下がり規制ロッド125の前端は前後に位置変更可能とされている。
【0043】
本実施例では、右方の垂れ下がり規制プレート130に2本の垂れ下がり規制ロッド125が挿入され、左方の垂れ下がり規制プレート130に一本の垂れ下がり規制ロッド125が挿入されている。各垂れ下がり規制プレート130の下壁130dにボルト131がねじ合わされ、このボルトにより上壁130aに押し付けられることで垂れ下がり規制ロッド125の前後移動は規制される。また、各支持プレート128、129の下端にボルト132がねじ合わされ、各ベースプレート110上に固定された前記レール111、112の相対向する面に、左右方向に沿う溝133、134が形成され、そのボルト132の先端に鋼球132aが取り付けられ、その鋼球132aが各溝133、134に挿入されることで、各支持プレート128、129は左右方向に移動可能とされ、これにより、各垂れ下がり規制ロッド125の前端は左右方向に位置変更可能とされている。また、その鋼球132aがボルト132の締め付けにより各溝133、134の内面に押し付けられることで、各垂れ下がり規制ロッド125の左右移動は規制される。
【0044】
なお、本実施例では、前記乗り上げ部材106、107が垂れ下がり規制部材を兼用している。
【0045】
エアテーブル16から打ち抜き装置8に送り込まれる途中の積層体3の下面は、各垂れ下がり規制ロッド125、各垂れ下がり規制プレート130および各乗り上げ部材106、107により支持されるので、打ち抜き装置8の支持部材81間における積層体3の垂れ下がりが規制される。これにより、突き上げ前の下型84の上面と支持部材81の上面との上下間距離を小さくしても、積層体3が下型84に衝突することはないので、打ち抜き時間の短縮と打ち抜き装置の小型化を図ることができる。また、垂れ下がり規制部材124の前端位置を、下型84の配置に応じ前後左右方向に変更できる。なお、垂れ下がり規制部材は積層体の垂れ下がりを規制できれば形状や寸法は特に限定されず、また、その前端の位置変更機構も上記構成に限定されない。
【0046】
上記打ち抜き装置8の突き上げ機構85の下型用基板98に、下型用型ベース103を介し支持される下型84は、本実施例では左右に3つ並列し、それぞれ図17〜図19に示すように、下型支持体140と、この下型支持体140により支持される複数の下型本体141とを有する。
【0047】
その下型支持体140は、ブロック状の第1部材142と、この第1部材142の上部に取り付けられたブロック状の第2部材143と、この第2部材143の上部に取り付けられたブロック状の第3部材144とから構成されている。その第1部材142は第2部材143に比べ前後左右寸法が大きく、その第3部材144は第2部材143に比べ前後寸法が大きく左右寸法が等しくされている。その第1部材142の下端に、前後方向に沿う溝145が形成され、この溝145の相対向する内面にそれぞれ前後方向に沿うラック146が形成されている。また、第1部材142の上端に、前後方向に沿う左右一対の溝149が形成され、この溝149の左右幅は下方に向かうに従い狭くなる。その第3部材144の上端に、前後方向に沿う左右一対の凸部147が形成され、その凸部147の内面にそれぞれ前後方向に沿うラック148が形成されている。
【0048】
その下型本体141は、本実施例では一つの下型支持体140に6つずつ支持され、下型支持体140の左方側と右方側とに3つずつ前後に並列して支持されている。これにより、その左方側の下型本体141と右方側の下型本体141との間に上方開口の凹部84′が形成されている。各下型本体141は、下型支持体140の左右外側面に沿う外側壁141aと、下型支持体140の上端の凸部147の内側面に沿う内側壁141bと、その外側壁141aと内側壁141bの上部を連結する上壁141cと、この上壁141cの上面に取り付けられたクッション材141dとを有する。そのクッション材141dの上面が積層体3の下面を切り込み2の内方位置で突き上げる突き上げ面とされ、そのクッション材141dはスポンジ等のシート材1を傷つけることのない材質とされている。この下型本体141の形状や数はシート片4の形状や寸法に応じ定められる。
【0049】
その下型本体141の内側壁141bの内面にラック150が形成されている。その内側壁141bと外側壁141aとの対向間が下型支持体140の上端の凸部147に上方から嵌合されることで、下型支持体140に下型本体141が支持される。また、その内側壁141bの内面のラック150が下型支持体140の凸部147の内面のラック148に上方から噛み合わせられることで、下型支持体140に対する下型本体141の位置決めがなされ、その噛み合わせ位置を変更することで、下型支持体140による下型本体141の支持位置は変更可能とされている。また、その外側壁141aの下端は下方に向かうに従い左右方向幅が狭くなるものとされ、前記下型支持体140の第1部材142の上端の溝149に嵌合され、これにより、下型支持体140に対する下型本体141のがたつきが防止されている。なお、前後に3つずつ並列する下型本体141のうち、中央の下型本体141の外側壁141aには、左右外方に突出する付加部材153がボルト154により取り付けられ、その付加部材153の上端にもクッション材141dが取り付けられている。
【0050】
その下型用型ベース103は、底壁160と、この底壁160の周囲を囲む枠部材161と、その底壁160の前端と後端とに取り付けられると共に下型用型ベース103の左右略全幅に亘る一対のラック162、163とを有する。
【0051】
その下型用型ベース103は、打ち抜き装置8の下型用基板98上の一定位置に着脱可能とされている。すなわち、図18に示すように、下型用型ベース103の左右幅に対応して、下型用基板98に左右一対のガイド部材170、171が取り付けられ、このガイド部材170、171の間に下型用型ベース103が配置される。これにより、下型用型ベース103を前後方向にスライドさせて下型用基板98の左右ガイド部材170、171の間に抜き差しすることができる。その左右ガイド部材170、171と下型用型ベース103の枠部材161とに抜き差し可能に位置決めピン172が挿入され、打ち抜き装置8における下型用型ベース103の位置決めがなされているが、その位置決め手段は特に限定されない。なお、下型用型ベース103にローラを取り付け、下型用基板98に対しスライドさせる際の摩擦抵抗を軽減するようにしてもよい。
【0052】
その下型用型ベース103の前後一対のラック162、163の間に、前後方向に沿う位置決めロッド164が底壁160上に載置され、その位置決めロッド164の前後端に、下型用型ベース103の前後一対のラック162、163に上方から噛み合うラック165、166が取り付けられている。これにより、下型用型ベース103に対する位置決めロッド164の位置決めがなされる。その位置決めロッド164の左右側面にラック168が形成され、このラック168に、前記下型支持体140の下端に形成されたラック146を上方から噛み合わせることができる。これにより、下型用型ベース103に対する下型84の位置決めがなされる。また、下型用型ベース103の前後一対のラック162、163に対する位置決めロッド164の前後端のラック165、166の噛み合い位置と、位置決めロッド164の左右ラック168に対する下型支持体140のラック146の噛み合い位置とを変更することで、下型用型ベース103による下型84の支持位置を前後左右に変更することができる。
【0053】
上記下型84によれば、下型支持体140は下型本体141を複数位置で支持可能なので、シート片4の形状や寸法に対応して下型本体141の位置を変更することができる。これにより、打ち抜き装置8により打ち抜く積層シート片5を構成するシート片4の形状や寸法が変更されても、新たな下型84を用いることなく、積層シート片4を積層体3から打ち抜くことができる。また、その下型支持体140は複数の下型本体141を支持すると共に、下型用型ベース103により複数位置で支持されるので、より多くの種類のシート片により構成される積層シート片を積層体から打ち抜くことができる。その下型支持体140のラック148に下型本体141のラック150を上方から噛み合わせることで下型支持体140に対する下型本体141の位置決め作業を容易に行なえる。
【0054】
なお、上記実施例では、単一の下型84により一つの積層シート片5を打ち抜くものを示したが、積層シート片5の寸法が大きい場合は、図34に示すように、複数の下型84により一つの積層シート片5を打ち抜くようにしてもよく、また、上記実施例では位置決めロッド164の側面と下型支持体140の溝145の相対向する内面とにラック168、ラック146の歯が形成されているが、その位置決めロッド164の上面と溝145の底面とにラックの歯を形成してもよい。また、下型支持体に対する下型本体の位置決めや、下型用型ベースに対する下型の位置決めは、ラックを介するものに限定されず、例えば位置決めピンを用いて位置決めを行なってもよい。
【0055】
上記打ち抜き装置8の押さえ機構83の上型用基板90に、上型用型ベース95を介し支持される上型82は、本実施例では前後に2つ並列し、それぞれ図17および図20〜図22に示すように、上型支持体180と、この上型支持体180により支持される複数の上型本体181とを有する。
【0056】
その上型支持体180は、左右方向に長寸の角柱状であって、その内部は空洞180aとされ、その底部に内部の空洞180aと外部とを連通する左右方向に沿うガイド孔180bが形成され、その左右両端に嵌合部180cが形成されている。
【0057】
その上型本体181は、本実施例では一つの上型支持体180に4つ支持され、上型支持体180の下方で左右に並列する。各上型本体181は、一つの支持ブロック182と、この支持ブロック182の側面にボルト183により着脱可能に取り付けられる押し付けプレート184とを有し、その押し付けプレート184の下面が積層体3の上面を切り込み2の外方位置で押さえる押さえ面とされている。その押し付けプレート184の枚数や形状はシート片4の形状や寸法に応じ定められ、図に示した上型本体181の押し付けプレート184は2枚とされている。その支持ブロック182には切欠182aが形成され、この切欠182aの内周面は図22に示すように平面視U字形とされている。
【0058】
その上型本体181の支持ブロック182に形成された切欠182aと、上型支持体180の底部に形成されたガイド孔180bとに、頭部188a付きボルト188が下方から挿入され、そのボルト188にねじ合わされるナット187が上型支持体180の内部の空洞180aに位置され、そのボルト188の頭部188aが支持ブロック182を下方から支持し、そのナット187が上型支持体180の内面に当接する。これにより、上型本体181は上型支持体180に吊り下げ状に支持され、上型支持体180に対し左右方向に移動可能かつ上下方向軸まわりに回転可能とされている。なお、そのボルト188に、座金189と、上端にフランジ190aを有するパイプ190とが挿通されている。そのパイプ190によりボルト188に対するナット187のねじ込み量が規制され、ボルト188を締め込んでも上型支持体180に上型本体181が固定されることはない。なお、そのパイプ190のフランジ190aは、たとえボルト188を抜いてもパイプ190が落下するのを防止するためのものであり、分解や組立の際の作業上の便宜を図って形成されている。
【0059】
その上型支持体180と上型本体181との間に、第1楔受け194と、楔部材195と、第2楔受け196とが配置されている。
【0060】
その第1楔受け194は、上型本体181の上面に載置され、底壁194aと前後端の側壁194b、194cとで構成され、その底壁194aを上下方向に貫通する平面視円形の通孔194dが形成され、その通孔194dに前記パイプ190が挿通されている。
【0061】
その楔部材195は、第1楔受け194の底壁194a上に載置され、その上面195aは第1楔受け194の一方の側壁194bから他方の側壁194cに向かうに従い第1楔受け194の底壁194aに近接する傾斜面とされ、その中央部を上下に貫通する前後方向に長寸の長孔195bと、その一端部を上下方向に貫通する左右方向に長寸の長孔195cとが形成され、その前後方向に長寸の長孔195bに前記パイプ190が挿通されている。
【0062】
その第2楔受け196は、楔部材195の上面195aに載置され、その下面196aは楔部材195の上面195aに接する傾斜面とされ、その上部に上型支持体180のガイド孔180bに嵌合される平面視長方形の凸部196bが形成され、その中央部を上下に貫通する平面視円形の通孔196cが形成され、この通孔196cに前記パイプ190が挿通されている。
【0063】
その第1楔受け194の一方の側壁194bに、横軸中心にネジ部材200がねじ合わされている。そのネジ部材200は楔部材195に挿通され、その一端は楔部材195の左右方向に長寸の長孔195c内に位置され、このネジ部材200の一端に抜け止め部材201が取り付けられている。なお、ネジ部材200の他端には工具係合用六角孔200aが形成されている。これにより、そのネジ部材200を一方向に回転させると、そのネジ部材200は楔部材195を図21において左方に押し、楔部材195は第2楔受け196を上方に押し上げる。すなわち、楔部材195は、上型支持体180と上型本体181との間に第1楔受け194と第2楔受け196とを介し押し込まれ、各楔受け194、196を介し上型本体181と上型支持体180とを押圧するので、上型支持体180に対し上型本体181は固定される。そのネジ部材200を他方向に回転させると、楔部材195は各楔受け194、196の間から引き出されるので、上型支持体180に対する上型本体181の固定は解除される。
【0064】
図20に示すように、その上型用型ベース95は、上壁205と、この上壁205の下面の左右端に取り付けられたガイド206とを有し、各ガイド206の内側に前後方向に沿う溝206aが形成されている。その溝206aに、前記上型支持体180の左右両端の嵌合部180cが前後移動可能に嵌合され、これにより、上型82は上型用型ベース95により前後方向に移動可能に支持されている。また、各ガイド206にはボルト207がねじ合わされ、そのボルト207が嵌合部180cを押圧することで、上型82は上型用型ベース95に固定される。なお、その嵌合部180cにローラを取り付け、その溝206aの内面に対するスライドの際の摩擦を軽減するようにしてもよい。
【0065】
この上型用型ベース95は打ち抜き装置8の上型用基板90の一定位置に着脱可能とされている。すなわち、上型用型ベース95の左右幅に対応して、上型用基板90の下面に左右一対のガイド部材210が取り付けられ、各ガイド部材210の下端は内方に向かう受部210aとされている。両ガイド部材210の間に上型用型ベース95が配置され、その受部210aにより上型用型ベース95のガイド206が支持されている。これにより、上型用型ベース95を前後方向にスライドさせて上型用基板90の左右ガイド部材210の間に抜き差しすることができる。また、各ガイド部材210と上型用型ベース95のガイド206とに抜き差し可能に位置決めピン213が挿入され、打ち抜き装置8に対する上型用型ベース95の位置決めがなされるが、その位置決め手段は特に限定されない。なお、上型用型ベース95のガイド206にローラを取り付け、上型用基板90のガイド部材210に対するスライドの際の摩擦を軽減するようにしてもよい。
【0066】
上記上型82によれば、ネジ部材200を小さな力で回転させるだけで、楔部材195を上型支持体180と上型本体181の間に押し込み、上型支持体180に対する上型本体181の固定および固定解除を行なうことができ、作業能率を向上することができる。すなわち、そのネジ部材200を小さな力で緩めるだけで、上型本体181を上型支持体180に対し横方向に移動可能かつ上下方向軸まわりに回転可能とすることができるので、形状や寸法の異なるシート片4の打ち抜きを行なう際における上型本体181の位置変更を容易に行なうことができる。また、そのネジ部材200は、楔部材195に対し相対移動する第1楔受け194に横軸中心にねじ合わされているので、そのネジ部材200を回転させるために作業者は上向き姿勢になる必要はなく、作業性の良いものである。
【0067】
上記打ち抜き装置8により積層体3から打ち抜かれた積層シート片5は、前記搬送装置9に送り出される。すなわち、図11、図12、図17、図23、図24に示すように、打ち抜き装置8のフレーム80により、左右一対のベルトコンベヤ220が支持されている。そのベルトコンベヤ220により前後方向に搬送される支持ロッド221に、第1搬出部材222がブラケット223を介し着脱可能かつ左右方向に移動可能に取り付けられ、その取り付け位置は、例えばその支持ロッド221とブラケット223とにピンを挿入することで固定される。その第1搬出部材222は、上下方向に沿う部分222aと、この部分222aの下端から前方に突出する受け部分222bとで側面視L字形とされている。
【0068】
その第1搬出部材222の数は前記下型84の数に対応し、本実施例では3つとされている。各第1搬出部材222の受け部分222bは、前記下型支持体140の左方側に支持された下型本体141と右方側に支持された下型本体141との左右方向間に位置し、図17に示すように、その下型本体141間の前記凹部84′の左右方向間隔Wよりも受け部分222bの左右方向幅W′は小さくされている。また、各第1搬出部材222の受け部分222bの上面は、積層体3から打ち抜かれて下型本体141の上面に載置された状態の積層シート片5の下面よりも下方に位置すると共に、その状態における下型支持体140の上部の凸部147の左右間に位置する。
【0069】
その打ち抜き装置8の前方に配置される前記搬送装置9は、車輪230により支持されることで前記ガイドレール11上を前後方向に移動可能なフレーム231を有し、このフレーム231に、左右一対の第1ベルトコンベヤ232と、この第1ベルトコンベヤ232の上方に配置される左右一対の第2ベルトコンベヤ233と、その第1ベルトコンベヤ232の前方に配置される左右一対の第3ベルトコンベヤ234と、その第1ベルトコンベヤ232の下方に配置される残材排出用ベルトコンベヤ235とが取り付けられている。
【0070】
その第1ベルトコンベヤ232により前後方向に搬送される支持ロッド240に、第2搬出部材241がボルト等により着脱可能かつ左右方向に取り付け位置を変更可能に固定される。この第2搬出部材241は横方向に沿うプレート状で、第1搬出部材222と同様に、その数は前記下型84の数に対応し、本実施例では3つとされている。各第2搬出部材241の左右方向の配置は、前記下型支持体140の左方側に支持された下型本体141と右方側に支持された下型本体141との左右方向間に対応し、図17に示すように、その下型本体141間の前記凹部84′の左右方向間隔Wよりも左右方向幅W′は小さくされている。また、各第2搬出部材241の上面は、積層体3から打ち抜かれて下型本体141の上面に載置された状態の積層シート片5の下面よりも下方に位置すると共に、その状態における下型支持体140の上部の凸部147の左右間に位置する。
【0071】
その第2ベルトコンベヤ233により前後方向に搬送される支持ブラケット244により流体圧シリンダ245が支持され、その流体圧シリンダ245の上下伸縮ロッドに取り付けられた支持バー246に、左右方向に並列する複数の第1搬送プレート247が取り付けられている。
【0072】
その第3ベルトコンベヤ234により前後方向に搬送される連結バー249に搬出テーブル250が連結されている。この搬出テーブル250は前記エアテーブル16と同様の構成のエアテーブルとされている。その搬出テーブル250に支持バー253を介し取り付けられた車輪252が、搬送装置9のフレーム231に取り付けられた左右一対の支持レール251上に支持されている。
【0073】
その残材排出用ベルトコンベヤ235は、積層体3から積層シート片5を打ち抜いた後の残材を排出するもので、前記プッシャー本体75により打ち抜き装置8の支持部材81上から前方に押し出された残材を、残材廃棄用ボックス253まで搬送する。
【0074】
その搬出テーブル250の上方に位置する前後一対のガイドバー255が、搬送装置9のフレーム231に取り付けられ、そのガイドバー255により左右一対の支持プレート256が左右移動可能に支持され、各支持プレート256はガイドバー255に対し、例えば支持プレート256に取り付けられるボルトをガイドバー255に押し付けることで、複数位置で固定可能とされている。各支持プレート256の内方において、左右一対の整列プレート257がガイドバー255に左右移動可能に支持されている。各支持プレート256に流体圧シリンダ258が取り付けられ、各流体圧シリンダ258の左右方向に伸縮するロッドがそれぞれ整列プレート257に連結されている。
【0075】
その整列プレート257の後方において、搬送装置9のフレーム231に支持ビーム260が架け渡され、この支持ビーム260とフレーム231とに前後方向に沿う一対のガイドロッド261が架け渡され、そのガイドロッド261に支持プレート262が前後方向に移動可能に支持され、その支持ビーム260に取り付けられた流体圧シリンダ263の前後方向に伸縮するロッドが支持プレート262に連結されている。その支持プレート262に取り付けらた流体圧シリンダ265の上下方向に伸縮するロッドに昇降部材266が連結されている。その昇降部材266に取り付けられた流体圧シリンダ267の上下方向に伸縮するロッドに、第2搬送プレート268が連結されている。なお、その流体圧シリンダ267の伸縮ロッドの下端にフランジ267aが形成され、第2搬送プレート268は、その伸縮ロッドに上下動可能に挿通されると共にそのフランジ267aにより吊り下げ状に支持され、これにより第2搬送プレート268は、後述の積層シート片5の排出用パレット270の上面に当接した場合に上方に逃げることが可能とされている。また、その昇降部材266に左右方向に沿う一対のガイドロッド271が取り付けられ、このガイドロッド271により左右一対の支持プレート272が左右方向に移動可能に支持され、各支持プレート272に取り付けられた流体圧シリンダ273の左右方向に伸縮するロッドに、それぞれ第1補助整列プレート274が取り付けられている。なお、各支持プレート272はガイドロッド271に対し、例えば支持プレート272に取り付けられるボルトをガイドロッド271に押し付けることで、複数位置で固定可能とされている。
【0076】
その第1補助整列プレート274の後方において、搬送装置9のフレーム231に支持ビーム280が架け渡され、この支持ビーム280に取り付けられた流体圧シリンダ281の上下方向に伸縮するロッドに昇降部材282が連結されている。その昇降部材282に取り付けられた流体圧シリンダ283の上下方向に伸縮するロッドに、第3搬送プレート284が連結されている。なお、その流体圧シリンダ283の伸縮ロッドの下端にフランジ283aが形成され、第3搬送プレート284は、その伸縮ロッドに上下動可能に挿通されると共にそのフランジ283aにより吊り下げ状に支持され、これにより第3搬送プレート284は、後述の積層シート片5の排出用パレット270の上面に当接した場合に上方に逃げることが可能とされている。また、その昇降部材282に左右方向に沿う一対のガイドロッド285が取り付けられ、このガイドロッド285により左右一対の支持プレート286が左右方向に移動可能に支持され、各支持プレート286に取り付けられた流体圧シリンダ287の左右方向に伸縮するロッドに、それぞれ第2補助整列プレート288が取り付けられている。なお、各支持プレート286はガイドロッド285に対し、例えば支持プレート286に取り付けられるボルトをガイドロッド285に押し付けることで、複数位置で固定可能とされている。
【0077】
その第1補助整列プレート274と第2補助整列プレート288の下方に、積層シート片5の排出用パレット270を載置する第2載置装置290が配置されている。その第2載置装置290は、パレット270に載置された積層シート片5を受ける載置台291と、この載置台291をリンク機構を介し昇降させる昇降機構292とを有する。
【0078】
上記構成により打ち抜き装置8から積層シート片5を送り出し、その積層シート片5を排出用パレット270に載置するまでの動作を、図25〜図28を参照して説明する。
【0079】
図25の(I)は、打ち抜き装置8により積層体3から打ち抜かれた積層シート片5が下型84の下型本体141の上面に載置され、上型82は上方に退避し、搬送装置9の搬出テーブル250上に、一つの積層体3から2回の打ち抜きにより既に打ち抜かれた6つの積層シート片5が前後2列左右3列に載置されている状態を示す。
【0080】
その状態から、図25の(II)に示すように、第1搬出部材222が前方移動し、その受け部分222bは下型本体141間の凹部84′内に配置されて積層シート片5の下方に位置される。また、第2搬出部材241が後方移動し、下型本体141間の凹部84′内に配置されて積層シート片5の下方に位置される。
【0081】
次に、図25の(III)に示すように、下型84が下方移動し、積層シート片5は両搬出部材222、241により下方から支持された状態になる。また、搬出テーブル250が前方移動し、第2載置装置290に載置された排出用パレット270の上方に位置される。この際、第3搬送プレート284の下端は搬出テーブル250の上面と一致する。
【0082】
次に、図25の(IV)に示すように、第1搬出部材222が前方移動し、その上下方向に沿う部分222aにより積層シート片5を前方に押す。これにより、積層シート片5は第2搬出部材241のみによって支持可能になる。また、第2搬送プレート268と第3搬送プレート284とが下方移動し、第2搬送プレート268の下端は搬出テーブル250の上面に一致し、第3搬送プレート284の下端は搬出テーブル250の上面より下方に位置する。なお、搬出テーブル250の前端部は、図24に示すように櫛歯状とされ、第2搬送プレート268と第3搬送プレート284の下端は、その搬出テーブル250の前端の櫛歯間に位置する櫛歯状とされ、互いに干渉することのないものとされている。また、第1補助整列プレート274と第2補助整列プレート288とにより、搬出テーブル250上の積層シート片5が左右から挟まれる。
【0083】
次に、図26の(V)に示すように、第1搬送プレート247は下方移動し、その下端は第2搬出部材241の上面と一致する。また、第2搬送プレート268が前方移動し、搬出テーブル250上の積層シート片5を前方に多少押し、第2搬送プレート268と第3搬送プレート284とで搬出テーブル250上の積層シート片5を前後から挟む。この際、第3搬送プレート284の下端は搬出テーブル250の上面より下方に位置するので、前列の積層シート片5の下層側のシート片4が前方に押し出されるのが防止され、積層シート片5の前方側面は第3搬送プレート284の内面に押し付けられることで面一に揃えられる。
【0084】
次に、図26の(VI)に示すように、第1搬出部材222は後方移動し、積層シート片5は第2搬出部材241のみにより下方から支持され、打ち抜き装置8は次の打ち抜きの準備を開始する。また、搬出テーブル250が、その前端により後列の積層シート片5のみを支持する状態になるまで後方移動する。これにより、搬出テーブル250上の前列の3つの積層シート片5が排出用パレット270上に落下する。この際、搬出テーブル250上の積層シート片5は第2搬送プレート268と第3搬送プレート284と第1補助整列プレート274と第2補助整列プレート288とに挟まれているので崩れることはない。
【0085】
次に、図26の(VII)に示すように、第2搬送プレート268が下方に移動し、第2搬送プレート268の下端は搬出テーブル250の上面より下方に位置する。
【0086】
次に、図26の(VIII)に示すように、搬出テーブル250がさらに後方移動し、搬出テーブル250上の後列の3つの積層シート片5が排出用パレット270上に落下する。この際、搬出テーブル250上の積層シート片5は第2搬送プレート268と第3搬送プレート284と第1補助整列プレート274と第2補助整列プレート288とに挟まれているので崩れることはなく、また、第2搬送プレート268の下端は搬出テーブル250の上面より下方に位置するので、後列の積層シート片5の下層側のシート片4が後方に引き出されるのが防止される。
【0087】
次に、図27の(IX)に示すように、第1搬送プレート247が前方移動し、第2搬出部材241に支持された積層シート片5が前方の搬出テーブル250上に押し出される。また、第2搬送プレート268と第3搬送プレート284とが上方に移動し、第1補助整列プレート274と第2補助整列プレート288とが左右外方に移動する。
【0088】
次に、図27の(X)に示すように、第1搬送プレート247は後方かつ上方に移動し、第2搬送プレート268が後方に移動する。また、第2載置装置290の載置台291が積層シート片5の高さ寸法だけ下降する。そして、打ち抜き装置8の下型84が上昇し、積層体3から積層シート片5が打ち抜かれる。
【0089】
次に、その下型84に載置された積層シート片5が、上記と同様の第1搬出部材222、第2搬出部材241および第1搬送プレート247の動作により、搬出テーブル250上に送り出される。この際、搬出テーブル250は移動せず、搬出テーブル250上に既に載置された積層シート片5は、後から搬出テーブル250上に送り出される積層シート片5に押されて前方に移動する。これにより、図28の(XI)に示すように、搬出テーブル250上に、一つの積層体3から2回の打ち抜きにより打ち抜かれた6つの積層シート片5が前後2列左右3列に載置される。
【0090】
次に、図28の(XII)に示すように、搬送装置9の左右一対の整列プレート257が左右内方に移動し、搬出テーブル250上の積層シート片5は左右側方の積層シート片5と互いに接した状態となる。これにより、積層シート片5は搬送途中に崩れにくいものとなる。しかる後に、両整列プレート257が左右外方に移動した後に上記動作が繰り返され、これにより、排出用パレット270に載置された積層シート片5の上に新たな積層シート片5が積層される。
【0091】
上記のように、打ち抜き装置8から打ち抜かれて下型本体141に載置された状態となっている積層シート片5を搬出部材222、241により下方から支持し、下型本体141の上面から浮き上がらせた状態で打ち抜き装置8から送り出すことで、下型本体141の上面がクッション材141dのように摩擦係数の大きなものであっても、最下層のシート片が下型本体141の上面により移動規制されることはなく、シート片4の破損や積層シート片の崩れが生じることはない。また、搬出部材222、241により積層シート片5を下方から支持している間に、既に打ち抜き装置8から送り出された積層シート片5を次工程のために排出用パレット270に搬送することができる。また、上記実施例では、搬出部材が後方に位置する第1搬出部材222と前方に位置する第2搬出部材241とから構成されているので、シート片4の前後寸法に拘らず、積層シート片5を両搬出部材222、241により下方から支持することができ、また、送り方向前方の第2搬出部材241のみにより積層シート片5を支持する間に第1搬出部材222を下型84の後方に復帰させることで、次の積層体3の打ち抜き処理を開始することができる。
【0092】
上記のような打ち抜き装置8において、積層体3を押さえる上型82の押さえ面の形状や、積層体3を突き上げる下型84の突き上げ面の形状は、シート片4の形状や寸法に応じて定まる。そのため、異なる形状や寸法のシート片4により構成される積層シート片5を積層体3から打ち抜く場合は、打ち抜き装置8に取り付けられる上型82および下型84を変更する必要がある。この上型82および下型84の変更を、打ち抜き装置8による打ち抜き作業を停止させることなく行なえるように、前記型準備装置10が設けられている。
【0093】
その型準備装置10は、図29および図30に示すように、フレーム状の基台300を備え、この基台300が車輪301を介し前記ガイドレール12上を左右方向に移動する。その基台300の左右支柱302、303に支持された隔壁304と上壁305とにより、4本のガイドロッド306が支持されている。それらガイドロッド306により、第1プレート307と、この第1プレート307の上方に位置する第2プレート308と、この第2プレート308の上方に位置する第3プレート309と、この第3プレート309の上方に位置する第4プレート310とが、上下移動可能に支持されている。
【0094】
その第1プレート307と第3プレート309とにそれぞれ挿通される左右一対のスクリューネジ315、316、317、318が、その隔壁304にベアリング320を介し支持され、各スクリューネジ315、316、317、318にねじ合わされるナット321、322、323、324が第1プレート307と第3プレート309とに取り付けられている。その第1プレート307に挿通されるスクリューネジ315、316の下端にベベルギヤ330、331が取り付けられ、このベベルギヤ330、331に噛み合うベベルギヤ332、333が回転軸334の両端に取り付けられ、その回転軸334は、基台300の底壁335と隔壁304との間の側壁336、337にベアリングを介し支持され、その回転軸334をチェーン巻き掛け伝動機構を介し駆動するモータ338が底壁335上に取り付けられている。また、その第3プレート309に挿通されるスクリューネジ317、318の下端にベベルギヤ340、341が取り付けられ、このベベルギヤ340、341に噛み合うベベルギヤ342、343が回転軸344の両端に取り付けられ、その回転軸344は、側壁336、337にベアリングを介し支持され、その回転軸344をチェーン巻き掛け伝動機構を介し駆動するモータ348が底壁335上に取り付けられている。これにより、各モータ335、348を駆動することで、第1プレート307と第3プレート309とを個別に昇降することができる。
【0095】
その第1プレート307に取り付けられた左右一対の流体圧シリンダ350、351の上下伸縮ロッドに第2プレート308が連結され、その第3プレート309に取り付けられた左右一対の流体圧シリンダ352、353の上下伸縮ロッドに第4プレート310が取り付けられている。これにより、その流体圧シリンダ350、351、352、353を伸縮することで、第2プレート308と第4プレート310とを個別に昇降することができる。
【0096】
その第1プレート307と第3プレート309の各上面に、前記下型用型ベース103を介し前記下型84が着脱可能に支持され、その第1プレート307および第3プレート309による下型用型ベース103の支持構造は、前記打ち抜き装置8の突き上げ機構85の下型用基板98による下型用型ベース103の支持構造と同様とされている。すなわち、下型用型ベース103の左右幅に対応して、第1プレート307および第3プレート309にそれぞれ左右一対のガイド部材361、362、363、364が取り付けられ、各ガイド部材361、362、363、364の左右間に下型用型ベース103を前後方向にスライドさせて抜き差しすることが可能とされている。また、各ガイド部材361、362、363、364と下型用型ベース103の枠部材161とに抜き差し可能に位置決めピン(図示省略)が挿入されることで、下型用型ベース103の基台300に対する位置決めがなされる。なお、下型用型ベース103にローラを取り付け、第1プレート307、第3プレート309に対しスライドさせる際の摩擦抵抗を軽減するようにしてもよい。
【0097】
その第2プレート308と第4プレート310の各下面に、前記上型用型ベース95を介し前記上型82が着脱可能に支持され、その第2プレート308および第4プレート310による上型用型ベース95の支持構造は、前記打ち抜き装置8の押さえ機構83の上型用基板90による上型用型ベース95の支持構造と同様とされている。すなわち、上型用型ベース95の左右幅に対応して、第2プレート308と第4プレート310の各下面に左右一対のガイド部材370、371、372、373が取り付けられ、各ガイド部材370、371、372、373の下端は内方に向かう受部370a、371a、372a、373aとされている。これにより、各ガイド部材370、371、372、373の左右間に上型用型ベース95を前後方向にスライドさせて抜き差しすることが可能とされ、その受部370a、371a、372a、373aにより上型用型ベース95のガイド206が支持される。また、各ガイド部材370、371、372、373と上型用型ベース95のガイド206とに抜き差し可能に位置決めピン(図示省略)が挿入されることで、上型用型ベース95の位置決めがなされる。なお、上型用型ベース95のガイド206にローラを取り付け、各ガイド部材370、371、372、373に対しスライドさせる際の摩擦を軽減するようにしてもよい。
【0098】
また、第1プレート307と第3プレート309とに、支柱380を介し上型82と下型84との間に位置するように透明プレート381が着脱可能に支持される。この透明プレート381に、打ち抜き対象シート片4の外形が適宜手段によりマークされる。そのマークに沿って、下型用型ベース103に支持された下型支持体140に下型本体141がセッティングされると共に上型用型ベース95に支持された上型支持体180に上型本体181がセッティングされる。
【0099】
上記基台300は、打ち抜き装置8からの積層シート片5の送り出し側である交換位置と、その打ち抜き装置8からの積層シート片5の送り出し側の側方である準備位置とに位置変更される。その準備位置において、基台300の第2プレート308と第4プレート310に取り付けられた上型用型ベース95に支持される上型82が変更される共に第1プレート307と第3プレート309に取り付けられた下型用型ベース103に支持される下型84が変更される。その交換位置において、打ち抜き装置8と基台300との間で下型用型ベース103および上型用型ベース95の授受が行なわれる。
【0100】
その打ち抜き装置8と基台300との間での下型用型ベース103および上型用型ベース95の授受動作を、図31〜図33を参照して説明する。
【0101】
まず、搬送装置9を前方に移動させ、しかる後に基台300を右方に移動させることで、図31の(I)に示すように、打ち抜き装置8の前方側に基台300を位置させる。この際、打ち抜き装置8の突き上げ機構85には使用済の下型84を支持した下型用型ベース103が取り付けられ、押さえ機構83には使用済の上型82を支持した上型用型ベース95とが取り付けられ、基台300の第3プレート309には更新した未使用の下型84を支持した下型用型ベース103が取り付けられ、第4プレート310には更新した未使用の上型82を支持した上型用型ベース95が取り付けられ、第1プレート307と第2プレート308とには型ベースは取り付けられていない。また、打ち抜き装置8の突き上げ機構85に取り付けられた下型用型ベース103の高さと第1プレート307の型ベース取り付け位置の高さとを一致させると共に、打ち抜き装置8の押さえ機構83に取り付けられた上型用型ベース95の高さと第2プレート308の型ベース取り付け位置の高さとを一致させる。さらに、第3プレート309に取り付けられた下型用型ベース103の支持する下型84と第4プレート310の上型用型ベース95の支持する上型82とは横方向に関し重合した状態とする。
【0102】
次に、図31の(II)に示すように、打ち抜き装置8の突き上げ機構85に取り付けられた下型用型ベース103と押さえ機構83に取り付けられた上型用型ベース95とを前方にスライドさせ、基台300の第1プレート307と第2プレート308とに取り付ける。
【0103】
次に、図31の(III)に示すように、第1〜第4プレート307、308、309、310を下降させる。これにより、打ち抜き装置8の突き上げ機構85の型ベース取り付け位置の高さと第3プレート309に取り付けられた下型用型ベース103の高さとを一致させると共に、打ち抜き装置8の押さえ機構83の型ベース取り付け位置の高さと第4プレート310に取り付けられた上型用型ベース95の高さとを一致させる。また、第1プレート307に取り付けられた下型用型ベース103の支持する下型84と第2プレート308の上型用型ベース95の支持する上型82とを横方向に関し重合した状態とする。
【0104】
次に、図31の(IV)に示すように、第3プレート309に取り付けられた下型用型ベース103と第4プレート310に取り付けられた上型用型ベース95とを後方にスライドさせ、打ち抜き装置8の突き上げ機構85と押さえ機構83とに取り付ける。しかる後に、基台300を左方に移動させ、搬送装置9を後方に移動させることで、打ち抜き装置8は、下型用型ベース103と上型用型ベース95とに支持された更新された下型84と上型82とにより、積層体3からの積層シート片5の打ち抜きを行なうことができる。
【0105】
その打ち抜き装置8による打ち抜きが行なわれている間に、図32の(V)に示すように、第1〜第4プレート307、308、309、310を上昇させる。この状態で、第1プレート307に取り付けられた下型用型ベース103に支持された使用済の下型84と、第2プレート308に取り付けられた上型用型ベース95に支持された使用済の上型82とを、次の打ち抜き対象シート片4の形状や寸法に応じ、新たな未使用の上型82と下型84とに更新する。その下型84の変更は、下型支持体140による下型本体141の支持位置を変更したり、新たな下型本体141を下型支持体140により支持したり、使用済の下型本体141を下型支持体140から取外したり、下型用型ベース103による下型支持体140の支持位置を変更することでなされる。その上型82の変更は、上型支持体180による上型本体181の左右支持位置を変更したり、上型支持体180に対し上型本体181を回転させたり、上型本体181に新たな押し付けプレート184を取り付けたり、上型本体181から使用済の押し付けプレート184を取外したり、上型用型ベース95による上型支持体180の前後支持位置を変更することでなされる。
【0106】
次に、図32の(VI)に示すように、第1〜第4プレート307、308、309、310を下降させ、しかる後に、搬送装置9を前方に移動させた後に基台300を右方に移動させる。これにより、打ち抜き装置8の突き上げ機構85に取り付けられた下型用型ベース103の高さと第3プレート309の型ベース取り付け位置の高さとを一致させると共に、打ち抜き装置8の押さえ機構83に取り付けられた上型用型ベース95の高さと第4プレート310の型ベース取り付け位置の高さとを一致させる。また、第1プレート307に取り付けられた下型用型ベース103の支持する下型84と第2プレート308の上型用型ベース95の支持する上型82とを横方向に関し重合した状態とする。
【0107】
次に、図32の(VII)に示すように、打ち抜き装置8の突き上げ機構85に取り付けられた下型用型ベース103と押さえ機構83に取り付けられた上型用型ベース95とを前方にスライドさせ、基台300の第3プレート309と第4プレート310とに取り付ける。
【0108】
次に、図32の(VIII)に示すように、第1〜第4プレート307、308、309、310を上昇させる。これにより、打ち抜き装置8の突き上げ機構85の型ベース取り付け位置の高さと第1プレート307に取り付けられた下型用型ベース103の高さとを一致させると共に、打ち抜き装置8の押さえ機構83の型ベース取り付け位置の高さと第2プレート308に取り付けられた上型用型ベース95の高さとを一致させる。また、第3プレート309に取り付けられた下型用型ベース103の支持する下型84と第4プレート310の上型用型ベース95の支持する上型82とを横方向に関し重合した状態とする。
【0109】
次に、図33の(IX)に示すように、第1プレート307に取り付けられた下型用型ベース103と第2プレート308に取り付けられた上型用型ベース95とを後方にスライドさせ、打ち抜き装置8の突き上げ機構85と押さえ機構83とに取り付ける。しかる後に、基台300を左方に移動させ、搬送装置9を後方に移動させることで、打ち抜き装置8は、下型用型ベース103と上型用型ベース95とに支持された更新された下型84と上型82とにより、積層体3からの積層シート片5の打ち抜きを行なうことが可能になる。
【0110】
その打ち抜き装置8による打ち抜きが行なわれている間に、図33の(X)に示すように、第1〜第4プレート307、308、309、310を下降させる。この状態で、第3プレート309に取り付けられた下型用型ベース103に支持された使用済の下型84と、第4プレート310に取り付けられた上型用型ベース95に支持された使用済の上型82とを、次に打ち抜き対象シート片4の形状や寸法に応じ、新たな未使用の上型82と下型84とに更新する。
【0111】
上記動作を繰り返すことで、打ち抜き装置8と基台300との間で上型82を支持した上型用型ベース95と下型84を支持した下型用型ベース103との授受がなされる。
【0112】
上記型準備装置10によれば、打ち抜き装置8により打ち抜き作業を行なっている間に、基台300に取り付けられた上型用型ベース95と下型用型ベース103とが支持する上型82と下型84とを変更することができるので、その打ち抜き作業の完了後に、打ち抜き装置8に取り付けられた型ベース95、103と基台300に取り付けられた型ベース95、103とを交換するだけで、打ち抜き装置の上型82および下型84を変更することができ、型変更に要する時間を短縮できる。その型ベース95、103は、横方向にスライドさせるだけで打ち抜き装置8と基台300との間で授受を行なえるので、型ベース95、103の交換作業は容易なものである。また、基台300に取り付けられた上型用型ベース95に支持される上型82と下型用型ベース103に支持される下型84の変更は、打ち抜き装置8からの積層シート片5の送り出し側の側方で行なわれるので、その変更作業中に打ち抜き装置8から送り出される積層シート片5に基台300が干渉することはない。また、打ち抜き装置8と基台300との間の型ベース95、103の授受は、打ち抜き装置8からの積層シート片5の送り出し側に基台300を位置させ、打ち抜き装置8と基台300とを近接させて行なうので、迅速に行なうことができる。また、基台300の各プレート307、308、309、310に取り付けられた型ベース95、103が個別に昇降可能とされることで、打ち抜き装置8の突き上げ機構85と押さえ機構83とに取り付けられた型ベース95、103を上下させることなく、打ち抜き装置8と基台300との間で型ベース95、103の授受ができ、また、基台300に取り付けられた型ベース95、103に支持された型82、84の変更を、作業者が作業を行ない易い高さで行なうことができる。これにより、打ち抜き装置8に取り付けられる型82、84の変更時間を短縮し、打ち抜き装置8の稼働率を向上することができる。
【0113】
【発明の効果】
本発明の積層体の打ち抜き処理装置によれば、突き上げ前の下型の上面と支持部材の上面との上下間距離を小さくしても積層体が下型に衝突することはないので、打ち抜き時間の短縮と打ち抜き装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層体の斜視図
【図2】打ち抜き処理装置の打ち抜き時の構成説明図
【図3】打ち抜き処理装置の型変更時の構成説明図
【図4】打ち抜き処理装置の後方側の側面図
【図5】打ち抜き処理装置の後方側の平面図
【図6】積層体の分離装置の要部の斜視図
【図7】エアテーブルの断面図
【図8】積層体の分離装置の作用説明用平面図
【図9】積層体の分離装置の作用説明用平面図
【図10】積層体の分離装置の作用説明用側面図
【図11】積層体の打ち抜き装置の側面図
【図12】積層体の打ち抜き装置の平面図
【図13】積層体の送り装置の作用説明図
【図14】積層体の送り装置の斜視図
【図15】積層体の送り装置の要部の(1)は平面図、(2)は側面図、(3)は正断面図
【図16】積層体の送り込み装置の要部の(1)は平面図、(2)は側断面図、(3)は正面図
【図17】下型の平面図
【図18】下型の正面図
【図19】下型に側面図
【図20】上型の正面図
【図21】上型の側断面図(図20のXXI‐XXI線断面図)
【図22】上型の平断面図(図21のXXII‐XXII線断面図)
【図23】打ち抜き処理装置の前方側の側面図
【図24】打ち抜き処理装置の前方側の平面図
【図25】打ち抜き処理装置の作用説明図
【図26】打ち抜き処理装置の作用説明図
【図27】打ち抜き処理装置の作用説明図
【図28】打ち抜き処理装置の作用説明図
【図29】型準備装置の正面図
【図30】型準備装置の側面図
【図31】型準備装置の作用説明図
【図32】型準備装置の作用説明図
【図33】型準備装置の作用説明図
【図34】下型の変形例の平面図
【符号の説明】
1 可撓性シート材
2 切り込み
3 積層体
4 シート片
5 積層シート片
8 打ち抜き装置
16 エアテーブル
81 支持部材
82 上型
83 押さえ機構
84 下型
85 突き上げ機構
124 垂れ下がり規制部材

Claims (1)

  1. 複数枚の切り込み付可撓性シート材を積層することで構成される積層体の載置用テーブルと、
    各シート材の切り込みに囲まれたシート片を積層することで構成される積層シート片を積層体から打ち抜く装置と、
    この打ち抜き装置に前記テーブルに載置された積層体を送り込む送り込み装置とを備え、
    その打ち抜き装置は、その積層体の下面を支持する支持部材と、この支持部材に支持された積層体の上面を前記切り込みの外方位置で上型を介し押さえる手段と、その積層体の下面を前記切り込みの内方位置で下型を介し突き上げる手段とを有し、
    その突き上げ前の下型の上面は、その支持部材の上面よりも下方に配置され、
    その突き上げ前の下型に前記送り込み装置による送り途中の積層体がその支持部材の上面よりも垂れ下がって衝突するのを規制できるように、その下型とテーブルとの間に積層体の下面を支持する垂れ下がり規制部材が設けられ、
    その垂れ下がり規制部材の前端は積層体の送り方向とこの送り方向に直角な横方向とに位置変更可能とされている積層体の打ち抜き処理装置。
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