JP3815054B2 - スラスト玉軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低摩擦トルクのスラスト玉軸受に関する。特に、本発明は、トラクション・ドライブ無段変速機の伝動ローラ、入出力部材の支持軸受及び工作機械など、大きなアキシャル荷重を受けて高速回転し、低摩擦を要求される用途に適した低摩擦トルクのスラスト玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスラスト玉軸受は、玉と軌道輪の軌道面との接触点におけるスピンが大きい。そのため、特に大きなアキシャル荷重を受けるときの軸受の摩擦トルクが大きく、この種の軸受を伝動ローラや入出力部材の支持軸受として用いるトロイダル型無段変速機の場合は、軸受の摩擦トルクが変速機の動力伝達効率を低下させる大きな要因になる。
【0003】
このようなスラスト玉軸受の摩擦トルクが大きいという欠点を改めるために、次の3つの方法が提案されている。
【0004】
その第1のタイプのものは、スラスト玉軸受の玉を軸受中心軸に向かって偏倚させ、玉と2つの軌道輪の軌道面との接触点における転動を純転がりに近付けるように、玉の外周側に補助軌道輪(Collar)を設けたスラスト玉軸受である。
【0005】
この第1のタイプのスラスト玉軸受においては、2つの軌道輪の軌道面におけるスピンによる摩擦損失を防ぐため、玉の外周に補助軌道輪を嵌めて玉をピッチ円の内側に寄せ、2つの軌道輪の軌道面との接点を通り軌道面に引いた接線の交点(コーンセンタ)が玉の中心を含む平面上にあり、かつ軸受中心軸線上に来るようにして、2つの軌道輪の軌道面と玉との接触点における転動を純転がりにしている。
【0006】
この結果、この第1のタイプのスラスト玉軸受においては、補助軌道輪の軌道面と玉とが軸受中心軸線に直角で玉の中心を含む平面上で接触することになり、玉の自転軸も玉を含む平面上にあるため、補助軌道輪の軌道面と玉との接点と、玉の自転中心とが一致する。従って、2つの軌道輪の軌道面における玉のスピンによる摩擦損失はなくなり、かつ、補助軌道輪の軌道面と玉との接点における運動は滑り速度の遅いスピン運動だけなので、摩擦損失が小さく、通常のスラスト玉軸受に比べて摩擦トルクが大幅に低減される。
【0007】
また、従来のスラスト玉軸受の第2のタイプのものは、上記第1のタイプのものにアンギュラ玉軸受の要素を加味して、2つの軌道輪の軌道面における接触角に差を与え、その第1のタイプのスラスト玉軸受におけるコーンセンタを、玉の中心を含む平面から軸受の軸方向に偏倚することによって、玉の中心を含む平面上にある補助軌道輪の軌道面と玉との接触点の中心を玉の自転軸と別の位置にしている。これにより、第2のタイプのスラスト玉軸受は、補助軌道輪の軌道面と玉との接触点における相対運動を、スピン運動に転がり運動を加えたものにしている。このようなスラスト玉軸受としては、米国特許1,423,666号で示されているものがある。
【0008】
従来のスラスト玉軸受の第3のタイプのものは、上記第2のタイプのものにおける接触角の大きい方の軌道輪の肩の面と補助軌道輪の対向する面との間に軸方向に押す分力が発生するようにして、補助軌道輪を軸方向に変位させ、補助軌道輪の軌道面と玉との接触点の中心を玉の自転軸から遠ざけるように構成したものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術における上記第1のタイプのスラスト玉軸受では、補助軌道輪の軌道面と玉との接触点では純スピン運動を行うので、接触面の中に潤滑剤が補給されず、軸受の荷重が極く小さい場合を除き、接触点にかじりや摩耗を生ずるという問題がある。このことは、上記従来技術の第2のタイプのものについての米国特許1,423,666号の第1頁第61〜72行に述べられている。図4は、上記第1のタイプのスラスト玉軸受におけるかじりの一例を示す斜視図である。
【0010】
上記従来技術の第2のタイプのスラスト玉軸受は、第1のタイプのものの上記の問題を解決するためのものである。第2のタイプのスラスト玉軸受は、補助軌道輪の軌道面と玉との接触点における相対運動を、スピン運動に転がり運動が加わったものにすることによって、接触面への潤滑剤の補給を図ったものである。この方法により、荷重が大きいときにも接触点のかじりや摩耗を防ぐ効果が得られる。図5(a)は、上記第2のタイプのスラスト玉軸受の構造を示す断面図であり、図5(b)は、上記第2のタイプのスラスト玉軸受におけるトルク低減効果を示すグラフである。
【0011】
しかし、この第2のタイプのスラスト玉軸受について試験した結果、この方法による軸受の摩擦トルク低減の効果は明らかになったが、この軸受でも玉の自転軸が軸受中心軸線に直角方向に近い(上記第1のタイプのものに近い)場合は、玉の自転軸中心点が補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円の中にあるときに、補助軌道輪の軌道面にかじりや摩耗が生じてしまうことが明らかになった。図6は、第2のタイプのスラスト玉軸受におけるかじりの一例を示す斜視図である。
【0012】
また、その試験した結果、玉の自転軸中心点が接触楕円を多少外れていても、一旦僅かでもかじりを生ずると力のパランスが崩れ、軸方向の支持のない補助軌道輪は軸方向に振動を生じ、かじりが急速に広がって軸受の運転を継続することが困難になることも明らかになった。従って、第2のタイプのスラスト玉軸受における玉の自転軸中心は、補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円から余裕をもって外れていなければならない。
【0013】
また、第2のタイプのスラスト玉軸受では、軸受にアキシャル荷重が加われば玉が軸受中心軸から遠ざかる方向に半径方向分力が生ずるので、大きなアキシャル荷重が加わる状態では補助軌道輪が膨張する方向に変形し、玉を軸受中心に向かって偏倚させた偏倚量が小さくなり、コーンセンタが軸受中心軸よりも玉から遠い方に変位する。図7は、第2のタイプのスラスト玉軸受にアキシャル荷重が加わった場合の玉の自転軸を示す説明図である。
【0014】
コーンセンタC’が軸受中心軸線X−Xに一致しなくなれば、2つの軌道輪の軌道面上での玉の転動が純転がりではなくなり、少くとも一方の軌道輪の軌道面では玉はスピンを伴いながら転がることになるので、コーンセンタC’を軸受中心軸線上に位置するようにして、玉と軌道輪との接触面における転動を純転がりにするという、このスラスト玉軸受の狙いからは外れてくる。
【0015】
更に、通常の使用条件においては純アキシャル荷重ばかりでなく、ラジアル荷重や偏心荷重が加わるほか、取付誤差によっても回転軸と固定軸との軸心の不一致を生じて、玉の自転軸が変動するので、玉の自転軸は常に設計時に定めた方向にあるとは限らない。
【0016】
従って、第2のタイプのスラスト玉軸受においては、いかなる場合にも玉の自転軸中心点42が補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円(接点32)から余裕を持って外れていなければならない。
【0017】
通常の転がり軸受では、2つの軌道輪の軌道面曲率半径は等しいか、または軌道面の接触面圧を低減するために、軌道面が回転方向に凸面である方の軌道輪(ここでは接触角の小さい方の軌道輪)の軌道面曲率半径R1を、軌道面が回転方向に凹面である方の軌道輪(ここでは接触角の大きい方の軌道輪)の軌道面曲率半径R2より小さくするのが普通である。
【0018】
2つの軌道輪の軌道面曲率半径が等しい場合は、アキシャル荷重が加わると接触角の小さい方の軌道面には接触角の大きい方の軌道面よりも、玉との間に大きな荷重が加わり、かつ軌道面が回転方向に凸面であるために接触楕円が細長くなるので、軌道面と玉との間のスピン摩擦モーメントは接触角の小さい軌道面の方が接触角の大きい軌道面よりも大きくなる。そのため、玉は接触角の小さい軌道面で純転がり運動をすることになりやすい。軌道面曲率半径が小さい程スピン摩擦モーメントは大きくなるので、通常の軸受の考え方に従って接触角の小さい方の軌道面曲率半径を小さくすれば、玉は接触角の小さい軌道面で純転がり運動をすることになる。
【0019】
コーンセンタが軸受中心軸線X−Xにある場合には、玉は純転がり運動をするので、どちらの軌道面でもスピンを生じない。しかし、アキシャル荷重が加わることにより補助軌道輪が膨張して、コーンセンタが軸受中心軸よりも玉から遠い方に変位し、かつ玉が接触角の小さい軌道面で純転がり運動をするのであれば、玉の自転軸は接触角の小さい軌道面と玉との接点に引いた接線と軸受中心軸との交点と玉の中心とを結ぶ方向になり、当初の狙いよりも軸受中心軸に垂直な平面Y−Yに近付くので、玉の自転軸中心点42が補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円に接近または接触楕円の中に入り、かじりや摩耗の危険が増大する。
【0020】
玉の自転軸中心点を補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円から遠ざけるには、玉の自転軸を平面Y−Yから大きく傾けて、スラスト玉軸受よりもアンギュラ玉軸受にすればよいことになる。図8(a)は、第2のタイプのスラスト玉軸受をアンギュラ玉軸受に適用したときの構造を示す断面図であり、図8(b)はそのときのトルク低減効果を示す説明図である。
【0021】
しかし、アンギュラ玉軸受の場合には、補助軌道輪による摩擦トルク低減の効果がスラスト玉軸受よりも小さい。また、アンギュラ玉軸受では、アキシャル荷重による玉の荷重が増大するので、軸受の寿命を無視し得ない程低下させてしまう。
【0022】
従って、第2のタイプのスラスト玉軸受は、玉の自転軸が平面Y−Yから大きく傾くことなく、かつ、玉の自転軸中心点が補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円から外れているようにしなければならないという問題がある。
【0023】
上記従来技術の第3のタイプのスラスト玉軸受は、第2のタイプの上記問題を解決するためのものである。図9は、第3のタイプのスラスト玉軸受の構造を示す軸方向断面図である。第3のタイプのスラスト玉軸受では、接触角の大きい方の軌道輪の肩の面と補助軌道輪の対向する面との間に、軸方向に押す分力を発生させる。これにより、補助軌道輪の運動が安定し、軸方向の振動の発生を防ぐことができ、かつ補助軌道輪を軸方向に変位させることによって補助軌道輪の軌道面と玉との接触点(接点32)の中心を玉の自転軸中心点42から遠ざけることができる。
【0024】
しかし、第3のタイプのスラスト玉軸受では、接触角の大きい方の軌道輪の肩の面と補助軌道輪の対向する面との間に軸方向に押す分力が加わりながら接触して回転するので、接触面の間に摩擦力が発生し、軸受トルクを増大させることになってしまう。従って、第3のタイプのスラスト玉軸受において低摩擦トルクを実現するには、補助軌道輪の軸方向分力を定められた狭い範囲に維持するための高い加工精度と、摩擦面の摩擦低減のための高度な技術が必要とされるという問題がある。
【0025】
従って、従来の技術では、大きなアキシャル荷重を受けるスラスト玉軸受において、常に安定に軸受摩擦トルクの大幅な低減を実現することは非常に困難であるという問題がある。
【0026】
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、スラスト玉軸受における2つの軌道輪の間に多少の軸心の不一致が生じても、軸受摩擦トルクを安定して大幅に低減することができるようにしたスラスト玉軸受を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、大きなアキシャル荷重を受けて高速回転し、低摩擦を要求される用途に適した低摩擦トルクのスラスト玉軸受に関するものであり、本発明の上記目的は、それぞれ軸方向に互いに向かい合う円弧状断面を含む軌道面を有する2つの軌道輪と、前記2つの軌道輪に接触して該2つの軌道輪の間に介装された複数個の玉と、内周側に円弧状断面を含む軌道面を有し、該内周側軌道面が前記玉に接触して該玉を軸受中心軸線に向かって偏倚させて、該玉と該軌道面との接触点における転動を純転がりに近付けるようにして該玉を前記軌道輪の間に保持する補助軌道輪と、を設け、前記2つの軌道輪における一方の軌道輪の軌道面の接触角と他方の軌道輪の軌道面の接触角とを異なる角度として、接触角の大きい方の軌道輪の軌道面の曲率半径を、接触角の小さい方の軌道輪の軌道面の曲率半径よりも小さくすることによって達成される。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明のスラスト玉軸受では、接触角の大きい軌道輪の軌道面における玉のスピン摩擦モーメントが接触角の小さい軌道輪の軌道面における玉のスピン摩擦モーメントよりも大きくなるので、玉は常に接触角の大きい軌道輪の軌道面で純転がり運動をすることになる。従って、本発明のスラスト玉軸受では、アキシャル荷重が加わることにより補助軌道輪が膨張したときに、補助軌道輪の軌道面と玉との接触点から玉の自転軸中心点までの距離がアキシャル荷重の増加と共に増大するので、補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円がアキシャル荷重の増加と共に大きくなっても、補助軌道輪の軌道面と玉との接触楕円と玉の自転軸中心点との間に常に余裕が得られる。これらにより、本発明のスラスト玉軸受では、アキシャル荷重の増加、ラジアル荷重及び取付誤差などにより2つの軌道輪の間に多少の軸心の不一致が生じても、補助軌道輪の軌道面のかじりや摩耗を防止し、低摩擦トルクのスラスト玉軸受を実現することができる。
【0029】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るスラスト玉軸受の構造を示す断面図である。このスラスト玉軸受において、軌道輪1と軌道輪2とは互いに軸方向に対向している。軌道輪1は、円弧状断面の軌道面11を有している。また、軌道輪2は、円弧状断面の軌道面21を有している。軌道面11と軌道面21とは、軸方向に向かい合っており、その間に介装された複数個の玉4と接触している。
【0031】
軌道輪1と軌道輪2との間で玉4の外周側には補助軌道輪3が嵌めてある。補助軌道輪3は、内周側に円弧状断面をもった軌道面31を有している。軌道面31は、玉4に軸受外周側から接触して玉4を軌道輪1と軌道輪2との間に保持している。
【0032】
補助軌道輪3における軌道面31の円弧状断面の曲率半径中心33は、軸受中心軸X−Xに垂直で玉の中心41を通る平面Y−Y上にある。
【0033】
玉4は、軌道輪1の軌道面11とは接点12で、軌道輪2の軌道面21とは接点22で、補助軌道輪3の軌道面31とは接点32で接触している。
【0034】
軌道輪1における軌道面11の円弧状断面の曲率半径R1は、軌道輪2における軌道面21の円弧状断面の曲率半径R2よりも大きい。
【0035】
軌道面11上の接点12を通る接線13と、軌道面21上の接点22を通る接線23との交点C(コーンセンタ)は、ほぼ軸受中心軸X−X上で、かつ平面Y−Yよりも軌道輪2の側にある。交点Cと各玉4の中心41とを結ぶ直線すなわち玉の自転軸は、玉4のピッチ円の外側では平面Y−Yよりも軌道輪1に近い自転軸中心点42を通る。従って、軌道輪2の接触角の方が軌道輪1の接触角よりも大きい。
【0036】
このスラスト玉軸受に図2のようにアキシャル荷重が加わると、軌道輪1と玉4との接点12及び軌道輪2と玉4との接点22にはそれぞれアキシャル方向の力Fa1及びFa2が作用し、それぞれラジアル方向の分力Fr1及びFr2 が発生する。
【0037】
ラジアル方向の分力Fr1と分力Fr2 との和に対する反力Fr3 は、補助軌道輪3を押し広げるように軌道面31と玉4との接点32に作用する。軌道面31の曲率半径中心33は平面Y−Y上にあるため、接点32も平面Y−Y上にある。
【0038】
補助軌道輪3の軌道面31に加わるラジアル分力Fr3 は補助軌道輪3を押し拡げ、補助軌道輪3は変形して玉は軸受中心軸線X−Xから遠ざかる方向に変位する。そのため軌道輪1及び軌道輪2と玉との接触角α,βは大きくなり、接点12及び接点22を通りそれぞれの軌道面に引いた接線13及び接線23の交点Cは、軸受中心軸線X−Xを越えて玉4から遠ざかり交点C’に変位する。
【0039】
交点C’が軸受中心軸線X−X上から離れたため、玉4は、接点12及び接点22の両方で純転がり運動することができず、少なくとも一方ではスピンを伴った運動になる。
【0040】
軌道面11の曲率半径R1は軌道面21の曲率半径R2より大きいので、図3に示すように、接点12における玉4と軌道面との接触楕円の長径2a1より接点22における玉4と軌道面との各接触楕円の長径2a2の方が大きくなる。そこで、接点22におけるスピンモーメントが接点12におけるスピンモーメントよりも大きくなる。従って、玉4は、接点22で純転がり運動をし、スピンは、接点12に生じ、玉4の自転軸は、接点22に引いた接線23と軸受中心軸線X−Xとの交点C2と玉4の中心41とを結ぶ直線上に位置する。
【0041】
軌道面21と玉4との接点22における接触角が大きくなったため、接点22に引いた接線23と軸受中心軸線X−Xとの交点C2は、アキシャル荷重が加わっていないときのコーンセンタである交点Cよりも玉4の中心41を含む平面Y−Yから遠い方向に変位する。これにより、玉4の自転軸中心点42も補助軌道輪3の軌道面31と玉4との接点32から遠ざかる方向に移動する。
【0042】
アキシャル荷重の増加と共に補助軌道輪3の軌道面31と玉4との接点32における接触楕円の長半径a3 が大きくなるが、同時に玉4の自転軸中心点42と補助軌道輪3の軌道面31と玉4との接点32の間の距離も増大する方向に変化する。
【0043】
従って、本実施の形態のスラスト玉軸受では、図3に示すように、補助軌道輪3の軌道面31と玉4との接点32における接触楕円の長半径a3の端から玉4の自転軸中心点42までの間に常の余裕sが生まれ、軸受にラジアル荷重や取付誤差があっても補助軌道輪3の軌道面31におけるかじりや焼き付きを防止することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明では、2つの軌道輪の軌道面における接触角が相違するスラスト玉軸受において、接触角の大きい方の軌道輪の曲率半径が、接触角の小さい方の軌道輪の軌道面の曲率半径よりも小さいので、アキシャル荷重の増加、ラジアル荷重または取付誤差などによって2つの軌道輪の間に多少の軸心の不一致が生じた場合でも、補助軌道輪の軌道面のかじり及び摩耗を大幅に削減し、低摩擦トルクのスラスト玉軸受を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るスラスト玉軸受の構造を示す軸方向断面図である。
【図2】図1のスラスト玉軸受における力及び変位の関係を示す説明図である。
【図3】図1のスラスト玉軸受における補助軌道輪の軌道面と玉とがなす接触楕円と、玉の自転軸との関係を示す説明図である。
【図4】従来の第1のタイプのスラスト玉軸受におけるかじりの一例を示す斜視図である。
【図5】(a)は、従来の第2のタイプのスラスト玉軸受の構造を示す断面図であり、(b)は、そのスラスト玉軸受のトルク低減効果を示すグラフである。
【図6】従来の第2のタイプのスラスト玉軸受におけるかじりの一例を示す斜視図である。
【図7】従来の第2のタイプのスラスト玉軸受にアキシャル荷重が加わった場合の玉の自転軸を示す説明図である。
【図8】(a)は、従来の第2のタイプのスラスト玉軸受をアンギュラ玉軸受に適用したときの構造を示す断面図であり、(b)はそのときのトルク低減効果を示すグラフである。
【図9】従来の第3のタイプのスラスト玉軸受を示す軸方向断面図である。
【符号の説明】
1、2 軌道輪
3 補助軌道輪
11、21、31 軌道面
12、22、32 軌道面と玉との接点
33 補助軌道輪軌道面の円弧中心
4 玉
41 玉の中心
42 玉の自転軸中心点
5 保持器
X−X 軸受中心軸線
Y−Y 玉の中心を含む平面
Claims (1)
- それぞれ軸方向に互いに向かい合う円弧状断面を含む軌道面を有する2つの軌道輪と、前記2つの軌道輪に接触して該2つの軌道輪の間に介装された複数個の玉と、内周側に円弧状断面を含む軌道面を有し、該内周側軌道面が前記玉に接触して該玉を軸受中心軸線に向かって偏倚させて、該玉と該軌道面との接触点における転動を純転がりに近付けるようにして該玉を前記軌道輪の間に保持する補助軌道輪と、を具備し、前記2つの軌道輪における一方の軌道輪の軌道面の接触角と他方の軌道輪の軌道面の接触角とが異なる角度であり、接触角の大きい方の軌道輪の軌道面の曲率半径が、接触角の小さい方の軌道輪の軌道面の曲率半径よりも小さい、ことを特徴とするスラスト玉軸受。
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