JP3814840B2 - 酸化脱水素反応用触媒およびα,β−不飽和カルボニル化合物類の製造法 - Google Patents

酸化脱水素反応用触媒およびα,β−不飽和カルボニル化合物類の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒および当該触媒の存在下にアリルアルコール類を酸素雰囲気下で酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α,β−不飽和カルボニル化合物類は香料、医薬品など種々の工業薬品やその合成中間体などに利用される有用な物質である。
【0003】
従来より、かかるα,β−不飽和カルボニル化合物類の製造法としては、たとえば、アリルアルコール類を活性二酸化マンガンや六価のクロム酸等の酸化剤により酸化する方法が古くから知られている。しかし、これらの酸化反応は量論反応であること、また酸化剤として毒性のある重金属を用いるためその取り扱い性に問題がある。
【0004】
また、アルコール類より水素を引き抜いてカルボニル化合物類を製造する酸化脱水素反応を、アリルアルコール類に応用して、α,β−不飽和カルボニル化合物類を製造することも考えられる。例えば、一般的にアルコール類よりカルボニル化合物類を製造する方法としては、銅触媒、亜鉛触媒などを充填した反応器の中を、高温で水蒸気とともに気化させたアルコール類を、流通させて酸化脱水素反応する方法が知られている(例えば、特開昭51−16643号公報、特開昭51−13748号公報等)。しかし、これらの気相反応は高温の反応条件にて行う必要があり、不飽和結合を有するアリルアルコール類に応用した場合には、分解副反応が多く、効率的な反応とはいえない。また、液相にてルテニウムを触媒とし、次亜塩素酸を滴下してアルコール類を酸化脱水素反応する方法が開示されている(例えば、特開昭64−50836号公報、特開昭63−174946号公報、特開昭63−145248号公報、特開昭63−130552号公報、特開昭62−265244号公報、特開昭56−22758号公報等)。しかし、こうした液相反応においては高価な次亜塩素酸を用いなければならず、さらには次亜塩素酸の不安定さから危険を伴う不利がある。
【0005】
また最近では、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒として、イリジウムトリフェニルフォスフィンを用いる方法が報告されている(Journal of Organometallic Chemistry,356巻,381−8頁(1988))。しかし、このような有機イリジウムは爆発の危険性を持っており製造上の不利が大きい。また、ヘキサデカカルボニル六ロジウムを酸化脱水素反応用触媒として用いる方法(特開平3−93742号公報)も知られているが、高価なロジウム化合物を使用すること、触媒が均一系であり分離、再利用が困難な点で不利がある。また、酸化ルテニウムを酸化脱水素反応用触媒として用いる方法(Journal of Organic Chemistry,49巻,3435−6頁(1984))も知られているが、酸化ルテニウムの毒性から取り扱い上に不利がある。また、シンナミルアルコールを、ビスマス−白金をアルミナに担持した触媒を用いて、酸化脱水素反応する方法(Journal of Catalysis,131巻,131頁(1995))も知られているが、ビスマスの毒性や、白金が高価なことから工業的な製造には不利がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定のパラジウムカルボニルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させることによって、安全にかつ温和な反応条件で、アリルアルコール類よりα,β−不飽和カルボニル化合物類を高転化率で、かつ60〜95モル%程度の高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決すべく、酸化脱水素反応に使用する触媒について鋭意研究を重ねた。その結果、以下に示す特定のパラジウム化合物が、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒として高活性を有することを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、酢酸パラジウムと一酸化炭素を酢酸中で反応させて得られるパラジウムカルボルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させて得られる懸濁化合物からなる、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒、
酢酸パラジウムと一酸化炭素を酢酸中で反応させて得られるパラジウムカルボルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させて得られる懸濁化合物に、さらに芳香族溶媒を添加する工程と酸素に接触させる工程を経て得られる沈殿物からなる、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒、
これら触媒の存在下に、アリルアルコール類を酸素雰囲気下で酸化脱水素反応することを特徴とするα,β−不飽和カルボニル化合物類の製造法に関する。
【0009】
本発明のアリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒は、酢酸パラジウムと一酸化炭素を酢酸中で反応させて得られるパラジウムカルボルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させて得られる懸濁化合物である。かかる懸濁化合物は公知の方法(I. Moiseev、Pure&Appl.Chem.,61巻,No.10,pp.1755−1762,1989)により調製できる。以下に、かかる懸濁化合物の調製法を詳しく述べる。
【0010】
まず、酢酸パラジウムを含有する酢酸溶液を調製する。酢酸に溶解する酢酸パラジウムの使用量は、酢酸パラジウムが酢酸に溶解する範囲であれば特に限定されないが、通常は、コスト面、酢酸溶液の取り扱い性から、酢酸100重量部に対し、酢酸パラジウム1〜100重量部程度が適当である。なお、酢酸としては氷酢酸が好ましい。
【0011】
次いで、この酢酸パラジウムを含有する酢酸溶液を一酸化炭素雰囲気下で反応させてパラジウムカルボルアセテートにする。一酸化炭素の流通は、酢酸パラジウムの全てをパラジウムカルボルアセテートにすることができれば、一酸化炭素の流通量は、特に制限されず、通常、室温〜70℃で、1〜3時間程度、好ましくは1.5〜2時間流通させる。なお、一酸化炭素雰囲気下とは、酢酸溶液中の酢酸パラジウムが一酸化炭素と接触できる状態をいい、酢酸溶液へ一酸化炭素をバブリングする方法、一酸化炭素雰囲気中で酢酸溶液を撹拌する方法等の方法を採用できる。
【0012】
さらに得られたパラジウムカルボルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させて、酢酸中に懸濁状態で存在する懸濁化合物を得る。含窒素化合物または酢酸化合物としては、パラジウムと反応して結合もしくは錯体を形成しうる化合物を使用できる。
【0013】
このような含窒素化合物としては、3級窒素を有する1,10−フェナントロリン、2,2−ビピリジン、トリエチルアミン、一般式(1):
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、R1 、R2 はそれぞれに同一または相異なって水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表されるピリジン化合物、および一般式(2):(CH32 N(CH2n N(CH32 (式中、nは1〜10の整数)で表されるアミン化合物などが好ましい。一般式(1)で表されるピリジン化合物の具体例としては、ピリジン、4−メチルピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン等があげられ、一般式(2)で表されるアミン化合物としては、1,2−ジ(N,N−ジメチルアミノ)エタン、1,3−ジ(N,N−ジメチルアミノ)プロパン等があげられる。
【0016】
また、酢酸化合物としては、酢酸アルカリ金属塩が好ましく、その具体例としては酢酸カリウム等があげられる。
【0017】
含窒素化合物または酢酸化合物の使用量はパラジウムカルボルアセテート中のパラジウム金属の全量が含窒素化合物または酢酸化合物と反応して結合もしくは錯体を形成しうる理論量以上である。通常は理論量の2〜3倍量とされる。たとえば含窒素化合物中の窒素原子が1つの場合には、前記酢酸パラジウムの仕込み量1モル部に対して、2モル部以上、窒素原子が2つの場合には1モル部以上である。また、酢酸化合物の使用量は、前記酢酸パラジウム1モル部に対して、2モル部以上である。
【0018】
なお、前述の報文によれば、例えば、含窒素化合物が1,10−フェナントロリン(以下、Phenと略することもある)である場合、得られた懸濁化合物は、Pd4 (Phen)2 (CO)2 (OCOCH34 という構造であることが推定されており、前述の報文においてはかかる懸濁化合物はオレフィンのアセトオキシ化反応に用いられている。
【0019】
本発明は、かかる公知の懸濁化合物を、アリルアルコール類からα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための酸化脱水素反応用の触媒として用いたものである。かかる懸濁化合物は、通常、懸濁溶液(酢酸溶液)のまま均一系の触媒として用いられる。
【0020】
本発明では、前記懸濁化合物に、さらに芳香族溶媒を添加する工程と酸素に接触させる工程を経て得られる沈殿物を、アリルアルコール類からα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための酸化脱水素反応用の触媒として使用す
【0021】
芳香族溶媒としてはベンゼンが好ましく、その使用量は前記懸濁化合物を含有する懸濁溶液(酢酸溶液)100重量部に対して30重量部以上である。好ましくは、100〜2000重量部である。30重量部に満たない場合には、懸濁化合物を沈殿させることが困難である。
【0022】
また、酸素に接触させる工程とは、懸濁化合物または沈殿物を酸素と接触させることをいい、酸素を供給して接触させる場合の他に空気中の酸素と接触する場合も含まれる。酸素と接触する工程は、たとえば、懸濁化合物に芳香族溶媒を添加する際に、懸濁化合物または沈殿物と酸素が接触するような状態、また沈殿物を分離した後に、沈殿物の空隙に酸素を含むような状態をいう。
【0023】
なお、沈殿物は黒色を呈し、その構造は定かにはなっていないが、含窒素化合物が、Phenである場合、Pd(Phen)(OCOCHまたはPd(Phen) (OCOCHn(n=1〜3)ではないかと推定される。
【0024】
このように前記懸濁化合物に、芳香族溶媒を添加する工程と酸素に接触させる工程を経ることによって沈殿物を生じることは前述の報文には一切記載がなく、本発明者が初めて見出したものであり、また、かかる沈殿物をアリルアルコール類からα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための酸化脱水素反応用の触媒として用いることも、本発明者が初めて見出したものである。
【0025】
こうして得られた沈殿物は、酢酸溶液のまま、または上澄み液を除去(デカンテーション)した後、不均一系触媒として取り扱うことが可能である。前記懸濁化合物を含有するは懸濁溶液は、ほとんどの場合に均一系の触媒として取り扱われ、そのまま溶液の状態で反応系に添加されるため、酸化脱水素反応後に反応系から触媒を分離するのは非常に困難(煩雑な操作)であったが、沈殿物からなる不均一系触媒によれば酸化脱水素反応後における反応系からの触媒分離が容易になり、また触媒の繰り返し使用も可能である。なお、触媒の分離は、自然沈降法、遠心分離法など各種公知の方法を採用することができる。
【0026】
本発明では、前記懸濁化合物または沈殿物からなる触媒の存在下で、アリルアルコール類を酸素雰囲気下に酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造する。
【0027】
アリルアルコール類としては、一般式(3):
【0028】
【化8】
【0029】
で表される構造を有する化合物であれば特に限定はなく、アリルアルコールまたはその誘導体のような低分子量の化合物から、前記構造を一部に有する高分子量の化合物(ポリマー)のいずれにも適用できる。たとえば、アリルアルコール類が、一般式(4):
【0030】
【化9】
【0031】
で表される化合物の場合には、R3 、R4 、R5 およびR6 としては、それぞれに同一または相異なって水素原子、直鎖もしくは分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基または不飽和脂肪族炭化水素基、直鎖もしくは分岐鎖の飽和脂環族炭化水素基または不飽和脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基等の各種の炭素数1〜32の炭化水素基等(ただし、R3 またはR4 とR5 はそれぞれの一部が結合して不飽和脂環構造を形成してもよい)や、カルボキシ基、シアノ基等の各種官能基等があげられる。かかるアリルアルコール類の具体例としては、例えば、アリルアルコール、シンナミルアルコール、ゲラニオール、ネロール、2−ヘキセン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、1−ヒドロキシ−2,4−ジメチルメタノシクロヘキセン、4−メチル−3−ペンテン−2−オール、ミルテノールなどがあげられる。
【0032】
また、α,β−不飽和カルボニル化合物類としては、一般式(3)で表される構造を有するアリルアルコール類を酸化脱水素反応した、一般式(4):
【0033】
【化10】
【0034】
で表される構造を有する化合物があげられる。
【0035】
本発明の酸化脱水素反応において、前記触媒の使用量は、原料であるアリルアルコール類に対して、触媒中のパラジウム含有量が、通常は0.01〜25モル%程度、好ましくは0.5〜10モル%である。0.01モル%より少ない場合は、触媒効果が低いため十分な反応速度が得られない。また25モル%を越える場合は、触媒費用や触媒分離作業の点で不利がある。
【0036】
本発明の酸化脱水素反応は、必ずしも溶媒の存在下に行う必要はないが、得られるα,β−不飽和カルボニル化合物類の収率の点から、有機溶媒系で行うのが好ましい。特に、有機溶媒としては、芳香族炭化水素類、カルボン酸類、エステル類、アルキルハライド類およびハロゲン化炭素類から選ばれるいずれか少なくとも1種を使用するのが好ましい。
【0037】
上記有機溶媒のうち芳香族炭化水素類としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソブチルベンゼン、テトラリン等を例示できる。カルボン酸類としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等を例示できる。エステル類としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソブチル等を例示できる。アルキルハライド類としては、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、トリクロロプロパン、トリクロロブタン、テトラクロロプロパン、テトラクロロブタン等を例示できる。ハロゲン化炭素としては、四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、オクタクロロプロパン等を例示できる。
【0038】
本発明のα,β−不飽和カルボニル化合物類の製造は、通常、前記触媒を反応容器に入れ、これに有機溶媒および反応原料であるアリルアルコール類を加え、酸素雰囲気下に、所定の反応温度にて、所定の反応時間、酸化脱水素反応させることにより行う。
【0039】
反応温度は、通常は5〜150℃程度である。特に有機溶媒または原料のアリルアルコール類の凝固点以上、沸点以下の温度とするのがよく、10〜80℃が好ましい。5℃以下では有機溶媒が凝固し、反応に不利であり、150℃を越える場合にはα,β−不飽和カルボニル化合物類の収率が低下し、熱コスト的にも不利である。反応時間は原料のアリルアルコール類の種類や反応温度などにより異なるが、通常2〜30時間程度とされる。また、酸素雰囲気下とは、空気中または酸素ガスを供給した状態、これらをバブリングする状態等をいう。
【0040】
なお、本発明の製造法は、前記特定触媒を採用することにより酸化脱水素反応を、常圧で行い、収率よくα,β−不飽和カルボニル化合物類を収得できることを一つの特徴とするが、加圧条件を排除するものではない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、安全で温和な条件下に、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を60〜95モル%程度の高収率で製造できる。また、本発明で用いる触媒のなかでも、沈殿物からなる触媒は不均一触媒として使用でき、反応系から容易に分離でき、廃棄操作が容易である。
【0042】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1(1)(酸化脱水素反応用触媒の調製)
20mlの丸底フラスコに氷酢酸3.5ml(3.67g)、酢酸パラジウム0.03gを入れ、一酸化炭素雰囲気中、50℃にて1.5時間反応させ、黄色結晶のパラジウムカルボルアセテートを得た。次いで、フラスコ中に存在するパラジウム金属の理論量(0.05ミリモル)の2倍モル相当の1,10−フェナントロリン(0.10ミリモル)を加え、50℃にて0.5時間反応させ、非常に細かい浮遊物のある懸濁溶液を得た。この懸濁溶液を触媒Aという。
【0044】
(2)(酸化脱水素反応用触媒の調製)
上記(1)で得られた触媒Aにベンゼン15mlを加えた。徐々に沈殿物が生じ、この沈殿物を分離した後、上澄みをデカンテーションにて除去した。分離作業は酸素雰囲気中(空気雰囲気下)で行い、黒色の固体を得た。得られた沈殿物を触媒Bという。
【0045】
(3)(酸化脱水素反応)
還流冷却管およびコックを備え、密封状態を保持できる20mlのシュレンク管に、パラジウム含有量が0.03ミリモルの触媒B(沈殿物)を入れた後、溶媒としてベンゼン5mlおよび反応原料のシンナミルアルコールを1.5ミリモル加え、シュレンク管を酸素で置換した後、コックに風船を取り付け酸素雰囲気を保った。電磁撹拌機つきオイルバスにて撹拌しながら50℃で、24時間反応を行った。得られたα,β−不飽和カルボニル化合物類(シンナミルアルデヒド)の分析はガスクロマトグラフ法によった。転化率、収率を表1に示す。なお、転化率とは原料が転化した割合をいい、収率とはすべての原料のうち目的生成物に転化した割合をいう。
【0046】
実施例2〜23比較例1〜3
原料のアリルアルコール類の種類、触媒の種類(前記AもしくはB、または含窒素化合物もしくは酢酸化合物の種類)、反応温度、反応時間および溶媒のうちいずれか少なくとも1種を表1に示すように代えた他は実施例1と同様に行った。α,β−不飽和カルボニル化合物類への転化率、選択率を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1中、Pd(OAc)2 は酢酸パラジウムを、PCAはパラジウムカルボニルアセテートを、ベンゼン酢酸はベンゼンと酢酸の1:1(重量比)混合物をいう。

Claims (11)

  1. 酢酸パラジウムと一酸化炭素を酢酸中で反応させて得られるパラジウムカルボルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させて得られる懸濁化合物からなる、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒。
  2. 含窒素化合物が、1,10−フェナントロリン、2,2−ビピリジン、トリエチルアミン、一般式(1):
    (式中、R1 、R2 はそれぞれに同一または相異なって水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表されるピリジン化合物、および一般式(2):(CH32 N(CH2n N(CH32 (式中、nは1〜10の整数)で表されるアミン化合物から選ばれるいずれか少なくとも1種である請求項1記載の触媒。
  3. 酢酸化合物が、酢酸アルカリ金属塩である請求項1記載の触媒。
  4. 酢酸パラジウムと一酸化炭素を酢酸中で反応させて得られるパラジウムカルボキシルアセテートに、含窒素化合物または酢酸化合物を反応させて得られる懸濁化合物に、さらに芳香族溶媒を添加する工程と酸素に接触させる工程を経て得られる沈殿物からなる、アリルアルコール類を酸化脱水素反応してα,β−不飽和カルボニル化合物類を製造するための触媒。
  5. 含窒素化合物が、1,10−フェナントロリン、2,2−ビピリジン、トリエチルアミン、一般式(1):
    (式中、R1 、R2 はそれぞれに同一または相異なって水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表されるピリジン化合物、および一般式(2):(CH32 N(CH2n N(CH32 (式中、nは1〜10の整数)で表されるアミン化合物から選ばれるいずれか少なくとも1種である請求項4記載の触媒。
  6. 酢酸化合物が、酢酸アルカリ金属塩である請求項4記載の触媒。
  7. 芳香族溶媒がベンゼンである請求項4、5または6記載の触媒。
  8. アリルアルコール類が、一般式(3):
    で表される構造を有する化合物であり、α,β−不飽和カルボニル化合物類が、一般式(4):
    で表される構造を有する化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の触媒。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の触媒の存在下に、アリルアルコール類を酸素雰囲気下で酸化脱水素反応することを特徴とするα,β−不飽和カルボニル化合物類の製造法。
  10. 酸化脱水素反応を、芳香族炭化水素類、カルボン酸類、エステル類、アルキルハライド類およびハロゲン化炭素類から選ばれるいずれか少なくとも1種の有機溶媒中で行うことを特徴とする請求項記載の製造法。
  11. アリルアルコール類が、一般式(3):
    で表される構造を有する化合物であり、α,β−不飽和カルボニル化合物類が、一般式(4):
    で表される構造を有する化合物である請求項または10記載の製造法。
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