JP3814259B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

気体圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP3814259B2
JP3814259B2 JP2003091540A JP2003091540A JP3814259B2 JP 3814259 B2 JP3814259 B2 JP 3814259B2 JP 2003091540 A JP2003091540 A JP 2003091540A JP 2003091540 A JP2003091540 A JP 2003091540A JP 3814259 B2 JP3814259 B2 JP 3814259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
valve
discharge
gas compressor
discharge space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003091540A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004300937A (ja
Inventor
永偉 時
Original Assignee
カルソニックコンプレッサー株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カルソニックコンプレッサー株式会社 filed Critical カルソニックコンプレッサー株式会社
Priority to JP2003091540A priority Critical patent/JP3814259B2/ja
Publication of JP2004300937A publication Critical patent/JP2004300937A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3814259B2 publication Critical patent/JP3814259B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーエアコンシステム等に用いられるベーンロータリー型の気体圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のベーンロータリー型気体圧縮機としては、図17に示す構造のものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
同図のベーンロータリー型気体圧縮機は、内周楕円状のシリンダ4内にロータ8が回転可能に収容され、そのシリンダ4とロータ8との間の隙間空間がシリンダ室14となっている。また、ロータ8外周面のベーン溝11にはベーン12が摺動可能に装着されている。このベーン12はロータ8の外周面からシリンダ4の内周面に向かって出没可能に設けられ、かつ、上記シリンダ室14を複数の小室に仕切る構造となっている。そして、この仕切られた小室が圧縮室15としてロータ8の回転により容積の大小変化を繰り返し、その容積変化により圧縮室15内で冷媒ガスが圧縮される。
【0004】
上記のような構造からなるベーンロータリー型気体圧縮機において、その圧縮に用いられる冷媒としては、例えばR134aとCOがある。CO冷媒はR134a冷媒に比し約6〜7倍の能力を持っている。従って、CO冷媒を用いるタイプのベーンロータリー型気体圧縮機の場合は、R134aを用いるタイプのベーンロータリー型気体圧縮機に比べて、約1/7〜1/6という小吐出容量で同等の冷房能力を得ることができる。また、CO冷媒タイプのベーンロータリー型気体圧縮機をモータで駆動する電動式の場合は、エンジン駆動方式の場合に比べて、さらに小吐出容量で済む。これは、電動式の場合はエンジンの通常運転回転数より高回転で気体圧縮機を運転することが可能となり、冷媒ガスの単位時間当たりの吐出容量が多くなるからである。
【0005】
CO冷媒に対応したベーンロータリー型気体圧縮機の小吐出容量化を実現する具体的な手法として、シリンダ4の軸方向幅を小さくする方法がある。これ以外にも小吐出容量化を図る方法はあるが、ベーン12の耐久性という観点からみた場合、シリンダ4の軸方向幅を小さくする方法が最適である。
【0006】
すなわち、CO冷媒タイプのベーンロータリー型気体圧縮機では、圧縮された高圧冷媒ガスの吐出圧力が約10〜12MPaと高い。このため、各部品の強度や剛性を高める必要性がある。特にベーン12背面(ベーン12の進行方向前後の面)の耐磨耗性等、ベーン12の耐久性の向上を図る必要がある。そのためには、シリンダ4の軸方向幅を小さくしてシリンダ4の楕円短径をできる限り大きく構成することが望ましい。このように構成すると、ベーン12の摺動をガイドするベーン溝11の長さ(ベーン12のガイド長)を比較的長く設けることができることと、シリンダ4の楕円振幅((楕円長径−楕円短径)/2)が小さくなるため、ベーン12背面の耐磨耗性が向上するからである。
【0007】
しかし、小吐出容量化を図るために上記の如くシリンダ4の軸方向幅を小さくすると、リードバルブ21の強度が低下し、リードバルブ21が破損しやすくなる等、機器耐久性の問題と、内部リークによる性能の低下という新たな問題が生じる。
【0008】
すなわち、図17のベーンロータリー型気体圧縮機では、シリンダ楕円短径部4‐1付近のシリンダ4外周が切り欠かれ、この切り欠き部60の内側空間からなるシリンダ吐出空間16とシリンダ室14側とがシリンダ楕円短径部4‐1のシリンダ吐出孔20を介して連通する構造と、上記のような切り欠き部60にシリンダ吐出孔20を開閉するためのリードバルブ21が取り付けられる構造を採用している。
【0009】
このような構造において、シリンダ4の軸方向幅を小さくすると、▲1▼リードバルブ21の固定端21b側に十分な幅を設けることができない。また、▲2▼リードバルブ21を切り欠き部60に取り付けるための固定ボルト31が小さくならざるを得ず、固定ボルト31によるリードバルブ21の押付け力が不足する。さらに、▲3▼固定ボルト31のネジ孔周辺部に十分な肉厚を設けることができないこと等から、リードバルブ21の機械的強度が低く、リードバルブ21の固定端21bや固定ボルト31のネジ孔が破損しやすく、機器耐久性の問題が生じる。
【0010】
また、シリンダ4の軸方向幅を小さくすると、シリンダ4全体で機械的強度が特に低い部分、すなわち切り欠き部60が形成されているシリンダ楕円短径部4‐1周辺の機械的強度(例えば剛性)が更に低下し、シリンダ楕円短径部4‐1のシリンダ吐出孔20周辺で膜振動が発生し、膜振動による騒音も発生する。これに加えて、シリンダ4とその端部に取り付けられている図示しないサイドブロックの間の微小隙間を通じて高圧のシリンダ室14側から低圧側へ高圧冷媒ガスがリークするという、いわゆる内部リークが発生し、体積効率が悪くなり、性能が低下するという問題もある。
【0011】
【特許文献1】
特開平10‐252676号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、性能がよく耐久性に優れた小吐出容量のベーンロータリー型気体圧縮機を実現し提供できるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シリンダと、上記シリンダ内に回転可能に収容されたロータと、上記ロータの外周面から上記シリンダの内周面に向かって出没可能に設けられるとともに、上記シリンダと上記ロータの間の隙間空間からなるシリンダ室を複数の小室に仕切るベーンと、上記ベーンにより仕切られた複数の小室からなるとともに、上記ロータの回転により容積の大小変化を繰り返し、この容積変化により冷媒ガスを圧縮する構造の圧縮室と、上記圧縮室の外側に設けたシリンダ吐出空間と、上記圧縮室側に一端を開口し、上記シリンダ吐出空間側に他端を開口してなるとともに、上記圧縮室で圧縮された冷媒ガスを上記シリンダ吐出空間側へ導くシリンダ吐出孔と、上記シリンダ吐出空間側に配置され、上記シリンダ吐出孔を開閉するリードバルブとを有し、上記リードバルブは、上記シリンダ軸方向に沿って設置されるとともに、その先端部側が上記シリンダ吐出孔のガス流出口と対向し、その後端部側が上記シリンダの端部を塞いでいるサイドブロックに取り付け固定されてなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明において、上記シリンダ吐出空間については、上記シリンダの肉厚部に穿設された孔の内側空間からなる構造を採用することができる。
【0015】
本発明において、上記シリンダ吐出空間を形成する孔は、断面長孔形状としてもよい。
【0016】
本発明において、上記シリンダ吐出空間は、上記シリンダの外周面を一部切り欠いてなる切り欠き溝の内側空間からなる構造を採用することができる。
【0017】
本発明において、上記シリンダ吐出空間を形成する切り欠き溝は、シリンダ一端から他端に亘ってスリット状に切り欠き形成されるとともに、その両溝側壁が溝底面から垂直に立ち上がる構造としてもよい。
【0018】
本発明においては、上記シリンダ吐出空間と上記サイドブロックに穿設された吐出通路とにより一連のストレートな高圧冷媒ガスの吐出流路が形成されてなる構造を採用することができる。
【0019】
本発明はまた、上記リードバルブの上面に配置されるバルブサポートと、上記リードバルブの下面側に配置されるバルブスペーサと、上記シリンダ吐出空間と上記サイドブロックに穿設された吐出通路とにより形成される高圧冷媒ガスの吐出流路と、上記吐出流路の底面に、上記リードバルブ、バルブサポート、バルブスペーサを重ねて一緒に固定する固定手段とを具備してもよい。
【0020】
本発明において、上記固定手段については、上記サイドブロックの上記吐出通路の底面に固定ボルト用のネジ孔を設けるとともに、このネジ孔と固定ボルトで上記リードバルブ、バルブスペーサ、バルブサポートをまとめて上記サイドブロック側に取り付け固定する構造を採用することができる。
【0021】
本発明において、上記固定手段については、上記サイドブロックの外表面に固定ボルト用のネジ孔を設けるとともに、このネジ孔と固定ボルトで上記リードバルブ、バルブスペーサ、バルブサポートをまとめて上記サイドブロック側に取り付け固定する構造を採用することもできる。
【0022】
本発明においては、上記シリンダの両端に上記サイドブロックが設けられるとともに、上記シリンダ吐出空間を挟んでその左右両側近傍に配置されてなる固定ボルトで、上記シリンダとその両端のサイドブロックとが一緒に締め付け固定される構造を採用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図16を基に詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態である気体圧縮機全体の構成断面図、図2は図1の気体圧縮機における圧縮機構周辺部の断面図、図3は図2のA‐A線断面図、図4は図2のB部拡大図、図5は図4のC矢視図である。
【0025】
図1の気体圧縮機は、CO冷媒に対応した小吐出容量のベーンロータリー型気体圧縮機であり、この気体圧縮機は、一端開口型コンプレッサケース1内に圧縮機構2を収納し、かつ、該コンプレッサケース1の開口端にフロントヘッド3を取り付けてなる、いわゆるシェル構造を採用している。
【0026】
図2に示したように、圧縮機構2は筒状のシリンダ4を有し、シリンダ4のフロント側4F開口端とリア側4R開口端は、それぞれに取り付けられたサイドブロック5、6で塞がれている。以下、シリンダ4のフロント側4F端部を塞いでいるサイドブロック5のことを「フロント側サイドブロック」といい、同シリンダ4のリア側4R端部を塞いでいるサイドブロック6のことを「リア側サイドブロック」という。
【0027】
シリンダ4の内側にはロータ軸7を介してロータ8が回転可能に収容されている。ロータ軸7はロータ8の軸心に一体に設けられ、かつ、フロント側およびリア側サイドブロック5、6の軸受9、10で支持されている。この両サイドブロック5、6の軸受9、10はそれぞれのサイドブロック5、6の表裏面を貫通する孔形状となっている。
【0028】
図3に示したように、ロータ8の外周面にはスリット状のベーン溝11が5つ切り込み形成されている。これらのベーン溝11にはそれぞれ1枚ずつベーン12が摺動可能に装着されている。各ベーン12はロータ8の外周面からシリンダ4の内周面に向かって出没可能に設けられている。
【0029】
本実施形態では、筒状のシリンダ4はその内周が楕円状に形成され、この内周楕円状のシリンダ4の中心に真円のロータ8を配置することで、シリンダ4とロータ8との間の隙間空間からなる三日月型のシリンダ室14がロータ軸7を中心として180°対向する位置に2つ形成される構造と、この2つのシリンダ室14がベーン12により複数の小室に仕切り形成される構造を採用している。
【0030】
上記の如くベーン12により仕切られた小室が圧縮室15である。圧縮室15は、ロータ8と一体にベーン12が図中矢印イの方向へ回転することにより容積の大小変化を繰り返し、この容積変化により冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出を行なう構造となっている。
【0031】
シリンダ楕円短径部4‐1に近い圧縮室15の外側にはシリンダ吐出空間16が設けられている。このシリンダ吐出空間16の具体的な構造形態については各種考えられる。本実施形態では、その構造形態例として、シリンダ吐出空間16が孔状の形態からなる構成を採用している。
【0032】
すなわち、本実施形態の気体圧縮機では、シリンダ楕円短径部4‐1のシリンダ肉厚部に、シリンダ一端から他端に亘って断面長孔形状の孔17を穿孔し、この孔17の内側空間がシリンダ吐出空間16となっている。従って、本実施形態のシリンダ吐出空間16は断面長孔状の孔構造である。
【0033】
上記のような孔構造のシリンダ吐出空間16の採用により、そのシリンダ吐出空間16周辺のシリンダ剛性の向上が図られている。これは、シリンダ4の外周面全体が切り欠きのない連続した面となることと、シリンダ吐出空間16の外側に、シリンダ4の肉厚部からなる補強リブ4‐2が形成される構造となるからである。
【0034】
図4に示したように、上記シリンダ吐出空間16はリア側サイドブロック6の吐出通路18を介して図1に示す吐出室19側に連通している。
【0035】
上記吐出通路18は、上記シリンダ4の孔17をリア側サイドブロック6にそのまま延長形成してなる孔構造であって、かつ、シリンダ吐出空間16から吐出室19側へ向かってストレートに抜ける通路構造となっている。
【0036】
従って、本実施形態の場合、上記シリンダ吐出空間16と吐出通路18は、シリンダ軸方向に沿ってシリンダ4からリア側サイドブロック6に亘る一連のストレートな孔状の吐出流路R1を形成している。
【0037】
上記吐出室19は、リア側サイドブロック6とコンプレッサケース1の内側密閉端との間のリア側サイドブロック後方空間から構成されている。また、この吐出室19はコンプレッサケース1の吐出ポート1‐1を介して図示しないエアコンシステムの高圧部側に連通する。
【0038】
図2〜4に示すように、シリンダ楕円短径部4‐1には、圧縮室15で圧縮された冷媒ガスをシリンダ吐出空間16側へ導く通路として、シリンダ吐出孔20が穿設されている。
【0039】
このシリンダ吐出孔20の一端20a(ガス流入口)側は、略最小容量の圧縮室15(15‐1)側に連通する構造となっている。また、同シリンダ吐出孔20の他端20b(ガス流出口)側は、シリンダ吐出空間16側に連通するように構成されている。
【0040】
上記シリンダ吐出孔20のガス流出口(他端20b)側には、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23等からなる吐出弁機構24が設けられている。
【0041】
リードバルブ21は、シリンダ吐出空間16と吐出通路18からなるストレートな吐出流路R1の直進方向、すなわちシリンダ軸方向に沿って、その吐出流路R1内の底面に設置され、かつ、シリンダ吐出空間16側からシリンダ吐出孔20を開閉する。
【0042】
リードバルブ21はシリンダ吐出空間16内で上記の如くシリンダ軸方向に沿って設置されるから、シリンダ吐出空間16のシリンダ周方向幅は、リードバルブ21の長さに相当する程幅広く設ける必要はなく、リードバルブ21の幅より少し広ければ足る。
【0043】
リードバルブ21の先端部21aは、リフト端としてシリンダ吐出孔20の他端20b(ガス流出口)と対向する位置に配置されている一方、同リードバルブ21の後端部21bは固定端としてリア側サイドブロック6側に取り付け固定されている。
【0044】
従って、本実施形態の場合、リードバルブ21は、その先端部21a側が下面の弁座面25に対して所定の角度で上方にリフトアップし持ち上がる構造となっている。尚、このリードバルブ21の上記弁座面25は、吐出流路R1の底面側であって、シリンダ吐出孔20の他端20b(ガス流出口)周縁部に設けられている。
【0045】
バルブスペーサ22は、リードバルブ21の下面に配置されて、リードバルブ21下面と弁座面25との間に微小隙間を形成する。この微小隙間の形成は、油膜でリードバルブ21が弁座面25に貼り付く現象を防止し、リードバルブ21のスムーズな開閉動作を得るためである。
【0046】
バルブサポート23は、リードバルブ21の上面に位置し、該リードバルブ21の開動作を規制する手段であって、リードバルブ21と同じく吐出流路R1の直進方向(シリンダ軸方向)に沿って配置される構造となっている。
【0047】
上記のように配置されたバルブサポート23の先端部23a側は、弁座面25に対して所定の角度で上方に折り曲げられている一方、同バルブサポート23の後端部23bは、リードバルブ21の後端部21bと重ねてリア側サイドブロック6に取り付け固定されている。
【0048】
本実施形態の気体圧縮機にあっては、上記2つのシリンダ室14側においてそれぞれ冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出という一連の動作が行なわれるが、この動作構造との関係から、上記シリンダ吐出空間16と吐出通路18からなる吐出流路R1、並びに、リードバルブ21やバルブサポート23等からなる吐出弁機構24についても、その2つのシリンダ室14と同様に、ロータ軸7を中心として180°対向する位置にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0049】
上記リードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23という3部品をまとめて吐出流路R1内に位置決め固定する手段については各種考えられる。本実施形態では、その位置決め固定手段の具体的な構造例として、バルブガイドブロック30と固定ボルト31を用いる構造を採用している。
【0050】
すなわち、本実施形態の気体圧縮機においては、吐出流路R1の吐出室側開口端(吐出通路18の出口側開口端18a)の周縁に、その一部を切りかいてなるガイド溝32が設けられ、このガイド溝32にバルブガイドブロック30が挿入され嵌合する。この際、そのバルブガイドブロック30は3つの基準面、すなわちガイド溝32の両側面および底面に当接して所定の位置に位置決めセットされる。
【0051】
図5に示したように、バルブガイドブロック30には、その表面側に上記3部品(バルブスペーサ22、リードバルブ21、バルブサポート23)より若干幅の広い部品装着溝33が設けられ、この部品装着溝33に上記3部品の各後端部側が重ねて組み付けセットされる。このとき、バルブスペーサ22は、3つの基準面、すなわち部品装着溝33の両側面33a、33bと底面33cに当接して所定の位置に位置決めセットされる。また、リードバルブ21とバルブサポート23は、部品装着溝33の両側面33a、33bに当接して所定の位置に位置決めセットされる。
【0052】
従って、予めバルブガイドブロック30の部品装着溝33にバルブスペーサ22、リードバルブ21、バルブサポート23をその順に組付けた後、この組付け構造体34のバルブガイドブロック30側をガイド溝32に挿入すれば、そのバルブガイドブロック30とガイド溝32とにより組付け構造体34中のリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23が吐出流路R1内の定位置に位置決めされる。
【0053】
上記のように位置決めされたリードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23は、図4のように上記固定ボルト31を用いてリア側サイドブロック6側に取り付け固定される。
【0054】
すなわち、本実施形態の気体圧縮機においては、リア側サイドブロック6の周面に、吐出通路18に向かって穿設されたネジ溝付のボルト挿通孔35が設けられるとともに、そのボルト挿通孔35直下の吐出流路R1底面に固定ボルト31用のネジ孔36が設けられる構造を採る。
【0055】
そして、上記ボルト挿通孔35から吐出流路R1側に固定ボルト31が挿入され、このように挿入された固定ボルト31の先端部がリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23を貫通して吐出流路R1底面のネジ孔36に係合することにより、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23が一緒にリア側サイドブロック6側に当該固定ボルト31で締め付け固定される。この締付け固定後に、ネジ溝付のボルト挿通孔35は密閉ネジ37で密閉される。
【0056】
シリンダ4、フロント側サイドブロック5、リア側サイドブロック6の3部品を一体化する構造について各種考えられる。本実施形態では、その一体化構造の一例として、上記3部品を貫くBB・CY固定ボルト38‐1〜38‐6を6つ用意し(図3参照)、これらのBB・CY固定ボルト38‐1〜38‐6で上記3部品をまとめて一緒に締め付け固定するという構造を採用している。
【0057】
上記のようなボルト一体化構造において、6つのBB・CY固定ボルト38‐1〜38‐6はいずれもシリンダ4周方向に所定の間隔で配置されるが、そのうち、2つのBB・CY固定ボルト38‐1、38‐2は、一方のシリンダ吐出空間16(16‐1)を挟んでその左右両側近傍に配置され、また、他の2つのBB・CY固定ボルト38‐4、38‐5は、他方のシリンダ吐出空間16(16‐1)を挟んでその左右両側近傍に配置される。
【0058】
シリンダ吐出空間16の両側近傍に位置する2つのBB・CY固定ボルト38‐1、38‐2のシリンダ周方向配置角度が小さいほど、そのシリンダ吐出空間16付近のシリンダ剛性は高くなる。これは、そのボルト締付け力がシリンダ吐出空間16の両側に効果的に作用するためである。
【0059】
尚、残りの2つのBB・CY固定ボルト38‐3、38‐6は、2つのシリンダ吐出空間16‐1、16‐2をシリンダ周方向に結ぶ円弧線分の略中間に配置される構造となっている。
【0060】
本実施形態の気体圧縮機では、上述の通り、孔構造からなるシリンダ吐出空間16の採用により、シリンダ吐出空間16の外側に、シリンダ4の肉厚部からなる補強リブ4‐2が形成される構造を採っているため、シリンダ吐出空間16付近におけるシリンダ剛性は高められている。これに加えて、さらに、本実施形態の気体圧縮機では、上記のようにリードバルブ21をシリンダ軸方向に沿って設置することにより、シリンダ吐出空間16のシリンダ周方向幅を極力狭くする構造を採っている。このため、シリンダ吐出空間16の両側近傍を貫通しシリンダ4、フロント側サイドブロック5、リア側サイドブロック6を一体化している固定ボルト、すなわちBB・CY固定ボルト38‐1、38‐2及び38‐4、38‐5のシリンダ周方向配置角度が小さく設けられるから、シリンダ吐出空間16付近でシリンダ4とサイドブロック5、6が堅固に一体化され、シリンダ吐出空間16付近におけるシリンダ剛性がより一層高められている。従って、そのシリンダ吐出空間16側に開口しているシリンダ吐出孔20周辺で膜振動やそれによる騒音の発生を効果的に防止することができ、また内部リークの発生も効果的に防止でき、体積効率がよく、性能の向上を図れるという利点がある。
【0061】
ここで、内部リークについてさらに詳細に説明する。本実施形態の気体圧縮機では、シリンダ楕円短径部4‐1付近で高圧部と低圧部が隣接している。シリンダ楕円短径部4‐1付近においてシリンダ吐出孔20から高圧冷媒ガスを吐出する直前の圧縮室15(15‐1)は略最小の容積であって、圧力が最大の高圧部となる。一方、シリンダ楕円短径部4‐1付近においてシリンダ吐出孔20から高圧冷媒ガスを吐出した後の圧縮室15(15‐2)も小容積であるが、この圧縮室15(15‐2)は高圧冷媒ガスを吐出した後であるので圧力が低く、低圧部となる。さらに、高圧冷媒ガスの吐出により低圧化した圧縮室15(15‐2)には新たに低圧の吸入室39側から低圧冷媒ガスが導入されるが、その導入に必要な低圧の吸入口もシリンダ楕円短径部4‐1付近に開口している。これらのことから、シリンダ楕円短径部4‐1付近におけるシリンダ剛性が低いと、シリンダ4とフロント側サイドブロック5やリア側サイドブロック6との間の微小隙間を経て高圧のシリンダ室14側から低圧側へ高圧冷媒ガスがリークするという、いわゆる内部リークが発生する。
【0062】
そして、上記のような内部リークを効果的に防止するために、本実施形態の気体圧縮機では、シリンダ楕円短径部4‐1付近におけるシリンダ剛性を極力高める手段として、上記のようなBB・CY固定ボルト38‐1〜38‐6のシリンダ周方向配置構造や、シリンダ吐出空間16を孔構造とする構成が採用されている。
【0063】
尚、上記吸入室39は、フロント側サイドブロック5とフロントヘッド3の内面との間に設けられ、かつ、フロントヘッド3の吸入ポート3‐1を介し図示しないエアコンシステムの低圧部側に接続されており、その低圧部側から吸入ポート3‐1を介して吸入室39内に低圧の冷媒ガスが導入される。
【0064】
次に、上記の如く構成された本実施形態の気体圧縮機の動作について図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0065】
本実施形態の気体圧縮機にあっては、図1に示したように、例えばエンジンやモータ等の回転力がフロントヘッド3側の電磁クラッチ40を介してロータ軸7に伝達され、これによりロータ軸7と一体にロータ8が図中矢印イの方向へ回転する。
【0066】
ロータ8が回転すると、このロータ8の回転角度に応じて図3に示す圧縮室15の容積が大小変化し、この容積変化により冷媒ガスの吸入、圧縮、吐出という一連の動作が行なわれる。
【0067】
すなわち、圧縮室15の容積変化が生じると、その容積増加の過程にある圧縮室15が吸入室39内の低圧冷媒ガスを吸入する。この吸入動作はフロント側サイドブロック5内面の吸入口(図示省略)や、シリンダ4の吸入通路(図示省略)とリア側サイドブロック6内面の吸入口(図示省略)を介してシリンダ4の両端側から行なわれる。
【0068】
上記の如く冷媒ガスを吸入した圧縮室15の容積が減少し始めると、その容積減少効果によりその圧縮室15内の冷媒ガスが圧縮される。これにより、圧縮室15内の冷媒ガスは高圧となり、この高圧冷媒ガスの圧力がシリンダ4の内壁に作用し、シリンダ4に引っ張り応力が生じる。このとき、断面積が他の部位よりも小さいシリンダ吐出孔20付近に応力が集中するが、本実施形態の場合、そのシリンダ吐出孔20を含むシリンダ吐出空間16付近のシリンダ剛性が高められているから、シリンダ吐出孔20を起点とするシリンダの断裂やシリンダ吐出孔20付近でのシリンダ4の弾性変形が生じることはない。
【0069】
その後、シリンダ楕円短径部4‐1付近で圧縮室15の容積が最小付近に近づく。この略最小容積となった圧縮室15(15‐1)内の高圧冷媒ガス圧は、シリンダ吐出空間16内の圧力とリードバルブ21のバネ力との総合力より大となる。
【0070】
そして、上記のような総合力より大きい圧縮室15(15‐1)内の高圧冷媒ガス圧がシリンダ吐出孔20を介しリードバルブ21に作用し(図4参照)、これにより、リードバルブ21の先端部21a(リフト端)が弁座面25の上方に持ち上がる。
【0071】
その際、リードバルブ21の付け根である後端部21b(固定端)付近に大きな曲げ応力が集中し、また、リードバルブ後端部21bを固定している固定ボルト31のネジ孔36にも大きな多大な応力が掛かるが、これらのことではリードバルブ21の破損や固定ボルト31の緩みは生じない。
【0072】
すなわち、本実施形態の気体圧縮機においては、小吐出容量化を図るため、シリンダ4の軸方向幅を小さく構成しているが、これと同時に、リードバルブ21の後端部21b(固定端)側がリア側サイドブロック6に取り付け固定される構造も採用した。これにより、▲1▼シリンダ軸方向幅の制限を受けることなく、リードバルブ21の固定端(後端部21b)側に十分な幅を設けること、▲2▼必要十分な大きさの固定ボルト31を用いて十分な押付け力でリードバルブ21を固定すること、▲3▼固定ボルト31用のネジ孔36周辺にも必要十分な肉厚を確保することが可能となり、このことから固定端側の幅が広いリードバルブ21を大きな固定ボルトでリア側サイドブロックに強く締め付け固定するという構造を採っている。従って、リードバルブ21の機械的強度は高く、リードバルブ21の固定端(後端部21b)や固定ボルト31用のネジ孔36が応力で破損するとか、固定ボルト31に緩みが生じるという不具合が生じることはない。
【0073】
上記のようにリードバルブ21の先端部21a(リフト端)が弁座面25の上方に持ち上がると、シリンダ吐出孔20が開となり、圧縮室15(15‐1)内の高圧冷媒ガスがシリンダ吐出孔20からリードバルブ21を介してシリンダ吐出空間16側へ流出する。
【0074】
シリンダ吐出空間16に流出した高圧冷媒ガスは、次にリア側サイドブロック6の吐出通路18を通って図1に示す吐出室19側へ吐出する。
【0075】
尚、吐出室19側に連通している吐出通路18の出口側開口端18aには油分離器41が設けられ、吐出通路18を通って吐出室19側へ吐出する高圧冷媒ガスはこの油分離器41の油分離フィルタ42を通過する。その際、油分離フィルタ42で高圧冷媒ガス中のオイル成分が分離される。この分離オイル成分は、油滴となって吐出室19底部の油溜り43に滴下し貯留される。油溜り43のオイルは、吐出室19内に吐出される高圧冷媒ガスの吐出圧で圧縮機構2の摺動部等へ圧送される。
【0076】
図6は、リードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23の位置決め固定手段に関する他の実施形態を示したものである。
【0077】
すなわち、図1の気体圧縮機においては、その位置決め固定手段として、固定ボルト31と密閉ネジ37を用いたが、これに代えて、図6に示すような密閉部品付き固定ボルト50を用いてもよい。
【0078】
上記密閉部品付き固定ボルト50は、通常のボルト50‐1の頭部にそれより少し大径の密閉部品50‐2を一体に設けた構造であって、その密閉部品50‐2の周面にOリング50‐3が嵌め込まれた構造となっている。
【0079】
上記構造の密閉部品付き固定ボルト50を用いた場合も、密閉部品付き固定ボルト50の先端部がリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23を貫通して吐出流路R1底面のネジ孔36に係合することにより、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23が一緒にリア側サイドブロック6側に当該密閉部品付き固定ボルト50で締め付け固定されるが、このとき同時に、密閉部品50‐2周面のOリング50‐3によりボルト挿通孔35が密閉されるから、前述した密閉ネジ37は不要である。
【0080】
従って、上記構造の密閉部品付き固定ボルト50を用いる場合は、ボルト挿通孔35に密閉ネジ37用のネジ溝を設ける必要もなく、そのネジ溝の形成加工を省略することができる点で、加工工数の削減を図れるとともに、密閉ネジ37のネジ締め作業も不要であるから、機器の組立作業性の向上も図れる。
【0081】
図7は本発明の他の実施形態である気体圧縮機における圧縮機構周辺部の断面図、図8は図7のD‐D線断面図、図9は図7のE部拡大図、図10は図9のF矢視図である。
【0082】
図1の気体圧縮機では、シリンダ吐出空間16と吐出通路18が孔の形態からなる構造を採用したが、これに代えて、この図7の気体圧縮機は、そのようなシリンダ吐出空間16と吐出通路18が溝の形態からなる構造を採用したものである。
【0083】
すなわち、図7の気体圧縮機においては、図3に示す断面長孔形状の孔17に代えて、シリンダ楕円短径部4‐1のシリンダ外周面に切り欠き溝51(図8参照)が設けられている。
【0084】
この切り欠き溝51は、シリンダ一端から他端に亘ってスリット状に切り欠き形成されるとともに、その溝両側壁51a、51bが溝底面から垂直に立ち上がる構造となっており、このような形状の切り欠き溝51の内側空間がシリンダ吐出空間16として用いられている。
【0085】
上記の如くシリンダ吐出空間16を構成する切り欠き溝51の形態として、その溝両側壁51a、51bが溝底面から垂直に立ち上がる構造を採用するものとしたのは、シリンダ吐出空間16のシリンダ周方向幅をできるだけ小さくすることにより、そのシリンダ吐出空間16の両側に配置されるBB・CY固定ボルト38‐1と38‐2または38‐4と38‐5のシリンダ周方向配置角度を小さくし、シリンダ吐出空間16付近のシリンダ剛性の向上を図るためである。
【0086】
また、図7の気体圧縮機にあっても、シリンダ吐出空間16はリア側サイドブロック6の吐出通路18を介して吐出室19に連通しているが、その吐出通路18は切り欠き溝52と孔53を複合した形状となっている。
【0087】
ここで、上記吐出通路18を形成する切り欠き溝52は、吐出通路18の大部分を占め、シリンダ4の切り欠き溝51側に連通し、かつ、該シリンダ4の切り欠き溝51をそのままリア側サイドブロック6に延長形成してなる溝構造となっている。また、上記吐出通路18を形成する孔53については、吐出室19と連通する側に位置し、かつ、断面長孔形状の孔構造となっている。そして、上記のような切り欠き溝52と孔53の複合形状からなる吐出通路18もまた、シリンダ吐出空間16から吐出室19側へ向かってストレートに抜けるように構成されている。
【0088】
従って、この図7の気体圧縮機においては、上記のような溝状のシリンダ吐出空間16とその大部分が溝状の吐出通路18とにより、シリンダ軸方向に沿ってシリンダ4からリア側サイドブロック6に亘る一連のストレートな溝状の吐出流路R1が形成され、この溝状の吐出流路R1内の底面にリードバルブ21等が設置される。その際、吐出流路R1が溝状であるため、この吐出流路R1の真上から直接吐出流路R1底面にリードバルブ21等をセットし組み付けることができる等、そのリードバルブ21等の組み付け作業性がよい。また、吐出流路R1の底面側に設けられる弁座面25やリードバルブ取り付け面54等の加工も容易に行なうことができる。
【0089】
図11は吐出弁機構の他の構造例を示した断面図、図12は図11のG矢視図である。
【0090】
図1の気体圧縮機における吐出弁機構24では、図4のように吐出流路R1を構成する吐出通路18の底面に固定ボルト31用のネジ孔36を設け、このネジ孔36と固定ボルト31でリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23という3部品をまとめてリア側サイドブロック6に取り付け固定するという構造を採用したが、これに代えて、図11に示すようなリードバルブ21等の取り付け固定構造を採用することもできる。
【0091】
すなわち、図11のリードバルブ等の取り付け固定構造は、▲1▼吐出流路R1の外、具体的には吐出流路R1の吐出室側開口端(吐出通路18の出口側開口端18a)周縁のリア側サイドブロック6外表面に、固定ボルト31用のネジ孔36を設ける構造と、▲2▼リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23の後端部側をL字状に屈曲形成し、この後端屈曲部21‐1、22‐1、23‐1側が上記固定ボルト31とネジ孔36でリア側サイドブロック6外表面に締付け固定される構造を採用している。
【0092】
また、この図11の取り付け固定構造においては、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23を吐出流路R1の定位置に位置決めする手段として、上記のようなリア側サイドブロック6外表面のネジ孔36と重なる位置にガイド溝32が設けられている。
【0093】
そして、上記ガイド溝32にリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23の後端屈曲部21‐1、22‐1、23‐1が直接嵌合することにより、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23が吐出流路R1の定位置に位置決めされる。
【0094】
この図11の取り付け固定構造によると、固定ボルト31の頭部がリア側サイドブロック6外表面側にあって、吐出流路R1内に固定ボルト31の頭部が突出しないので、吐出流路R1内における高圧冷媒ガスの流れがよくなる。また、図4に示すバルブガイドブロック30を用いなくても、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23の後端屈曲部21‐1、22‐1、23‐1をガイド溝32に直接嵌合させるだけで、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23を吐出流路R1の定位置に位置決めできるから、リードバルブ21等の組み付け性もよい等の利点がある。
【0095】
図13は吐出弁機構の他の構造例を示した断面図、図14は図13のH矢視図である。
【0096】
すなわち、図11に示す吐出弁機構24では「L」字状に屈曲したリードバルブ21等を用いたが、これに代えて、この図13の吐出弁機構24は、「へ」の字状に屈曲形成したリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23を採用したものである。このようなリードバルブ21等の形態に合わせて、図13の吐出弁機構24では、そのガイド溝32がリードバルブ21等と同様な屈曲角度で吐出流路R1の底面から屈曲する構造となっている。
【0097】
この図13のように「へ」の字状のリードバルブ21を採用した吐出弁機構24によると、リードバルブ21の寿命が増す点で、気体圧縮機の耐久性の向上を図れるという利点がある。すなわち、一般に、リードバルブ21はその構成材質上硬く、L字のような90°の曲げ加工には適さない。また、そのようにリードバルブ21を90°に曲げることが可能であるとしても、その折り曲げ部の応力が大となり、折り曲げ部を起点にリードバルブが破損しやすいが、この図13のような「へ」の字状のリードバルブ21は、小さな折り曲げ角度で折り曲げれば足りるから、折り曲げ部の曲げ応力が小さく、折り曲げ部を起点とするリードバルブ21の破損を効果的に防止することが可能となり、リードバルブ21が長期使用に十分耐えうるからである。
【0098】
図15は本発明の他の実施形態である気体圧縮機における圧縮機構周辺部の断面図、図16は図15のJ‐J線断面図である。
【0099】
図1の気体圧縮機では、リードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23をリア側サイドブロック6に固定する構造を採用したが、これに代えて、この図15の気体圧縮機は、リードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23をフロント側サイドブロック5に固定する構造を採用したものである。
【0100】
上記の如くリードバルブ21等をフロント側サイドブロック5に固定する構造例として、この図15の気体圧縮機においては、シリンダ4のフロント側4F端面と対向するフロント側サイドブロック5のシリンダ取り付け面に、シリンダ吐出空間16と連続的に繋がるバルブ取り付け孔55を穿孔形成し、かつ、このバルブ取り付け孔55内にリードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23の後端部側をまとめて一緒に挿入セットして固定ボルト31で締め付け固定するという構造を採用している。
【0101】
ここで、上記の如くリードバルブ21、バルブスペーサ22およびバルブサポート23をフロント側サイドブロック5に締付け固定する固定ボルト31は、フロント側サイドブロック5周面のボルト挿通孔35からバルブ取り付け孔55側へ挿入される。
【0102】
すなわち、この図15の気体圧縮機においては、フロント側サイドブロック5周面に、バルブ取り付け孔55内に向かって穿設されたネジ溝付のボルト挿通孔35が設けられるとともに、そのボルト挿通孔35直下のバルブ取り付け孔55底面に固定ボルト31用のネジ孔36が設けられる構造を採用している。
【0103】
そして、上記フロント側サイドブロック5周面のボルト挿通孔35からバルブ取り付け孔55側に固定ボルト31が挿入され、この挿入された固定ボルト31の先端部がリードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23を貫通してバルブ取り付け孔55底面のネジ孔36に係合し、これにより、リードバルブ21、バルブスペーサ22、バルブサポート23が一緒にフロント側サイドブロック5に当該固定ボルト31で締め付け固定される。この締付け固定後に、ネジ溝付のボルト挿通孔35は密閉ネジ37で密閉される。
【0104】
例えば、図1の気体圧縮機における吐出弁機構24(図4参照)のようにリア側サイドブロック6にリードバルブ21やバルブサポート23を固定する構造では、そのリア側サイドブロック6が吐出流路R1の下流側に位置する構造上、リードバルブ21やバルブサポート23全体が吐出流路R1内に配置され、リードバルブ21やバルブサポート23自身が吐出流路R1内における高圧冷媒ガス流の吐出抵抗となりうる。
【0105】
一方、この図15の気体圧縮機における吐出弁機構24のようにフロント側サイドブロック5にリードバルブ21やバルブサポート23を固定する構造の場合は、そのリードバルブ21やバルブサポート23の大部分がフロント側サイドブロック5のバルブ取り付け孔55内に収容され、吐出流路R1内における高圧冷媒ガス流を遮らない位置にリードバルブ21やバルブサポート23が配置されるから、高圧冷媒ガスの吐出抵抗の低減を図ることができるという利点がある。
【0106】
【発明の効果】
本発明にあっては、リードバルブの後端部側がサイドブロックに取り付け固定される構造を採用した。このため、この種の気体圧縮機の小吐出容量化を図る上で、シリンダの軸方向幅を小さくした場合でも、そのシリンダ軸方向幅の制限を受けることなく、リードバルブの固定端側に十分な幅を設けることができる。また、リードバルブを固定ボルトでサイドブロックに取り付け固定するものとした場合に、必要十分な大きさの固定ボルトを用いて十分な押付け力でリードバルブを固定することが可能となる。さらに、そのような固定ボルト用のネジ孔周辺にも必要十分な肉厚を確保することができること等から、リードバルブの機械的強度が向上し、リードバルブの固定端や固定ボルトのネジ孔の破損を効果的に防止することができ、耐久性に優れた小吐出容量のベーンロータリー型気体圧縮機を提供できる。
【0107】
また、本発明によると、シリンダ吐出空間側に設けられるリードバルブをシリンダ軸方向に沿って設置する構造を採用した。このため、リードバルブの長さに相当する幅の広いシリンダ吐出空間をシリンダ周方向に設ける必要がなく、シリンダ吐出空間のシリンダ周方向幅はリードバルブの幅より少し広ければ足り、シリンダ吐出空間のシリンダ周方向幅を狭く構成することができる。従って、シリンダ吐出空間の両側近傍を貫通する固定ボルトでシリンダとサイドブロックを一体化する構造を採用した場合に、その2つの固定ボルトのシリンダ周方向配置角度が小さくなる。これにより、シリンダ吐出空間付近でシリンダとサイドブロックが堅固に一体化され、シリンダ吐出空間付近におけるシリンダ剛性が高まることから、シリンダ吐出空間側に開口しているシリンダ吐出孔周辺で従来生じていた膜振動やそれによる騒音の発生を効果的に防止でき、またシリンダとサイドブロックとの間の微小隙間を通じて高圧のシリンダ室側から低圧側へ高圧冷媒ガスがリークするという、いわゆる内部リークの発生も効果的に防止でき、体積効率がよく性能の高い小吐出容量のベーンロータリー型気体圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である気体圧縮機全体の構成断面図。
【図2】図1の気体圧縮機における圧縮機構周辺部の断面図。
【図3】図2のA‐A線断面図。
【図4】図2のB部拡大図。
【図5】図4のC矢視図。
【図6】リードバルブ、バルブスペーサ、バルブサポートの位置決め固定手段に関する他の実施形態の説明用断面図。
【図7】本発明の他の実施形態である気体圧縮機における圧縮機構周辺部の断面図。
【図8】図7のD‐D線断面図。
【図9】図7のE部拡大図。
【図10】図9のF矢視図。
【図11】吐出弁機構の他の構造例を示した断面図。
【図12】図11のG矢視図。
【図13】吐出弁機構の他の構造例を示した断面図。
【図14】図13のH矢視図。
【図15】本発明の他の実施形態である気体圧縮機における圧縮機構周辺部の断面図。
【図16】図15のJ‐J線断面図。
【図17】従来のベーンロータリー型気体圧縮機の断面図。
【符号の説明】
1 コンプレッサケース
1‐1 吐出ポート
2 圧縮機構
3 フロントヘッド
3‐1 吸入ポート
4 シリンダ
4F シリンダのフロント側
4R シリンダのリア側
4‐1 シリンダ楕円短径部
4‐2 補強リブ
5 サイドブロック(フロント側サイドブロック)
6 サイドブロック(リア側サイドブロック)
7 ロータ軸
8 ロータ
9、10 軸受
11 ベーン溝
12 ベーン
14 シリンダ室
15 圧縮室
16 シリンダ吐出空間
17 孔
18 吐出通路
19 吐出室
20 シリンダ吐出孔
20a シリンダ吐出孔の一端(ガス流入口)
20b シリンダ吐出孔の他端(ガス流出口)
21 リードバルブ
21a リードバルブの先端部(リフト端)
21b リードバルブの後端部(固定端)
22 バルブスペーサ
23 バルブサポート
23a バルブサポートの先端部
23b バルブサポートの後端部
24 吐出弁機構
25 弁座面
30 バルブガイドブロック
31 固定ボルト
32 ガイド溝
33 部品装着溝
34 組付け構造体
35 ボルト挿通孔
36 ネジ孔
37 密閉ネジ
38‐1〜38‐6 BB・CY固定ボルト
39 吸入室
40 電磁クラッチ
41 油分離器
42 油分離フィルタ
43 油溜り
50 密閉部品付き固定ボルト
50‐1 ボルト
50‐2 密閉部品
50‐3 Oリング
51 切り欠き溝
51a、51b 切り欠き溝の両側壁
52 切り欠き溝
53 孔
54 リードバルブ取り付け面
55 バルブ取り付け孔
60 切り欠き部
R1 吐出流路

Claims (10)

  1. シリンダと、
    上記シリンダ内に回転可能に収容されたロータと、
    上記ロータの外周面から上記シリンダの内周面に向かって出没可能に設けられるとともに、上記シリンダと上記ロータの間の隙間空間からなるシリンダ室を複数の小室に仕切るベーンと、
    上記ベーンにより仕切られた複数の小室からなるとともに、上記ロータの回転により容積の大小変化を繰り返し、この容積変化により冷媒ガスを圧縮する構造の圧縮室と、
    上記圧縮室の外側に設けたシリンダ吐出空間と、
    上記圧縮室側に一端を開口し、上記シリンダ吐出空間側に他端を開口してなるとともに、上記圧縮室で圧縮された冷媒ガスを上記シリンダ吐出空間側へ導くシリンダ吐出孔と、
    上記シリンダ吐出空間側に配置され、上記シリンダ吐出孔を開閉するリードバルブとを有し、
    上記リードバルブは、上記シリンダ軸方向に沿って設置されるとともに、その先端部側が上記シリンダ吐出孔のガス流出口と対向し、その後端部側が上記シリンダの端部を塞いでいるサイドブロックに取り付け固定されてなること
    を特徴とする気体圧縮機。
  2. 上記シリンダ吐出空間は、上記シリンダの肉厚部に穿設された孔の内側空間からなること
    を特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 上記シリンダ吐出空間を形成する孔は、断面長孔形状であること
    を特徴とする請求項2に記載の気体圧縮機。
  4. 上記シリンダ吐出空間は、上記シリンダの外周面を一部切り欠いてなる切り欠き溝の内側空間からなること
    を特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  5. 上記シリンダ吐出空間を形成する切り欠き溝は、シリンダ一端から他端に亘ってスリット状に切り欠き形成されるとともに、その両溝側壁が溝底面から垂直に立ち上がる構造となっていること
    を特徴とする請求項4に記載の気体圧縮機。
  6. 上記シリンダ吐出空間と上記サイドブロックに穿設された吐出通路とが一連のストレートな高圧冷媒ガスの吐出流路を形成していること
    を特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  7. 上記請求項1に記載の気体圧縮機は、さらに、上記リードバルブの上面に配置されるバルブサポートと、上記リードバルブの下面側に配置されるバルブスペーサと、上記シリンダ吐出空間と上記サイドブロックに穿設された吐出通路とにより形成される高圧冷媒ガスの吐出流路と、上記吐出流路の底面に、上記リードバルブ、バルブサポート、バルブスペーサを重ねて一緒に固定する固定手段とを具備することを特徴とする気体圧縮機。
  8. 上記固定手段は、
    上記サイドブロックの上記吐出通路の底面に固定ボルト用のネジ孔を設けるとともに、このネジ孔と固定ボルトで上記リードバルブ、バルブスペーサ、バルブサポートをまとめて上記サイドブロック側に取り付け固定する構造であること
    を特徴とする請求項7に記載の気体圧縮機。
  9. 上記固定手段は、
    上記サイドブロックの外表面に固定ボルト用のネジ孔を設けるとともに、このネジ孔と固定ボルトで上記リードバルブ、バルブスペーサ、バルブサポートをまとめて上記サイドブロック側に取り付け固定する構造であること
    を特徴とする請求項7に記載の気体圧縮機。
  10. 上記請求項1に記載の気体圧縮機は、上記シリンダの両端に上記サイドブロックが設けられるとともに、上記シリンダ吐出空間を挟んでその左右両側近傍に配置されてなる固定ボルトで、上記シリンダとその両端のサイドブロックとが一緒に締め付け固定される構造であることを特徴とする気体圧縮機。
JP2003091540A 2003-03-28 2003-03-28 気体圧縮機 Expired - Fee Related JP3814259B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003091540A JP3814259B2 (ja) 2003-03-28 2003-03-28 気体圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003091540A JP3814259B2 (ja) 2003-03-28 2003-03-28 気体圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004300937A JP2004300937A (ja) 2004-10-28
JP3814259B2 true JP3814259B2 (ja) 2006-08-23

Family

ID=33404886

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003091540A Expired - Fee Related JP3814259B2 (ja) 2003-03-28 2003-03-28 気体圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3814259B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4489514B2 (ja) 2004-06-25 2010-06-23 カルソニックカンセイ株式会社 気体圧縮機
CN100549424C (zh) 2005-05-17 2009-10-14 大金工业株式会社 旋转式压缩机
JP6428200B2 (ja) * 2014-11-28 2018-11-28 株式会社豊田自動織機 電動圧縮機

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004300937A (ja) 2004-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20010111535A (ko) 소음기
JP3840578B2 (ja) 圧縮機
JP3814259B2 (ja) 気体圧縮機
US20050002803A1 (en) Hermetic compressor
KR102238358B1 (ko) 로터리 압축기
JP6127722B2 (ja) 回転式圧縮機
JP3832468B2 (ja) 圧縮機
JP6257806B2 (ja) 多気筒密閉型圧縮機
JP2008163874A (ja) ロータリー圧縮機
KR20190134054A (ko) 스크롤 압축기
KR100556970B1 (ko) 회전식 트윈압축기의 토출장치
JP3972548B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP5781355B2 (ja) 密閉型ロータリ圧縮機
CN110520625B (zh) 密闭型压缩机以及制冷循环装置
WO2008056533A1 (fr) Compresseur à piston
US7563081B2 (en) Gas compressor
US4505656A (en) Vane compressor, particularly a cooling medium compressor for use in air-conditioning equipment of a vehicle
KR102324772B1 (ko) 압축기
JP7488993B2 (ja) スクロール型圧縮機
US10612548B2 (en) Refrigerant path holes in a rotary compressor
CN116838611A (zh) 高压壳体组件、电动压缩机、空调系统和车辆
JPH09317671A (ja) 気体圧縮機
CN117386612A (zh) 压缩组件和具有其的压缩机
CN116838571A (zh) 电动压缩机、空调系统和车辆
CN116838570A (zh) 电动压缩机、空调系统和车辆

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060512

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060602

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100609

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees