JP3814010B2 - たばこフィルターの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たばこフィルターを効率よく製造する上で有用な方法、特に、喫煙後に環境中に廃棄されたとしても、雨水などにより容易に崩壊又は分散するたばこフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たばこ煙中のタール類を除去し、喫味を損わないため、セルロースエステルの繊維束で構成されたたばこフィルターが広く使用されている。このようなたばこフィルターでは、フィルタープラグの形状を維持し、かつフィルタープラグからフィルターチップを切断するために必要な硬度を得るため、バインダーとして可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、クエン酸トリエチルエステルなど)が使用されている。
前記可塑剤を用いて成形したフィルタープラグは、可塑剤により繊維同志が部分的に融着している。すなわち、可塑剤は、セルロースエステル繊維の接触部位で、相互にランダムに結合するバインダーとしての機能を有する。そのため、使用後に廃棄すると、環境中で形状が崩壊するまでに長時間を要し、美観を損なうだけでなく、環境汚染の一因となる。
【0003】
一方、クレープ状に加工した木材パルプを原料とした紙製のたばこフィルターや再生セルロース繊維束からなるたばこフィルターも知られている。これらのフィルターは、セルロースエステルの繊維束からなるフィルターと比較して、湿潤時の崩壊性が若干高く、環境汚染を或る程度軽減できる。しかし、たばこの喫味が劣ると共に、フィルターとして必要なフェノール類の選択除去性がセルロースエステルに比べて極端に低く、しかも、同じ圧力損失においてフィルター硬度がセルロースエステルに比して低い。
【0004】
特開昭56−24151号公報には、酢酸セルロース繊維と、これらの繊維を交点で熱融着させるための熱融着性繊維とを含むフィルターが開示されている。熱融着性繊維としては、フィブリル化したポリオレフィン繊維などが使用され、その使用量は、酢酸セルロース繊維に対して25〜50重量%である。特開平5−71058号公報には、融点が異なる合成繊維を混合した繊維束をマイクロ波加熱処理することにより中心部から加熱し、その後、熱風加熱により外周部を加熱することにより、繊維同士を部分的に熱融着し、繊維成形物を製造する方法が開示されている。このような方法では、繊維の加熱溶融効率が低いため、高い効率でたばこフィルターを製造することが困難である。しかも、熱融着繊維により、酢酸セルロース繊維などの繊維同士が多数の交点で三次元的に接合するため、フィルターは、水中で実質的に崩壊性を示さない。
【0005】
特公昭44−27719号公報には、ビスコースレーヨン繊維と、これらの繊維を交点で熱融着させるための熱可塑性高分子微粉末とを含むフィルターが開示されている。熱可塑性高分子微粉末としては、ポリ酢酸ビニルやポリエチレン粉末などが使用されている。この方法でも熱可塑性高分子微粉末を通常の加熱により溶融しているため、フィルターの生産効率を高めることが困難である。また、このようなフィルターは、熱可塑性高分子微粉末自体が水溶性を有していないため、水中で実質的に崩壊性を示さない。
【0006】
一方、フィルターロッドは、セルロースエステル繊維のトウを、巻紙を用いて、高速、例えば、400m/分程度の高速で包み込んで巻上げることにより製造される。そのため、フィルターロッドの製造には、トウを高速で円滑に巻上げるための高速作業適性が求められる。
また、フィルタープラグ内で前記熱溶融性高分子の加熱処理方法については、フィルター内の硬度などの物性を均一にするため、フィルタープラグ全体を同時に加熱することが望ましく、さらにフィルター物性に影響を与えないようにできるだけ短時間で行なうことが好ましい。
【0007】
特開昭56−118940号公報には、水を吸着又は付着したセルロース系繊維を棒状体に形成する過程又は成形後に、マイクロ波を照射して糸条間を接着させることにより、繊維質棒状体を製造する方法が開示されている。また、特開昭56−118941号公報には、熱水蒸気処理した繊維質棒状体をマイクロ波加熱処理することにより、形態安定性の高い繊維質棒状体を製造する方法が開示されている。しかし、これらの方法では、セルロース繊維に水を付着させるので、セルロースエステル繊維束の機械的強度及び硬度が著しく低下し、トウを巻紙で高速で巻き上げることが困難であると共に、フィルターチップへの切断性が大きく損なわれる。また、得られた棒状体は、セルロース系繊維が互いに熱融着するため、フィルターの水中での崩壊性又は分散性が劣る。
【0008】
特開昭56−118939号公報には、セルロース系繊維質の相互接着を行ない得る物質を付着させたセルロース系繊維質をラッパーシート(巻紙)に包み込んで棒状体に成形し、マイクロ波処理することにより、形態安定性良好なフィルターを製造する方法が開示されている。前記物質として、グリセリントリアセテート(トリアセチン)などの外、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコールなどが例示されている。この方法は、繊維充填量を増加させたフィルターにおいて、形態安定性の付与に要する時間を短縮できる。しかし、ポリビニルアルコールなどの接着性物質は水溶液として使用されるため、フィルターロッドを高速で製造することが困難であると共に、フィルターロッドをフィルターチップへ効率よく切断性することが困難となる。
【0009】
特開平7−75542号公報には、セルロースエステル繊維束の相互接着を行い得る水溶性高分子を付着させたセルロースエステル繊維束を巻紙で巻き上げ、加熱処理することにより、水分散性の優れたたばこフィルターを製造する方法が開示されている。また、特開平6−319512号公報には、セルロース系素材に特定のポリビニルアルコール系樹脂を添加し、巻紙で巻き上げ、加熱することにより水崩壊性の高いたばこフィルターを製造する方法が開示されている。
しかし、これらの方法では、添加した高分子を溶融するために高温で加熱する必要があり、巻紙の糊付け部分の剥離現象が生じたり、濾過素材に悪影響を及ぼし、喫味を損なう虞がある。また、巻紙の糊付け部分の剥離を抑制するため加熱条件を緩和すると、水溶性高分子が溶融せず、バインダーとしての機能発現効率が減少する虞がある。さらに、これらの状況から、十分なフィルター硬度を発現させるためには、水溶性高分子の添加量を増加させる必要があるため、たばこに接続して使用すると、喫味に悪影響を及ぼす虞がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ホットメルト接着性を有する水溶性高分子を用いても、セルロースエステル繊維のトウを高速でかつ円滑に巻上げることができ、たばこフィルターの生産性を高めることができる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、温和な条件で熱処理しても水溶性高分子によりセルロースエステル繊維を有効に接着でき、たばこの喫味を損うことのないたばこフィルターの製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、湿潤時の崩壊性に優れ、雨水などの水によって、容易に崩壊又は分散し、喫煙後に廃棄されても、環境の美観を損ねることがなく環境汚染を軽減できるたばこフィルターの製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、適度な通気性及び硬度を有するたばこフィルターの製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、たばこフィルターの物性の均一性を高めることができる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、ホットメルト接着性を有する粉粒状の熱可塑性水溶性高分子をバインダーとして添加し、繊維を集束した後、高湿度雰囲気下で加熱処理すると、セルロースエステル繊維のトウを高速で巻き上げることができるとともに、水溶性高分子の融点未満であっても、湿潤により接着性が発現した粉粒中の水溶性高分子によりセルロースエステル繊維を有効に接着でき、得られるたばこフィルターが、喫味を損なわないこと、適度なフィルター硬度を発現するとともに、雨水などの水との接触により自然環境下で速やかに崩壊することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法は、セルロースエステル繊維のトウに、ホットメルト接着性を有する粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を添加する添加工程、熱可塑性水溶性高分子を含むトウを巻紙により巻いて(包み込んで)フィルターロッドに成形する成形工程、この成形工程又は成形工程の後、前記フィルターロッドを高湿度雰囲気下で加熱処理する熱処理工程、および熱処理工程の後、前記フィルターロッドを冷却する冷却工程とを含む工程により、たばこフィルターを製造する方法であって、前記熱処理工程において、相対湿度50〜100%RHで、かつ水溶性高分子の融点未満の加熱温度でフィルターロッドを加熱処理するたばこフィルターの製造方法である。このような方法では、熱可塑性水溶性高分子が粉粒状であり、しかも加熱溶融工程において高湿度雰囲気(加湿)下での加熱方式を採用するので、高速であっても円滑にフィルターを製造でき生産性を高めることができるだけでなく、均一な点接着により繊維を接合できる。また、粉粒状の水溶性高分子を用いるので、水による崩壊性又は分散性を損うこともない。
【0012】
この方法において、粉粒状の熱可塑性水溶性高分子の平均粒子径は、10〜500μm程度であってもよく、粉粒状の水溶性高分子の添加量は、セルロースエステル繊維のトウ100重量部に対して0.5〜50重量部程度であってもよい。粉粒状の熱可塑性水溶性高分子は、開繊したトウに添加してもよい。熱可塑性水溶性高分子の融点は、例えば、50〜200℃程度である場合が多く、水溶性高分子は、20℃の水に対する溶解度が、少なくとも5重量%以上である場合が多い。前記熱処理工程では、水溶性高分子の融点未満の加熱温度であっても、高湿度雰囲気下で加熱処理するため、粉粒状の水溶性高分子の湿潤により接着性を発現できる。そのため、熱処理工程では、粉粒状の水溶性高分子の溶解を抑制しつつ湿潤可能な水分の存在下、水溶性高分子の融点未満の温度であって、50〜90℃の温度範囲から選択された温度で加熱処理してもよい。
なお、高分子の中には、明瞭な融点を示さず特定の温度で軟化又は流動を開始する高分子がある。本明細書において、「融点」とはそのような高分子の軟化点又は流動開始温度を含む意味に用いる。また、熱可塑性水溶性高分子を単に「水溶性高分子」と称する場合がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
前記セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどのセルロースエステル誘導体などが例示される。これらのセルロースエステルは、単独でまたは二種以上混合して使用できる。
セルロースエステルの平均重合度は、例えば10〜1000、好ましくは50〜900、さらに好ましくは200〜800程度であり、セルロースエステルの平均置換度は、例えば1〜3程度である。なお、平均置換度1〜2.15、好ましくは1.1〜2.0程度のセルロースエステルは、生分解性を高める上で有用である。
【0014】
好ましいセルロースエステルには、有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテートが含まれる。セルロースアセテートの酢化度は、43〜62%程度である場合が多いが、酢化度30〜50%程度のセルロースエステルは、生分解性にも優れている。そのため、セルロースアセテートの酢化度は30〜62%程度の範囲で適当に選択できる。
【0015】
なお、繊維束は、喫煙性、フィルターへの加工性などを損わない範囲であれば、前記セルロースエステル繊維に加えて、例えば、セルロース繊維、レーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などの他の繊維を含んでいてもよい。好ましい繊維束はセルロースエステル繊維だけで構成することができる。
前記セルロースエステル繊維は、種々の添加剤、例えば、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機微粉末;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定化剤;着色剤;油剤;歩留り向上剤などを含んでいてもよい。また、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの環境分解促進剤(生分解促進剤)、アナターゼ型酸化チタンなどの光分解促進剤などを含有させることにより、繊維の分解性を高めることができる。
また、セルロースエステル繊維は、白色度改善剤、例えば、酸化チタン、好ましくはアナターゼ型酸化チタンを含む場合が多い。酸化チタンの平均粒子径は、例えば、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μm程度である場合が多い。酸化チタンの含有量は、セルロースエステル全体に対して、0.05〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1重量%、さらに好ましくは0.2〜0.8重量%程度であり、0.4〜0.6重量%程度である場合が多い。
【0016】
セルロースエステル繊維の繊度は、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ましくは2〜8デニール程度である。セルロースエステル繊維は、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好しい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度である。繊維の捲縮度は、1インチ当り20〜50個程度である場合が多い。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、適度な通気抵抗を有し、チャンネリングが抑制されたフィルターロッドを得ることができるとともに、水溶性高分子の付着量が少なくても前記繊維を有効に接合できる。
セルロースエステル繊維の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。
セルロースエステル繊維で構成されたトウ(繊維束)は、例えば、3,000〜1,000,000本、好ましくは5,000〜100,000本程度のセルロースエステル繊維の単繊維を束ねることにより形成できる。繊維束は、3,000〜100,000本程度の連続繊維を集束して構成する場合が多い。
【0017】
ホットメルト接着性を有する熱可塑性水溶性高分子は、溶融・固化により接着力が発現する水溶性高分子であればよい。水溶性高分子は、喫味及び安全性を害さないため、毒性がなく無味無臭であるのが好ましい。また、水溶性高分子は、フィルターへの巻上操作性の点から吸湿性が小さいのが好ましく、さらに、フィルターの外観上の観点から色相が無色透明もしくは白色であるのが好ましい。
【0018】
水溶性高分子には、種々の水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニル単量体と、カルボキシル基、スルホン酸基又はそれらの塩を有する共重合性単量体との共重合体などのビニル系水溶性高分子、アクリル系水溶性高分子、ポリアルキレンオキサイド、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミドなどが含まれる。
【0019】
ポリビニルアルコールには、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの誘導体(例えば、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アクリル変性ポリビニルアルコールなど)が含まれる。ポリビニルアルコールには、共重合によりエチレン単位が導入されていてもよい。
ポリビニルエーテルには、例えば、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルプロピルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどが含まれる。
【0020】
ビニル単量体と、カルボキシル基、スルホン酸基又はそれらの塩を有する共重合性単量体との共重合体には、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルアルキルエーテル、スチレンなどのビニル単量体と、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物、エチレンスルホン酸などのα,β−エチレン性不飽和スルホン酸との共重合体又はその誘導体が含まれ、前記共重合体は、必要に応じてさらに(メタ)アクリル酸エステルなどの他の単量体との共重合体であってもよい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物が多価カルボン酸又はその酸無水物である場合には、水溶性を損わない範囲で、アルコールとの半エステル又はアルコールとのジエステルとして使用してもよい。また、前記ビニル単量体および共重合性単量体は、それぞれ、単独で又は二種以上使用して共重合体を形成してもよい。このような共重合体としては、例えば、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、ビニルアルコール−マレイン酸共重合物、ビニルアルコール−エチレンスルホン酸共重合体、ビニルアルコール−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルメチルエーテル−マレイン酸共重合体、ビニルエチルエーテル−マレイン酸共重合体、ビニルイソブチルエーテル−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−クロトン酸共重合体などが挙げられる。
【0021】
アクリル系水溶性高分子には、(メタ)アクリル酸又はその塩により水溶性が付与されたアクリル樹脂、例えば、ポリアクリル酸とその塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウムやポリアクリル酸アンモニウムなど)、ポリメタクリル酸とその塩、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、ポリアクリル酸エステル部分鹸化物、ポリアクリル酸エステル共重合体部分鹸化物、ポリアクリルアマイドなどが挙げられる。
【0022】
ポリアルキレンオキサイドには、ポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオキサイド(ポリプロピレングリコール)、エチレンオキサイド−ブロピレンオキサイド共重合体などが含まれる。なお、水溶性ポリプロピレンオキサイドは分子量1000以下である場合が多い。ポリアルキレンオキサドのヒドロキシル基は、末端封鎖剤、例えば、有機カルボン酸などで封鎖されていてもよい。なお、ホットメルト接着性を有するポリアルキレンオキサイドは、分子量3,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000程度のポリエチレンオキサイドである場合が多い。
【0023】
水溶性ポリエステルには、(1)グリコール成分として少なくともポリエチレングリコールを用いたポリエステル、(2)1分子中に3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸、又はスルホイソフタル酸などのようにスルホン酸基を有するジカルボン酸をカルボン酸成分の一部又は全部として用い、残存するカルボキシル基又はスルホン酸基をナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアやアミン類で中和したポリエステル、(3)上記(1)と(2)との組合せ、すなわち、ポリエチレングリコールと、1分子中に3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はスルホン酸基を有するジカルボン酸とを少なくとも用いて得られるポリエステルなどが含まれる。ポリエチレングリコールとしては、高い水溶性を付与するため、例えば、分子量200〜5000程度のポリエチレングリコールを用いてもよい。
【0024】
水溶性ポリアミドには、(4)ジアミン成分としてポリエチレングリコール単位を有するジアミンと、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸との反応により得られるポリアミド(特開昭60−219281号公報)、(5)第3級アミノ基を有するジアミン(例えば、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジンなど)と、ジカルボン酸との反応により得られるポリアミド(特開昭60−219281号公報)、(6)ジカルボン酸成分としてスルホイソフタル酸又はその塩を用い、スルホネート塩の基を導入したポリアミド(特公昭57−8838号公報)などが含まれる。ポリアミドの調製に際しては、ε−カプロラクタムなどのラクタム類を併用してもよい。ポリエチレングリコール単位の分子量は、高い水溶性を付与するため、200〜5000程度であってもよい。
【0025】
水による速やかな崩壊性を発揮するため、ホットメルト接着性の水溶性高分子の溶解度は、20℃の水に対して少なくとも5重量%以上、好ましくは10重量%以上(例えば、30重量%〜無限大)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、50〜無限大)程度である。カルボキシル基、スルホン酸基が導入された水溶性高分子において、酸価は、例えば、30〜300KOHmg/g程度である場合が多い。
【0026】
これらの水溶性高分子は、単独で使用できるとともに二種以上組合せて使用してもよい。ポリビニルアルコール系ホットメルト接着剤は、例えば、重合度1000以下(例えば、100〜700)、ケン化度80モル%以下(例えば20〜60モル%)のポリビニルアルコールと、平均重合度150以上の高分子量ポリエチレングリコールと、平均重合度10以下の低分子量ポリエチレングリコールとで構成してもよい(例えば、特開平5−65465号公報)。
【0027】
なお、水溶性高分子を水性溶液または水性分散液として使用すると、フィルターロッドの強度及び硬度が著しく低下し、巻紙によるトウの巻上げ操作のみならず、フィルターチップへの切断性が大きく損なわれ易い。一方、溶融・固化により接着力が発現するホットメルト接着性の高分子(水溶性ホットメルト接着剤)は無溶剤型接着剤であるため、上記のような問題は解消される。また、水溶性高分子を用いると、崩壊性の高いフィルターを得ることができる。好ましい水溶性高分子には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテルなどのビニル系高分子、ポリアルキレンオキサイド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル系高分子などが含まれる。特に、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル系高分子などが好ましい。
【0028】
前記水溶性高分子は室温で固体であり、その融点は、例えば、50〜200℃、好ましくは70〜170℃、さらに好ましくは80〜150℃程度であり、50〜150℃程度である場合が多い。水溶性高分子の融点が50℃未満では、喫煙により水溶性高分子が軟化又は溶融する虞があり、200℃を越えると、高湿度雰囲気下での加熱による溶融においても、セルロースエステル繊維が損傷する場合がある。なお、加熱溶融により接着性を有効に発現させるため、前記水溶性高分子の分解温度は200℃以上である場合が多い。また、ホットメルト接着性水溶性高分子の軟化点は、例えば、50〜200℃、好ましくは75〜150℃程度である場合が多い。
ホットメルト接着性水溶性高分子の溶融粘度は、150℃において100〜100,000cps、好ましくは150〜75,000cps、さらに好ましくは200〜50,000cps程度である。
【0029】
ホットメルト接着性の水溶性高分子は、粉粒状で使用される。粉粒状水溶性高分子の粒子径は、セルロースエステル繊維に対して接着性を有効に発現し、かつ巻上げ操作性を損わない範囲で選択でき、例えば、平均粒子径10〜500μm、好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μm程度である。平均粒子径が10μm未満では、巻上げ操作による水溶性高分子の飛散量が多く、しかも回収が困難であるため歩留りが低下するとともに、巻上げ操作性を損う場合がある。一方、平均粒子径が500μmを越えると、水溶性高分子をセルロースエステル繊維の接着に有効に利用できなくなる。
【0030】
粉粒状水溶性高分子の使用量は、水溶性高分子の種類と使用形態およびセルロースエステル繊維の特性に応じて選択でき、例えば、セルロースエステル繊維のトウ100重量部に対して0.5〜50重量部(例えば、1〜30重量部)、好ましくは1〜25重量部(例えば、5〜25重量部)、さらに好ましくは1〜20重量部程度であり、2〜20重量部(例えば、5〜20重量部、特に5〜17重量部)程度である場合が多い。粉粒状水溶性高分子の使用量が0.5重量部未満であると、セルロースエステル繊維に対するバインダーとしての効果が少なく、フィルターに要求される硬度が低下しやすく、50重量部を越えると喫味や巻き上げ作業が損われ易く、熱可塑性水溶性高分子による皺などが巻紙に生じ易くなる。
【0031】
前記熱可塑性高分子には、酸化防止剤などの安定化剤、充填剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤などの種々の添加剤が添加してもよい。
セルロースエステル繊維で構成されたトウは、気相成分の選択的除去により、たばこ喫味を向上させるための添加剤、例えば、活性炭、ゼオライトなどの吸着剤などを含んでいてもよい。
【0032】
本発明の方法は、前記セルロースエステル繊維のトウに、ホットメルト接着性を有する粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を添加する添加工程、熱可塑性水溶性高分子を含むトウを巻紙により巻いてフィルターロッドに成形する成形工程、この成形工程又は成形工程の後、前記フィルターロッドを高湿度雰囲気下で加熱処理し、熱可塑性水溶性高分子の少なくとも表面で粘性(接着性)を発現させてセルロースエステル繊維を接着する熱処理工程、および熱処理工程の後、前記フィルターロッドを冷却する冷却工程とで構成される。
このような方法において、添加工程における粉粒状の熱可塑性水溶性高分子の添加には、例えば、たばこチャコールフィルターの製造に用いられている活性炭粉末添加装置などを利用できる。
【0033】
なお、セルロースエステル繊維のトウは、粉粒状水溶性高分子の添加に先立って開繊し、粉粒状水溶性高分子の付着性や保持能を高めるのが好ましい。トウの開繊幅は、広い範囲で選択でき、例えば、幅100〜500mm、好ましくは150〜450mm程度であり、150〜400mm程度である場合が多い。トウを開繊すると、粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を全体に亘り均一に添加でき、硬度を含めてフィルター特性の均一性を高めることができる。なお、開繊工程では、セルロースエステル繊維のトウを開繊できる種々の方法、例えば、トウを複数の開繊ローラに掛渡し、トウの進行に伴なって次第に幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張(伸長)と弛緩(収縮)とを繰返して開繊する方法などが採用できる。
また、成形工程では、トウを巻紙により巻上げて(包み込んで)フィルターロッドに成形する慣用のたばこフィルター製造装置が利用できる。
【0034】
本発明の特色は、ホットメルト接着性を有する熱可塑性水溶性高分子が粉粒状である点、およびフィルターロッドに含まれる粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を高湿度雰囲気下で加熱処理する点にある。すなわち、たばこフィルターの製造に際して、通常、200〜800m/分、好ましくは300〜600m/分程度の高速で、巻紙によりトウが巻き上げられる。そのため、水溶性高分子の加熱溶融においては、生産性を低下させないだけでなく、フィルター硬度などの物性を均一にするためフィルタープラグ全体を同時にかつ均一に加熱するのが望ましい。さらに、フィルター物性や喫味に悪影響を与えないため、可能な限り温和な条件で短時間内に迅速に加熱するのが好ましい。しかし、通常の加熱方式では、高速でセルロースエステル繊維を接着させることが困難である。
【0035】
これに対して、粉粒状の水溶性高分子を高湿度雰囲気下で加熱すると、熱可塑性水溶性高分子、特に粉粒状の可塑性水溶性高分子の表面部分が溶解又は軟化・溶融するためか、温和な条件下でも粘性が発現し、水溶性高分子によりセルロースエステル繊維を有効かつ高い効率で接着できる。しかも、加熱処理系から開放系に移行させると、水分が迅速に揮散してフィルターロッド(被加熱物)が乾燥するので、水分の除去工程を特に必要としない。そのため、加熱温度が水溶性高分子の融点未満の温和な条件であってもセルロースエステル繊維を短時間内に接着させることができ、フィルター物性の均一化などの前記の要求を満足させることができる。さらに、粉粒状であることと相俟って、セルロースエステル繊維に対する水溶性高分子の接着効率が向上するため、より少ない添加量でフィルター硬度を有効に発現できる。
【0036】
前記より明らかなように、前記熱処理工程では、前記ロッドに含まれる水溶性高分子の少なくとも表面が溶解、軟化又は溶融などにより粘性(接着性)を発現すればよいが、粉粒状の形態を維持する限り、水溶性高分子全体が軟化又は溶融して粘性が発現してもよい。
熱処理工程での湿度条件は、結露及び水溶性高分子の粉粒体の溶解を抑制しつつ、水溶性高分子の粉粒体を湿潤(湿らせ)できる範囲で選択でき、加湿などの手段により水分は水溶性高分子の粉粒体に対して外部から付与される。熱処理工程では、水溶性高分子の粉粒体の溶解を抑制しつつ粉粒体の表面を湿潤可能な水分の存在下、フィルターロッドを加熱処理する場合が多い。外部からの水分の付与は、調整された湿度雰囲気で行ってもよく、種々の加湿手段、例えば、水蒸気発生手段などを利用してもよい。
熱処理工程での湿度は、加熱温度において、少くとも相対湿度50%RH以上(例えば、50〜100%RH)、好ましくは60〜100%RH、さらに好ましくは80〜100%RH程度である。相対湿度が50%RH未満では、水溶性高分子によるセルロースエステル繊維の接着効率が低下する虞がある。
【0037】
熱処理工程での加熱温度は、粉粒状の熱可塑性水溶性高分子の種類、湿度条件などに応じて適当に選択でき、例えば、50〜100℃、好ましくは50〜95℃(例えば、60〜90℃)程度である場合が多い。喫味などが低下するのを抑制するため、加熱温度は熱可塑性水溶性高分子の融点以下(特に融点未満)の範囲で選択する場合が多い。すなわち、熱処理工程において、好ましくは、水溶性高分子の融点以下の温度であって、50〜90℃程度の温度で加熱する場合が多い。
なお、加熱温度が100℃を越えると、たばこフィルター巻紙に繁用されている接着剤(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)の多くが軟化し、剥離する虞がある。また、現在たばこフィルター巻紙に使用されている接着剤の多くは、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの非水溶性高分子である。しかし、前記のような湿度条件下、比較的温和な条件で加熱処理するので、非水溶性高分子による巻紙の接着性が損なわれることはない。
【0038】
前記熱処理工程は、トウをロッドに成形する工程、または成形工程の後で行うことができる。熱処理工程では、慣用の加熱手段(例えば、ヒーター、熱風、マイクロ波加熱器など)が利用できる。
高湿度雰囲気下での加熱処理は、種々の方法、例えば、成形されたフィルターロッドを箱などの収納容器中に所定量充填し、ベルトコンベアーなどの搬送手段により加湿加熱装置へ導き、所定時間加熱処理する方法;収納容器に充填することなく、ベルトコンベアーなどの搬送手段によりフィルターロッドを連続的に加湿加熱装置へ導き、所定時間加熱処理する方法;巻き上げたフィルターロッドを所定量詰めた複数の収納容器を他のキャビティーに移し、キャビティー全体を加熱し、複数の収納容器を一度に処理するなどの方法などにより行なうことができる。
【0039】
熱処理工程の後、冷却工程で前記フィルターロッドを冷却することにより、たばこフィルターロッドを得ることができる。冷却工程では、慣用の冷却手段(例えば、クーラー、冷風など)が使用できる。フィルターロッドは、通常、所定の長さに切断され、たばこフィルタープラグやフィルターチップを得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法では、たばこフィルターのバインダーとして粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を用い、高湿度雰囲気下で加熱処理するので、セルロースエステル繊維のトウを高速でかつ円滑に巻上げることができ、たばこフィルターの生産性を高めることができる。また、前記水溶性高分子を使用するので、喫煙後誤って環境中に捨てられても、湿潤時の崩壊性に優れ、雨水などの水により速やかに繊維状に崩壊し、環境汚染を軽減できるとともに、環境の美観の保全に有効である。
【0041】
また、本発明の方法では、ホットメルト接着性を有する水溶性高分子を用いても、水溶性高分子を粉粒状で添加するので、セルロースエステル繊維のトウを高速でかつ円滑に巻上げることができる。また、高湿度雰囲気下で加熱方式の採用により、フィルター物性のバラツキが少なく均一なたばこフィルターを高い生産性で製造できる。また、たばこフィルターは、適度な硬度と通気性を有し、たばこの喫味を損うこともない。
【0042】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、フィルター硬度、水中崩壊性、喫味は以下のような方法で評価した。
フィルター硬度:長さ102mmのフィルター上に、直径12mm、重さ300gの円柱状の重りにより荷重をかけ、10秒後のフィルターのへこみ量を測定し、へこみ量0.1mmを「1」として評価した。フィルター内の硬度の均一性を調べるため、硬度をプラグ長さ方向の数箇所で測定した。この測定方法におけるフィルター硬度の実用的な値は10.0以下であり、フィルター硬度は10未満であるのが望ましい。
なお、自然環境中での雨水などによる崩壊性の評価を迅速に行なうことが困難であるため、下記の方法により「水中崩壊性」を評価した。
水中崩壊性:25mmに切断したフィルターチップを、ビーカー内の水500mlに投入し、渦中心部の高さが最も高い液面の3/4の高さとなるように、マグネチックスターラーで攪拌し、10分後のフィルターチップの形状を肉眼観察により評価した。なお、フィルターチップの水中崩壊性が高い場合は、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。水中崩壊性の劣るフィルターチップは、元の形状を保持したままで全く崩壊しない。
喫味:長さ25mmに切断したフィルターチップを市販のたばこ(日本たばこ産業(株)製,「ハイライト」)の葉たばこ部分に接続し、10人のパネラーにより、市販のたばこ(日本たばこ産業(株)製,「ハイライト」)と比較して喫味の変化を調べた。
上記フィルター硬度、水中崩壊性および喫味の評価は、温度20℃、相対温度65%の雰囲気中で約24時間放置し調湿した後のサンプルについて行った。
【0043】
実施例1
断面Y字状の4デニールのフィラメントで構成されたセルロースアセテート繊維のトウ(トータルデニール35000)を幅約20cmに開繊し、開繊したトウに対して、たばこ用活性炭添加フィルター製造用巻上機(ドイツ ハウニ社製,KDF2/AC1/AF1)の活性炭粉末添加装置を用いて、ホットメルト接着性を有する熱可塑性水溶性高分子としてポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学(株)製,ゴーセランL−0301;流動開始温度95℃)の粉末(平均粒径100μm)15重量%をフィルター巻上げ時に、トウ上に均一に散布し、次いでトウを紙巻装置に供給し、巻紙を用いてトウを巻上速度400m/分で巻上げ、得られたフィルターロッドをカッターで長さ102mmに切断した。
【0044】
得られたフィルターロッドを温度80℃、相対湿度80%RHに設定した恒温恒湿槽中に導き、フィルターロッド内の水溶性高分子を10分間加熱し、次いで冷却固化することにより、たばこフィルターを得た。なお、巻紙の接着にはエチレン−酢酸ビニル系共重合体のホットメルト接着剤(大同化成工業(株)製,商品名「ダイカラックS−1101−S」)を用いた。上記操作は連続的に行なった。また、上記の製造過程のうち、たばこフィルターの加熱処理後に巻紙の剥離は観察されなかった。
得られたたばこフィルターチップの硬度は、フィルター長さ方向において殆ど変化がなく4.9程度であり、水中崩壊性試験では、速やかにフィルターチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、市販のたばこ(日本たばこ産業(株)製,「ハイライト」)に比べて喫味の変化は確認されなかった。
【0045】
実施例2
恒温恒湿槽の温度を85℃とする以外は、実施例1と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターの加熱処理後に巻紙の剥離は観察されなかった。
得られたたばこフィルターの硬度は、フィルター長さ方向において殆ど変化がなく5.0程度であり、水中崩壊性については、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、喫味の変化は確認されなかった。
【0046】
実施例3
恒温恒湿槽の相対湿度を100%RHとする以外は、実施例1と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターの加熱処理後に巻紙の剥離は観察されなかった。
得られたたばこフィルターの硬度は、フィルター長さ方向において殆ど変化がなく4.5程度であり、水中崩壊性については、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、喫味の変化は確認されなかった。
【0047】
実施例4
加熱処理時間を5分とする以外は、実施例3と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターの加熱処理後に巻紙の剥離は観察されなかった。
得られたたばこフィルターの硬度は、フィルター長さ方向において殆ど変化がなく4.7程度であり、水中崩壊性については、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、喫味の変化は確認されなかった。
【0048】
実施例5
恒温恒湿槽の温度を60℃とする以外は、実施例3と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターの加熱処理後に巻紙の剥離は観察されなかった。
得られたたばこフィルターの硬度は、フィルター長さ方向において殆ど変化がなく5.6程度であり、水中崩壊性については、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、喫味の変化は確認されなかった。
【0049】
実施例6
水溶性高分子の添加量を8重量%とする以外は、実施例3と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターの加熱処理後に巻紙の剥離は観察されなかった。
得られたたばこフィルターの硬度は、フィルター長さ方向において殆ど変化がなく8.8程度であり、水中崩壊性については、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、喫味の変化は確認されなかった。
【0050】
比較例1
バインダーとして、セルロースアセテートの可塑剤であるトリアセチンを用いた従来のたばこフィルターを90mm又は25mmの長さに切断して、たばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターチップの硬度は4.0程度であった。しかし、水中崩壊性については、チップは元の形状を保持したままで全く崩壊しなかった。
【0051】
比較例2
水溶性高分子を添加することなく、実施例1と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターチップの硬度は、フィルター硬度測定装置の限界値である25.0を越える値となり、硬度が発現しなかった。一方、水中崩壊性については、速やかにチップ全体に形状が崩れ、綿状になった。
【0052】
比較例3
恒温恒湿槽の条件設定を温度100℃、相対湿度30%RHとする以外は、実施例1と同様にしてたばこフィルターチップを得た。このたばこフィルターの加熱処理後において、巻紙の剥離が観察された。
たばこフィルターチップの硬度は、フィルター長さ方向において余り変化せず7.6程度であったが、長さ方向における硬度の均一性(バラツキ)は実施例1〜6と比較して若干劣っていた。
水中崩壊性については、チップ全体に形状が崩れ、綿状になった。また、加熱処理後のたばこフィルターからは若干の酢酸臭がし、喫味についても若干の低下が確認された。
【0053】
比較例4
恒温恒湿槽の温度を80℃、相対湿度30%とする以外は、実施例1と同様にしてたばこフィルターチップを得た。
たばこフィルターチップの硬度は、フィルター硬度測定装置の限界値である25.0を越える値となり、硬度が発現しなかった。一方、水中崩壊性については、速やかにチップ全体の形状が崩れ、綿状になった。また、喫味の変化は確認されなかった。
【0054】
比較例5
断面形状Y型、4デニールのフィラメントを束ねたトータルデニール43000デニールの酢酸セルロース捲縮繊維トウ(捲縮数26/25mm)を幅25cmに開繊した。なお、トータルデニール43000デニールのトウは、フィラメント(4デニール)×10750本で構成されている。前記開繊したトウ100重量部に対して、ポリビニルアルコール2重量部、水48重量部となるように、トウに対して、ポリビニルアルコール(鹸化度=88モル%、4%水溶液粘度=5cps)の水溶液を添加し、トウを紙巻装置に送ったところ、400m/分の速度でフィルターを巻取紙で円滑に巻き上げることができなかった。また、得られたフィルターの硬度が発現せず、硬度が25.0を越える値となった。

Claims (8)

  1. セルロースエステル繊維のトウに、ホットメルト接着性を有する粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を添加する添加工程、前記水溶性高分子を含むトウを巻紙により巻いてフィルターロッドに成形する成形工程、この成形工程又は成形工程の後、前記フィルターロッドを高湿度雰囲気下で加熱処理する熱処理工程、および熱処理工程の後、前記フィルターロッドを冷却する冷却工程を含むたばこフィルターの製造方法であって、前記熱処理工程において、相対湿度50〜100%RHで、かつ水溶性高分子の融点未満の加熱温度でフィルターロッドを加熱処理するたばこフィルターの製造方法。
  2. セルロースエステル繊維のトウに、平均粒子径10〜500μmの粉粒状の熱可塑性水溶性高分子を添加する請求項1記載のたばこフィルターの製造方法。
  3. セルロースエステル繊維のトウ100重量部に対して、粉粒状の熱可塑性水溶性高分子0.5〜50重量部を添加する請求項1又は2記載のたばこフィルターの製造方法。
  4. 20℃の水に対する熱可塑性水溶性高分子の溶解度が、少なくとも5重量%以上である請求項1〜3のいずれかの項に記載のたばこフィルターの製造方法。
  5. 熱可塑性水溶性高分子の融点が50〜200℃である請求項1〜4のいずれかの項に記載のたばこフィルターの製造方法。
  6. 1インチ当りの捲縮度が10〜50個の捲縮したセルロースエステル繊維で構成されたトウを幅150〜450mmに開繊し、開繊したトウ100重量部に対して、ホットメルト接着性を有する粉粒状の水溶性高分子1〜20重量部を添加する請求項1記載のたばこフィルターの製造方法。
  7. 粉粒状の水溶性高分子の溶解を抑制しつつ湿潤可能な水分の存在下、水溶性高分子の融点未満の温度であって、50〜90℃の温度範囲から選択された温度で加熱処理する請求項1記載のたばこフィルターの製造方法。
  8. 繊度1〜10デニール及び1インチ当りの捲縮度5〜75個のセルロースエステル繊維3,000〜1,000,000本で構成されたトウを幅100〜500mmに開繊する開繊工程、開繊したトウ100重量部に対して、ホットメルト接着性を有する粉粒状の水溶性高分子5〜17重量部を添加する添加工程、水溶性高分子を含むトウを巻紙により速度300〜800m/分で巻上げてフィルターロッドに成形する成形工程、この成形工程又は成形工程の後、前記フィルターロッドを相対湿度60〜100%で、かつ水溶性高分子の融点未満の加熱温度で加熱処理する熱処理工程、および熱処理工程の後、前記フィルターロッドを冷却する冷却工程とを含むたばこフィルターの製造方法。
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