JP3812967B2 - フタロシアニン化合物、該化合物を含有するフィルター用色素、フィルター用組成物及びフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶テレビなどの表示素子あるいは撮像管、カラーコピー機に用いる色分解フィルターに重要な役割を果たす溶剤可溶型のフタロシアニン化合物に関する。さらに、本発明のフタロシアニン化合物は、600〜700nmに鋭い選択吸収能を有するため、バンドパスフィルター(ビデオカメラ等の視感度補正用)、レーザーカットフィルター(630nm、680nm等のレーザーカット)、農業用植物成長制御用フィルター(600〜700nmの光をカットすることで植物の成長をコントロール)等に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルター用として用いられているフタロシアニン化合物は、特開平1−233401号公報等で、β位に置換基を有するフタロシアニン化合物が公知となっているが、化合物自身の会合のため、溶剤及び樹脂に対する溶解性が悪く、色分解フィルターとして作製した場合の実用的なフィルター特性(耐光性、透過率特性)も十分ではなく、使用するのに制約を受けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のフィルター及びフィルター用色素が有していた欠点を改良し、溶剤及びバインダー樹脂への溶解性に優れた化合物、該化合物を含有してなるフィルター用色素及びこれを用いた透過率特性、耐久性に優れたフィルターを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、フタロシアニン骨格のβ位に、分岐した置換基を有するアミノカルボニル基を導入したフタロシアニン化合物が、溶剤及びバインダー樹脂への溶解性に優れ、かかる化合物を使用することにより、透過率特性、耐熱性、耐光性等の耐久性にも優れたフィルターが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)(化3)
【0005】
【化3】
〔式中、R1 は水素原子、炭素数3〜10の分岐したアルキル基、炭素数3〜10の分岐したアルコキシアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するアリール基を示し、R2 は、炭素数3〜10の分岐したアルキル基、炭素数3〜10の分岐したアルコキシアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するアリール基を示し、また、R1 とR2 で互いに結合して下記一般式(2)(化4)で示される環を形成してもよく、Metは2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属を表す。
【0006】
【化4】
(式中、R3 は、炭素数3〜10の分岐したアルキル基、炭素数3〜10の分岐したアルコキシアルキル基を示す。)〕で表されるβ−置換アミノカルボニルフタロシアニン化合物、該化合物を含有してなるフィルター用色素、該色素を含有するフィルター用組成物及びカラーフィルターに関する。
【0007】
本発明の一般式(1)に示すフタロシアニン化合物が、良好な透過率特性を有する理由としては、β位に分岐した置換基を有するアミノカルボニル基を導入したことで、化合物自身の会合が緩和され、溶剤への溶解性及び樹脂と色素との相溶性が向上し、樹脂中で、色素が安定的に単分子化しているために、透過率が向上すると推測され、置換基が嵩高いほどその効果は顕著である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の新規化合物である前記一般式(1)において、R1 は水素原子、炭素数3〜10の分岐したアルキル基、炭素数3〜10の分岐したアルコキシアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するアリール基を示し、R2 は、炭素数3〜10の分岐したアルキル基、炭素数3〜10の分岐したアルコキシアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するアリール基を示し、また、R1 とR2 で互いに結合して前記一般式(2)で示される環を形成してもよい。
【0009】
炭素数3〜10の分岐したアルキル基としては、iso−プロピル、iso−ブチル、tert−ブチル、iso−ペンチル、iso−ヘキシル、iso−オクチル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシル基等が例示でき、炭素数3〜10の分岐したアルコキシアルキル基としては、、iso−プロポキシメチル、iso−プロポキシエチル、iso−ブトキシメチル、iso−ブトキシエチル、tert−ブトキシメチル基等が例示できる。
シクロアルキル基としては、炭素数5〜12のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル基等が例示できる。
【0010】
置換基を有したアリール基としては、ベンゼン核に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基等のアルキル基、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、トリフルオロメチル等のハロゲン化アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等が置換されたものが例示できる。
Metで表される2価の金属原子あるいは3価または4価の置換金属またはオキシ金属としては、Zn,Mg,Si,Sn,Rh,Pt,Pd,Mo,Mn,Pb,Cu,Ni,Co,Fe等の金属、AlCl,InCl,FeCl,TiCl2 ,SnCl2 ,SiCl2 ,GeCl2 等の金属塩化物、TiO,VO,MnO等の金属酸化物が挙げられ、Cu,Pdがより好ましい。
【0011】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、常法〔例えば、J.Chem.Soc.,1952,680, Chem.Ber.,115,2836(1982)、Ind.J.Chem.,27A,411(1988)等に記載の方法〕により、例えば、下記一般式(3)(化5)で表される無水フタル酸誘導体、尿素、金属化合物(2価、3価あるいは4価の金属のハロゲン化合物、酸素あるいは酢酸塩)を、無水フタル酸誘導体1モルに対して、0.1〜1.0モル比の金属化合物を用いて、触媒等(例えば、モリブデン酸アンモニウム)の存在下、ニトロベンゼン等の高沸点溶媒中、100〜230℃の温度で、1〜20時間程度反応させる方法等により製造される。また、この他の製造法としては、フタロニトリル誘導体と前記の金属化合物をアルコール、ハロゲン化炭化水素、キノリンなどの溶媒中、塩基性触媒の存在下、加熱する方法等も挙げられる。
【0012】
【化5】
(式中、R1 、R2 は一般式(1)の場合と同じ意味を表す。)
【0013】
本発明のフィルター用色素は、本発明のフタロシアニン化合物の少なくとも一種を含有し、本発明のフタロシアニン化合物単独で、または他の色素との混合物として用いられる。その他の色素としては、例えば、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ナフトキノン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、キノフタロン系色素等が挙げられる。色素の種類及びその混合量は、それぞれのフィルターに要求される透過率特性に応じて決定されるが、本発明のフタロシアニン化合物を30〜100重量%の割合で含有することが好ましい。
【0014】
本発明のフィルター用組成物は、本発明のフィルター用色素、バインダーポリマー、光重合性の多官能モノマー、光重合開始剤、その他添加剤等からなる。本発明の化合物は、バインダーポリマー100重量部に対して、1〜100重量部、好ましは10〜50重量部を用いる。
【0015】
バインダーポリマーは、フィルム形成能を有するものであり、例えば、メチルメタクリレートを主成分とした各種(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル等と(メタ)アクリル酸等の共重合体が挙げられる。
光重合性の多官能モノマーは、光開始剤によってラジカル重合し、バインダーポリマーに絡み合って架橋硬化し、現像液に不溶化するものであり、バインダーポリマー100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは10〜50重量部を用いる。光重合性の多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、その他エポキシ系、ウレタン系、エステル系、エーテル系、ビスフェノール系、スピラン系等の多官能(メタ)アクリレートがある。
【0016】
光重合開始剤は、紫外線照射により活性ラジカルを発生し、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する多官能モノマーのラジカル重合反応を起こすものであり、バインダーポリマー100重量部に対して、0.01〜100重量部、好ましくは1〜10重量部用いる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アントラキノン系等の分子間水素引き抜き型、又はアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系等の分子内結合開裂型がある。
その他の添加剤としては、ハイドロキノン系、ビスフェノール系等の重合禁止剤等が挙げられる。
【0017】
また、本発明のフィルター用組成物は、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアセテート系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル系、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル等のピルビン酸エステル系、メチル−2−n−アミルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等のエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系の溶媒で希釈して使用することも可能である。
【0018】
本発明の色素を含有してなるフィルターとしては、LCD用カラーフィルター、色分解フィルター等がある。フィルターを作製する方法としては、感光性樹脂、または光重合性モノマーを用いて基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化し、光照射によりパターニングした後、樹脂層を色素でディッピング等により染色する方法、ドライエッチング法あるいはリフトオフ法で蒸着により色素層をパターニングする方法、印刷法でパターニングする方法などが挙げられる。
上記の色素層のパターニングは光学的に透明な基板上で行うことができる。用いる基板としては、色素層のパターニングが可能であり、作製されたカラーフィルターが所定の機能を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリブチラール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィンを含有してなる共重合樹脂等の樹脂フィルムもしくは樹脂板が挙げられる。
また、パターン状の色素層は、その色素層をカラーフィルターとして適用するものと一体にして作製することも可能である。その場合のものの例としては、ブラウン管表示面、撮像管の受光面、固体撮像素子が形成されたウエハー、薄膜半導体を用いた密着型イメージセンサー、液晶ディスプレイ面、カラー電子写真用感光体等が挙げられる。
【0019】
以下、さらに詳しく本発明の色素を含有してなるフィルターの作製法について説明する。
代表的なLCD用カラーフィルターの一つであるストライプフィルターを作製する場合について説明する(図1を参照)。
まず、予めブラックマトリクス2を形成しておいたガラス基板1〔(図1)(A)〕に、フォトレジスト組成物(バインダーポリマー、光重合性の多官能モノマー、光重合開始剤等の混合物)20重量部を溶媒80重量部で希釈した溶液100重量部に、本発明の化合物1〜20重量部を溶解または分散させたフィルター用組成物をスピンナーを用いて基板に回転塗布する〔(図1)(B)〕。レジスト層の厚さは、所望の分光特性に応じて決定されるが、通常0.5〜100ミクロンであり、好ましくは1〜2ミクロンである。塗布後、適当な温度条件下でレジスト層3をプリベークする(工程1)。次いでレジスト感度を有する光または電子線ビーム〔(図1)では紫外線〕で、作製しようとするパターン(ストライプ状パターン)に対応した所定のパターン形状を有するフォトマスク4を介してレジスト層3を露光し〔(図1)(C)〕(工程2)、さらにこれを現像して、着色パターン5を作製する〔(図1)(D)〕。必要に応じて、現像前にレジスト層の歪みを緩和する目的での前処理、現像後、膜の膨張を抑えるためのリンス処理を行ってもよい。最後に適当な温度条件下でポストベークする(工程3)。なお、二色以上からなるカラーフィルターを作製する場合は、必要に応じて、すなわち用いられるフィルターの色の数に応じて、上記工程を各色に対応した色素をそれぞれ用いて繰り返して行い作製することができる。〔なお、(図1)(E)はRGBの三色の着色パターン5、6、7を作製したものである。〕ブラックマトリックス2を形成する場合は、色素層を作製する前に行っておくのがよい。色分解フィルターの一つであるカラーコピー機等に用いるカラーフィルターや、その他、バンドパスフィルター、レーザーカットフィルターあるいは農業用植物成長制御用フィルターを作製する方法としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体(EVA)、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂と、本発明の色素を樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部を混合し、射出成型、延伸、カレンダー法等の方法により作製する。または、本発明の色素を単独またはバインダーとともに溶剤に溶解し、前記の基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化するか、蒸着等により成膜化するか、色素をポリイミド樹脂中間体を含むワニスと共に混合した後、加熱処理により樹脂化、加工する方法等がある。なお、混合する際に紫外線吸収剤、可塑剤等の通常の樹脂成型に使用される添加剤を加えてもよい。
【0020】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は重量部を示す。
実施例1
ニトロベンゼン30部に、尿素10.4部を加えて、130℃まで加熱した。4−(N,N−ジイソプロピルアミノカルボニル)フタル酸無水物4.1部、モリブデン酸アンモニウム四水和物0.3部を加えて、1時間攪拌した後、塩化第二銅二水和物0.7部を加えた。更に180℃まで加熱して5時間反応させた。冷却後、クロロホルムを加え、不溶物を除去し、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、下記化合物(a)(化6)12部を得た。
【0021】
【化6】
フタロシアニン化合物(a)1部を下記に示すフォトレジスト組成物(化7)25部に溶解し、スピンナーを用いてガラス基板上に回転塗布した。乾燥後、85〜100℃で2〜10分間プリベークし、ストライプ状パターンを有するマスクを介して、高圧水銀ランプで露光(20〜30mj/cm2 、2分)した。さらに、これを現像しパターンを作製した。最後に、200〜230℃で10〜30分間ポストベークし、色素層の厚みが2ミクロンのストライプ状フィルターを得た。
【0022】
【化7】
なお、このフィルターについては、次の方法で評価した。各測定項目の測定方法及び測定結果の表示は下記の通りである。
1.透過率特性
(最大透過率の波長±80)nmで透過率が10%以下である時、最大透過率が80%以上の場合は、◎で表示した。
(最大透過率の波長±80)nmで透過率が10%以下である時、最大透過率が70〜80%の場合は、○で表示した。
(最大透過率の波長±80)nmで透過率が10%以下である時、最大透過率が70%以下の場合は、×で表示した。
2.耐湿性
湿度80%、60℃、100時間での色差
ΔE≦3 ◎
3<ΔE≦5 ○
ΔE>5 ×
3.耐光性
フェードメーター 60℃、100時間での色差
ΔE≦3 ◎
3<ΔE≦5 ○
ΔE>5 ×
4.耐熱性
250℃、1時間での色差
ΔE≦3 ◎
3<ΔE≦5 ○
ΔE>5 ×
得られたフィルターの特性を第1表(表1)に示す。その結果、このフィルターは、耐久性及び透過率特性に優れていた。
【0023】
実施例2
ニトロベンゼン30部に、尿素10.4部を加えて、130℃まで加熱した。4−(N,N−ジイソアミルアミノカルボニル)フタル酸無水物4.9部、モリブデン酸アンモニウム四水和物0.3部を加えて、1時間攪拌した後、塩化第二銅二水和物0.7部を加えた。更に180℃まで加熱して5時間反応させた。冷却後、クロロホルムを加え、不溶物を除去し、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、下記化合物(b)(化8)12.5部を得た。
【0024】
【化8】
実施例1のフィルター作製において、フタロシアニン化合物(a)の代わりに、フタロシアニン化合物(b)3部を使用する以外は、実施例1と同様にフォトレジストインキを調製し、スピンナーを用いてガラス基板上に回転塗布した。乾燥後、85〜100℃で2〜10分間プリベークし、ストライプ状パターンを有するマスクを介して、露光し、現像を行い、パターンを作製した。最後に、200〜230℃で10〜30分間ポストベークし、色素層の厚みが2ミクロンのストライプ状フィルターを得た。
得られたフィルターの特性を第1表に示す。その結果、このフィルターは、耐久性及び透過率特性に優れていた。
【0025】
実施例3
ニトロベンゼン100部に、尿素34.5部を加えて、130℃まで加熱した。4−(N−(3−トリフルオロメチルフェニル)カルバモイルフタル酸無水物15.1部、モリブデン酸アンモニウム四水和物0.9部を加えて、1時間攪拌した後、塩化第二銅二水和物2.3部を加えた。更に180℃まで加熱して5時間反応させた。冷却後、クロロホルムを加え、不溶物を除去し、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、下記化合物(c)(化9)5部を得た。
【0026】
【化9】
攪拌機及び窒素導入管を備えた容器に、4,4’−ビス(2−アミノフェノキシ)ビフェニル36.8部とN,N−ジメチルホルムアミド202部を装入し、窒素雰囲気下、室温で、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物39.8部を分割して加え、20時間攪拌した。この様にして得られたポリアミド酸溶液にフタロシアニン化合物(c)3部を加え混合した後、ガラス上にキャストし、200℃で5時間熱処理した。
得られたフィルターの特性を第1表に示す。その結果、このフィルターは、耐久性及び透過率特性に優れていた。
【0027】
実施例4
実施例3のフィルター作製において、フタロシアニン化合物(c)の代わりに、実施例1で合成したフタロシアニン化合物(a)3部を使用する以外は、実施例3と同様にポリアミド酸溶液を調製し、ガラス上にキャストし、200℃で5時間熱処理した。
得られたフィルターの特性を第1表に示す。その結果、このフィルターは、耐久性及び透過率特性に優れていた。
【0028】
実施例5
ポリ塩化ビニル100部にフタロシアニン化合物(a)1部を加え、射出成型することにより、フィルターを作製した。
得られたフィルターの特性を第1表に示す。その結果、このフィルターは、耐久性及び透過率特性に優れていた。
【0029】
実施例6
ポリメチルメタアクリレート100部にフタロシアニン化合物(a)1部を加え、射出成型することにより、フィルターを作製した。
得られたフィルターの特性を第1表に示す。その結果、このフィルターは、耐久性及び透過率特性に優れていた。
【0030】
比較例1
特開平1−233401号公報中、実施例5に記載の下記色素(d)(化10)を用い、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製した。第1表に、作製したフィルターの特性を示す。この色素は、溶剤に対する溶解性が低いため、フォトレジスト組成物に完全に溶解せず、また、作製したフィルターは、白濁が見られ、透明性が低下した。
【0031】
【化10】
【0032】
比較例2
下記で表される色素(e)(化11)を用い、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製した。第1表に、作製したフィルターの特性を示す。この色素は、溶剤に対する溶解性が低いため、フォトレジスト組成物に完全に溶解せず、また、作製したフィルターは、白濁が見られ、透明性が低下した。
【0033】
【化11】
【0034】
【表1】
【0035】
実施例7〜24
一般式(1)において、各置換基が第2表(表2、3、4)に示す化合物と、各種樹脂を用い、フィルターを作製した。これらのフィルターは、耐熱性及びフィルター特性に優れていた。なお、第2表の樹脂の略号は下記の通りである。
PS;ポリスチレン
PMMA;ポリメチルメタクリレート
PC;ポリカーボネート
PET;ポリエチレンテレフタレート
PVC;ポリ塩化ビニル
SD−17;ポリアクリル系感光性樹脂(大日本インキ製)
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】
フタロシアニン化合物において、フタロシアニン骨格のβ位に、分岐した置換基を有するアミノカルボニル基を導入した本発明の化合物は、溶剤及びバインダー樹脂に対する溶解性に優れており、また、本発明のフィルター用色素を用いることで、透過率特性、耐久性に優れたカラーフィルターを提供することを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルターの製造工程の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 ブラックマトリックス
3 レジスト層
4 フォトマスク
5 着色パターン
6 着色パターン
7 着色パターン
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