JP3811580B2 - 液化ガス中からの重質油分除去装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化石油ガス(以下「LPG」と略称することがある)などの液化ガス中に含まれる重質油分を、吸着して除去するための液化ガス中からの重質油分除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液化天然ガス(以下、「LNG」と略称することもある)を主原料とする都市ガスには、LPGが添加されて、熱量の調整が行われている。そのようなLPGを添加して都市ガスを製造する設備に含まれるLPG蒸発器や、その後流のガスラインでは、油分付着が発見されている。油分は、ガスラインの管の内壁や、バルブの部分に付着し、ガスの流通断面積を挟めたり、バルブの作動状態を阻害するおそれがある。調査の結果、付着する油分は、天然ガスに添加するLPGに由来していることが判明している。
【0003】
現在使用されているLPGは、約75%が輸入品であり、LPGの輸送や積降ろしの工程で潤滑油が混入し、混入油分の正体となっていると推定される。LPG中の潤滑油成分は、分子量が300〜700程度の飽和炭化水素を主成分としており、LPGの主成分であるブタン等に比較すれば重質である。LPG中の潤滑油成分は約6ppmであり、都市ガスとして送出されるガス中の不純物の量を下げることは、都市ガスとしての品質管理上重要なことであるので、LPG中の潤滑油成分を除去する方法の確立が期待されている。
【0004】
LPGの精製や輸送過程で混入する重質油分は、LPGにきわめて溶解しやすく、物理的な濾過操作や相分離では分離不可能である。LPG中から重質油分を除去する先行技術は、たとえば特開平8−281004に「液化ガス中の潤滑油の除去装置」として開示されている。この先行技術では、細孔径が比較的大きい50〜500オングストロームの粒状活性炭に重質油分を吸着させて除去しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、都市ガスとして天然ガスを主原料としてLPGを添加すると、LPG中に不純物として含まれる潤滑油が混入源となって、都市ガス中に重質の油分が混入する。LPG中の潤滑油は、LPGの輸送工程でコンプレッサやブロア類の潤滑油として使用されたり、シール油として使用されたりしている成分であると推定される。油分の濃度は、LPG中で約6ppm程度であり、都市ガスとして送出されるガス中では主成分である液化天然ガス(以下「LNG」と略称することがある)で希釈されるために、0.3ppm程度となる。年間約20万トンのLPGを使用するとすれば、都市ガスとして供給する幹線側への油分流出量は、全体で年間1トン以上になると推定される。
【0006】
LPG中に含まれる重質油分を除去する工業的に実用化された方法は確立されておらず、LPGが気化した後にLPG蒸発器からドレンとして回収したり、ガスラインの内部に付着した油分を管内清掃時に回収したりしているのが現状である。特開平8−281004の先行技術では、充分な不純物の回収を行うことが困難で、しかも潤滑油を吸着した粒状活性炭は繰返して使用することが可能であるが、必要熱量が大で、再生による吸着能の低下が大きい。
【0007】
本発明の目的は、LPG中に含まれる重質油分を効率的に除去することができる液化ガス中からの重質油分除去装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液化ガス中に含有される重質油分を除去する装置であって、
液化ガスを流通させ、重質油分を吸着して除去するための吸着塔を備え、
該吸着塔内には、
細孔径が25オングストローム以下、
比表面積が500〜3000m2/g、および
外表面積が0.2〜0.7m2/g
となるミクロポア構造を有する繊維状活性炭が充填されることを特徴とする液化ガス中からの重質油分除去装置である。
【0009】
本発明に従えば、重質油分を含む液化ガスを、細孔径が25オングストローム以下、比表面積が500〜3000m2/g、および外表面積が0.2〜0.7m2/gとなるミクロポア構造を有する繊維状活性炭が充填される吸着塔内に流通させる。吸着塔内の繊維状活性炭は、細孔径が25オングストローム以下のミクロポア構造を有するので、液化ガス中の重質油分をミクロポア中に選択的に吸着させ、効率よく液化ガス中から重質油分を吸着して除去することができる。
【0010】
また本発明で前記吸着塔は、
上下方向に延びる形状を有して複数基並設され、
前記液化ガスを流通させて、前記繊維状活性炭による重質油分の吸着除去を行う吸着塔と、
前記重質油分を吸着して吸着能力が劣化した繊維状活性炭に、所定の高温の再生ガスを該液化ガスの流通方向と逆方向に流し、吸着能力の再生を行う吸着塔とが、交互に切換えられることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、複数基の吸着塔のうちで、液化ガスを流通させて重質油分の吸着除去を行う吸着塔と、重質油分を吸着して吸着能力が低下している繊維状活性炭を有する吸着塔とを交互に切換えるので、複数基の吸着塔のうちで吸着能力が高い状態で液化ガス中から重質油分を吸着除去しながら、吸着能力の再生を図り、効率的な吸着除去を連続的に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としての液化ガス中からの重質油分除去装置の概略的な構成を示す。不純物として含まれる重質油分を吸着除去する吸着塔1,2は2基含まれ、3基以上設置することもできる。複数の吸着塔1,2のうち、少なくとも1基が重質油分の吸着除去に使用される。重質油分を吸着すべきLPG3は、少なくとも1つの吸着塔1,2の下方から上方に通過しながら、重質油分離後のLPG4として取出される。重質油分離後のLPG4は、LNGから蒸発して形成される天然ガスと混合され、所定の熱量を有する都市ガスが製造される。
【0013】
吸着塔1,2のうちの一方、たとえば吸着塔1を用いてLPG3から重質油分を吸着分離している間、他方の吸着塔2に対しては、高温の再生ガス5を上方から吹付けて、吸着している重質油分を分離させ、ドレン6として下方に排出させることができる。再生ガスは、300℃以上の高温の窒素ガスもしくは水蒸気を用いることができる。高温の再生ガス5で再生を行った後の吸着基2内は高温になっているけれども、液状態でLPG3を取り出したいので、熱をかけることは好ましくなく、冷却が必要となる。また、吸着除去の能力も、高温では劣化している。このため、冷却用空気7を流して、吸着塔2内の温度を室温まで低下させ、再びLPG3を流して重質油分の吸着分離を行う。
【0014】
吸着塔1,2内には、繊維状活性炭11,12がそれぞれ収容され、LPG3中から重質油分を吸着して分離している。LPG3を吸着塔1,2にそれぞれ導入するためには、LPG導入バルブ13を開ける必要がある。また、吸着によって重質油分が分離された重質油分離後のLPG4を吸着塔1,2から排出するためには、LPG排出バルブ14を開ける必要がある。LPGからの重質油分分離を行わないで、繊維状活性炭11,12の再生を行う吸着塔1,2では、LPG導入バルブ13およびLPG排出バルブ14を閉じ、再生ガス導入バルブ15とドレン排出バルブ16を開ける。また、再生ガス5による繊維状活性炭11,12の再生が終了した後は、再生ガス導入バルブ15およびドレン排出バルブ16を閉じ、冷却用空気導入バルブ17および冷却用空気排出バルブ18を開けて、冷却用空気7を導入し、再生ガス5によって高温に加熱されている繊維状活性炭11,12を急速に常温まで冷却し、重質油分の吸着能力を回復させることができる。したがって、LPG導入バルブ13およびLPG排出バルブ14と、再生ガス導入バルブ15およびドレン排出バルブ16とを交互に操作して、吸着塔1,2の一方を吸着用に使用し、他方を再生用に使用しながら、交互に吸着と再生とを交換してゆけば、少なくとも1つの吸着基1,2で常にLPG3中から重質油分を除去することが可能になる。
【0015】
図2は、本実施形態の繊維状活性炭11,12のミクロ的な表面形状を示す。繊維状活性炭11,12は、繊維の表面に25オングストローム以下のミクロポア20が、図2(a)に示すように形成されている。一方前述の特開平8−281004の先行技術には、細孔径が比較的大きい50〜500オングストロームの粒状活性炭を用いてLPG中から重質油分を吸着する旨の記載がある。粒状活性炭の構造は、図2(b)に示すように、粒子状の粒状活性炭21の表面にマクロポア22が開口し、さらにマクロポア22内に複数のミクロポア23が形成されている。次の表1は、本実施形態の繊維状活性炭と特開平8−181004の先行技術に用いる瀝青炭系の粒状活性炭や一般的なやしがら系の粒状活性炭について、細孔系と単位重量当たり吸着量との特性データを示す。
【0016】
【表1】
【0017】
図2(a)に示すような繊維状活性炭11,12は、たとえば大阪瓦斯ケミカル株式会社から、「アドールA−10」や「アドールA−20」などの商品名で販売されている。これらの商品名で販売されている繊維状活性炭は、比表面積として1000m2/gおよび2000m2/gをそれぞれ有する。繊維状活性炭11,12は比表面積が大きく、500〜3000m2/g程度の範囲まで製造可能である。コスト面からは、比表面積が1000〜2000m2/gの範囲のものを使用することが好ましい。次の表2は、繊維状活性炭と粒状活性炭との幾何学的な特性を比較して示す。
【0018】
【表2】
【0019】
図3は、重質油190ppmを含むLPGを吸着塔に積めた活性炭層を通過させ、吸着能力が飽和して重質油が流出しだす破過が始まり、最終的に重質油の全量が通過する点までをプロットした実験結果の一例を示す。本実施形態で用いる繊維状活性炭は、これまで吸着しやすいとされている石炭系粒状活性炭よりも、単位重量当たり約2〜2.5倍高い吸着能力を有することが分かる。繊維状活性炭についての吸着直線が垂直に近いことから、LPGに触れる大きな外表面で、迅速な吸着作用が支配的に行われることが分かる。また、吸着帯の幅が小さいことから、通過線速を速めても迅速な吸着が可能なことが分かり、吸着塔をコンパクトに構成することができることを示している。
【0020】
図2(a)に示すような繊維状活性炭11,12は、ミクロポア20の細孔径dは小さいものの、その表面がLPGに露出しているので、比吸着物質である重量油分と接触しやすく、迅速にたとえばn−ヘプタデカンC17H36等の直鎖炭化水素を捕捉しやすいと考えられる。図2(b)に示すような粒状活性炭では、マクロポア22の内部にミクロポア23を有するので、細孔径は大きくなっても、ミクロポア23がLPG中の重質油分と接触しにくく、吸着能力が劣る結果となると推定される。
【0021】
繊維状活性炭11,12を用いると、迅速に吸着を行うことができるので、吸着塔1,2の装置断面積当たりの流速を大きくとって、偏流を防止することができる。偏流の防止によって、充填した繊維状活性炭11,12を全体的に効率よく利用することができる。除去操作の条件を適切に選定すれば、繊維状活性炭11,12の重量の16%もの溶質を吸着除去することができる。粒状活性炭では、最大で4.5%程度が平衡吸着量となる。
【0022】
また、繊維状活性炭11,12は軽量で比表面積も粒状活性炭よりも大きく、装置をコンパクトに構成することができるとともに、LPG3の圧損も小さくすることができるので、処理に必要な動力を削減することもできる。また、再生ガス5として、高温の窒素ガスや水蒸気によって、容易に吸着能力を復活させる再賦活させることができ、繰返して何度も使用することができる。繊維状活性炭11,12は、熱容量が小さいので、再生に要するエネルギや時間も少なくてすむ。粒状活性炭21の場合、熱を受けることによって、ミクロポア23の構造が変化し、再生後の吸着性能が再生前より劣ることが多いのが一般的であるけれども、繊維状活性炭11,12ではミクロポア構造の変化が少なく、吸着剤としての寿命が長くなる。したがって、工業装置としての優位性が期待される。吸着量を作用する因子として、比表面積と細孔容積とが考えられるけれども、どちらも大きいほど単位重量当たりの吸着量は増加する。表2によれば、繊維状活性炭と粒状活性炭とは、比表面積や細孔容積の点では同等となるけれども、前述のようなミクロポア構造とマクロポア構造との違いによって、吸着能力に差が生じている。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、液化ガス中に含まれる重質油分を、外表面にミクロポア構造のみを有する繊維状活性炭で吸着して除去するので、重質油分が迅速に影響され、重質油分の含有量が少ない液化ガスを効率的に精製することができる。
【0024】
また本発明によれば、繊維状活性炭は、液化ガス中の重質油分を吸着すると、所定の高温の再生ガスで吸着した重質油分を除去して再生され、重質油分の吸着能力を回復して、繰返して吸着除去に使用することができる。繊維状活性炭を備える吸着塔を複数基用いて、交互に吸着除去と再生とを切換えて行うので、連続的に、かつ繊維状活性炭が重質油分に対して高い吸着能力を有する状態で吸着塔を稼働させながら、液化ガス中の重質油分を除去することができる。
【0025】
また本発明によれば、所定の高温の再生ガスで吸着能力を回復させた繊維状活性炭を、冷却用気体で冷却させるので、吸着能力が回復された繊維状活性炭を直ちに冷却して、繊維状活性炭による液化ガス中の重質油分の吸着除去作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態としての重質油分除去装置の基本的な構成を示す系統図である。
【図2】図1の吸着塔1,2に使用する繊維状活性炭11,12のミクロポア構造を、粒状活性炭のマクロポア構造と比較して示す図である。
【図3】本実施形態に用いる繊維状活性炭11,12と粒状活性炭との吸着能力を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1,2 吸着塔
3 LPG
5 再生ガス
7 冷却用空気
11,12 繊維状活性炭
20 ミクロポア
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化石油ガス(以下「LPG」と略称することがある)などの液化ガス中に含まれる重質油分を、吸着して除去するための液化ガス中からの重質油分除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液化天然ガス(以下、「LNG」と略称することもある)を主原料とする都市ガスには、LPGが添加されて、熱量の調整が行われている。そのようなLPGを添加して都市ガスを製造する設備に含まれるLPG蒸発器や、その後流のガスラインでは、油分付着が発見されている。油分は、ガスラインの管の内壁や、バルブの部分に付着し、ガスの流通断面積を挟めたり、バルブの作動状態を阻害するおそれがある。調査の結果、付着する油分は、天然ガスに添加するLPGに由来していることが判明している。
【0003】
現在使用されているLPGは、約75%が輸入品であり、LPGの輸送や積降ろしの工程で潤滑油が混入し、混入油分の正体となっていると推定される。LPG中の潤滑油成分は、分子量が300〜700程度の飽和炭化水素を主成分としており、LPGの主成分であるブタン等に比較すれば重質である。LPG中の潤滑油成分は約6ppmであり、都市ガスとして送出されるガス中の不純物の量を下げることは、都市ガスとしての品質管理上重要なことであるので、LPG中の潤滑油成分を除去する方法の確立が期待されている。
【0004】
LPGの精製や輸送過程で混入する重質油分は、LPGにきわめて溶解しやすく、物理的な濾過操作や相分離では分離不可能である。LPG中から重質油分を除去する先行技術は、たとえば特開平8−281004に「液化ガス中の潤滑油の除去装置」として開示されている。この先行技術では、細孔径が比較的大きい50〜500オングストロームの粒状活性炭に重質油分を吸着させて除去しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、都市ガスとして天然ガスを主原料としてLPGを添加すると、LPG中に不純物として含まれる潤滑油が混入源となって、都市ガス中に重質の油分が混入する。LPG中の潤滑油は、LPGの輸送工程でコンプレッサやブロア類の潤滑油として使用されたり、シール油として使用されたりしている成分であると推定される。油分の濃度は、LPG中で約6ppm程度であり、都市ガスとして送出されるガス中では主成分である液化天然ガス(以下「LNG」と略称することがある)で希釈されるために、0.3ppm程度となる。年間約20万トンのLPGを使用するとすれば、都市ガスとして供給する幹線側への油分流出量は、全体で年間1トン以上になると推定される。
【0006】
LPG中に含まれる重質油分を除去する工業的に実用化された方法は確立されておらず、LPGが気化した後にLPG蒸発器からドレンとして回収したり、ガスラインの内部に付着した油分を管内清掃時に回収したりしているのが現状である。特開平8−281004の先行技術では、充分な不純物の回収を行うことが困難で、しかも潤滑油を吸着した粒状活性炭は繰返して使用することが可能であるが、必要熱量が大で、再生による吸着能の低下が大きい。
【0007】
本発明の目的は、LPG中に含まれる重質油分を効率的に除去することができる液化ガス中からの重質油分除去装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液化ガス中に含有される重質油分を除去する装置であって、
液化ガスを流通させ、重質油分を吸着して除去するための吸着塔を備え、
該吸着塔内には、
細孔径が25オングストローム以下、
比表面積が500〜3000m2/g、および
外表面積が0.2〜0.7m2/g
となるミクロポア構造を有する繊維状活性炭が充填されることを特徴とする液化ガス中からの重質油分除去装置である。
【0009】
本発明に従えば、重質油分を含む液化ガスを、細孔径が25オングストローム以下、比表面積が500〜3000m2/g、および外表面積が0.2〜0.7m2/gとなるミクロポア構造を有する繊維状活性炭が充填される吸着塔内に流通させる。吸着塔内の繊維状活性炭は、細孔径が25オングストローム以下のミクロポア構造を有するので、液化ガス中の重質油分をミクロポア中に選択的に吸着させ、効率よく液化ガス中から重質油分を吸着して除去することができる。
【0010】
また本発明で前記吸着塔は、
上下方向に延びる形状を有して複数基並設され、
前記液化ガスを流通させて、前記繊維状活性炭による重質油分の吸着除去を行う吸着塔と、
前記重質油分を吸着して吸着能力が劣化した繊維状活性炭に、所定の高温の再生ガスを該液化ガスの流通方向と逆方向に流し、吸着能力の再生を行う吸着塔とが、交互に切換えられることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、複数基の吸着塔のうちで、液化ガスを流通させて重質油分の吸着除去を行う吸着塔と、重質油分を吸着して吸着能力が低下している繊維状活性炭を有する吸着塔とを交互に切換えるので、複数基の吸着塔のうちで吸着能力が高い状態で液化ガス中から重質油分を吸着除去しながら、吸着能力の再生を図り、効率的な吸着除去を連続的に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としての液化ガス中からの重質油分除去装置の概略的な構成を示す。不純物として含まれる重質油分を吸着除去する吸着塔1,2は2基含まれ、3基以上設置することもできる。複数の吸着塔1,2のうち、少なくとも1基が重質油分の吸着除去に使用される。重質油分を吸着すべきLPG3は、少なくとも1つの吸着塔1,2の下方から上方に通過しながら、重質油分離後のLPG4として取出される。重質油分離後のLPG4は、LNGから蒸発して形成される天然ガスと混合され、所定の熱量を有する都市ガスが製造される。
【0013】
吸着塔1,2のうちの一方、たとえば吸着塔1を用いてLPG3から重質油分を吸着分離している間、他方の吸着塔2に対しては、高温の再生ガス5を上方から吹付けて、吸着している重質油分を分離させ、ドレン6として下方に排出させることができる。再生ガスは、300℃以上の高温の窒素ガスもしくは水蒸気を用いることができる。高温の再生ガス5で再生を行った後の吸着基2内は高温になっているけれども、液状態でLPG3を取り出したいので、熱をかけることは好ましくなく、冷却が必要となる。また、吸着除去の能力も、高温では劣化している。このため、冷却用空気7を流して、吸着塔2内の温度を室温まで低下させ、再びLPG3を流して重質油分の吸着分離を行う。
【0014】
吸着塔1,2内には、繊維状活性炭11,12がそれぞれ収容され、LPG3中から重質油分を吸着して分離している。LPG3を吸着塔1,2にそれぞれ導入するためには、LPG導入バルブ13を開ける必要がある。また、吸着によって重質油分が分離された重質油分離後のLPG4を吸着塔1,2から排出するためには、LPG排出バルブ14を開ける必要がある。LPGからの重質油分分離を行わないで、繊維状活性炭11,12の再生を行う吸着塔1,2では、LPG導入バルブ13およびLPG排出バルブ14を閉じ、再生ガス導入バルブ15とドレン排出バルブ16を開ける。また、再生ガス5による繊維状活性炭11,12の再生が終了した後は、再生ガス導入バルブ15およびドレン排出バルブ16を閉じ、冷却用空気導入バルブ17および冷却用空気排出バルブ18を開けて、冷却用空気7を導入し、再生ガス5によって高温に加熱されている繊維状活性炭11,12を急速に常温まで冷却し、重質油分の吸着能力を回復させることができる。したがって、LPG導入バルブ13およびLPG排出バルブ14と、再生ガス導入バルブ15およびドレン排出バルブ16とを交互に操作して、吸着塔1,2の一方を吸着用に使用し、他方を再生用に使用しながら、交互に吸着と再生とを交換してゆけば、少なくとも1つの吸着基1,2で常にLPG3中から重質油分を除去することが可能になる。
【0015】
図2は、本実施形態の繊維状活性炭11,12のミクロ的な表面形状を示す。繊維状活性炭11,12は、繊維の表面に25オングストローム以下のミクロポア20が、図2(a)に示すように形成されている。一方前述の特開平8−281004の先行技術には、細孔径が比較的大きい50〜500オングストロームの粒状活性炭を用いてLPG中から重質油分を吸着する旨の記載がある。粒状活性炭の構造は、図2(b)に示すように、粒子状の粒状活性炭21の表面にマクロポア22が開口し、さらにマクロポア22内に複数のミクロポア23が形成されている。次の表1は、本実施形態の繊維状活性炭と特開平8−181004の先行技術に用いる瀝青炭系の粒状活性炭や一般的なやしがら系の粒状活性炭について、細孔系と単位重量当たり吸着量との特性データを示す。
【0016】
【表1】
【0017】
図2(a)に示すような繊維状活性炭11,12は、たとえば大阪瓦斯ケミカル株式会社から、「アドールA−10」や「アドールA−20」などの商品名で販売されている。これらの商品名で販売されている繊維状活性炭は、比表面積として1000m2/gおよび2000m2/gをそれぞれ有する。繊維状活性炭11,12は比表面積が大きく、500〜3000m2/g程度の範囲まで製造可能である。コスト面からは、比表面積が1000〜2000m2/gの範囲のものを使用することが好ましい。次の表2は、繊維状活性炭と粒状活性炭との幾何学的な特性を比較して示す。
【0018】
【表2】
【0019】
図3は、重質油190ppmを含むLPGを吸着塔に積めた活性炭層を通過させ、吸着能力が飽和して重質油が流出しだす破過が始まり、最終的に重質油の全量が通過する点までをプロットした実験結果の一例を示す。本実施形態で用いる繊維状活性炭は、これまで吸着しやすいとされている石炭系粒状活性炭よりも、単位重量当たり約2〜2.5倍高い吸着能力を有することが分かる。繊維状活性炭についての吸着直線が垂直に近いことから、LPGに触れる大きな外表面で、迅速な吸着作用が支配的に行われることが分かる。また、吸着帯の幅が小さいことから、通過線速を速めても迅速な吸着が可能なことが分かり、吸着塔をコンパクトに構成することができることを示している。
【0020】
図2(a)に示すような繊維状活性炭11,12は、ミクロポア20の細孔径dは小さいものの、その表面がLPGに露出しているので、比吸着物質である重量油分と接触しやすく、迅速にたとえばn−ヘプタデカンC17H36等の直鎖炭化水素を捕捉しやすいと考えられる。図2(b)に示すような粒状活性炭では、マクロポア22の内部にミクロポア23を有するので、細孔径は大きくなっても、ミクロポア23がLPG中の重質油分と接触しにくく、吸着能力が劣る結果となると推定される。
【0021】
繊維状活性炭11,12を用いると、迅速に吸着を行うことができるので、吸着塔1,2の装置断面積当たりの流速を大きくとって、偏流を防止することができる。偏流の防止によって、充填した繊維状活性炭11,12を全体的に効率よく利用することができる。除去操作の条件を適切に選定すれば、繊維状活性炭11,12の重量の16%もの溶質を吸着除去することができる。粒状活性炭では、最大で4.5%程度が平衡吸着量となる。
【0022】
また、繊維状活性炭11,12は軽量で比表面積も粒状活性炭よりも大きく、装置をコンパクトに構成することができるとともに、LPG3の圧損も小さくすることができるので、処理に必要な動力を削減することもできる。また、再生ガス5として、高温の窒素ガスや水蒸気によって、容易に吸着能力を復活させる再賦活させることができ、繰返して何度も使用することができる。繊維状活性炭11,12は、熱容量が小さいので、再生に要するエネルギや時間も少なくてすむ。粒状活性炭21の場合、熱を受けることによって、ミクロポア23の構造が変化し、再生後の吸着性能が再生前より劣ることが多いのが一般的であるけれども、繊維状活性炭11,12ではミクロポア構造の変化が少なく、吸着剤としての寿命が長くなる。したがって、工業装置としての優位性が期待される。吸着量を作用する因子として、比表面積と細孔容積とが考えられるけれども、どちらも大きいほど単位重量当たりの吸着量は増加する。表2によれば、繊維状活性炭と粒状活性炭とは、比表面積や細孔容積の点では同等となるけれども、前述のようなミクロポア構造とマクロポア構造との違いによって、吸着能力に差が生じている。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、液化ガス中に含まれる重質油分を、外表面にミクロポア構造のみを有する繊維状活性炭で吸着して除去するので、重質油分が迅速に影響され、重質油分の含有量が少ない液化ガスを効率的に精製することができる。
【0024】
また本発明によれば、繊維状活性炭は、液化ガス中の重質油分を吸着すると、所定の高温の再生ガスで吸着した重質油分を除去して再生され、重質油分の吸着能力を回復して、繰返して吸着除去に使用することができる。繊維状活性炭を備える吸着塔を複数基用いて、交互に吸着除去と再生とを切換えて行うので、連続的に、かつ繊維状活性炭が重質油分に対して高い吸着能力を有する状態で吸着塔を稼働させながら、液化ガス中の重質油分を除去することができる。
【0025】
また本発明によれば、所定の高温の再生ガスで吸着能力を回復させた繊維状活性炭を、冷却用気体で冷却させるので、吸着能力が回復された繊維状活性炭を直ちに冷却して、繊維状活性炭による液化ガス中の重質油分の吸着除去作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態としての重質油分除去装置の基本的な構成を示す系統図である。
【図2】図1の吸着塔1,2に使用する繊維状活性炭11,12のミクロポア構造を、粒状活性炭のマクロポア構造と比較して示す図である。
【図3】本実施形態に用いる繊維状活性炭11,12と粒状活性炭との吸着能力を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1,2 吸着塔
3 LPG
5 再生ガス
7 冷却用空気
11,12 繊維状活性炭
20 ミクロポア
Claims (2)
- 液化ガス中に含有される重質油分を除去する装置であって、
液化ガスを流通させ、重質油分を吸着して除去するための吸着塔を備え、
該吸着塔内には、
細孔径が25オングストローム以下、
比表面積が500〜3000m2/g、および
外表面積が0.2〜0.7m2/g
となるミクロポア構造を有する繊維状活性炭が充填されることを特徴とする液化ガス中からの重質油分除去装置。 - 前記吸着塔は、
上下方向に延びる形状を有して複数基並設され、
前記液化ガスを流通させて、前記繊維状活性炭による重質油分の吸着除去を行う吸着塔と、
前記重質油分を吸着して吸着能力が劣化した繊維状活性炭に、所定の高温の再生ガスを該液化ガスの流通方向と逆方向に流し、吸着能力の再生を行う吸着塔とが、交互に切換えられることを特徴とする請求項1記載の液化ガス中からの重質油分除去装置。
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-
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