JP3811424B2 - 遊技機およびその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットマシン等の遊技機およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スロットマシンやゲーム機には、プレイヤーの操作指示を入力するためにレバーが設けられている。ある種のレバーは、内部に設けられたスプリングによって所定状態に復帰するように付勢されている。このレバーをプレイヤーが操作すると、その変位に応じてスプリングが変形する。スプリングは変位に応じた力を発生させるから、プレイヤーは指先で反力を受けることになる。
【0003】
さらに、特開2000−195370号公報には電磁力を用いて反力を発生させる装置をレバーに付加する技術が開示されている。図26は、従来のレバーの構成を示す断面図である。この図に示すようにレバー100は、操作子110、回転軸120、操作子パッド130、スプリング140、永久磁石150、電磁石160および支持部170を備えている。操作子110は回転軸120を中心に回動自在に支えられている。また、操作子110の一端は操作子パッド130に当接するように配置されている。また、操作子パッド130の下面には永久磁石150が固着される一方、支持部170の上面には電磁石160が設けられている。さらに操作パッド130と支持部170との間にはスプリング140が設けられている。
【0004】
以上の構成において、プレイヤーが操作子110を傾動すると、操作子パッド130が下方向に押し下げられる。このとき、スプリング140は圧縮されるから、プレイヤーは指先に反力を感じる。さらに、電磁石160を構成するコイルに流す電流を制御することによって、反力の大きさを調整できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したレバー100において、操作子110の傾きを復帰させるためには、操作子パッド130を上方向に変位させる必要がある。スプリング140は操作子パッド130を上方向に付勢する部材であるから、スプリング140は操作子110の傾きを復帰させるために必須の構成である。
【0006】
しかしながら、スプリング140は機械的な構成であるので、プレイヤーが操作子110を繰り返し操作すると、機械的な疲労によって反発力が減少し、さらには断線するといった問題がある。特に、スロットマシン等の遊技装置ではプレイヤーが叩くようにしてスタートレバーを操作するこが多い。したがって、レバー100をスロットマシンのスタートレバーに用いると、機械的な疲労によって操作子110が定常状態に復帰しないといった問題が起こる。
【0007】
また、スロットマシンでは、スタートレバーの操作タイミングに基づいて内部抽選を実行し、その抽選結果を利用して演出を行うことがある。その代表的なものは、例えばリールの上方に液晶表示装置を設け、抽選結果が特定の賞に当選していることを示すアニメーションを表示するといったものである。
【0008】
しかしながら、液晶表示装置は、スタートレバーやリールストップボタンといったようにゲームを進行させるために必要不可欠な操作部材ではないから、プレイヤーが演出を見落とすこともある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、耐久性に優れたレバーを提供すること、所定の情報をプレイヤーに確実に報知する遊技機およびその制御方法を提供することを解決課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の遊技機は、複数種類の図柄の可変表示が可能な複数の表示列(R1〜R3)を備え、前記各表示列(R1〜R3)における図柄の可変表示が停止した状態で、前記各表示列(R1〜R3)を横切る入賞ライン(L1〜L5)に予め定められた図柄の組合せである役が揃うと、入賞した役に応じた遊技価値を付与する遊技機(1)において前記操作子の端部に固定された第1磁石部と、前記第1磁石部とギャップを介して対向するように配置された第2磁石部とを有し、前記第1磁石部と前記第2磁石部のうち、一方は強磁性体とコイルとを備える電磁石であり他方は永久磁石であり、前記操作子の操作タイミングに基づいて、一つまたは複数の前記役の集まりである各賞群に対応する各区分とハズレの区分とを含む抽選区分の中から一つを抽選し、抽選結果を示す内部抽選情報を生成する抽選部と、前記内部抽選情報に基づいて前記コイルに供給する電流のオンからオフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すように制御し、前記オフのとき、前記強磁性体と前記永久磁石との間に吸引力を作用させて前記操作子を定常状態に付勢させ、前記オンのとき、前記電磁石と前記永久磁石との間に反発力が作用する方向の電流を前記操作子が前記定常状態から予め定められた基準角度以上に傾く大きさだけ前記コイルに供給する制御部(31)を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、内部抽選情報に基づいて電磁石に給電される電流のオン・オフが制御されるから、遊技の進行に応じて第1磁石部と第2磁石部とに作用する力を2値的に切り替えることができる。この結果、プレイヤーが操作しなくともレバーの状態を第1状態と第2状態との間で切り替えて動作させることができ、遊技情報をプレイヤーに報知することが可能となる。なお、本発明の遊技機は、リールを備えた機械的なスロットマシンの他、リールの画像をディスプレイに表示するビデオスロットも含まれる。そして、表示列は、機械的なスロットマシンの各リールとディスプレイ上に表示されるリール画像の双方を含む。さらに、レバーをオンさせるときは電流を流してオンとするが、レバーをオフさせるときは電流を流さないで電磁力の弾性力でオフすることも可能である。
また、この発明によれば、電磁石に電流を供給しなければ、当該部材は電磁石として作用せず単なる強磁性体として作用する。したがって、電磁石に電流を供給しない状態では、操作子の傾きを元に戻そうとする方向に復帰力を作用させることができる。この復帰力は第1磁石部と第2磁石部との間で発生する磁束に基づくものである。また、電磁石に供給する電流によって第1磁石部と第2磁石部との間に反発力を作用させるので、操作子を傾けることができる。そして、電流をオン・オフさせることによって、操作子の傾動・復帰を繰り返すことが可能となる。
また、この発明によれば、電流を流さないとき反力は磁力によって得られる。したがって、機械的なスプリングやゴムといった弾性体によって反力を発生していなので、操作子を繰り返し操作しても弾性体の疲労や破壊によって、反力の大きさが小さくなったり、あるいは反力が全く得られなくなるといったことがなく、耐久性に極めて優れたレバーを提供することができる。また、操作子とは、人が操作する対象となる部材であり、摘みが一体に形成されていれば摘みを含む。また、操作子の形状は、棒状のものであってもよいし、あるいは、端部が円弧状や三角形になっていてもよい。また、バランスの点から回転軸を中心に対称であることが望ましい。
【0013】
ここで、上述した遊技機は、前記各表示列(R1〜R3)毎に設けられ、前記プレイヤーが前記各表示列(R1〜R3)に可変表示される図柄を停止させる指示を入力するための各停止操作部(7a、7b、7c)を備え、前記制御部(31)は、前記プレイヤーが前記操作子を操作してから、一定期間が経過するまで、前記各停止操作部(7a、7b、7c)の操作を無効にするとともに、当該一定期間の全部または一部において、前記内部抽選情報に基づいて前記コイルに供給する電流のオンからオフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すように制御することが好ましい。この場合には、停止操作部の操作が無効とされている期間に内部抽選情報をプレイヤーに報知できるから、プレイヤーは報知結果に基づいて、停止操作部を操作することが可能となる。また、電磁石への電流の給電は操作子が操作れてから停止操作部が操作されるまでの期間に限られるから、次の遊技において操作子が勝手に動作することがなく、レバーはプレイヤーの操作を受け付けることになる。
【0018】
また、前記制御部(31)は、前記内部抽選情報(ISD)に基づいて、前記コイルに供給する電流(21A)を前記オンから前記オフへおよび前記オフから前記オンへ切り替える回数を決定することが好ましい。この発明によれば、プレイヤーはレバーの上下動等の回数を計数することによって、内部抽選情報の内容を知ることができる。
【0019】
また、前記制御部(31)は、前コイルに供給する電流(21A)を前記オンまたは前記オフの一方の状態にしてから他方の状態へ変化させるまでの時間(TMS)を、前記内部抽選情報に基づいて変化させることが好ましい。この発明によれば、プレイヤーはレバーが上下動する時間間隔の変化によって、内部抽選情報の内容を知ることができる。例えば、周期が殆ど変化しないパターンを小役の当選に割り当てる一方、周期が次第に短くなるパターンをBB賞の当選に割り当てれば、レバーの上下動等の周期変化によって、プレイヤーは小役に当選しているかBB賞に当選しているかを知ることができる。
【0020】
また、上述した遊技機(1)は、前記内部抽選情報(ISD)に対応付けられた複数の抽選テーブル(TBL4)を備え、各抽選テーブル(TBL4)は、複数の演出コード(C)を記憶しており、前記演出コード(C)は、前記コイルに供給する電流(21A)を前記オンから前記オフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すパターンを指示するものであり、前記制御部(31)は、前記内部抽選情報(ISD)に基づいて前記抽選テーブル(TBL4)を選択し、選択された抽選テーブル(TBL4)を参照して、抽選により一つの演出コード(C)を特定し、特定された演出コード(C)に従って前記コイルに供給する電流(21A)を制御することが好ましい。
【0021】
この発明によれば、演出コードは抽選によって選択されるから、あるパターンでレバーが上下動しても報知される遊技情報が確定せず、ある確率で遊技情報が特定される。すなわち、ある賞に当選している期待度をレバーの上下動によって報知することができる。したがって、演出に幅を持たせることができ、プレイヤーの興味を向上させることができる。ここで、抽選テーブルの抽選区分の数は、一又は複数あるので、例えば、BB賞に当選している場合には、複数の抽選区分を備えた抽選テーブルを選択して、3回オンオフや7回オンオフなど複数の演出パターンを選択し、スイカ賞に当選している場合には、複数の抽選区分を備えた抽選テーブルを選択して、2回オンオフや3回オンオフなど複数の演出パターンを選択し、リプレイ賞に当選している場合は一の抽選区分を備えた抽選テーブルを選択して、2回オンオフの一演出パターンのみとしてもよい。この場合には、2回オンオフでリプレイ賞の当選が確定し、3回オンオフでスイカ賞またはBB賞へ当選の可能性があり、7回オンオフでBB賞が確定といった演出を行うことができる。
【0023】
次に本発明に係る遊技機の制御方法にあっては、複数種類の図柄の可変表示が可能な複数の表示列(R1〜R3)と、プレイヤーが前記各表示列(R1〜R3)の可変表示を開始させる指示を入力するレバーとを備え、前記レバーは、回転軸に支えられた操作子と、前記操作子の端部に固定された第1磁石部と、前記第1磁石部とギャップを介して対向するように配置された第2磁石部とを有し、前記第1磁石部と前記第2磁石部のうち、一方は強磁性体とコイルとを備える電磁石であり他方は永久磁石であり、前記各表示列における図柄の可変表示が停止した状態で、前記各表示列(R1〜R3)を横切る入賞ライン(L1〜L5)に予め定められた図柄の組合せである役が揃うと、入賞した役に応じた遊技価値を付与する遊技機(1)の制御方法おいて、前記操作子の操作タイミングに基づいて、一つまたは複数の前記役の集まりである各賞群に対応する各区分とハズレの区分とを含む抽選区分の中から一つを抽選し、抽選結果を示す内部抽選情報を生成し、前記内部抽選情報に基づいて前記コイルに供給する電流のオンからオフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すように制御し、前記オフのとき、前記強磁性体と前記永久磁石との間に吸引力を作用させて前記操作子を定常状態に付勢させ、前記オンのとき、前記電磁石と前記永久磁石との間に反発力が作用する方向の電流を前記操作子が前記定常状態から予め定められた基準角度以上に傾く大きさだけ前記コイルに供給することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、内部抽選情報に基づいて電磁石に給電される電流のオン・オフが制御されるから、第1磁石部と第2磁石部とに作用する力を2値的に切り替えることができる。この結果、プレイヤーが操作しなくともレバーの状態を切り替えて動作させることができ、内部抽選情報をプレイヤーに報知することが可能となる。
【0027】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
<1.実施形態>
<1−1:スロットマシンの外観構成>
【0029】
ここでは、スロットマシンに本発明を適用した場合について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観を示す斜視図である。スロットマシン1の筐体は、本体2と本体2の前面に取り付けられたフロントドア3とを備えている。フロントドア3の上段には、所定の情報をプレイヤーに提示する液晶表示装置55が設けられている。フロントドア3中段のパネル表示部Dには、縦長長方形の3つの表示窓4a、4b、4cが設けられている。表示窓4a、4b、4cは、例えばアクリル樹脂等の透明な材料により形成されている。また、表示窓4a、4b、4c上には水平に3本、斜めに2本の入賞ラインL1〜L5が設けられている。
【0030】
くわえて、表示窓4aの左側には補助表示部20が設けられている。補助表示部20は、各入賞ラインL1〜L5に各々対応する5個のLEDからなる。プレイヤーがメダルを投入したり、あるいは、後述するベット操作を行うと、ベット数に応じた数の入賞ラインL1〜L5が有効となる。このスロットマシン1では、ベット数が1枚の場合に入賞ラインL1が有効となり、ベット数が2枚の場合に入賞ラインL1〜L3が有効となり、ベット数が3枚の場合に入賞ラインL1〜L5が有効となる。補助表示部20を構成する各LEDは、対応する入賞ラインL1〜L5が有効である場合に点灯し、無効である場合に消灯する。これによって、プレイヤーは、どの入賞ラインL1〜L5が有効であるかを知ることができる。
【0031】
パネル表示部Dの内側には、各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた3列の左・中・右リールR1、R2、R3が回転自在に設けられている。したがって、プレイヤーは、各表示窓4a、4b、4cを通して左・中・右リールR1、R2、R3の図柄を観察できる。
【0032】
表示窓4a、4b、4cの下方には、プレイヤーが遊技を実行するための各種操作部材が配置された操作部OPが設けられている。操作部OPは、メダル投入口5、スタートレバー6、左・中・右リールストップボタン7a,7b,7c、クレジットボタン8、およびBETボタン15を備える。
【0033】
メダル投入口5は、表示窓4cの下方に設けられており、メダルを投入できるようになっている。メダルを1枚投入すると入賞ラインL1が有効となり、メダルを2枚投入すると入賞ラインL1〜L3が有効となり、メダルを3枚投入すると入賞ラインL1〜L5が有効となる。さらに、プレイヤーが3枚を超えてメダルを投入すると、スロットマシン1は4枚以上のメダル数をクレジットとして貯留する。
【0034】
BETボタン15は、表示窓4aの左斜下に設けられている。BETボタン15は、プレイヤーが一回のゲームでベットするメダル数を指定するために用いられる。このBETボタン15をプレイヤーが操作することで、メダル投入口5からメダルを投入しなくても、貯留されたメダルをベットすることができる。このため、BETボタン15の操作によって指定されたメダル数に応じて、入賞ラインL1〜L5が適宜有効となる。BETボタン15の操作によって指定されたメダル数と有効となる入賞ラインL1〜L5との関係は、メダルを直接投入する場合と同じである。
【0035】
スタートレバー6は、BETボタン15の下方に設けられている。スタートレバー6は、プレイヤーがゲームの開始を指示するために用いられる。プレイヤーがスタートレバー6を押し下げると、リールR1、R2、R3が一斉に回転を開始し、表示窓4a、4b、4c内の図柄が可変表示となる。
【0036】
左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cは、スタートレバー6の右横に設けられている。左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cは、表示窓4a、4b、4c内で回転する3列の左・中・右リールR1、R2、R3をそれぞれ停止させるために用いられる。
【0037】
リールストップボタン7cの右側には、メダルをスロットマシン1に貯留するか否かを決定するためのクレジットボタン8が設けられている。プレイヤーがクレジットボタン8を操作することによりクレジットを有効とするか、または無効とするかを変更することができる。所定の場合、メダル払出口10aからメダルがプレイヤーに払い出され、メダル受皿10に貯留される。
【0038】
<1−2:スタートレバーの構成>
【0039】
次に、スタートレバー6の構成について説明する。図2は、スタートレバー6をその中心軸を含む面で切断した構成を示す断面図であり、図3は、スタートレバー6を図2の切断面と直交する面で切断した断面図である。
【0040】
スタートレバー6は、略円柱の形状をしたロッド60(操作子)を備える。ロッド60は、回転軸61を中心に回動自在に支えられている。キャップ62は、案内管部63および鍔部64から構成される。案内管部63は円環状の形状をしており、その外周にはねじ山が形成されている。案内管部63には内周壁から外周壁を貫く孔が形成されており、そこには回転軸61が挿入されている。鍔部64は、案内管部63と一体に形成されており、その内径は案内管部63と等しく、その外形は案内管部63より大きい。フロントドア3には孔65が形成されており、キャップ62は孔65に嵌め込まれている。止め具66の内周壁にはネジ溝が形成されている。止め具66のネジ溝に案内管部63のネジ山をねじ込むことによって、キャップ62はフロントドア3に固定される。
【0041】
ロッド60の一端には球状の形状をした摘み67が取り付けられる一方、ロッド60の他端には第1磁石部70が取り付けられている。第1磁石部70は、第1永久磁石71、第2永久磁石72および連結棒73を備える。連結棒73の一方の端部には第1永久磁石71が固着され、他方の端部には第2永久磁石72が固着されている。一般に、磁性体を介して2個の永久磁石を連結したものは1個の永久磁石と等価であるから、第1磁石部70は、1個の永久磁石として機能する。
【0042】
以下の説明ではギャップG1に対向する第1永久磁石71の面を第1永久磁石面A1、ギャップG2に対向する第2永久磁石72の面を第2永久磁石面A2と称する。この例では、第1永久磁石71と第2永久磁石72の磁極の向きを、第1永久磁石面A1がN極となり、かつ、第2永久磁石面A2がS極となるように設定する。
【0043】
次に、第2磁石部74はギャップG1およびG2を介して第1磁石部70と対向するように設けられている。第2磁石部74は電磁石であり、コの字型の鉄芯75とコイル76とを備える。コイル76に電流を流すことによって鉄芯75は磁石として作用する、一方、コイル76に電流を流さない場合には鉄芯75は強磁性体として作用する。以下の説明ではギャップG1に対向する鉄芯75の面を第1電磁石面B1、ギャップG2に対向する鉄芯75の面を第2電磁石面B2と称する。
【0044】
上述したように鉄芯75は強磁性体であるから、コイル76に電流を流さなくても第1永久磁石71および第2永久磁石72によって、鉄芯75に磁極が誘起される。コイル76に電流を流さない状態では、第1電磁石面B1がS極となる一方、第2電磁石面B2がN極となる。一方、実施形態におけるコイル76に流す電流の向きは、第1電磁石面B1がN極となり、第2電磁石面B2がS極となるように定められている。したがって、コイル76に電流を流さない状態では、第1磁石部70と第2磁石部74と間に吸引力が作用する一方、コイル76に電流を流した状態では、第1磁石部70と第2磁石部74と間に反発力が作用する。
【0045】
また、鉄芯75は複数のネジ79によって取り付け板78に固定されており、さらに、取り付け板8はフロントドア3に固定されている。これによって、ギャップG1およびG2は一定の間隔に保たれる。
【0046】
また、保護枠77もネジ79によって取り付け板78に固定されている。保護枠77には、複数の窓Wが形成されている。図2に示す2個の窓Wは、ロッド60を回動した場合に、第1永久磁石71および第2永久磁石72が保護枠77の壁に当たらないように設けられたものである。
【0047】
くわえて、ロッド60には遮光片431が垂直に固定されている。遮光片431は、その先端が図3に示す窓Wから突出してフォトカプラ432を横切るようになっている。フォトカプラ432は、L字金具80によって保護枠77に固定されており、発光部と受光部とを備えている。ロッド60が定常状態(図示する状態)のときには、発光部から射出される光が遮光片431によって遮られる一方、ロッド60が回動した状態では発光部から射出される光が遮光片431によって遮られない。したがって、受光部で受光した光量に基づいて、人がスタートレバー6を操作したことを検知できる。後述するスタートレバーセンサ43は、フォトカプラ432、増幅器、およびコンパレータを備える。受光部が受光量に応じたレベルの受光信号を出力すると、増幅器は受光信号を増幅する。コンパレータは、増幅器の出力信号を予め定められた閾値と比較して検出信号43aを生成し、これをスタートレバーセンサ43の出力信号として出力する。
【0048】
<1−3:スタートレバーの動作>
【0049】
次にスタートレバー6に作用する力について、第2磁石部74のコイル76に電流を給電しない状態と、電流を給電した状態とに分けて説明する。
【0050】
まず、電流を給電しない状態では、第2磁石部74は強磁性体として作用する。図4に、スタートレバー6が中心位置(初期状態)にあるときの磁束を示す。この状態において、U字型の鉄芯75には第1電磁石面B1にS極が誘起され、第2電磁石面B2にN極が誘起される。磁束は、第1永久磁石面A1→ギャップG1→第1電磁石面B1→鉄芯75→第2電磁石面B2→ギャップG2→第2永久磁石面A2といった経路で流れる。
【0051】
次に、スタートレバー6を左に傾けた場合のギャップG1の近傍に生じる磁束の変化を図5(A)〜(C)に示す。この図に示すように、スタートレバー6を傾動させると、第1永久磁石面A1と第1電磁石面B1との対向面の面積は減少するが、対向面の磁束密度は増加する。磁束は磁気抵抗が最も小さい部分を流れ、対向面が最も磁気抵抗が小さいからである。従って、対向面に作用する力は、スタートレバー6の傾きが大きくなるにつれ、大きくなる。但し、スタートレバー6の傾きが大きくなると、永久磁石71の側面から磁束が漏れ出て鉄芯75に入るから、この磁束も第1磁石部70と第2磁石部74との間に作用する力に若干の影響を与える。
【0052】
図6(A)はスタートレバー6が定常状態における第1磁石部70に作用する力を示すものであり、図6(B)はスタートレバー6を左に傾けた状態における第1磁石部70に作用する力を示すものである。まず、定常状態において、力F1およびF2は、回転軸方向に作用し法線方向には作用しない。したがって、定常状態ではロッド60を回転させる力は作用しないので、人は摘み67から反力を感じない。
【0053】
一方、スタートレバー6を左に傾けた状態では、N極とS極とが引き合うため、永久磁石71に作用する力F1は法線方向の分力F1aと回転軸方向の分力F1bとを含み、永久磁石72に作用する力F2は法線方向の分力F2aと回転軸方向の分力F2bとを含む。従って、分力F1aと分力F2aはロッド60を左回転させる力として作用するから、人は摘み67からスタートレバー6を定常状態に戻そうとする反力を感じる。
【0054】
すなわち、コイル76に電流を給電しない状態であっても、スタートレバー6を傾けると、定常状態に戻そうとする力が作用することになる。また、スタートレバー6の傾きが大きくなるにつれ、その力の大きさは増加する。従って、プレイヤーがスタートレバー6を操作すると、プレイヤーは傾きに応じた反力を感じる。
【0055】
次に、第2磁石部74のコイル76に電流を給電した状態について説明する。この例では、コイル76に給電する電流の向きは、第1磁石部70と第2磁石部74との間に反発力が作用するように設定してある。
【0056】
図7は第1磁石部70および第2磁石部74で発生する磁極を示す説明図である。コイル76に電流を給電すると、この図に示すように第1永久磁石面A1のN極と対向する第1電磁石面B1にはN極が発生し、第2永久磁石面A2のS極と対向する第2電磁石面B2にはS極が発生する。このため、第1磁石部70と第2磁石部74との間に反発力が作用する。ここで、第2磁石部74はフロントドア3に固定される一方、第1磁石部70はロッド60の回転軸61によって支えられているから、反発力によって第1磁石部70およびロッド60は左右方向に回動することになる。したがって、プレイヤーはロッド60および摘み67の動きによって、所定の情報を知ることができる。
【0057】
例えば、内部抽選データISDに当選フラグがセットされている場合に、反発力が作用するようにコイル76に電流を供給すればよい。ところで、スタートレバーセンサ43は、上述したように遮光片431とフォトカプラ432を備え、フォトカプラ432の受光部の受光量が閾値を超えた場合に検出信号をアクティブにする。したがって、ベット操作からプレイヤーがスタートレバー6を操作するまでの期間においては、検出信号がアクティブになる程度にロッド60を傾けることは好ましくない。しかしながら、既に内部抽選が行われた後には、そのような制限がない。したがって、基準角度を任意に設定してもよい。この場合、ロッド60の状態としては、その傾きが基準角度以上となる第1状態と前記基準角度未満となる第2状態とをとりえる。ここで、ロッド60を基準角度まで傾ける電流値を基準電流値とすれば、通常状態において、コイル76に供給する電流は、基準電流値未満のオフとすることが好ましい。
【0058】
例えば、CPU31は、内部抽選データISDがBB賞に当選していることを示す場合に、コイル76に供給する電流をオン・オフさせるように制御することが好ましい。この場合には、BB賞に当選していることをスタートレバー6の上下動によってプレイヤーに報知することができる。
【0059】
<1−4:リールおよび役>
【0060】
図8は、左・中・右リールR1、R2、R3および周辺構成を示す斜視図である。左・中・右リールR1、R2、R3には21個の図柄が表示されている。プレイヤーは、各表示窓4a、4b、4cを通して左・中・右リールR1、R2、R3の図柄を観察できる。
【0061】
さらに、右リールR3の一部には、遮光片491がリール本体から突出して設けられており、右リールR3が回転するとフォトカプラ492を横切るようになっている。なお、左リールR1および中リールR2にも、右リールR3と同様に、遮光片491とフォトカプラ492とが設けられている。
【0062】
図9に、左・中・右リールR1、R2、R3に表示される図柄の一例を示す。この図に示すように各リールR1、R2、R3には、21個・7種類の図柄が表示されており、各図柄には図柄番号PN=1〜21が割り当てられている。また、塗り潰された「7」は赤色の「7」であり(例えば、左リールの図柄番号PN=1)、縦線のハッチを付与した「7」は青色の「7」である(例えば、中リールの図柄番号PN=8)
【0063】
スロットマシン1による遊技では、メダルの投入等によって有効にした入賞ラインL1〜L5に予め定められた図柄の組合せが揃うと、揃った図柄に対応した枚数のメダル払い出しが行われる。メダルは、ゲームを開始する際にスロットマシン1に投入するものであり、プレイヤーがゲームを継続するために必要である。つまり、メダルはゲームの継続等の遊技価値を有する媒体といえる。
【0064】
図柄の組合せは、遊技価値を与える「役」と無価値な「ハズレ」とに大別される。本実施形態の役には次のものがある。
【0065】
1)赤7役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=1または10の図柄、中リールR2における図柄番号PN=12または14の図柄、右リールR3における図柄番号PN=7の図柄の組合せである。
【0066】
2)青7役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=14、中リールR2における図柄番号PN=8または19の図柄、右リールR3における図柄番号PN=20の図柄の組合せである。
【0067】
3)BAR役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=3または9、中リールR2における図柄番号PN=4または7の図柄、右リールR3における図柄番号PN=12または16の図柄の組合せである。
【0068】
4)ベル役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=4、7、11、15または20の図柄、中リールR2における図柄番号PN=2、6、11、16または21の図柄、右リールR3における図柄番号PN=1、3、5、10、14または18の図柄の組合せである。
【0069】
5)スイカ役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=6、17または19、中リールR2における図柄番号PN=18の図柄、右リールR3における図柄番号PN=4、8、17または21の図柄の組合せである。
【0070】
6)チェリー役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=12、16または21の図柄が入賞ラインL1〜L5のうち有効化されたものに停止すればよく、他のリールの停止位置とは無関係である。
【0071】
7)プラム役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=2、5、8、13または18の図柄、中リールR2における図柄番号PN=1、5、10、13、15または20の図柄、右リールR3における図柄番号PN=2、6、9、11、13、15または19の図柄の組合せである。プラム役が成立してもメダルの払い出しはないが、再遊技ができる。再遊技とは、新たにメダルを投入することなく再びゲームを行うことをいう。
【0072】
これらの役は、遊技状態別に役毎にプレイヤーに付与される遊技価値が予め定められている。役には、1枚から15枚の払い出しが付与される役、入賞による払い出しのあるなしにかかわらずビッグボーナスやレギュラーボーナス等の有利な遊技状態が付与される役、払い出しはないがメダルを投入することなく再度、同数のメダル投入条件で遊技が行える再遊技を付与される役がある。また、これらのすべての役がどの遊技状態においても必ずしも賞として定められているとは限らない。ある遊技状態では賞として成立するが、別の遊技状態においては賞として成立しないというような役も可能である。すなわち、各役の入賞毎によってプレイヤーに付与される遊技価値は、遊技状態毎に予め定められているおり常に一定であるとは限らない。
【0073】
本実施例においては、通常の遊技状態におけるプレイヤーに付与される遊技価値は、ベル役は7枚、スイカ役は15枚、チェリー役は2枚の払い出しが行われ、プラム役は再遊技が可能となる役とする。
【0074】
各種の役のうち、ベル役、スイカ役、チェリー役およびプラム役等の2枚から15枚程度の配当や再遊技が付与される等の比較的低い遊技価値に対応する役を総称して小役と呼ぶ。一方、BAR役が入賞すると、遊技状態がレギュラーボーナス(以下、適宜「RB」と省略して記載する。)と呼ばれる特定遊技状態に移行する。レギュラーボーナスでは、ジャックゲームを12回行うことができ、RB期間は、ジャックゲームを12回行うか、最大8回入賞すると終了となる。ジャックゲームは、1枚のメダルをベットして中央の入賞ラインL1のみを有効にして行われる。ジャックゲームの役としては、プラム役を採用する。この役を構成する図柄が入賞ラインL1に揃うとスロットマシン1は15枚のメダル払い出しを行う。つまり、通常の遊技状態ではプラム役が揃っても再遊技ができるだけであるが、レギュラーボーナス期間中に行われるジャックゲームにおいて、プラム役を構成する図柄が揃うと15枚のメダルの払い出しを受けることができる。また、後述するビッグボーナス中にはレギュラーボーナスの賞にプラム役を割り当てている。なお、RBの遊技状態では通常の遊技状態にはないジャックゲームが行われるので、通常の遊技状態と比較してRBの遊技状態はプレイヤーにとって有利な遊技状態であるといえる。
【0075】
また、青7役に入賞すると、遊技状態が通常の遊技状態からノーマルビッグボーナス(以下、必要に応じてビッグボーナスを「BB」と省略して記載する。)と呼ばれる第2遊技状態に移行する。ビッグボーナス期間中は、レギュラーボーナスが最大3回分行えるのに加えて、小役を高当選確率状態での遊技を最大30回成立させることが可能である。ノーマルビッグボーナスは、レギュラーボーナスと比較してより有利な遊技状態である。
【0076】
さらに、赤7役に入賞すると、遊技状態が通常の遊技状態からスーパービッグボーナスと呼ばれる第3遊技状態に移行する。スーパービッグボーナスは小役の報知を行う点でノーマルビッグボーナスと異なる。後述するように、スロットマシン1では、内部抽選を行い当選した役を構成する図柄が有効な入賞ラインL1〜L5上に揃うと入賞となる。このため、内部抽選によって当選している賞や役をプレイヤーが知ることができれば、プレイヤーは各リールR1〜R3をタイミング良く停止させることにより多くのメダルを獲得できる。小役の報知は、内部抽選によって当選している賞や役の種類をプレイヤーに知らせる。したがって、スーパービッグボーナスはノーマルビッグボーナスと比較してより有利な遊技状態である。
【0077】
<1−5:スロットマシンの電気的構成>
【0078】
図10は、スロットマシン1における遊技処理動作の制御を司る制御装置と、スロットマシン1を構成するもののうち本発明に関係のある周辺装置を含む回路構成とを示すブロック図である。
【0079】
制御装置は、制御基板30を主たる構成要素とする。制御基板30は、CPU31、クロック発生回路32、数列発生回路33、RAM34、ROM35、送出タイミング制御回路36、データ送出回路37、入力ポート38および出力ポート39を備える。
【0080】
CPU31は、送出タイミング制御回路36を除く制御基板30の各構成要素とバス(図示せず)を介して接続されている。CPU31は、制御プログラムCPを実行して各構成要素を制御する。制御プログラムCPには、スロットマシン1全体をどのように動作させるかが記述されている。このため、CPU31は、スロットマシン1の制御中枢として機能する。クロック発生回路32は、水晶振動子を含む発振回路を備えており、固定周期の基準クロック信号CLKを生成し、これをCPU31と数列発生回路33とに供給する。
【0081】
数列発生回路33は、高速のリングカウンタで構成されており、基準クロック信号CLKをカウントしてカウントデータCDを生成する。カウントデータCDの数値範囲は、後述する賞群抽選テーブルTBL1の記憶内容によるが、例えば、0〜59999である。カウントデータCDはCPU31に常時供給されており、CPU31は、プレイヤーがスタートレバー6を押し下げたタイミングを検知し、当該タイミングでカウントデータCDをサンプリングすることによって、第1サンプリングデータSD1を生成する。また、CPU31は、所定のタイミングでカウントデータCDをサンプリングすることによって第2サンプリングデータSD2を生成する。第1サンプリングデータSD1は内部抽選処理に用いられる一方、第2サンプリングデータSD2は演出抽選処理に用いられる。
【0082】
プレイヤーはカウントデータCDの値を知ることができないから、スタートレバー6がプレイヤーによって押し下げられるタイミングはランダムである。したがって、第1サンプリングデータSD1の値は乱数の中からある値をサンプリングしたものと等価である。なお、数列発生回路33は基準クロック信号CLKに同期して動作するので、カウントデータCDの周期は極めて短い。例えば、基準クロック信号CLKの周波数が30MHzであれば、カウントデータCDの値が「0」から「59999」まで変化するのに要する時間は、2msecである。したがって、プレイヤーが不正な手段によってカウントデータCDの値を知ることができたとしても、スタートレバー6を操作して所望の値を有する第1サンプリングデータSD1をCPU31に生成させることは不可能である。
【0083】
次に、RAM34は、CPU31の作業領域として機能し、演算処理の途中結果や必要に応じて生成されたデータ等を記憶する。
【0084】
ROM35には、制御プログラムCPの他、賞群抽選テーブルTBL1、停止テーブル群TBL2、入賞図柄組合せテーブルTBL3、演出抽選テーブル群4等が格納されている。入賞図柄組合せテーブルTBL3には、入賞役の図柄の組合せと、入賞役のメダル払出枚数とが対応づけられて記憶されている。
【0085】
本実施形態のスロットマシン1における役の種類としては、赤7役、青7役、BAR役、ベル役、スイカ役、チェリー役、およびプラム役があることは上述した通りである。赤7役の成立はスーパービッグボーナスに移行する契機となり、青7役の成立はノーマルビッグボーナスに移行する契機となる一方、BAR役の成立はレギュラーボーナスに移行する契機となる。また、小役の種類によってプレイヤーが獲得できる遊技価値は各々異なる。スロットマシン1の制御においては、遊技価値の相違に応じた制御が必要とされることから、遊技価値に着目して各種の役を分類しておくと便利である。赤7役(スーパービッグボーナス)と青7役(ノーマルビッグボーナス)とは、上述したように、小役の報知を除いて、一連のゲームの進行が同じである。そこで、本実施形態のスロットマシン1は、これらの役に1つの賞群を割り当てる。赤7役および青7役を含む賞群をBB賞という。また、他の役は、各役に対応して各賞群がある。BAR役に対応する賞群をRB賞、ベル役に対応する賞群をベル賞、スイカ役に対応する賞群をスイカ賞、チェリー役に対応する賞群をチェリー賞、プラム役に対応する賞群を再遊技賞という。
【0086】
図11に賞群抽選テーブルTBL1の記憶内容を示す。この図に示すように、賞群抽選テーブルTBL1は、第1〜第7記憶領域ADR1〜ADR7に抽選区分データを各々記憶している。抽選区分データの値は、各賞群に対応する抽選区分の大きさを示す。例えば、第1記憶領域ADR1に記憶される抽選区分データはハズレに対応しておりその値は「54000」である。また、第7記憶領域ADR7に記憶される抽選区分データはBB賞に対応しており、その値は「300」である。したがって、BB賞に当選する確率はハズレに当選する確率の1/180となる。
【0087】
図12は、賞群抽選テーブルTBL1を用いた内部抽選処理におけるCPU31の動作を示すフローチャートである。まず、CPU31は初期化処理を行う(ステップS1)。具体的には、変数Nの値を「0」にリセットするとともに内部レジスタに記憶している値を「0」にリセットする。
【0088】
次に、CPU31は、第1サンプリングデータSD1を内部レジスタに記憶し(ステップS2)、これに続いて、変数Nの値をN+1に変更する(ステップS3)。この後、CPU31はN番目の記憶領域から抽選区分データを読み出す(ステップS4)。初期化処理の直後の処理では、変数Nの値が「1」となるので、第1記憶領域ADR1から抽選区分データが読み出される。この場合の値は「54000」となる。
【0089】
次に、CPU31は内部レジスタの記憶内容を読み出し、読み出したデータ値と抽選区分データ値を加算し、加算値を内部レジスタに記憶する(ステップS5)。この結果、内部レジスタの記憶内容は、元のデータ値から加算値に更新されることになる。
【0090】
次に、CPU31は、加算値が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。基準値は、第1〜第7記憶領域ADR1〜ADR7に記憶されている各抽選区分データの値の総和と等しい。
【0091】
加算値が基準値未満の場合には、CPU31は処理をステップS3に戻し、加算値が基準値以上になるまでステップS3からステップS6の処理を繰り返す。そして、加算値が基準値以上になると、CPU31は処理をステップS7に進めて、変数Nの値に応じて賞群を決定し、内部抽選データを生成する。具体的にはN=1のときハズレ、N=2のとき再遊技賞、N=3のときチェリー賞、N=4のときベル賞、N=5のときスイカ賞、N=6のときRB賞、N=7のときBB賞に当選したと決定する。この結果、第1サンプリングデータSD1と賞群との対応は、図11に示すように、SD1=59999〜6000でハズレに、SD1=5999〜4200で再遊技賞に、SD1=4199〜3000でチェリー賞に、SD1=2999〜1740でベル賞に、SD1=1799〜900でスイカ賞に、SD1=899〜300でRB賞に、SD1=299〜0でBB賞に各々対応するものとなる。
【0092】
そして、CPU31は、判定結果に基づいて内部抽選データISDを生成する。内部抽選データISDは8ビットのデータであって、第1ビットにBB賞、第2ビットにRB賞、第3ビットにベル賞、第4ビットにスイカ賞、第5ビットにチェリー賞、第6ビットに再遊技賞が各々割り当てられている。内部抽選によっていずかの賞に当選すると、CPU31は該当するビットの値を「1」にし、該当しない場合にはビットの値を「0」にする。したがって、内部抽選データISDを参照すれば、当選しているかハズレているか、また当選している賞群を知ることができる。
【0093】
なお、以下の説明では、データ値が「1」である内部抽選データISDの第1ビットをBB賞の当選フラグと呼び、データ値が「1」である内部抽選データISDの第2ビットをRB賞の当選フラグと呼ぶ。また、BB賞とRB賞を区別しない場合には、単に当選フラグと呼ぶ。小役については、あるゲームにおいて内部抽選で当選しても当該ゲームで入賞しない限りメダルの払い出しはない。しかし、RB賞とBB賞についてはあるゲームの内部抽選で当選すると、当該ゲームで入賞しなくても当選フラグをリセットすることなく、以後のゲームで入賞するまで当選フラグを消去しない。このことを当選フラグの持ち越しという。
【0094】
次に、停止テーブル群TBL2は、複数の停止テーブルから構成されている。各停止テーブルには、中央の入賞ラインL1に表示される図柄番号PNとズレコマ数を示すズレコマ数データとが対応付けられて記憶されている。ここで、ズレコマ数とは、プレイヤーが各左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cを押し下げてから、各左・中・右リールR1、R2、R3が停止するまでに進む図柄の数のことをいう。
【0095】
各左・中・右リールR1、R2、R3は高速で回転するため、プレイヤーが特定の図柄を狙ってストップボタンを操作したとしても、所望の図柄を停止させるには、熟練が必要となる。ストップボタン操作の習熟には、プレイヤーの個人差がある。特に、動体視力の低いプレイヤーは所望の図柄を停止させることが難しい。一方、スキルの高いプレイヤーは、所望の図柄が入賞ラインに表示されている時に、ストップボタンを操作することが可能である。
【0096】
しかしながら、スキルの低いプレイヤーがゲームを楽しむためには、図柄をある程度揃い易くする必要がある一方、内部抽選の結果がハズレである場合には、役が成立しないようにリールの回転を制御する必要がある。
【0097】
停止テーブルは、このようなリール回転の制御ために用いられる。そして、各左・中・右リールR1、R2、R3の停止位置は、停止テーブルを参照して定める。図13に停止テーブルの一例を示す。この停止テーブルは左リールR1に対応するものである。この停止テーブルに記憶されているズレコマ数データは下部の入賞ラインL3にベルの図柄が停止し易いように設定されている。例えば、プレイヤーが、中央の入賞ラインL1に図柄番号PN=9で特定されるBARの図柄が表示されているタイミングで左リールストップボタン7aを押し下げたとする。この場合、図柄番号PN=9に基づいて停止テーブルを参照するとズレコマ数が3コマとなるズレコマ数データが選択される。したがって、選択されたズレコマ数データに基づいて左リールR1の回転を制御すれば、ベルの図柄(図柄番号PN=7)を入賞ラインL3に停止させることが可能となる。
【0098】
次に、演出抽選テーブル群4について説明する。演出抽選テーブル群4は複数の演出抽選テーブル41、42、…を含んでいる。各演出抽選テーブル41、42、…は、内部抽選データISDおよび遊技状態と対応付けられており、内部抽選データISDおよび遊技状態によって一つの演出抽選テーブルを選択できるようになっている。ここで、遊技状態とは、通常ゲーム期間、BBゲーム期間、あるいはRBゲーム期間といったようにプレイヤーに付与される遊戯価値に応じて区分けされる遊技の状態をいう。
【0099】
また、各演出抽選テーブル41、42、…は、演出コードCと第2サンプリングデータSD2とを対応付けて記憶している。演出コードCは、スタートレバー6の上下動の演出態様を指示する。C=0は一定間隔でスタートレバー6を上下動させる第1演出を指示し、C=1はスタートレバー6の上下動の間隔が次第に短くなる第2演出を指示し、C=2はスタートレバー6を上方向または下方向に所定時間だけ固定する第3演出を指示し、C=3はスタートレバー6の上下動により演出を行わないことを指示する。
【0100】
図14は、通常ゲーム期間かつ内部抽選データISDがBB賞に当選していることを示す場合に用いられる演出抽選テーブルTBL41の記憶内容を示す説明図である。この図に示すように、第2サンプリングデータSD2の幅は、演出コード値C=0のとき「10000」、C=1のとき「40000」、C=2のとき「10000」となっている。したがって、第2サンプリングデータSD2に基づいて演出抽選テーブルTBL41を参照すると、1/6の確率で演出コードC=0、2/3の確率で演出コードC=2、1/6の確率で演出コードC=3が得られる。
【0101】
但し、演出コードC=3には第2サンプリングデータSD2の割り当てがない。したがって、内部抽選でBB賞に当選している場合には、スタートレバー6を用いた何らかの演出が必ず行われることになる。
【0102】
図15は、通常ゲーム期間かつ内部抽選データISDが小役に当選していることを示す場合に用いられる演出抽選テーブルTBL42の記憶内容を示す説明図である。この図に示すように、第2サンプリングデータSD2の幅は、演出コード値C=0のとき「1000」、C=2のとき「49000」、C=3のとき「10000」となっている。したがって、第2サンプリングデータSD2に基づいて演出抽選テーブルTBL42を参照すると、1/60の確率で演出コードC=0、49/6の確率で演出コードC=2、1/6の確率で演出コードC=3が得られる。
【0103】
但し、演出コードC=1には第2サンプリングデータSD2の割り当てがない。したがって、内部抽選で小役に当選している場合には、上下動の間隔が次第に短くなる第2演出が行われることはなく、また、1/6の確率で演出が行われない。
【0104】
図10に戻り、制御装置の説明を続ける。同図に示す送出タイミング制御回路36とデータ送出回路37とは、内部抽選により決定された役の種類と、当該役に対応して選定された停止テーブルに関する情報等を液晶表示制御回路54に送信する役割を果たすものである。液晶表示制御回路54は各種の画像データを記憶したROMを備えており、必要に応じて画像データを読み出して液晶表示装置55に供給する。液晶表示装置55は、画像データに基づいて各種の画像を表示する。例えば、スーパービッグボーナス中に行う小役の報知は、CPU31がデータ送出回路37を介して液晶表示制御回路54に内部抽選データISDを送出し、液晶表示制御回路54が内部抽選データISDの指示する当選役に対応した画像データをROMから読み出し、読み出した画像データを液晶表示装置55に供給することによって行われる。
【0105】
また、入力ポート38は、後述する各種のセンサから供給される信号の入力インターフェースである。一方、出力ポート39は、各モータや各種装置に対して制御信号を供給するための出力インターフェースである。
【0106】
入力ポート38に接続され、各種の入力信号を発生する主要な入力信号発生手段としては、以下のものがある。投入メダル検出センサ41は、メダル投入口5を介して投入されるメダルを検知して、1個のメダルに対して1個の出力パルスを生成する。したがって、CPU31は、この出力パルスをカウントすることによって、投入されたメダル数を検知することができる。
【0107】
BETボタンセンサ42はBETボタン15の操作を検出する。スタートレバーセンサ43はスタートレバー6の操作を検出する。左・中・右リールストップボタンセンサ44、45、46は左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cの操作を各々検出する。左・中・右リール位置検出センサ47、48、49は、左・中・右リールR1、R2、R3の回転位置を検出し、検出信号47a、48b、49cを生成する。
【0108】
右リール位置検出センサ49は、図8に示すフォトカプラ492、増幅器、およびコンパレータを備える。フォトカプラ492は発光部と受光部とを含む。受光部が受光量に応じたレベルの受光信号を出力すると、増幅器が受光信号を増幅する。コンパレータは、増幅器の出力信号を予め定められた閾値と比較して検出信号49aを生成し、これを右リール位置検出センサ49の出力信号として出力する。右リールR1が回転すると、図2に示す遮光片491はフォトカプラ492を1回転1回通過する。したがって、検出信号49aによって、右リールR3の回転位置を検知することができる。なお、左・中位置検出センサ47、48は、右リール位置検出センサ49と同様に構成されている。
【0109】
出力ポート39に接続され、各種の出力信号の供給を受ける主要な手段としては、左・中・右リール駆動モータ51、52、53と電磁石駆動回路21とがある。
【0110】
左・中・右リール駆動モータ51、52、53は、左・中・右リールR1、R2、R3をそれぞれ回転駆動するモータであって、この例では、ステッピングモータによって構成されている。したがって、CPU31は左・中・右リール駆動モータ51、52、53に供給する各駆動信号51、52a、53aのパルス数を調整することによって、左・中・右リールR1、R2、R3の停止位置を正確に定めることが可能である。
【0111】
また、各モータ51、52、53は、420個のパルスによって1回転するように構成されている。上述したように各リールR1、R2、R3には、21個の図柄が形成されているので、20個のパルスをモータに供給することによって1個の図柄を進めることができる。また、CPU31は、各モータ51、52、53に供給するパルス数をカウントし、カウント結果を各位置データMD1、MD2、MD3として保持している。また、各位置データMD1、MD2、MD3の値は検出信号47a、48a、49aがアクティブとなるタイミングでリセットされるようになっている。
【0112】
図16は、検出信号49a、図柄番号PN、駆動信号53a、および位置データMD3の関係を示すタイミングチャートである。この図に示すように、時刻t1において検出信号49aがローレベルからハイレベルに立ち上がると、位置データMD3の値はリセットされる。時刻t1は、図8に示す遮光片491がフォトカプラ492を通過するタイミングである。このとき、右リールR3の回転位置は、図9に示す図柄番号PN=1の図柄(ベル)が、表示窓4cの中段に表示される。換言すれば、当該図柄が表示窓4cの中段に表示されるように遮光片491とフォトカプラ492との取り付け位置が定められている。
【0113】
そして、時刻t1から時刻t2までの期間に、20個のパルスが駆動信号53aとして左リール用駆動モータ51に供給されると、右リール用駆動モータ53は右リールR3を1/21回転させる。この結果、表示窓4cの中段には図3に示す図柄番号PN=2の図柄(プラム)が表示されることになる。以下、同様に図柄が順次表示され、時刻t3に至ると、右リールR3が1回転して再び図柄番号PN=1の図柄(ベル)が表示される。このように、検出信号49a、図柄番号PN、駆動信号53a、および位置データMD3は密接に関係しているから、CPU31は、位置データMD3に基づいて、図柄の表示状態を検知することができる。
【0114】
なお、左リールR1および中リールR2についても上述した右リールR3と同様に、CPU31は、位置データMD1、MD2に基づいて、図柄の表示状態を検知することができる。
【0115】
次に、電磁石駆動回路21は、制御信号21aに基づいてスタートレバー6のコイル76に駆動電流21Aを供給する。図17は電磁石駆動回路21とその周辺構成の回路図である。コイル76の一端には電源電圧Vddが給電される一方、コイル76の他端は抵抗211を介してトランジスタ210のコレクタに接続されている。トランジスタ210のエミッタは接地されており、そのベースには制御信号21aが供給される。
【0116】
以上の構成において、制御信号21aがハイレベル(アクティブ)になると、トランジスタ210がオン状態となって、コイル76に駆動電流21Aが供給される。一方、制御信号21aがローレベル(非アクティブ)になると、トランジスタ210がオフ状態となって、コイル76には駆動電流21Aが供給されない。したがって、制御信号21aがハイレベルであれば、第2磁石部74を電磁石として作用させ、第1磁石部70と第2磁石部74との間に反発力を付与することができる一方、制御信号21aがローレベルであれば、第2磁石部74を単なる強磁性体として作用させ、第1磁石部70と第2磁石部74との間に吸引力を付与することが可能である。
【0117】
これにより、制御信号21aがハイレベルであればスタートレバー6が上方向または下方向に動き、制御信号21aがローレベルであればスタートレバー6は定常状態(中央位置)に復帰する。
【0118】
上述したように、演出抽選テーブル群TBL4は、内部抽選データISDおよび遊技状態と制御信号21aの論理レベルの反転パターンとを対応付けて記憶している。そして、CPU31は、プレイヤーによってスタートレバー6が操作されてから、各リールR1〜R3が予め定められた速度になるまでの期間において、スタートレバー6を上下動させる。これにより、プレイヤーはリールストップボタン7a、7b、7cを操作する前に、BB賞や小役に当選していること知ることができる。
【0119】
<1−6:スロットマシンの全体動作>
【0120】
次に、スロットマシン1の全体動作を説明する。図18はCPU31が制御プログラムCPに従ってスロットマシン1を1ゲームの開始から終了まで制御する動作を示すフローチャートである。
【0121】
CPU31は、投入メダル検出センサ41およびBETボタンセンサ42からの検出信号に基づいて、プレイヤーがベット操作を行ったか否かを判定し(ステップS10)、ベット操作有りと判定した場合には処理をステップS11に進める。
【0122】
ステップS11において、CPU31は、スタートレバーセンサ43の検出信号に基づいて、プレイヤーがスタートレバー6を操作したか否かを判定する。プレイヤーがスタートレバー6の摘み67を操作するとロッド60が回動する。すると、フォトカプラ432の発光部から照射される光を遮光していた遮光片431がロッド60とともに移動し、フォトカプラ432の受光部で光を受光することになる。受光部の出力信号は増幅器を介してコンパレータに供給される。コンパレータは増幅器の出力信号を基準値と比較して検出信号を生成する。ここで、基準値は、スタートレバー6をある程度回動させたときに、検出信号がアクティブとなるように設定されている。したがって、フロントドア3に物がぶつかった衝撃や振動等によって検出信号がアクティブになることはなく、プレイヤーがスタートレバー6を操作することにより検出信号は始めてアクティブとなる。
【0123】
この後、CPU31は、ベット操作を禁止する処理を行う(ステップS12)。これにより、プレイヤーがメダルの投入やBETボタン15を操作しても受け付けが拒否される。
【0124】
次に、CPU31は、制御プログラムCPに従って、内部抽選処理を実行し(ステップS13)、BB賞またはRB賞に当選していれば当選フラグをセットする(ステップS14)。内部抽選処理および当選フラグのセットは、次の手順で行われる。第1に、CPU31は、スタートレバーセンサ43の検出信号がアクティブとなったタイミングで、カウントデータCDをサンプリングして第1サンプリングデータSD1を取得する。第2に、CPU31は、ROM35に格納されている賞群抽選テーブルTBL1を参照して、内部抽選データISDを生成する。例えば、賞群抽選テーブルTBL1の記憶内容が図4に示すものであり、第1サンプリングデータSD1の値が「150」であるものとすれば、内部抽選データISDは、BB賞の当選を示すものとなる。この場合、CPU31は、内部抽選データISDの第1ビットに当選フラグをセットする。
【0125】
次に、CPU31は、遊技演出処理を行う(ステップS15)。遊技演出処理の詳細については後述するが、当該処理では、内部抽選データISDや遊技状態(通常ゲームやBB中といった遊技の状態)等に基づいて、スタートレバー6を用いた演出を実行する。具体的には、リールR1〜R3の回転速度が一定速度に達するまでの期間において、第2磁石部74のコイル76に給電する電流をオン・オフすることによって、スタートレバー6を上下に動作させる。
【0126】
次に、CPU31は、リール回転処理を実行する(ステップS16)。具体的には、駆動信号51a〜53aをアクティブにする。すると、左・中・右リール駆動モータ51〜53が回転を開始し、それに伴って左・中・右リールR1〜R3が回転する。
【0127】
この後、CPU31は、リール回転停止処理を実行する(ステップS17)。リール回転停止処理は以下の手順で行われる。第1に、CPU31は今回、押下されたリールストップボタン7a〜7cの種別を特定する。第2に、CPU31は、内部抽選データISDと特定したボタンの種別とに基づいて、停止テーブル群TBL2の中から1つの停止テーブルを選択する。第3に、CPU31は選択した停止テーブルを参照してリールの停止位置を決定する。この場合、CPU31は各リールストップボタン7a、7b、7cが押し下げられたタイミングを各リールストップボタンセンサ44〜46からの信号に基づいて検知し、当該タイミングにおける図柄番号PNを取得する。そして、CPU31は、図柄番号PNに基づいて停止テーブルを参照してスベリコマ数データを読み出し、当該データが指示するスベリコマ数だけ、リールの回転が進むように各リール駆動モータ51〜53を制御する。各リール駆動モータ51〜53は、ステッピングモータによって構成されているから、CPU31はスベリコマ数に応じた数の駆動パルスを各リール駆動モータ51〜53に与える。第4に、CPU31は全てのリールが停止したか否かを判定し、全てのリールが停止するまで、上述した第1〜第3の処理を繰り返す。全てのリールが停止すると、リール回転停止処理が終了する。
【0128】
次に、CPU31は、小役に入賞したか否かを判定し(ステップS18)、小役に入賞していれば、CPU31は入賞図柄組合せテーブルTBL3を参照して入賞役に応じた数のメダルの払い出しを行うよう各部の制御を行う(ステップS19)。
【0129】
一方、小役に入賞していなければ、CPU31は、RBゲーム中か否かを判定する(ステップS20)。本実施形態においては、後述するRBゲーム開始処理(ステップS23)においてRBゲーム中であることを示すRBフラグをセットし、RBゲーム終了判断処理(ステップS21)においてRBフラグをリセットするようになっている。したがって、RBゲーム中か否かの判定は、RBフラグがセットされているかリセットされているかに基づいて行われる。
【0130】
CPU31は、RBゲーム中であると判定した場合には、処理をステップS21に進め、RBゲーム終了判断処理を実行する。RBゲーム終了判断処理では、RBゲームが所定回数行われたか否かを判定し、所定回数行われた場合にはRBフラグをリセットする。
【0131】
一方、RBゲーム中でない場合には、ステップS20の判定結果は「NO」となり、CPU31はRB賞に入賞したか否かを判定する(ステップS22)。RB賞に入賞している場合には、CPU31は、RBゲーム開始処理を実行する(ステップS23)。この処理では、RBフラグがセットされる。
【0132】
次に、RB賞に入賞していなければ、CPU31はBBゲーム中か否かを判定する(ステップS25)。上述したRBゲームに関する処理と同様に、本実施形態においては、後述するBBゲーム開始処理(ステップS27)においてBBゲーム中であることを示すBBフラグをセットし、BBゲーム終了判断処理(ステップS25)においてBBフラグをリセットするようになっている。したがって、BBゲーム中か否かの判定は、RBフラグがセットされているかリセットされているかに基づいて行われる。なお、ステップS25からステップS27までのBBゲームに関する処理は、ステップS21からステップS23までのRBゲームの処理と同様であるので、説明を省略する。
【0133】
次に、CPU31は再遊技賞に入賞しているか否かを判定する(ステップS28)。再遊技賞に入賞すると、ベット操作を行うことなく、前ゲームで有効化された入賞ラインと同じ入賞ラインが自動的に有効化される。このため、再遊技賞に入賞している場合には、CPU31は、処理をステップS11に戻す。
【0134】
この後、CPU31はBB賞またはRB賞の取りこぼしがあったか否かを判定する(ステップS29)。BB賞またはRB賞の取りこぼしとは、内部抽選処理(ステップS13)においてBB賞またはRB賞に当選している状態で、BB賞またはRB賞に入賞できなかったことをいう。ステップS29の処理において、CPU31は、当選フラグがセットされており、かつ、RBフラグまたはBBフラグがリセットされている場合にBB賞またはRB賞の取りこぼしが有ったと判定する一方、その他の場合はBB賞またはRB賞の取りこぼしが無かったと判定する。
【0135】
ステップS29の判定結果が「NO」の場合には、当選フラグをクリアするとともに内部抽選データISDの各ビットのデータ値を「0」にリセットする(ステップS30)。これにより、当選フラグの持ち越しが解消される。
【0136】
一方、ステップS29の判定結果が「YES」の場合には、CPU31は、当選フラグをリセットすることなく、処理をステップS31に進め、ベット操作の禁止を解除する。これにより、当選フラグが次のゲームに持ち越されることになる。
【0137】
<1−7:スタートレバーによる報知動作>
【0138】
次に、スタートレバー6を用いた報知動作について説明する。図19は、CPU31が制御プログラムCPに従って制御信号21aを生成する全体過程を示すフローチャートである。まず、CPU31は内部抽選データISDおよび遊技状態を参照して、演出抽選テーブル群TBL4の中から一つの演出抽選テーブルを選択する(ステップS40)。例えば、通常ゲーム期間かつ内部抽選データISDがBB賞に当選していることを示す場合には、図14に示す演出抽選テーブルTBL41が選択され、通常ゲーム期間かつ内部抽選データISDが小役に当選していることを示す場合には、図15に示す演出抽選テーブルTBL42が選択される。
【0139】
次に、CPU31は、第2サンプリングデータSD2を取得し、これをキーとして選択した演出抽選テーブルを検索し、対応する演出コードCを特定する(ステップS41)。例えば、選択された演出抽選テーブルが演出抽選テーブルTBL41であり、第2サンプリングデータSD2の値が「15000」であれば演出コードCの値は「1」となる。
【0140】
この後、CPU31は、演出初期化処理を行う。具体的には、演出コードCの値に対応する演出タイマ値TM、切替間隔値TMS等の変数について初期値を設定する。
【0141】
ここで、演出タイマ値TMは、演出を実行する残り時間を示す。演出タイマ値TMの初期値は、スタートレバー6がプレイヤーによって操作されてから、リールストップボタン7a、7b、7cの操作が有効になるまでの時間よりも短く設定されている。すなわち、スタートレバー6による演出は、リールストップボタン7a、7b、7cの操作が有効になる前に終了するように設定されている。このように演出タイマ値TMの初期値を設定したのは、仮にスタートレバー6による演出時間が長いと、リールストップボタン7a、7b、7cの操作が終了してプレイヤーが次のゲームのベット操作を完了した時点でもスタートレバー6が自動的に上下動して内部抽選が行われる可能性があるからである。
【0142】
また、切替間隔値TMSは、コイル76に給電する電流21Aのオン時間・オフ時間を指定する。この切替間隔値TMSを調整することによって、スタートレバー6の上下動の周期を調整することが可能となる。
【0143】
次に、CPU31は演出処理を実行する。この演出処理は、所定周期の割り込み処理によって行われる。割り込み周期は、例えば、5msecである。図20は、演出処理の詳細なフローチャートである。
【0144】
図20に示すように、まず、CPU31は演出タイマ値TMが「0」であるか否かを判定する(ステップS50)。演出タイマ値TMが「0」であれば、既に演出は終了したことを示しているので、演出処理を終了する。
【0145】
一方、演出タイマ値TMが「0」と不一致であれば、CPU31は処理をステップS51に進めて、TM−1を算出し、算出結果で演出タイマ値TMを更新する。これによって、演出タイマ値TMは、「1」だけ減ることになる。
【0146】
次に、CPU31は演出コードCの値が「0」であるか否かを判定し、「0」であれば第1演出処理を実行する(ステップS53)一方、「0」でなければ処理をステップS54に進める。
【0147】
ステップS54において、CPU31は演出コードCの値が「1」であるか否かを判定し、「1」であれば第2演出処理を実行する(ステップS55)一方、「1」でなければ処理をステップS56に進める。
【0148】
ステップS56において、CPU31は演出コードCの値が「2」であるか否かを判定し、「2」であれば第3演出処理を実行する(ステップS57)一方、「2」でなければ演出処理を終了する。これは、ステップS56の判定結果が「NO」となるのは、演出コードCの値が「3」となる場合であるが、上述したようにC=3の場合には演出を行わないからである。
【0149】
次に、CPU31は、演出タイマ値TMの値が「0」と一致するか否かを判定する(ステップS58)。一致する場合には、所定時間だけ演出処理が行われたことになるから、制御信号21aをローレベルに設定して演出処理を終了する。これにより、スタートレバー6は定常状態に戻る。一方、演出タイマ値TMが「0」でなければ演出動作中である。この場合には、制御信号21aの論理レベルを維持したまま演出処理を終了し、次の割り込みを待つことになる。
【0150】
次に、第1乃至第3演出処理について説明する。図21は第1演出処理におけるCPU31の動作を示すフローチャートである。まず、CPU31は、切替タイマ値TMSが「0」であるか否か判定する(ステップS60)。切替タイマ値TMSは、現時点から制御信号21aの論理レベルを反転するまでの残り時間を指示する。したがって、切替タイマ値TMSの値が「0」でなければ、制御信号21aの論理レベルを維持することになる。この場合、CPU31は、処理をステップS61に進め、TMS−1を算出し、算出結果によって切替タイマ値TMSを更新する。これによって、割り込み処理がなされる度に切替タイマ値TMが減っていく。
【0151】
そして、ステップS61が終了するか、ステップS60の判定結果がYESの場合、CPU31は処理をステップS62に進めて、切替タイマ値TMSが「0」と一致するか否かを判定する。切替タイマ値TMSが「0」であれば、切替間隔値TMRを切替タイマ値TMSに設定する(ステップS63)。
【0152】
例えば、今回の第1演出処理が、プレイヤーがスタートレバー6を操作してから最初の割り込み処理中に行われるものであるとする。この場合には、切替タイマ値TMSは、初期化処理(図19に示すステップS42)によって、「0」に設定されているから、ステップS60およびS62の判定結果はいずれもYESとなり、切替間隔値TMRが切替タイマ値TMSとして設定される。
【0153】
この後、CPU31は制御信号21の論理レベルを反転し(ステップS64)、処理を終了する。
【0154】
すなわち、第1演出処理では、制御信号21aの論理レベルを切替間隔値TMRで反転するので、コイル76には切替間隔値TMの周期で電流21Aが給電される。この結果、スタートレバー6は切替間隔値TMの周期で上下動を繰り返す。
【0155】
次に、図22は第2演出処理におけるCPU31の動作を示すフローチャートである。第2演出処理におけるステップS70〜S73の処理は、上述した第1処理のステップS60〜S63の処理と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0156】
ステップS74において、CPU31は、TMR−1を算出し、算出結果によって切替間隔値TMRを更新する。この後、CPU31は、制御信号21aの論理レベルを反転する(ステップS75)。この更新処理は、ステップS72の判定結果がYESの場合、切替タイマ値TMSが「0」のときに行われる。つまり、切替タイマ値TMSが「0」となる度に、切替間隔値TMRが減少していく。したがって、スタートレバー6が上下動する間隔が次第に短くなっていく。これによって、プレイヤーは、一定周期でスタートレバー6が上下動する第1演出と第2演出とを区別することができる。すなわち、第1演出処理および第2演出処理においては、電流21Aをオンまたはオフの一方の状態にしてから他方の状態へ変化させるまでの時間を変化させることができる。
【0157】
図23は第3演出処理におけるCPU31の動作を示すフローチャートである。第3演出処理において、CPU31は制御信号21aをハイレベルに設定する。これにより、スタートレバー6は、定常状態(中央位置)から上方向または下方向に傾いて、その状態を演出タイマ値TMが「0」になるまで維持する。プレイヤーは、スタートレバー6が上下動する第1および第2演出と、スタートレバー6の傾きが固定される第3演出を区別することができる。
【0158】
このように本実施形態においては、スタートレバー6の傾きを内部抽選の結果および遊技状態に基づいて調整したので、プレイヤーに内部抽選によってBB賞に当選していること、あるいは小役に当選していることを報知することが可能となる。スタートレバー6による報知は、ゲームを開始するためにプレイヤーがスタートレバー6を操作した直後に行われるから、プレイヤーに所定の情報を確実に報知することができる。
【0159】
また、従来より行われていた視覚による報知は、スロットマシン1の上部に取り付けられた液晶表示装置55を用いていた。しかし、ゲーム中のプレイヤーは、表示窓4a、4b、および4cに表示される図柄を注視している。一方、RB賞やBB賞に当選していることの報知は、プレイヤーにとって入賞を獲得するための有利な条件を知らせるものであるから、プレイヤーはゲーム中に報知が気になり、液晶表示装置55に目線を移動させて、報知があるか否かを確認することになる。気の短いプレイヤーはゲーム毎に報知を確認すべく液晶表示装置55へ目線を移動させる。このように、目線の移動を頻繁に行うと、短時間で目が疲れてしまい、ゲームを長時間楽しむことができなかった。
【0160】
また、聴覚による報知は、スタートレバー6の操作時やあるいはリールストップボタン7a、7b、および7cの操作時に特別の音を内蔵スピーカから放音することにより行われていた。しかし、スロットマシン1が設置されるホールは、案内の放送音や他の装置からの効果音等が溢れており、音を聞き取りにくい状況にある。したがって、プレイヤーは特別な音を聞き分けることができないことがあり、特に、耳の遠いプレイヤーにとっては折角の報知を認識しずらいといった問題があった。
【0161】
しかしながら、本実施形態によれば、スタートレバー6の上下動によって報知を行うので、プレイヤーの目が疲労したり、あるいは、聞き取り難いといったことがなく、プレイヤーに対して確実に報知することが可能となる。この結果、プレイヤーは、一連のゲームを安心して楽しむことができる。しかも、スタートレバー6はゲームを開始するために必須の構成である。したがって、スタートレバー6と報知装置とを兼用することにより、スロットマシン1の全体構成を簡易なものにすることができる。
【0162】
<2.応用例>
【0163】
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うスタートレバー6およびスロットマシン1もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。例えば、以下に述べる応用例は、本発明に包含されることは勿論である。
【0164】
(1)上述した実施形態において、スタートレバー6は、第1磁石部70を連結棒73と永久磁石71、72で構成したが、連結棒73を永久磁石として、その両端に永久磁石71、72と同一の形状をした補助部材を固着してもよい。なお、補助部材としては鉄等の強磁性体を用いる。
【0165】
(2)上述した実施形態のスタートレバー6は、第1磁石部70と第2磁石部74のうち第2磁石部74を電磁石として構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1磁石部70を電磁石で構成し、第2磁石部74を永久磁石としてもよい。この場合、図24に示すように第1磁石部70のコイル70Aをロッド60を中心として左右に分割するように構成することが好ましい。ロッド60は回転軸61を中心として回動するのでバランスを取る必要があるからである。
【0166】
さらに、第1磁石部70と第2磁石部74の両方を電磁石で構成してもよい。この場合には、一方の磁石部に常時電流を供給することによって永久磁石として作用させ、他方の磁石部に供給する電流を制御すればよい。すなわち、第1磁石部70と第2磁石部74のうち少なくとも一方が電磁石であればよい。
【0167】
(3)上述した実施形態のスタートレバー6において、第1磁石部70と第2磁石部74のうち、一方を強磁性体で構成し他方を磁石としてもよい。この場合には、磁石を電磁石で構成すれば反力を調整することができるが、磁石を永久磁石で構成すると反力を調整することはできない。しかし、永久磁石を用いた場合であってもロッド60を元の状態(初期状態)に戻す復帰力は電磁力によって与えられるから、バネ等の機械的な弾性体によって復帰力を与える従来のレバーと比較して、耐久性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0168】
(4)上述した実施形態および応用例のスタートレバー6において、電球やLED等の光源を内蔵するようにしてもよい。例えば、図25(A)に示すように摘み67の内部に光源90を配置し、摘み67を半透明の部材で構成してもよい。また、ロッド60の内部に光源90と導光部材とを設け、光源90からの光を導光部材を介して摘み67に導いて摘み67を光らせてもよい。摘み67はプレイヤーが操作する際に衝撃を受けやすいが、回転軸61の近傍は衝撃が少ないので、そのような位置に光源90を配置することによって、衝撃から光源90を保護することが可能となる。さらに、図25(B)に示すように鍔部64の外径を小さくし、光源90を内蔵した円環状の部材91を鍔部64に固定してもよい。
【0169】
このように光源90を内蔵したスタートレバー6において、光源90を点灯させるための電流は、演出期間だけ、CPU31の制御の下、電流供給回路(図示せず)から供給されるようになっている。これにより、スタートレバー6を上下動させるとともに、光源90を光らせることが可能となる。スタートレバー6が通常とは異なる動作をすると、当該スロットマシン1でゲームを始めて楽しむプレイヤーは、スタートレバー6の故障と誤解する可能性があるが、光源90を同時に点灯させることによって、プレイヤーに対して何らかの情報の報知であると認識させることができる。また、通常時は光源90が点灯しないので、上下動と併せてゲームの進行にメリハリを付けるといった演出効果を奏する。
【0170】
(5)上述した実施形態および応用例のスタートレバー6は、ゲーム機におけるコントローラの操作部に適用してもよい。この場合には、ゲームプログラムに記述されている何らかの条件を満たす場合に、コイルに電流が供給され、スタートレバー6が自律的に動くことになる。
【0171】
(6)上述した実施形態において、スタートレバー6の上下動は内部抽選データISD等に基づいて行ったが、本発明は何らかの情報を上下動によってプレイヤーに告知するものであるから、内部抽選データISD以外の所定の情報に基づいて上下動を制御してもよい。例えば、スロットマシン1を制御するために遊技の進行に応じて生成される遊技情報に基づいて、コイル76に供給する電流を制御するようにしてもよい。
【0172】
この遊技情報はスロットマシンを制御するために遊技の進行に応じて生成されるものであるから、例えば、内部抽選の結果を示す内部抽選データISDや、ATゲームに関する情報等が該当する。ここで、ATゲームとは、内部抽選で当選している小役の種別や、当選している小役を入賞させるために適したリールストップボタン7a、7b、7cの押し順を報知するゲームをいう。ATゲームの一連の流れは、例えば、以下のように行われる。第1に内部抽選においてハズレに抽選された場合に、ATゲームの権利を発生させるか否かの第1抽選を行う。第2にこの抽選でATゲームの権利が発生した後、さらにATゲームを発動させる第2抽選を行う。但し、第2抽選はATゲームの権利が発生している場合にのみ行う。第3に第2抽選で当選するとATゲームを所定回数だけ行うといったものである。つまり、ATゲームに至る一連の流れは、権利は発生しているが発動されていない潜伏期間と実際に小役の報知が行われる発動期間に大別することができる。また、潜伏期間と発動期間とを合わせてAT期間と呼ぶことにする。スロットマシン1の制御にあっては、潜伏期間と発動期間とを区別するための情報を遊技の進行に応じて生成している。そして、そのような遊技情報に基づいて、コイル76に供給する電流を制御してもよい。
【0173】
例えば、遊技情報が潜伏期間であること示す場合に第3演出処理を行えば、プレイヤーはスタートレバー6が上方向または下方向に傾いて停止したときに、ATゲームの権利が発生していることを知ることができる。また、発動期間あるいはAT期間においてコイル76に電流を供給してもよい。
【0174】
(7)また、上述した実施形態および応用例では、スロットマシンの一例として、リールR1〜R3を備えた機械的なスロットマシン1を一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リールの画像をディスプレイに表示するいわゆるビデオスロットも含まれる。ビデオスロットでは、リールストップボタンが省略されており、プレイヤーがスタートレバーを操作するとリールの画像が可変表示を開始して自動的に停止する。すなわち、入賞はスタートレバーの操作のみによって決定される。したがって、スタートレバー6の上下動は、情報の報知としての役割よりゲームの進行にメリハリをつけるといった演出の効果が大きい。
【0175】
(8)また、上述した実施形態および応用例において、第1〜第3演出処理を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。要は、演出抽選テーブルに記憶する演出コードが、電流21Aのオン・オフのパターンを指示するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0176】
さらに、CPU31は、内部抽選データISDと第1サンプリングデータSD1に基づいて役に当選している期待度を決定し、期待度に基づいて電磁石74に供給する電流21Aのオン・オフを制御するようにしてもよい。この場合、CPU31は、ハズレも含む第1サンプリングデータSD1と期待度とを対応付けた第1テーブルを参照し、期待度を決定する。また、期待度と演出コードCとを対応付けた第2テーブルを参照して、演出コードCを決定する。そして、この演出コードCに基づいて、上述した演出初期化処理および演出処理(図19に示すステップS42およびS43)を実行すればよい。
【0177】
(9)上述した実施形態において、電磁石74に供給する電流21Aの「オン」は一定の値であり、「オフ」は電流21Aを流さないことととして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スタートレバー6の傾きがある基準角度以上となる第1状態と基準角度未満となる第2状態となるように制御できればよい。すなわち、電流21Aを、スタートレバー6を基準角度に傾ける基準電流値以上のオンと、基準電流未満のオフとの間で制御できればよい。例えば、電磁石に給電する電流の値を基準電流値以上の第1電流値、基準電流値未満の第2電流値といったように2値的に制御してもよいし、あるいは、電流が取りえる値として、基準電流値以上の第1電流値および第2電流値、ならびに基準電流値未満の第3電流値および第4電流値を採用して、4値で制御してもよい。この場合には、レバーの傾きは4つの状態を取るが、基準角度以上に傾いた2つの状態は第1状態に相当し、基準角度未満に傾いた2つの状態は第2状態に相当する。さらに、基準角度は、スタートレバーセンサ43の出力信号が非アクティブからアクティブに切り替わる角度であってもよい。
【0178】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のレバーによれば、バネ等の機械的な弾性体を用いることなく、反力を磁力によって付与することができるから、耐久性を飛躍的に向上させることができる。また、電磁石に供給する電流を制御することによって反発力を調整できるので、所定の情報を知らせることができる。さらに、このレバーをリールの回転開始を指示する操作部材に用いたスロットマシンにあっては、所定の情報を確実にプレイヤーに知らせることができ、ゲームの楽しみを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観を示す斜視図である。
【図2】スタートレバー6をその中心軸を含む面で切断した構成を示す断面図である。
【図3】スタートレバー6を図2の切断面と直交する面で切断した断面図である。
【図4】スタートレバー6が中心位置にあるときの磁束を示す説明図である。
【図5】スタートレバー6を左に傾けた場合のギャップG1の近傍に生じる磁束の変化を示す説明図である。
【図6】(A)はスタートレバー6が定常状態における第1磁石部70に作用する力を示す説明図であり、(B)はスタートレバー6を左に傾けた状態における第1磁石部70に作用する力を示す説明図である。
【図7】反発力を作用させる場合に第1磁石部70および第2磁石部74で発生する磁極を示す説明図である。
【図8】左・中・右リールR1、R2、R3および周辺構成を示す斜視図である。
【図9】左・中・右リールR1、R2、R3に表示される図柄の一例を示す説明図である。
【図10】スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】賞群抽選テーブルTBL1の記憶内容の一例を示す説明図である。
【図12】内部抽選処理におけるCPU31の動作を示すフローチャートである。
【図13】停止テーブルの一例を示す説明図である。
【図14】通常ゲーム期間かつ内部抽選データISDがBB賞に当選していることを示す場合に用いられる演出抽選テーブルTBL41の記憶内容を示す説明図である。
【図15】通常ゲーム期間かつ内部抽選データISDが小役に当選していることを示す場合に用いられる演出抽選テーブルTBL42の記憶内容を示す説明図である。
【図16】検出信号49a、図柄番号PN、駆動信号53a、および位置データMD3の関係を示すタイミングチャートである。
【図17】電磁石駆動回路21の構成例を示す回路図である。
【図18】CPU31が制御プログラムCPを実行したときのスロットマシン1の全体動作を示すフローチャートである。
【図19】CPU31が制御プログラムCPに従って制御信号21aを生成する全体過程を示すフローチャートである。
【図20】図19に示す演出処理の詳細なフローチャートである。
【図21】図20に示す第1演出処理のフローチャートである。
【図22】図20に示す第2演出処理のフローチャートである。
【図23】図20に示す第3演出処理のフローチャートである。
【図24】第1磁石部70を電磁石で第2磁石部74を永久磁石で構成した応用例に係るスタートレバー6の一部断面図である。
【図25】光源90を内蔵するスタートレバー6の応用例の構造を示す断面図である。
【図26】従来のレバーの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 スロットマシン
6 スタートレバー
31 CPU(抽選部)
60 ロッド(操作子)
70 第1磁石部
71 第1永久磁石
72 第2永久磁石
74 第2磁石部
75 鉄芯(強磁性体)
76 コイル
90 光源
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール

Claims (6)

  1. 複数種類の図柄の可変表示が可能な複数の表示列を備え、前記各表示列における図柄の可変表示が停止した状態で、前記各表示列を横切る入賞ラインに予め定められた図柄の組合せである役が揃うと、入賞した役に応じた遊技価値を付与する遊技機において、
    プレイヤーが前記各表示列の可変表示を開始させる指示を入力する部材であって、回転軸に支えられた操作子と、前記操作子の端部に固定された第1磁石部と、前記第1磁石部とギャップを介して対向するように配置された第2磁石部とを有し、前記第1磁石部と前記第2磁石部のうち、一方は強磁性体とコイルとを備える電磁石であり他方は永久磁石であるレバーと、
    前記操作子の操作タイミングに基づいて、一つまたは複数の前記役の集まりである各賞群に対応する各区分とハズレの区分とを含む抽選区分の中から一つを抽選し、抽選結果を示す内部抽選情報を生成する抽選部と、
    前記内部抽選情報に基づいて前記コイルに供給する電流のオンからオフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すように制御し、前記オフのとき、前記強磁性体と前記永久磁石との間に吸引力を作用させて前記操作子を定常状態に付勢させ、前記オンのとき、前記電磁石と前記永久磁石との間に反発力が作用する方向の電流を前記操作子が前記定常状態から予め定められた基準角度以上に傾く大きさだけ前記コイルに供給する制御部とを備える、
    ことを特徴とする遊技機。
  2. 前記各表示列毎に設けられ、前記プレイヤーが前記各表示列に可変表示される図柄を停止させる指示を入力するための各停止操作部を備え、
    前記制御部は、前記プレイヤーが前記操作子を操作してから、一定期間が経過するまで、前記各停止操作部の操作を無効にするとともに、当該一定期間の全部または一部において、前記内部抽選情報に基づいて前記コイルに供給する電流のオンからオフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すように制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記制御部は、前記内部抽選情報に基づいて、前記コイルに供給する電流を前記オンから前記オフへおよび前記オフから前記オンへ切り替える回数を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
  4. 前記制御部は、前記コイルに供給する電流を前記オンまたは前記オフの一方の状態にしてから他方の状態へ変化させるまでの時間を、前記内部抽選情報に基づいて変化させることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の遊技機。
  5. 前記内部抽選情報に対応付けられた複数の抽選テーブルを備え、各抽選テーブルは、複数の演出コードを記憶しており、前記演出コードは、前記コイルに供給する電流の前記オンから前記オフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すパターンを指示するものであり、
    前記制御部は、前記内部抽選情報に基づいて前記抽選テーブルを選択し、選択された抽選テーブルを参照して、抽選により一つの演出コードを特定し、特定された演出コードに従って前記コイルに供給する電流を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の遊技機。
  6. 複数種類の図柄の可変表示が可能な複数の表示列と、プレイヤーが前記各表示列の可変表示を開始させる指示を入力するレバーとを備え、前記レバーは、回転軸に支えられた操作子と、前記操作子の端部に固定された第1磁石部と、前記第1磁石部とギャップを介して対向するように配置された第2磁石部とを有し、前記第1磁石部と前記第2磁石部のう ち、一方は強磁性体とコイルとを備える電磁石であり他方は永久磁石であり、前記各表示列における図柄の可変表示が停止した状態で、前記各表示列を横切る入賞ラインに予め定められた図柄の組合せである役が揃うと、入賞した役に応じた遊技価値を付与する遊技機の制御方法であって、
    前記操作子の操作タイミングに基づいて、一つまたは複数の前記役の集まりである各賞群に対応する各区分とハズレの区分とを含む抽選区分の中から一つを抽選し、抽選結果を示す内部抽選情報を生成し、
    前記内部抽選情報に基づいて前記コイルに供給する電流のオンからオフへの切替または前記オフから前記オンへの切替を繰り返すように制御し、
    前記オフのとき、前記強磁性体と前記永久磁石との間に吸引力を作用させて前記操作子を定常状態に付勢させ、
    前記オンのとき、前記電磁石と前記永久磁石との間に反発力が作用する方向の電流を前記操作子が前記定常状態から予め定められた基準角度以上に傾く大きさだけ前記コイルに供給する、
    ことを特徴とする遊技機の制御方法
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