JP3811232B2 - スプロケットを有するシャフトの組付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方の軸端部にスプロケットを固着したシャフトを、一対のベアリングを介して支持壁に組み付けるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
無端チェンを巻き掛けたスプロケットをカム軸の軸端部に固定するとき、従来は、特開平8−28236号公報の図13に開示されているように、先ずケーシングにベアリングを介してカム軸を組み付けた後、無端チェンを巻き掛けたスプロケットをカム軸の軸端部に形成したフランジに当接させてボルトで結合していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の組付構造では、スプロケットをカム軸に固定するボルトが必要になるために部品点数や組付工数が増加してしまい、これを避けるために予めカム軸にスプロケットを圧入等で結合しておくと、組付時にスプロケット及び無端チェン間にコジリが発生して損傷の原因となる可能性がある。
【0004】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、一方の軸端部にスプロケットを固着したシャフトを、少ない部品点数及び組付工数で支持壁に確実に組み付けることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明では、シャフトに予め第1、第2ベアリング及びスプロケットを組み付けた状態で、第1ベアリングを第1支持孔の段部に仮保持するとともに第2ベアリングを第2支持孔から外して軸間距離を減少させ、この状態でスプロケットに無端伝動体を巻き掛ける。続いて第1ベアリングを段部から外して第1支持孔に正しく嵌合させ、且つ第2ベアリングを第2支持孔に正しく嵌合させることによりシャフトの組付が完了する。これにより、第1、第2支持孔に組み付けたシャフトに後からスプロケット及び無端伝動体を装着する場合に比べて、部品点数及び組付工数を削減することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0007】
図1〜図30は本発明の一実施例を示すもので、図1は鞍乗型車両の左側面図、図2は鞍乗型車両の平面図、図3は鞍乗型車両の正面図、図4は鞍乗型車両の背面図、図5はボディを取り除いた鞍乗型車両の左側面図、図6はボディを取り除いた鞍乗型車両の底面図、図7は図2の要部拡大断面図、図8は図5の8−8線拡大断面図、図9は図8の9−9線断面図、図10は図8の10−10線断面図、図11は図8の要部拡大図、図12は図11の12−12線断面図、図13は図12の13−13線断面図、図14は図9の要部拡大図、図15は図14の15−15線矢視図、図16は図15の16−16線断面図、図17は図8の17−17線拡大断面図、図18は図17の18−18線矢視図、図19は図17の19−19線矢視図、図20は図17の要部拡大図、図21は図17の21−21線断面図、図22は図10の要部拡大図、図23は図22の23−23線矢視図、図24は図22に対応する作用説明図、図25は図10の25−25線断面図、図26は図25の26−26線断面図、図27は図5の27−27線拡大断面図、図28は図27の28方向矢視図、図29は図5の29−29線拡大断面図、図30は図5の30−30線拡大断面図である。
【0008】
先ず、図1〜図7に基づいて鞍乗型車両Vの車体構造を説明する。
【0009】
鞍乗型車両Vは鋼管を溶接して組み立てた車体フレームFを備えており、その前、後部にそれぞれ左右一対の前輪Wf,Wf及び後輪Wr,Wrが懸架される。これら車輪にはバルーン型低圧タイヤが装着されている。車体フレームFの上部には前方から順に操向ハンドル1、燃料タンク2及び跨座式のシート3が配設される。操向ハンドル1の右端にはブレーキレバー4が設けられ、また左端にはブレーキレバー5が設けられる。後者のブレーキレバー5は、リバースピンを押し込んだときだけ、リバースシフトレバーとして使用可能となる。操向ハンドル1の中央部はハンドルカバー6で覆われており、その後部に各種インジケータ7が設けられるとともに、その前方に張り出すようにメーター8が設けられる。
【0010】
前記燃料タンク2及びシート3の下方の車体フレームFの中央部には、左右の後輪Wr,Wrを駆動するエンジンEを備えたパワーユニットPが搭載される。パワーユニットPはクランクケース及びミッションケースを兼ねるケーシング9と、このケーシング9から起立するシリンダブロック10とを備えており、ケーシング9に支持されたクランク軸11(図8及び図9参照)は車体前後方向に配置され、またシリンダブロック10は鉛直方向に対して車体右方向に傾斜して起立している(図4参照)。シリンダブロック10の前面に接続された排気管12は右方向に180°湾曲してシリンダブロック10の右側面に車体後方に延び、車体後部右側に設けたマフラー13に接続される。
【0011】
ライダーの両足を支持するステップバー14,14がパワーユニットPの下面を横切るように車体フレームFに固定されており、右側のステップバー14に隣接してブレーキペダル15が設けられ、また左側のステップバー14に隣接してチェンジペダル16が設けられる。パワーユニットPの後上方に配置されたエアクリーナ17は、キャブレタ18を介してエンジンEのシリンダブロック10の後面に接続される。エアクリーナ17の吸入ダクト19は車体左側面を斜め前方に延び、その先端は燃料タンク2の後部に開口する。各種電装品に給電するためのバッテリ20が車体後部に搭載される。
【0012】
車体フレームFに支持される合成樹脂製のボディBは、左右の前輪Wf,Wfの上部から燃料タンク2の上部までを覆うフロントフェンダー21と、左右の後輪Wr,Wrの上部を覆うリヤフェンダー22と、フロントフェンダー21及びリヤフェンダー22を接続してシート3の下方の車体側面を覆う左右一対の第1サイドカバー23,23と、リヤフェンダー22の左右前部に接続される左右一対の第2サイドカバー24,24とから構成される。リヤフェンダー22の後端にはテールランプ25が設けられる。フロントフェンダー21及びリヤフェンダー22の上部には、それぞれフロントキャリヤ26及びリヤキャリヤ27が設けられる。またパワーユニットPの下面は、多数の孔を有する金属板よりなるアンダーガード28(図6参照)によって保護される。
【0013】
図3及び図5から明らかなように、前輪懸架装置はダブルウイッシュボーン型のもので左右対称の構造を有しており、それぞれフレーム部材31に基端を枢支されたアッパーアーム32と、フレーム部材33に基端を枢支されたロアアーム34と、アッパーアーム32及びロアアーム34の先端にボールジョイント35,36を介して枢支されたナックル37と、下端がアッパーアーム32に接続されて上端がフレーム部材38に接続されたフロントクッション39とを備える。ナックル37には、前記操向ハンドル1にリンク機構を介して連動するナックルアーム(図示せず)が一体に形成されており、操向ハンドル1を回動すると、ナックル37は、両ボールジョイント36,36間を結ぶ軸線41周りに前輪Wfを伴って転向するようになっている。
【0014】
図5及び図7から明らかなように、後輪懸架装置はフレーム部材42,42に両端部を回転自在に支持された枢軸管43と、枢軸管43の左端部を左側のアクスルケース44に連結する左腕管46と、枢軸管43の右端部を左右のアクスルケース44,44に設けたギヤハウジング45に連結する右腕管47と、左腕管46及び右腕管47を連結して補強する連結部材48と、フレーム部材49及びギヤハウジング45間を連結するリヤクッション50とを備える。右腕管47は左腕管46よりも大径に形成されており、その中空部を貫通するようにプロペラ軸52が配設される。変速機の出力部1021 の後端とプロペラ軸52とを接続するフックスジョイント54は、その揺動中心が枢軸管43の回動軸線X(図7参照)上にくるように配置されるため、左右の腕管46,47が枢軸管43と共にその軸線X回りに回転すれば、それに伴いプロペラ軸52はフックスジョイント54において屈折することができ、後輪Wr,Wrへの動力伝達に支障を来たさない。
【0015】
アクスルケース44,44の内部にリヤアクスル55,55が支持されており、このリヤアクスル55,55の両端に後輪Wr,Wrが連結される。ギヤハウジング45の内部において、該ギヤハウジング45に回転自在に支持した入力軸56に設けた駆動ベベルギヤ57と、前記リヤアクスル55,55に設けた従動ベベルギヤ58とが噛合する。プロペラ軸52の後端をカップリング59で入力軸56の後端に結合することにより、プロペラ軸52の回転がリヤアクスル55,55に伝達されて後輪Wr,Wrが駆動される。
【0016】
次に、図8〜図10に基づいてパワーユニットPの概略構造を説明する。
【0017】
パワーユニットPは、エンジンE及び変速機Tを相互に一体化して構成される。即ちエンジンEのクランクケースと変速機Tのミッションケースとが共通のケーシング9として一体化され、このケーシング9の下部両側に取付ボス71,71が形成され、これらが前記車体フレームFに弾性マウント部材を介して結合される。ケーシング9は、前部ケーシング121、後部ケーシング122、前部カバー214及び後部カバー215を備えており、後部カバー215にリコイルスタータカバー216が結合される。
【0018】
エンジンEは、内部にシリンダ72を有するとともに外部に多数の冷却フィン101 …を形成した前記シリンダブロック10と、その上端面に接合されるシリンダヘッド73と、シリンダ72内を摺動するピストン74と、このピストン74にコンロッド75を介して連接される前記クランク軸11と、このクランク軸11からサイレントチェン76を介して減速駆動されるカム軸77とを備えており、クランク軸11及びカム軸77は、シリンダブロック10の下端に連設される前記ケーシング9に支持される。シリンダヘッド73には、吸、排気ポートを開閉する吸、排気弁78i,78oと、これらを開閉作動するロッカアーム79i,79oとが設けられ、これらロッカアーム79i,79oはプッシュロッド80i,80oを介してカム軸77により駆動される。シリンダヘッド73の車体左側寄りには点火プラグ211が設けられる。シリンダヘッド73の上端にはヘッドカバー212が結合される。
【0019】
図8から明らかなように、このエンジンEにおいて、クランク軸11は、その両端を車両の前後方向へ向けて配置され、またシリンダブロック10は、そのシリンダ軸線Yがクランク軸11の一側方に配置される変速機T側へ、即ち車体右側に傾斜して配置される。そしてシリンダブロック10の傾斜方向側の右側壁102 に近接して排気管12が配置され、且つ前記右側壁102 の内部に上下方向に形成したプッシュロッド収納空間104 にプッシュロッド80i,80oが収納される。尚、図8における符号213はブリーザ室である。
【0020】
ところで、右側に傾斜したシリンダブロック10の右側壁102 は上下方向のスペースが小さくなり且つ風通しも悪くなる一方、シリンダブロック10の左側壁103 は上下方向のスペースが大きくなり且つ風通しも良くなるため、前記左側壁103 はシリンダブロック10の冷却効果に大きな影響を及ぼすことになる。従って、仮にシリンダブロック10の左側壁103 に排気管12やプッシュロッド80i,80oを配置すると、排気管12から受ける熱やプッシュロッド収納空間104 による放熱性の低下によってシリンダブロック10の冷却効果が低下してしまう。しかしながら、本実施例では、シリンダブロック10の冷却効果に及ぼす影響が小さい右側壁102 に排気管12及びプッシュロッド80i,80oを配置したので、それらの影響を最小限に抑えてエンジンE全体としての冷却性能を向上させることができる。尚、本実施例では左側壁103 に冷却フィン101 を6個突設し、右側壁102 に冷却フィン101 を5個突設している。
【0021】
クランク軸11の後端部には発電機81のロータ82が固着され、それのステータ83はケーシング9に固着される。またクランク軸11には、発電機81のロータ82に隣接して大径の始動歯車85が回転自在に支承され、この始動歯車85は一方向クラッチ86を介して前記ロータ82に連結される。この始動歯車85は、ケーシング9の外側に取付けたスタータモータ87の出力軸88に減速歯車装置89を介して連結される。減速歯車装置89は2本のアイドル軸891 ,892 に支持した複数のアイドル歯車から構成される。従って、スタータモータ87の作動により始動歯車85を駆動すれば、一方向クラッチ86及びロータ82を介してクランク軸11をクランキングすることができる。そして、エンジンEが始動すれば、一方向クラッチ86が自由状態となって、ロータ82から始動歯車85への回転の伝達は遮断される。
【0022】
更にクランク軸11の最後端には、始動輪90が固着され、これに爪係合し得るリコイルスタータ91がケーシング9に取付けられる。従って、リコイルスタータ91のロープを牽引することによっても、クランク軸11をクランキングすることができる。
【0023】
クランク軸11の前端には、遠心式の発進クラッチ92が付設される。また前部ケーシング121の下部に設けられたオイルポンプ93が、クランク軸11によりサイレントチェン94を介して駆動される。
【0024】
変速機Tは、主軸101、副軸102及びリバース軸103を有しており、これらの軸101,102,103は、前記クランク軸11と平行にして前記ケーシング9に支持される。主軸101は前部ケーシング121及び後部ケーシング122に一対のボールベアリング217,217を介して支持され、副軸102は前部ケーシング121及び後部ケーシング122に一対のボールベアリング218,218を介して支持される。その際、上記各軸101,102,103は、クランク軸11に対してカム軸77と同じ側(即ち、車体右側)であって、カム軸77よりも低い位置に配置される。より具体的には、クランク軸11の右下方に主軸101が配置され、主軸101の更に右下方に副軸102が配置され、副軸102の右上方のリバース軸103が配置される。またクランク軸11の右下方、且つ主軸101の左下方に、前記チェンジペダル16により操作されるシフトドラム104が配設される。
【0025】
このように、クランク軸11によって駆動されるカム軸77、主軸101及び副軸102をケーシング9の車体右側に集中して配置したので、回転部分のマスの集中及び軸受けの集中によってケーシング9の強度を部分的に増加させれば良くなり、その他の部分の重量を削減してエンジンE全体としての軽量化を図ることができる。しかもシリンダブロック10に設けたプッシュロッド収納孔104 から落下するオイルをカム軸77、主軸101及び副軸102に効果的に作用させ、潤滑効果を高めることができる。
【0026】
副軸102の後端部には、該副軸102の回転数に基づいて車速を検出する車速センサ95が設けられる。車速センサ95は後部ケーシング122の後面に装着された副軸プロテクタ96に、ベークライト製の断熱材97を介してボルト止めされており、副軸102の後部外周に突設した突部1022 …を検出する。副軸プロテクタ96と後部ケーシング122との間で、副軸プロテクタ96の後部ケーシング122側の内径をシール部材98よりも小径にして前記シール部材98を挟持することにより、変速機Tのオイルが副軸プロテクタ96内に流入することを防止し、車速センサ95をドライ状態で使用することができる。
【0027】
主軸101の一端には、多板式の変速クラッチ105が付設され、該変速クラッチ105の入力部材106と前記発進クラッチ92の出力部材107とは減速歯車装置108を介して連結される。変速クラッチ105は、前記チェンジペダル16によって開閉操作される。
【0028】
主軸101及び副軸102間には、前記シフトドラム104の作動により選択されて両軸101,102間を連結する1速〜5速の変速歯車列1091 〜1095 が設けられる。また副軸102の後端はケーシング9から後方に突出し、その後端の出力部1021 に前記プロペラ軸52の前端が接続される。
【0029】
図14を併せて参照すると明らかなように、主軸101、リバース軸103及び副軸102に亘りリバース歯車列109rが設けられる。このリバース歯車列109rは、主軸101に形成された駆動歯車110(図9参照)と、リバース軸103に回転自在に支承される段付のアイドル歯車111と、副軸102に回転自在に支承されるとともに、アイドル歯車111を介して駆動歯車110に噛合する被動歯車112とから構成される。また副軸102には、前記1速歯車列1091 の被動歯車113とリバース歯車列109rの被動歯車112との間でドグクラッチ体114が摺動可能にスプライン嵌合されており、このドグクラッチ体114を被動歯車113に係合させれば、1速歯車列1091 が確立し、ドグクラッチ体114を被動歯車112に係合させれば、リバース歯車列109rが確立するようになっている。
【0030】
以下、パワーユニットPの各部の詳細構造を説明する。
【0031】
先ず、パワーユニットPの潤滑系の構造を、図8〜図16を参照して説明する。
【0032】
図11〜図13に示すように、ケーシング9はシリンダ軸線Y(図10参照)を挟んで前後に分割された前部ケーシング121及び後部ケーシング122を備える。ケーシング9の底部のオイルパン部123において、両ケーシング121,122の合わせ面の近傍に形成した隔壁124,125によってオイル吸入空間126が画成される。オイル吸入空間126は後部ケーシング122の隔壁125に設けた水平方向に延びる仕切り壁1251 によって下部オイル室127及び上部オイル室128に仕切られており、下部オイル室127の前壁に前部ケーシング121の内部に連通する前部吸入孔1241 が形成されるとともに、下部オイル室127の後壁に後部ケーシング122の内部に連通する後部吸入孔1252 が形成される。前部吸入口1241 の断面積は後部吸入孔1252 の断面積よりも大きく形成されている。これは、発進クラッチ92や変速クラッチ105を前部ケーシング121側に配置しているため、前部ケーシング121の底部にオイルが溜まり易く、そのオイルを効果的にオイル吸入空間126に吸入するためである。
【0033】
水平断面コ字状に形成された前部ケーシング121の隔壁124の内周に溝部1242 が形成されており、この溝部1242 にオイルストレーナ129が装着される。オイルストレーナ129は金属板をプレス成形した吸入ダクト130と、スクリーン131とから構成される。吸入ダクト130は、その外周に水平方向に張り出すフランジ部1301 と、下方に向かって開口する吸入口1302 とを備え、またスクリーン131はラバーで形成された支持枠1311 と、その内部に張設されたメッシュ状のスクリーン本体1312 とから構成される。
【0034】
従って、吸入ダクト130のフランジ部1301 の上面にスクリーン131の支持枠1311 を重ね合わせた状態で、それらを前部ケーシング121の隔壁124の溝部1242 に後方から挿入した後、前部ケーシング121に後部ケーシング122を結合すれば、後部ケーシング122の仕切り壁1251 がフランジ部1301 及び支持枠1311 の後縁に密着し、オイルストレーナ129及びスクリーン131が固定される。
【0035】
図12から明らかなように、吸入ダクト130の吸入口1302 は、前側辺1303 が高く、且つ後側辺1304 が低くなるように傾斜しており、オイルの貯留量が多い前部ケーシング121側からオイルを吸い込み易くしている。
【0036】
このように、隔壁124,125で区画されたオイル吸入空間126の内部にオイルストレーナ129を収納したので、エンジンEの上方から落下した高温のオイルを直接オイルポンプ93に吸い込むことが防止され、エンジンEの冷却性能を向上させることができる。
【0037】
オイルストレーナ129をケーシング9に組み付けるとき、吸入ダクト130とスクリーン131とを重ね合わせて前部ケーシング121の溝部1242 に挿入した後、前部ケーシング121に後部ケーシング122を結合するだけで良いため、組付性が極めて良好である。しかも吸入ダクト130とスクリーン131とを別部材で構成したので、スクリーン131を複数機種に共用することが可能になって汎用性が高められる。
【0038】
エンジンEの前部には発進クラッチ92及び変速クラッチ105が設けられているため、前部ケーシング121に戻るオイル量は後部ケーシング122に戻るオイル量よりも多くなるが、オイル吸入空間126の前側の隔壁124に形成した前部吸入口1241 の断面積を、オイル吸入空間126の後側の隔壁125に形成した後部吸入口1252 の断面積よりも大きく設定したので、前部ケーシング121及び後部ケーシング122の両方からのオイルをオイル吸入空間126に効果的に戻すことができる。また上記理由により前部ケーシング121側に貯留されるオイル量は後部ケーシング122側に貯留されるオイル量よりも多くなるが、吸入ダクト130の吸入口1302 を前部ケーシング121及び後部ケーシング122の結合面よりも前側に偏倚して設けたことにより、エンジンEの前後傾斜時におけるエア噛みを回避することができる。
【0039】
吸入ダクト130は金属板をプレス成形した簡単な構造であり、低コストで製造可能であるだけでなく、その形状の変更も容易である。図11に破線で示す如く、吸入ダクト130を前後逆にして装着しようとしても、吸入ダクト130がG部において前部ケーシング121の内面に突出する干渉部1211 と干渉するため、誤組みの発生が確実に防止される。
【0040】
図8〜図10から明らかなように、オイルポンプ93は周知のトロコイドポンプからなり、その吸入ポート132が前記オイル吸入空間126の上部オイル室128に臨むとともに、その吐出ポート133がオイル吐出室134に臨んでいる。オイル吐出室134は油路L1 を経てクランク軸11の前端に開口する油路L2 に連通し、クランク軸11の前端に設けた発進クラッチ92を潤滑するとともに、クランク軸11のピン部111 外周を潤滑する。また油路L1 から分岐する油路L3 は図示せぬ油路を介してシリンダヘッド73に連通し、そこに設けられたロッカーアーム79i,79o等を潤滑する。
【0041】
吐出室134から延びる油路L4 は主軸101の内部に形成した油路L5 の右端部に連通しており、主軸101の外周に支持した歯車群や主軸101の左端に設けた変速クラッチ105を潤滑する。また前記油路L4 から分岐する油路L6 はリバース軸103の内部に形成した油路L7 に連通しており、リバース軸103の外周に支持したアイドル歯車111を潤滑する。
【0042】
図14から明らかなように、リバース軸103とアイドル歯車111との摺動面から漏れたオイルは、ケーシング9の内壁に沿って下方(図14の矢印a方向)に流下し、副軸102の内部に形成した油路L8 に流入して該副軸102の外周に支持した歯車群を潤滑する。このとき、ケーシング9の内壁に沿って流下するオイルを副軸102の油路L8 に案内すべく、オイルの案内手段が設けられる。即ち、図14〜図16から明らかなように、リバース軸103の下方のケーシング9内壁に、下方に向かって逆ハ字状に間隔が狭まる一対のガイドリブ135,136が突設されており、両ガイドリブ135,136の間に形成されたガイド溝137,138が副軸102の油路L8 の端部に連通している。これにより、図15の矢印b方向に流下するオイルを集合させて矢印c方向に導き、副軸102の油路L8 に効果的に供給することができる。
【0043】
次に、パワーユニットPの変速機Tの変速機構の構造を、図17〜図21を参照して説明する。
【0044】
図17に示すように、前記チェンジペダル16の後端が結合されたチェンジペダル軸141がケーシング9の後部カバー215の左側面に回転自在に支持されており、このチェンジペダル軸141に駆動アーム142のカラー1421 が嵌合してボルト143で固定される。チェンジペダル軸141はスプリング144によってケーシング9の外側に向けて付勢されており、この付勢力で前記カラー1421 の端面が後部カバー215の内面に当接することにより、チェンジペダル軸141のガタが防止される。
【0045】
図17及び図21から明らかなように、ケーシング9に車体前後方向に延びるシフト軸145が回転自在に支持されており、このシフト軸145の後部に固定した従動アーム146の長孔1461 に前記駆動アーム142の先端が係合する。従って、ライダーが足先でチェンジペダル16を押し下げ、或いは押し上げると、チェンジペダル16の動きがチェンジペダル軸141、駆動アーム142及び従動アーム146を介してシフト軸145に伝達され、このシフト軸145を往復回転させる。尚、ライダーが足先でチェンジペダル16を押し下げたとき、過剰なトルクがシフト軸145に伝達されないように、従動アーム146の先端が当接するストッパ91 (図21参照)がケーシング9の内面に形成される。
【0046】
図17及び図18から明らかなように、シフト軸145の先端にL字状の第1アーム部材147がスプライン結合される。ケーシング9に車体前後方向に延びる支軸148が回転自在に支持されており、この支軸148にL字状の第2アーム部材149が固定される。第1アーム部材147の第1腕部1471 の先端に設けたローラ150が、第2アーム部材149の第1腕部1491 の先端に形成した長孔1493 に係合する。主軸101の軸端に対向する支軸151がケーシング9に固定されており、この支軸151に回転自在に支持した可動カムプレート152の切欠1521 に、第2アーム部材149の第2腕部1492 の先端に設けたローラ153が係合する。
【0047】
図9を併せて参照すると明らかなように、支軸151には可動カムプレート152に対向する固定カムプレート154が支持されており、両カムプレート152,154間にボール155が配置される。主軸101の軸端に摺動自在に嵌合する摺動軸156が可動カムプレート152に結合されており、更に可動カムプレート152と変速クラッチ105のクラッチピストン157とが連結プレート158を介して連結される。
【0048】
而して、チェンジペダル16の操作によりチェンジペダル軸141が正逆何れかの方向に回転すると、第1アーム部材147及び第2アーム部材149を介して可動カムプレート152が回転し、可動カムプレート152は固定カムプレート154及びボール155から受ける反力により、クラッチスプリング139の付勢力に抗して摺動軸156と共に主軸101に接近する方向に摺動する。その結果、可動カムプレート152に接続されたクラッチピストン157が図9の右方向(車体後方側)に移動し、変速クラッチ105の係合が解除される。
【0049】
図17に示すように、シフトドラム159とシフトフォーク軸160とが、ケーシング9の内部に車体前後方向に支持される。シフトドラム159の外周には3本のカム溝1591 〜1593 が形成されており、シフトフォーク軸160に摺動自在に支持された3本のシフトフォーク161,162,163が前記各カム溝1591 〜1593 に係合する。
【0050】
図19及び図20に示すように、シフト軸145の外周に相対回転自在に嵌合するカラー164に、第1開口部1651 と、第2開口部1652 と、第1開口部1651 の内周縁部を折曲して形成したばね受け1653 と、ローラ166とを備えたチェンジアーム165の基端が溶着される。前記カラー164に支持した捩じりコイルばね167の両端は、ケーシング9に螺入されて前記第1開口部1651 を緩く貫通するスタッドボルト168の両側部と、チェンジアーム165のばね受け1653 の両側部とに当接する。従って、中立位置にあるチェンジアーム165が、その第1開口部1651 の縁がスタッドボルト168に当接する位置まで何れかの方向に揺動すると、そのばね受け1653 が捩じりコイルばね167を変位させて該チェンジアーム165を前記中央位置へ復帰させるための付勢力が発生する。
【0051】
前記第1アーム部材147の第2腕部1472 の先端がチェンジアーム165の第1開口部1651 内に延びており、前記捩じりコイルばね167の両端間に挿入される。従って、シフト軸145に固定された第1アーム部材147が正逆何れかの方向に回転すると、第1アーム部材147の第2腕部1472 の先端はチェンジアーム165の第1開口部1651 内を所定距離だけ空動し、第2腕部1472 の先端が第1開口部1651 の内縁に当接するとチェンジアーム165を正逆方向に回転させる。第1アーム部材147の第2腕部1472 が空動する間、チェンジアーム165は中立位置に停止状態に保持されており、その間に変速クラッチ105の係合が解除される。従って、変速クラッチ105の係合解除から所定のタイムラグをもって確実に変速操作を開始することができる。
【0052】
一端に形成された切欠1691 と、他端に形成された長孔1692 と、中央に形成された開口部1693 とを備えたチェンジプレート169が、シフトドラム159の端面とチェンジアーム165との間に配置される。チェンジプレート169は、切欠1691 を前記カラー164の外周に係合させ、且つ長孔1692 を前記チェンジアーム165のローラ166に係合させた状態で、チェンジアーム165との間に張設したスプリング170で前記切欠1691 及び長孔1692 に沿う方向に付勢されている。この状態で、チェンジアーム165の第2開口部1652 とチェンジプレート169の開口部1693 とは略重なる位置に配置される。
【0053】
シフトドラム159の端部に、星型のピンプレート171が位置決めピン172を介してボルト173で固定される。ケーシング9に支軸174で枢支されたディテントアーム175がスプリング176で付勢されており、このディテントアーム174の先端に設けたディテントローラ177がピンプレート171の外周に形成した7個の凹部1711 …の何れかに弾発的に係合する。従って、シフトドラム159は、7つのシフトポジションに対応する7つの回転位置の何れかに安定的に停止することができる。
【0054】
ピンプレート171の端面に、円周上に配置された7本の送りピン1712 …が突設されており、これら送りピン1712 …に係合可能な一対の突起1694 ,1694 と、一対のカム面1695 ,1695 とがチェンジプレート169の開口部1693 の内周に形成される。尚、ピンプレート171からチェンジプレート169が脱落するのを防止すべく、チェンジプレート169の外面を押さえる板状のホルダー178が前記ボルト173で共締めされる。
【0055】
前進走行中に後進変速段が確立されるのを防止すべく、リバースシフト規制機構が設けられる。図10、図17及び図21から明らかなように、ケーシング9に支軸179を介してリバースシフト規制アーム180が回転自在に支持されており、このリバースシフト規制アーム180の先端はスプリング140によってシフトドラム159に向けて付勢される。シフトドラム159の後部外周にガイド溝1594 が形成されており、そのガイド溝1594 の内部に前記リバースシフト規制アーム180の先端が当接可能なストッパ1595 が突設される。図21において、リバースシフト規制アーム180の時計方向の回動端をストッパ219で規制することにより、リバースシフト規制アーム180の先端がシフトドラム159のガイド溝1594 に摺接しないようになっている。このようにすれば、シフトドラム159が回転する際の摺動抵抗を減少させ、シフト荷重を小さくすることができる。
【0056】
而して、図21においてシフトドラム159を矢印D方向に回転させて後進変速段を確立するとき、リバースシフト規制アーム180の先端がガイド溝1594 のストッパ1595 に当接してシフトドラム159の回転を規制する。このとき、ハンドル1に設けたリバースシフトレバー5(図1及び図2参照)を操作すると、このリバースシフトレバー5に図示せぬワイヤーを介して連結された支軸179が回転し、リバースシフト規制アーム180の先端が図21の矢印E方向に回転して前記ストッパ1595 から離反する。その結果、シフトドラム159の矢印D方向への回転が許容され、後進変速段の確立が許容される。このように、リバースシフトレバー5の操作時にのみ後進変速段の確立を許容することにより、意図せぬ後進変速段の確立を確実に防止することができる。
【0057】
次に、図22〜図24に基づいて動弁機構の構造を説明する。
【0058】
前端部及び後端部がそれぞれボールベアリング181,182でケーシング9の支持壁183,184に支持されたカム軸77は、その前端部に段部771 を介して形成された小径部772 を備える。前記小径部772 に前記ボールベアリング181のインナーレース1811 を嵌合させた状態で、その先端側にカラー185が圧入により固定される。カラー185にはスプロケット186が溶接されており、このスプロケット186が前記サイレントチェン76を介してクランク軸11に接続される。
【0059】
両ボールベアリング181,182を支持すべく、両支持壁183,184にそれぞれ円形断面の支持孔1831 ,1841 が形成される。スプロケット186に近い側の支持孔1831 には、そのスプロケット186側の端面を三日月状に切り欠いた段部1832 が形成される。カム軸77の中心から見た前記段部1832 の方向は、スプロケット186からサイレントチェン76が延びる方向、即ち図23の矢印F方向に一致している。段部1832 にはボールベアリング181のアウターレース1812 が嵌合可能である。
【0060】
而して、カム軸77をケーシング9に組み付けるとき、予めカム軸77に一対のボールベアリング181,182、カラー185及びスプロケット186を組み付けておく。そして、図24に示すように、スプロケット186側のボールベアリング181のアウターレース1812 を支持壁183の支持孔1831 の段部1832 に係合させて仮保持し、且つ反スプロケット186側のボールベアリング182を支持壁184の支持孔1841 から外して軸間距離を減少させた状態で、スプロケット186にサイレントチェン76を巻き掛ける。続いて、スプロケット186側のボールベアリング181を図24の矢印H方向に移動させ、そのアウターレース1812 を段部1832 から外して支持孔1831 に正しく係合させるとともに、反スプロケット186側のボールベアリング182を支持壁184の支持孔1841 に正しく係合させることにより、カム軸77の組み付けを完了する。
【0061】
上記構造を採用することにより、カム軸77に予めボールベアリング181,182、カラー185及びスプロケット186を組み付けてサブアセンブリ化しておいても、カム軸77の組み付けを支障なく行うことが可能となり、部品点数の削減及び組付工数の削減が達成される。尚、段部1832 を設けずに上記方法でカム軸77を組み付けようとすると、組付時にカム軸77の軸方向の移動量が大きくなってスプロケット186及びサイレントチェン76間にコジリが発生してしまい、これを避けるべく支持壁183の肉厚を減少させるとカム軸77の支持剛性が低下してしまう。
【0062】
図22から明らかなように、カム軸77には吸気カム191i及び排気カム192oが一体に形成されており、それら吸気カム191i及び排気カム191oに当接して駆動される一対のバルブリフター192,192がケーシング9に摺動自在に支持される。アルミニウム製のプッシュロッド80i,80oの下端には鉄製のボルト193,193が螺入されており、それぞれのボルト193は頭部先端に形成された球状部1931 と、それに連なる6角の面取り部1932 とを備えている。そして各バルブリフター192の上面には、前記ボルト193の球状部1931 が嵌合する球状凹部1921 が形成される。またシリンダブロック10のプッシュロッド収納空間104 に臨むように2本のリブ105 ,105 が形成されており、これらリブ105 ,105 の下端はバルブリフター192,192の上端に当接可能に張り出している。
【0063】
而して、メンテナンス時にプッシュロッド80i,80oを上方に引き抜く際に、オイルの粘性でプッシュロッド80i,80oに張り付いたバルブリフター192,192が上方に移動しようとしても、前記リブ105 ,105 に阻止されてプッシュロッド80i,80oから強制的に分離される。これにより、バルブリフター192,192の装着位置からの脱落が防止され、その再組付に要する無駄な時間と労力を削減することができる。またプッシュロッド80i,80oの球状部1931 ,1931 をボルト193,193により形成したので、球状部を含むプッシュロッド80i,80o全体を鉄製とする場合に比べて重量を削減することができる。しかもボルト193,193は工具が係合する6角の面取り部1932 ,1932 を備えているので、プッシュロッド80i,80oの本体部分に対する球状部1931 ,1931 の結合も極めて容易である。
【0064】
次に、図25及び図26に基づいて、カム軸77を駆動するサイレントチェン76のチェンテンショナーの構造を説明する。
【0065】
図25に示すように、クランク軸11に設けたスプロケット194とカム軸77に設けたスプロケット186とがサイレントチェン76で接続され、またクランク軸11に設けたスプロケット195とオイルポンプ軸196に設けたスプロケット197とがサイレントチェン94で接続される。
【0066】
図26を併せて参照すると明らかなように、カム軸77を駆動するサイレントチェン76に所定の張力を与えるチェンテンショナー198は、中央部が支軸199で枢支されたL字状のアーム200と、アーム200を図25において時計方向に付勢する弾発手段201とを備える。弾発手段201はボルト202,202で固定されたシリンダ203から図示せぬスプリングで突出する方向に付勢されたピストンロッド204を備えており、このピストンロッド204の先端でアーム200の一端を押圧することにより、該アーム200の他端に設けたシュー205をサイレントチェン76に圧接するようになっている。
【0067】
弾発手段201の組付時には、そのシリンダ203のボルト孔2031 にボルト206を螺入してピストンロッド204をスプリングに抗して退没位置に係止しておき、弾発手段201の組付完了後に前記ボルト206を取り外してピストンロッド204を突出させ、サイレントチェン76に所定の張力を与えるようになっている。図26から明らかなように、前記ボルト206はケーシング121,207の結合面に挟持されたガスケット208と同一面上に位置しており、ボルト206を外し忘れたままケーシング121,207を結合しようとすると、ガスケット208がボルト206に干渉して組付不能になるため、ボルト206を外し忘れを防止することができる。
【0068】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0069】
エンジンEのアイドリング中は、クランク軸11の回転数が低く、遠心式の発進クラッチ92は非係合状態を保つので、クランク軸11から変速クラッチ105への動力伝達は行われない。
【0070】
いま車両を発進すべく変速機Tの1速歯車列1091 を確立させてエンジンEの出力を上げていけば、クランク軸11の回転数の上昇により発進クラッチ92が自動的に係合状態となり、クランク軸11の回転は発進クラッチ92、減速歯車装置108、変速クラッチ105を経て主軸101に伝達され、更に1速歯車列1091 から副軸102に伝達される。その結果、副軸102の回転はプロペラ軸52、駆動ベベルギヤ57、従動ベベルギヤ58及びリヤアクスル55,55を介して後輪Wr,Wrに伝達され、車両の発進が行われる。
【0071】
走行中における変速歯車列1091 〜1095 ,109rのシフトは、以下のようにして行われる。チェンジペダル16の操作により、図19において、例えばチェンジアーム165が矢印A方向に回転すると、このチェンジアーム165にローラ166及び長孔1691 を介して係合するチェンジプレート169が矢印A方向に回転し、その開口部1693 に形成した下側の突起1694 が1本の送りピン1712 を上方に押圧し、シフトドラム159を1ピッチだけ矢印A方向に回転させる。その結果、ディテントローラ177がピンプレート171の新たな凹部171に係合し、シフトドラム159を新たな位置に安定的に停止させる。
【0072】
チェンジペダル16の踏み込みを解除すると、捩じりコイルばね167の弾発力でチェンジアーム165が中立位置に向けて矢印B方向に回転する。このときチェンジプレート169もチェンジアーム165と共に矢印B方向に回転するが、その開口部1693 に形成した下側のカム面1695 が1本の送りピン1712 に当接して反力を受けるため、その反力でチェンジプレート169がスプリング170を伸長しながら図19の矢印C方向に移動する。これにより、前記カム面1695 が送り前記ピン1712 を乗り越え、シフトドラム159を新たな位置に停止させたまま、チェンジアーム165及びチェンジプレート169は中立位置に復帰することができる。
【0073】
チェンジペダル16の操作により、例えばチェンジアーム165を矢印B方向に回転させた場合には、前述と同様にしてシフトドラム159が矢印B方向に1ピッチだけ回転し、新たな位置に安定的に停止する。このようにしてシフトドラム159が1ピッチずつ回転すると、図17において、シフトドラム159のカム溝1591 〜1593 に係合する3本のシフトフォーク161,162,163が軸方向に摺動し、変速機Tに所定の変速段を確立させる。
【0074】
次に、図27〜図30を参照しながら、エンジンEの残余の部分の構造を説明する。
【0075】
図27において、符号221は吸気ポート、符号222はヘッドカバー212をシリンダヘッド73に結合するボルト、符号223はリコイルスタータのノブ、符号224は車速センサ95を固定するボルトである。
【0076】
図28において、符号225はロッカーアーム軸、符号226はロッカーアーム軸固定ボルトである。
【0077】
図29において、符号227は排気ポートである。
【0078】
図30において、符号228はオイルレベルゲージ、符号229はシール部材10及びシリンダヘッド73をケーシング9に結合するボルトである。
【0079】
次に、図31に基づいてチェンジペダル軸141のガタ防止の別実施例を説明する。
【0080】
前述した第1実施例では、チェンジペダル軸141をスプリング144で付勢し、駆動アーム142のカラー1421 の端面を後部カバー215の内面に当接させることによりガタを防止している(図17参照)。一方、第2実施例では、チェンジペダル軸141にボルト143で固定した駆動アーム142のカラー1421 の両端面を、それぞれワッシャ2201 ,2202 を介して後部カバー215の位置決め面2151 ,2152 に当接させることにより、軸方向のガタを防止している。
【0081】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0082】
例えば、本発明はカム軸77以外の任意のシャフトに対して適用することができる。また実施例では段部1832 を支持壁183のスプロケット186側の壁面に形成しているが、それを支持壁183の反スプロケット186側の壁面に形成することも可能である。またボールベアリング181,182に代えてローラベアリングやニードルベアリングを採用することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、第1支持壁に形成した第1支持孔が、第1支持壁の一方の壁面に開口して無端伝動体の緩み方向に切り欠かれた段部を有しているので、予め第1、第2ベアリング及びスプロケットを組み付け、且つスプロケットに無端伝動体を巻き掛けたシャフトを、第1、第2ベアリングを第1、第2支持壁の第1、第2支持孔にそれぞれ嵌合させて組み付けることができる。これにより、第1、第2支持孔に組み付けたシャフトに後からスプロケット及び無端伝動体を装着する場合に比べて、部品点数及び組付工数を削減することができ、しかも組付時にスプロケット及び無端伝動体間にコジリが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鞍乗型車両の左側面図
【図2】鞍乗型車両の平面図(図1の2方向矢視図)
【図3】鞍乗型車両の正面図(図1の3方向矢視図)
【図4】鞍乗型車両の背面図(図1の4方向矢視図)
【図5】ボディを取り除いた鞍乗型車両の左側面図
【図6】ボディを取り除いた鞍乗型車両の底面図(図5の6方向矢視図)
【図7】図2の要部拡大断面図
【図8】図5の8−8線拡大断面図
【図9】図8の9−9線断面図
【図10】図8の10−10線断面図
【図11】図8の要部拡大図
【図12】図11の12−12線断面図
【図13】図12の13−13線断面図
【図14】図9の要部拡大図
【図15】図14の15−15線矢視図
【図16】図15の16−16線断面図
【図17】図8の17−17線拡大断面図
【図18】図17の18−18線矢視図
【図19】図17の19−19線矢視図
【図20】図17の要部拡大図
【図21】図17の21−21線断面図
【図22】図10の要部拡大図
【図23】図22の23−23線矢視図
【図24】図22に対応する作用説明図
【図25】図10の25−25線断面図
【図26】図25の26−26線断面図
【図27】図5の27−27線拡大断面図
【図28】図27の28方向矢視図
【図29】図5の29−29線拡大断面図
【図30】図5の30−30線拡大断面図
【図31】チェンジペダル軸の第2実施例を示す図
【符号の説明】
76 サイレントチェン(無端伝動体)
77 カム軸(シャフト)
181 ベアリング(第1ベアリング)
182 ベアリング(第2ベアリング)
183 支持壁(第1支持壁)
1831 支持孔(第1支持孔)
1832 段部
184 支持壁(第2支持壁)
1841 支持孔(第2支持孔)
186 スプロケット
Claims (1)
- 第1ベアリング(181)及び第2ベアリング(182)を備えるとともに該第1ベアリング(181)から突出する軸端部にスプロケット(186)を固着したシャフト(77)を、前記スプロケット(186)に無端伝動体(76)を巻き掛けた状態で、前記第1、第2ベアリング(181,182)を第1、第2支持壁(183,184)に形成した第1、第2支持孔(1831 ,1841 )にそれぞれ嵌合させて組み付ける、スプロケットを有するシャフトの組付構造において、
第1支持壁(183)に形成した第1支持孔(1831 )が、前記第1支持壁(183)の一方の壁面に開口して前記無端伝動体(76)の緩み方向に切り欠かれた段部(1832 )を有しており、第1ベアリング(181)を前記第1支持孔(1831 )に嵌合させる前に、スプロケット(186)に無端伝動体(76)を装着すべく第1ベアリング(181)を前記段部(1832 )に仮保持することを特徴とする、スプロケットを有するシャフトの組付構造。
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